JP3878567B2 - 生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤、それを用いたブロッキング方法およびそれからなる生体関連分子検出用キット - Google Patents

生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤、それを用いたブロッキング方法およびそれからなる生体関連分子検出用キット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンパク質及び核酸等の生体関連分子を担体上に固定化し、固定化された生体関連分子とその他の生体関連分子との特異的結合に基づいて検出を行う系において、生体関連分子の担体上への非特異的吸着を防止する生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤、それを用いたブロッキング方法及びそれからなる生体関連分子検出用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、核酸、糖鎖、タンパク質などの生体関連分子を担体上に固定化し、それにターゲットとなる生体関連分子を反応させて両分子の相互作用を研究する方法が広く使われている。例えば、分子間の相互作用として抗原抗体反応を利用するイムノブロッティングの一例を以下に示す。
【0003】
まず、抗原タンパク質を担体上に固定化し、抗原特異的抗体(一次抗体)を抗原タンパク質へ結合させ、続いて、標識抗一次抗体(二次抗体)を一次抗体に結合させ、そして、蛍光などの標識によって二次抗体結合部位を可視化することにより検出を行う。また、標識二次抗体の代わりにビオチン化二次抗体を結合させ、さらにこれにビオチン化発色酵素とアビジンの複合体を結合させてシグナルを増幅する方法も知られている。ここで、抗原と一次抗体及び一次抗体と二次抗体の結合はどちらも特異的な反応であるが、一次抗体、二次抗体等は、抗原タンパク質の固定化されていない担体表面にも数多く非特異的に吸着する。非特異的に吸着した標識抗体等は、特異的反応によって吸着したものと同様にシグナルを発して検出感度を低下させる。同様の現象が、その他のタンパク質及び核酸等の特異的結合の検出においても観察される。
【0004】
従って、この非特異的な吸着を抑えることが、高感度検出のためには重要になる。このような非特異的な吸着を防止するため、従来、担体上に固定化された生体関連分子にこれと相互作用する分子を反応させる前に、生体関連分子が結合していない担体上にブロッキング剤を吸着させて、非特異的吸着を抑制していた。
【0005】
このようなブロッキング剤として、BSA(ウシ血清アルブミン)など相互作用に無関係なタンパク質が用いられてきた(非特許文献1参照)が、非特異的吸着が十分に抑制できない場合もあった。特に、表面が負に帯電した担体、例えば、表面にカルボキシル基を有する担体又は該カルボキシル基をさらに活性エステル化した基などを有する担体等を用いる場合(特許文献1〜3参照)、正に帯電したタンパク質の非特異的吸着が問題となるが、BSAは負に帯電しているため、非特異的吸着を防止することが困難であった。また、その他の成分を含むブロッキング剤についても知られているが、これらも担体への吸着が不十分であるなど問題点を有していた。(特許文献4参照)。
【0006】
【特許文献1】
WO00/22108
【特許文献2】
WO02/12891
【特許文献3】
特開2002−82116号公報
【特許文献4】
特開平6−160385号公報
【非特許文献1】
新生化学実験講座1、1994年、東京化学同人発行
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、生体関連分子の担体への非特異的吸着を効果的に抑制し、生体関連分子の高感度な検出を可能にする、非特異的吸着を防止する生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤、それを用いたブロッキング方法及びそれからなる生体関連分子検出用キットを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、シランカップリング剤を含む生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤を用いて、生体関連分子を固定化する担体のゼーター電位を調整することによって、前記課題を解決できることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)シランカップリング剤を含むことを特徴とする生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤。
(2)前記シランカップリング剤が極性官能基を有するものである(1)に記載の生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤。
(3)前記極性官能基がアミノ基である(2)に記載の生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤。
(4)中性ポリマーをさらに含む(1)〜(3)のいずれかに記載の生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤。
