JP3877965B2 - 機器用コネクタ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機器用コネクタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電気自動車において車輪のモータから延出させた複数本のシールド電線をインバータに接続するための機器用コネクタ装置としては、導電性のインバータケースに下面側に開口する端子収容室を形成するとともに、その端子収容室内にはインバータに接続した機器側端子を固定しておき、各シールド電線の端末に固着した電線側端子を、夫々、下方から端子収容室内に挿入して機器側端子に接続するとともに、各シールド電線のシールド部材の端末部を、夫々、インバータケースに接続する構造のものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の機器用コネクタ装置では、電線側端子の端子収容室への挿入作業と、シールド部材のインバータケースへの接続作業を、夫々、シールド電線の本数と同じ回数繰り返さなければならないため、手間がかかる。
そこで、作業性の向上を図る手段として、シールド電線に替えて非シールド電線を用い、その複数本の非シールド電線を可撓性を有する筒状のシールド部材で包囲するとともに、その複数本の非シールド電線の端末部及び電線側端子をホルダにより一体化しておき、その複数の電線側端子を一括して端子収容室に挿入するとともに、シールド部材の端末部をインバータケースに固着する構造が考えられる。このような一括組付け構造にすれば、端子収容室内への電線側端子の挿入作業と、シールド部材のインバータケースへの接続作業が、夫々、1回ずつで済む。
【0004】
インバータケースに対して電線側端子を下から組み付けるタイプの機器用コネクタ装置では、端子同士の接続及びシールド部材とインバータケースとの接続に際し、一人の作業者が一方の手で電線側端子と電線を下から支えながら、同時に、もう一方の手で締め付け工具を操作するようになっている。
ところが、コネクタ装置が狭いスペースに配置されている場合には、両手を同時に差し込むと腕が無理な体勢になって作業がしずらくなることがあり、片手だけで作業できる手段が要望されていた。特に、一括組付け構造のものでは、複数の電線側端子と非シールド電線をホルダによって一体化していて重たいため、腕を無理な体勢にした状態でこの重たいものを片手だけで支えることは、作業者への負担が大きい。
【0005】
本願発明は上記事情に鑑みて創案され、一括組付け可能な機器用コネクタ装置において作業者への負担を軽減することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、筒状をなすシールド部材内に複数本の電線を収容するとともに、その複数本の電線に接続した電線側端子と前記シールド部材の端末部とをホルダを介して一体化し、機器に設けた端子収容室内に前記複数の電線側端子を下方から挿入してその各電線側端子を前記端子収容室内の機器側端子に接続するとともに、前記シールド部材の端末部を前記機器のシールドケースに接続するためのものであって、前記機器には、係止突起からなる仮係止手段を設け、前記ホルダには、前記機器側の仮係止手段に対して上から当接して前記ホルダを下動規制することで、前記複数の電線側端子を前記端子収容室内の前記機器側端子と対応させるとともに前記シールド部材の端末部を前記シールドケースと対応させた状態に保持する仮係止手段を設けた構成とした。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記機器側の仮係止手段と前記ホルダ側の仮係止手段のうち、少なくともいずれか一方の仮係止手段が弾性撓み片とされている構成とした。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記ホルダが、前記シールド部材の端末部に固着され、そのホルダを前記機器に取り付けることで前記シールドケースに対して接続されるシールドシェルを備えている構成とした。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかの発明において、前記ホルダが、前記複数の電線を水密状に貫通させているとともに前記端子収容室の開口部に対する水密状態での嵌合を可能とされた一括ゴム栓を備えている構成としている。
