JP3876957B2 - 半導体装置のフォトマスク及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置に係り、具体的には、フォトマスク及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置を製造する工程においては、半導体基板の上に物質層をパタニングするための写真食刻工程が必要とされる。このような写真食刻工程で、フォトレジスト層を選択的に露光するためにフォトマスクが用いられる。この種のフォトマスクは、フォトマスクの透過防止層などを、所望されるパターンに従ってパタニングすることにより備えられる。
【0003】
従来のフォトマスクは、光が透過する透光性基板、例えば、石英基板の上に透過防止層としてクロム層が形成された構造が用いられていた。このクロム層の上には、クロム層による反射を防止するクロム酸化層がさらに形成されることができる。
【0004】
一方、半導体装置の高集積化が進むにつれて、デザインルールが減少しつつある。これにより、このデザインルールの減少を補うために、より高い解像度を具現できるフォトマスクが求められている。また、露光工程に用いられる光源の波長も減少し、約250nm以下または約150nm以下の被像寸法の具現が求められている。すなわち、KrFまたはArFを光源として用いることが必要になりつつある。これにより、フォトマスクは、さらに微小なパターンを有するように製造され、よって、製造する工程のマージン確保が重要視されている。この観点から、フォトマスクを製造する工程に乾式食刻方法を採用することが要求されている。
【0005】
ところが、従来のフォトマスクに用いるクロム層をパタニングする工程には、乾式食刻方法の適用が難しい。これは、乾式食刻に用いる反応ガスに対して、クロム層とフォトレジスト層との選択比が低いことに起因する。すなわち、前記フォトレジスト層としては、主としてCAR(Chemical Amplitude Resist)、ZEPまたはEBR(E-beam resist)などを用いるが、このフォトレジスト層は反応ガスに対してクロム層と低い食刻選択比を示す。従って、乾式食刻方法によりクロム層をパタニングするためには、極めて厚膜のフォトレジスト膜が要求される。しかし、この極めて厚膜のフォトレジスト膜を取り入れることにより、解像度の減少を招き、高集積化した半導体装置の製造には適していない。
【0006】
これを補うために、クロム層をパタニングするのに湿式食刻方法が用いられる。この湿式食刻方法は、パターンの側壁角及び縁部の傾斜などを伴って、被像寸法の最小化に制約を与えることがある。これにより、全体マスクの上において約1μm以下の線幅を均一に形成しにくく、結果として高い解像度が具現が難しい。さらに、この湿式食刻方法によるパタニングは、乾式食刻方法に比べ生産性が相対的に低い。
【0007】
一方、このように高い解像度を具現するには、前記透過防止層の膜厚を減少させる必要がある。透過防止層の膜厚が減少すると、前記透過防止層のパタニングのためのフォトレジスト膜の膜厚も減少されうる。したがって、さらに減少された寸法をもった透過防止層パターンを形成することができる。これにより、解像度の増加を具現できる。
【0008】
このように、さらに減少された膜厚で透過防止層を形成するには、クロム層に比べて高い吸光度特性または高い吸光係数をもつ物質層が求められる。吸光係数または吸光度(OD)値が大きいということは、より薄い層でも、露光工程で用いられる光源を選択的に遮断できることを意味する。
【0009】
また、従来のフォトマスクに用いられるクロム層は、石英基板との接着性が比較的低く、クロム層をパタニングする工程においてパターン不良が生じうる。このようなパターン不良が生じる場合には、FIB(focused ion beam)修正またはレーザ修正等により前記パターン不良を修正する工程が行われる。このとき、川床(riverbed)または基板の透過率減少など基板の損傷などが生じうる。
【0010】
