JP3878547B2 - 高圧洗浄装置及び塗装前処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄鋼製等の構造体の表面に付着した油脂,金属粉等の汚れや錆等を除去するとともに錆の発生を防止する高圧洗浄装置及び塗装前処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、冷間圧延された鋼板等の構造体や溶接加工された構造体等に付着した油脂,粉塵,金属粉等の異物や、溶接部に発生した錆等が、その後の焼鈍や塗装等の工程において不具合の原因となることを防止するため、種々の洗浄方法や塗装前処理方法が開発されている。
従来の技術としては、(特許文献1)に「鋼板を洗浄タンク内に通板し、かつ洗浄タンク内の洗浄液中において、鋼板に高圧の液体を噴射する鋼板の洗浄方法」が開示されている。
【0003】
(特許文献2)に「電解洗浄装置で金属表面の脱脂を行い、次いで高圧水をスプレーする洗浄方法」が開示されている。
【0004】
また、塗装前処理方法として、(非特許文献1)に「溶剤等を用いて脱脂処理を行った後、ショットブラストやワイヤブラシ等を用いて脱錆処理を行い、次いでリン酸マンガン系等の処理液を用いた皮膜化成処理やプライマ等によって防錆処理を行う塗装前処理方法」が記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−234507号公報
【特許文献2】
特開平8−174042号公報
【非特許文献1】
大百科事典、平凡社発行、「塗装」の欄
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に記載の技術は、洗浄タンク内で洗浄するため、大きな鉄鋼製等の構造体や溶接して複雑な形状に加工された船舶等には適用できず、自由度が低く汎用性に欠けるという課題を有していた。
(2)(特許文献1)乃至(特許文献2)に記載の技術は、洗浄液として水を用いた場合は錆を発生し易く、特に溶接部は錆の発生が著しいため塗装前処理方法としては用いることができないという課題を有していた。
(3)また、洗浄液として塩基性塩や添加剤等が溶解されたアルカリ水溶液を用いた場合は、廃液処理設備等を要するとともに中和処理等を要し、設備負荷が増大するとともに作業が煩雑になるという課題を有していた。
(4)(非特許文献1)に記載の塗装前処理方法では、多種の薬剤や設備を用いるので、作業が煩雑で作業性に欠けるという課題を有していた。
(5)また、脱脂処理や脱錆処理等の後には水洗が行われるが、錆の発生を防止するために防錆剤が添加された水を用いた場合は、防錆剤が塗膜の膨れの発生原因となり塗膜の品質を低下させ、さらに排水処理設備が必要となることもあり設備負荷が増大するという課題を有していた。
(6)また、脱錆処理としてショットブラスト等を用いた場合は、粉塵により作業環境や周辺環境が悪化するとともに産業廃棄物が発生し、さらに設備負荷が増大する等の課題を有していた。
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、被洗浄物の脱脂ができるとともに防錆効果が得られ、また表面に付着した金属粉,粉塵等の異物や錆等を除去することができ、さらに設備負荷が小さいとともに環境や人体への悪影響がなく自由度が高く汎用性に優れる高圧洗浄装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、作業時間を大幅に短縮し作業性に優れ、さらに塗膜の膨れ等の不具合を防止できるとともに塗膜の付着強度を向上させ塗膜の品質を高める塗装前処理方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記従来の課題を解決するために本発明の高圧洗浄装置及び塗装前処理方法は、以下の構成を有している。
【0009】
本発明の請求項1に記載の高圧洗浄装置は、原水を電気分解して生成されたpHが8〜14好ましくは9〜12、かつ、酸化還元電位が−100〜−900mV好ましくは−150〜−600mVであるアルカリ水を流すアルカリ水流路と、前記アルカリ水流路に配設され前記アルカリ水を115〜400MPa好ましくは125〜320MPaの圧力で圧送する圧送ポンプと、前記アルカリ水流路の端部に接続され前記アルカリ水を被洗浄物の表面に直接噴射する洗浄ノズルと、前記圧送ポンプの下流側の前記アルカリ水流路に配設された圧力調整弁と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)原水を電気分解して生成されたアルカリ水を用いるので、被洗浄物である船舶等の鉄鋼製の構造体の表面の脱脂ができるとともに、構造体の表面が還元されて防錆効果が得られる。
(2)アルカリ水を高圧で噴射するので、被洗浄物である金属構造体の表面に付着したブラスト後のグリッド,砂、スパッタ、油塵埃、スプレーダスト、金属粉、粉塵等の異物や錆等を除去することができる。
(3)大きな被洗浄物や溶接して複雑な形状に加工された被洗浄物等でも、洗浄ノズルから噴射された高圧のアルカリ水で隅々まで洗浄することができるので、
自由度が高く汎用性に優れる。
(4)原水を電気分解して生成したアルカリ水を用いるので、界面活性剤,防錆剤,水酸化ナトリウム等の塩基性塩や添加剤を含まないため、被洗浄物表面への塗装はもとより環境や人体への悪影響がなく、さらにリンス工程や排水処理設備等を要さず設備負荷が小さい。原水が電気分解されて生成されたアルカリ水は、空気中に放置しておくと酸化され酸化還元電位が低下して還元力が低下するとともに中性化されるからである。
(5)被洗浄物表面を清浄にできるので、洗浄後に塗布される塗料の密着性を向上させることができる。
(6)洗浄する位置や角度等を変えるために洗浄ノズルからのアルカリ水の噴射を一旦停止すると、急激にアルカリ水流路の圧力が上昇し、これにより圧送ポンプの出力側に大きな負荷が加わるため、圧送ポンプに大きな負担をかけ破損し易くなる。圧送ポンプの下流側のアルカリ水流路に配設された圧力調整弁は、アルカリ水流路の圧力が上昇して予め定められた圧力になったときに自動的に弁体を開けてアルカリ水を外部に排出し、圧力が所定の値に低下すれば再び弁体を自動的に閉じる機能を有しているので、アルカリ水流路の圧力を一定に保つことができ圧送ポンプに負担をかけず破損等を防止することができ耐久性を高める。
(7)アルカリ水流路に配設された圧力調整弁がアルカリ水流路の圧力を一定に保つので、1台の圧送ポンプに複数の洗浄ノズルを接続した場合でも、互いに圧力変動の影響を受けずに単独で若しくは複数で洗浄作業を行うことができる。
(8)1台の圧送ポンプに複数の洗浄ノズルを接続することができるので、高価な圧送ポンプを複数台準備する必要がなく設備負荷を小さくすることができる。また、複数台の圧送ポンプを要しないので、装置をコンパクト化することができる。
(9)アルカリ水が高圧に圧縮されるときに発生する圧縮熱等によりアルカリ水の水温が上昇するので、被洗浄物に噴射されたアルカリ水が被洗浄物の表面から蒸発し易く素早く乾燥するため錆が発生し難い。
(10)圧力が最適な高圧に設定されているので、被洗浄物の表面に発生した赤錆等を除去することができる。
(11)予め塗膜の付着力を高めるためにショットブラスト加工がされてアンカーが形成されプライマが塗布された鉄鋼製等の構造体の洗浄を行う場合には、アルカリ水が極めて高圧なので、プライマを剥離するとともにアンカーの深部まで洗浄を行うことができ、アンカーの深部に入り込んだ金属粉,粉塵等の異物も除去して清浄化し、構造体表面のアンカー効果を高めることができる。
