JP3880666B2 - 引戸錠 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、2つの引戸をその召し合せ部分で施錠するための引戸錠に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公平6−25504号公報に示された引戸錠は、同公報に記載された通り、カマを内框側(室内側の引戸における框)に設けた引戸錠において、2つの引戸間の上下方向のずれ並びに厚さ方向の間隙の静的又は動的な変動に対応できるようにすると共に、確実な施解錠作動が達成できるようにしたものとして提案されている。
【0003】
しかしながら、その従来の引戸錠には、構造上厚さの薄い引戸に対しては、採用しにくいという問題が残されている。その理由は、例えば、一つには、一対のアームを枢支した外框内のホルダが前後(引戸の厚さ方向)に移動可能にしてあるためである。
【0004】
また、他の一つには、外框に取り付けられているシリンダ錠はその内筒が前後に摺動される形式であるためで、外框側の錠機構の厚さはかなり厚くなってしまうことになる。
【0005】
そこで、本願人は先に厚さの薄い引戸に対しても適用できるようにした引戸錠を開発し、特願平7−329914号として出願した。
【0006】
その先願の発明に係る引戸錠は、内框に取り付けられる内フレームに枢支され、外框のストライク板に係脱されるカマと;内フレームに上下動可能に設けられると共にカマに連係され、室内側から操作部材で操作される駆動板と;外框に取り付けられる外フレームに向けて駆動板に突設された係合片と;外フレームに装着されたシリンダ錠と;外フレームに上下動可能に設けられると共に第1ラック及び一対の第2ラックを備えた作動板と;外フレームに支承されると共にシリンダ錠の内筒に結合され、かつ、作動板の第1ラックに噛み合う第1ピニオンと;外フレームに支承され、作動板の一対の第2ラックにそれぞれ選択的に噛み合う一対の第2ピニオンと;一方の第2ピニオンに一体的に設けられ、その一方の第2ピニオンの回動に伴って上記駆動板の係合片に当接して解錠位置のカマを施錠位置に振り出させる施錠アームと;他方の第2ピニオンに一体的に設けられ、その他方の第2ピニオンの回動に伴って上記駆動板を係合片に当接して施錠位置のカマを解錠位置に振り戻させる解錠アームと;施錠アーム及び解錠アームを外フレーム内に収納させる方向に付勢させる戻しばねとから成るものである。
【0007】
ところが、前記の作動板は、例えば1枚の板材をL字状に折り曲げて作ってあり、一片に第1ラックを、他片に上下方向について連続する一対の第2ラックを備えているので、その上下動のストロークにおいて第2ラックがシリンダ錠にぶつからないようにするために、中間部分に、すなわち、第1ラックと第2ラックとの間に逃げのためのある長さを要することになる。
【0008】
作動板の長さが大きくなると、外框側における錠機構の長さも大きくなり、全体を可及的コンパクトに製作するという要望に沿わなくなる。また、本来は同じ大きさに形成されるべき内框及び外框の取付用の切欠きが後者について大きくしなければならないなどの問題点も残されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の引戸錠は、厚さの薄い引戸に対しても適用できるように改良するとともに、外框側の錠機構の長さを可及的短くすることを目的として提案されたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明の引戸錠は、内框に取り付けられる内フレームに枢支され、外框のストライク板に係脱されるカマと、内フレームに上下動可能に設けられると共にカマに連係され、室内側から操作部材で操作される駆動板と、外框に取り付けられる外フレームに向けて駆動板に突設された係合片と、外フレームに装着されたシリンダ錠と、外フレームに上下動可能に案内されると共に、相互に平行で上下方向に延在する第1ラック及び第2ラックを形成した作動板と、外フレームに支承されると共にシリンダ錠の内筒に結合され、かつ、作動板の第1ラックに噛み合う第1ピニオンと、外フレーム内の第1水平軸に回動自在に支承された作動ギアと、この作動ギアに一体的に結合され、第1水平軸に関し対称的に施錠アームと解錠アームとを延伸させた従動部材と、外フレーム内において上記第1水平軸と平行に延在する第2水平軸に回動自在に支承され、作動板の第2ラック及び作動ギアの双方と常時噛み合うアイドルピニオンとを有し、作動板の中立位置からの上昇又は下降に応じて、施錠アーム又は解錠アームを選択的に駆動板の係合片に当接させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施例に基づいてこの発明について説明する。