このようなクロム層を取り替えるために、Mo−Si系の物質層を用いる試みがなされつつある。例えば、MoSi2層を用いる方法が提案されている(Y.Watakabe、et al.,"High performance very large scale integrated photomask with asilicide film", J.Vac.Sci.Technol.B(4),pp.841-844,1986)。また、MoSi層を用いる方法が提案されている(Akira Chiba、"Fabrication technologies for advanced 5X reticles for 16M-bit DRAM",J.Vac.Sci.Technol.B8(2),pp.117-121.1990)。他方、このMo−Si系の物質層を乾式食刻方法によりパタニングする試みがなされつつある(C.Pierrat,et al.,"Dry etched molybdenumsilicide photomasks for submicron integrated circuit fabrication",J.Vac.Sci.Technol.B9(6),pp.3132−3137,1991)。さらに、Mo−Si系の物質層の上に反射防止層を形成する方法が提案されている(Akira Chiba,"Anti reflective MoSi photomasks".,J.Vac.Sci.Technol.B10(16),pp.2480−2485,1992)。そして、PSMに適用する研究もなされている(Rik Jonckheere,"Molybdenumsilicide based attenuated phase-shift masks",J.Vac.Sci.Technol.B12(6),pp.3765−3772,1994)。一方、非晶質シリコン層を用いる研究が成されている(Charles H.Fields,et al.,"The Use of Amorphous Silicon for Deep UVMasks",SPIE Vol.1927,pp.727-735,1993)。
【0011】
ところが、前記したようなMo−Si系の物質層は、電気伝導度が低いという性質を持つ。これは前記Mo−Si系の物質層内に含まれている導電性の低いSi原子が原因で、低い電気伝導度を示すためである。これにより、フォトレジスト膜を電子ビームを用いて露光する際に、追加の電荷消散層を導入すべきである。また、Moはパタニング後洗浄工程等に用いられる過酸化水素水(H2O2)などの化学溶液に容易に溶ける。従って、パタニング後の膜質モホロジー等が悪くなる、またはパターン不良となることがある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み成されたものであり、その目的は、さらに薄い膜厚の透過防止層を実現して、写真食刻工程に際して高い解像度を与えることができる半導体装置のフォトマスクを提供するところにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
従って前記目的は、本発明による、透光性基板と、前記基板上に形成された、モリブデンにバナジウムまたはニオビウムが固溶されたモリブデン固溶合金からなる透過防止層とを有することを特徴とする半導体装置のフォトマスクにより達成される。
【0014】
さらに本発明は、前記モリブデン固溶合金は、モリブデンに前記バナジウムまたは前記ニオビウムが置換形固溶されていることを特徴とする前記半導体装置のフォトマスクである。
【0015】
さらに本発明は、前記バナジウムまたは前記ニオビウムは、全ての組成においてモリブデンを置換して完全固溶されることを特徴とする前記半導体装置のフォトマスクである。
【0022】
また前記他の目的は、本発明の、透光性基板を提供する段階と、前記基板上に、モリブデンにバナジウムまたはニオビウムが固溶されたモリブデン固溶合金層からなる透過防止層を形成する段階とを含むことを特徴とする半導体装置のフォトマスク製造方法により達成される。
【0023】
さらに本発明は、前記モリブデン固溶合金層は、バナジウムまたはニオビウムが固溶されたモリブデン固溶合金からなるターゲットを用いるスパッタリング方法により形成されることを特徴とする前記半導体装置のフォトマスク製造方法である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付した図面に基づき本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は各種の形態に変形でき、本発明の範囲が下記の実施形態により限定されるものではない。本発明の実施形態は、当業界において通常の知識を有した者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。