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかの発明において、前記機器には、前記機器側の仮係止手段と前記ホルダ側の仮係止手段との係止状態を目視により確認可能な切欠部が形成されている構成とした。
【0009】
【発明の作用及び効果】
[請求項1の発明]
仮係止手段を設けたので、作業者は、電線側端子を機器側端子に接続する作業及びシールド部材をシールドケースに接続する作業のあいだ、電線側端子とシールド部材の端末部を支え続けておく必要がない。したがって、例えば作業スペースが、両手を差し込むと作業がしずらくなるような狭い場合でも、片手だけを差し込んで接続作業を楽に行うことが可能となる。
[請求項2の発明]
機器にホルダを接近させると、弾性撓み片が弾性撓み及び弾性復帰の各動作を行うことによって他方の仮係止手段に係止する状態となるので、双方の仮係止手段を係止させるための煩わしい作業が不要である。
【0010】
[請求項3の発明]
ホルダがシールドシェルを備えているので、ホルダとは別にシールドシェルを設ける場合に比べて部品点数が少なくて済んでいる。
[請求項4の発明]
ホルダに防水用の一括ゴム栓を設けたことにより、端子収容室内の防水を図ることができる。
[請求項5の発明]
切欠部を設けたことにより、双方の仮係止状態を目視によって確認することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図10を参照して説明する。本実施形態はワイヤーハーネス30の端末部の防水コネクタ39を機器10に取り付けるためのものである。尚、以下の説明において、上下方向及び左右方向については図1を基準とし、前後方向については図3の右側を前側ということにする。
【0012】
まず、機器10について説明すると、機器10は、例えば電気自動車におけるインバータ(図示せず)を導電性のシールドケース11に収容したものであり、シールドケース11の前端部には、前方へ突出する形態のコネクタ部12が形成されている。コネクタ部12内には、その上下両端面に開口するとともに、隔壁14によって左右に仕切られた4つの端子収容室13が形成されている。各端子収容室13の下端の開口部は円形のシール孔15(本発明の構成要件である端子収容室13の開口部)となっている。
【0013】
また、コネクタ部12には、4つの角筒部17を連結して単一部品化した絶縁ハウジング16が、その各角筒部17を上から各端子収容室13内に嵌合するようにして組み付けられている。さらに、端子収容室13の上端には、金属板材を曲げ加工してなる機器側端子18が固定されている。この機器側端子18には、電線側端子33との接続を行うための上下方向に貫通するボルト孔19が形成されている。
【0014】
さらに、コネクタ部12には、その左右両側壁の下端部から左右方向へ外向きに延出する一対の保持部20が形成されている。保持部20には、下面側に開放された凹部21が形成されており、この凹部21の天井面21Aは、端子収容室13のシール孔15における下面側の開口と同じ高さとされている。かかる凹部21内には、後述するワイヤーハーネス30の防水コネクタ39を構成するホルダ38が収容されて組み付けられる。また、保持部20には、軸線を上下方向に向けたボルト孔23が形成されている。
【0015】
保持部20の左右両側壁20Sには、その凹部21の内面下端縁から内側に突出する係止突起25(本発明の構成要件である仮係止手段)が形成されている。この係止突起25は、後述するホルダ38の弾性撓み片46(本発明の構成要件である仮係止手段)と協動することで、ホルダ38をシールドケース11に対して仮係止させる機能を発揮する。
また、保持部20には、その上面壁20Aと側壁20Sとが連なる角縁部を外から内へ貫通させた形態の切欠部26が形成されている。この切欠部26は、凹部21の内部に上記係止突起25を金型形成する際に型抜き孔として形成されるものであり、この切欠部26を通して、保持部20の上方から仮係止突起25と弾性撓み片46の係止状態を目視し得るようになっている。
【0016】
次に、ワイヤーハーネス30について説明する。電線31は、例えば電気自動車の車輪のモータ(図示せず)から4本(本実施形態では4本であるが、3本以下でもよく、5本以上でもよい)延出されており、この4本の電線31は、導電性材料からなり可撓性を有する筒状のシールド部材32内に一纏めにした状態で遊嵌状態に挿通されている。各電線31の端末部には、夫々、電線側端子33が接続されている。電線側端子33は、金属板材を曲げ加工したものであって、中央に上下方向の雌ネジ孔35が形成されている接続部34と、この接続部34の前端縁から下方へ延出する連絡部36と、この連絡部36の下端に形成したバレル状の圧着部37とからなり、この圧着部37に電線31の上向きの端末部が圧着により導通可能に固着されている。これらの4本の電線31の端末部と各電線31に接続した電線側端子33とシールド部材32の端末部は、ホルダ38によって一体化され、防水コネクタ39を構成している。
