JP3880219B2 - カラーフィルター基板の製造方法及び液晶素子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーテレビ、パーソナルコンピュータ等に使用されているカラーフィルター基板の製造方法、この製造方法で製造されたカラーフィルター基板及びこの基板を用いた液晶素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータの発達、特に携帯用パーソナルコンピュータの発達に伴い、液晶ディスプレイ、特にカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、さらなる普及のためにはコストダウンが必要であり、特にコスト的に比重の重いカラーフィルタのコストダウンに対する要求が高まっている。
【0003】
従来から、カラーフィルタの要求特性を満足しつつ上記の要求に応えるべく、種々の方法が試みられているが、いまだ全ての要求特性を満足する方法は確立されていない。以下にそれぞれの方法を説明する。
【0004】
第一の方法は顔料分散法である。この方法は、先ず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことによりR、G、Bのカラーフィルタを形成する。
【0005】
第二の方法は染色法である。この方法は、先ず基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィ工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、Bのカラーフィルタを形成する。
【0006】
第三の方法としては電着法がある。この方法は、先ず基板上に透明電極をパターニングし、顔料、樹脂、電解液等の入った電着塗装液に浸漬して第一の色を電着する。この工程を3回繰り返してR、G、Bのカラーフィルタを形成し、最後に焼成するものである。
【0007】
第四の方法は、熱硬化型の樹脂に顔料を分散させ、印刷を3回繰り返すことによりR、G、Bを塗り分けた後、樹脂を熱硬化させることにより着色層を形成し、カラーフィルタとするものである。
【0008】
上記いずれの方法においても、カラーフィルタ上に保護膜を形成するのが一般的である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法に共通している点は、R、G、Bの3色を着色するために同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になることである。また、工程が多いほど歩留が低下するという問題も有している。さらに、電着法においては、形成可能なパターン形状が限定されるため、現状の技術ではTFT用には適用困難である。また、印刷法は、解像性が悪いためファインピッチのパターンの形成には不向きである。
【0010】
これらの欠点を補うべく、インクジェット方式によるカラーフィルタの製造方法として、特開昭59−75205号公報、特開昭63−235901号公報、特開平1−217302号公報等の提案があるが、いまだ不十分である。
【0011】
特に、従来のインク受容層にインクを付与する方法では、該インク受容層の耐熱性、耐溶剤性が低いために、ITO形成工程、配向膜形成工程においてプロセス的な制約を受けることから、信頼性の高い液晶素子を構成することが困難となる。このような問題を解決する方法として、基板上に直接硬化性インクを付与してカラーフィルタを形成する方法が提案されている。図3にこの方法の工程を断面模式図で示す。図中、1は透明基板、2は各カラーフィルタ間の隔壁、3はインクジェット記録装置、4は硬化性インク、5はカラーフィルタ、6は保護膜である。
【0012】
図3に示すように、透明基板上に撥インク性を有する隔壁2を形成し、該隔壁2で囲まれた領域内に、硬化性インク4をインクジェット記録装置3より付与し(図3(a))、光照射又は熱処理等により硬化性インク4を硬化させてカラーフィルタ5を形成し(図3(c))、さらに必要に応じて保護膜6を形成する(図3(d))。
【0013】
当該工程においては、上記隔壁2に囲まれた領域内全域に欠損なく硬化性インクを配することが必要である。通常、硬化前のインク4は図3(b)に示すように、表面張力により曲面を形成して上記領域内に保持される。その後のインク乾燥工程において、インクの溶剤が蒸発し、インク中に含まれる色材、樹脂、添加物等の固形分のみが残留し、硬化処理によって着色硬化組成物、即ちカラーフィルタが形成される。当該乾燥工程においては、溶剤の蒸発に伴ってインク表面の曲率が変化し、最終的な曲率によって個々のカラーフィルタの表面形状が決定される。従って、上記最終的な曲率が大きい場合には、カラーフィルタ内に大きな膜厚差を生じることもある。カラーフィルタの膜厚ムラはそのままカラーフィルタの濃度ムラとなり、表示特性に影響するため、上記膜厚差は極力抑えることが要求される。