図1及び図2において、符号10は室内側引戸の框、すなわち内框、20は室外側引戸の框、すなわち外框をそれぞれ示す。
【0012】
箱状の内フレーム1は内側化粧板11及びフロント板12と共に内框10にねじ91、92等で固定され、同様に箱状をなす外フレーム2は外側化粧板21、ストライク板22及び取付板23と共に、外框20にねじ93等で固定される。
【0013】
内フレーム1内に横軸31で枢支される錠止部材であるカマ3は、後記の駆動板4の上下動により揺動して外框20のストライク22の係入孔24に係脱して施錠位置又は解錠位置を占める。
【0014】
内フレーム1内にそのフレーム1の内壁面など任意の案内手段で案内されるようにして上下動可能に設けられた駆動板4は、室内側から手指により操作部材41で操作される。
【0015】
操作部材41は内側化粧板11と止め板13とで作られた空間内に納められ、つまみ42で駆動板4と共に上下動される。操作部材41と駆動板4との間はピン43で結合されている。
【0016】
例えば、横断面がU字状に形成された駆動板4内には、外框20の外フレーム2に向けて係合片44が一体に又は別体として突設してある。図示例の係合片44は全体がL字状に作られ、ねじ等で駆動板4の底面に固定されている。
【0017】
上記のカマ3には、厚さ方向にだるま形など非円形の係合孔32が設けてあり、その係合孔32に対し駆動板4に固設した駆動ピン45が遊嵌させてある。
【0018】
このような駆動ピン45と係合孔32とからなる連係手段の存在により、駆動板4が図1で下方へ移動すると、カマ3は矢印Aのように振り出され、ストライク板22の係入孔24に係入されて施錠状態となる。また、駆動板4が逆に上方に戻ると、カマ3は矢印Aとは逆の方向に振り戻され、図1の解錠位置に復帰する。
【0019】
なお、図1で符号46は、不正解錠を防止するため施錠時内フレーム1から水平方向に選択的に突出できるように、駆動板4に連係させて設けた防護フード、47は駆動板4に設けた上記横軸31の逃げ孔、33はカマ3のクリックばね、34は駆動板4によって作動されカマ3を施錠位置で選択的に固定する錠止片である。
【0020】
以上に説明した内框10側の内フレーム1における錠機構については、前出の公告公報等に示され公知であるから、その構造及び作動についての更に詳しい説明はここでは省略する。
【0021】
一方、図1及び図2に示すように、外框20に取り付けられる外フレーム2の上方部には、ディスクタンブラー錠その他のシリンダ錠5を、鍵の差し込み方向Kがストライク板22と直角をなすようにして装着してあり、その内筒51は、テールピース52を介して外フレーム2内で支承された第1ピニオン53に結合させてある。
【0022】
また、外フレーム2内には、そのフレーム2の内壁面など任意の案内手段で案内されるようにして上下動可能に作動板6が設けられている。
【0023】
その作動板6は、図3に明示するように例えば板状体であり、一端部(図で上端部)の中央に第1ラック61を、他端部の一方の側端縁に第2ラック62を、また、第1ラック61の下方に後述の第1水平軸との干渉を避けるための縦長の逃げ孔63が開口している。
【0024】
一方、図1及び図2に示すように、外フレーム2内には、これを水平に貫通する第1水平軸71、及び外フレーム2の一方の側板内面に植設された第2水平軸72が配設されている。
【0025】
上記第1水平軸71は、上記第1ラック61の逃げ孔63を遊嵌するように延在しており、この第1水平軸71には作動ギア73が回動自在に支承されている。
【0026】
この作動ギア73の内端面には、図4に示すように、全体の形状がへ字形で板状の従動部材70が一体に装着されている。
【0027】
図示の実施例では、作動ギア73の内端面に従動部材70の板厚と同じ位の高さの環堤部71aが同軸に形成されており、この環堤部71aを従動部材70の中央の開口に嵌合させた後皿ねじにより作動ギア73と従動部材70とが一体的に結合している。
【0028】
なお、図2において符号74は止め輪を示し、図2から明らかなように、作動ギア73及びこれと一体に結合された従動部材70は、作動板6と止め輪74との間における第1水平軸71に支承されている。
