JP3877313B2 - 電子部品実装用フィルムキャリアテープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICあるいはLSIなどの電子部品を実装する電子部品実装用フィルムキャリアテープに関する。
【0002】
【従来技術】
エレクトロニクス産業の発達に伴い、IC(集積回路)、LSI(大規模集積回路)等の電子部品を実装するプリント配線板の需要が急激に増加しているが、電子機器の小型化、軽量化、高機能化が要望され、これら電子部品の実装方法として、最近ではTABテープ、T−BGAテープ、ASICテープ等の電子部品実装用フィルムキャリアテープを用いた実装方式が採用されている。特に、パーソナルコンピュータ、携帯電話等のように、高精細化、薄型化、液晶画面の額縁面積の狭小化が要望されている液晶表示素子(LCD)を使用する電子産業において、その重要性が高まっている。
【0003】
また、電子機器の小型化等に伴い、電子部品実装用フィルムキャリアテープの薄型化が望まれており、近年、比較的膜厚の薄い絶縁層を用いたCOF(チップ・オン・フィルム)テープ等が提案されている。
【0004】
このような電子部品実装用フィルムキャリアテープは、例えば、ポリイミドからなる絶縁層に搬送用のスプロケットホール等を形成する工程と、スプロケットホールを用いて絶縁層を搬送しながら絶縁層の一方面に設けられた銅箔上にフォトレジスト塗布層を形成する工程と、フォトレジスト塗布層を露光・現像する工程と、フォトレジスト塗布層をパターニングしてマスクパターンを形成する工程と、マスクパターンを介して銅箔をエッチングすることで配線パターンを形成する工程と、各配線パターン上にソルダーレジスト層を形成する工程とを経て製造される。
【0005】
しかしながら、上述したCOFテープ等のような絶縁層の厚さが比較的薄いタイプでは、スプロケットホールの剛性を十分に確保できず、搬送時にスプロケットホールが変形するという問題が生じていた。
【0006】
そこで、このような問題を解決するために、各スプロケットホールの外周に亘って、スプロケットホール毎に独立したダミー配線(金属層)を設けることで、テープ搬送強度を確保すると共に、ダミー配線(金属層)が搬送時に削られて金属片による配線パターンの短絡等の製品不良の発生を防止した構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
なお、上述した電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造工程、特に、フォトレジスト層やソルダーレジスト層を形成する各工程又はスズメッキ工程では、配線パターンが形成されていない領域に凹凸部を有するエンボススペーサフィルムと共にフィルムキャリアテープをリールに巻き取って加熱する、いわゆる硬化(キュア)工程、あるいはホイスカーの発生を防止するための加熱工程が導入されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−299385号公報(第3〜4頁、第1図)
【特許文献2】
特開2001−77157号公報(段落[0006])
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した各スプロケットホール毎に独立した金属層が設けられた電子部品実装用フィルムキャリアテープでは、最終製品である電子部品実装用フィルムキャリアテープの幅方向両側、すなわち、スプロケットホールが存在する領域において長手方向に亘った高さが1〜2mm程度の波状の変形が発生するという問題がある。
【0010】
このような波状の目立った変形は、金属層を設けない通常の製品にはみられず、硬化工程あるいはホイスカーの発生を防止する加熱工程において、フィルムキャリアテープに圧力を与えた状態でダミー配線と絶縁層との間の材料的な物性値の相違、例えば、線膨張係数や引張強度、あるいは伸び率等の相違が製造工程中の加熱・冷却などの処理等が複雑に影響し合って発生するものと考えられる。
【0011】
