JP3879092B2 - 印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法及び識別情報が埋め込まれた印刷物 - Google Patents
印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法及び識別情報が埋め込まれた印刷物 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法及び識別情報が埋め込まれた印刷物に関するものであり、印刷物の真偽判別などの分野に利用できる技術である。
【0002】
【従来の技術】
画像への識別情報埋め込み方法として、振幅、周波数、位相の各変調方式が提案されているが、識別情報の埋め込み及び識別情報の抽出の際、同じ方式を採用するのが一般的である。このうち、振幅変調を用いた識別情報の埋め込み例としては、モジュロ演算により直接変調する方法(特願平08-213540号)などがあるが、これを印刷物に適用しようとすると、中間調表現が可能な昇華型熱転写方式やグラビアなどの印刷方式に限定される。また、インキの濃度ムラや時間経過による色あせ、照明ムラなどの影響を受けやすいため、埋め込んだ識別情報を安定して抽出することが困難である。
【0003】
周波数変調による識別情報の埋め込み例としては、直交変換を用いたもの(中村、松井:”離散的直交変換を用いた濃淡画像とテキストデータの合成符号化法”、信学論、Vol.J72-D-II、No.3、pp.363-368、1989)などが提案されている。この方式は、一般に濃淡の繁雑な部分に識別情報を埋め込むため、絵柄によって埋め込み領域が限定される。印刷物に適用する際の埋め込み領域が狭いと、その部分に汚れやかすれがある時に識別情報の抽出が困難になることがある。
【0004】
位相変調を用いた識別情報の埋め込み例には、濃度パターン法によるもの(特願平08-058617号)やディザ法によるもの(特願昭62-047310号)などがある。これらは、濃度を密度に変換した二値画像の画素の位置を変調する方式であるため、幅広い印刷方式に適用できる。また、濃度階調を適切に変換すると、画像の広い範囲に識別情報を埋め込むことが可能なため、印刷物の汚れやかすれにも強い。但し、識別情報を抽出する際、高精度な位置合わせが必要である。また、識別情報を抽出する際、イメージスキャナやビデオカメラなどから入力した多値画像を二値化する必要があるが、多値画像のシャープネスの低下や照明ムラなどがあると、画素値を正しく復元できない場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、画像への識別情報の埋め込みを印刷物の真偽判別などの分野に利用するため、従来の技術がもつ上記の問題点に着目してなされたものであって、識別情報を埋め込む際は、予め規定された配列内の白画素の配置が二種類の配列置換画像の間で異なる性質を利用した位相変調方式による識別情報の埋め込みを行い、識別情報を抽出する際は、識別情報が埋め込まれた配列置換画像のフーリエスペクトルの偏向が二種類の配列置換画像の間で異なる性質を利用して識別情報の抽出を行い、識別情報の埋め込み方式と識別情報の抽出方式が異なることを特徴とした印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法及び識別情報が埋め込まれた印刷物を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、画像入力部、前処理部、配列置換部及び画像出力部をそれぞれ備えた識別情報埋め込み装置を用いて、前記画像入力部で原画像データをディジタル画像データに変換し、前記前処理部で前記ディジタル画像データを二値化して二値画像を作成した後、前記二値画像を拡大して拡大画像を作成し、前記配列置換部で前記拡大画像から二種類の配列置換画像を作成することによって、前記二種類の配列置換画像のそれぞれの種類の配列置換画像に1ビットの識別情報を埋め込み、前記画像出力部で前記二種類の配列置換画像の少なくともいずれかの種類の配列置換画像の画像データを出力して印刷物を得た上で、画像読み取り部、高速フーリエ変換部、フーリエスペクトル抽出部及びフーリエスペクトル出力部をそれぞれ備えた識別情報抽出装置を用いて、前記画像読み取り部で前記印刷物から読み取った前記配列置換画像の画像データをディジタル画像データに変換し、前記高速フーリエ変換部、前記フーリエスペクトル抽出部及び前記フーリエスペクトル出力部で前記画像読み取り部で得られたディジタル画像データを逐次処理し、前記二種類の配列置換画像のそれぞれの種類の配列置換画像のフーリエスペクトルの偏向が互いに異なることを利用して前記印刷物から前記識別情報を抽出することを特徴としている。
【0007】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記画像入力部が、イメージスキャナ又はビデオカメラを含む画像入力機器を用いて原画像データを取り込んで入力画像データを作成し、前記入力画像データをディジタル画像データに変換することを特徴としている。
【0008】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記前処理部が、前記ディジタル画像データを二値化して二値画像を作成し、前記二値画像を縦横にそれぞれ二倍に拡大して拡大画像を作成することを特徴としている。
【0009】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記配列置換部が、1の値の白画素と0の値の黒画素から構成される白黒の二値画像である前記拡大画像を2×2画素単位の配列に分割し、全ての前記2×2画素単位の配列において前記白画素の個数及び配置を所定の配列置換規則に従って変更することによって第一の配列置換画像及び第二の配列置換画像の二種類の配列置換画像を作成し、前記第一の配列置換画像と前記第二の配列置換画像の間で前記白画素の配置が異なる性質を利用して前記第一の配列置換画像及び前記第二の配列置換画像に1ビットの識別情報を埋め込むことを特徴としている。
【0010】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記画像出力部が、プリンタ又は印刷機を含む出力機器を用いて、前記第一の配列置換画像及び前記第二の配列置換画像の少なくともいずれかの配列置換画像の画像データを所定の基材の表面に出力することを特徴としている。
【0011】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記画像読み取り部が、イメージスキャナ又はビデオカメラを含む画像読み取り機器を用いて、前記第一の配列置換画像及び前記第二の配列置換画像の少なくともいずれかの配列置換画像の画像データであって、前記画像出力部によって前記基材の表面に出力された画像データを読み取ってディジタル画像データに変換することを特徴としている。
【0012】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記高速フーリエ変換部が、前記画像読み取り部によって得られたディジタル画像データを高速フーリエ変換することを特徴としている。
【0013】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記フーリエスペクトル抽出部が、前記高速フーリエ変換部によって高速フーリエ変換して得られた数値データからフーリエスペクトルを抽出することを特徴としている。