(5)前記中性ポリマーがポリアクリルアミドである(4)に記載の生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載のブロッキング剤を用いて、担体のゼーター電位を調整することにより、担体への生体関連分子の非特異的吸着をブロッキングする方法。
(7)前記ゼーター電位を、非特異的吸着を防止すべき生体関連分子が溶液中で有する電荷と反対の方向に調整する(6)に記載のブロッキング方法。
(8)前記担体が、表面にカーボン層を有する固体支持体である(6)又は(7)に記載のブロッキング方法。
(9)(1)〜(5)のいずれかに記載のブロッキング剤及び表面にカーボン層を有する固体支持体を含む生体関連分子検出用キット。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤とは、当技術分野において通常用いられる意味を有する。すなわち、担体に生体関連分子を固定化し、この固定化分子と別の生体関連分子との特異的な結合を検出する系において、生体関連分子及び標識分子等の担体への非特異的な吸着を防止するために使用される試薬を意味する。上記のような系を用いる検出系としては、例えば、DNAチップ、ウェスタンブロッティング、サザンブロッティング、ノーザンブロッティング、ELISA(酵素免疫検定法)、免疫凝集法(特開平10−197530号公報)及び免疫沈降法などが挙げられる。
【0011】
本発明において、シランカップリング剤とは、無機材料と化学結合できる官能基及び有機材料と化学結合できる官能基の双方を持つ有機ケイ素化合物を意味する。具体的には、式I:
【化1】
Figure 0003878567
で表される化合物を意味する。
【0012】
式中X13のうちの少なくとも1つは、無機質と反応性の加水分解性の置換基で、例えば、アルコキシ基、ハロゲン(塩素、フッ素、臭素など)、アリールオキシ基、アミノ基などから選ばれる。好ましくは、炭素数1〜10のアルコキシ基、特に、炭素数1〜5のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチロキシ基である。X13のうちの残りは、アルコキシ基、ハロゲン(塩素、フッ素、臭素など)、アリールオキシ基、アミノ基並びに炭化水素基などから選ばれる。炭化水素基は、好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、特に、炭素数1〜5のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基である。
【0013】
式中Yは、有機質と反応性の官能基、好ましくは極性官能基を表す。極性官能基とは、溶液中において、正又は負の荷電を有する基を意味する。そのような官能基としては、カチオン性基及びアニオン性基がある。
【0014】
式中Rは、複素原子を有していてもよい二価の有機基を表す。複素原子としては、N、O及びSなどが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜10、特に炭素数1〜5の直鎖状又は分枝状の置換されていてもよいアルキレン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基である。置換基としては、特に限定されないが、アルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、メルカプト基、ビニル基、スチリル基、ホルミル基、イミド基、シアノ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基、クロロプロピル基、イソシアネート基、活性エステル基などが挙げられる。
【0015】
本発明では、上記シランカップリング剤を用いて、生体関連分子を固定化する担体のゼーター電位を調整することによって、非特異的吸着を防止する。ゼーター電位とは、固体と液体の界面における電位差のうち界面動電現象に有効に作用する部分を意味する。担体のゼーター電位は、電気泳動光散乱測定法により、単体表面の表面電位を反映した電気浸透流を測定することによって測定することができる。
【0016】
ゼーター電位が0又は負の担体を用いる場合は、溶液中で正に荷電する生体関連分子、例えば、使用する溶液のpHよりも高い等電点を有する生体関連分子が非特異的に吸着しやすい。従って、このような生体関連分子の非特異的吸着を防止したい場合は、固体支持体のゼーター電位を正の方向に調整する。すなわち、使用する溶液中で正に荷電するY基を有するシランカップリング剤を含むブロッキング剤を使用する。そのようなシランカップリング剤は、上記式IにおいてY基が、カチオン性基、例えば、アミノ基、イミド基、好ましくは、アミノ基であるシランカップリング剤である。当該アミノ基は、置換されていてもよい。このようなY基としては、例えば、アルキルアミノ基[メチルアミノ基、エチルアミノ基など]、フェニルアミノ基、アミノアルキルアミノ基[アミノメチルアミノ基、アミノエチルアミノ基、ビス(アミノメチル)アミノ基、ビス(アミノエチル)アミノ基など]、1,3−ジメチルブチリデンアミノ基、ウレイド基等が挙げられる。
【0017】
具体的には、N−ビス(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−ビス(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランを用いるのが好ましい。これらのシランカップリング剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0018】