【0029】
一方、図1及び図2に示すように、第2水平軸72にはアイドルピニオン75が回動可能に支承されており、このアイドルピニオン75は、前記作動板の第2ラック62及び作動ギア73と常に噛み合っている。
【0030】
また、上記従動部材70は、第1水平軸に関し対称的に延伸する施錠アーム7と解錠アーム7aとを有しており、これらのアーム7、7aは作動ギア73及びアイドルピニオン75を介して第2ラック62に連結されることになる。
【0031】
そして、従動部材70の第2ラック62に対する角度位置は、図4に示すように、第2ラック62のほぼ中央の歯がアイドルピニオン75と噛み合っているとき、従動部材がほぼ垂直になるように、即ち、施錠及び解錠アーム7、7aが完全に外フレーム2内に収納されるように設定する。
【0032】
また、作動ギア73のモジュール及び歯数は、作動板6の一定の移動量に対し、後述の施錠及び解錠アーム7、7aの施錠及び解錠の為の回動角度が充分得られるように設定する。
【0033】
なお、図2においては、図面を明瞭にするため、また、煩雑になるのを避けるため、第2水平軸72を所謂片持ち軸としたが、これは第1水平軸71と同様に外フレーム12を貫通するように設けても良い。
【0034】
以上の構成のこの発明の引戸錠について、図1及び図2を参照してその作用を説明する。
【0035】
室内側から操作部材41のつまみ42により施解錠操作する場合、外フレーム2内の錠機構とは独立して内フレーム1内の駆動板4が上下動され、カマ3が突出入して施解錠されるものであることは、従来のものと何ら変わりがないので、ここでは鍵を用いた施解錠操作についてのみ説明する。
【0036】
図1の解錠状態において、シリンダ錠5に対し矢印Kで示す方向に鍵(図示しない)を差し込み例えば時計方向に回動させると、第1ピニオン53と第1ラック61において噛み合う作動板6が上昇する。
【0037】
すると、図5に示すように、作動板6上の第2ラック62と噛み合うアイドルピニオン75が反時計方向方向に、作動ギア73が時計方向に夫々回動し、施錠アーム7を図5で時計方向、図1で矢印B方向に揺動させる。
【0038】
そして、施錠アーム7が駆動板4の係合片44を上から押圧して駆動板4を降下させるので、カマ3は矢印Aのように振り出され、フロント板22の係入孔24に係入されて施錠状態となる。
【0039】
施錠後、鍵を反時計回りに回して元の角度位置に戻し引き抜くことにより施錠操作が完了する。その際に、外框側の錠機構における各部材はいずれも当初の位置(図4参照)に復帰する。
【0040】
施錠状態の引戸錠を解錠するには、シリンダ錠5に差し込んだ鍵を逆に反時計方向に回動させる。
【0041】
この場合、前記施錠作動に準じ作動板6が降下すると、図6に示すように、第2ラック62と噛み合うアイドルピニオン75が時計方向に、作動ギア73が反時計方向に夫々回動し、解錠アーム7aを図6で反時計方向に、図1で矢印C方向に揺動させる。
【0042】
そして、解錠アーム7aが駆動板4の係合片44を下から押圧して駆動板4を上昇させるので、カマ3は施錠位置から振り戻されて解錠位置に戻ることになる。
【0043】
解錠後、鍵を時計方向に回して元の角度位置に戻し引き抜くことにより解錠操作が完了する。その際に、外框側の錠機構における各部材はいずれも当初の位置に復帰する(図1参照)。
【0044】
【発明の効果】
以上に説明したこの発明の引戸錠によれば、外框側の外フレームに装着される錠機構には、従来の引戸錠に見られるホルダのようなストライク板と直角をなす水平方向に可動の枠体を備えていないので、その機構を全体として薄く作ることができ、厚さのごく薄い引戸にも十分適用できるという効果を奏する。
【0045】
また、外框側の錠機構は歯車機構に直結された従動部材を作動板の上昇、下降に応じて揺動させるだけなので、全体として機構が簡単になり、その分信頼性及び耐久性が向上する。
【0046】
更にまた、前記本出願人の出願になる特願平7−329914号に係る発明と比較して、従動部材を構成する施錠アーム又は解錠アームをラックではなくアイドルピニオンで駆動するようにしたので、施錠アーム又は解錠アームをシリンダ錠に近接させて錠機構の上下方向の長さを短く製作でき、外框に対する取付用の切欠きを大きくしないで済むという利点もある。
【0047】
