JP3880690B2 - 工具識別媒体を備えたパンチング用工具および工具識別媒体読み取り装置を備えたパンチプレス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、工具識別媒体を備えたパンチング用工具および工具識別媒体読み取り装置を備えたパンチプレスに関する。
【0002】
【従来の技術】
板金等の板材に穴あけ加工を行うパンチプレスは、穴の形状等に応じて多数のパンチ・ダイ(工具)を備える必要がある。これらの多数のパンチ・ダイは、タレットパンチプレスでは、機械フレームに回転自在に設けた上下のタレットに収容されている。そして、前記タレットを回転することにより、前記多数のパンチ・ダイの内のいずれか一組のパンチ・ダイが選択的に所定の加工位置へ供給される。また、他の型のパンチプレスでは、前記パンチ・ダイは工具マガジンに収容され、この工具マガジンから適宜のパンチ・ダイが選択され、前記加工位置へ供給される。
【0003】
これらの多数のパンチ・ダイを管理するために、パンチ・ダイに工具識別媒体取り付けると共にこの工具識別媒体を適宜の検出装置で検出する技術が提案されている。たとえば、特開昭63―174733は、パンチの頭部に、パンチ・ダイの寸法および形状を表すバーコードを取り付け、このバーコードを、タレットの上方に設けたセンサーで読み取る技術を開示している。この技術によれば、タレット上のパンチ・ダイを容易に同定することが出来る。
【0004】
また、特開平7―164073は、工具交換装置を備えるパンチプレスにおいて、上工具および下工具のそれぞれに固有の工具情報と、この上下工具を一対の工具として特定する対工具情報とを記憶し、この対工具情報に対応して前記上下工具の工具マガジンの収納番地を記憶させ、加工時には、この対工具情報に基づいて所望の上下工具を呼び出して工具交換を行う技術を開示している。前記対工具情報には、工具形状、サイズ、工具クリアランスが含まれる。又前記上下工具に固有の情報には、工具の製造番号および製造年月日が含まれる。これらの固有情報は、工具表面にバーコードをマーキングし、このバーコードを読み取り装置で読み取ることにより、適宜の数値制御部に取り込まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の工具識別方法では、前記タレット或いは工具マガジンへ工具を格納する際に、オペレータが、パンチ・ダイを誤って異なる角度で格納したりした場合にはこの誤りを検出できないおそれがあった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、パンチ支持部材(22)に着脱自在に取り付けられ、ダイ支持部材(24)に取り付けられたダイ(28)と協働して板材に対して穴明け加工を行うパンチ(26)にして、前記パンチは、パンチガイド(48)とこのパンチガイドに上下動自在に挿入されたパンチボディ(46)とを備えて構成されており、前記パンチは長手軸を有し、かつ、前記パンチ支持部材に対して前記長手軸を中心として複数の角位置で取り付け可能に構成され、前記パンチボディの外周側面に、前記パンチ支持部材に対する角位置を示す角位置識別媒体(46b)が取り付けられていると共に、前記パンチガイドの外周部であって、前記パンチガイドに前記パンチボディを挿入したときにおける前記角位置識別媒体に対応する位置に透孔(48b)が設けられているパンチである。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、透孔48bが設けられているので、これにより、パンチガイド48へパンチボディ46を挿入した後でも、パンチボディ46に取り付けられたパンチボディ識別媒体46bを外部から確認することが出来、これにより、次の利益が生ずる。すなわち、パンチガイド1個に対して、複数個のパンチボディ・ストリッパプレートを交換して使用する場合、パンチガイドの形状だけからでは、パンチボディ・ストリッパプレートは一義的に決まらない。しかし、前記透孔48bからパンチボディ46の識別媒体46bを読み取ることにより、パンチガイドに装着した状態で、パンチボディ・ストリッパプレートを識別することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いてこの発明の実施例を説明する。
【0013】
図1は、この実施例のタレットパンチプレスの正面図である。図1に示されるように、タレットパンチプレスのフレーム20に、円盤状の上タレット(パンチ支持部材)22と下タレット(ダイ支持部材)24が回転自在に設けられている。この上タレット22の円周上に、多数のパンチ(パンチアセンブリ)26が上タレット22に対して上下動自在に搭載されている。同様に、前記下タレット24の円周上に、前記各パンチに対応するダイ28が搭載されている。前記フレーム20の所定の位置には、当該所定の位置に位置決めされるパンチを打撃するための打撃子30が上下動自在に設けられている。また、板金(ワーク)Wを水平面内で移動せしめ、前記パンチ26およびダイ28の間に位置決めする板金位置決め装置が設けられている。したがって、タレット22、24を適宜に回転させて所望のパンチ・ダイ26、28を打撃子30の下方に位置決めし、かつ、ワーク位置決め装置32を適宜に移動してワークの所望の位置を前記パンチ・ダイの間に位置決めしたあと、打撃子30でパンチを打撃することにより、前記ワークの所望箇所に所望の穴明け加工を行うことができる。