(12)pHと酸化還元電位が最適範囲にあるので、被洗浄物である構造体の表面が不動 態化して、洗浄後の空気中における耐酸化性を向上させ赤錆の発生を防止することができ防食性に優れる。また、pHと酸化還元電位が最適範囲にあるので、乾燥時のマクロセル、ミクロセル化による腐食電池の形成を防止し発錆を防止することができる。
(13)pHが所定の範囲に定められているとともに塩基性塩等の薬剤を含有していないので、被洗浄物からアルカリ水が乾燥すれば表面は略中性に保たれ、塗膜の付着強度が低下する等の不具合の発生がなく塗膜の品質を向上することができる。
【0010】
ここで、アルカリ水としては、原水を電気分解して生成されたものが用いられる。アルカリ水を生成するアルカリ水生成装置としては、陽極と陰極とを備えた電解槽を有する無隔膜式のアルカリ水生成装置、電解槽を陽極室と陰極室に分域する隔膜を備えたアルカリ水生成装置、これらを多段に組み合わせたアルカリ水生成装置を用いることができる。隔膜を備えたアルカリイオン水生成装置としては、例えば、カーテンウォール式,しゃへい板式等の部分隔膜,イオン交換膜等の隔膜で陰極室と陽極室とに分域された電解槽と、陰極室及び陽極室の各々に配設された陰極及び陽極と、陰極と陽極との間に電圧を印加する電圧印加部と、を有するものが用いられ、アルカリ水は陰極室で生成されて陰極室に形成された流出部から取り出される。また、無隔膜式のアルカリ水生成装置としては、例えば、一端側から原水が導入され他端側へと流れる原水流路が形成された電解槽と、原水流路に流水方向と略平行して配設された陰極と、陰極と所定間隔を空けて配設された陽極と、陰極と陽極との間に電圧を印加する電圧印加部と、を有するものが用いられ、原水流路の陰極の近傍に生成されたアルカリ水は、電解槽の他端側に形成された流出部から取り出される。
隔膜を備えた隔膜式のアルカリ水生成装置は、アルカリ水が陰極室で生成されてpHの低い酸性水と混濁し難いため、アルカリ水のpHや酸化還元電位等の性状が安定し好適に用いられる。また、無隔膜式のアルカリ水生成装置は、アルカリ水の生成能力が高く所定時間内に生成されるアルカリ水量が多いため好適に用いられる。
なお、陰極及び陽極に接続された電圧印加部の極性を一定時間が経過した後に逆転すると、陰極や陽極の表面に付着したスケールが電気分解され陰極や陽極の表面から剥離し易くなり、原水の供給等や電解槽の底部に形成されたドレン等を用いて電解槽内から除去することができる。これにより、陰極や陽極の寿命を長くすることができるとともに、pHや酸化還元電位が安定した高品質のアルカリ水を安定して供給することができる。
【0011】
高圧洗浄装置としては、(a)アルカリ水生成装置がアルカリ水流路に接続されていて、アルカリ水生成装置で生成されたアルカリ水が直ちにアルカリ水流路を通って洗浄ノズルから噴射されるもの、(b)アルカリ水を貯留するアルカリ水タンクがアルカリ水流路に接続されていて、アルカリ水タンクに貯留されたアルカリ水がアルカリ水流路を通って洗浄ノズルから噴射されるもの、(c)アルカリ水生成装置とアルカリ水タンクがアルカリ水流出管で接続されていて、アルカリ水生成装置で生成されたアルカリ水が一旦アルカリ水タンクに貯留され、その後アルカリ水タンクに接続されたアルカリ水流路を通って洗浄ノズルから噴射されるもの、等の内いずれかを選択して用いることができる。
【0012】
アルカリ水を生成する原水としては、水道水が用いられる。なお、電解質濃度等の水質を調査して適応するものを用いるのであれば、井戸水,湧水,工業用水等も用いることができる。
原水には、塩化ナトリウム,塩化カルシウム,ヒドラジン等の電解質を添加しないのが好ましい。ヒドラジン等の電解質は有害であり、また、塩化ナトリウム等の電解質を添加すると、アルカリ水生成時に陽極側から有害の塩素ガス等が発生し易くなるとともに、アルカリ水中の残留塩素濃度等が高まり、構造体の表面に残留した残留塩素等によって構造体が腐食され易く錆が発生し易くなり、さらに洗浄後に表面に形成される塗膜の密着性等にも悪影響を及ぼすからである。
【0013】
また、原水をフィルタ等で濾過した後にアルカリ水生成装置に導入することもできる。これにより、井戸水,湧水,工業用水等の原水からゴミ等の夾雑物を除去してアルカリ水から夾雑物を除去することができ、アルカリ水中の夾雑物が被洗浄物の表面に残留するのを防止することができる。
【0014】
圧力調整弁としては、バルブの入口側の圧力を一定に保つために圧力変動に応じて弁体を自動的に開閉するものが用いられ、背圧弁、逃し弁等が用いられる。また、圧力調整弁に加えてアルカリ水流路内にオリフィスを配設し、圧送ポンプから洗浄ノズルに圧送されるアルカリ水の流量を、洗浄ノズルから噴射されるアルカリ水の流量に応じて圧送ポンプの容量の範囲内で調整すると、圧送ポンプに過度の負担がかかるのを防止することができ好適に用いられる。
なお、圧送ポンプの下流側で複数に分岐されたアルカリ水流路が形成され、その各々に洗浄ノズルが配設された場合は、圧力調整弁は、分岐されたアルカリ水流路の各々に配設される。これにより、圧送ポンプの出力側のアルカリ水流路の圧力を安定にすることができる。
【0016】
ここで、アルカリ水の圧力は、圧ポンプの出力部での圧力をいう。
アルカリ水の圧力は、115〜400MPa好ましくは125〜320MPaが好適に用いられる。圧力が125MPaより小さくなるにつれ、圧縮で発生する圧縮熱等が少なくアルカリ水の温度の上昇率が小さいため被洗浄物の表面から蒸発し難く錆が発生し易くなるとともに錆等の除去効果が小さくなる傾向がみられ、320MPaより大きくなるにつれ圧送ポンプが大型化するとともにアルカリ水が噴射する反作用が大きく洗浄ノズルの支持が困難になり、さらに誤射した場合に周囲に対して危険性が大きくなる傾向がみられるため、好ましくない。特に、115MPaより小さくなるか400MPaより大きくなるとこれらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。
【0018】
ここで、アルカリ水のpHは、8〜14好ましくは9〜12が好適に用いられる。pHが9より小さくなるにつれ不動態化され難く赤錆が発生し易くなる傾向がみられ、pHが12より大きくなるにつれアルカリ性が高いので被洗浄物として亜鉛等を用いた場合には溶解され易くなるとともに危険性が高く防護手段が必要となったり飛沫によって周囲に被害を及ぼしたりする傾向がみられる。特に、pHが8より小さくなるか14となるとこれらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。
【0019】
アルカリ水の酸化還元電位は、−100〜−900mV好ましくは−150〜−600mVが好適に用いられる。酸化還元電位が−150〜−600mVのときは還元力も最適で安全性に優れ、さらに被洗浄物が不動態化され易く赤錆が発生し難く好ましい。酸化還元電位が−150mVより小さくなるにつれ、pHによっては被洗浄物が不動態化され難く赤錆が発生し易くなる傾向がみられ、−600mVより大きくなるにつれ、還元力が強く切断端面等に露出した鉄や表面処理された亜鉛めっき等が浸食され易くなる傾向がみられるとともに、アルカリ水生成に係るコストが増大したり単位時間当たりの生成量が少なくなる傾向がみられ、さらに還元力が強いため空気中の酸素によって急速に酸化され酸化還元電位が急激に低下する傾向がみられるため好ましくない。特に、酸化還元電位が−100mVより小さくなるか−900mVより大きくなるとこれらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。
【0020】
なお、アルカリ水の酸化還元電位は、アルカリ水生成装置において陽極と陰極との間に流れる電流値を調整することによって、pH8〜14のときに−100〜−900mVの範囲に調整することができる。
【0021】