加えて、この発明の引戸錠は、2つの引戸間の上下方向のずれ並びに厚さ方向の静的又は動的な変動に対応できるばかりでなく、確実な施解錠作動が達成できるものでもある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の引戸錠の実施例を示す縦断側面図。
【図2】外側化粧板を外し一部を断面にして示したその背面図。
【図3】作動板の側面図。
【図4】図2のIV−IV線から見た外側錠機構要部の一部断面側面図で、常態を示す。
【図5】図2のV−V線から見た外側錠機構要部の一部断面側面図で、施錠の為の作動を示す。
【図6】図2のVI−VI線から見た外側錠機構要部の一部断面側面図で、解錠の為の作動を示す。
【符号の説明】
10 内框
20 外框
1 内フレーム
2 外フレーム
22 ストライク板
3 カマ
4 駆動板
41 操作部材
44 係合片
5 シリンダ
51 内筒
52 第1ピニオン
6 作動板
61 第1ラック
62 第2ラック
63 逃げ孔
70 従動部材
7 施錠アーム
7a 解錠アーム
71 第1水平軸
72 第2水平軸
73 作動ギア
75 アイドルピニオン
【発明の属する技術分野】
この発明は、2つの引戸をその召し合せ部分で施錠するための引戸錠に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公平6−25504号公報に示された引戸錠は、同公報に記載された通り、カマを内框側(室内側の引戸における框)に設けた引戸錠において、2つの引戸間の上下方向のずれ並びに厚さ方向の間隙の静的又は動的な変動に対応できるようにすると共に、確実な施解錠作動が達成できるようにしたものとして提案されている。
【0003】
しかしながら、その従来の引戸錠には、構造上厚さの薄い引戸に対しては、採用しにくいという問題が残されている。その理由は、例えば、一つには、一対のアームを枢支した外框内のホルダが前後(引戸の厚さ方向)に移動可能にしてあるためである。
【0004】
また、他の一つには、外框に取り付けられているシリンダ錠はその内筒が前後に摺動される形式であるためで、外框側の錠機構の厚さはかなり厚くなってしまうことになる。
【0005】
そこで、本願人は先に厚さの薄い引戸に対しても適用できるようにした引戸錠を開発し、特願平7−329914号として出願した。
【0006】
その先願の発明に係る引戸錠は、内框に取り付けられる内フレームに枢支され、外框のストライク板に係脱されるカマと;内フレームに上下動可能に設けられると共にカマに連係され、室内側から操作部材で操作される駆動板と;外框に取り付けられる外フレームに向けて駆動板に突設された係合片と;外フレームに装着されたシリンダ錠と;外フレームに上下動可能に設けられると共に第1ラック及び一対の第2ラックを備えた作動板と;外フレームに支承されると共にシリンダ錠の内筒に結合され、かつ、作動板の第1ラックに噛み合う第1ピニオンと;外フレームに支承され、作動板の一対の第2ラックにそれぞれ選択的に噛み合う一対の第2ピニオンと;一方の第2ピニオンに一体的に設けられ、その一方の第2ピニオンの回動に伴って上記駆動板の係合片に当接して解錠位置のカマを施錠位置に振り出させる施錠アームと;他方の第2ピニオンに一体的に設けられ、その他方の第2ピニオンの回動に伴って上記駆動板を係合片に当接して施錠位置のカマを解錠位置に振り戻させる解錠アームと;施錠アーム及び解錠アームを外フレーム内に収納させる方向に付勢させる戻しばねとから成るものである。
【0007】
ところが、前記の作動板は、例えば1枚の板材をL字状に折り曲げて作ってあり、一片に第1ラックを、他片に上下方向について連続する一対の第2ラックを備えているので、その上下動のストロークにおいて第2ラックがシリンダ錠にぶつからないようにするために、中間部分に、すなわち、第1ラックと第2ラックとの間に逃げのためのある長さを要することになる。
【0008】