【0014】
なお、このタレットパンチプレスには、当該タレットパンチプレスを数値制御するためのパンチプレス用NC装置33が設けられている。
【0015】
図2は、前記パンチ26およびダイ28が、前記上タレット22および下タレット24に搭載されている態様をより詳細に示す図面である。すなわち、前記上タレット22のパンチセット穴22aにパンチガイド48が上下動自在に設けられている。パンチパンチガイド上端には外フランジ48aが形成されており、この外フランジ48aと上タレット22の間にリフタスプリング23が設けられている。したがって、パンチ26全体は、通常、上タレット22に対して所定高さ位置に保持されている。前記パンチガイド48内にパンチボディ46が上下動自在に挿入されており、このパンチボディ46の下端にはパンチ刃46cが形成されている。パンチボディ上端には、パンチヘッド50が設けられ、前記パンチガイド上端の外フランジ48aとパンチヘッド50との間に強力なストリッパスプリング25が設けられている。このストリッパスプリング25により、穴明け加工後、パンチ刃はダイ28およびワークから引き抜かれる。また、ダイ28は、前記パンチ刃46cと係合するパンチ穴(透孔)26cを有し、下タレット24のダイセット穴24aに挿入されセットされる。
【0016】
前記パンチ26およびダイ28には、当該パンチ・ダイを他のパンチ・ダイから識別するためのパンチ識別媒体、ダイ識別媒体が取り付けられている。図3―図9は、パンチ26およびダイ28に、パンチ識別媒体34およびダイ識別媒体36を取り付ける態様を説明する説明図である。より詳細には、図3に示すように、パンチボディ46の胴部に面取り部46aが形成され、この面取り部にパンチボディ識別媒体46bが取り付けられる。この面取り部46aは、図4Aのように、直線状に面取りされていても良いし、図4Bのように一部円弧状に面取りされていても良いし、図4Cのように全周にわたる円弧状に面取りされていても良い。この様に面取りされた面に、パンチボディ識別媒体46bを取り付けることにより、識別媒体46bがタレット22のパンチセット穴22aの内周と擦れ合うことが無く、識別媒体46bの寿命を延長することができる。
【0017】
図5に示すように、パンチガイド48の上部カラー部(外フランジ)48aに前記パンチ識別媒体34が取り付けられている。なお、パンチ識別媒体34は、図5に示すように、パンチヘッド50の側面に取り付けることも出来る。更に、図6に示すように、前記パンチ識別媒体34は、パンチガイド48の外周部に取り付けることもできる。当該外周部にパンチ識別媒体34を取り付ける場合は、当該外周部に、図4に示す如き面取り部を形成しこの面取り部にパンチ識別媒体34を取り付けるのが好ましい。前記外周部に面取り部を形成することにより比較的広い識別媒体取付範囲を確保でき、したがって、比較的複雑な識別媒体を取り付けることができる。また、前記パンチ識別媒体34は、図7に示すように、パンチヘッド50の上部に取り付けることもできる。
【0018】
更に、図5に示すように、パンチガイド48の外周部には、当該パンチガイド48にパンチボディ46を挿入したとき前記パンチボディ識別媒体46bに対応する位置に透孔48bが形成するのが好ましい。これにより、パンチガイド46へパンチボディ46を挿入した後でも、パンチボディ46に取り付けられたパンチボディ識別媒体46bを外部から確認することが出来る。これにより以下の利益が生ずる。すなわち、パンチガイド1個に対して、複数個のパンチボディ・ストリッパープレートを交換して使用する場合、パンチガイドの形状だけからでは、パンチボディ・ストリッパプレートは一義的に決まらない。しかし、前記の透孔48bからパンチボディ46の識別媒体46bを読み取ることにより、パンチガイドに装着した状態で、パンチボディ・ストリッパプレートを識別することができる。
【0019】
図8、図9は、ダイ28にダイ識別媒体を取り付ける態様をしめす。図8に示す態様では、ダイ28の外周面に面取り部28aが形成され、この面取り部28aにダイ識別媒体36が取り付けられる。図9に示す態様では、ダイ28の上端部のテーパ部28bにダイ識別媒体36が取り付けられる。
【0020】
前記パンチ識別媒体34、ダイ識別媒体36は、例えば、バーコード、2次元コード(VERIコード,PDF417コード,QRコード)、IDタグ,ICチップ、マーカーから構成される。
【0021】
前記識別媒体を読み取る手段は、識別媒体34、36がバーコードの場合は、赤外線装置、レーザ光線装置であることが好ましいが、カメラ等であっても良い。
【0022】
前記パンチ・ダイ26、28をタレット22、24上の所定のセット穴22a,24aにセットする場合、適宜の携帯読み取り手段(図示せず)で、例えばまずパンチ識別媒体34を読み取ったあと、このパンチ26を上タレット22へセットする。次ぎにダイ28の識別媒体を読み込む。その際、パンチ識別媒体34からの情報と一致又は適合しない場合はエラー信号が出力される。パンチ識別媒体34からのパンチ識別情報とダイ識別媒体36からのダイ識別情報とが一致、適合する場合は、前記タレット上のセット穴22a,24aの位置情報(ステーション情報)とパンチ識別情報・ダイ識別情報とが、パンチプレス用NC装置のメモリに一組のデータとして記憶される。
【0023】