よって、図面における層の膜厚等はさらに明確な説明を強調するために誇張されており、図面での同じ符号で付した要素は同じ要素を意味する。また、ある層が他の層または半導体基板の"上"にある、または接触していると記される場合、前記ある層は前記他の層または半導体基板に直接接触して存在することもあれば、またはその間に第3の層が介されることもある。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態によるフォトマスクを説明するために概略に示す断面図である。具体的に、本実施形態によるフォトマスクは、透光性基板100の上に形成された透過防止層200、および透過防止層200をパタニングする後続工程に選択的に食刻するために導入されるフォトレジスト層400などを備える。前記透過防止層200は、モリブデンに金属原子が固溶されたモリブデンに固溶合金等から形成される。このモリブデン固溶合金は、モリブデンに完全に置換可能であり、実質的にほとんど全ての合金組成比で固溶体を成しうる物質と、前記モリブデンとから成る固溶体を意味する。
【0027】
このとき、固溶される物質は、モリブデンの特性を相殺し、かつ改善できる特性を持つ金属原子を用いることが望ましい。この物質がモリブデンに固溶されることにより、固溶体の化学的特性または機械的特性は多様に変化できる。このとき、この固溶される物質は前記モリブデンと置換形固溶可能な物質であることが好ましい。また、実質的にモリブデンと全ての組成領域にわたって完全固溶をなす物質であることが好ましい。
【0028】
上記した固溶される物質としては、クロムが挙げられる。すなわち、モリブデンにクロムが固溶されたモリブデンクロム固溶合金で、前記透過防止層200を形成することができる。モリブデンクロム固溶合金は、図2に示されるように、実質的に全ての組成領域で相互固溶し、固溶体として形成される。
【0029】
同様に、固溶体を形成することでモリブデンの特性を改善できる物質としては、バナジウム、タングステン、ニオビウムまたはタンタルなどが挙げられる。
【0030】
具体的に、モリブデン固溶合金の特性を、モリブデンにクロムが固溶された固溶体、すなわちモリブデンクロム固溶合金を用いて説明する。
【0031】
図2はモリブデンとクロムの異成分系状態を表す概略図であるが、これから明らかなように、モリブデンにクロム原子が全ての組成比にわたって固溶できる。またクロム原子は、モリブデン原子を置換して固溶されることが判る。これは、クロム原子の場合、格子定数が約2.882Åであってモリブデンの3.147Åと近似していることからも明らかである。
【0032】
一般に、置換形固溶体は、固溶体をなす二成分の特性を相補的に示す特性をもつ。従って、モリブデンクロム固溶合金からなる物質層は、クロム層及びモリブデン層の特性を相補的に有しうる。
【0033】
クロム層及びモリブデン層は、それぞれ次のような特性を示すと知られている。まず、クロム層は、乾式食刻方法を適用するとき、フォトレジスト層との選択比が低いという短所がある。そして、クロム層は、低い波長の光源に対して、例えば、約193nmの光源に対して、下記の表1及び図3に示されたように、モリブデンより低い吸光係数値を表す。
【0034】
表1は、フォトマスクの透過防止層として用いられる物質に対する光学特性を示している。特に、表1から明らかなように、クロムは、Mo、Ta、NbまたはW等に比べ低い吸光係数kを持つ。一方、図3は、193nmの波長における様々な物質の吸光係数kと共に、反射係数(refractive index)を示している。図3において、Tは透過度を表し、矢印で示した値以上の吸光係数kを表す物質が透過防止層として好適なことを意味する。この表1及び図3において、クロム層は、モリブデン層等に比べ低い吸光係数k値を持つので、モリブデン層よりも厚く形成しないと光の透過が有効に防止できないことが分かる。
【0035】
フォトマスクに用いられる様々な物質の電気的及び光学的特性
【0036】
【表1】
【0037】
一方、クロム層は基板として用いられる石英との接着性が比較的
低いために、パタニングに際し欠陥が生じうる。これにより、クロム層をパタニングした後にFIB修正またはレーザ修正などを必要とし、このような修正を行うためにさらに欠陥が生じうる。具体的に説明すると、FIB修正は物理的な力を用いて不透明性欠陥、つまり好ましくないクロム層の一部を取り除く技術である。このとき、イオンビームを加速して与えられる物理的な力によってクロム層の一部がミリングされる。つまり微細な膜厚でクロム層の一部が順次にミリングされて取り除かれる。この場合、クロム層内のクロム原子どうしの結合力はモリブデンの場合に比べ大きいため、高い加速度でイオンビームを加速しなければならない。従って、基板に欠陥または損傷を招くことがある。