本発明の請求項に記載の発明は、請求項に記載の高圧洗浄装置であって、前記圧送ポンプの下流側又は上流側の前記アルカリ水流路に配設され前記アルカリ水を加熱するアルカリ水加熱装置、又は原水を加熱する原水加熱装置を備えた構成を有している。
この構成により、請求項で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)アルカリ水加熱装置や原水加熱装置によってアルカリ水や原水が加熱されるので、冬期や寒冷地等であってもアルカリ水を所定の温度にすることができ、被洗浄物の表面に噴射されたアルカリ水が短時間で蒸発し易く被洗浄物に赤錆が発生するのを防止することができる。原水が電気分解されて生成されたアルカリ水は、空気中に放置しておくと酸化され酸化還元電位が低下して還元力が低下するとともに中性化され発錆し易くなるためである。
【0022】
本発明の請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の高圧洗浄装置であって、前記洗浄ノズルに並設された送風ノズルと、前記送風ノズルに接続された送風供給源と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)乾燥用の温風や水切り用の高圧ガス等を噴射する送風ノズルを備えているので、送風ノズルから噴射された高圧ガスが被洗浄物表面のアルカリ水を飛散させ、又は温風が被洗浄物表面のアルカリ水の蒸発を促進させ、乾燥し易くして赤錆の発生を防止することができる。
【0023】
ここで、送風供給源としては、送風ノズルに乾燥用の温風や水切り用の高圧ガス等を供給することができるものであれば特に限定するものではなく、高圧の空気等のガスを供給する高圧ポンプ、撹拌して空気を送出する送風ファン、それらとヒーターとを組み合わせたもの等が用いられる。また、送風ノズルや送風供給源に加え、吸引ノズルと吸引ノズルに接続された真空吸引装置等の吸引装置とを備えたものも用いることができる。これにより、送風ノズルからの高圧ガスによって被洗浄物表面から飛散した水分を吸引することができるので、周囲に飛散させず乾燥時間を短縮することができる。
【0024】
本発明の請求項に記載の塗装前処理方法は、鋼,ステンレス鋼,鋳鋼,鍛鋼製の構造体の表面にpHが8〜14好ましくは9〜12、かつ、酸化還元電位が−100〜−900mV好ましくは−150〜−600mVであるアルカリ水を115〜400MPa好ましくは125〜320MPaの高圧で直接噴射して前記構造体の表面を不動態化する高圧アルカリ水噴射工程を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)構造体に高圧のアルカリ水を噴射するので、異物,錆等を除去すると同時に、脱脂,防錆を行うことができ、従来別々に行われていた脱脂処理,脱錆処理,防錆処理等の作業時間を大幅に短縮し作業性に優れる。
(2)アルカリ水は原水を電気分解して生成されたもので塗膜の膨れの原因となる防錆剤等の薬剤を含有していないので、アルカリ水で処理された構造体の塗膜の品質を高める。
(3)アルカリ水が高圧に圧縮されたときに発生する圧縮熱等によりアルカリ水の水温が上昇するので、被洗浄物に噴射されたアルカリ水が被洗浄物の表面から蒸発し易く素早く乾燥するため高い防錆処理効果が得られる。
(4)予め塗膜の付着力を高めるためにショットブラスト加工がされてアンカーが形成されプライマが塗布された鉄鋼製等の構造体の洗浄を行う場合には、プライマを剥離するとともにアンカーの深部まで洗浄を行うことができるので、アンカーの深部に入り込んだ金属粉,粉塵等の異物も除去して清浄化し、構造体表面のアンカー効果を高めることができる。
(5)pHと酸化還元電位が最適範囲にあるので、構造体の表面を不動態化して安定化させ、洗浄後の空気中における耐酸化性を向上させ赤錆の発生を防止することができ防食性に優れる。また、pHと酸化還元電位が最適範囲にあるので、乾燥時のマクロセル、ミクロセル化による腐食電池の形成を防止し発錆を防止することができる。
(6)pHが所定の範囲に定められているとともに塩基性の薬剤を含有していないので、被洗浄物からアルカリ水が乾燥すれば表面は略中性に保たれ、塗膜の付着強度が低下する等の不具合の発生がなく塗膜の品質を向上することができる。
【0025】
ここで、構造体としては、鋼,ステンレス鋼,鋳鋼,鍛鋼製等で板状,棒状,管状等に形成された鋼板や棒状鋼等、それらの表面に亜鉛,すず等のめっき処理を施したもの、それらを溶接して形成したもの、自動車や電車等の車両や船舶等、橋梁や鉄塔等、加熱器,ボイラ,蒸気発生器の内表面や外表面等、鉄筋コンクリート製等で形成されたもの等が用いられる。
なお、アルカリ水の圧力としては、請求項2で説明したものが用いられる。
【0026】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の塗装前処理方法であって、前記高圧アルカリ水噴射工程でアルカリ水が噴射された前記構造体の表面の水分除去を行う水分除去工程を備えた構成を有している。
この構成により、請求項で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)水分除去工程を備えているので、冬期や寒冷地等であっても、アルカリ水が噴射された構造体の表面から水分を素早く蒸発させることができ、乾燥し易くして赤錆の発生を防止することができる。原水が電気分解されて生成されたアルカリ水は、空気中に放置しておくと酸化され酸化還元電位が低下して還元力が低下するとともに中性化され発錆し易くなるからである。
【0027】
ここで、水分除去工程としては、構造体を加熱して若しくは放置して表面に残留したアルカリ水を乾燥するか、空気等のガスを噴射してアルカリ水を飛散する水切りや吸引によって、構造体の表面にアルカリ水が貯留しない状態にして水分を除去するものが用いられる。
【0032】
本発明の請求項に記載の発明は、請求項4又は5に記載の塗装前処理方法であって、前記構造体の表面に噴射されたアルカリ水の廃液を、原水を電気分解して生成された酸性水と混合して処理する構成を有している。
この構成により、請求項4又は5で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)原水の電気分解によってアルカリ水を生成する際の副産物として生成される酸性水とアルカリ水の廃液とを混合して処理するので、廃液を略中性にすることができ水域に排水した場合の環境保全性に優れる。
(2)酸性水を混合することにより略中性にした廃液を濾過等によって金属粉等を除去した後、再び電気分解することにより廃液からアルカリ水を生成することができ、廃液の再利用を容易に行うことができ再利用性に優れる。
(3)アルカリ水を生成する原水を略中性にした廃液で補充することができるので、原水の消費量を低減することができ省資源性に優れる。
【0033】
ここで、アルカリ水の廃液と酸性水とを混合して処理する際には、沈殿槽等に一旦貯留して、廃液に含まれている被洗浄物に付着していた砂、金属粉等を沈殿させて除去した後、排水処理を行うのが好ましい。砂、金属粉等による水域の汚染を防止するためである。また、廃液からアルカリ水を生成する場合には、さらに濾過装置を通過させて、沈殿除去できなかった粉塵等を除去した後に電気分解処理を行うのが好ましい。電気分解に用いる電極等を保護するためである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における高圧洗浄装置の要部模式図であり、図2は実施の形態1の高圧洗浄装置におけるアルカリ水生成装置の要部模式図である。
図1において、1は実施の形態1の高圧洗浄装置、2は導入された水道水等の原水を電気分解してアルカリ水を生成するアルカリ水生成装置、3はアルカリ水生成装置2に原水を導入する原水供給路、4はアルカリ水生成装置2で生成されたアルカリ水を流すアルカリ水流路、5はアルカリ水流路4に配設されアルカリ水を圧送するウォータジェットポンプ等の圧送ポンプ、6はアルカリ水流路4の端部に接続され圧送ポンプ5によって圧送されたアルカリ水を噴射する洗浄ノズルである。