また、パンチガイド1個に対して、複数個のパンチボディ・ストリッパープレートを交換して使用する場合、パンチガイド48上の識別媒体とパンチボディ46上の識別媒体とを読み込み、前記NC装置内で一組のデータとして記憶することができる。これにより使用するパンチのパンチボディをパンチガイドデータから検索することができる。
【0024】
図10はタレットパンチプレスシステムのブロック図である。このシステムは、工具識別媒体読み取り装置を備えた第1、第2タレットパンチプレス52と、これらを数値制御する第1、第2パンチプレス用NC装置54と、工具格納装置56と、工具格納装置用NC装置58と、前記タレットパンチプレス及び工具格納装置を一括して制御する中央制御装置60とを備える。なお、第1、第2タレットパンチプレス52及び第1、第2パンチプレス用NC装置は、実質的に同一の構成であるので、以下においては第1タレットパンチプレス及び第1パンチプレス用NC装置のみを説明する。
【0025】
図10に示すように第1タレットパンチプレス52には、図1のタレットパンチプレスと同様に、上タレット22及び下タレット24が回転自在に設けられている。この上タレット22、下タレット24にそれぞれ、パンチ26、ダイ28が搭載されている。このパンチ26・ダイ28に、当該パンチ・ダイを識別するためのパンチ識別媒体34およびダイ識別媒体36が取り付けられている(図3―図9参照)。なお、このパンチ識別媒体34・ダイ識別媒体36は、パンチ26・ダイ28のそれぞれの外周に等間隔で4カ所に取り付けられる(図10には4カ所のうち1カ所のみが図示されている)。また、図10では、パンチ26の識別媒体34は、図5に示す如くパンチヘッド50に取り付けられ、ダイ28の識別媒体36は、図9に示す如くダイテーパ部28bに取り付けられている。
【0026】
前記パンチ識別媒体34に含まれるパンチ識別情報としては、以下のものが挙げられる。
【0027】
レンジ(工具径、パンチガイドの径)
形状(丸、角、長丸、長角、ダブルD、シングルD、センタポンチ、バーリング、三角形、特型、タッピング、成形、刻印、コーナーラジアス、R付き長角、その他)
形状サブコード(三角形の形状に対して:二等辺三角形、直角三角形等;長角に対して:スロッティング、通常)
タイプ(エアブローの有無(実公平4―15377参照)、その他)
寸法(X寸、Y寸、R寸)
取付角度(装着時の角度を表す)
管理番号(パンチ個別の識別番号)
またダイ識別媒体36に含まれるダイ識別情報としては、以下のものが挙げられる。
【0028】
レンジ(穴径、ダイの外径)
形状(丸、角、長丸、長角、ダブルD、シングルD、センタポンチ、バーリング、三角形、特型、タッピング、成形、刻印、コーナーラジアス、R付き長角、その他)
形状サブコード(三角形の形状に対して:二等辺三角形、直角三角形等;長角に対して:スロッティング、通常)
タイプ(エアブローの有無、その他)
寸法(X寸、Y寸、R寸)
取付角度(装着時の角度を表す)
管理番号(ダイ個別の識別番号)
なお前記識別情報の内、「角度」は、パンチ26・ダイ28の外周に設けた位置ごとに異なる値を有する。例えばダイ識別媒体の場合、図11に示すように4個の識別媒体36a、36b、36c、36dが取り付けられており、各識別媒体の角度値は、ダイ28のキー56を基準としてそれぞれ0°、90°、180°、270°に設定されている。
【0029】
なおこの明細書中においては、パンチ、ダイを工具と総称し、パンチ識別媒体34、ダイ識別媒体36を工具識別媒体と総称することもある。
【0030】
前記タレットパンチプレスの上タレット22、下タレット24の横には、前記パンチ識別媒体34からパンチ識別情報を読み取るためのパンチ識別媒体読み取り装置38および、前記ダイ識別媒体36からダイ識別情報を読み取るためのダイ識別媒体読み取り装置40が設けられている(前記識別媒体34、36に特にパンチ取付角、ダイ取付角の角位置情報が含まれている場合、各識別媒体はそれぞれ、パンチ角位置識別媒体、ダイ角位置識別媒体識別装置と称され、各読み取り装置は、パンチ角位置読み取り装置、ダイ角位置読み取り装置と称される)。前記読み取り装置38、40によれば、前記上タレット22、下タレット24を回転させることにより各タレット上の全てのパンチ26、ダイ28の工具識別情報を読み取ることができる。
【0031】
前記読み取り装置38、40は、タレット22、24の半径方向に移動自在に構成されている。そして各読み取り装置を前記半径方向に移動せしめるために、各読み取り装置38、40には読み取り装置移動手段42、44が設けてある。したがって、この読み取り装置によれば、例えば図12に示すように、タレット22(又は24)上にパンチ22(又はダイ24)が3トラックで搭載されている場合でも、タレットの内側に位置するパンチ22(又はダイ24)の工具識別媒体に容易に近接し、工具識別情報を読み取ることが出来る。なお、読み取り装置移動手段42、44は、機械制御部54からの信号で読み取り装置38、40を移動せしめる。
【0032】
図13に示すように、前記第1パンチプレス用NC装置54には、パンチ識別情報記憶部62、ダイ識別情報記憶部64、パンチ・ダイ対識別情報作成部66、パンチ・ダイ対識別情報比較部68、パンチ・ダイ対識別情報フィードバック部70が設けられている。
【0033】
上記構成によれば、パンチ識別媒体読み取り装置38及びダイ識別媒体読み取り装置40からのパンチ識別情報及びダイ識別情報は、パンチ識別情報記憶部62及びダイ識別情報記憶部64を介してパンチ・ダイ対識別情報作成部66へ供給される。
