JP3879530B2 - 弾性舗装体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般道路等の舗装に用いられる弾性舗装体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の弾性舗装用の舗装体としては、例えば特許第2789805号公報に示すように、自動車の廃棄タイヤ等のゴム製品を粉砕したゴムチップ等の弾性骨材に、ウレタン系のバインダーを混合し成形したものが知られている。この舗装体は、ゴム材を用いていることにより、通常のアスファルト舗装に比べて弾性があり、タイヤと路面の接触時の衝撃によって発生するタイヤ衝撃音やパターン加振音を低減する。また、成形時に数10%の空隙率とすることにより、タイヤから発生するエアーポンピング音を抑制すると共に、走行する車両から伝播する特定の周波数の音を吸音することにより、交通騒音の大幅な低減が可能になる、といった優れた特性を備えている。
【0003】
このような弾性舗装体の製造方法としては、現場施工方法と、金型にて成形するプレキャスト方法が知られている。現場施工方法については、弾性骨材とバインダー、場合によっては砂等の無機系骨材や、樹脂等の有機系骨材などの第3成分を混合した合材を、アスファルト舗装のように直接路面に敷き均して、雰囲気中の湿気により硬化させるものである。しかし、現場施工方法は、舗装体の硬化完了までに3日〜1週間程度の長期間の養生が必要である。そのため、交通開放に時間がかかるため、この方法を通常の使用中の道路に採用することは困難である。
【0004】
これに対して、プレキャスト方法は、上記合材を金型に敷き均し、熱プレスによって所定の形状に成形することにより得られたプレキャスト品を現場にて路面に接着剤により貼りつけて固定する方法である。プレキャスト品の製造は、例えば箱状の下型と、下型に被せられる上型とからなる金型を用い、金型内に合材を充填して上型で合材を圧縮しつつ、この金型を高温に加熱されている熱盤間に挿入し、熱盤からの熱及び圧力を合材に加えることにより、弾性舗装体を形成するものである。
【0005】
しかし、プレキャスト品の場合、現場施工方法のような問題はないが、合材の材質の熱伝導性が良くなく、さらに合材は空隙率が20〜50%と大きいため、さらに熱伝導性が悪くなる。そのために、熱盤からの合材内部への熱の伝導に時間を要し、合材内部の硬化に時間がかかると共に、合材の表層と内部との種々の物性値のバラツキが大きくなり、舗装体としての特性や耐久性が損なわれるおそれがある。また、合材を含む金型全体を、高周波加熱法により加熱する方法も考えられるが、この方法は温度コントロールが難しく、熱盤から加熱する方法に比べてむしろ加熱のバラツキが大きくなり好ましくない。
【0006】
このようなプレキャスト方法による硬化時間が長時間になる問題を解消する方法として、特開平9−85760号公報に示すように、金型内に充填された合材の内部に、加熱・加圧された水蒸気を送り込み、合材の架橋、硬化を促進させる方法が知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記加熱・加圧された蒸気を用いる方法によれば、合材のバインダーとして広く使用されている一液湿気硬化型ウレタン樹脂を用いた場合、未硬化の合材に水蒸気を直接当てることにより、合材の表面が白化するという問題がある。このような合材の白化は、製品外観上好ましくなく、さらには合材の引張り強度が低下することにより、製品寿命が低下するという問題もある。合材の白化の原因としては、未硬化のウレタン樹脂に大量の水蒸気を供給することにより、ウレタン樹脂の硬化反応の制御が行われなくなり、その結果ウレタン樹脂に発泡を生じることによるものである。特に、合材の温度が低い場合、吹き付けられた水蒸気が冷却され、水分として合材の空間にたまり、脱型後に乾燥が必要になる。
【0008】
本発明は、上記した問題を解決しようとするもので、加圧された合材に、水蒸気を直接当てることにより、合材を白化させることなくかつ合材を短時間にかつ均一に硬化させることができる弾性舗装体の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記目的を達成するために、上記請求項1に係る発明の構成上の特徴は、弾性骨材とバインダーを混合した合材を、加圧及び加熱することにより板状の弾性舗装体を形成する弾性舗装体の製造方法であって、圧縮された合材の空隙に熱風を透過させながら、合材の温度が80℃に達した後に、合材に水蒸気を直接当てるようにし、圧縮された合材を保持する型として、熱風及び水蒸気の透過が可能な型が用いられ、合材の熱風による加熱の前に、別工程で合材が圧縮されたものであることにある。