【0017】
ホルダ38は、導電性材料からなるシールドシェル41と、補強板47と、絶縁性の一括ゴム栓51とから構成される。シールドシェル41は、導電性材料からなり、全体として左右方向に長い長円形の筒状接続部42と、その筒状接続部42の上端の開口縁から全周に亘って外周側へ延出する板状の取付部43とからなる。取付部43の平面視外周形状は左右方向に長い長方形をなし、その取付部43の左右両端部には、ホルダ38を機器10のシールドケース11に固定するためのボルト孔44が形成されている。また、取付部43における前後両側縁には、シールドシェル41と補強板47とを一体的に組み付けるための左右一対ずつの係止片45が形成されている。さらに、取付部43の左右両側縁には、斜め下方外向きに延出する弾性撓み片46が形成されている。この弾性撓み片46は、機器10の係止突起25と協動することで、防水コネクタ39(ホルダ38)をシールドケース11に対して仮係止させる機能を発揮する。
【0018】
補強板47は、シールドシェル41よりも板厚が厚く、曲げ剛性及び撓み剛性の高い金属材料からなる。補強板47は、全体として左右方向に長い長方形をなし、その前後左右の寸法は取付部43とほぼ同じ寸法とされている。補強板47には、筒状接続部42を貫通させるための長円形の逃がし孔48が形成されているとともに、取付部43のボルト孔44と整合するボルト孔49が形成されている。さらに、補強板47の下面には、そのボルト孔49と整合するナット50が溶接等によって固着されている。かかる補強板47を取付部43の下面に密着させた状態で、取付部43の各係止片45を補強板47の側面と下面側縁に沿うように下方へL字形に曲げつつカシメ付けることにより、シールドシェル41の取付部43と補強板47とが一体化されている。このように取付部43に補強板47を一体化させることで、取付部43の変形防止が図られている。
【0019】
一括ゴム栓51は、左右方向に細長い長円形をなす本体部52と、この本体部52の上面から軸線を上下方向に向けて突出する4つ(本実施形態では4極の場合について説明するが、極数は3極以下でも、5極以上とすることもできる)の円形の筒形嵌合部53とからなる。各筒形嵌合部53の外径は本体部52の幅よりも大きい寸法とされており、各筒形嵌合部53の一部が本体部52よりも外側に張り出した状態となっている。一括ゴム栓51は、その本体部52をシールドシェル41の筒状接続部42に緊密に内嵌させることでシールドシェル41と一体化されている。一体化した状態では、各筒形嵌合部53が、シールドシェル41の上方へ突出するとともに、各筒形嵌合部53の下端面の一部がシールドシェル41の取付部43の上面に当接した状態となっている。この一括ゴム栓51には、各筒形嵌合部53の上端面から本体部52の下端面まで上下方向に貫通する円形の電線嵌通孔54が形成されている。この電線嵌通孔54の内径は電線31の外径よりも若干小さい寸法とされている。さらに、各筒形嵌合部53の上端面には、インナハウジング57を位置決めするための2つの位置決め凹部55が形成されている。
【0020】
一括ゴム栓51の各電線嵌通孔54には、電線側端子33を圧着するまえの状態の電線31が下方から水密状に貫通されており、その貫通した電線31の端末部に電線側端子33が圧着接続されている。また、シールド部材32の端末部は、シールドシェル41の筒状接続部42に外嵌されるとともに、その外嵌部分にカシメリング56が固着され、もって、シールド部材32の上向きの端末部がシールドシェル41に対して導通可能に接続されている。このようにして、4本の電線31の端末部と各電線31に接続した電線側端子33とシールド部材32の端末部は、ホルダ38によって一体化されている。
【0021】