【0014】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記フーリエスペクトル出力部が、前記フーリエスペクトル抽出部によって抽出された前記フーリエスペクトルのデータをCRT又は液晶ディスプレイを含む表示装置に表示し、前記フーリエスペクトルのデータをプリンタ又は印刷機を含む出力機器を用いて出力することを特徴としている。
【0015】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記所定の配列置換規則が、2×2画素の配列Ci(i=1、2、...、5)を画素値Pxy(x=1、2;y=1、2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={1、0、0、0}、C4={1、0、1、1}及びC5={1、1、0、1}と定義し、前記第一の配列置換画像を作成する際は、前記C1を前記C3に置き換えた後、前記C2を前記C4に置き換え、前記第二の配列置換画像を作成する際は、前記C1を前記C3に置き換えた後、前記C2を前記C5に置き換えることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の識別情報が埋め込まれた印刷物は、画像入力部、前処理部、配列置換部及び画像出力部をそれぞれ備えた識別情報埋め込み装置を用いて、前記画像入力部で原画像データをディジタル画像データに変換し、前記前処理部で前記ディジタル画像データを二値化して二値画像を作成した後、前記二値画像を拡大して拡大画像を作成し、前記配列置換部で前記拡大画像から二種類の配列置換画像を作成することによって、前記二種類の配列置換画像のそれぞれの種類の配列置換画像に1ビットの識別情報を埋め込み、前記画像出力部で前記二種類の配列置換画像の少なくともいずれかの種類の配列置換画像の画像データを出力して形成された印刷物であって、画像読み取り部、高速フーリエ変換部、フーリエスペクトル抽出部及びフーリエスペクトル出力部をそれぞれ備えた識別情報抽出装置を用いて、前記画像読み取り部で前記印刷物から読み取った前記配列置換画像の画像データをディジタル画像データに変換し、前記高速フーリエ変換部、前記フーリエスペクトル抽出部及び前記フーリエスペクトル出力部で前記画像読み取り部で得られたディジタル画像データを逐次処理し、前記二種類の配列置換画像のそれぞれの種類の配列置換画像のフーリエスペクトルの偏向が互いに異なることを利用して前記印刷物から前記識別情報を抽出することを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、識別情報の埋め込み方式と識別情報の抽出方式が異なることを特徴とした印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法及び識別情報が埋め込まれた印刷物である。本発明に係る印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法を以下に説明する。なお、本発明に係る識別情報が埋め込まれた印刷物は、この方法の説明の中で説明する。
【0018】
最初に、原画像を入力してディジタル画像データに変換した画像を二値化した後、縦横にそれぞれ二倍に拡大して拡大画像を作成し、拡大画像を2×2画素単位に分割した全ての配列において、1の値の白画素の個数及び配置を配列置換規則に従って変更することによって二種類の配列置換画像を作成する。
【0019】
図2は、本発明に係る配列置換規則によって定義された2×2画素の配列を示す図である。拡大画像をFgt(x、y)(t=1、2、...)、第一の配列置換画像をFst(x、y)(t=1、2、...)、第二の配列置換画像をF'st(x、y)(t=1、2、...)とする。Fgt(x、y)を2×2画素単位に分割した各配列は必ずC1又はC2のいずれかである。配列置換手段は、Fgt(x、y)を2×2画素単位に分割した各配列においてC1をC3に置き換えた後、C2をC4に置き換えてFst(x、y)を作成し、Fgt(x、y)を2×2画素単位に分割した各配列においてC1をC3に置き換えた後、C2をC5に置き換えてF'st(x、y)を作成する。Fst(x、y)内のC4とF'st(x、y)内のC5とでは1の値の白画素の配置が異なるため、Fst(x、y)及びF'st(x、y)に1ビットの識別情報を埋め込むことが可能である。
【0020】
次に、Fst(x、y)及びF'st(x、y)の少なくともいずれかを含む一つ以上の画像データを画像出力装置を用いて出力することにより、識別情報が埋め込まれた印刷物を作成する。
【0021】
図4は、本発明に係る識別情報が埋め込まれた印刷物の一例を示す図である。目視では、図4(a)のFs1(x、y)と図4(b)のF's1(x、y)との違いを容易に見分けることができない。
【0022】
次に、イメージスキャナなどの画像読み取り装置を用いて、印刷物に印刷された配列置換画像を読み取ってディジタル画像データに変換し、ディジタル画像データに変換された配列置換画像を高速フーリエ変換して得られる数値データからフーリエスペクトルを抽出し、抽出したフーリエスペクトルのデータをCRTなどの表示装置に表示するとともに、抽出したフーリエスペクトルのデータをプリンタなどの出力装置を用いて出力する。
【0023】
図5は、本発明に係る図4の各印刷物の画像データに関するフーリエスペクトルをプリンタを用いて出力した一例を示す図である。図5(a)の|fs1(u、v)|は、図4(a)のFs1(x、y)のフーリエスペクトルで、円形状又は半円形状のパターンが縦に並んでいる。一方、図5(b)の|f's1(u、v)|は、図4(b)のF's1(x、y)のフーリエスペクトルであるが、円形状又は半円形状のパターンが横に並んでいる。このように、|fs1(u、v)|と|f's1(u、v)|とでは、フーリエスペクトルの偏向(方向の偏り)が異なるため、|fs1(u、v)|と|f's1(u、v)|との違いを目視で容易に見分けることができる。したがって、Fs1(x、y)及びF's1(x、y)に埋め込まれた1ビットの識別情報を抽出することが可能である。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法に関する識別情報埋め込み装置及び識別情報抽出装置の一例を示すブロック図である。図1に示す識別情報埋め込み装置1は、画像入力部3と前処理部4と配列置換部5と画像出力部6とを具備し、識別情報抽出装置2は、画像読み取り部7と高速フーリエ変換部8とフーリエスペクトル抽出部9とフーリエスペクトル出力部10とを具備している。
【0025】
画像入力部3は、イメージスキャナやビデオカメラなどを備えており、原画像11を入力してディジタル画像データに変換する。前処理部4は、原画像11のディジタル画像データを二値化して二値画像を作成し、その後二値画像を縦横にそれぞれ二倍に拡大して拡大画像を作成する。配列置換部5は、拡大画像を2×2画素単位に分割した全ての配列において、1の値の白画素の個数及び配置を配列置換規則に従って変更することによって二種類の配列置換画像を作成する。この詳細については、後述する。画像出力部6は、プリンタや印刷機などを備えており、二種類の配列置換画像の少なくともいずれかの種類の配列置換画像を含む一つ以上の画像データを紙、プラスチック、金属、布などの基材の表面に出力して印刷物を作成する。
【0026】