【0014】
本発明の目的は、濃度ムラがないカラーフィルタ基板を簡素な工程で歩留良く製造する製造方法を提供することにある。
【0015】
さらには、この製造方法により製造された濃度ムラのないカラーフィルタ基板、およびこのカラーフィルター基板を用い、カラー表示特性に優れた液晶素子を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のカラーフィルタ基板の製造方法は、基板上に撥インク性の隔壁を形成する工程と、前記隔壁と隔壁の間の領域に表面張力50から60dyne/cmのインクを付与する工程と、前記インクを硬化してカラーフィルターとする工程とを有し、前記インク中に含まれる硬化成分としての樹脂成分が、前記インクに対し5から10重量%であり、一つの前記領域に付与する前記インクの体積が、一つの前記領域の容積の3倍以上10倍以下であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の液晶素子の製造方法は、液晶素子の製造方法であって、上記の製造方法により製造されたカラーフィルター基板を用意する工程と、前記用意されたカラーフィルター基板と対向基板の間隙に液晶化合物を封入する工程と、を具備することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1に本発明のカラーフィルタ基板の製造方法の一実施形態の工程を断面模式図により示す。図中の符号は先に説明した図3の部材と同じである。
【0019】
本発明において用いられる透明基板1としては、一般にガラス基板が用いられるが、カラーフィルタ基板としての透明性、機械的強度等の必要特性を満足するものであれば他の素材も用いることができる。
【0020】
図1(a)は透明基板1上に撥インク性を有する隔壁2を形成し、インクジェット記録装置3により硬化性インク4を付与する工程を示したものである。本発明において、隔壁2は硬化性インク4を受ける凹部を形成し、且つ隣接するカラーフィルタ間で異なる色のインクの混色を防止するために設けられる部材である。隔壁2は例えば感光性レジストをパターニングして容易に形成することができるが、該隔壁をブラックマトリクスやブラックストライプで兼用することもでき、その場合には黒色レジストをパターニングすれば良い。
【0021】
本発明において、隔壁2は透明基板1上に直接形成しても良いが、必要に応じて他の機能を有する層を形成した基板、例えばTFTアレイを作製したアクティブマトリクス基板上に形成しても良い。いずれの場合にも、硬化性インクの拡散性を高めるために、カラーフィルタ形成面表面に何らかの表面処理を施しても良い。
【0022】
本発明に用いられる硬化性インク4は、光照射又は熱処理、或いはこれらの併用によって硬化するインクであり、このインクで形成されたカラーフィルターの膜厚差を0.2μm以内に抑えるため、その表面張力は、20〜60dyne/cm、更には40〜60dyne/cm、特に50dyne/cm〜60dyne/cmである。本発明において、表面張力は垂直板法(wilhelmy法)により測定した値である。
【0023】
上記硬化性インク4は、上記条件を満たす範囲内で、液状インク、ソリッドインク共に使用可能であり、また、顔料系、染料系のいずれも用いることができる。インク4中には、光照射又は熱処理、或いはこれらの併用によって硬化する樹脂成分、色材、有機溶剤及び水を含有する。
【0024】
色材としては顔料系、染料系のいずれも用いることができる。染料としては、例えばC.I.Acid Red 118、C.I.Acid Red 254、C.I.Acid Green 25、C.I.Acid Blue 113、C.I.Acid Blue 185、C.I.Acid Blue 7が、また顔料としては、例えばC.I.Pigment Red 177、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Green 36、C.I.Pigment Blue 209、C.I.Pigment Blue 16、などが好適に用いられる。色材の含有量は、インクに対して0.1〜15重量%が好ましい。
【0025】