【0034】
前記パンチ・ダイ対識別情報作成部66には、前記パンチ識別情報・ダイ識別情報のほかに第1タレットパンチプレス52のタレット駆動部72に設けたエンコーダ74からのタレット回転位置情報が入力されている。したがって前記作成部66は、これらの情報に基づいて、各タレット上の工具取付位置(工具ステーション)ごとに、パンチ識別情報・ダイ識別情報を配列し、次の表1の様なパンチ・ダイ対識別情報を作成する。
【0035】
【表1】
前記パンチ・ダイ対識別情報作成部66は、パンチ識別情報・ダイ識別情報に基づいて、パンチ下端部寸法とダイ穴寸法の差に相当するクリアランス値を計算する。したがって、上記表には表されていないが、前記パンチ・ダイ対識別情報には、このクリアランス値も各工具取付位置毎に含まれる。
【0036】
なお、前記作成部66は、作成した情報を記憶することもでき、パンチ・ダイ対識別情報記憶手段とも称される。
【0037】
前記パンチ・ダイ対識別情報比較部68には、前記パンチ・ダイ対識別情報作成部66からパンチ・ダイ対識別情報が与えられると共に、中央制御装置60からNCプログラムが与えらる。このNCプログラムは表2のような内容を有している。
【0038】
【表2】
ここに、UT/T101、UT/T102等で示される行は、このNCプログラムで使用される工具のリストを表し、G92,G50等で示される行は加工プログラムを表す。より詳細には前記工具リストを示す行において、UT/T101、UT/T102は、上側工具(すなわちパンチ)の工具取付位置がT101、T102であることを表し、SH1, SH4は、その取付位置の工具の形状がSH1, SH4であることを表し、SZ1,SZ4は、前記工具の寸法がSZ1,SZ4であることを表し、CL=0.2, CL=0.2は、パンチとダイのクリアランスが0.2であることを表し、A=0、A=45は、前記工具の取付角がそれぞれ0、45であることを表す。使用されるダイは、パンチの形状・寸法・取付角及び、パンチとのクリアランスで表現される。
【0039】
すなわち、前記NCプログラムには、加工プログラムとともにこの加工で使用される工具リストが含まれている。したがって、前記パンチ・ダイ対識別情報比較部68は、前記パンチ・ダイ対識別情報作成部66からのパンチ識別情報・ダイ識別情報を相互に比較すると共に、これらの識別情報を前記NCプログラムに含まれている工具情報と比較する。たとえば、各工具取付位置Tごとに、前記パンチ識別情報中の形状データと、ダイ識別情報中の形状データと、NCプログラム中の工具形状データとを比較し、3つのデータが全て一致するか否かを判断する。そして、この比較を、前記した7個の特徴(レンジ、形状、形状サブコード、タイプ、寸法、取付角度、管理番号)の全てについて順次行う。比較の途中で一致しないものが検出された場合には、その不一致がNC装置54に設けたCRT76に表示される。
【0040】
前記7個の特徴について、3つのデータが全て一致する場合は、更に、パンチ・ダイ対識別情報中のクリアランス値とNCプログラム中のクリアランス値との比較を行う。クリアランス値が不一致であれば上記と同様に、その旨がCRTに表示される。なお、このクリアランス値の一致は以下の条件式で判断することもできる。すなわち、パンチ・ダイ対識別情報中のパンチ寸法(パンチ下端部の刃の寸法)およびダイ寸法(ダイ穴の寸法)をXpおよびXdとし、NCプログラム中のクリアランス値をcとし、許容値をδとするとき、前記Xp、Xdが、式、
Xp+c―δ≦Xd≦Xp+c+δ
を満たす時、パンチ・ダイ対識別情報中のクリアランス値とNCプログラム中のクリアランス値とは一致している。
【0041】
なお、前記比較部68は、特に、パンチ及びダイの取付角度を比較する場合に、角位置比較部と称される。
【0042】
前記パンチ・ダイ対識別情報フィードバック部70は、前記パンチダイ対識別情報作成部66で作成されたパンチ・ダイ対識別情報を前記中央制御装置60にフィードバックする。より詳細には、前記パンチ・ダイ対識別情報は、後述する中央制御装置60に設けた自動プログラム作成装置及び中央管理装置へフィードバックされる。なお、前記パンチ・ダイ対識別情報作成部66とパンチ・ダイ対識別情報フィードバック部70との間には、パンチ・ダイ対識別情報作成部66からのパンチ・ダイ対識別情報に含まれるパンチ識別情報とダイ識別情報の内容を比較しその内容が一致しているか否か確認するパンチ・ダイ識別情報比較部を設けることも出来る。不一致がある場合はその旨がCRT76に表示される。
【0043】
図14は前記中央制御装置60の構成を示すブロック図である。前記中央制御装置60は自動プログラム作成装置(自動プログラミング装置)78と中央管理装置80とを備えている。
【0044】