画像読み取り部7は、イメージスキャナやビデオカメラなどを備えており、識別情報が埋め込まれた印刷物12から配列置換画像を読み取ってディジタル画像データに変換する。高速フーリエ変換部8は、ディジタル画像データに変換された配列置換画像を高速フーリエ変換する。フーリエスペクトル抽出部9は、配列置換画像を高速フーリエ変換することにより得られる数値データ(実数部、虚数部、位相、フーリエスペクトル)からフーリエスペクトルを抽出する。フーリエスペクトル出力部10は、CRTや液晶ディスプレイなどの表示装置に抽出したフーリエスペクトルのデータを表示するとともに、プリンタや印刷機などの出力装置を用いて抽出したフーリエスペクトルのデータを出力する。
【0027】
図2は、本発明に係る配列置換規則によって定義された2×2画素の配列を示す図である。拡大画像Fgt(x、y)を2×2画素単位の配列に分割した場合、各配列は必ずC1又はC2のいずれかである。図1の配列置換部5は、配列置換規則に従って、Fgt(x、y)を2×2画素単位に分割した各配列においてC1をC3に置き換えた後、C2をC4に置き換えて第一の配列置換画像Fst(x、y)を作成し、Fgt(x、y)を2×2画素単位に分割した各配列においてC1をC3に置き換えた後、C2をC5に置き換えて第二の配列置換画像F'st(x、y)を作成する。
【0028】
図3は、本発明に係る識別情報の埋め込み及び抽出方法を説明するフローチャートであり、図3(a)は、図1の識別情報埋め込み装置1における処理のフローチャートであり、図3(b)は、図1の識別情報抽出装置2における処理のフローチャートである。
【0029】
まず、図3(a)を用いて、識別情報埋め込みルーチンを説明する。ステップ100では、原画像を読み取ってディジタル画像データに変換する。ステップ101では、取り込んだ原画像のディジタル画像データを二値化し、二値画像を作成する。ステップ102では、二値画像を縦横にそれぞれ二倍に拡大し、拡大画像Fgt(x、y)を作成する。ステップ103では、Fgt(x、y)を2×2画素単位に分割した各配列においてC1をC3に置き換えた後、C2をC4に置き換えて第一の配列置換画像Fst(x、y)を作成し、Fgt(x、y)を2×2画素単位に分割した各配列においてC1をC3に置き換えた後、C2をC5に置き換えて第二の配列置換画像F'st(x、y)を作成する。ステップ104では、Fst(x、y)及びF'st(x、y)の少なくともいずれかを含む一つ以上の画像データをプリンタや印刷機などの装置を用いて出力し、識別情報埋め込みルーチンを終了する。
【0030】
次に、図3(b)を用いて、識別情報抽出ルーチンを説明する。ステップ200では、識別情報が埋め込まれた印刷物から配列置換画像を読み取ってディジタル画像データに変換する。ステップ201では、ディジタル画像データに変換された配列置換画像を高速フーリエ変換する。ステップ202では、配列置換画像を高速フーリエ変換することにより得られる数値データからフーリエスペクトルを抽出する。ステップ203では、フーリエスペクトルのデータをCRTや液晶ディスプレイなどの表示装置に表示するとともに、フーリエスペクトルのデータをプリンタや印刷機などの出力装置を用いて出力し、識別情報抽出ルーチンを終了する。
【0031】
図4は、本発明に係る識別情報が埋め込まれた印刷物の一例を示す図である。目視では、図4(a)のFs1(x、y)と図4(b)のF's1(x、y)との違いを容易に見分けることができない。
【0032】
図5は、本発明に係る図4の各印刷物の画像データに関するフーリエスペクトルをプリンタを用いて出力した一例を示す図である。図5(a)の|fs1(u、v)|は、図4(a)のFs1(x、y)のフーリエスペクトルで、円形状又は半円形状のパターンが縦に並んでいる。一方、図5(b)の|f's1(u、v)|は、図4(b)のF's1(x、y)のフーリエスペクトルであるが、円形状又は半円形状のパターンが横に並んでいる。このように、|fs1(u、v)|と|f's1(u、v)|とでは、フーリエスペクトルの偏向(方向の偏り)が異なるため、|fs1(u、v)|と|f's1(u、v)|との違いを目視で容易に見分けることができる。したがって、Fs1(x、y)及びF's1(x、y)に埋め込まれた1ビットの識別情報を抽出することが可能である。
【0033】
図6は、円形パターンを有する拡大画像Fg2(x、y)と、その第一の配列置換画像Fs2(x、y)と、第二の配列置換画像F's2(x、y)とを示した図である。目視では、Fs2(x、y)とF's2(x、y)との違いを見分けることができない。
【0034】
図7は、図6(b)のFs2(x、y)のフーリエスペクトル|fs2(u、v)|及び図6(c)のF's2(x、y)のフーリエスペクトル|f's2(u、v)|を示した図である。|fs2(u、v)|と|f's2(u、v)|に関しては、フーリエスペクトルの偏向が異なるため、その違いを目視によって容易に見分けることができる。これは、識別情報が埋め込まれた配列置換画像Fs2(x、y)及びF's2(x、y)から識別情報を抽出することが可能であることを示している。
【0035】
図8は、図6(b)のFs2(x、y)とそれを構成する二つの画像Fa2(x、y)及びFb2(x、y)を示した図である。Fa2(x、y)は、C3をしきつめた画像で、Fs2(x、y)と同サイズの画像である。Fb2(x、y)は、Fs2(x、y)からFa2(x、y)を差し引いた差画像で、各画像間の関係は数1で与えられる。
【0036】
【数1】
Fs2(x,y)=Fa2(x,y)+Fb2(x,y)
【0037】
図9は、図6(c)のF's2(x、y)とそれを構成する二つの画像F'a2(x、y)及びF'b2(x、y)を示した図である。各画像間の関係は数2で与えられる。
【0038】
【数2】
F's2(x,y)=F'a2(x,y)+F'b2(x,y)
【0039】
但し、F'a2(x、y)とFa2(x、y)との間には数3が成り立つ。
【0040】
【数3】
F'a2(x,y)=Fa2(x,y)
【0041】
図10は、図8の各画像のフーリエスペクトルを示した図である。光学表示のため、各フーリエスペクトルの中央が直流成分である。各フーリエスペクトルの定義域をDR1とする。DR1は、-1/2≦u<1/2、且つ、-1/2≦v<1/2を満たす領域である。v=1/2の行及びu=1/2の列はDR1に含まれないので、|fa2(u、v)|は座標(u、v)が(-1/2、-1/2)、(0、-1/2)、(-1/2、0)、(0、0)の4点にフーリエスペクトルが現れる。この4点を定義域DR2とする。DR1からDR2を除く定義域をDR3とする。DR3では|fa2(u、v)|=0であるため、DR3においてfa2(u、v)=0が成り立つ。フーリエ変換の加法則より、DR3において数4が成り立つ。
【0042】
【数4】
fs2(u,v)=fb2(u,v)
【0043】
この結果、DR3では数5が成り立つ。
【0044】
【数5】
|fs2(u,v)|=|fb2(u,v)|
【0045】
図11は、図9の各画像のフーリエスペクトルを示した図である。ここで、|f'a2(u、v)|と|fa2(u、v)|との関係は数6で与えられる。
【0046】
【数6】
|f'a2(u,v)|=|fa2(u,v)|
【0047】
DR3においては数7が成り立つ。
【0048】
【数7】
|f's2(u,v)|=|f'b2(u,v)|
【0049】