図2において、10は一端側に原水供給路3が接続され他端側にアルカリ水流路4が接続されたアルカリ水生成装置2の電解槽、11は原水供給路3で導入された原水が流れる原水流路、12は電解槽10内に配設された陰極、13は陰極12と所定間隔を空けて電解槽10内に配設された陽極、14は陰極12と陽極13との間に電圧を印加する電圧印加部、14aは陽極13の近傍の電解槽10内に連通し陽極13で生成された酸性水を電解槽10外へ排出する酸性水排出路、14bは酸性水排出路14aに配設された流量調整弁、15は原水供給路3に配設され電解槽10に原水を供給する原水供給ポンプである。
【0035】
以上のように構成された実施の形態1における高圧洗浄装置について、以下その使用方法を説明する。
始めに、原水供給ポンプ15を駆動して、原水をアルカリ水生成装置2の電解槽10の下部に接続された原水供給路3から電解槽10内へ供給する。電解槽10内の原水流路11を原水で満たした後、原水供給ポンプ15を停止するとともに電圧印加部14で陰極12と陽極13との間に電圧を印加し、原水流路11内の原水を電気分解して陰極12の周囲にアルカリ水を生成するとともに陽極13の周囲に酸性水を生成する。次いで、再び原水供給ポンプ15を駆動し原水供給路3から原水を電解槽10内へ供給して、陰極12の周囲に生成されたアルカリ水を原水によって押し出してアルカリ水流路4に流出させるとともに陽極13の周囲に生成された酸性水を酸性水排出路14aから流出する。酸性水排出路14aから流出させる酸性水の流量は、流量調整弁14bの開度によって、アルカリ水流路4に流れるアルカリ水の流量に応じて調整する。電圧印加部14が印加する電圧値や電流値、原水供給ポンプ15が供給する原水の流量等を調整して、pH8〜14、かつ、酸化還元電位−100〜−900mVのアルカリ水をアルカリ水流路4から連続的に流出させる。
アルカリ水流路4を連続的に流れるアルカリ水は、圧送ポンプ5によって115〜400MPaの高圧にされて洗浄ノズル6に圧送され、洗浄ノズル6から噴射されて被洗浄物である構造体の表面の洗浄及び塗装前処理を行う(高圧アルカリ水噴射工程)。なお、原水供給ポンプ15が供給する原水の流量は、洗浄ノズル6から噴射するアルカリ水の流量を下回らないように調整されている。
【0036】
以上のように、実施の形態1における高圧洗浄装置は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)大きな被洗浄物や溶接して複雑な形状に加工された被洗浄物等でも、洗浄ノズルから噴射された高圧のアルカリ水で隅々まで洗浄することができるので、自由度が高く汎用性に優れる。
(2)原水を電気分解して生成したアルカリ水を用いるので、界面活性剤,防錆剤,水酸化ナトリウム等の塩基性塩や添加剤を含まないため、環境や人体への悪影響がなく、さらにリンス工程や排水処理設備等を要さず設備負荷が小さい。
(3)pHと酸化還元電位が最適範囲にあるので、被洗浄物である構造体の表面を不動態化させて安定化させ、洗浄後の空気中における耐酸化性を向上させ赤錆の発生を防止することができ防食性に優れる。また、pHと酸化還元電位が最適範囲にあるので、乾燥時のマクロセル、ミクロセル化による腐食電池の形成を防止し発錆を防止することができる。
(4)構造体の表面に高圧のアルカリ水を噴射するので、異物,錆等を除去すると同時に、脱脂,防錆を行うことができ、従来別々に行われていた脱脂処理,脱錆処理,防錆処理等の作業時間を大幅に短縮し作業性に優れる。
(5)アルカリ水は原水を電気分解して生成されたもので塗膜の膨れの原因となる防錆剤等の薬剤を含有しないので、アルカリ水で処理された構造体の表面の塗膜の品質を高める。
(6)アルカリ水が高圧に圧縮されるときに発生する圧縮熱等によりアルカリ水の水温が上昇するので、被洗浄物に噴射されたアルカリ水が被洗浄物の表面から蒸発し易く素早く乾燥するため高い防錆処理効果が得られる。
(7)pHが所定の範囲に定められているとともに塩基性の薬剤を含有していないので、被洗浄物からアルカリ水が乾燥すれば表面は略中性に保たれ、塗膜の付着強度が低下する等の不具合の発生がなく塗膜の品質を向上することができる。
(8)酸性水排出路に流量調整弁が配設されているので、アルカリ水流路に流れるアルカリ水の流量に応じて酸性水排出路から排出される酸性水の流量を調整することができ、電解槽内のアルカリ水と酸性水を最適量に維持することができ生成されるアルカリ水のアルカリ純度が低下するのを防止することができる。また、電解槽内の圧力を高めて原水の滞留時間を長くすることができるので、pHが高く酸化還元電位の低い高品質のアルカリ水を生成することができる。
【0037】
なお、本実施の形態においては、無隔膜式のアルカリ水生成装置を用いた場合について説明したが、隔膜を有する隔膜式のアルカリ生成装置を用いる場合もある。これにより、アルカリ水がpHの低い酸性水と混濁し難いため、アルカリ水のpHや酸化還元電位等の性状が安定するという作用が得られる。
【0038】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における高圧洗浄装置の要部模式図であり、図4は実施の形態2の高圧洗浄装置におけるアルカリ水生成装置の要部模式図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同一の符号を付して説明を省略する。
図3において、1aは実施の形態2の高圧洗浄装置、16は一端がアルカリ水生成装置2aに接続され生成されたアルカリ水を流出するアルカリ水流出管、17はアルカリ水流出管16の他端が接続されたアルカリ水タンクであり、アルカリ水タンク17に貯えられたアルカリ水がアルカリ水タンク17に接続されたアルカリ水流路4を流れる。
図4において、2aはアルカリ水生成装置、20は電解槽、21は電解槽20内を分域するイオン交換膜等の隔膜、22は電解槽20が隔膜21で分域され形成され所定部にアルカリ水流出管16が接続された陰極室、23は電解槽20が隔膜21で分域され形成された陽極室、24は陰極室22に配設された陰極、25は陽極室23に配設された陽極、26は陰極24と陽極25との間に電圧を印加する電圧印加部、27は陽極室25で生成された酸性水を電解槽20の外部に排出する酸性水排出路、28は原水供給路3に配設され原水を陰極室24と陽極室25とに供給する原水供給ポンプである。原水供給ポンプ28によって原水が供給された陰極室22で、原水が電気分解されてアルカリ水が生成される。
【0039】
以上のように構成された実施の形態2における高圧洗浄装置の使用方法は、実施の形態1で説明したものとほぼ同様のものなので、説明を省略する。
以上のように構成された実施の形態2における高圧洗浄装置が実施の形態1と異なる点は、アルカリ水生成装置2aが電解槽20内を分域するイオン交換膜等の隔膜を有している点と、アルカリ水生成装置2aで生成されたアルカリ水を貯留するアルカリ水タンク17を備えている点である。
【0040】
以上のように実施の形態2における高圧洗浄装置は構成されているので、実施の形態1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)隔膜で電解槽内が分域されたアルカリ水生成装置は、陰極室で生成されたアルカリ水と陽極室で生成された酸性水とが混濁しないためアルカリ水のアルカリ純度が高く、残留塩素濃度等が低く防食性に優れる高アルカリのアルカリ水を洗浄ノズルから被洗浄物に噴射することができる。