そして、このように波状に変形した電子部品実装用フィルムキャリアテープは、半導体実装ラインにおいて、ピンローラ等でスムーズに位置決め搬送することができず、また、搬送経路に設けられたガイド等に追従することができず、電子部品の実装不良等を招いてしまい、最終的には製品不良となってしまうという問題がある。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑み、半導体実装ラインでの搬送又は実装時の信頼性を向上できる平坦な電子部品実装用フィルムキャリアテープを提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、絶縁層の表面に導電層からなる配線パターンと、当該配線パターンの両側に設けられた複数のスプロケットホールとを有する電子部品実装用フィルムキャリアテープにおいて、前記スプロケットホールの開口縁部の周囲に亘って各スプロケットホールを囲むように各スプロケットホール毎に独立した金属層が形成され、前記金属層のそれぞれは、前記スプロケットホールの外周に亘って少なくとも1箇所に、当該金属層を不連続とするスリットが設けられていることを特徴とする電子部品実装用フィルムキャリアテープにある。
【0014】
かかる第1の態様では、スプロケットホールの開口縁部の周囲に亘って各スプロケットホールを囲むように各スプロケットホール毎に独立した金属層を設け、この金属層に不連続とするスリットを設けることで、金属層と絶縁層との間に発生する応力が適度に開放され、電子部品実装用フィルムキャリアテープに発生する波状の変形を減少することができる。これにより、平坦な電子部品実装用フィルムキャリアテープが実現され、半導体実装ラインでの搬送又は実装時の信頼性が向上する。
【0015】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記スリットが前記スプロケットホールのそれぞれの前記金属層毎に複数設けられていると共に、前記スプロケットホールの外周方向で互いに隣接するスリット同士の間の間隔が均等の間隔となるように配置されていることを特徴とする電子部品実装用フィルムキャリアテープにある。
【0016】
かかる第2の態様では、金属層と絶縁層との間に発生する応力が均等に開放され、電子部品実装用フィルムキャリアテープに発生する波状の変形をより効果的に減少できる。
【0017】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記金属層と前記スプロケットホールの開口縁部との間には、前記金属層が存在しない領域が設けられていることを特徴とする電子部品実装用フィルムキャリアテープにある。
【0018】
かかる第3の態様では、各スプロケットホールの開口周縁に金属層が設けられていないので、製造又は実装の際、各スプロケットホールに挿入されるピンローラや位置決めピン等と金属層とが接触して短絡の原因となる金属片が発生することはない。
【0019】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記スリットの前記スプロケットホールの外周方向の幅が、0.01〜1.5mmであることを特徴とする電子部品実装用フィルムキャリアテープにある。
【0020】
かかる第4の態様では、スリットの幅を所定量に制限することで、金属層と絶縁層との間に発生する応力が適度に開放され、平坦な電子部品実装用フィルムキャリアテープが実現される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0022】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る電子部品実装用フィルムキャリアテープを示す概略図であって、(a)が平面図であり、(b)が断面図であり、(c)が要部拡大平面図である。
【0023】
図示するように、本実施形態の電子部品実装用フィルムキャリアテープ10は、COFフィルムキャリアテープであり、テープ状の絶縁層11の一方面側に設けられた導電層12からなる配線パターン13と、配線パターン13の幅方向両側に設けられた複数のスプロケットホール14とを有する。
【0024】
配線パターン13は、絶縁層11の表面に連続的に設けられている。なお、このような配線パターン13は、詳しくは後述するが、絶縁層11の表面に設けられた導電層12上にフォトレジスト塗布後、現像・露光、及びエッチングにより導電層12をパターニングすることによって形成されている。
【0025】
また、配線パターン13上には、ソルダーレジスト材料塗布溶液をスクリーン印刷法にて塗布して形成したソルダーレジスト層15が設けられている。すなわち、配線パターン13の中央部には、図1(a)に示すように、それぞれ、半導体チップを実装する部分に配線パターン13の一部であるインナーリード13aが延設されている。一方、このインナーリード13aとは反対側のソルダーレジスト層15の外側には、配線パターン13の一部であり、外部接続用端子部となるアウターリード13bが延設されている。