|fa2(u、v)|の影響は、|fs2(u、v)|のDR2に現れ、|f'a2(u、v)|の影響は、|f's2(u、v)|のDR2に現れるが、DR1に占めるDR2の割合は極めて小さい。したがって、DR1の大半を占めるDR3において、式(5)及び式(7)が成り立つことから、|fs2(u、v)|のフーリエスペクトル分布に偏向を生じさせる主要素は|fb2(u、v)|であり、|f's2(u、v)|のフーリエスペクトル分布に偏向を生じさせる主要素は|f'b2(u、v)|であることがわかる。Fs2(x、y)がC3とC4で構成されるため、|fb2(u、v)|の空間画像Fb2(x、y)で、全画素値が0でない行の1の値の白画素は2画素以上(2の倍数)連続して現れる。一方、Fb2(x、y)の各列については、全画素値が0でない列において、1の値の白画素の両隣は必ず0の値の黒画素になる。このため、|fb2(u、v)|は、u軸方向の高周波領域(1/4≦u<1/2)に存在するフーリエスペクトルの割合が小さく、v軸方向の高周波領域(1/4≦v<1/2)に存在するフーリエスペクトルの割合が大きいという偏向を示す。また、F's2(x、y)はC3とC5で構成されるため、|f'b2(u、v)|の空間画像F'b2(x、y)では、全画素値が0でない列の1の値の白画素は2画素以上(2の倍数)連続して現れる。一方、F'b2(x、y)の各行については、全画素値が0でない行において、1の値の白画素の両隣は必ず0の値の黒画素になる。このため、|f'b2(u、v)|は、v軸方向の高周波領域(1/4≦v<1/2)に存在するフーリエスペクトルの割合が小さく、u軸方向の高周波領域(1/4≦u<1/2)に存在するフーリエスペクトルの割合が大きいという偏向を示す。|fb2(u、v)|と|f'b2(u、v)|とでは、フーリエスペクトルの偏向が異なるため、識別情報が埋め込まれた配列置換画像から識別情報を抽出することが可能となる。
【0050】
【発明の効果】
本発明に係る印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法では、二値画像への識別情報の埋め込みを前提としているため、濃淡画像に比べ、インキの濃度ムラや時間経過による色あせ、照明ムラなどの影響を受けにくいこと、位相変調を利用して二値画像全体に識別情報を埋め込むため、周波数変調のように絵柄によって識別情報の埋め込み領域が制限されることがないなどの特徴を有している。このため、印刷物の真偽判別などの分野に利用することができる。また、識別情報が埋め込まれた印刷物から読み取った配列置換画像の画像データのフーリエスペクトルに現れる偏向を利用して識別情報を抽出するため、イメージスキャナやビデオカメラなどから読み取った画像データを必ずしも二値化する必要がなく、読み取った画像データのシャープネスの低下や照明ムラの影響を受けにくいなどの特徴を有している。このため、従来法と比較して、印刷物の真偽判別を安定して行う方法を提供することができる。また、本発明に係る識別情報が埋め込まれた印刷物は、二値画像を出力した印刷物であるため、プリンタ、印刷機などの様々な出力装置を用いて紙、プラスチック、金属、布など様々な媒体に識別情報が埋め込まれた画像を簡便に印刷することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】識別情報埋め込み装置及び識別情報抽出装置の一例を示すブロック図。
【図2】配列置換規則によって定義された2×2画素の配列を示す図。
【図3】識別情報の埋め込み及び抽出方法を説明するフローチャート。
【図4】識別情報が埋め込まれた印刷物の一例を示す図。
【図5】図4の各印刷物の画像データに関するフーリエスペクトルをプリンタを用いて出力した一例を示す図。
【図6】円形パターンを有する拡大画像Fg2(x、y)と、その第一の配列置換画像Fs2(x、y)と、第二の配列置換画像F's2(x、y)とを示す図。
【図7】図6(b)のFs2(x、y)のフーリエスペクトル|fs2(u、v)|と、図6(c)のF's2(x、y)のフーリエスペクトル|f's2(u、v)|とを示す図。
【図8】図6(b)のFs2(x、y)と、それを構成する二つの画像Fa2(x、y)及びFb2(x、y)とを示す図。
【図9】図6(c)のF's2(x、y)と、それを構成する二つの画像F'a2(x、y)及びF'b2(x、y)とを示す図。
【図10】図8の各画像のフーリエスペクトルを示す図。
【図11】図9の各画像のフーリエスペクトルを示す図。
【符号の説明】
1… 識別情報埋め込み装置
2… 識別情報抽出装置
3… 画像入力部
4… 前処理部
5… 配列置換部
6… 画像出力部
7… 画像読み取り部
8… 高速フーリエ変換部
9… フーリエスペクトル抽出部
10… フーリエスペクトル出力部
11… 原画像
12… 識別情報が埋め込まれた印刷物
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法及び識別情報が埋め込まれた印刷物に関するものであり、印刷物の真偽判別などの分野に利用できる技術である。
【0002】
【従来の技術】
画像への識別情報埋め込み方法として、振幅、周波数、位相の各変調方式が提案されているが、識別情報の埋め込み及び識別情報の抽出の際、同じ方式を採用するのが一般的である。このうち、振幅変調を用いた識別情報の埋め込み例としては、モジュロ演算により直接変調する方法(特願平08-213540号)などがあるが、これを印刷物に適用しようとすると、中間調表現が可能な昇華型熱転写方式やグラビアなどの印刷方式に限定される。また、インキの濃度ムラや時間経過による色あせ、照明ムラなどの影響を受けやすいため、埋め込んだ識別情報を安定して抽出することが困難である。
【0003】
周波数変調による識別情報の埋め込み例としては、直交変換を用いたもの(中村、松井:”離散的直交変換を用いた濃淡画像とテキストデータの合成符号化法”、信学論、Vol.J72-D-II、No.3、pp.363-368、1989)などが提案されている。この方式は、一般に濃淡の繁雑な部分に識別情報を埋め込むため、絵柄によって埋め込み領域が限定される。印刷物に適用する際の埋め込み領域が狭いと、その部分に汚れやかすれがある時に識別情報の抽出が困難になることがある。
【0004】
位相変調を用いた識別情報の埋め込み例には、濃度パターン法によるもの(特願平08-058617号)やディザ法によるもの(特願昭62-047310号)などがある。これらは、濃度を密度に変換した二値画像の画素の位置を変調する方式であるため、幅広い印刷方式に適用できる。また、濃度階調を適切に変換すると、画像の広い範囲に識別情報を埋め込むことが可能なため、印刷物の汚れやかすれにも強い。但し、識別情報を抽出する際、高精度な位置合わせが必要である。また、識別情報を抽出する際、イメージスキャナやビデオカメラなどから入力した多値画像を二値化する必要があるが、多値画像のシャープネスの低下や照明ムラなどがあると、画素値を正しく復元できない場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、画像への識別情報の埋め込みを印刷物の真偽判別などの分野に利用するため、従来の技術がもつ上記の問題点に着目してなされたものであって、識別情報を埋め込む際は、予め規定された配列内の白画素の配置が二種類の配列置換画像の間で異なる性質を利用した位相変調方式による識別情報の埋め込みを行い、識別情報を抽出する際は、識別情報が埋め込まれた配列置換画像のフーリエスペクトルの偏向が二種類の配列置換画像の間で異なる性質を利用して識別情報の抽出を行い、識別情報の埋め込み方式と識別情報の抽出方式が異なることを特徴とした印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法及び識別情報が埋め込まれた印刷物を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、画像