作動板の長さが大きくなると、外框側における錠機構の長さも大きくなり、全体を可及的コンパクトに製作するという要望に沿わなくなる。また、本来は同じ大きさに形成されるべき内框及び外框の取付用の切欠きが後者について大きくしなければならないなどの問題点も残されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の引戸錠は、厚さの薄い引戸に対しても適用できるように改良するとともに、外框側の錠機構の長さを可及的短くすることを目的として提案されたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明の引戸錠は、内框に取り付けられる内フレームに枢支され、外框のストライク板に係脱されるカマと、内フレームに上下動可能に設けられると共にカマに連係され、室内側から操作部材で操作される駆動板と、外框に取り付けられる外フレームに向けて駆動板に突設された係合片と、外フレームに装着されたシリンダ錠と、外フレームに上下動可能に案内されると共に、相互に平行で上下方向に延在する第1ラック及び第2ラックを形成した作動板と、外フレームに支承されると共にシリンダ錠の内筒に結合され、かつ、作動板の第1ラックに噛み合う第1ピニオンと、外フレーム内の第1水平軸に回動自在に支承された作動ギアと、この作動ギアに一体的に結合され、第1水平軸に関し対称的に施錠アームと解錠アームとを延伸させた従動部材と、外フレーム内において上記第1水平軸と平行に延在する第2水平軸に回動自在に支承され、作動板の第2ラック及び作動ギアの双方と常時噛み合うアイドルピニオンとを有し、作動板の中立位置からの上昇又は下降に応じて、施錠アーム又は解錠アームを選択的に駆動板の係合片に当接させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施例に基づいてこの発明について説明する。
図1及び図2において、符号10は室内側引戸の框、すなわち内框、20は室外側引戸の框、すなわち外框をそれぞれ示す。
【0012】
箱状の内フレーム1は内側化粧板11及びフロント板12と共に内框10にねじ91、92等で固定され、同様に箱状をなす外フレーム2は外側化粧板21、ストライク板22及び取付板23と共に、外框20にねじ93等で固定される。
【0013】
内フレーム1内に横軸31で枢支される錠止部材であるカマ3は、後記の駆動板4の上下動により揺動して外框20のストライク22の係入孔24に係脱して施錠位置又は解錠位置を占める。
【0014】
内フレーム1内にそのフレーム1の内壁面など任意の案内手段で案内されるようにして上下動可能に設けられた駆動板4は、室内側から手指により操作部材41で操作される。
【0015】
操作部材41は内側化粧板11と止め板13とで作られた空間内に納められ、つまみ42で駆動板4と共に上下動される。操作部材41と駆動板4との間はピン43で結合されている。
【0016】
例えば、横断面がU字状に形成された駆動板4内には、外框20の外フレーム2に向けて係合片44が一体に又は別体として突設してある。図示例の係合片44は全体がL字状に作られ、ねじ等で駆動板4の底面に固定されている。
【0017】
上記のカマ3には、厚さ方向にだるま形など非円形の係合孔32が設けてあり、その係合孔32に対し駆動板4に固設した駆動ピン45が遊嵌させてある。
【0018】
このような駆動ピン45と係合孔32とからなる連係手段の存在により、駆動板4が図1で下方へ移動すると、カマ3は矢印Aのように振り出され、ストライク板22の係入孔24に係入されて施錠状態となる。また、駆動板4が逆に上方に戻ると、カマ3は矢印Aとは逆の方向に振り戻され、図1の解錠位置に復帰する。
【0019】
なお、図1で符号46は、不正解錠を防止するため施錠時内フレーム1から水平方向に選択的に突出できるように、駆動板4に連係させて設けた防護フード、47は駆動板4に設けた上記横軸31の逃げ孔、33はカマ3のクリックばね、34は駆動板4によって作動されカマ3を施錠位置で選択的に固定する錠止片である。
【0020】
以上に説明した内框10側の内フレーム1における錠機構については、前出の公告公報等に示され公知であるから、その構造及び作動についての更に詳しい説明はここでは省略する。
【0021】
一方、図1及び図2に示すように、外框20に取り付けられる外フレーム2の上方部には、ディスクタンブラー錠その他のシリンダ錠5を、鍵の差し込み方向Kがストライク板22と直角をなすようにして装着してあり、その内筒51は、テールピース52を介して外フレーム2内で支承された第1ピニオン53に結合させてある。
【0022】
また、外フレーム2内には、そのフレーム2の内壁面など任意の案内手段で案内されるようにして上下動可能に作動板6が設けられている。
【0023】
その作動板6は、図3に明示するように例えば板状体であり、一端部(図で上端部)の中央に第1ラック61を、他端部の一方の側端縁に第2ラック62を、また、第1ラック61の下方に後述の第1水平軸との干渉を避けるための縦長の逃げ孔63が開口している。
【0024】