【0010】
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、圧縮された合材の温度が加熱により80℃に達した後に、合材に水蒸気が直接当てられるため、合材の硬化反応を著しく促進させることができ、非常に短時間で舗装体を製造することができる。また、圧縮された合材の温度が80℃以上の高温にされているため、水蒸気を直接当てても合材の硬化反応の制御が適正に行われ、バインダーの発泡による白化を防止することができる。その結果、請求項1の発明によれば、外観上の問題がなく、また引張り強度の低下もない均一な物性の弾性舗装体を得ることができると共にその耐久性も適正に確保できる。また、弾性舗装体の製造時間を大幅に短縮できるので、その製造コストを従来に比べて大幅に安価にすることができる。
【0011】
また、熱風を透過させることによって、圧縮された合材の温度が80℃に達した後に、合材の空隙に熱風を透過させながら合材に水蒸気が直接当てられるため、合材内への水蒸気の浸透がよりスムーズに行われ、合材の硬化反応もさらに迅速に促進される。さらに、圧縮された合材を熱風及び水蒸気の透過が可能な型によって保持することにより、型を通して簡易かつ確実に合材に熱風及び水蒸気を透過させることができる。
【0012】
また、熱風により合材を加熱する前に、合材が別工程で圧縮されていることにより、合材内に熱風及び水蒸気を透過させて合材を硬化させる際に、合材を加圧する必要がない。そのため、合材を保持する型も含めて合材を硬化させる装置を簡易な構造にすることができ、装置のコストを低減することができる。
【0013】
また、上記請求項2に係る発明の構成上の特徴は、前記請求項1に記載の弾性舗装体の製造方法において、合材に、合材の加圧及び加熱による硬化を促進させる触媒を添加することにある。ここで、触媒としては、アミン化合物、ポリオール、錫等が用いられる。このように、合材に触媒を添加することにより、合材の加圧及び加熱による硬化を一層促進させることができ、硬化時間の短縮により舗装体の製造コストをさらに安価にすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態である自動車走行用の道路の路盤に敷設される弾性舗装体(以下、舗装体と記す)を製造する製造工程を模式図により概略的に示したものである。製造工程に用いられる製造設備は、金型11と、プレス装置(図示しない)で駆動される圧縮板18と、金型11を収容して加熱が行われる加熱槽21と、加熱槽21内の金型11に熱風を循環供給する熱風供給装置24と、加熱槽21内の金型11に水蒸気を噴射して合材に水蒸気を直接当てる水蒸気供給装置26とにより構成されている。なお、熱風供給装置24と対で、金型11を通過する熱風を吸引する熱風吸引装置を設けることもできる。
【0015】
舗装体は、厚さ20〜50mmの平板であり、弾性骨材であるゴムチップ(ひじき状タイプ、粒状タイプ等がある)と、ウレタン系バインダーとを含んでいる。また、舗装体には、必要に応じて、第3の成分材料として硬質骨材である砂等と、触媒であるアミン化合物等が含められる。なお、弾性骨材としては、天然,合成ゴム等のゴム材料の他に、熱可塑性エラストマー、発泡ポリウレタン等の弾性を有する合成樹脂材料が用いられるが、資源再利用の観点から廃タイヤより作製されるゴムチップが好適に利用される。硬質骨材は、無機材料として砕石、砂、珪砂、シリカ、ガラス等の窯業材料等が、有機材料としてナイロン、ウレタン等の樹脂材料等の中から少なくとも1種類を選択して用いられる。
【0016】
上記金型11は、全体として直方体箱型であり、底板部12と、枠板部14と、上板部15とが重ね合されて構成されている。底板部12は、金属製で格子形状の多数の孔を規則的に設けたグレーチング構造になっており、その上面に薄い網板13が貼り付けられている。枠板部14は、四角筒状で、底板部12の外周を囲って密着状態で嵌め合わされる。上板部15は、枠板部14内に密着状態で挿入され、底板部12と同様に、金属製で格子形状の多数の孔を規則的に設けたグレーチング構造になっており、さらに上板部15の下面に薄い網板16が貼りつけられている。ここで、底板部12及び上板部15のグレーチングの開孔率は、40%以上であることが望ましい。