(2)アルカリ水生成装置で生成されたアルカリ水をアルカリ水タンクに一旦貯えることができるので、アルカリ水生成装置のアルカリ水生成能力が小さかったり故障した場合等でもアルカリ水タンクに貯えられたアルカリ水を使用することができ自由性に優れる。
【0041】
なお、本実施の形態においては、アルカリ水生成装置2aで生成されたアルカリ水をアルカリ水タンク17に一旦貯留する場合について説明したが、アルカリ水流出管16をアルカリ水流路4に直接接続する場合もある。この場合は、原水供給ポンプ28が供給する原水の流量は、洗浄ノズル6から噴射するアルカリ水の流量を下回らないように調整するとともに、電圧印加部14が印加する電圧値や電流値を調整して、pH8〜14、かつ、酸化還元電位−100〜−900mVのアルカリ水をアルカリ水流路4から連続的に流出させる。
【0042】
(実施の形態3)
図5は本発明の実施の形態3における高圧洗浄装置のアルカリ水生成装置の要部模式図である。なお、実施の形態2で説明したものと同様のものは、同一の符号を付して説明を省略する。
図5において、2a´は実施の形態3における高圧洗浄装置のアルカリ水生成装置、24aは隔膜21に近接して陰極室22内に配設された陰極、24bは陰極24aに複数形成された貫通孔、25aは隔膜21に近接して陽極室23内に配設され陰極24aと対向する陽極、25bは陽極25aに複数形成された貫通孔、25cは隔膜21と陰極24a及び陽極25aとの間に配設された合成樹脂製やゴム製等で所定形状に形成された絶縁スペーサである。
ここで、本実施の形態において、絶縁スペーサ25cとしては、隔膜21の厚さに応じて、陰極24aと陽極25aとの間隔が0.1〜4mmになるような高さに形成されたものが好適に用いられる。陰極と陽極との間隔を狭くして電解電圧を小さくすることができ電解効率を高めることができるからである。なお、陰極と陽極との間隔が0.1mmより小さくなるにつれ隔膜の厚さが薄くなり隔膜の機械的強度やイオン交換性能が低下する傾向がみられ、間隔が4mmより大きくなるにつれ大きな電解電圧を要し消費電力が増加し電解効率が著しく低下する傾向がみられるので好ましくない。
【0043】
以上のように実施の形態3における高圧洗浄装置は構成されているので、実施の形態2に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)陰極と陽極が隔膜に近接して各々陰極室内と陽極室内に配設され、陰極と陽極が0.1〜4mmの間隔で対向しているので、電解電圧を小さくして電解効率を高めることができる。
(2)原水の流路が陰極や陽極の外側に設けられているので、電解電圧等に影響されることなく原水の流量を自由に設定することができる。
(3)陰極と陽極に貫通孔が多数形成されているので、原水の電気分解によって陰極・陽極間に発生した水素ガス等の気泡が、陰極や陽極の外側を流れる原水に引き寄せられ貫通孔を通過して陰極・陽極間から速やかに除去されるため通電不良を生じず電解性能を維持することができる。
(4)隔膜と陰極及び陽極間に絶縁スペーサが配設されているので、電解槽に供給される原水の流量や水圧の変動によって隔膜が振動しても、隔膜が陰極や陽極に直接当接して圧迫されるのを防止して隔膜が破損するのを防止することができる。
【0044】
なお、絶縁スペーサとしては、陰極24aや陽極25aに形成された貫通孔24b,25bを閉塞しないような大きさに形成されたもの、合成樹脂製等で形成された板状体の所定部に貫通孔24b,25bより所定の大きさだけ大きく形成された貫通孔が複数形成されたもの等が用いられる。絶縁スペーサによって貫通孔24b,25bが閉塞されるのを防止して、陰極・陽極間に滞留した気泡を素早く除去するためである。
また、絶縁スペーサ25cを隔膜21と陰極24a及び陽極25aとの間に配設せず、隔膜21に陰極24a及び陽極25aを密接させることもできる。これにより、陰極24aと陽極25aとの間隔を隔膜21の厚さまで小さくすることができ、電解電圧をより小さくすることができ電解効率を高めることができる。
【0045】
(実施の形態4)
図6は実施の形態4における高圧洗浄装置の要部模式図である。なお、実施の形態1又は実施の形態2で説明したものと同様のものは、同一の符号を付して説明を省略する。
図中、1bは実施の形態4の高圧洗浄装置、16aはアルカリ水流出管16に配設された流量調整バルブ、30は圧送ポンプ5の上流側のアルカリ水流路4に配設されアルカリ水を加熱するアルカリ水加熱装置、31は洗浄ノズル6と離間して並設された送風ノズル、32は送風ノズル31に一端が接続された送風管、33は送風管32の他端が接続された送風機や高圧ポンプ等の送風供給源である。
なお、本実施の形態において、アルカリ水加熱装置30はアルカリ水を60〜80℃に加熱している。
【0046】
以上のように構成された実施の形態4における高圧洗浄装置について、以下その使用方法を説明する。
アルカリ水生成装置(図示しない)を用いて生成されたアルカリ水をアルカリ水流出管16からアルカリ水タンク17に貯留する。洗浄作業に必要な量のアルカリ水が貯留されたら、次いで、アルカリ水をアルカリ水流路4からアルカリ水加熱装置30へ導入しアルカリ水を所定の温度に加熱する。次に、加熱されたアルカリ水を圧送ポンプ5によって115〜400MPaの高圧にして圧送して、洗浄ノズル6から噴射し被洗浄物である構造体の表面の洗浄及び塗装前処理を行う(高圧アルカリ水噴射工程)。
被洗浄物の表面の洗浄及び塗装前処理を行った後、圧送ポンプ5を停止して洗浄ノズル6からアルカリ水が噴射するのを停止する。次いで、送風供給源33を駆動し高圧ガス等を発生し送風ノズル31から噴射し、被洗浄物の表面のアルカリ水を飛散する(水分除去工程)。
【0047】
以上のように実施の形態4における高圧洗浄装置は構成されているので、実施の形態1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)アルカリ水タンクに貯えられたアルカリ水を使用するので、アルカリ水生成装置で生成されたアルカリ水を小分けして使用することができ、装置をコンパクト化することができる。
(2)アルカリ水加熱装置を備えているので、冬期や寒冷地等であってもアルカリ水を所定の温度に加熱することができ、被洗浄物の表面に噴射されたアルカリ水が蒸発し易く被洗浄物に赤錆が発生するのを防止することができる。
(3)高圧ガス等を噴射する送風ノズルを備えているので、送風ノズルから噴射された高圧ガスが被洗浄物表面のアルカリ水を飛散させ水切りを行い、乾燥し易くして赤錆の発生を防止することができる。
【0048】
なお、本実施の形態においては、送風供給源33から高圧ガス等を発生し送風ノズル31から噴射して被洗浄物の表面のアルカリ水を飛散する場合について説明したが、送風供給源33にヒーターを配設して送風ノズル31から温風が噴射するようにする場合もある。これにより、温風が被洗浄物表面のアルカリ水の蒸発を促進させ乾燥し易くして赤錆の発生を防止することができる。また、送風供給源33に加えて、真空吸引装置等の吸引装置に接続された吸引ノズルを送風ノズルの風下側に備える場合もある。これにより、送風ノズルによって被洗浄物表面を分散した水分を吸引し被洗浄物表面を乾燥し易くして発錆を防止することができる。
また、高圧アルカリ水を構造体に噴射する高圧アルカリ水噴射工程を行い、次いで水分除去工程を行う場合について説明したが、高圧アルカリ水を構造体に噴射するとともに構造体の表面の水分除去を行うこともできる。これにより、作業時間及び乾燥が終了するまでの時間を短縮することができ、作業性に優れるとともに赤錆の発生を防止することができるという作用が得られる。
また、アルカリ水加熱装置30が圧送ポンプ5の上流側のアルカリ水流路4に配設された場合について説明したが、圧送ポンプ5の下流側のアルカリ水流路4に配設される場合もある。また、図示していないアルカリ水生成装置の原水供給路に原水加熱装置を配設して原水を加熱する場合もある。これらの場合にも、同様の作用が得られる。