ゼーター電位が0又は正の固体支持体を用いる場合は、溶液中で負に荷電する生体関連分子、例えば、使用する溶液のpHよりも低い等電点を有する生体関連分子が非特異的に吸着しやすい。従って、このような生体関連分子の非特異的吸着を防止したい場合は、固体支持体のゼーター電位を負の方向に調整する。すなわち、使用する溶液中で負に荷電するY基を有するシランカップリング剤を含むブロッキング剤を使用する。そのようなシランカップリング剤は、上記式Iにおいて、Y基が、アニオン性基、例えば、カルボキシル基、スルホ基であるシランカップリング剤である。当該アニオン性基は、置換されていてもよい。具体的には、3−カルボキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリエトキシシラン、3−スルホプロピルトリメトキシシラン、3−スルホプロピルトリエトキシシランを用いるのが好ましい。これらのシランカップリング剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0019】
本発明のブロッキング剤は、溶媒に上記のシランカップリング剤を溶解することによって製造できる。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水、PBS(Phosphate-Buffered Saline)、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液、グッド緩衝液、Clark-Lubs緩衝液、Walpole緩衝液等を使用できる。溶液のpHは用いる生体関連分子によって適宜選択されるが、一般的にはpH5〜9の範囲であるのが好ましい。本発明のブロッキング剤におけるシランカップリング剤の濃度は、特に限定されないが、通常、0〜100重量%、好ましくは0.01〜10重量%である。ブロッキング剤の濃度を調整することによって、所望のゼーター電位に調節することもできる。所望のゼーター電位として、できるだけ0mVに近い方が好ましいが、より好ましくは0±5mVである。
【0020】
本発明においては、シランカップリング剤に加えて、さらに、中性ポリマーを含むブロッキング剤を使用するのが好ましい。本発明において中性ポリマーとは、使用する水溶液中で荷電を有しないポリマーを意味する。このようなポリマーとしては、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリサッカライド、ポリビニルアルコール等が挙げられ、ポリアクリルアミドを使用するのが好ましい。分子量100〜1,000,000のポリアクリルアミドが好ましく、分子量1,000〜50,000のものがさらに好ましい。
【0021】
上記のようなポリマーを添加する場合、ブロッキング剤におけるその濃度は、100重量%以下、好ましくは0.01〜10重量%である。シランカップリング剤対ポリマーの重量比は、通常、1:99〜99:1、好ましくは1:1.5〜1.5:1、特に好ましくは1:1である。
【0022】
本発明のブロッキング剤には、上記のシランカップリング剤及びポリマーに加えて、公知のブロッキング剤成分を添加してもよい。そのようなブロッキング剤成分としては特に限定されないが、例えば、BSA、カゼイン、スキムミルク等が挙げられる。
【0023】
シランカップリング剤に加えて、このような中性ポリマーを添加することにより、正及び負に荷電した生体関連分子のいずれについても、非特異的吸着を防止することができる。
【0024】
本発明の方法及びブロッキング剤を使用することができる担体としては、生体関連分子を固定化できるものであれば特に制限されず、当技術分野で通常用いられるものを使用できる。特に、本発明のブロッキング剤は、基板上に、必要に応じて、カーボン層及び/又は静電層を有する構造の固体支持体に好適に使用される。
【0025】
このような固体支持体における基板の材料としては、例えば、シリコン、ガラス、繊維、木材、紙、セラミックス、プラスチック(例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene 樹脂)、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂)、金属(例えば、ステンレス、ニッケル、チタン、アルミニウム)が挙げられる。
【0026】
カーボン層には、合成ダイヤモンド、高圧合成ダイヤモンド、天然ダイヤモンド、軟ダイヤモンド(例えば、ダイヤモンドライクカーボン)、アモルファスカーボン、炭素系物質(例えば、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブ)のいずれか、それらの混合物、又はそれらを積層させたものを用いることが好ましい。また、炭化ハフニウム、炭化ニオブ、炭化珪素、炭化タンタル、炭化トリウム、炭化チタン、炭化ウラン、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、炭化モリブデン、炭化クロム、炭化バナジウム等の炭化物を用いてもよい。ここで、軟ダイヤモンドとは、いわゆるダイヤモンドライクカーボン(DLC:Diamond Like Carbon)等の、ダイヤモンドとカーボンとの混合体である不完全ダイヤモンド構造体を総称し、その混合割合は、特に限定されない。
【0027】