【0017】
圧縮板18は、金属厚板製であり、上板部15平面と同一表面積の平面部分を有している。圧縮板18は、合材1の圧縮工程において、プレス装置(図示しない)に取りつけられて、上板部15が取り外された金型11の枠板部14内に挿入され、合材1全体を1度で圧縮できるようになっている。なお、圧縮板18の平面を、上板部15の平面の面積より小さくし、合材1全面の圧縮を複数回の圧縮で行うようにしてもよい。
【0018】
加熱槽21は、中空筒状のハウジングであり、側壁の一部をくり貫いて内部に金型11の挿入及び取り出しが可能にされている。加熱槽21の上壁には、内部と連通するように熱風循環管22が一端にて接続されており、熱風循環管22の他端は、加熱槽21の底壁に内部と連通するように接続されている。熱風循環管22には、管路を開閉する開閉バルブ23が介装されており、さらに熱風を供給する熱風供給装置24が接続配置されている。さらに、加熱槽21の上壁には、内部と連通するように蒸気供給管25が一端にて接続されており、蒸気供給管25の他端には、水蒸気を供給する水蒸気供給装置26が接続されている。
【0019】
つぎに、上記舗装体の製造工程について、図1に沿って説明する。まず、弾性骨材であるゴムチップと、ウレタン系バインダーと、硬質骨材である砂と、触媒であるアミン化合物とを攪拌機にて混合して調整した合材1を、例えば空隙率40%になるように計量して、金型11内に投入する(図1(I))。その後、プレス装置により圧縮板18が合材1全面に押し付けられ、圧縮が行われる(図1(II))。なお、底板部12には網板13が被せられているため、圧縮板18によって合材1を加圧しても、材料が底板部12から型外に抜け出ることはない。
【0020】
圧縮が終了し、圧縮板18を金型11から外すことにより、圧縮体2が得られる。圧縮体2は、圧縮板18が外されたことにより、圧縮直後に比べて厚みがわずかに増す(図1(III))。この状態の圧縮体2が収容された金型11を加熱槽21内に挿入し、上板部15を網板16を介して圧縮体2に重ね合せる。その後、開閉バルブ23を開放することにより、熱風供給装置24から加熱された熱風が、流入口を通して加熱槽21内に循環送風される(図1(IV))。熱風による硬化の条件としては、例えば、熱風の温度は165℃(合材表面では150℃程度)、風圧は3.9kPa、流量は6m3/minである。これにより、圧縮体2全体が均一にかつ効率よく加熱される。
【0021】
ここで、圧縮体2は、予め圧縮されているため、さらに上板部15によって大きな圧縮力を加える必要はなく、上板部15を単に圧縮体2に載置するのみでよい。そのため、上板部15を含めた金型11については、各部分の厚みをそれほど厚くしなくても成型の強度上問題にならない。また、金型11内に熱風を供給して加熱したとき、金型11の熱損失を少なくすることができるため、圧縮体2の加熱の効率が高められる。さらに、空隙率の大きい圧縮体2内を熱風がスムーズに通りぬけることができ、合材1の熱伝導は良くないにもかかわらず、圧縮体2の表面のみならず内部も、短時間で均一に加熱することができる。
【0022】
圧縮体2が、熱風により加熱されて全体の温度が80℃に達すると、熱風による加熱に加えて、水蒸気供給装置26から蒸気供給管25を通して加熱槽21内に水蒸気が連続的に噴射され、上板部15の隙間を通して圧縮体2に直接当てられる。これにより、圧縮体2内に熱風と共に水蒸気が浸透するため、圧縮体2内への水蒸気の浸透がよりスムーズに行われ、圧縮体2の硬化反応もさらに迅速に促進される。また、合材1内にアミン化合物を触媒として加えたことにより、圧縮体2の硬化反応が一層促進される。
【0023】