硬化成分としては、市販の樹脂や硬化剤を用いることができ、具体的には、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン樹脂等が好適に用いられる。これら樹脂成分の含有量は、表面張力を前記範囲とするため、0.1〜15重量%、更には5〜10重量%が好ましい。
【0026】
有機溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、2、6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。
【0027】
インク中に添加される上記有機溶剤の量は、インクの初期吐出性能、継続吐出安定性等から鑑みると5〜50重量%が好ましい。
【0028】
本発明において硬化性インク4の付与量は、隔壁2で囲まれた領域の容積の3倍以上10倍以下、好ましくは8倍以下であり、8倍以下の場合にはカラーフィルタの面内膜厚差を0.1μm以内に抑えることができる。硬化性インク4の付与量が該当領域の容積の10倍よりも多い場合、カラーフィルタの面内膜厚差が0.2μm超えて大きくなり、濃度ムラを発生するため好ましくない。また3倍未満の場合には、所定量の膜厚が得られないため好ましくない。
【0029】
隔壁間の各領域に硬化性インク4を付与した後(図1(b))、必要に応じて乾燥処理を行ない、光照射又は熱処理、或いはこれらの併用によってインクを硬化し、カラーフィルタ5を形成する(図1(c))。
【0030】
必要に応じてカラーフィルタ5上に保護膜6を形成する(図1(d))。保護膜6としては、光照射又は熱処理、或いはこれらの併用により硬化可能な樹脂材料、或いは蒸着又はスパッタによって形成される無機膜等を用いることができ、カラーフィルタ基板とした場合の透明性、その後のプロセス、例えば液晶素子を構成する場合であれば、ITO膜形成プロセス、配向膜形成プロセス等に耐え得るものであれば使用可能である。
【0031】
次に、図2に上記工程で作製されたカラーフィルタ基板を用いて構成した液晶素子の一実施形態の断面模式図を示す。図中、8は共通電極、9は配向膜、11は対向基板、12は画素電極、13は配向膜、14は液晶化合物である。
【0032】
本実施形態はTFTを用いたアクティブマトリクス型のカラー液晶素子であり、カラーフィルタ5を形成した基板と対向基板11とを合わせこみ、該基板の間隙(2〜5μm程度)に液晶化合物14を封入することにより形成される。対向基板11にはTFT(図示しない)と画素電極12がマトリクス状に形成され、他方の基板1には画素電極12に対向する位置にカラーフィルタ5が形成され、その上に透明な共通電極8が形成されている。さらに、両基板の面内には配向膜9、13がそれぞれ形成されており、これをラビング処理することにより液晶分子を一定方向に配列させることができる。
【0033】
本実施形態の液晶素子の両基板の外側には偏光板が接着され、蛍光灯と散乱板を組み合わせたバックライトからの光の透過率を変化させる光シャッターとして機能させることにより表示を行なう。
【0034】
本発明において、前記実施形態において説明した部材以外の部材については、従来の素材及び形成方法をそのまま適用することができる。
【0035】
【実施例】
〔実施例1〕
黒色レジスト(商品名:CK−S171B,富士ハント社製)を用い、フォトリソグラフィにより、ガラス基板上にブラックマトリクスを形成した。このブラックマトリクスの1つの開口部のサイズは70μm×220μm、膜厚は1μmとした。従って、硬化性インクを付与する領域の容積は15400μm3である。従って、この容積の8倍は123200μm 3 、10倍は154000μm3である。
【0036】
上記ブラックマトリクスの各開口部に、インクジェット記録装置を用い、1つの開口部に付与するインク量を120000μm 3 (120pl)となるような条件でインクを付与した。硬化性インクとしては、染料、水溶性有機溶剤、水、N−メチロールアクリルアミドとメタクリル酸メチルの2元共重合体からなる樹脂組成物、表面張力調整用界面活性剤を用い、樹脂濃度が5重量%、染料成分が5重量%、表面張力が60dyne/cmとなるように調整した。
【0037】
Red染料としては、C.I.Acid Red 158を用いた。Green染料としては、C.I.Direct Blue(DBL)86をC.I.Acid Yellow(AY)23で調色したものを用いた。Blue染料としては、DBL86をC.I.Acid Red(AR)289を調色したものを用いた。
【0038】