【0038】
このFIB修正による欠陥としては、川床という現象などが挙げられる。これは欠陥の縁部が中央部に比べ高い速度で取り除かれ、川床に似た欠陥が基板に生じうることをいう。かかる川床の発生は、クロム層の膜厚が厚いほど大きくなる傾向がある。
【0039】
また、レーザ修正による欠陥としては、さらなる熱量が下部の基板へ移ることである。これにより、基板の石英の一部が気化等により分離したり、融解して再凝固することがあり、それにより組織の変化を招き、基板の透過程度を変えてしまうことがある。
【0040】
しかし、クロムは優れた化学耐性を持つため、湿式食刻方法でのパタニングに際して使用する化学溶液への抵抗性が優れているという利点がある。しかし、乾式食刻に対しては低い食刻率を示すため、食刻選択比が低く、乾式食刻方法は適さない。
【0041】
これに対し、モリブデン層は通常下記のような特性を示している。モリブデンは、表1及び図3に表されたように、クロムよりも高い吸光係数k値、さらに、高いOD値をもつ。従って、モリブデン層をクロム層よりも薄く形成して用いても有効な結果が得られる。さらに、モリブデン層のパタニング後、レーザ修正により欠陥を修正するとき、基板に転移する熱量は一層少なくなるので、基板の欠陥発生が減少する。
【0042】
さらに、モリブデン層はより薄く形成されて利用でき、かつモリブデン原子どうしの結合力がクロム層に比べ小さいので、FIB修正などを行うとき、同じ印加パワーでも欠陥を素早く除り除くことができる。また、より低いイオンビーム加速程度が適用でき、基板に投射されるガリウムイオンを抑えることができ、川床現象の発生を抑えることができる。
【0043】
また、モリブデンはクロムより高い電気伝導度をもつ。これは、静電気などによるパターンき損などの欠陥発生を抑える上で有効である。例えば、フォトレジスト膜を電子ビーム等で露光するとき、下部の膜質が低い電気伝導度を有する場合、前記電子ビームに起因する静電気によってパターンなどが損なわれる。従って、クロム層などのように低い伝導度の物質層を透過防止層として用いる場合には、追加の電荷消散層が必要だが、モリブデン層などのように高い伝導度をもつ物質層には前記電荷消散層は必要でない。
【0044】
また、通常の乾式食刻方法に用いられる反応ガスに対して、モリブデンはクロムより高い食刻速度を示している。これにより、より小さいフォトレジスト膜の消耗により、選択的食刻が実現可能である。
【0045】
しかし、モリブデンは、過酸化水素水程度の低反応性の化学溶液にも溶解しやすく、化学溶液への抵抗性がクロム層に比べて低い。これにより、パタニング後、洗浄等によりパターンの線幅などが損なわれうる。例えば、純粋なモリブデン層は、半導体装置、特にマスク洗浄に通常用いられる過酸化水素水に硫酸が加えられた洗浄液またはアンモニア水、過酸化水素水及び純水の混合溶液などの混合物に必ず加えられる過酸化水素水に素早く腐食される。
【0046】
以上のそれぞれの特性を鑑みて、本発明の実施形態においては、モリブデンにクロムを置換形固溶した固溶体を透過防止層200として用いることで、上記したクロム層の利点及びモリブデン層の利点を合わせて具現することができる。そして、クロム層及びモリブデン層のそれぞれの短所を相殺させて補完することができる。即ち、図2に示されたように、全ての組成比の領域で互いに完全固溶されて形成される固溶体は、一般にそれぞれの成分の機械的及び化学的な物性特性を合わせて示す。この物性特性は、それぞれの成分の含量に比例して相補的に現れることは言うまでもない。
【0047】
この点から、本発明のモリブデンクロム固溶合金層は、下記のような特性を示す。まず、モリブデンの化学溶液への低い抵抗性を固溶されるクロムにより相殺させて高めることができる。すなわち本発明によるモルブデンクロム固溶合金層、例えば、70%のモリブデンに30%のクロムが固溶された合金層は、前記した化合物、とくに過酸化水素水に何ら侵食されないことが実験によって明らかであり、優れた化学的耐性を持つことがわかる。
【0048】