自動プログラム作成装置78は、前記パンチ・ダイ対識別情報フィードバック部70からのパンチ・ダイ対識別情報を受け取る。そして、このパンチ・ダイ対識別情報に基づいて、タレットパンチプレス52のタレット22、24に搭載されている工具(パンチ・ダイ)を認識し、このタレット22、24に搭載されている工具をできるかぎり使用してNCプログラムを作成する。例えば図15に示す製品Wを製造する場合において、30x20の穴H1を穴明け加工する場合を考える(寸法の単位はmm、以下も同様)。この穴明けは、通常、この穴の大きさより小さい辺を有する角型の刃形状を有するパンチ及びそれに対応するダイ穴を有するダイによる追い抜き加工(ニブリング加工)により行われるが、従来の自動プログラミング装置によれば、タクトタイムを短縮する要請、仕上がり面の平面度を向上させる要請等から、出来る限り大きい辺を有する角型の刃形状を有するパンチ及びこれに対応するダイ穴を有すダイを選択していた。しかし、この場合、選択したパンチ・ダイがタレット22、24に搭載されていないと、工具交換の段取りが発生し加工のロスタイムが発生する。したがって、この発明の自動プログラム作成装置では、前記穴H1を加工するプログラムを作成する際、タクトタイム、仕上がり面の平面度等を多少犠牲にしても、タレット22、24上に既に搭載されているパンチ・ダイを選択する。たとえば、前記穴H1を加工する工具として10x10角の工具と15x15角の工具とが考えられ、前者はタレットに搭載されているが後者はタレットに搭載されていない場合、前記タクトタイム・仕上がり面の平滑度からは15x15角の工具が好ましくとも、10x10角の工具を選択する。
【0045】
同様にして、穴H2、H3を加工するためにタレット22、24に搭載されている工具(パンチ・ダイ)が選択される。
【0046】
前記中央管理装置80は、前記第1タレットパンチプレス52を制御する第1パンチプレス用NC装置54及び、第2タレットパンチプレス53を制御する第2パンチプレス用NC装置55及び、工具格納装置56を制御する工具格納装置用NC装置58を一括して管理する。
【0047】
前記中央管理装置80は、前述したように、前記パンチ・ダイ対識別情報フィードバック部70からパンチ・ダイ対識別情報を受け取り、その記憶部に記憶する。ところで前記フィードバック部70は、前記第2パンチプレス用NC装置55および工具格納装置用NC装置58にも設けてある。したがって、前記中央管理装置80は、各フィードバック部70からのパンチ・ダイ対識別情報を受け取り記憶することにより、前記第1タレットパンチプレス52、第2タレットパンチプレス53、工具格納装置56の全てに搭載又は格納されている工具の位置を管理することができる。この管理情報は、前記自動プログラミング装置78に供給される。自動プログラミング装置78は、この管理情報に基づいて、例えば第1パンチプレス52のNCプログラム作成の際において、当該第1パンチプレス52に搭載されていない工具を使用せざるを得ない場合に、その交換工具が、第2パンチプレスのどのステーションに搭載されているか或いは工具格納装置のどの格納位置に格納されているかをCRT等に表示する。
【0048】
図16は、前記タレットパンチプレスシステムの全体動作を説明するフローチャートである。図16を参照するに、ステップs1で第1、第2タレットパンチプレス52、53に搭載されている全てのパンチ・ダイに取り付けられている識別媒体を、前記読み取り手段38、40により読み取るとともに、前記工具格納装置56に格納されている全てのパンチ・ダイに取り付けられている識別媒体を前記読み取り手段38、40と同様の装置により読み取り、全てのパンチ・ダイ識別情報を前記中央管理装置80内の記憶部に記憶する。なお、このステップs1において、図3に示したダイボディ46に取り付けたダイボディ識別媒体46bを読み取ることもできる。このばあいには、図示しない例えば携帯型の読み取り手段で識別媒体46bを読み取るのが望ましい。
【0049】
ステップs2で、前記第1タレットパンチプレス上に搭載されている工具(パンチ・ダイ)のリストを、自動プログラミング装置78のCRT画面上に表示するか否かを判断する。表示する場合はステップs3へ進み、前記CRT画面上に前記工具リストを表示する。工具表示を完了した後、ステップs4へ進む。なお、前記ステップs2で工具リストを表示しないと判断した場合は、直接ステップs4へ進む。
【0050】
ステップs4で、自動プログラミング装置78にて、例えば第1タレットパンチプレス用のNCプログラムを作成する。その際に、前記ステップs3の工具リストが表示されている場合は、この工具リストの表示を参照しながらNCプログラムを作成する。この場合、前記第1タレットパンチプレス52上に搭載されている工具をできる限り選択してNCプログラムを作成する。これにより、NCプログラム作成後の工具交換の工数を最小限にすることが出来る。なお、前記工具リストを表示しなかった場合は、第1パンチプレス上の搭載工具とは独立にNCプログラムを作成する。
【0051】
ステップs5で、前記ステップ4に於けるNCプログラムの作成の際に、第1タレットパンチプレスに搭載されていないパンチ・ダイを少なくとも一つ選択したか否かを判断し、イエスの場合はステップs6へ進む。ステップs6で、前記NCプログラム作成の際に選択された工具で前記第1タレットパンチプレスに搭載(装着)されていない工具Txの工具識別情報を表示する。
【0052】
ステップ7で、前記工具Txを検索するか否かを判断し、イエスの場合はステップs8へ進む。ステップs8で、前記工具Txの搭載又は格納場所を、前記前記ステップs1で記憶されたパンチ・ダイ識別情報に基づいて検索すると共に、この検索結果をCRT等の画面上に表示する。
【0053】
ステップs9で、前記CRT画面上の表示に基づいて、前記搭載又は格納場所から前記工具Txを取り出し、前記第1タレットパンチプレスのタレット22、24に搭載し、ステップs10へ進む。
【0054】