一方、図1及び図2に示すように、外フレーム2内には、これを水平に貫通する第1水平軸71、及び外フレーム2の一方の側板内面に植設された第2水平軸72が配設されている。
【0025】
上記第1水平軸71は、上記第1ラック61の逃げ孔63を遊嵌するように延在しており、この第1水平軸71には作動ギア73が回動自在に支承されている。
【0026】
この作動ギア73の内端面には、図4に示すように、全体の形状がへ字形で板状の従動部材70が一体に装着されている。
【0027】
図示の実施例では、作動ギア73の内端面に従動部材70の板厚と同じ位の高さの環堤部71aが同軸に形成されており、この環堤部71aを従動部材70の中央の開口に嵌合させた後皿ねじにより作動ギア73と従動部材70とが一体的に結合している。
【0028】
なお、図2において符号74は止め輪を示し、図2から明らかなように、作動ギア73及びこれと一体に結合された従動部材70は、作動板6と止め輪74との間における第1水平軸71に支承されている。
【0029】
一方、図1及び図2に示すように、第2水平軸72にはアイドルピニオン75が回動可能に支承されており、このアイドルピニオン75は、前記作動板の第2ラック62及び作動ギア73と常に噛み合っている。
【0030】
また、上記従動部材70は、第1水平軸に関し対称的に延伸する施錠アーム7と解錠アーム7aとを有しており、これらのアーム7、7aは作動ギア73及びアイドルピニオン75を介して第2ラック62に連結されることになる。
【0031】
そして、従動部材70の第2ラック62に対する角度位置は、図4に示すように、第2ラック62のほぼ中央の歯がアイドルピニオン75と噛み合っているとき、従動部材がほぼ垂直になるように、即ち、施錠及び解錠アーム7、7aが完全に外フレーム2内に収納されるように設定する。
【0032】
また、作動ギア73のモジュール及び歯数は、作動板6の一定の移動量に対し、後述の施錠及び解錠アーム7、7aの施錠及び解錠の為の回動角度が充分得られるように設定する。
【0033】
なお、図2においては、図面を明瞭にするため、また、煩雑になるのを避けるため、第2水平軸72を所謂片持ち軸としたが、これは第1水平軸71と同様に外フレーム12を貫通するように設けても良い。
【0034】
以上の構成のこの発明の引戸錠について、図1及び図2を参照してその作用を説明する。
【0035】
室内側から操作部材41のつまみ42により施解錠操作する場合、外フレーム2内の錠機構とは独立して内フレーム1内の駆動板4が上下動され、カマ3が突出入して施解錠されるものであることは、従来のものと何ら変わりがないので、ここでは鍵を用いた施解錠操作についてのみ説明する。
【0036】
図1の解錠状態において、シリンダ錠5に対し矢印Kで示す方向に鍵(図示しない)を差し込み例えば時計方向に回動させると、第1ピニオン53と第1ラック61において噛み合う作動板6が上昇する。
【0037】
すると、図5に示すように、作動板6上の第2ラック62と噛み合うアイドルピニオン75が反時計方向方向に、作動ギア73が時計方向に夫々回動し、施錠アーム7を図5で時計方向、図1で矢印B方向に揺動させる。
【0038】
そして、施錠アーム7が駆動板4の係合片44を上から押圧して駆動板4を降下させるので、カマ3は矢印Aのように振り出され、フロント板22の係入孔24に係入されて施錠状態となる。
【0039】
施錠後、鍵を反時計回りに回して元の角度位置に戻し引き抜くことにより施錠操作が完了する。その際に、外框側の錠機構における各部材はいずれも当初の位置(図4参照)に復帰する。
【0040】
施錠状態の引戸錠を解錠するには、シリンダ錠5に差し込んだ鍵を逆に反時計方向に回動させる。
【0041】
この場合、前記施錠作動に準じ作動板6が降下すると、図6に示すように、第2ラック62と噛み合うアイドルピニオン75が時計方向に、作動ギア73が反時計方向に夫々回動し、解錠アーム7aを図6で反時計方向に、図1で矢印C方向に揺動させる。
【0042】
そして、解錠アーム7aが駆動板4の係合片44を下から押圧して駆動板4を上昇させるので、カマ3は施錠位置から振り戻されて解錠位置に戻ることになる。
【0043】
解錠後、鍵を時計方向に回して元の角度位置に戻し引き抜くことにより解錠操作が完了する。その際に、外框側の錠機構における各部材はいずれも当初の位置に復帰する(図1参照)。
【0044】
【発明の効果】