【0026】
ここで、絶縁層11の材料としては、例えば、ポリイミドの他、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルサルホン、液晶ポリマー等を用いることができるが、特に、ピロメリット酸2無水物と芳香族ジアミンとから合成される全芳香族ポリイミド(例えば、商品名:カプトン;東レ・デュポン(株)製)、ビフェニル骨格を有する全芳香族ポリイミド(例えば、商品名:ユーピレックス;宇部興産(株)製)を用いるのが好ましい。このような絶縁層11の厚さは、一般的には、12.5〜75μmであり、好ましくは、25〜75μmである。
【0027】
一方、導電層12の材料としては、銅の他、アルミニウム、金、銀などを使用することもできるが、銅層が一般的である。また、銅層としては、電解銅箔、圧延銅箔など何れも使用することができる。導電層12の厚さは、一般的には、1〜70μmであり、好ましくは、5〜35μmである。
【0028】
また、各スプロケットホール14の外周には、本実施形態では、半導体実装ラインの位置決め搬送においてスプロケットホール14を補強するための金属層16がそれぞれ独立して設けられている。
【0029】
この各金属層16は、スプロケットホール14の開口縁部の周囲に亘ってスプロケットホール14を囲むように設けられている。そして、各金属層16のそれぞれには、その金属層16を不連続とするスリット17が設けられている。スリット17は、絶縁層11の幅方向で、スプロケットホール14に対して相対向する位置に2箇所設けられており、これにより各金属層16はスプロケットホール14の外周に亘って2箇所で不連続となっている。
【0030】
ここで、各金属層16のスプロケットホール14の外周方向に亘った幅wは、隣接するスプロケットホール14のそれぞれに設けられた金属層16同士が連続とならないように、且つ金属層16が絶縁層11の幅方向の縁部まで設けられないように適宜決定する必要があり、絶縁層11の幅によっても異なるが、金属層16の幅wは、0.1〜2.0mm程度とするのが好ましく、更に0.2〜1.5mmが好適である。
【0031】
また、このような各金属層16に設けられたスリット17のそれぞれの幅gは、絶縁層11の幅によって適宜選択すればよいが、例えば、絶縁層11の幅が35〜70mmであれば、スリット17の幅gは、0.01〜1.5mm程度が好ましく、0.1〜1.0mmが好適である。また、スリット17は、スプロケットホール14の外周方向で互いに隣接するスリット17同士の間の間隔が均等の間隔、すなわち、金属層16の2つのスリット17によって2つに分裂された領域16a及び16bが均等の長さとなるように配置するのが好ましく、本実施形態では、2つのスリット17を絶縁層11の幅方向で、スプロケットホール14に対して相対向する2箇所に配置することで、スプロケットホール14の外周方向で隣接するスリット17同士の間の間隔が均等となるようにした。これは、応力の開放をスプロケットホール14の外周方向で均等に行わせるためである。
【0032】
このように、本実施形態では、スプロケットホール14毎に設けられた金属層16のそれぞれにスリット17を設け、各金属層16がスプロケットホール14の外周方向に亘って不連続とするようにしたので、詳しくは後述するが、各スプロケットホール14で金属層16と絶縁層11との間に発生する応力が適度に開放され、最終製品である電子部品実装用フィルムキャリアテープ10の幅方向両側において長手方向に亘って発生する波状の変形を防止できる。
【0033】
特に、本実施形態では、スプロケットホール14の外周方向で互いに隣接するスリット17同士の間の間隔を均等の間隔とするようにしたので、金属層16と絶縁層11との間に発生する応力を均等に開放でき、電子部品実装用フィルムキャリアテープ10に発生する波状の変形をより効果的に減少できる。
【0034】
なお、金属層16は、本実施形態では、絶縁層11の幅方向端部との間に所定間隔をあけて設けられている。このように金属層16を端部まで設けず、金属層16と絶縁層11の幅方向端部との間に間隔を設けることにより、配線パターン13の短絡等が発生するのを防止することができる。すなわち、製造時に絶縁層11を搬送する際、金属層16が搬送経路に設けられたガイド等に接触して金属片、金属粉が発生し、これら金属カスが配線パターン13に接触して短絡等の不良が発生するのを防止できる。
【0035】
また、テープ全体の剛性が大きくなりすぎることがないため、搬送経路が湾曲している場合であっても、テープ自体が自在に搬送経路に追従することができ、好適に搬送することができるという効果もある。