なおステップs7で、工具Txの検索を行わない場合は、ステップs9へ進み、オペレータの記憶等に基づいて、所定の搭載・格納場所から前記工具Txを取り出し前記第1タレットパンチプレスのタレット22、24上に搭載し、ステップs10へ進む。
【0055】
前記ステップs5でノーの場合は直接ステップs10へ進む。
【0056】
ステップs10で、前記NCプログラムに基づいて前記第1パンチプレス用NC装置54のパンチ・ダイ対識別情報比較部68にて、第1タレットパンチプレス52上のパンチ・ダイの識別情報と、前記NCプログラム上の工具情報とが一致しているか否かを確認する。この確認は、タレットパンチプレス52に搭載されていない工具を用いてNCプログラムを作成した場合に、特に重要である。
【0057】
すなわちこの場合には、ステップs9において手動で工具交換を行っており、この工具交換の際に誤った工具(パンチ・ダイ)がタレット22、24上に搭載されるおそれがあるからである。ステップs10で、パンチプレス52上のパンチ・ダイの識別情報とNCプログラム上の工具情報との一致を確認すると、ステップs11で、前記第1タレットパンチプレス52で穴明け加工を実行し、ステップs12で全体動作を終了する。
【0058】
図17は、図10の第1パンチプレス用NC装置54及び中央制御装置60の第2実施例のブロック図である。この実施例の第1パンチプレス用NC装置54及び中央制御装置60は、製品形状データに基づいて、ワークにおいて加工が必要となる加工領域を決定する加工意図データを作成する加工意図データ作成部(加工意図データ生成部)と、この加工意図データに基づいて、前記加工領域を加工するための工具を選択する工具選択部を有する。
【0059】
より詳細には、前記自動プログラミング装置78は、入力部82と、形状データ生成部84と、設計意図データ付加部86と、形状・特徴データ付加部88と、加工意図データ生成部90とを備えている。
【0060】
前記形状データ生成部84は、入力部82を介して入力される画像データに基づいて製品の形状データを生成する。この形状データは、幾何要素(点、直線、円、円弧等)の単なる集合である。例えば図15に示す製品の場合、図18に示すように、前記形状データは直線L1―L13のデータと、円弧C1のデータと、円C2のデータとから成っている。ここに例えば、直線のデータは当該直線の両端の点の座標(x1、y1)、(x2、y2)から成っており、円弧のデータは中心座標(x0、y0)、半径R、円弧の開始角θ1、終端角θ2とから成っている。
【0061】
前記設計意図データ付加部86では、前記形状データ生成部84から形状データが入力されるとオペレータの操作によりこの形状データに設計意図データが付加される。この設計意図データは、板金設計図面として前記形状データを見た場合に、夫々の幾何要素に設計者のどのような意図が込められているかを表現するものである。例えば前記図15、図18に示される製品の場合、この設計意図データは以下のデータから成る。すなわち、
直線L1−L6から成るループが外形を定義する旨のデータ
直線L9−L12から成るループが定形穴を定義する旨のデータ
円C2が定形穴を定義する旨のデータ
直線L7,L8及び円弧C1から成るループが異形穴を定義する旨のデータ
直線L13が曲げ線を定義する旨のデータ
前記1―5のデータは、各ループまたは直線の意味をオペレータが入力部82から入力することによっても作成されが、自動的に生成することもできる。
【0062】
前記形状特徴データ付加部88では、前記設計意図データ付加部86からデータが入力されると、オペレータの操作によりこのデータに基づいて更に形状特徴データが付加される。この形状特徴データは、実際に穴明け加工する観点から見たときの前記形状の特徴を表すものである。前記図18の例の場合、形状特徴データは以下のデータから成る。すなわち、
直線L1,L2,L3,L6の外側部分を直線穴明け加工する旨のデータ
直線L1とL2の角部A1及び直線L2とL3の角部A2、直線L3とL4の角部A3、直線L4とL5の角部A4、直線L5とL6の角部A5にジョイント部を形成する旨のデータ(ここで、ジョイント部とは、直線L1−L6から成る外形ループの外側を完全に穴明け加工してしまうと、製品が母材から切り離されてしまい、タレットパンチプレスからの製品搬出が困難となるのに鑑み、前記角部のみを残して穴明け切断した場合に、前記角部に残り、製品を母材と結合する部分を言う)。
【0063】
直線L9−L12から成るループの内側を角穴加工する旨のデータ
円C2の内側を丸穴加工する旨のデータ
直線L7,L8及び円弧C1から成るループの内側を異形穴加工する旨のデータ
前記1―5のデータも、各部位を指定する度にその部位に関連する特徴をオペレータが入力部82から入力することによっても作成されるが、自動的に生成することもできる。
【0064】
前記加工意図データ生成部90では、オペレータの操作により前記形状特徴データ付加部からのデータに基づいて「加工意図データ」を生成する。「加工意図データ」とは、所定のNCプログラムを作成するための直前のデータであって、工具の指定は行われていないデータである。図15、図18の例の場合、この加工意図データは、以下の通りである(図19参照)。
【0065】
領域R1:
加工意図:線割付(外周切断)
加工パターン:追い抜き
位置・範囲・抜き方向:
追い抜き開始位置=直線L1上の点A5から点A1方向へジョイント量分Wだけ移動した点、