入力部、前処理部、配列置換部及び画像出力部をそれぞれ備えた識別情報埋め込み装置を用いて、前記画像入力部で原画像データをディジタル画像データに変換し、前記前処理部で前記ディジタル画像データを二値化して二値画像を作成した後、前記二値画像を拡大して拡大画像を作成し、前記配列置換部で前記拡大画像から二種類の配列置換画像を作成することによって、前記二種類の配列置換画像のそれぞれの種類の配列置換画像に1ビットの識別情報を埋め込み、前記画像出力部で前記二種類の配列置換画像の少なくともいずれかの種類の配列置換画像の画像データを出力して印刷物を得た上で、画像読み取り部、高速フーリエ変換部、フーリエスペクトル抽出部及びフーリエスペクトル出力部をそれぞれ備えた識別情報抽出装置を用いて、前記画像読み取り部で前記印刷物から読み取った前記配列置換画像の画像データをディジタル画像データに変換し、前記高速フーリエ変換部、前記フーリエスペクトル抽出部及び前記フーリエスペクトル出力部で前記画像読み取り部で得られたディジタル画像データを逐次処理し、前記二種類の配列置換画像のそれぞれの種類の配列置換画像のフーリエスペクトルの偏向が互いに異なることを利用して前記印刷物から前記識別情報を抽出することを特徴としている。
【0007】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記画像入力部が、イメージスキャナ又はビデオカメラを含む画像入力機器を用いて原画像データを取り込んで入力画像データを作成し、前記入力画像データをディジタル画像データに変換することを特徴としている。
【0008】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記前処理部が、前記ディジタル画像データを二値化して二値画像を作成し、前記二値画像を縦横にそれぞれ二倍に拡大して拡大画像を作成することを特徴としている。
【0009】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記配列置換部が、1の値の白画素と0の値の黒画素から構成される白黒の二値画像である前記拡大画像を2×2画素単位の配列に分割し、全ての前記2×2画素単位の配列において前記白画素の個数及び配置を所定の配列置換規則に従って変更することによって第一の配列置換画像及び第二の配列置換画像の二種類の配列置換画像を作成し、前記第一の配列置換画像と前記第二の配列置換画像の間で前記白画素の配置が異なる性質を利用して前記第一の配列置換画像及び前記第二の配列置換画像に1ビットの識別情報を埋め込むことを特徴としている。
【0010】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記画像出力部が、プリンタ又は印刷機を含む出力機器を用いて、前記第一の配列置換画像及び前記第二の配列置換画像の少なくともいずれかの配列置換画像の画像データを所定の基材の表面に出力することを特徴としている。
【0011】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記画像読み取り部が、イメージスキャナ又はビデオカメラを含む画像読み取り機器を用いて、前記第一の配列置換画像及び前記第二の配列置換画像の少なくともいずれかの配列置換画像の画像データであって、前記画像出力部によって前記基材の表面に出力された画像データを読み取ってディジタル画像データに変換することを特徴としている。
【0012】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記高速フーリエ変換部が、前記画像読み取り部によって得られたディジタル画像データを高速フーリエ変換することを特徴としている。
【0013】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記フーリエスペクトル抽出部が、前記高速フーリエ変換部によって高速フーリエ変換して得られた数値データからフーリエスペクトルを抽出することを特徴としている。
【0014】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記フーリエスペクトル出力部が、前記フーリエスペクトル抽出部によって抽出された前記フーリエスペクトルのデータをCRT又は液晶ディスプレイを含む表示装置に表示し、前記フーリエスペクトルのデータをプリンタ又は印刷機を含む出力機器を用いて出力することを特徴としている。
【0015】
また、本発明の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法は、前記所定の配列置換規則が、2×2画素の配列Ci(i=1、2、...、5)を画素値Pxy(x=1、2;y=1、2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={1、0、0、0}、C4={1、0、1、1}及びC5={1、1、0、1}と定義し、前記第一の配列置換画像を作成する際は、前記C1を前記C3に置き換えた後、前記C2を前記C4に置き換え、前記第二の配列置換画像を作成する際は、前記C1を前記C3に置き換えた後、前記C2を前記C5に置き換えることを特徴としている。
【0016】
また、本発明の識別情報が埋め込まれた印刷物は、画像入力部、前処理部、配列置換部及び画像出力部をそれぞれ備えた識別情報埋め込み装置を用いて、前記画像入力部で原画像データをディジタル画像データに変換し、前記前処理部で前記ディジタル画像データを二値化して二値画像を作成した後、前記二値画像を拡大して拡大画像を作成し、前記配列置換部で前記拡大画像から二種類の配列置換画像を作成することによって、前記二種類の配列置換画像のそれぞれの種類の配列置換画像に1ビットの識別情報を埋め込み、前記画像出力部で前記二種類の配列置換画像の少なくともいずれかの種類の配列置換画像の画像データを出力して形成された印刷物であって、画像読み取り部、高速フーリエ変換部、フーリエスペクトル抽出部及びフーリエスペクトル出力部をそれぞれ備えた識別情報抽出装置を用いて、前記画像読み取り部で前記印刷物から読み取った前記配列置換画像の画像データをディジタル画像データに変換し、前記高速フーリエ変換部、前記フーリエスペクトル抽出部及び前記フーリエスペクトル出力部で前記画像読み取り部で得られたディジタル画像データを逐次処理し、前記二種類の配列置換画像のそれぞれの種類の配列置換画像のフーリエスペクトルの偏向が互いに異なることを利用して前記印刷物から前記識別情報を抽出することを特徴としている。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、識別情報の埋め込み方式と識別情報の抽出方式が異なることを特徴とした印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法及び識別情報が埋め込まれた印刷物である。本発明に係る印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法を以下に説明する。なお、本発明に係る識別情報が埋め込まれた印刷物は、この方法の説明の中で説明する。
【0018】
最初に、原画像を入力してディジタル画像データに変換した画像を二値化した後、縦横にそれぞれ二倍に拡大して拡大画像を作成し、拡大画像を2×2画素単位に分割した全ての配列において、1の値の白画素の個数及び配置を配列置換規則に従って変更することによって二種類の配列置換画像を作成する。
【0019】