カーボン層を有する基板の一例としては、スライドガラスに軟ダイヤモンドを製膜した基板が挙げられる。このような基板は、ダイヤモンドライクカーボンが、水素ガス0〜99体積%、残りメタンガス100〜1体積%を含んだ混合ガス中で、イオン化蒸着法により作成したものであることが好ましい。表面処理層の厚みは、1nm〜100μmであることが好ましい。
【0028】
基板へのカーボン層の形成は、公知の方法、例えば、マイクロ波プラズマCVD(Chemical Vapor Deposit)法、ECRCVD(Electric Cyclotron Resonance Chemical Vapor Deposit)法、ICP(Inductive Coupled Plasma)法、直流スパッタリング法、ECR(Electric Cyclotron Resonance)スパッタリング法、イオンプレーティング法、アークイオンプレーティング法、EB(Electron Beam)蒸着法、抵抗加熱蒸着法、イオン化蒸着法、アーク蒸着法、レーザ蒸着法などにより行うことができる。
【0029】
本発明に用いる固体支持体としては、前記のように基板の上にカーボン層を形成した構造だけでなく、合成ダイヤモンド、高圧合成ダイヤモンド、天然ダイヤモンド、軟ダイヤモンド(例えば、ダイヤモンドライクカーボン)、アモルファスカーボン;金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、モリブデン等の金属;プラスチック(例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂);前記金属粉末、セラミック粉末等に、前記樹脂をバインダーとして混合、結合形成したもの;前記金属粉末やセラミックス粉末等の原料をプレス成形機で圧粉したものを高温で焼結したものが挙げられ、また、前記の材料の積層体や複合体(例えば、ダイヤモンドと他の物質との複合体、(例えば2相体))であってもよい。
【0030】
基板の形状及びサイズは特に限定されないが、形状としては、平板状、糸状、球状、多角形状、粉末状などが挙げられ、サイズは、平板状のものを用いる場合、通常、幅0.1〜100mm、長さ0.1〜100mm、厚み0.01〜10mm程度である。
【0031】
本発明のブロッキング剤は、核酸分子又はタンパク質等の生体関連分子を静電的に引き寄せるための静電層を有する固体支持体に使用することもできる。このような静電層を有する固体支持体は、目的とする生体関連分子を強固に固定化することができる反面、非特異的吸着を起こしやすいが、本発明のブロッキング剤により非特異的吸着を効果的に防止することができる。
【0032】
静電層としては、核酸分子又はタンパク質等を静電的に引き寄せ核酸分子又はタンパク質等の生体関連分子の固定化量を向上させるものが用いられ、例えば、アミノ基含有化合物など正荷電を有する化合物を用いて形成することができる。
【0033】
前記アミノ基含有化合物としては、非置換のアミノ基(−NH2)、又は炭素数1〜6のアルキル基等で一置換されたアミノ基(−NHR;Rは置換基)を有する化合物、例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、n−プロピルアミン、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、アリルアミン、アミノアゾベンゼン、アミノアルコール(例えば、エタノールアミン)、アクリノール、アミノ安息香酸、アミノアントラキノン、アミノ酸(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、プロリン、シスチン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、アニリン、又はこれらの重合体(例えば、ポリアリルアミン、ポリリシン)や共重合体;4,4’,4”−トリアミノトリフェニルメタン、トリアムテレン、スペルミジン、スペルミン、プトレシンなどのポリアミン(多価アミン)が挙げられる。
【0034】
静電層は、基板又は表面処理層と共有結合させずに形成してもよく、基板又は表面処理層と共有結合させて形成してもよい。
【0035】
静電層を基板又は表面処理層と共有結合させずに形成する場合には、例えば、表面処理層を製膜する際に前記アミノ基含有化合物を製膜装置内に導入することによって、アミノ基を含有する炭素系皮膜を製膜する。製膜装置内に導入する化合物として、アンモニアガスを用いてもよい。また、表面処理層は、密着層を形成した後にアミノ基を含有する皮膜を形成するといった、複層であってもよく、この場合もアンモニアガスを含んだ雰囲気で行ってもよい。
【0036】
また、静電層を基板又は表面処理層と共有結合させずに形成する場合には、静電層と基板又は表面処理層との親和性、即ち密着性を高める点で、基板上に、前記の非置換又は一置換されたアミノ基を有する化合物及び炭素化合物を蒸着させた後、核酸分子と共有結合しうる官能基を導入することが好ましい。ここで用いる炭素化合物としては、気体として供給することができれば特に制限はないが、例えば常温で気体であるメタン、エタン、プロパンが好ましい。蒸着の方法としては、イオン化蒸着法が好ましく、イオン化蒸着法の条件としては、作動圧が0.1〜50Pa、そして加速電圧が200〜1000Vの範囲であることが好ましい。
【0037】
静電層を基板又は表面処理層と共有結合させて形成する場合には、例えば、基板又は表面処理層を施した基板に、塩素ガス中で紫外線照射して表面を塩素化し、次いで前記アミノ基含有化合物のうち、例えば、ポリアリルアミン、ポリリシン、4,4’,4”−トリアミノトリフェニルメタン、トリアムテレン等の多価アミンを反応させて、基板と結合していない側の末端にアミノ基を導入することにより、静電層を形成することができる。