水溶性有機溶剤としては、エチレングリコールを20重量%用い、更にチオジグリコールを適量添加して、いずれのインクも表面張力が60dyne/cmとなるように調整した。表面張力の測定は、いずれの実施例でも自動表面張力計CBVP−Z型(協和界面科学株式会社製)を用いた。
【0039】
インクジェット記録装置からの硬化性インクの吐出は、いずれの色のインクも良好であった。上記硬化性インクを付与した後、200℃、1時間の熱処理により該インクを硬化させた。
【0040】
上記のようにして作製したカラーフィルタ基板の表面形状を、表面粗さ測定機(商品名:P10,テンコール社製)により測定したところ、カラーフィルタの膜厚は平均0.6μm、膜厚ムラは0.1μm以下であった。また、混色、濃度ムラ等の問題は観察されなかった。
【0041】
また、上記カラーフィルタ基板上に保護膜の形成、ITO(電極)の形成、配向膜の形成、液晶材料の封入等一連の作業を行ない、カラー表示の液晶素子を作製した。この液晶素子を−20℃〜60℃の温度範囲にて連続1000時間駆動したところ、表示上の問題は生じなかった。
【0042】
〔実施例2〕
硬化性インクの樹脂組成物として、N−メチロールアクリルアミドとメタクリル酸メチルとヒドロキシエチルメタクリレートの3元共重合体からなるものを用いた以外は実施例1と全く同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。含有するチオジグリコールの量を調整して表面張力を60dyne/cmとした。
【0043】
本実施例においても、インクジェットによる硬化性インクの吐出性は良好であった。また、実施例1と同様に本実施例のカラーフィルタ基板の表面形状を測定したところ、カラーフィルタの膜厚は平均0.6μm、膜厚ムラは0.1μm以下であった。また、混色、濃度ムラ等の問題は観察されなかった。
【0044】
また、上記カラーフィルタ基板を用い、実施例1と同様に液晶素子を作製して−20℃〜60℃の温度範囲にて連続1000時間駆動したところ、表示上の問題は生じなかった。
【0045】
〔実施例3〕
実施例1の硬化性インクにおいて、チオジグリコールの添加量をかえて、いずれの硬化性インクの表面張力も50dyne/cmとなるように調整し、その外は実施例1と全く同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。
【0046】
本実施例においても、インクジェットによる硬化性インクの吐出性は良好であった。また、実施例1と同様に本実施例のカラーフィルタ基板の表面形状を測定したところ、カラーフィルタの膜厚は平均0.6μm、膜厚ムラは0.1μm以下であった。また、混色、濃度ムラ等の問題は観察されなかった。
【0047】
また、上記カラーフィルタ基板を用い、実施例1と同様に液晶素子を作製して−20℃〜60℃の温度範囲にて連続1000時間駆動したところ、表示上の問題は生じなかった。
【0048】
〔実施例4〕
硬化性インクの樹脂成分の濃度をいずれの色のインクについても7重量%とし、染料成分を3重量%とした以外は実施例1と全く同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。このとき、インクの表面張力はいずれも50dyne/cmであった。
【0049】
本実施例においても、インクジェットによる硬化性インクの吐出性は良好であった。また、実施例1と同様に本実施例のカラーフィルタ基板の表面形状を測定したところ、カラーフィルタの膜厚は平均0.8μm、膜厚ムラは0.2μm以下であった。また、混色、濃度ムラ等の問題は観察されなかった。
【0050】
また、上記カラーフィルタ基板を用い、実施例1と同様に液晶素子を作製して−20℃〜60℃の温度範囲にて連続1000時間駆動したところ、表示上の問題は生じなかった。
【0051】
〔実施例5〕
硬化性インクの付与量を150000μm3 とする以外は実施例1と全く同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。
【0052】
実施例1と同様に本実施例のカラーフィルタ基板の表面形状を測定したところ、カラーフィルタの膜厚は平均0.6μm、膜厚ムラは0.19μm以下であった。また、混色、濃度ムラ等の問題は観察されなかった。
【0053】
また、上記カラーフィルタ基板を用い、実施例1と同様に液晶素子を作製して−20℃〜60℃の温度範囲にて連続1000時間駆動したところ、表示上の問題は生じなかった。
【0054】
〔実施例6〕
ポジレジスト(商品名:OFPR−800)を膜厚1μmとなるようにガラス基板上に成膜し、フォトリソグラフィによりパターニングして隔壁を形成する以外は実施例1と全く同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。