図2は、本発明に係る配列置換規則によって定義された2×2画素の配列を示す図である。拡大画像をFgt(x、y)(t=1、2、...)、第一の配列置換画像をFst(x、y)(t=1、2、...)、第二の配列置換画像をF'st(x、y)(t=1、2、...)とする。Fgt(x、y)を2×2画素単位に分割した各配列は必ずC1又はC2のいずれかである。配列置換手段は、Fgt(x、y)を2×2画素単位に分割した各配列においてC1をC3に置き換えた後、C2をC4に置き換えてFst(x、y)を作成し、Fgt(x、y)を2×2画素単位に分割した各配列においてC1をC3に置き換えた後、C2をC5に置き換えてF'st(x、y)を作成する。Fst(x、y)内のC4とF'st(x、y)内のC5とでは1の値の白画素の配置が異なるため、Fst(x、y)及びF'st(x、y)に1ビットの識別情報を埋め込むことが可能である。
【0020】
次に、Fst(x、y)及びF'st(x、y)の少なくともいずれかを含む一つ以上の画像データを画像出力装置を用いて出力することにより、識別情報が埋め込まれた印刷物を作成する。
【0021】
図4は、本発明に係る識別情報が埋め込まれた印刷物の一例を示す図である。目視では、図4(a)のFs1(x、y)と図4(b)のF's1(x、y)との違いを容易に見分けることができない。
【0022】
次に、イメージスキャナなどの画像読み取り装置を用いて、印刷物に印刷された配列置換画像を読み取ってディジタル画像データに変換し、ディジタル画像データに変換された配列置換画像を高速フーリエ変換して得られる数値データからフーリエスペクトルを抽出し、抽出したフーリエスペクトルのデータをCRTなどの表示装置に表示するとともに、抽出したフーリエスペクトルのデータをプリンタなどの出力装置を用いて出力する。
【0023】
図5は、本発明に係る図4の各印刷物の画像データに関するフーリエスペクトルをプリンタを用いて出力した一例を示す図である。図5(a)の|fs1(u、v)|は、図4(a)のFs1(x、y)のフーリエスペクトルで、円形状又は半円形状のパターンが縦に並んでいる。一方、図5(b)の|f's1(u、v)|は、図4(b)のF's1(x、y)のフーリエスペクトルであるが、円形状又は半円形状のパターンが横に並んでいる。このように、|fs1(u、v)|と|f's1(u、v)|とでは、フーリエスペクトルの偏向(方向の偏り)が異なるため、|fs1(u、v)|と|f's1(u、v)|との違いを目視で容易に見分けることができる。したがって、Fs1(x、y)及びF's1(x、y)に埋め込まれた1ビットの識別情報を抽出することが可能である。
【0024】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法に関する識別情報埋め込み装置及び識別情報抽出装置の一例を示すブロック図である。図1に示す識別情報埋め込み装置1は、画像入力部3と前処理部4と配列置換部5と画像出力部6とを具備し、識別情報抽出装置2は、画像読み取り部7と高速フーリエ変換部8とフーリエスペクトル抽出部9とフーリエスペクトル出力部10とを具備している。
【0025】
画像入力部3は、イメージスキャナやビデオカメラなどを備えており、原画像11を入力してディジタル画像データに変換する。前処理部4は、原画像11のディジタル画像データを二値化して二値画像を作成し、その後二値画像を縦横にそれぞれ二倍に拡大して拡大画像を作成する。配列置換部5は、拡大画像を2×2画素単位に分割した全ての配列において、1の値の白画素の個数及び配置を配列置換規則に従って変更することによって二種類の配列置換画像を作成する。この詳細については、後述する。画像出力部6は、プリンタや印刷機などを備えており、二種類の配列置換画像の少なくともいずれかの種類の配列置換画像を含む一つ以上の画像データを紙、プラスチック、金属、布などの基材の表面に出力して印刷物を作成する。
【0026】
画像読み取り部7は、イメージスキャナやビデオカメラなどを備えており、識別情報が埋め込まれた印刷物12から配列置換画像を読み取ってディジタル画像データに変換する。高速フーリエ変換部8は、ディジタル画像データに変換された配列置換画像を高速フーリエ変換する。フーリエスペクトル抽出部9は、配列置換画像を高速フーリエ変換することにより得られる数値データ(実数部、虚数部、位相、フーリエスペクトル)からフーリエスペクトルを抽出する。フーリエスペクトル出力部10は、CRTや液晶ディスプレイなどの表示装置に抽出したフーリエスペクトルのデータを表示するとともに、プリンタや印刷機などの出力装置を用いて抽出したフーリエスペクトルのデータを出力する。
【0027】
図2は、本発明に係る配列置換規則によって定義された2×2画素の配列を示す図である。拡大画像Fgt(x、y)を2×2画素単位の配列に分割した場合、各配列は必ずC1又はC2のいずれかである。図1の配列置換部5は、配列置換規則に従って、Fgt(x、y)を2×2画素単位に分割した各配列においてC1をC3に置き換えた後、C2をC4に置き換えて第一の配列置換画像Fst(x、y)を作成し、Fgt(x、y)を2×2画素単位に分割した各配列においてC1をC3に置き換えた後、C2をC5に置き換えて第二の配列置換画像F'st(x、y)を作成する。
【0028】
図3は、本発明に係る識別情報の埋め込み及び抽出方法を説明するフローチャートであり、図3(a)は、図1の識別情報埋め込み装置1における処理のフローチャートであり、図3(b)は、図1の識別情報抽出装置2における処理のフローチャートである。
【0029】
まず、図3(a)を用いて、識別情報埋め込みルーチンを説明する。ステップ100では、原画像を読み取ってディジタル画像データに変換する。ステップ101では、取り込んだ原画像のディジタル画像データを二値化し、二値画像を作成する。ステップ102では、二値画像を縦横にそれぞれ二倍に拡大し、拡大画像Fgt(x、y)を作成する。ステップ103では、Fgt(x、y)を2×2画素単位に分割した各配列においてC1をC3に置き換えた後、C2をC4に置き換えて第一の配列置換画像Fst(x、y)を作成し、Fgt(x、y)を2×2画素単位に分割した各配列においてC1をC3に置き換えた後、C2をC5に置き換えて第二の配列置換画像F'st(x、y)を作成する。ステップ104では、Fst(x、y)及びF'st(x、y)の少なくともいずれかを含む一つ以上の画像データをプリンタや印刷機などの装置を用いて出力し、識別情報埋め込みルーチンを終了する。
【0030】
次に、図3(b)を用いて、識別情報抽出ルーチンを説明する。ステップ200では、識別情報が埋め込まれた印刷物から配列置換画像を読み取ってディジタル画像データに変換する。ステップ201では、ディジタル画像データに変換された配列置換画像を高速フーリエ変換する。ステップ202では、配列置換画像を高速フーリエ変換することにより得られる数値データからフーリエスペクトルを抽出する。ステップ203では、フーリエスペクトルのデータをCRTや液晶ディスプレイなどの表示装置に表示するとともに、フーリエスペクトルのデータをプリンタや印刷機などの出力装置を用いて出力し、識別情報抽出ルーチンを終了する。
【0031】
図4は、本発明に係る識別情報が埋め込まれた印刷物の一例を示す図である。目視では、図4(a)のFs1(x、y)と図4(b)のF's1(x、y)との違いを容易に見分けることができない。
【0032】
