JP3876357B2 - ガス遮断器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱ガス流処理に好適な導体構造に係る新規なガス遮断器の関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にガス遮断器は、特開平8−195147号公報、特開平8−195149号公報に示すように、絶縁ガス中に配置された消弧室、消弧室内可動子を操作する操作機構、油圧等を利用した操作器から構成され、消弧室は、固定側接触子、可動側接触子、絶縁ノズル、パッファシリンダ、ピストン、電界緩和用シールドから構成されている。
【0003】
従来のガス遮断器は、消弧室、固定側接触子、可動側接触子、絶縁ノズル、パッファシリンダ、絶縁ロッド、ピストンを有し、さらに絶縁ロッドを駆動する操作器を備えている。消弧室内の可動側接触子は、絶縁ロッド、ピン及びレバーにより操作器に接続され、遮断器の開閉動作が行われる。このような構造のガス遮断器において、固定側接触子が固定される固定側導体はストレートな中空導体によって構成され、複数の開口部を有する。このような構造において定格遮断電流等の大電流を遮断した場合、極間に発生したアークに吹付けられた絶縁ガスは、このアークにより加熱され、高温のガスとなる。高温になった熱ガスは絶縁耐力を低下させる為、熱ガスの処理が遮断器としての十分な性能を引き出すうえで、非常に重要な要因の一つとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の装置では、上述の熱ガスによる対地及び極間の絶縁低下の影響を抑制する為、一般的に対地の絶縁距離を大きくする様にタンク径を大きくしたり、また遮断時の極間の絶縁距離大きくする様に操作力を上昇させ遮断部の速度を上げるといった方法が採用されてきたが、機器の縮小化を図る上で問題が生じていた。
【0005】
本発明の目的は、熱ガスが吹付けられる固定側導体に、熱ガスの整流作用と冷却、及び絶縁性能を確保できるガス遮断器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、タンク内部に配置された遮断部において、熱ガスが吹付けられる固定側導体に熱ガスの整流作用と冷却、及び絶縁性能の面から最適なシールドを設けたことを特徴としたガス遮断器である。
【0007】
具体的には、本発明は、対向して設けられた可動側アーク接触子及び固定側アーク接触子と、前記可動側アーク接触子にその前記固定側アーク接触子側に設けられた絶縁ノズルと、該絶縁ノズルの前記固定側アーク接触子に対して反対側に設けられたパッファシリンダと、前記固定側アーク接触子にその前記絶縁ノズルに対して反対側に固定された中空導体からなる固定側導体と、前記パッファシリンダに連結された絶縁ロッドと、該絶縁ロッドの駆動によって前記パッファシリンダ内に設けられた固定ピストンとの間で絶縁性ガスを噴射させ、電流遮断時に発生するアークに前記絶縁性ガスを噴射するガス遮断器において、前記固定側導体は、その軸に対して平行な断面が前記絶縁性ガスの下流側で小さく、該下流側の先端が閉じている円筒形状を有し、該円筒形状の胴部に複数の開口部を有し、更に、以下の要件を有することを特徴とする。
【0008】
前記円筒形状の胴部はその軸に対して平行な断面が前記絶縁性ガスの流れに対して上流部と中間部と下流部との3段階を有し、前記中間部の前記下流側で前記断面が小さくなっており、前記中間部に前記開口部を有することが好ましい。
【0009】
又、本発明は、前述と同様、ガス遮断器において、前記中空導体からなる固定側導体に代えてその導体として、前記絶縁性ガスの下流側に開口部を有し、且つ前記導体の軸に対して平行な断面が前記絶縁性ガスの下流側で小さくなっている半円筒状部材と、該半円筒部材の開口側の両側で前記絶縁性ガスの上流側に筒部長手方向の辺部で互いに結合された半円筒状シールド部材とを有し、該半円筒状シールド部材は前記絶縁性ガスの下流側の先端が閉じた形状を有することを特徴とする。
【0010】
その半円筒状部材の胴部はその軸に対して平行な断面が前記絶縁性ガスの流れに対して上流部と中間部と下流部との3段階を有し、前記中間部の前記下流側で前記断面が小さくなっており、前記中間部に前記開口部を有すること、前記半円筒状シールド部材は前記下流側の先端で互いに接して固定されていること、前記半円筒状シールド部材は前記半円筒状部材の前記固定側から前記中間部に亘って設けられていること、前記半円筒状シールド部材は前記絶縁性ガスの下流側の先端が半円球状であることが好ましい。
【0011】