追い抜き終了位置=直線L1上の点A1から点A5方向へジョイント量分Wだけ移動した点、
追い抜きの幅=5mm以上10mm以下
加工順:穴加工より後
領域R2:
加工意図:線割付(外周切断)
加工パターン:追い抜き
位置・範囲・抜き方向:
追い抜き開始位置=直線L2上の点A1から点A2方向へジョイント量分だけ移動した点、
追い抜き終了位置=直線L2上の点A2から点A1方向へジョイント量分だけ移動した点、
追い抜きの幅=5mm以上10mm以下
加工順:穴加工より後
領域R3:
加工意図:線割付(外周切断)
加工パターン:追い抜き
位置・範囲・抜き方向:
追い抜き開始位置=直線L3上の点A2から点A3方向へジョイント量分だけ移動した点、
追い抜き終了位置=直線L3上の点A3から点A2方向へジョイント量分だけ移動した点、
追い抜きの幅=5mm以上10mm以下
加工順:穴加工より後
領域R4:
加工意図:コーナーL加工
加工パターン:一方抜き潰し
位置・範囲・抜き方向:
一方向抜き潰し開始位置=(線L4とL5から成る)コーナーLの点A3から点A5方向へジョイント量分だけ移動した点をx座標とし、コーナーLの点A4から点A5方向へジョイント量分だけ移動した点をy座標ととする点
一方向抜き潰し終了位置=コーナーL上の点A5
抜き方向:コーナーL上の点A3から点A5の方向
加工順:穴加工より後
領域R5:
加工意図:線割付(外周切断)
加工パターン:追い抜き
位置・範囲・抜き方向:
追い抜き開始位置=直線L6上の点A4から点A5方向へジョイント量分だけ移動した点、
追い抜き終了位置=直線L6上の点A5から点A4方向へジョイント量分だけ移動した点、
追い抜きの幅=5mm以上10mm以下
加工順:穴加工より後
領域R6:
加工意図:異形穴
加工パターン:扇形単発抜き
工具指定:No.1
位置・範囲・抜き方向:
単発抜きの基準位置=異形穴上の点P7
加工順:外形より先
領域R7:
加工意図:丸穴
加工パターン:単発抜き又は一種類の工具で菊花状抜き潰し
位置・範囲・抜き方向:
中心位置=丸穴の円の中心点
範囲= 丸穴の半径と等しい円の内側
抜き方向=円の内から外
加工順:外形より先
領域R8:
加工意図:角穴
加工パターン:単発抜き又は一列抜きか又は折り返し抜き潰し
位置・範囲・抜き方向:
単発抜き基準位置=長方形の中心の点
単発抜き大きさ= 角穴状の点A11と点A13を対角とする長方形の内側
一列抜き、折り返し抜き潰し開始位置=角穴上の点A11
一列抜き、折り返し抜き潰し終了位置=角穴上の点A13
抜き方向=角穴上の点A11から点A10の方向
加工順:外形より先
上記から理解されるように、領域6の加工については、入力部82からの工具指定により工具の指定がされているが、その他の領域の加工については工具の指定はされていない。
【0066】
上記の構成の自動プログラミング装置によれば、形状データから、この形状の製品を穴明加工により製造するためのNCプログラムを作成するための直前のデータであって、工具の指定がほとんど行われていない「加工意図データ」を作成することができる。
【0067】
前記第1パンチプレス用NC装置54には、前記パンチ識別情報記憶部62、ダイ識別情報記憶部64、パンチ・ダイ対識別情報作成部66、パンチ・ダイ対識別情報比較部68のほかに、工具データ付加部(工具選択部)96及び加工軌跡データ付加部(加工軌跡決定部)98を備えたNCプログラム作成部100が設けてある。
【0068】
より詳細には、工具データ付加部96では、前記加工意図データ生成部90から中央管理装置80を介して加工意図データが入力されると、前記パンチ・ダイ対識別情報作成部66からの情報及び当該工具データ付加部96自体に予め格納された工具使用上の諸注意事項を参照して、加工意図データ中の加工領域R1〜R6、R8に対して適宜の工具(パンチ・ダイ対)をデータを付加する(すなわち、各加工領域R1〜R6、R8に対して適宜の工具を選択し割り付ける)。その際、できるだけ、第1パンチプレス52のタレット22、24上に搭載されている工具を選択するのが好ましい。また前記R7の円形穴加工に際しては、仕上がりが奇麗に成るようにニブリングの必要の無い一回のパンチで加工できる工具が好ましい。更にR1―R5、R8での追い抜き加工及び抜き潰し加工に際しては、加工所要時間を短縮するように、できるだけ大きい寸法の工具を選択する一方、最終パンチ加工の切断寸法が小さく成りすぎて片荷重が発生することの無いよう考慮して工具が選択される。その他、図示しないが、予め記憶しておいた各工具の使用回数データを参照し、仕上がりが奇麗になるように新しい工具を選択することもできる。或いは反対に、工具管理工数削減のために使用回数の多い工具を先に使用し、かかる工具を使い切ってしまうこともできる。
【0069】
前記加工軌跡データ付加部98では、前記工具データ付加部96からのデータが入力されると、オペレータの操作により、加工軌跡データが付加される。加工軌跡データとは、領域R4、R8などにおいて、図20A、Bに示すように加工軌跡が複数種類存在する場合にその加工軌跡を特定するデータである。
【0070】
前記NCプログラム作成部100では、前記加工軌跡データ付加部98におけるデータに基づいて最終的に前記第1タレットパンチプレス用NCプログラムを作成する。
【0071】