以上に説明したように、本実施形態によれば、予め別工程で圧縮された圧縮体2が、熱風による加熱によって80℃に達した後に、圧縮体2に水蒸気が直接当てられるため、圧縮体2の硬化反応を著しく促進させることができ、非常に短時間で舗装体を製造することができる。また、圧縮された合材の温度が80℃以上の高温にされているため、水蒸気を圧縮体2に直接当てても、バインダーの硬化反応の制御が適正に行われ、バインダーの発泡による白化を防止することができる。その結果、外観上の問題がなく、また引張り強度の低下もない均一な物性の弾性舗装体を得ることができると共にその耐久性も適正に確保できる。また、弾性舗装体の製造時間を大幅に短縮できるので、その製造コストを従来に比べて大幅に安価にすることができる。また、合材1を予め圧縮した圧縮体2を、金型11に装着したままで加熱槽21内に挿入して熱風及び水蒸気により硬化させるようにしたことにより、圧縮体2の加圧が不要になる。そのため、金型11の加熱のための大掛かりな設備を必要としなく、加熱槽21を含めた製造装置を簡易にできることにより、製造装置のコストを安価にすることができる。
【0024】
つぎに、上記第1実施形態の変形例1について説明する。
変形例1では、圧縮体2が、熱風により加熱されて全体の温度が80℃に達したとき、熱風による加熱に加えて、水蒸気供給装置26から蒸気供給管25を通して加熱槽21内に水蒸気を連続的に噴射する代わりに、水蒸気を間欠的に噴射するようにしたものである。そのため、水蒸気の圧縮体2内への浸透がスムーズに行われると共に、水蒸気が間欠的に圧縮体2に当てられるため、圧縮体2内の水蒸気の量が適正に抑えられる。そのため、圧縮体2の適正な硬化反応が確実に促進される。
【0025】
つぎに、上記第1実施形態の変形例2について説明する。
変形例2では、圧縮体2が熱風により加熱されて全体の温度が80℃に達したとき、第1実施形態及び変形例1とは異なり、熱風による加熱を停止して、水蒸気供給装置26から蒸気供給管25を通して加熱槽21内に水蒸気のみを連続的にあるいは間欠的に噴射させるようにしたものである。この場合、水蒸気を所定時間噴射して圧縮体2内に浸透させた後は、再び熱風を圧縮体2に吹き付けることにより、水分を含んだ圧縮体2の硬化乾燥処理を行うことが望ましい。これにより、変形例2においても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0026】
つぎに、参考例1について説明する。
参考例1では、圧縮体2の熱風による加熱開始と共に、水蒸気供給装置26から蒸気供給管25を通して適宜、加熱槽21内に水蒸気を間欠的に噴射させるようにしたものである。これにより、圧縮体2に熱風が浸透すると共に間欠的に水蒸気が直接当てられるため、合材の硬化反応を著しく促進させることができ、短時間に舗装体を製造することができる。また、圧縮体2の熱風透過による加熱開始と共にではあるが、水蒸気は間欠的に圧縮体2に当てられるので、水蒸気の圧縮体2内への浸透が過度になることがない。そのため、圧縮体2の硬化反応の制御が適正に行われ、バインダーの発泡による白化を防止することができる。さらに、水蒸気を間欠的に圧縮体2に当てることにより、圧縮体2内の水蒸気の量が過度にならないため、圧縮体2の適正な硬化反応が確実に促進される。その結果、参考例1によれば、外観上の問題がなく、また引張り強度の低下もない均一な物性の弾性舗装体を得ることができると共にその耐久性も適正に確保することができる。また、弾性舗装体の製造時間を大幅に短縮できるので、その製造コストを従来に比べて大幅に安価にすることができる。
【0027】
つぎに、上記第1実施形態の変形例3について説明する。
第1実施形態においては、同一加熱槽21内で、圧縮体2の熱風による加熱と、水蒸気の噴射が共に行われていたが、変形例3では、加熱槽21とは別個に水蒸気処理槽27を設け、水蒸気の噴射については、水蒸気処理槽27において行うようにしたものである。図2に示すように、まず、圧縮体2を収容した金型11を加熱槽21に挿入し、熱風供給装置24によって加熱槽21内に熱風を供給し、圧縮体2に熱風を透過させることにより圧縮体2を80℃以上の高温状態に加熱する(図2(I))。つぎに、金型11を水蒸気処理槽27に移し、水蒸気供給装置26によって水蒸気を水蒸気処理槽27内に連続してあるいは間欠的に噴射させる(図2(II))。これにより、圧縮体2に水蒸気が直接当てられるため、圧縮体2の硬化反応を著しく促進させることができ、短時間に舗装体を製造することができる。なお、水蒸気が所定時間噴射された後は、再び金型11を加熱槽21に戻して熱風を吹き付けることにより(図2(I))、水分を含んだ圧縮体2の硬化乾燥処理を行うことが望ましい。このような変形例3においても、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0028】