【0049】
(実施の形態5)
図7は実施の形態5における高圧洗浄装置の要部模式図である。
図7において、40は実施の形態6の高圧洗浄装置、41水道水等の原水が流れる原水配管、42は原水配管41に接続され原水を一旦貯留する原水タンク、43は一端が原水タンク42に接続された原水供給路、43aは原水供給路43に配設され原水を圧送する原水供給ポンプ、43bは原水供給ポンプ43aの下流側の原水供給路43に配設された原水バルブ、44は原水供給路43の他端が接続され隔膜式や無隔膜式の電解槽を有し原水を電気分解してアルカリ水を生成するアルカリ水生成装置、45はアルカリ水生成装置44で生成されたアルカリ水を流すアルカリ水流出管、46は生成されたアルカリ水の副産物として生成された酸性水を排出する酸性水排出管、47はアルカリ水流出管45に接続され生成されたアルカリ水を一旦貯留するアルカリ水タンク、48は一端がアルカリ水タンク47に接続されたアルカリ水流路、49はアルカリ水流路48に配設されアルカリ水を圧送するウォータジェットポンプ等の圧送ポンプ、50は圧送ポンプ49の下流側で複数分岐したアルカリ水流路48に各々配設された圧力調整弁、51はアルカリ水流路48の各々の端部に接続されアルカリ水を噴射する洗浄ノズルである。
ここで、本実施の形態においては、酸性水排出管46は洗浄ノズル51の下方の被洗浄物に噴射されたアルカリ水の廃液が流れ落ちるところまで延設されている。
【0050】
以上のように構成された実施の形態5における高圧洗浄装置が実施の形態1と異なる点は、原水を貯留する原水タンク42を備えている点、圧送ポンプ49の下流側で複数分岐したアルカリ水流路48の各々に洗浄ノズルが接続されている点、圧送ポンプの下流側のアルカリ水流路48に圧力調整弁を備えている点、酸性水排出管46が洗浄ノズル51の下方のアルカリ水の廃液が流れるところまで延設されている点である。
【0051】
以上のように構成された実施の形態5における高圧洗浄装置の使用方法を、以下説明する。
始めに、原水タンク42に、洗浄に必要とされる量の原水を原水配管41から供給する。原水タンク42に所定量の水が貯留させながら、原水バルブ43bを開弁するとともに原水供給ポンプ43a及びアルカリ水生成装置44を駆動して、アルカリ水生成装置44でpHが8〜14かつ酸化還元電位が−100〜−900mVのアルカリ水を生成し、アルカリ水流出管45から流出させてアルカリ水タンク47へ貯留する。アルカリ水タンク47に所定量のアルカリ水が貯留された後、圧送ポンプ49を駆動して、アルカリ水流路4を流れるアルカリ水を115〜400MPaの高圧にする。アルカリ水は複数分岐したアルカリ水流路48の各々に圧送され圧力調整弁50を介して洗浄ノズル51から噴射され、被洗浄物である構造体の表面の洗浄及び塗装前処理を行う。圧力調整弁50は、アルカリ水流路48の圧力が上昇して予め定められた圧力になったときに自動的に弁体を開けてアルカリ水を外部に排出し、圧力が所定の値に低下すれば再び弁体を自動的に閉じている。また、洗浄ノズル51から構造体の表面に噴射されたアルカリ水の廃液は、酸性水排出管46から排出される酸性水と混合して処理されている。
【0052】
以上のように、実施の形態5における高圧洗浄装置は構成されているので、実施の形態1に記載の作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)原水タンクと原水供給ポンプを備えているので、アルカリ水生成装置で生成されるアルカリ水の性状や量に応じてアルカリ水生成装置に供給する原水の量を自在にすることができ汎用性に優れる。アルカリ水生成装置で生成されるアルカリ水の性状や量は、アルカリ水生成装置を流れる原水の流量に大きく依存するからである。
(2)アルカリ水流路に圧力調整弁を備えているので、アルカリ水流路の圧力を一定に保つことができ圧送ポンプに負担をかけず破損等を防止することができ耐久性を高める。
(3)圧力調整弁がアルカリ水流路の圧力を一定に保つので、1台の圧送ポンプに複数の洗浄ノズルを接続した場合でも、互いに圧力変動の影響を受けずに単独で若しくは複数で洗浄作業を行うことができる。
(4)1台の圧送ポンプに複数の洗浄ノズルを接続することができるので、高価な圧送ポンプを複数台準備する必要がなく設備負荷を小さくすることができる。また、複数台の圧送ポンプを要しないので、装置をコンパクト化することができる。
(5)原水の電気分解によってアルカリ水の副産物として生成される酸性水とアルカリ水の廃液とを混合して処理するので、廃液を略中性にすることができ排水とした場合の環境保全性に優れる。
【0053】
ここで、酸性水を混合して略中性にされた廃液は、沈殿槽や濾過装置を備えた廃液処理装置によって、鉄粉等を沈殿除去するとともに廃液中を浮遊する粉塵等を濾過して除去した後、アルカリ水生成装置に還流し、再びアルカリ水を生成することもできる。これにより、廃液の再利用を容易に行うことができ再利用性に優れる。また、アルカリ水を生成する原水を略中性にした廃液で補充することができるので、原水の消費量を低減することができ省資源性に優れる。
なお、原水タンクを備えた高圧洗浄装置及び廃液処理装置をコンパクト化して自動車等の車両に搭載すれば、被洗浄物が載置されている現場への移動や現場間の移動を容易に行うことができ、再利用性に優れるとともに作業性に優れる。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(被洗浄物の作成)
横約3m、縦約1m、厚み約1cmの造船用軟鋼製,造船用高張力鋼製等の鋼板(以下、鋼基板という)の長手方向の縁端に、横約3m、縦約0.2m、厚み約1cmの鋼基板と同じ材質の鋼板(以下、端鋼板という)をCO2半自動溶接、手動溶接等によって横断面略T字状にT継手溶接した。次いで、厚み約1cm、1辺の長さが約0.7mの二等辺三角形状に形成された鋼基板と同じ材質の鋼板(以下、翼状鋼板という)を、鋼基板の背面の3箇所に等間隔で、端鋼板が溶接された鋼基板の縁端から縦方向に約0.7mの辺でT継手溶接した。次いで、溶接された端鋼板が上方に位置するように翼状鋼板で支えて鋼基板を立設し、被洗浄物とした。
【0055】
(実施例1)
作成した被洗浄物を、実施の形態1で説明したのと同様の高圧洗浄装置を用いて洗浄した。アルカリ水生成装置において、pH7.4、酸化還元電位が+417mVの原水としての水道水を用い、電圧印加部が印加する電圧値や電流値、原水供給ポンプが供給する原水の流量等を調整して、pH8.2〜8.3、酸化還元電位−260mVのアルカリ水を13L/分の生成速度で生成した。被洗浄物との間隔を約5cmに保った洗浄ノズルから、アルカリ水を圧送ポンプを用いて圧力245.2MPa、水量13L/分の条件で噴射し、被洗浄物を1m2/分の速度で洗浄した。なお、この条件で噴射されたアルカリ水の水温は70〜80℃に上昇していた。また、洗浄作業を行ったときの気温は28℃、湿度55%であり、日陰で作業を行った。被洗浄物に噴射されたアルカリ水は鋼基板や翼状鋼板を伝わって地面に流れ、被洗浄物は30秒以内に全て乾燥した。
乾燥後の被洗浄物の表面のpHを測定したところ、ほぼ中性の約7になっていることが確認された。なお、pHの測定方法は、乾燥後の被洗浄物の表面にJIS K 0557:1998で規定されている種別A3の水をスポイトで2〜3滴滴下し、リトマス試験紙で測定する方法を用いた。
(実施例2)
アルカリ水のpH9.1〜9.2、酸化還元電位−362mVとした以外は、実施例1と同様にして、被洗浄物の洗浄を行った。
(実施例3)
アルカリ水のpH10.1〜10.2、酸化還元電位−470mVとした以外は、実施例1と同様にして、被洗浄物の洗浄を行った。