さらに、一括ゴム栓51の各筒形嵌合部53の上端面には、絶縁性を有し且つ比較的剛性の高い合成樹脂材料からなるインナハウジング57が取り付けられている。インナハウジング57は、電線側端子33の圧着部37を収容する方形箱形の収容部58と、この収容部58の下端外周からその収容部58の底壁58Bに対して面一状に延出する形態の円形のフランジ部59とからなる。フランジ部59の外径は筒形嵌合部53の外径と同じかそれよりも僅かに小さい寸法とされている。また、収容部58の底壁58Bに形成した電線貫通孔60は一括ゴム栓51の電線嵌通孔54と整合するように配されている。さらにインナハウジング57の下面は、一括ゴム栓51の各筒形嵌合部53の上端面に対して面当たり状態で密着する当接面61となっている。かかるインナハウジング57は、その当接面61を筒形嵌合部53の上端面全体に亘って当接させるとともに、2つの位置決め凸部62を一括ゴム栓51の位置決め凹部55に嵌合させることで、一括ゴム栓51に対し、水平方向へ遊動することを規制され、且つ電線嵌通孔54及び電線貫通孔60の軸線(上下方向の軸線)回りに回転することを規制された状態で取り付けられている。
【0022】
このインナハウジング57の電線貫通孔60には、電線側端子33を接続する前の状態の電線31が挿通されており、電線側端子33を接続した後に、その圧着部37がインナハウジング57内に収容されている。そして、収容された圧着部37の下端は、収容部58の底壁58Bの上面に対して上から係止し得るように近接した状態で、または当接した状態で対応している。
[実施形態の作用]
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0023】
ワイヤーハーネス30の防水コネクタ39を機器10のコネクタ部12に接続する際には、ホルダ38によって一体化された4つの電線側端子33、4本の電線31の端末部及びシールド部材32の端末部を、上向きにした状態(ホルダ38の上方へ電線側端子33が突出する状態)にして、コネクタ部12に対し下から接近させ、各電線側端子33とその電線側端子33の圧着部37が収容されているインナハウジング57を、機器10側の各端子収容室13内に挿入する。挿入された電線側端子33は、絶縁ハウジング16の角筒部17に嵌入することにより、上下方向の軸線(雌ネジ孔35の軸線)回りの回転を規制される。
【0024】
さらに、ホルダ38のシールドシェル41の取付部43をコネクタ部12の凹部21に収容する。このとき、ホルダ38をコネクタ部12に対して平行姿勢のまま接近させた場合には、ホルダ38の弾性撓み片46がコネクタ部12の係止突起25との干渉により内側へ弾性撓みし、弾性撓み片46が係止突起25を通過して凹部21内に完全に収容されると、弾性撓み片46は外側へ弾性復帰し、その弾性撓み片46の最も拡がっている下端が凹部21の側壁20Sの内面にほぼ接触させるようになる。この状態からホルダ38を支承している手を離すと、両弾性撓み片46の下端が係止突起25に対して上から当接する。これにより、ホルダ38のそれ以上の下動が規制されるので、ホルダ38によって一体化された電線側端子33、電線31の端末部及びシールド部材32の端末が機器10のコネクタ部12に対して仮係止状態に保持される。この状態では、防水コネクタ39(ホルダ38等)を手で支えておく必要はない。
【0025】
この仮係止状態では、一括ゴム栓51の各筒形嵌合部53の上端部が、端子収容室13のシール孔内に嵌合している。また、シールドシェル41の上面と凹部21の天井面21Aとの間、及び機器側端子18と電線側端子33との間には上下方向に隙間が空いているのであるが、電線側端子33の雌ネジ孔35が機器側端子18のボルト孔19に対しほぼ同一軸線状に対応しているとともに、ホルダ38の各ボルト孔44,49とナット50がコネクタ部12のボルト孔23に対しほぼ同一軸線状に対応している
したがってこの後は、機器側端子18のボルト孔19にボルト63を上から差し込んで電線側端子33の雌ネジ孔35に螺合させるとともに、コネクタ部12のボルト孔23にボルト64を上から差し込んでホルダ38のナット50に螺合させ、かかる状態で、各ボルト63,64を順次に締め込んでいく。ボルト63,64の締め込みに伴い、電線側端子33が機器側端子18に引き上げられるように接近するとともに、ホルダ38がコネクタ部12に引き上げられるように接近していく。そして、双方の端子18,33同士が導通可能に当接するとともに、ホルダ38のシールドシェル41の取付部43がシールドケース11(コネクタ部12における凹部21の天井面21A)に導通可能に当接する状態となり、もって、接続作業が完了する。
【0026】
[実施形態の効果]