以上に説明したこの発明の引戸錠によれば、外框側の外フレームに装着される錠機構には、従来の引戸錠に見られるホルダのようなストライク板と直角をなす水平方向に可動の枠体を備えていないので、その機構を全体として薄く作ることができ、厚さのごく薄い引戸にも十分適用できるという効果を奏する。
【0045】
また、外框側の錠機構は歯車機構に直結された従動部材を作動板の上昇、下降に応じて揺動させるだけなので、全体として機構が簡単になり、その分信頼性及び耐久性が向上する。
【0046】
更にまた、前記本出願人の出願になる特願平7−329914号に係る発明と比較して、従動部材を構成する施錠アーム又は解錠アームをラックではなくアイドルピニオンで駆動するようにしたので、施錠アーム又は解錠アームをシリンダ錠に近接させて錠機構の上下方向の長さを短く製作でき、外框に対する取付用の切欠きを大きくしないで済むという利点もある。
【0047】
加えて、この発明の引戸錠は、2つの引戸間の上下方向のずれ並びに厚さ方向の静的又は動的な変動に対応できるばかりでなく、確実な施解錠作動が達成できるものでもある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の引戸錠の実施例を示す縦断側面図。
【図2】外側化粧板を外し一部を断面にして示したその背面図。
【図3】作動板の側面図。
【図4】図2のIV−IV線から見た外側錠機構要部の一部断面側面図で、常態を示す。
【図5】図2のV−V線から見た外側錠機構要部の一部断面側面図で、施錠の為の作動を示す。
【図6】図2のVI−VI線から見た外側錠機構要部の一部断面側面図で、解錠の為の作動を示す。
【符号の説明】
10 内框
20 外框
1 内フレーム
2 外フレーム
22 ストライク板
3 カマ
4 駆動板
41 操作部材
44 係合片
5 シリンダ
51 内筒
52 第1ピニオン
6 作動板
61 第1ラック
62 第2ラック
63 逃げ孔
70 従動部材
7 施錠アーム
7a 解錠アーム
71 第1水平軸
72 第2水平軸
73 作動ギア
75 アイドルピニオン
Claims (1)
- 内框に取り付けられる内フレームに枢支され、外框のストライク板に係脱されるカマと、内フレームに上下動可能に設けられると共にカマに連係され、室内側から操作部材で操作される駆動板と、外框に取り付けられる外フレームに向けて駆動板に突設された係合片と、外フレームに装着されたシリンダ錠と、外フレームに上下動可能に案内されると共に、相互に平行で上下方向に延在する第1ラック及び第2ラックを形成した作動板と、外フレームに支承されると共にシリンダ錠の内筒に結合され、かつ、作動板の第1ラックに噛み合う第1ピニオンと、外フレーム内の第1水平軸に回動自在に支承された作動ギアと、この作動ギアに一体的に結合され、第1水平軸に関し対称的に施錠アームと解錠アームとを延伸させた従動部材と、外フレーム内において上記第1水平軸と平行に延在する第2水平軸に回動自在に支承され、作動板の第2ラック及び作動ギアの双方と常時噛み合うアイドルピニオンとを有し、作動板の中立位置からの上昇又は下降に応じて、施錠アーム又は解錠アームを選択的に駆動板の係合片に当接させるようにしたことを特徴とする引戸錠。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP27702496A JP3880666B2 (ja) | 1996-09-28 | 1996-09-28 | 引戸錠 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP27702496A JP3880666B2 (ja) | 1996-09-28 | 1996-09-28 | 引戸錠 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH10102852A JPH10102852A (ja) | 1998-04-21 |
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Family Applications (1)
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-
1996
- 1996-09-28 JP JP27702496A patent/JP3880666B2/ja not_active Expired - Fee Related
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