【0038】
本発明のブロッキング剤は、カーボン層及び/又は静電層を有する基板に生体関連分子と共有結合しうる官能基が導入されてなる固体支持体に好適に使用できる。このような官能基は、生体関連分子の固定化を促すものとして、当業者であれば適宜選択することができ、特に制限されないが、例えば、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、ホルミル基、ヒドロキシル基、カルボジイミド基、活性エステル基、スルホ基、イミド基が挙げられる。
【0039】
アミノ基の導入は、例えば、カーボン層を塩素ガス中で紫外線照射して塩素化した後、アンモニアガス中で紫外線照射することにより実施できる。又は、メチレンジアミン、エチレンジアミン等の多価アミン類を、塩素化したカーボン層と反応させることによって実施することもできる。あるいは、アンモニアプラズマ、エチレンジアミンプラズマでカーボン層表面を処理することによっても実施することができる。
【0040】
カルボキシル基の導入は、例えば、上記のようにアミノ化したカーボン層に適当な多価カルボン酸を反応させることにより実施できる。
【0041】
エポキシ基の導入は、例えば、上記のようにアミノ化したカーボン層に適当な多価エポキシ化合物を反応させることによって実施できる。あるいは、カーボン層が含有する炭素=炭素2重結合に有機過酸を反応させることにより得ることができる。有機過酸としては、過酢酸、過安息香酸、ジペルオキシフタル酸、過ギ酸、トリフルオロ過酢酸などが挙げられる。
【0042】
ホルミル基の導入は、例えば、上記のようにアミノ化したカーボン層に、グルタルアルデヒドを反応させることにより実施できる。
【0043】
ヒドロキシル基の導入は、例えば、上記のように塩素化したカーボン層に、水を反応させることにより実施できる。
【0044】
カルボジイミド基の導入は、例えば、上記のようにアミノ化したカーボン層に、カルボジイミド類を反応させることにより実施できる。
【0045】
活性エステル基の導入は、例えば、塩素ガス中でカーボン層に紫外線を照射して表面を塩素化し、ついで、アンモニアガス中で紫外線を照射してアミノ化した後、適当な酸クロリド又はジカルボン酸無水物を用いてカルボキシル化し、末端のカルボキシル基をカルボジイミド又はジシクロヘキシルカルボジイミド及びN−ヒドロキシスクシンイミドと脱水縮合することにより実施できる。この処理により、アミド結合を介して炭化水素基の末端に、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基等の活性エステル基が結合した基を形成することができる。
【0046】
静電層が施された基板に、ジカルボン酸又は多価カルボン酸を用いてカルボキシル基を導入する場合には、予めN−ヒドロキシスクシンイミド及び/又はカルボジイミド類で活性化させたり、あるいは、反応をN−ヒドロキシスクシンイミド及び/又はカルボジイミド類の存在下に行うことが好ましい。
【0047】
導入されたカルボキシル基は、シアナミドやカルボジイミド(例えば、1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド)などの脱水縮合剤とN−ヒドロキシスクシンイミドの化合物で活性エステル化(スクシンイミジル化)することができる。
【0048】
本発明のブロッキング剤は、カーボン層、好ましくはDLC層を有する固体支持体、及び該カーボン層にカルボキシル基を導入した後活性エステル化してなる固体支持体における非特異的吸着の防止に好適に使用することができる。
【0049】
上記のような固体支持体において、ゼーター電位が負となる場合としては、官能基として、例えば、活性エステル基、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシル基を導入した場合、あるいは負荷電を有する静電層を形成した場合が挙げられる。一方、ゼーター電位が正となる場合としては、官能基として、例えば、アミノ基、イミド基を導入した場合、あるいは上記のようなアミノ基含有化合物など正荷電を有する化合物で静電層を形成した場合が挙げられる。
【0050】
本発明において、固定化及び検出の対象となる生体関連分子は、生体中に存在する分子及びその誘導体である。生体関連分子としては、例えば、一本鎖及び二本鎖DNA及びRNAなどの核酸、ポリペプチド、糖などが挙げられる。PNA(ペプチド核酸)等も包含される。ペプチド核酸とは、DNAやRNAなどの核酸類のデオキシリボースやリボースからなる骨格に代えてペプチド骨格又は偽ペプチド骨格、例えば、アミノエチルグリシン主鎖、並びにポリアミド、ポリチオアミド、ポリスルフィンアミド及びポリスルホンアミドを含む他の同様の主鎖を有する核酸擬似体であって、該主鎖に結合した核酸塩基を有する化合物を意味する。本発明において、ポリペプチドには、ペプチド及びタンパク質も包含される。本発明の方法に好適なタンパク質として、各種抗原及び抗体、酵素、並びにアビジン、ビオチン等が挙げられる。生体関連分子間の相互作用としては、抗原抗体反応、アビジン−ビオチンの結合反応、酵素と基質の結合反応、核酸相補鎖間のハイブリダイゼーション、リガンドとレセプターの結合反応、核酸と転写因子の結合反応、細胞接着因子の結合反応などが挙げられる。
【0051】