図5は、本発明に係る図4の各印刷物の画像データに関するフーリエスペクトルをプリンタを用いて出力した一例を示す図である。図5(a)の|fs1(u、v)|は、図4(a)のFs1(x、y)のフーリエスペクトルで、円形状又は半円形状のパターンが縦に並んでいる。一方、図5(b)の|f's1(u、v)|は、図4(b)のF's1(x、y)のフーリエスペクトルであるが、円形状又は半円形状のパターンが横に並んでいる。このように、|fs1(u、v)|と|f's1(u、v)|とでは、フーリエスペクトルの偏向(方向の偏り)が異なるため、|fs1(u、v)|と|f's1(u、v)|との違いを目視で容易に見分けることができる。したがって、Fs1(x、y)及びF's1(x、y)に埋め込まれた1ビットの識別情報を抽出することが可能である。
【0033】
図6は、円形パターンを有する拡大画像Fg2(x、y)と、その第一の配列置換画像Fs2(x、y)と、第二の配列置換画像F's2(x、y)とを示した図である。目視では、Fs2(x、y)とF's2(x、y)との違いを見分けることができない。
【0034】
図7は、図6(b)のFs2(x、y)のフーリエスペクトル|fs2(u、v)|及び図6(c)のF's2(x、y)のフーリエスペクトル|f's2(u、v)|を示した図である。|fs2(u、v)|と|f's2(u、v)|に関しては、フーリエスペクトルの偏向が異なるため、その違いを目視によって容易に見分けることができる。これは、識別情報が埋め込まれた配列置換画像Fs2(x、y)及びF's2(x、y)から識別情報を抽出することが可能であることを示している。
【0035】
図8は、図6(b)のFs2(x、y)とそれを構成する二つの画像Fa2(x、y)及びFb2(x、y)を示した図である。Fa2(x、y)は、C3をしきつめた画像で、Fs2(x、y)と同サイズの画像である。Fb2(x、y)は、Fs2(x、y)からFa2(x、y)を差し引いた差画像で、各画像間の関係は数1で与えられる。
【0036】
【数1】
Fs2(x,y)=Fa2(x,y)+Fb2(x,y)
【0037】
図9は、図6(c)のF's2(x、y)とそれを構成する二つの画像F'a2(x、y)及びF'b2(x、y)を示した図である。各画像間の関係は数2で与えられる。
【0038】
【数2】
F's2(x,y)=F'a2(x,y)+F'b2(x,y)
【0039】
但し、F'a2(x、y)とFa2(x、y)との間には数3が成り立つ。
【0040】
【数3】
F'a2(x,y)=Fa2(x,y)
【0041】
図10は、図8の各画像のフーリエスペクトルを示した図である。光学表示のため、各フーリエスペクトルの中央が直流成分である。各フーリエスペクトルの定義域をDR1とする。DR1は、-1/2≦u<1/2、且つ、-1/2≦v<1/2を満たす領域である。v=1/2の行及びu=1/2の列はDR1に含まれないので、|fa2(u、v)|は座標(u、v)が(-1/2、-1/2)、(0、-1/2)、(-1/2、0)、(0、0)の4点にフーリエスペクトルが現れる。この4点を定義域DR2とする。DR1からDR2を除く定義域をDR3とする。DR3では|fa2(u、v)|=0であるため、DR3においてfa2(u、v)=0が成り立つ。フーリエ変換の加法則より、DR3において数4が成り立つ。
【0042】
【数4】
fs2(u,v)=fb2(u,v)
【0043】
この結果、DR3では数5が成り立つ。
【0044】
【数5】
|fs2(u,v)|=|fb2(u,v)|
【0045】
図11は、図9の各画像のフーリエスペクトルを示した図である。ここで、|f'a2(u、v)|と|fa2(u、v)|との関係は数6で与えられる。
【0046】
【数6】
|f'a2(u,v)|=|fa2(u,v)|
【0047】
DR3においては数7が成り立つ。
【0048】
【数7】
|f's2(u,v)|=|f'b2(u,v)|
【0049】
|fa2(u、v)|の影響は、|fs2(u、v)|のDR2に現れ、|f'a2(u、v)|の影響は、|f's2(u、v)|のDR2に現れるが、DR1に占めるDR2の割合は極めて小さい。したがって、DR1の大半を占めるDR3において、式(5)及び式(7)が成り立つことから、|fs2(u、v)|のフーリエスペクトル分布に偏向を生じさせる主要素は|fb2(u、v)|であり、|f's2(u、v)|のフーリエスペクトル分布に偏向を生じさせる主要素は|f'b2(u、v)|であることがわかる。Fs2(x、y)がC3とC4で構成されるため、|fb2(u、v)|の空間画像Fb2(x、y)で、全画素値が0でない行の1の値の白画素は2画素以上(2の倍数)連続して現れる。一方、Fb2(x、y)の各列については、全画素値が0でない列において、1の値の白画素の両隣は必ず0の値の黒画素になる。このため、|fb2(u、v)|は、u軸方向の高周波領域(1/4≦u<1/2)に存在するフーリエスペクトルの割合が小さく、v軸方向の高周波領域(1/4≦v<1/2)に存在するフーリエスペクトルの割合が大きいという偏向を示す。また、F's2(x、y)はC3とC5で構成されるため、|f'b2(u、v)|の空間画像F'b2(x、y)では、全画素値が0でない列の1の値の白画素は2画素以上(2の倍数)連続して現れる。一方、F'b2(x、y)の各行については、全画素値が0でない行において、1の値の白画素の両隣は必ず0の値の黒画素になる。このため、|f'b2(u、v)|は、v軸方向の高周波領域(1/4≦v<1/2)に存在するフーリエスペクトルの割合が小さく、u軸方向の高周波領域(1/4≦u<1/2)に存在するフーリエスペクトルの割合が大きいという偏向を示す。|fb2(u、v)|と|f'b2(u、v)|とでは、フーリエスペクトルの偏向が異なるため、識別情報が埋め込まれた配列置換画像から識別情報を抽出することが可能となる。
【0050】
【発明の効果】
本発明に係る印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法では、二値画像への識別情報の埋め込みを前提としているため、濃淡画像に比べ、インキの濃度ムラや時間経過による色あせ、照明ムラなどの影響を受けにくいこと、位相変調を利用して二値画像全体に識別情報を埋め込むため、周波数変調のように絵柄によって識別情報の埋め込み領域が制限されることがないなどの特徴を有している。このため、印刷物の真偽判別などの分野に利用することができる。また、識別情報が埋め込まれた印刷物から読み取った配列置換画像の画像データのフーリエスペクトルに現れる偏向を利用して識別情報を抽出するため、イメージスキャナやビデオカメラなどから読み取った画像データを必ずしも二値化する必要がなく、読み取った画像データのシャープネスの低下や照明ムラの影響を受けにくいなどの特徴を有している。このため、従来法と比較して、印刷物の真偽判別を安定して行う方法を提供することができる。また、本発明に係る識別情報が埋め込まれた印刷物は、二値画像を出力した印刷物であるため、プリンタ、印刷機などの様々な出力装置を用いて紙、プラスチック、金属、布など様々な媒体に識別情報が埋め込まれた画像を簡便に印刷することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】識別情報埋め込み装置及び識別情報抽出装置の一例を示すブロック図。
【図2】配列置換規則によって定義された2×2画素の配列を示す図。
【図3】識別情報の埋め込み及び抽出方法を説明するフローチャート。
【図4】識別情報が埋め込まれた印刷物の一例を示す図。
【図5】図4の各印刷物の画像データに関するフーリエスペクトルをプリンタを用いて出力した一例を示す図。
【図6】円形パターンを有する拡大画像Fg2(x、y)と、その第一の配列置換画像Fs2(x、y)と、第二の配列置換画像F's2(x、y)とを示す図。