(実施例4)
アルカリ水のpH12.1〜12.2、酸化還元電位−650mVとした以外は、実施例1と同様にして、被洗浄物の洗浄を行った。
(実施例5)
アルカリ水のpH9.9〜10.0、酸化還元電位−165mVとした以外は、実施例1と同様にして、被洗浄物の洗浄を行った。
【0056】
(比較例1)
アルカリ水のpH8.2〜8.3、酸化還元電位−90mVとした以外は、実施例1と同様にして、被洗浄物の洗浄を行った。
(比較例2)
アルカリ水のpH7.7〜7.8、酸化還元電位−320mVとした以外は、実施例1と同様にして、被洗浄物の洗浄を行った。
【0057】
(実施例6)
実施の形態3で説明したのと同様のアルカリ水生成装置を備えた高圧洗浄装置を用いてアルカリ水を生成し被洗浄物を洗浄した。アルカリ水生成装置において、pH7.4、酸化還元電位が+417mVの原水としての水道水を供給し、電圧印加部が印加する電圧値や電流値、原水供給ポンプが供給する原水の流量等を調整して、pH8.2〜8.3、酸化還元電位−320mVのアルカリ水を13L/分の生成速度で生成した。生成したアルカリ水を用いて実施例1と同様にして被洗浄物の洗浄を行った。
【0058】
(実施例及び比較例の評価)
比較例1及び比較例2では乾燥後1分経過後に端鋼板及び翼状鋼板と鋼基板との溶接部に赤錆が発生しその後複数箇所に次々と赤錆が発生したのに対し、実施例1では乾燥約40分経過後に翼状鋼板と鋼基板との溶接部の1箇所のみにしか赤錆が発生しなかった。また、実施例2乃至6については、乾燥後24時間以上経過しても、赤錆の発生はみられなかった。なお、実施例4については、実施例1乃至3,5乃至6と比較して、アルカリ水の生成速度が小さくなる傾向がみられた。
その後、実施例1乃至6の被洗浄物の表面に200〜300μmの厚みでタールエポキシ樹脂塗料を塗布したところ、塗膜の膨れやピンホール等は全くみられず、良好な塗膜が形成されていることが確認された。
【0059】
(廃液のpHの評価)
実施例5の場合の被洗浄物に噴射されたアルカリ水(以下、廃液という)のpHと、この場合に副産物として生成された酸性水のpHと、ほぼ同量の廃液と酸性水とを混合した混合液のpHと、を測定した。本実験例では、廃液としては鋼基板や翼状鋼板を伝わって地面に落下する前のものを採取して用いた。
この結果、廃液のpHは9.2、酸性水のpHは3.6、混合液のpHは約6.5であった。公共用水域における排水基準ではpH5.8〜8.6が要求されているため、被洗浄物の表面に噴射されたアルカリ水の廃液を酸性水と混合して排水することにより排水基準も満足し、環境保全性に優れることが明らかになった。
【0060】
以上の結果から明らかなように、本発明の高圧洗浄装置及び塗装前処理方法によれば、pHと酸化還元電位が最適範囲にあるので、被洗浄物である構造体の表面を不動態化して安定にし、洗浄後の空気中における耐酸化性を向上させ赤錆の発生を防止することができ防食性に優れることが確認された。また、pHと酸化還元電位が最適範囲にあるので、乾燥時のマクロセル、ミクロセル化による腐食電池の形成を防止し発錆を防止することができることが確認された。さらに、pHが所定の範囲に定められているので乾燥後の構造体の表面が略中性に保たれ、塗膜の膨れやピンホール等の発生による塗膜の付着強度の低下等の不具合が発生せず塗膜の品質を向上させることができることが確認された。
以上の結果から本発明の高圧洗浄装置は、鉄鋼製等の構造体の金属塗装前処理に用いることができるだけでなく、工作用部品等の表面に付着した潤滑油等の洗浄、冷間圧延された鋼板等の構造体や溶接加工された構造体等に付着した油脂,粉塵,金属粉等の異物の除去や溶接部に発生した錆等の除去、自動車や電車等の車両や船舶等の洗浄、橋梁や鉄塔等の建造体の洗浄、加熱器,ボイラ,蒸気発生器等に付着したスケールの除去及び洗浄等に用いることができることが明らかになった。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、本発明の高圧洗浄装置及び塗装前処理方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)原水を電気分解して生成されたアルカリ水を用いるので、被洗浄物である船舶等の鉄鋼製の構造体の表面の脱脂ができるとともに、構造体の表面が還元されて防錆効果が得られる高圧洗浄装置を提供することができる。
(2)アルカリ水を高圧で噴射するので、被洗浄物である金属構造体の表面に付着したブラスト後のグリッド,砂、スパッタ、油塵埃、スプレーダスト、金属粉、粉塵等の異物や錆等を除去することができる高圧洗浄装置を提供することができる。
(3)大きな被洗浄物や溶接して複雑な形状に加工された被洗浄物等でも、洗浄ノズルから噴射された高圧のアルカリ水で隅々まで洗浄することができるので、
自由度が高く汎用性に優れた高圧洗浄装置を提供することができる。
(4)原水を電気分解して生成したアルカリ水を用いるので、界面活性剤,防錆剤,水酸化ナトリウム等の塩基性塩や添加剤を含まないため、被洗浄物表面への塗装はもとより環境や人体への悪影響がなく、さらにリンス工程や排水処理設備等を要さず設備負荷が小さい高圧洗浄装置を提供することができる。
(5)被洗浄物表面を清浄にできるので、洗浄後に塗布される塗料の密着性を向上させることができる高圧洗浄装置を提供することができる。
(6)圧送ポンプの下流側のアルカリ水流路に圧力調整弁が配設されているので、アルカリ水流路の圧力を一定に保つことができ圧送ポンプに負担をかけず破損等を防止することができ耐久性に優れた高圧洗浄装置を提供することができる。
(7)アルカリ水流路に配設された圧力調整弁がアルカリ水流路の圧力を一定に保つので、1台の圧送ポンプに複数の洗浄ノズルを接続した場合でも、互いに圧力変動の影響を受けずに単独で若しくは複数で洗浄作業を行うことができる高圧洗浄装置を提供することができる。
(8)1台の圧送ポンプに複数の洗浄ノズルを接続することができるので、高価な圧送ポンプを複数台準備する必要がなく設備負荷を小さくすることができる。また、複数台の圧送ポンプを要しないので、装置をコンパクト化することができる高圧洗浄装置を提供することができる。
(9)アルカリ水が高圧に圧縮されるときに発生する圧縮熱等によりアルカリ水の水温が上昇するので、被洗浄物に噴射されたアルカリ水が被洗浄物の表面から蒸発し易く素早く乾燥するため錆が発生し難く防食性に優れた高圧洗浄装置を提供することができる。
(10)圧力が最適な高圧に設定されているので、被洗浄物の表面に発生した赤錆等を除去することができる高圧洗浄装置を提供することができる。
(11)予め塗膜の付着力を高めるためにショットブラスト加工がされてアンカーが形成されプライマが塗布された鉄鋼製等の構造体の洗浄を行う場合には、アルカリ水が極めて高圧なので、プライマを剥離するとともにアンカーの深部まで洗浄を行うことができ、アンカーの深部に入り込んだ金属粉,粉塵等の異物も除去して清浄化し、構造体表面のアンカー効果を高めることができる高圧洗浄装置を提供することができる。
(12)pHと酸化還元電位が最適範囲にあるので、被洗浄物である構造体の表面が不動態化して、洗浄後の空気中における耐酸化性を向上させ赤錆の発生を防止することができ防食性に優れた高圧洗浄装置を提供することができる。また、pHと酸化還元電位が最適範囲にあるので、乾燥時のマクロセル、ミクロセル化による腐食電池の形成を防止し発錆を防止することができる高圧洗浄装置を提供することができる。
(13)pHが所定の範囲に定められているとともに塩基性塩等の薬剤を含有していないので、被洗浄物からアルカリ水が乾燥すれば表面は略中性に保たれ、塗膜の付着強度が低下する等の不具合の発生がなく塗膜の品質を向上することができる高圧洗浄装置を提供することができる。