核酸を構成するヌクレオチドは、塩基とリン酸基が電離して荷電を帯びやすい。二本鎖DNAの場合、塩基の電荷は相補鎖間の水素結合で互いにうち消し合っているため、分子全体としてはリン酸基の負チャージのみが主となる。また、二重らせん構造をとらないRNAや一本鎖DNAの場合は、A、C、G、T、4種類の塩基の電荷が相補鎖によってキャンセルされないため、塩基の組成が分子全体の電荷に影響を与える。
【0052】
溶液中で正に荷電しやすい生体関連分子としては、例えば、アビジン、リゾチーム、プリオン、TFIIB(transcription initiation factor IIB)等が挙げられる。
【0053】
溶液中で負に荷電しやすい生体関連分子としては、例えば、二本鎖DNA、β−ガラクトシダーゼ、α−アクチン、β−アクチン、β−カゼイン、RNAポリメラーゼIII等が挙げられる。
【0054】
本発明におけるブロッキング剤は、当技術分野において一般に使用されているブロッキング剤と同様に使用することができる(例えば、分子生物学実験プロトコール、平成9年、丸善株式会社発行参照)。一実施形態として、担体にタンパク質を固定化してこれと相互作用するタンパク質を検出する方法を以下に説明する。
【0055】
まず、タンパク質溶液を、タンパク質の固定化に好適な担体上にブロッティングすることにより固定化する。その後、当該担体を自然乾燥又は減圧乾燥し、室温で約1時間静置する。続いて、ポリアクリルアミド及びシランカップリング剤を含むブロッキング剤に浸して1時間ほど振とうする。このときの浸漬温度は、0〜100℃、好ましくは20〜60℃である。その後、水で洗浄し、遠心乾燥して、通常、0〜100℃、好ましくは60〜100℃で乾燥させる。または、通常、10〜60℃、好ましくは15〜30℃で減圧乾燥させる。このようにブロッキング処理をした後、担体上に固定化されたタンパク質と相互作用するタンパク質を含有する溶液を添加する。
【0056】
生体関連分子間の相互作用は、当技術分野で通常用いられる標識によって検出することができる。このような標識としては、放射性同位元素、酵素、例えば、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ及びルシフェラーゼ、並びに蛍光剤、例えば、フルオレセイン、ローダミン、Cy3、Cy5、化学発光分子等が挙げられる。
【0057】
あるいは、相互作用した後の固体支持体を、そのままレーザ脱離/イオン化−飛行時間型質量分析で分析することもできる。イオン化法の様式としては、マトリックス補助レーザ脱着(MALDI)法が好ましい。
【0058】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
【実施例】
(実施例1)
担体として、25mm×75mmのガラス基板にカルボキシル基を導入して活性エステル化した固体支持体を用いた。当該固体支持体は以下のように作成した。
25mm(幅)×75mm(長さ)×1mm(厚み)のスライドガラスに、イオン化蒸着法によって、メタンガス95体積%と水素5体積%を混合したガスを原料として、加速電圧0.5kVでDLC層を10nmの厚みに形成した。その後に、メタンガスをキャリアーガスとして5cm3/分の割合で15℃に保温したエチレンジアミン中を通してチャンバーに導入した。作動圧を2Paとして加速電圧0.5kvでメタンとエチレンジアミンを原料としてC、N及びHからなる層を10nmの厚みに形成した。
【0060】
その後、基板表面のアミノ基に多価カルボン酸として無水ブタンテトラカルボン酸を縮合した後に、0.1Mリン酸緩衝液(pH6)300mlに0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性化した。
【0061】
この固体支持体を0.1% ポリアクリルアミド、0.1% 3−アミノプロピルトリエトキシシランを含む水溶液に浸し、室温で1時間振とうした後、水で洗浄し、遠心乾燥して、80℃で20分間乾燥した。
【0062】
その後、蛍光標識したタンパク質(Cy3−アビジン、Cy3−β−ガラクトシダーゼ)を固体支持体上にそれぞれ10μL滴下し、カバーガラスを被せた。その固体支持体を調湿タッパーに入れ、37℃で1時間保温した。
【0063】
その後、PBS(Phosphate-Buffered Saline)で20分間洗浄したのち、遠心乾燥して、蛍光画像装置FLA8000(富士写真フイルム製)を用いて蛍光画像を観察した。
【0064】
比較として、ブロッキング操作をしてない固体支持体、および市販ブロッキング剤(ロッシュ製)を用いたもので同様の操作を行った。
その結果、ブロッキング操作をしていない固体支持体ではアビジンの吸着が多く見られたのに対して、ポリアクリルアミド、3−アミノプロピルトリエトキシシランで処理した固体支持体では、アビジン、β−ガラクトシダーゼどちらも吸着を抑制することができた。
【0065】
また、3−アミノプロピルトリエトキシシランのみで処理した固体支持体ではβ−ガラクトシダーゼの吸着が多かったが、ポリアクリルアミドを追加することによりその吸着を抑制することができた。
【0066】
【表1】
Figure 0003878567
【0067】
(実施例2)
担体として、実施例1と同様に、25mm×75mmのガラス基板にカルボキシル基を導入して活性エステル化した固体支持体を用いた。