【0036】
なお、このような構成の電子部品実装用フィルムキャリアテープ10は、例えば、半導体5〜10個分に相当する大きさで且つ短冊状に切断したものを実装装置に供給して半導体等の電子部品が実装される。この際、各スプロケットホール14毎に金属層16が設けられているので、スプロケットホール14部分が変形することがない程度の強度を確保でき、高精度に電子部品を実装することができる。
【0037】
ここで、図2を参照して、上述した電子部品実装用フィルムキャリアテープ10の製造方法の一例を説明する。なお、図2は、電子部品実装用フィルムキャリアテープの一製造方法を説明する断面図である。
【0038】
本実施形態の製造方法では、後述する各製造プロセスの後に、図示しないが、配線パターンが形成されていない領域に凹凸部を有するエンボススペーサフィルムをフィルムキャリアテープ(COF積層フィルム)と一緒にリールに巻き取って加熱する硬化工程をそれぞれ導入している。
【0039】
まず、図2(a)に示すように、絶縁層11上に導電層12を形成したCOF用積層フィルム20を用意する。
【0040】
次に、図2(b)に示すように、パンチング等によって、絶縁層11及び導電層12を貫通させてスプロケットホール14を形成する。このスプロケットホール14は、絶縁層11の表面上から形成してもよく、また、絶縁層11の裏面から形成してもよい。
【0041】
次に、図2(c)に示すように、一般的なフォトリソグラフィー法を用いて、導電層12上の配線パターン13が形成される領域に亘ってフォトレジスト材料塗布溶液を塗布し、その後、約60〜100℃で加熱硬化させてフォトレジスト材料塗布層21を形成する。さらに、スプロケットホール14内に位置決めピンを挿入して絶縁層11の位置決めを行った後、フォトマスク22を介して露光・現像することで、フォトレジスト材料塗布層21をパターニングして、図2(d)に示すような配線パターン用レジストパターン23を形成する。
【0042】
次いで、図2(d)に示すように、例えば、本実施形態では、転写法を用いて、レジスト材料塗布溶液をスプロケットホール14に対応する領域に部分的に塗布して、金属層16を形成するための金属層用レジストパターン24を形成する。例えば、本実施形態では、各スプロケットホール14のそれぞれに独立して、スプロケットホール14の外周方向に亘って2箇所で不連続となる金属層用レジストパターン24を形成した。なお、金属層用レジストパターン24は、配線パターン用レジストパターン23を形成する前に形成してもよく、スプロケットホール14を形成する前に転写法で別途形成してもよい。もちろん、配線パターン用レジストパターン23と金属層用レジストパターン24とを同時に形成してもよい。
【0043】
次に、配線パターン用レジストパターン23及び金属層用レジストパターン24をマスクパターンとして導電層12をエッチング液で溶解して除去し、さらに配線パターン用レジストパターン23及び金属層用レジストパターン24をアルカリ溶液等にて溶解除去することにより、図2(e)に示すように配線パターン13と金属層16とを形成する。
【0044】
次いで、図2(f)に示すように、配線パターン13及び金属層16の面上にスズメッキ層(図示しない)を形成した後、エンボススペーサを間に挟んでリールに巻き取り、約80〜200℃で加熱処理を行う。これにより、ホイスカーの発生が防止される。次いで、例えば、スクリーン印刷法を用いて、ソルダーレジスト層15を形成する。例えば、本実施形態では、配線パターン13の中央部を囲むようにソルダーレジスト層15を形成することで、配線パターン13の中央部にインナーリード13aを形成し、ソルダーレジスト層15の外側にアウターリード13bを形成する。これをエンボススペーサを間に挟んでリールに巻き取り、約100〜200℃に加熱して硬化させる。これにより、図1に示すような電子部品実装用フィルムキャリアテープ10が完成する。
【0045】
このような電子部品実装用フィルムキャリアテープ10の各製造プロセス、特に、各レジストパターン23,24を形成する工程、ソルダーレジスト層15を形成する工程に導入された硬化工程において、本実施形態では、金属層16にスリット17を設けることで、各スプロケットホール14で、絶縁層11と金属層16との間に発生する内部応力を適度に開放できる。このため、このような応力により、電子部品実装用フィルムキャリアテープ10の幅方向両側において長手方向に亘って発生する波状の変形を減少できる。すなわち、平坦な電子部品実装用フィルムキャリアテープ10を実現できる。また、金属層16によってスプロケットホール14の剛性を高めることができ、十分なテープ搬送強度を確保できる。したがって、例えば、電子部品等を実装する際、スプロケットホール14にピンローラ等を挿入してスムーズに位置決め搬送できると共に搬送経路に設けられたガイド等に追従することができ、半導体実装ラインでの搬送又は実装時の信頼性を向上できる。