そして、モリブデンクロム固溶合金層は、クロム層に比べ薄厚で透過防止層200として用いられる。例えば、約0.05〜0.07μm(500Å〜700Å)の膜厚でも、透過防止層200として利用可能である。これは、表1から明らかなように、モリブデンの優れた吸光係数k値に基づく。モリブデンは193nmの波長で約2.36のk値を表すのに対し、クロムは、1.66の高いk値を表す。従って、モリブデンクロム固溶合金層は、クロムの低いk値をモリブデンの高いk値が補い、クロム層よりも高いk値を持つことができる。これにより、より薄いモリブデンクロム固溶合金層を形成しても、厚膜のクロム層より優れた透過防止効果が具現可能である。これは、結果としてODをより確保することができるという意味合いである。
【0049】
このように、モリブデンクロム合金層をより薄く形成して透過防止層200として利用可能なことは、高解像度を具現できるという意味でも解釈可能である。また、前述したようなFIB修正またはレーザ修正においても、基板の欠陥発生を抑えるような効果が得られる。
【0050】
一方、モリブデンは、前述したように、クロムより一般的な反応ガスを用いる乾式食刻方法で高い乾式食刻率を示している。これにより、クロムの低い乾式食刻率が相殺でき、モリブデンクロム固溶合金層もクロム層に比べて高い乾式食刻率を具現することができる。これは、モリブデンクロム固溶合金層を透過防止層200として用いる場合、透過防止層200のパタニングに乾式食刻方法を採用できることを意味する。
【0051】
さらに、前述したように、モリブデンクロム合金層をより薄厚で具現でき、より高い乾式食刻率が具現されることから、フォトレジスト膜との食刻選択比をより確保することができる。すなわち、選択的食刻に用いられるフォトレジスト膜の選択幅を広く確保することができる。また、湿式食刻工程でも、モリブデンクロム合金層の膜厚が縮まることから、サイドカットなどを抑えることができる。モリブデンは、クロム層に比べ化学溶液への抵抗性が低いので、モリブデンクロム固溶合金層のSEB式食刻率の向上を具現できる。これにより、現像工程などの工程マージンをより確保することができる。
【0052】
一方、モリブデンは、クロムの基板との接着不良特性を相殺でき、モリブデンクロム固溶合金層は、基板との高い接着性を持ちうる。これにより、透過防止層200をパタニングするときに生じる欠陥を抑えることができる。
【0053】
また、モリブデンは、クロムに比べ高い電気伝導度をもつため、モリブデンクロム固溶合金層は、クロム層より高い電気伝導度を持ちうる。従って、電子ビームを用いる露光工程等で電荷の蓄積に伴う静電気による欠陥発生を防止することができる。
【0054】
このような本発明によるモリブデンクロム固溶合金層は、下記のような方法で形成可能である。例えば、約90%のモリブデン及び10%のクロムの合金をターゲットとして用い、スパッタリング方法により前記モリブデンクロム固溶合金層を形成することができる。このとき、アルゴンを約30sccm供給し、約5Pa(約40mTorrに相当)のチャンバ圧力を保持する。前記アルゴンに約150WのRFパワーを印加し、前記ターゲットをスパッタリングして前記ターゲットに対向して導入される基板の上にモリブデンクロム固溶合金層を蒸着させる。この方法において、モリブデンクロム固溶合金層の組成に従い、前記ターゲットの組成及びチャンバ圧力条件または印加パワーの条件などが変わりうる。また、モリブデンにバナジウム、タングステン、ニオビウムまたはタンタルなどが固溶されたモリブデン固溶合金層を形成するに際しても、前記ターゲットを交換して前述したようなスパッタリング方法を用いることができる。
【0055】
一方上述のモリブデンクロム固溶合金と同様に、モリブデンにタンタル、バナジウム、ニオビウムまたはタングステンなどを置換形固溶することによっても、モリブデンの特性を改善することができる。図4乃至図7はモリブデン及びニオビウム、タンタル、バナジウム及びタングステンそれぞれの異成分系状態図を概略的に示したもので、ニオビウム、タンタル、バナジウムまたはタングステンのそれぞれはモリブデンと実質的に全組成で置換形固溶されており、クロムの場合と同様、モリブデン層の特性を改善することができる。例えば、モリブデンの前述した過酸化水素などの化学溶液に対する低い抵抗性を、固溶される前記ニオビウム、タンタル、バナジウムまたはタングステンなどが改善することができる。すなわち、化学的耐性を増加させる効果を具現できる。
【0056】