つぎに、上記実施形態の具体的実施例について説明する。
具体的実施例としては、実施例1,2の2種類の舗装体を用意した。実施例1,2の成型条件(加熱方法、温度、時間)については、下記表1に示す通りである。実施例1の加熱方法については、舗装体に熱風を4分間透過させた後、熱風を停止して水蒸気のみを2分間直接当てるようにした。実施例2の加熱方法については、舗装体に熱風を6分間透過させ、その途中4分経過後に、熱風透過と共に水蒸気を2分間直接当てるようにした。また、実施例1,2共に、熱風温度が150℃であり、水蒸気の温度が120℃、圧力が2kgf/cm2である。さらに、成型時間については、実施例1,2共に6分である。
【0029】
【表1】
【0030】
なお、比較例の舗装体として、比較例1:熱プレスによる方法、比較例2:熱風のみを透過させる方法、比較例3:水蒸気を直接当てる方法(水蒸気の温度が120℃、圧力が2kgf/cm2)、比較例4:水蒸気を直接当てる方法(水蒸気の温度が150℃、圧力が5kgf/cm2)、により製造された4種類を用意した。各比較例1〜4についての成型条件は、表1に示す通りである。
【0031】
実施例1,2と比較例1〜4の舗装体について、製品の外観(バインダーの白化、発泡)の目視結果、引張り強度(kgf/cm2)及び伸び(%)の測定結果、さらに成型時間を加えて、それらの総合結果に基づいて、良否を判定した。判定については、○、△、×の3段階であり、それぞれの判定基準については、下記表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
表1及び表2に示すように、実施例1,2共に、製品外観、引張り強度伸び共に優れた結果であり、また成形時間も、比較例1(熱プレス品)の30%、比較例2(熱風透過のみ)の46%と、何れも大幅に短縮されている。比較例1,2については、製品外観、引張り強度、伸び共に優れた結果であるが、成形時間が実施例に比べて大幅に長くなっている点が問題であり、特に比較例1は劣っている。さらに、比較例3,4(蒸気直当てのみ)については、成型時間は短いが、バインダーの発泡が見られ、引張り強度、伸び共に実施例の半分程度であり、非常に不十分な結果である。すなわち、実施例1、2共に、各比較例に比べて良好な結果が得られたことが明らかになった。
【0034】
つぎに、参考例2について説明する。
参考例2では、合材1を加圧しながら加熱する熱プレスにおいて、さらに圧縮され高温にされた合材1に水蒸気を噴射することにより、合材に直接当てるようにしたものである。図3は、参考例2である弾性舗装体を成型する熱プレス金型31を断面図により概略的に示し、図4は、金型31内に水蒸気を浸透させるための水蒸気処理装置30を模式図により概略的に示したものである。水蒸気処理装置30は、金型31と、金型31を収容してその内部に水蒸気を供給するための水蒸気処理槽41と、水蒸気を供給する水蒸気供給装置51とにより構成されている。
【0035】
金型31は、全体として直方体箱型であり、底板部32と、枠部34と、上板部35とが重ね合されて形成されている。底板部32は、金属製で格子形状の多数の孔を規則的に設けたグレーチング構造になっており、その上面に薄い網板33が貼り付けられている。枠部34は、四角形の枠であり、底板部32の上面外周縁上に載置される。上板部35は、枠部34を覆う平板部35aと、枠部34内に密着状態で嵌め合わされる押圧部35bとを一体で設けており、底板部32と同様に、金属製で格子形状の多数の孔を規則的に設けたグレーチング構造になっている。押圧部35bの下面には、薄い網板36が貼りつけられている。ここで、底板部32及び上板部35のグレーチングの開孔率は、40%以上であることが望ましい。金型31は、底板部32と、枠部34と、上板部35とを重ね合せた型締め状態で、底板部32上面と押圧部35b下面間の距離が、舗装体の厚みになるようにされている。金型31は、上下一対の熱盤37,38に挟まれて加圧及び加熱されるようになっている。
【0036】
水蒸気処理槽41は、金型31がほぼ密着状態で収容される直方体の中間部42と、中間部42の上部に一体に設けられた四角錐台形状の上フード部43と、中間部42の下端に一体に設けられた逆四角錐台形状の上フード部43と略対称形状の下フード部45とを備えている。上フード部43の上面には上方に向けて突出した水蒸気流入口44が設けられており、水蒸気流入口14には水蒸気供給装置51から伸びた水蒸気流通管52が接続されている。下フード部45の底面には下方に向けて突出した水蒸気流出口46が設けられている。