【図7】図6(b)のFs2(x、y)のフーリエスペクトル|fs2(u、v)|と、図6(c)のF's2(x、y)のフーリエスペクトル|f's2(u、v)|とを示す図。
【図8】図6(b)のFs2(x、y)と、それを構成する二つの画像Fa2(x、y)及びFb2(x、y)とを示す図。
【図9】図6(c)のF's2(x、y)と、それを構成する二つの画像F'a2(x、y)及びF'b2(x、y)とを示す図。
【図10】図8の各画像のフーリエスペクトルを示す図。
【図11】図9の各画像のフーリエスペクトルを示す図。
【符号の説明】
1… 識別情報埋め込み装置
2… 識別情報抽出装置
3… 画像入力部
4… 前処理部
5… 配列置換部
6… 画像出力部
7… 画像読み取り部
8… 高速フーリエ変換部
9… フーリエスペクトル抽出部
10… フーリエスペクトル出力部
11… 原画像
12… 識別情報が埋め込まれた印刷物
Claims (11)
- 画像入力部、前処理部、配列置換部及び画像出力部をそれぞれ備えた識別情報埋め込み装置を用いて、
前記画像入力部で原画像データをディジタル画像データに変換し、
前記前処理部で前記ディジタル画像データを二値化して二値画像を作成した後、前記二値画像を拡大して拡大画像を作成し、
前記配列置換部で前記拡大画像から二種類の配列置換画像を作成することによって、前記二種類の配列置換画像のそれぞれの種類の配列置換画像に1ビットの識別情報を埋め込み、
前記画像出力部で前記二種類の配列置換画像の少なくともいずれかの種類の配列置換画像の画像データを出力して印刷物を得た上で、
画像読み取り部、高速フーリエ変換部、フーリエスペクトル抽出部及びフーリエスペクトル出力部をそれぞれ備えた識別情報抽出装置を用いて、
前記画像読み取り部で前記印刷物から読み取った前記配列置換画像の画像データをディジタル画像データに変換し、
前記高速フーリエ変換部、前記フーリエスペクトル抽出部及び前記フーリエスペクトル出力部で前記画像読み取り部で得られたディジタル画像データを逐次処理し、前記二種類の配列置換画像のそれぞれの種類の配列置換画像のフーリエスペクトルの偏向が互いに異なることを利用して前記印刷物から前記識別情報を抽出することを特徴とする印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法。 - 前記画像入力部は、
イメージスキャナ又はビデオカメラを含む画像入力機器を用いて原画像データを取り込んで入力画像データを作成し、
前記入力画像データをディジタル画像データに変換することを特徴とする請求項1記載の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法。 - 前記前処理部は、
前記ディジタル画像データを二値化して二値画像を作成し、
前記二値画像を縦横にそれぞれ二倍に拡大して拡大画像を作成することを特徴とする請求項1又は2記載の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法。 - 前記配列置換部は、
1の値の白画素と0の値の黒画素から構成される白黒の二値画像である前記拡大画像を2×2画素単位の配列に分割し、
全ての前記2×2画素単位の配列において前記白画素の個数及び配置を所定の配列置換規則に従って変更することによって第一の配列置換画像及び第二の配列置換画像の二種類の配列置換画像を作成し、
前記第一の配列置換画像と前記第二の配列置換画像の間で前記白画素の配置が異なる性質を利用して前記第一の配列置換画像及び前記第二の配列置換画像に1ビットの識別情報を埋め込むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法。 - 前記画像出力部は、
プリンタ又は印刷機を含む出力機器を用いて、
前記第一の配列置換画像及び前記第二の配列置換画像の少なくともいずれかの配列置換画像の画像データを所定の基材の表面に出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法。 - 前記画像読み取り部は、
イメージスキャナ又はビデオカメラを含む画像読み取り機器を用いて、
前記第一の配列置換画像及び前記第二の配列置換画像の少なくともいずれかの配列置換画像の画像データであって、
前記画像出力部によって前記基材の表面に出力された画像データを読み取ってディジタル画像データに変換することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法。 - 前記高速フーリエ変換部は、
前記画像読み取り部によって得られたディジタル画像データを高速フーリエ変換することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法。 - 前記フーリエスペクトル抽出部は、
前記高速フーリエ変換部によって高速フーリエ変換して得られた数値データからフーリエスペクトルを抽出することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法。 - 前記フーリエスペクトル出力部は、
前記フーリエスペクトル抽出部によって抽出された前記フーリエスペクトルのデータをCRT又は液晶ディスプレイを含む表示装置に表示し、
前記フーリエスペクトルのデータをプリンタ又は印刷機を含む出力機器を用いて出力することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法。 - 前記所定の配列置換規則は、
2×2画素の配列Ci(i=1、2、...、5)を画素値Pxy(x=1、2;y=1、2)を用いてCi={P11、P21、P12、P22}で表し、
C1={0、0、0、0}、C2={1、1、1、1}、C3={1、0、0、0}、C4={1、0、1、1}及びC5={1、1、0、1}と定義し、
前記第一の配列置換画像を作成する際は、前記C1を前記C3に置き換えた後、前記C2を前記C4に置き換え、
前記第二の配列置換画像を作成する際は、前記C1を前記C3に置き換えた後、前記C2を前記C5に置き換えることを特徴とする請求項4乃至9のいずれかに記載の印刷物に埋め込まれた識別情報の抽出方法。 - 画像入力部、前処理部、配列置換部及び画像出力部をそれぞれ備えた識別情報埋め込み装置を用いて、
前記画像入力部で原画像データをディジタル画像データに変換し、
前記前処理部で前記ディジタル画像データを二値化して二値画像を作成した後、前記二値画像を拡大して拡大画像を作成し、
前記配列置換部で前記拡大画像から二種類の配列置換画像を作成することによって、前記二種類の配列置換画像のそれぞれの種類の配列置換画像に1ビットの識別情報を埋め込み、
前記画像出力部で前記二種類の配列置換画像の少なくともいずれかの種類の配列置換画像の画像データを出力して形成された印刷物であって、
画像読み取り部、高速フーリエ変換部、フーリエスペクトル抽出部及びフーリエスペクトル出力部をそれぞれ備えた識別情報抽出装置を用いて、
前記画像読み取り部で前記印刷物から読み取った前記配列置換画像の画像データをディジタル画像データに変換し、
前記高速フーリエ変換部、前記フーリエスペクトル抽出部及び前記フーリエスペクトル出力部で前記画像読み取り部で得られたディジタル画像データを逐次処理し、前記二種類の配列置換画像のそれぞれの種類の配列置換画像のフーリエスペクトルの偏向が互いに異なることを利用して前記印刷物から前記識別情報を抽出することを特徴とする識別情報が埋め込まれた印刷物。
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