図21は、前記第2実施例の自動プログラミング装置・パンチプレス用NC装置を備えたタレットパンチプレスシステムにおいて、第1タレットパンチプレス用NCプログラムを作成する手続を説明するフローチャートである。すなわち、ステップs30で形状データを生成し、ステップs31で設計意図データを付加し、ステップs32で形状特徴データを付加し、ステップs33で加工意図データを生成し、ステップs34で加工領域R1〜R6、R8に対して工具データを付加する(すなわち各加工領域R1〜R6、R8に対して工具を選択し割付ける)。このステップs34では、図16で示された実施例の場合と同様、前記第1タレットパンチプレス52のタレット22、24に既に装着されている工具をできるだけ選択する。第1タレットパンチプレス52のタレットに装着されていない工具を選択した場合は、その工具の識別番号等を記憶しておく。
【0072】
続いてステップs35で抜き潰し加工領域に対して工具軌跡データを付加し、ステップs36でNCプログラムを作成する。
【0073】
ステップs37で、ステップ34における工具データ付加の際に第1タレットパンチプレスに搭載(装着)されていない工具を少なくとも一つ選択したか否かを判断し、搭載されていない工具を少なくとも一つ選択した場合は、ステップs38へ進む。ステップs38で、前記選択した工具で第1パンチプレスに搭載されていない工具の前記識別番号等を表示する。ステップ39で、図16におけるステップs7−s8と同様の方法で前記工具の格納場所を検索し(なお工具の格納場所の情報は、図16のステップs1と同様の方法で予めNC装置54又は中央管理装置80に記憶されている)、検索場所から前記工具を取り出し、取り出した工具を第1タレットパンチプレスに搭載する。そしてステップ40でこのNCプログラム作成を終了する。
【0074】
ステップ37で、ノーの場合は直ちにステップ40に進みこのNCプログラム作成を終了する。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば、パンチガイド48へパンチボディ46を挿入した後でも、パンチボディ46に取り付けられたパンチボディ識別媒体46bを外部から確認することが出来、これにより、次の利益が生ずる。すなわち、パンチガイド1個に対して、複数個のパンチボディ・ストリッパプレートを交換して使用する場合、パンチガイドの形状だけからでは、パンチボディ・ストリッパプレートは一義的に決まらない。しかし、前記透孔48bからパンチボディ46の識別媒体46bを読み取ることにより、パンチガイドに装着した状態で、パンチボディ・ストリッパプレートを識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例が適用されるタレットパンチプレスの説明図である。
【図2】前記タレットパンチプレスの上下タレットに、パンチ・ダイが搭載される態様を表したものである。
【図3】パンチ・ダイにパンチ識別媒体及びダイ識別媒体を取り付ける態様を説明する説明図である。
【図4】パンチ・ダイにパンチ識別媒体及びダイ識別媒体を取り付ける態様を説明する説明図である。
【図5】パンチ・ダイにパンチ識別媒体及びダイ識別媒体を取り付ける態様を説明する説明図である。
【図6】パンチ・ダイにパンチ識別媒体及びダイ識別媒体を取り付ける態様を説明する説明図である。
【図7】パンチ・ダイにパンチ識別媒体及びダイ識別媒体を取り付ける態様を説明する説明図である。
【図8】パンチ・ダイにパンチ識別媒体及びダイ識別媒体を取り付ける態様を説明する説明図である。
【図9】パンチ・ダイにパンチ識別媒体及びダイ識別媒体を取り付ける態様を説明する説明図である。
【図10】タレットパンチプレスシステムのブロック図である。
【図11】パンチ又はダイの外周の4カ所に識別媒体を取り付ける態様を示す概略図である。
【図12】パンチ又はダイが、タレット上に3トラックで搭載される態様を表す概略図である。
【図13】パンチプレス用NC装置の詳細ブロック図である。
【図14】中央制御装置の詳細ブロック図である。
【図15】製品の一例の概略図である。
【図16】図10のシステムの動作を示すフローチャートである。
【図17】図10におけるパンチプレス用NC装置及び中央制御装置の第2の実施例の詳細ブロック図である。
【図18】図17の装置における各部の動作を説明するための説明図である。
【図19】図17の装置における各部の動作を説明するための説明図である。
【図20】図17の装置における各部の動作を説明するための説明図である。
【図21】図17の装置の動作を示すフローチャートである。
Claims (1)
- パンチ支持部材(22)に着脱自在に取り付けられ、ダイ支持部材(24)に取り付けられたダイ(28)と協働して板材に対して穴明け加工を行うパンチ(26)にして、
前記パンチは、パンチガイド(48)とこのパンチガイドに上下動自在に挿入されたパンチボディ(46)とを備えて構成されており、前記パンチは長手軸を有し、かつ、前記パンチ支持部材に対して前記長手軸を中心として複数の角位置で取り付け可能に構成され、前記パンチボディの外周側面に、前記パンチ支持部材に対する角位置を示す角位置識別媒体(46b)が取り付けられていると共に、前記パンチガイドの外周部であって、前記パンチガイドに前記パンチボディを挿入したときにおける前記角位置識別媒体に対応する位置に透孔(48b)が設けられていることを特徴とするパンチ。
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