【0037】
つぎに、上記舗装体の製造方法について説明する。まず、弾性骨材であるゴムチップと、ウレタン系バインダーと、硬質骨材である砂と、アミン化合物を攪拌機にて混合して調整した合材1を、例えば空隙率40%になるように計量して、金型31内に投入し、上板部35を被せて型締めされる。なお、底板部32には網板33が被せられており、上板部35の押圧部35bには網板36が被せられているため、合材1を加圧しても、材料が型外に抜け出ることはない。この金型31を、高温に加熱された熱盤37,38間に挿入し、熱盤37,38からの熱及び圧力を合材1に加えることにより、合材1が圧縮された状態で高温に加熱される。
【0038】
このように所定時間、熱盤37,38によって加圧及び加熱された金型31を、水蒸気処理槽41内に収容した後、水蒸気が、水蒸気供給装置51から水蒸気供給管52を通して水蒸気処理槽41内に供給される。この水蒸気は金型31の上板部35の隙間を通過して合材1に直接当てられ、その内部に浸透する。そのため、金型31内で加圧されて高温状態にされた合材1に対して、水蒸気の浸透により、その硬化反応を著しく促進させることができ、短時間に舗装体を製造することができる。また、圧縮された合材1が高温にされているため、水蒸気を合材1に直接当てても、合材1の硬化反応の制御が適正に行われ、バインダーの発泡による白化を防止することができる。その結果、外観上の問題がなく、また引張り強度の低下もない均一な物性の弾性舗装体を得ることができると共にその耐久性も適正に確保できる。また、合材内に水蒸気を浸透させることにより、弾性舗装体の製造時間を大幅に短縮できるので、その製造コストを従来に比べて大幅に安価にすることができる。
【0039】
なお、合材1の加圧及び高温に加熱する方法としては、上記熱プレスの代わりに送り熱プレスにより処理し、その後、上記水蒸気処理槽41において高温にされた合材に水蒸気を浸透させるようにしてもよい。さらに、熱プレスに代えて、ロートキュア連続加硫成型機を用いて、合材を連続的に加圧加熱することも可能である。
【0040】
なお、上記各実施形態及び変形例に示した弾性舗装体の製造方法については一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲においては、種々の形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である舗装体の製造工程の概略構成を示す模式図である。
【図2】同実施形態の変形例である舗装体の製造工程の一部についての概略構成を示す模式図である。
【図3】参考例2である舗装体を成型するための熱プレスの金型を概略構成を示す断面図である。
【図4】参考例2である水蒸気処理槽及び水蒸気供給装置の概略構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1…合材、2…圧縮体、11…金型、12…底板部、14…枠板部、15…上板部、18…圧縮板、21…加熱槽、22…熱風循環管、24…熱風供給装置、25…蒸気供給管、26…水蒸気供給装置、27…水蒸気処理槽、31…金型、32…底板部、34…枠部、35…上板部、37,38…熱盤、41…水蒸気処理槽、42…中間部、43…上フード部、45…下フード部、51…水蒸気供給装置、52…水蒸気供給管。
Claims (2)
- 弾性骨材とバインダーを混合した合材を、加圧及び加熱することにより板状の弾性舗装体を形成する弾性舗装体の製造方法であって、
圧縮された合材の空隙に熱風を透過させながら、該合材の温度が80℃に達した後に、該合材に水蒸気を直接当てるようにし、
前記圧縮された合材を保持する型として、熱風及び水蒸気の透過が可能な型が用いられ、
前記合材の熱風による加熱の前に、別工程で該合材が圧縮されたものであることを特徴とする弾性舗装体の製造方法。 - 前記合材に、該合材の加圧及び加熱による硬化を促進させる触媒を添加することを特徴とする前記請求項1に記載の弾性舗装体の製造方法。
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