この固体支持体にスポッターを用いてDNAをスポットし、80℃で1時間乾燥した。この固体支持体を2×SSC/0.2%SDS溶液で洗浄した後、0.1% ポリアクリルアミド及び0.1% 3−アミノプロピルトリエトキシシランを含む水溶液に浸し、室温で1時間振とうした後、水で洗浄し、遠心乾燥して、80℃で20分間乾燥した。
【0068】
その後、Cy3で蛍光標識したオリゴヌクレオチド溶液を固体支持体に10μL滴下し、カバーガラスを被せた。その固体支持体を調湿タッパーに入れ、60℃で1晩保温した。
【0069】
その後、2×SSC/0.2%SDS溶液で20分間洗浄したのち、遠心乾燥して、蛍光画像装置FLA8000(富士写真フイルム製)を用いて蛍光画像を観察した。
【0070】
比較として、ブロッキング操作をしてない固体支持体で同様の操作を行った。その結果、ブロッキング操作をしていない固体支持体ではオリゴヌクレオチドの吸着が多く見られたのに対して、ポリアクリルアミド、3−アミノプロピルトリエトキシシランで処理した固体支持体では吸着を抑制することができた。
【0071】
【表2】
Figure 0003878567
【0072】
(実施例3)
担体として、25mm×75mmのステンレス基板にカルボキシル基を導入し活性エステル化した固体支持体を用いた。当該固体支持体は以下のように作成した。
【0073】
まず、ステンレス基板をバフ研磨した後、さらに電解研磨を施し、イオン化蒸着法によってDLC層を形成した。その際、アンモニアガスを原料として、基板表面にアミノ基を導入した。さらに、多価カルボン酸溶液(無水ブタンテトラカルボン酸)を用いてカルボキシル基を導入した。続いて、イオン交換水にN−ヒドロキシスクシンイミド及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロリドを溶解した溶液に、固体支持体を20分間浸漬することにより活性化した。
【0074】
作成した固体支持体を0.1% ポリアクリルアミド及び0.1% 3−アミノプロピルトリエトキシシランを含む水溶液に浸し、室温で1時間振とうした後、水で洗浄し、遠心乾燥して、80℃で20分間乾燥した。
【0075】
その後、蛍光標識したタンパク質(Cy3−アビジン、Cy3−β−ガラクトシダーゼ)を固体支持体にそれぞれ10μL滴下し、カバーガラスを被せた。その固体支持体を調湿タッパーに入れ、37℃で1時間保温した。
【0076】
その後、PBS(Phosphate-Buffered Saline)で20分間洗浄したのち、遠心乾燥して、蛍光画像装置FLA8000(富士写真フイルム製)を用いて蛍光画像を観察した。
【0077】
比較として、ブロッキング操作をしてない固体支持体、および市販ブロッキング剤(ロッシュ製)を用いたもので同様の操作を行った。
その結果、ブロッキング操作をしていない固体支持体ではアビジンの吸着が多く見られたのに対して、ポリアクリルアミド、3−アミノプロピルトリエトキシシランを含むブロッキング剤で処理した固体支持体では、アビジン、β−ガラクトシダーゼどちらも吸着を抑制することができた。
【0078】
【表3】
Figure 0003878567
【0079】
(実施例4)
担体として、3mm×3mmのシリコン基板にダイヤモンドを成膜して、カルボキシル基を導入し活性エステル化した固体支持体を用いた。当該固体支持体は以下のように作成した。
【0080】
シリコン基板にイオン化蒸着法によって、メタンガス95体積%と水素5体積%を混合したガスを原料として、加速電圧0.5kVでDLC層を10nmの厚みに形成した。その後に、アンモニアガスを5cm3/分の割合でチャンバーに挿入した。作動圧を2PaとしてアンモニアプラズマでDLC表面を処理することによりアミノ化した。その後、表面処理層のアミノ基に多価カルボン酸として無水ブタンテトラカルボン酸を縮合した後に、0.1Mリン酸緩衝液(pH6)300mlに0.1Mの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミドと20mMのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解した活性化液中に30分間浸漬することによって活性エステル基を有する固体支持体を得た。
【0081】
続いて0.1% ポリアクリルアミド及び0.1% 3−アミノプロピルトリエトキシシランを含む水溶液に浸し、室温で1時間振とうした後、水で洗浄し、遠心乾燥して、80℃で20分間乾燥した。
【0082】
その後、蛍光標識したタンパク質(Cy3−アビジン、Cy3−β−ガラクトシダーゼ)を固体支持体にそれぞれ10μL滴下し、カバーガラスを被せた。その固体支持体を調湿タッパーに入れ、37℃で1時間保温した。
その後、PBSで20分間洗浄したのち、遠心乾燥して、蛍光画像装置FLA8000(富士写真フイルム製)を用いて蛍光画像を観察した。
【0083】
比較として、ブロッキング操作をしてない固体支持体、および市販ブロッキング剤(ロッシュ製)を用いたもので同様の操作を行った。
その結果、ブロッキング操作をしていない固体支持体ではアビジンの吸着が多く見られたのに対して、ポリアクリルアミド、3−アミノプロピルトリエトキシシランを含むブロッキング剤で処理した固体支持体では、アビジン、β−ガラクトシダーゼどちらも吸着を抑制することができた。
【0084】
【表4】
Figure 0003878567
【0085】
(実施例5)
担体として、実施例4と同じ固体支持体を用いた。
この固体支持体を、0.1% ポリアクリルアミド及び0.1% 3−アミノプロピルトリエトキシシランを含む水溶液に浸し、室温で1時間振とうした後、水で洗浄し、遠心乾燥して、80℃で20分間乾燥した。