また、タンタル、バナジウム、ニオビウムまたはタングステンは、図3に示されたように、比較的に高い吸光係数kを示し、且つ低い反射係数nを示すので、モリブデン及びこれら元素の固溶体は、優れた吸光特性を示すことができる。従って、より薄厚で透過防止層200が形成可能である。
【0057】
これは、タンタル、バナジウム、ニオビウムまたはタングステンなどのそれぞれとモリブデンとの固溶体が透過防止層200として用いられる場合、かかる透過防止層200を湿式または乾式食刻工程で現像マージンを増加できることを意味する。すなわち、モリブデンクロム固溶合金層で説明したように、透過防止層200の膜厚を薄く導入することにより、フォトレジスト層の膜厚をより薄く導入することができる。これは、解像度の増加が具現できることを意味する。また、乾式食刻工程においては、。フォトレジストとの選択比による影響を低減する役割をする。これにより、各種のフォトレジストが導入可能である。
【0058】
一方、かかる固溶合金層の形成に際しても、モリブデンクロム固溶合金層を形成する方法のように、モリブデンに上記したタンタル、ニオビウム、バナジウムまたはタングステンなどがそれぞれ固溶されたモリブデンタンタル合金、モリブデンニオビウム合金、モリブデンバナジウム合金またはモリブデンタングステン合金からなるターゲットを用いるスパッタリング方法により上記した固溶合金層を形成できる。このとき、形成される固溶合金層、すなわち、透過防止層200の組成は、ターゲットの組成に従う。
【0059】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によると、モリブデン固溶合金層は完全置換形固溶により形成されたものであって、モリブデン層またはクロム層などの特性が改善可能である。例えば、吸光係数の改善または耐火学性等の改善が成し遂げられる。さらに、透過防止層として用いられるとき、透過防止層の膜厚をより薄厚で導入可能である。これにより、ArFまたはKrFなどのように、より短い波長の光源に好適な解像度を具現することができる。
【0060】
以上、本発明を具体的な実施形態を通じて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的な思想内において当分野の通常の知識を有した者にとって該変形や改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかるフォトマスクを説明するための概略断面図である。
【図2】モリブデン及びクロムの異成分系状態図である。
【図3】193nm波長における各種の物質の吸光係数k値を示すグラフである。
【図4】モリブデン及びニオビウムの異成分系状態図である。
【図5】モリブデン及びタンタルの異成分系状態図である。
【図6】モリブデン及びバナジウムの異成分系状態図である。
【図7】モリブデン及びタングステンの異成分系状態図である。
【付号の説明】
100・・・透光性基板、
200・・・透過防止層、
400・・・フォトレジスト層。
Claims (5)
- 透光性基板と、前記基板上に形成された、モリブデンにバナジウムまたはニオビウムが固溶されたモリブデン固溶合金からなる透過防止層とを有することを特徴とする半導体装置のフォトマスク。
- 前記モリブデン固溶合金は、前記モリブデンに前記バナジウムまたは前記ニオビウムが置換形固溶されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置のフォトマスク。
- 前記バナジウムまたは前記ニオビウムは、全ての組成においてモリブデンを置換して完全固溶されることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置のフォトマスク。
- 透光性基板を提供する段階と、前記基板上に、モリブデンにバナジウムまたはニオビウムが固溶されたモリブデン固溶合金層からなる透過防止層を形成する段階とを含むことを特徴とする半導体装置のフォトマスク製造方法。
- 前記モリブデン固溶合金層は、前記モリブデンに前記バナジウムまたは前記ニオビウムが固溶されたモリブデン固溶合金からなるターゲットを用いるスパッタリング方法により形成されることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置のフォトマスク製造方法。
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