【0046】
なお、本実施形態では、各金属層16に、絶縁層11の幅方向で、且つスプロケットホール14に対して相対向する位置に2つのスリット17を設けるようにしたが、スリットは、各金属層がスプロケットホール14の外周方向に亘って不連続となるようにすれば、スリットの数及び配置は特に限定されない。
【0047】
ここで、金属層に設けるスリットの他の例を示す電子部品実装用フィルムキャリアテープの要部拡大断面図を図3に示す。
【0048】
図3(a)に示すように、各スプロケットホール14毎に設けられた金属層16Aに、スリット17Aが絶縁層11の長手方向で、且つスプロケットホール14に対して相対向する位置に2箇所設けられている。
【0049】
このようなスリット17Aの幅iは、スリット17の幅gと同様に、0.01〜1.5mm程度が好ましく、0.1〜1.0mmが好適である。また、スリット17Aも、スプロケットホール14の外周方向で互いに隣接するスリット17A同士の間の間隔が均等の間隔、すなわち、金属層16Aの2つのスリット17Aによって2つに分裂された領域16c及び16dが均等の長さとなるように配置するのが好ましく、本実施形態では、2つのスリット17Aを絶縁層11の長手方向で、スプロケットホール14に対して相対向する2箇所に配置することで、スプロケットホール14の外周方向で隣接するスリット17A同士の間の間隔が均等となるようにした。
【0050】
また、図3(b)に示すように、各スプロケットホール14毎に設けられた金属層16Bに、図1(c)に示したスリット17と、図3(a)に示したスリット17Aとの両方が設けられている。
【0051】
このような金属層16Bに設けられたスリット17及び17Aも、スプロケットホール14の外周方向で互いに隣接するスリット17とスリット17Aとの間の間隔が均等の間隔、すなわち、金属層16Bの2つのスリット17と2つのスリット17Aとによって4つに分裂された領域16e、16f、16g及び16hが均等の長さとなるように配置するのが好ましい。本実施形態では、スリット17が絶縁層11の幅方向で、スプロケットホール14に対して相対向する2箇所に配置され、スリット17Aが絶縁層の長手方向で、スプロケットホール14に対して相対向する2箇所に配置されているため、隣接するスリット17とスリット17Aとの間の間隔が均等となるようにした。
【0052】
これにより、さらに一つの金属層16Bに対する応力をスプロケットホール14の外周方向で均等に開放させることができる。
【0053】
また、金属層16Bに設けられたスリット17の幅gとスリット17Aの幅iとは、本実施形態では、スリット17Aの幅iがスリット17の幅gよりも狭くなるように形成されている。なお、スリット17とスリット17Aとは、幅g及びiが異なるように形成してもよく、また、同じ幅となるように形成してもよい。
【0054】
このように金属層16〜16Bに設けるスリット17、17Aの数及び位置は、特に限定されない。例えば、上述した図1及び図3では、各金属層16〜16Bのそれぞれにスリット17及び17Aを2箇所又は4箇所設けるようにしたが、1箇所でもよく、また3箇所以上であってもよい。また、複数のスリットを設ける場合には、スリットをスプロケットホール14の外周方向で互いに隣接するスリット同士の間の間隔が均等の間隔となるように配置するのが好ましい。
【0055】
(実施例1〜3)
テープ幅35mmの絶縁層の幅方向両側にスプロケットホールを複数形成した後、絶縁層上に設けられた導電層をパターニングして配線パターン及び金属層を形成した。このとき、各金属層を、図1に示すスリット17の配置で、且つ各金属層のスプロケットホールの外周方向に亘った幅wが0.75mmとなるように形成し、金属層16にスリットを幅gが0.3mmとなるように2箇所設けた。その後、スズメッキされた配線パターン及び金属層上にスズメッキを施した後、エンボススペーサを間に挟んでリールに巻き取った状態で約120℃の温度条件下、60分間加熱処理する。そして、さらに、ソルダーレジスト層を形成後、エンボススペーサを間に挟んでリールに巻き取った状態で約140℃の温度条件下で120分間加熱処理したものを実施例1の電子部品実装用フィルムキャリアテープとした。