【0086】
その後、蛍光標識したタンパク質(Cy3−アビジン、Cy3−β−ガラクトシダーゼ)を固体支持体にそれぞれ10μL滴下し、カバーガラスを被せた。その固体支持体を調湿タッパーに入れ、37℃で1時間保温した。
その後、PBSで20分間洗浄したのち、遠心乾燥して、蛍光画像装置FLA8000(富士写真フイルム製)を用いて蛍光画像を観察した。
【0087】
比較として、ブロッキング操作をしてない固体支持体、および市販ブロッキング剤(ロッシュ製)を用いたもので同様の操作を行った。
その結果、ブロッキング操作をしていない固体支持体ではアビジンの吸着が多く見られたのに対して、ポリアクリルアミド及び3−アミノプロピルトリエトキシシランを含むブロッキング剤で処理した固体支持体では、アビジン、β−ガラクトシダーゼどちらも吸着を抑制することができた。
【0088】
【表5】
Figure 0003878567
【0089】
(実施例6)
担体として、実施例1で作成したものと同じ固体支持体を用いた。
この固体支持体に、2μLピペットマンでプローブタンパク質(抗体)をスポットし(サンプルについては表6参照)、室温で20分間乾燥した。次に、0.1% ポリアクリルアミド及び0.1% 3−アミノプロピルトリエトキシシランを含むブロッキング剤に固体支持体を浸漬して1時間振とうし、ブロッキングを行った。また、比較として、市販されているブロッキング剤(ロッシュ製、日本油脂製)でもブロッキングを行った。ブロッキング処理後、30分間減圧乾燥した。
【0090】
その後、蛍光標識したターゲットタンパク質(Cy3−アビジン又はCy3−β−ガラクトシダーゼ)を10μL滴下し、カバーガラスを被せ37℃で1時間インキュベートし、PBSで20分間洗浄した。固体支持体を、遠心乾燥した後、蛍光画像スキャナーFLA8000(富士写真フイルム製)で固体支持体を観察した。観察された蛍光画像を図1に、固体支持体上にスポッティングすることにより固定化した抗体、固体支持体に添加して相互作用させた標識タンパク質、使用したブロッキング剤及びそれぞれのスポットで観測された蛍光強度を表6に示す。
【0091】
本発明のブロッキング剤を使用し、スポット後の固体支持体にCy3−アビジンを添加すると、その抗体である抗アビジン抗体が固定化されたスポット(表6におけるスポット番号1及び7)でシグナルが観察された。またCy3−β−ガラクトシダーゼを添加すると、その抗体である抗β−ガラクトシダーゼが固定化されたスポット(表6におけるスポット番号2及び8)でシグナルが観察された。
【0092】
市販のブロッキング剤(日本油脂製)を使用し、スポット後の固体支持体にCy3−アビジンを添加すると、アビジンが非特異的に固体支持体に吸着し、明確なシグナルを検出することができなかった。Cy3−β−ガラクトシダーゼを添加すると、本発明のブロッキング剤を使用した場合と同様に、その抗体である抗β−ガラクトシダーゼが固定化されたスポット(表6におけるスポット番号2及び8)でシグナルが検出された。
【0093】
【表6】
Figure 0003878567
【0094】
【発明の効果】
本発明により、生体関連分子の担体への非特異的吸着が効果的に抑制され、生体関連分子の高感度な検出が可能になる。また、表面にカーボン層を有する固体支持体と本発明のブロッキング剤を併用することにより、TOF−MSを用いた高感度な検出も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例6で、抗体を固定化したサンプルに標識抗原を相互作用させた後、蛍光画像スキャナーFLA8000(富士写真フイルム製)で固体支持体を撮影した結果である。

Claims (9)

  1. シランカップリング剤を含むことを特徴とする生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤。
  2. 前記シランカップリング剤が極性官能基を有するものである請求項1に記載の生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤。
  3. 前記極性官能基がアミノ基である請求項2に記載の生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤。
  4. 中性ポリマーをさらに含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤。
  5. 前記中性ポリマーがポリアクリルアミドである請求項4に記載の生体関連分子固定化担体用ブロッキング剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のブロッキング剤を用いて、担体のゼーター電位を調整することにより、担体への生体関連分子の非特異的吸着をブロッキングする方法。
  7. 前記ゼーター電位を、非特異的吸着を防止すべき生体関連分子が溶液中で有する電荷と反対の方向に調整する請求項6に記載のブロッキング方法。
  8. 前記担体が、表面にカーボン層を有する固体支持体である請求項6又は7に記載のブロッキング方法。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のブロッキング剤及び表面にカーボン層を有する固体支持体を含む生体関連分子検出用キット。
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