ボルト63,64を締め込んで電線側端子33を機器側端子18に接続するとともにシールド部材32をシールドケース11に接続する作業に際しては、弾性撓み片46と係止突起25による仮係止手段により、電線側端子33が端子収容室13内の機器側端子18と対応するとともに、シールド部材32の端末部がシールドシェル41を介してシールドケース11と対応させた状態に保持され、作業者は、防水コネクタ39(電線側端子33とシールド部材32)を手で支えておく必要がない。したがって、作業スペースが、両手を差し込むと作業がしずらくなるような狭い場合でも、まず、片手だけで防水コネクタ39を仮係止し、その後で、同じく片手だけを差し込んでボルト接続を行うことにより、作業全体が楽に行うことができる。
【0027】
また、仮係止手段として、ホルダ38の機器10への接近動作に伴って弾性撓み及び弾性復帰の各動作を行うことで係止突起25に対して仮係止状態へ自動的に移行する弾性撓み片46を用いている。したがって、仮係止のための専用の作業が不要であり、作業性に優れている。
また、ホルダ38が、シールド部材32の端末部に固着されたシールドシェル41を備えているので、ホルダ38とは別にシールドシェルを設ける場合に比べて部品点数が少なくて済んでいる。
【0028】
また、ホルダ38には、複数の電線31を水密状に貫通させるとともに端子収容室13のシール孔15に対して水密状態で嵌合する一括ゴム栓51が設けられているが、この一括ゴム栓51を用いたことにより、端子収容室13内の防水が実現されている。
また、機器10の保持部20には、係止突起25と弾性撓み片46との仮係止状態を保持部20の外部上方から目視することを可能にする切欠部26を形成したので、双方の仮係止状態を目視によって確認することができる。
【0029】
また、仮係止状態では、一括ゴム栓51の筒形嵌合部53の上端部が端子収容室13のシール孔15に嵌合しているので、コネクタ部12に対するホルダ38の水平方向(機器10に対するワイヤーハーネス30の組付け方向と直交する方向)への遊動が規制され、ボルト孔23,44,49同士の芯ずれもボルト孔19と雌ネジ孔35との芯ずれも生じる虞がなく、ボルト63,64を螺合する際の作業性に優れている。さらに、ホルダ38の水平方向(左右方向)への遊動が規制されることにより、ホルダ38が左右方向へ遊動することに起因して弾性撓み片46が係止突起25から外れる、という虞もない
また、シールドシェル41の取付部43は比較的薄い板状をなしているのであるが、この取付部43には肉厚で剛性の高い補強板47が一体化されているので、取付部43が湾曲変形することに起因して弾性撓み片46が係止突起25から外れる、という虞もない。
【0030】
組付け状態において、電線31に下方への引っ張り力が作用すると、端子収容室13内の電線側端子33の下端の圧着部37がインナハウジング57の収容部58の底壁58Bの上面に当接し、これにより、インナハウジング57の当接面61(下面)が一括ゴム栓51の筒形嵌合部53の上端面に押し当てられる。ここで、インナハウジング57の当接面61は、筒形嵌合部53の上端面に対して広い範囲に亘って面接触するので、筒形嵌合部53に対する押圧力が分散される。これにより、筒形嵌合部53がその一部分に大きな押圧力を集中して受ける、ということがなく、局部的な押圧作用に起因する変形が規制される。このように、筒形嵌合部53の変形が規制されるので、電線31及び電線側端子33の引張り方向への遊動が確実に防止される。
【0031】
また、インナハウジング57の底壁58Bに形成した電線貫通孔60に電線31を貫通させているので、インナハウジング57が電線31から外れることがなく、インナハウジング57を、電線31、一括ゴム栓51及び端子金具と一体化した状態に保持することができる。
また、一括ゴム栓51に対する面当て部材を箱状のインナハウジング57とし、その中に電線側端子33の圧着部37を収容させるようにしたので、その収容された圧着部37に対して外部から異物が干渉することが防止される。
【0032】
[実施形態2]
次に、本発明を具体化した実施形態2を図11乃至図13を参照して説明する。本実施形態2は、切欠部70の形態を上記実施形態1とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施形態1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
この実施形態2の切欠部70は、保持部20の左右両側壁20Sの前端部と、前面壁20Fの左右両端部とが接合する角縁部を、上下方向全領域(全高さ)に亘って切り欠いたものである。係止突起71は、前後方向(図13における左右方向)に延びており、この係止突起71を形成するための金型(図示せず)の型抜き方向は前方(図13における右方)となっている。かかる切欠部70によれば、係止突起71と弾性撓み片46との仮係止状態を、前方、又は斜め前方から目視によって確認することができる。