【0056】
また、図3(a)に示すスリット17Aの配置で、且つ各金属層16Aに、スリット17Aを幅iが0.1mmとなるように2箇所設けた以外、実施例1と同じ構成のものを実施例2の電子部品実装用フィルムキャリアテープとした。
【0057】
さらに、図3(b)に示すスリット17及び17A、すなわち、金属層16Bに実施例1のスリット17を2箇所と、実施例2のスリット17Aを2箇所とを設けた以外、実施例1と同じ構成のものを実施例3の電子部品実装用フィルムキャリアテープとした。
【0058】
(比較例1)
比較のため、各スプロケットホール毎に独立した金属層にスリットを設けずに、金属層をスプロケットホールの外周に亘って連続させた以外、上述した実施例1と同様の構成のものを比較例1の電子部品実装用フィルムキャリアテープとした。
【0059】
(試験例)
基台の上に実施例1〜3及び比較例1の電子部品実装用フィルムキャリアテープを載置し、その基台の面上から電子部品実装用フィルムキャリアテープの幅方向両端部が浮き上がっている部分の最大高さを測定した。
【0060】
ここで、波状の基台からの最大高さの測定は、例えば、基台の電子部品実装用フィルムキャリアテープの設けられた鉛直方向上側からレーザ光を照射し、レーザ光の反射によって距離を測定することができるレーザ反り測定器を用いて行った。
【0061】
比較例1の波状の最大高さを100%とすると、各実施例1〜3の波状の最大高さは、実施例1で65%、実施例2で70%、実施例3で60%となった。
【0062】
このような結果から、各スプロケットホール14毎に独立して設けられた金属層16〜16Bにスリット17、17Aを設けた構造の実施例1〜3の電子部品実装用フィルムキャリアテープは、比較例1と比較して、その幅方向両側において長手方向に亘って発生する波状の変形を減少させることができた。
【0063】
したがって、各スプロケットホール14毎に独立して設けられた金属層16〜16Bにスリット17、17Aを設け、金属層16〜16Bをスプロケットホール14の外周方向に亘って不連続とする構造を採用すれば、スプロケットホール14の補強を行うことができると共に、電子部品実装用フィルムキャリアテープ10の幅方向両側において長手方向に亘って発生する波状の変形を減少させることができる。
【0064】
なお、上述した各実施例1〜3では、テープ幅35mmの絶縁層を用いたが、テープ幅70mm(69.950±0.2mm)の絶縁層を用いても、上述したのと類似の結果及び効果が得られた。
【0065】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態を説明したが、勿論、電子部品実装用フィルムキャリアテープは上述したものに限定されるものではない。
【0066】
例えば、上述した実施形態1では、金属層16〜16Bをスプロケットホール14の外周に亘って同一の幅wとなるように形成したが、金属層は、特にこれに限定されない。例えば、図4(a)に示すように、絶縁層11の幅方向の幅w1と絶縁層11の長手方向の幅w2とが異なる金属層16Cとしてもよく、また、図4(b)に示すように、絶縁層11の幅方向で、配線パターン側の幅w11との幅w12とが異なる金属層16Dとしてもよい。勿論、矩形のスプロケットホール14の各辺に対応する幅が全て異なる金属層としてもよい。なお、図4は、他の実施形態に係る電子部品実装用フィルムキャリアテープの要部拡大平面図である。
【0067】
また、例えば、上述した実施形態1では、金属層16〜16Bをスプロケットホール14の開口縁部に亘って設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、図5に示すように、金属層16Eとスプロケットホール14の開口縁部との間に金属層16Eが存在しない領域を設けるようにしてもよい。すなわち、スプロケットホール14の開口縁部から所定間隔離してスリット17の設けられた金属層16Eを設けるようにしてもよい。このようなスプロケットホール14と金属層16Eとの間隔tは、上述した実施形態1の金属層16の幅wとの関係から、0.1〜0.3mm程度が好ましい。このように、スプロケットホール14と金属層16Eとの間に間隔を設けることで、製造又は実装の際、スプロケットホール14に挿入されるピンローラや位置決めピン(図示なし)等と金属層16Eとが接触して金属層16Eの欠け、すなわち、金属片、金属粉等が発生することはない。したがって、このような金属カスが原因で発生する、例えば、配線パターンの短絡等の不具合を確実に防止できる。