【0055】
実施例1と同様に本実施例のカラーフィルタ基板の表面形状を測定したところ、カラーフィルタの膜厚は平均0.6μm、膜厚ムラは0.1μm以下であった。また、混色、濃度ムラ等の問題は観察されなかった。
【0056】
上記カラーフィルタ基板を用い、対向基板としてはTFTアレイ上に樹脂製のブラックマトリクスを形成した基板を用い、ITOの形成、配向膜の形成、液晶材料の封入等一連の作業を行ない、カラー表示の液晶素子を作製した。この液晶素子を−20℃〜60℃の温度範囲にて連続1000時間駆動したところ、表示上の問題は生じなかった。
【0057】
〔実施例7〕
TFTアレイが形成された基板上に、黒色レジスト(商品名:CK−S171B,富士ハント社製)を用いてフォトリソグラフィによりブラックマトリクスを形成し隔壁とする以外は実施例1と全く同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。
【0058】
実施例1と同様に本実施例のカラーフィルタ基板の表面形状を測定したところ、カラーフィルタの膜厚は平均0.6μm、膜厚ムラは0.1μm以下であった。また、混色、濃度ムラ等の問題は観察されなかった。
【0059】
上記カラーフィルタ基板を用い、対向基板としては透明ガラス基板を用い、ITOの形成、配向膜の形成、液晶材料の封入等一連の作業を行ない、カラー表示の液晶素子を作製した。この液晶素子を−20℃〜60℃の温度範囲にて連続1000時間駆動したところ、表示上の問題は生じなかった。
【0060】
〔比較例1〕
硬化性インクの付与量を190000μm3 (190pl)とする以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。該カラーフィルタ基板の表面形状を実施例1と同様に測定したところ、カラーフィルタの膜厚は平均1.0μm、膜厚ムラは0.3〜0.45μmであった。
【0061】
〔比較例2〕
硬化性インクの表面張力を15dyne/cmとした以外は実施例1と同様にしてカラーフィルタ基板を作製した。該カラーフィルタ基板の表面形状を実施例1と同様に測定したところ、カラーフィルタの膜厚は平均0.6μm、膜厚ムラは0.25μmであった。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、濃度ムラがないカラーフィルタ基板を簡素な工程で歩留良く提供することができ、該カラーフィルタ基板を用いることにより、カラー表示特性に優れ、信頼性の高い液晶素子を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルタ基板の製造方法の一実施形態の工程を示す断面模式図である。
【図2】本発明の液晶素子の一実施形態の断面模式図である。
【図3】従来のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 隔壁
3 インクジェット記録装置
4 硬化性インク
5 カラーフィルタ
6 保護膜
8 共通電極
9 配向膜
11 対向基板
12 画素電極
13 配向膜
14 液晶化合物
Claims (4)
- 基板上に撥インク性の隔壁を形成する工程と、
前記隔壁と隔壁の間の領域に表面張力50から60dyne/cmのインクを付与する工程と、
前記インクを硬化してカラーフィルターとする工程とを有し、
前記インク中に含まれる硬化成分としての樹脂成分が、前記インクに対し5から10重量%であり、一つの前記領域に付与する前記インクの体積が、一つの前記領域の容積の3倍以上10倍以下であることを特徴とするカラーフィルター基板の製造方法。 - 一つの前記領域に付与する前記インクの体積が、一つの前記領域の容積の3倍以上8倍以下である請求項1記載のカラーフィルター基板の製造方法。
- 前記基板がTFTアレイを有するアクティブマトリクス基板であり、上記隔壁が黒色レジストをパターニングしてなるブラックマトリクスである請求項1記載のカラーフィルター基板の製造方法。
- 液晶素子の製造方法であって、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたカラーフィルター基板を用意する工程と、
前記用意されたカラーフィルター基板と対向基板の間隙に液晶化合物を封入する工程と、
を具備することを特徴とする液晶素子の製造方法。
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