【0064】
請求項に記載の発明によれば、請求項の効果に加え、
(1)アルカリ水加熱装置や原水加熱装置によってアルカリ水や原水が加熱されるので、冬期や寒冷地等であってもアルカリ水を所定の温度にすることができ、被洗浄物の表面に噴射されたアルカリ水が短時間で蒸発し易く被洗浄物に赤錆が発生するのを防止することができる高圧洗浄装置を提供することができる。
【0065】
請求項に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)乾燥用の温風や水切り用の高圧ガス等を噴射する送風ノズルを備えているので、送風ノズルから噴射された高圧ガスが被洗浄物表面のアルカリ水を飛散させ、又は温風が被洗浄物表面のアルカリ水の蒸発を促進させ、乾燥し易くして赤錆の発生を防止することができる高圧洗浄装置を提供することができる。
(2)吸引ノズルと吸引ノズルに接続された吸引装置とを備えているので、被洗浄物表面の水分を吸引し被洗浄物表面を乾燥し易くして発錆を防止することができる高圧洗浄装置を提供することができる。
【0066】
請求項に記載の発明によれば、
(1)構造体の表面に高圧のアルカリ水を噴射するので、異物,錆等を除去すると同時に、脱脂,防錆を行うことができ、従来別々に行われていた脱脂処理,脱錆処理,防錆処理等の作業時間を大幅に短縮し作業性に優れた塗装前処理方法を提供することができる。
(2)アルカリ水は原水を電気分解して生成されたもので塗膜の膨れの原因となる防錆剤等の薬剤を含有していないので、アルカリ水で処理された構造体の表面の塗膜の品質を高める塗装前処理方法を提供することができる。
(3)アルカリ水が高圧に圧縮されたときに発生する圧縮熱等によりアルカリ水の水温が上昇するので、被洗浄物に噴射されたアルカリ水が被洗浄物の表面から蒸発し易く素早く乾燥するため高い防錆処理効果が得られる塗装前処理方法を提供することができる。
(4)予め塗膜の付着力を高めるためにショットブラスト加工がされてアンカーが形成されプライマが塗布された鉄鋼製等の構造体の表面の洗浄を行う場合には、プライマを剥離するとともにアンカーの深部まで洗浄を行うことができるので、アンカーの深部に入り込んだ金属粉,粉塵等の異物も除去して清浄化し、構造体表面のアンカー効果を高めることができる塗装前処理方法を提供することができる。
(5)pHと酸化還元電位が最適範囲にあるので、構造体の表面を不動態化して安定化させるので、洗浄後の空気中における耐酸化性を向上させ赤錆の発生を防止することができ防食性に優れた塗装前処理方法を提供することができる。また、pHと酸化還元電位が最適範囲にあるので、乾燥時のマクロセル、ミクロセル化による腐食電池の形成を防止し発錆を防止することができる塗装前処理方法を提供することができる。
(6)pHが所定の範囲に定められているとともに塩基性の薬剤を含有していないので、被洗浄物からアルカリ水が乾燥すれば表面は略中性に保たれ、塗膜の付着強度が低下する等の不具合の発生がなく塗膜の品質を向上することができる塗装前処理方法を提供することができる。
【0067】
請求項に記載の発明によれば、請求項の効果に加え、
(1)水分除去工程を備えているので、冬期や寒冷地等であっても、アルカリ水が噴射された構造体の表面から水分を素早く蒸発させることができ、乾燥し易くして赤錆の発生を防止することができる塗装前処理方法を提供することができる。
【0070】
請求項に記載の発明によれば、請求項4又は5の効果に加え、
(1)原水の電気分解によってアルカリ水を生成する際の副産物として生成される酸性水とアルカリ水の廃液とを混合して処理するので、廃液を略中性にすることができ水域に排水した場合の環境保全性に優れた塗装前処理方法を提供することができる。
(2)酸性水を混合することにより略中性にした廃液を濾過等によって金属粉等を除去した後、再び電気分解することにより廃液からアルカリ水を生成することができ、廃液の再利用を容易に行うことができ再利用性に優れた塗装前処理方法を提供することができる。
(3)アルカリ水を生成する原水を略中性にした廃液で補充することができるので、原水の消費量を低減することができ省資源性に優れた塗装前処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1における高圧洗浄装置の要部模式図
【図2】実施の形態1の高圧洗浄装置におけるアルカリ水生成装置の要部模式図
【図3】本発明の実施の形態2における高圧洗浄装置の要部模式図
【図4】実施の形態2の高圧洗浄装置におけるアルカリ水生成装置の要部模式図
【図5】実施の形態3における高圧洗浄装置のアルカリ水生成装置の要部模式図
【図6】実施の形態4における高圧洗浄装置の要部模式図
【図7】実施の形態5における高圧洗浄装置の要部模式図
【符号の説明】
1,1a,1b 高圧洗浄装置
2,2a,2a´ アルカリ水生成装置
3 原水供給路
4 アルカリ水流路
5 圧送ポンプ
6 洗浄ノズル
10 電解槽
11 原水流路
12 陰極
13 陽極
14 電圧印加部
14a 酸性水排出路
14b 流量調整弁
15 原水供給ポンプ
16 アルカリ水流出管
16a 流量調整バルブ
17 アルカリ水タンク
20 電解槽
21 隔膜
22 陰極室
23 陽極室
24,24a 陰極
24b 貫通孔
25,25a 陽極
25b 貫通孔
25c 絶縁スペーサ
26 電圧印加部
27 酸性水排出路
28 原水供給ポンプ
30 アルカリ水加熱装置
31 送風ノズル
32 送風管
33 送風供給源
40 高圧洗浄装置
41 原水配管
42 原水タンク
43 原水供給路
43a 原水供給ポンプ
43b 原水バルブ
44 アルカリ水生成装置
45 アルカリ水流出管
46 酸性水排出管
47 アルカリ水タンク
48 アルカリ水流路
49 圧送ポンプ
50 圧力調整弁
51 洗浄ノズル

Claims (6)

  1. 原水を電気分解して生成されたpHが8〜14好ましくは9〜12、かつ、酸化還元電位が−100〜−900mV好ましくは−150〜−600mVであるアルカリ水を流すアルカリ水流路と、前記アルカリ水流路に配設され前記アルカリ水を115〜400MPa好ましくは125〜320MPaの圧力で圧送する圧送ポンプと、前記アルカリ水流路の端部に接続され前記アルカリ水を被洗浄物の表面に直接噴射する洗浄ノズルと、前記圧送ポンプの下流側の前記アルカリ水流路に配設された圧力調整弁と、を備えていることを特徴とする高圧洗浄装置。
  2. 前記圧送ポンプの下流側又は上流側の前記アルカリ水流路に配設され前記アルカリ水を加熱するアルカリ水加熱装置、又は原水を加熱する原水加熱装置を備えていることを特徴とする請求項に記載の高圧洗浄装置。
  3. 前記洗浄ノズルに並設された送風ノズルと、前記送風ノズルに接続された送風供給源と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の高圧洗浄装置。
  4. 鋼,ステンレス鋼,鋳鋼,鍛鋼製の構造体の表面にpHが8〜14好ましくは9〜12、かつ、酸化還元電位が−100〜−900mV好ましくは−150〜−600mVであるアルカリ水を115〜400MPa好ましくは125〜320MPaの高圧で直接噴射して前記構造体の表面を不動態化する高圧アルカリ水噴射工程を備えていることを特徴とする塗装前処理方法。
  5. 前記高圧アルカリ水噴射工程でアルカリ水が噴射された前記構造体の表面の水分除去を行う水分除去工程を備えていることを特徴とする請求項に記載の塗装前処理方法。
  6. 前記構造体の表面に噴射されたアルカリ水の廃液を、原水を電気分解して生成された酸性水と混合して処理することを特徴とする請求項4又は5に記載の塗装前処理方法。
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