【0068】
さらに、例えば、上述した実施形態1では、配線パターン13やスプロケットホール14等からなるキャリアパターンを1列設けた電子部品実装用フィルムキャリアテープ10を例示して説明したが、これに限定されず、例えば、キャリアパターンを複数列並設した多条の電子部品実装用フィルムキャリアテープであってもよい。
【0069】
また、上述した実施形態1では、COFフィルムキャリアテープである電子部品実装用フィルムキャリアテープ10を例示したが、その他の電子部品実装用フィルムキャリアテープ、例えば、TAB、CSP、BGA、μ−BGA、FC、QFPタイプ等であってもよく、その構成等も限定されるものではない。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、スプロケットホールの開口縁部の周囲に亘って各スプロケットホールを囲むように各スプロケットホール毎に独立して設けられた金属層にスリットを設けることにより、金属層がスプロケットホールの外周に亘って不連続とする構造としたので、各スプロケットホール毎に金属層と絶縁層との間の応力が適度に開放され、電子部品実装用フィルムキャリアテープの幅方向両側において長手方向に亘って発生する波状の変形を減少することができる。これにより、平坦な電子部品実装用フィルムキャリアテープが実現され、半導体実装ラインでの搬送又は実装時の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る電子部品実装用フィルムキャリアテープを示す概略構成図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図であり、(c)は要部拡大平面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る電子部品実装用フィルムキャリアテープの製造方法を説明する断面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係るスリットの他の例を示す電子部品実装用フィルムキャリアテープの要部拡大断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る電子部品実装用フィルムキャリアテープの要部拡大平面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る電子部品実装用フィルムキャリアテープの要部拡大平面図である。
【符号の説明】
10 電子部品実装用フィルムキャリアテープ
11 絶縁層
12 導電層
13 配線パターン
14 スプロケットホール
15 ソルダーレジスト層
16、16A、16B、16C、16D、16E 金属層
16a〜16h 分裂された領域
17、17A スリット
20 COF用積層フィルム
21 フォトレジスト材料塗布層
22 フォトマスク
23 配線パターン用レジストパターン
24 金属層用レジストパターン
Claims (4)
- 絶縁層の表面に導電層からなる配線パターンと、当該配線パターンの両側に設けられた複数のスプロケットホールとを有する電子部品実装用フィルムキャリアテープにおいて、
前記スプロケットホールの開口縁部の周囲に亘って各スプロケットホールを囲むように各スプロケットホール毎に独立した金属層が形成され、前記金属層のそれぞれは、前記スプロケットホールの外周に亘って少なくとも1箇所に、当該金属層を不連続とするスリットが設けられていることを特徴とする電子部品実装用フィルムキャリアテープ。 - 請求項1において、前記スリットが前記スプロケットホールのそれぞれの前記金属層毎に複数設けられていると共に、前記スプロケットホールの外周方向で互いに隣接するスリット同士の間の間隔が均等の間隔となるように配置されていることを特徴とする電子部品実装用フィルムキャリアテープ。
- 請求項1又は2において、前記金属層と前記スプロケットホールの開口縁部との間には、前記金属層が存在しない領域が設けられていることを特徴とする電子部品実装用フィルムキャリアテープ。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記スリットの前記スプロケットホールの外周方向の幅が、0.01〜1.5mmであることを特徴とする電子部品実装用フィルムキャリアテープ。
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