【0033】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態ではホルダがシールドシェルを備えている構造としたが、本発明によれば、ホルダとは別にシールドシェルを設けてもよい。
(2)上記実施形態では一括ゴム栓を用いて端子収容室内を防水する場合について説明したが、本発明は、一括ゴム栓を用いない非防水構造にも適用することができる。
【0034】
(3)上記実施形態ではホルダ側の仮係止手段のみに弾性撓み片を設けたが、本発明によれば、機器側の仮係止手段のみに弾性撓み片を設けてもよく、ホルダ側と機器側の双方の仮係止手段に弾性撓み片を設けてもよい。
(4)上記実施形態では機器が電気自動車のインバータである場合について説明したが、本発明は、電気自動車のインバータ以外の機器にも適用することができる。
(5)上記実施形態では仮係止状態のときに端子同士の間及び凹部の天井面とホルダの取付部との間に隙間が空くようにしたが、本発明によれば、仮係止状態において端子同士がほぼ密着するとともに取付部が凹部の天井面にほぼ密着するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1において端子金具とシールド部材を機器側に接続した状態を示す断面図
【図2】端子金具とシールド部材を機器に仮係止した状態を示す断面図
【図3】図1のX−X線断面図
【図4】機器のシールドケースの平面図
【図5】電線の端末に端子金具を圧着した状態を示す斜視図
【図6】インナハウジングの斜視図
【図7】一括ゴム栓の斜視図
【図8】シールドシェルと補強板とを組み付けた状態の斜視図
【図9】シールドシェルの補強板に組み付ける前の状態の斜視図
【図10】補強板の斜視図
【図11】実施形態2のシールドケースの平面図
【図12】シールドケースの正面図
【図13】シールドケースの側面図
【符号の説明】
10…機器
11…シールドケース
13…端子収容室
15…シール孔(端子収容室の開口部)
18…機器側端子
25…係止突起(機器側の仮係止手段)
26…切欠部
31…電線
32…シールド部材
33…電線側端子
38…ホルダ
41…シールドシェル
46…弾性撓み片(ホルダ側の仮係止手段)
51…一括ゴム栓
70…切欠部
71…係止突起(機器側の係止手段)

Claims (5)

  1. 筒状をなすシールド部材内に複数本の電線を収容するとともに、その複数本の電線に接続した電線側端子と前記シールド部材の端末部とをホルダを介して一体化し、機器に設けた端子収容室内に前記複数の電線側端子を下方から挿入してその各電線側端子を前記端子収容室内の機器側端子に接続するとともに、前記シールド部材の端末部を前記機器のシールドケースに接続するためのものであって、
    前記機器には、係止突起からなる仮係止手段を設け、
    前記ホルダには、前記機器側の仮係止手段に対して上から当接して前記ホルダを下動規制することで、前記複数の電線側端子を前記端子収容室内の前記機器側端子と対応させるとともに前記シールド部材の端末部を前記シールドケースと対応させた状態に保持する仮係止手段を設けたことを特徴とする機器用コネクタ装置。
  2. 前記機器側の仮係止手段と前記ホルダ側の仮係止手段のうち、少なくともいずれか一方の仮係止手段が弾性撓み片とされていることを特徴とする請求項1記載の機器用コネクタ装置。
  3. 前記ホルダが、前記シールド部材の端末部に固着され、そのホルダを前記機器に取り付けることで前記シールドケースに対して接続されるシールドシェルを備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の機器用コネクタ装置。
  4. 前記ホルダが、前記複数の電線を水密状に貫通させているとともに前記端子収容室の開口部に対する水密状態での嵌合を可能とされた一括ゴム栓を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の機器用コネクタ装置。
  5. 前記機器には、前記機器側の仮係止手段と前記ホルダ側の仮係止手段との係止状態を目視により確認可能な切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の機器用コネクタ装置。
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