本発明によれば、大電流遮断性能に寄与する熱ガスを効率良く処理することで、対地及び極間の絶縁性能を確保することができ、従来の機器よりも遮断器タンクの縮小化及び遮断性能の向上が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、本発明のガス遮断器の断面図である。又、図2は、図1のA−A断面の矢印方向に見た平面図である。図1において、ガス遮断器は、消弧室1、固定側接触子2、可動側接触子3、絶縁ノズル4、パッファシリンダ5、絶縁ロッド6、ピストン7を有し、さらに図示しない操作機構箱、及び操作器により、ガス遮断器を構成している。消弧室1内の可動側接触子3は、絶縁ロッド6、ピン10、及び図示しないレバーにより操作器に接続され、遮断器の開閉動作が行われる。
【0013】
本実施例のガス遮断器は、対向して設けられた可動側アーク接触子 15 及び固定側アーク接触子 16 と、可動側アーク接触子 15 にその固定側アーク接触子 16 側に設けられた絶縁ノズル 4 と、絶縁ノズル 4 の固定側アーク接触子 16 に対して反対側に設けられたパッファシリンダ 5 と、固定側アーク接触子 16 にその絶縁ノズル 4 に対して反対側に固定された中空導体からなる固定側導体 12 と、パッファシリンダ 5 に連結された絶縁ロッド 6 と、絶縁ロッド 6 の駆動によってパッファシリンダ 5 内に設けられたピストン 7 との間で絶縁性ガスを噴射させ、電流遮断時に発生するアークに絶縁性ガスを噴射するものである。
又、図1に示すように、固定側導体12は中空導体であり、その軸に対して平行な断面が絶縁性ガスの下流側で小さく、下流側の先端が閉じている円筒形状を有し、円筒形状の胴部に複数の排出口18を有し、更に固定側接触子2の側から見た平面は後述する図4に示す平面図と同様である。
【0014】
そして、円筒形状の胴部はその軸に対して平行な断面が絶縁性ガスの流れに対して上流部と中間部と下流部との3段階を有し、その中間部の下流側に沿って断面が小さくなっており、その中間部に排出口18が形成されている。上流部と下流部はいずれも同じ径になっている。
【0015】
本実施例によれば、固定側導体12を流れの下流側で絞り熱ガス流を対地へ拡散させないように絞り、熱ガスが冷却された時点で排気することによって、対地絶縁性能の向上を図ることが可能になる。これによって、大電流遮断性能に対する性能向上及びタンクの縮小化を図ることが可能となる。
【0016】
(実施例2)
図3は、本発明に係るガス遮断器の一実施例の断面図である。本実施例に係るガス遮断器は、その固定側導体 12 が実施例1の固定側導体 12 と異なる以外は実施例1と同様である。ガス容器であるタンク8の内部に例えばSF6ガスからなる絶縁性のガスを充填し、絶縁支持筒19により固定されたガス遮断器において、図示しない操作機構が配置され、これの動作により操作機構に連結されている絶縁ロッド6が矢印方向に摺動することで、連結されているパッファシリンダ5も同様に摺動して開閉動作する。
【0017】
パッファシリンダ5の内周面には固定されたピストン7が配置され、パッファシリンダ5が軸方向に摺動することにより、圧縮された絶縁ガスが前記ピストン7と対向するパッファシリンダ5の側面にパッファ室と絶縁ノズル4を連通するように開けられた複数の給気ロ9より噴出し、遮断動作時に、この給気口9より噴出された絶縁ガスは絶縁ノズル4と絶縁カバー11との間に形成した流路17を通って開離可能な固定側アーク接触子16及び可動側アーク接触子15との間に発生するアークに吹付けられる。
【0018】
アークに吹付けられた絶縁ガスは高温となり、開極動作に伴って固定側導体12へと流れていく。固定側導体12には熱ガスを整流する為の半円筒状シールド14がほぼ軸方向に対して平行に設けられ、最終端部には半円球状の端末シールド13を兼ね備え、端末シールド付近に熱ガスが滞留しない様に固定側導体12の側面に少なくとも1個所以上の排気口18を設け、固定側導体12のガス流路からの熱ガスの排気を可能にしている。
【0019】
図4は、固定側導体12を固定側アーク接触子16側から見た平面図である。図3に示す様に、固定側導体12は円筒形状であり、その上に固定子接触子2がネジ20によって固定される。又、固定側アーク接触子16は棒状であり、且つ取り付け部にはネジ部が形成されており、固定側導体12に形成されたアーム21に設けられたネジ穴に直接締め付けることによって接合される。
【0020】
図5は、固定側導体12をB−B断面を矢印方向に見た平面図である。図5に示すように、固定側導体12は、絶縁性ガスの流れの下流側に排出口18を有し、その軸に対して平行な断面が絶縁性ガスの下流側で小さくなっている半円筒状部材であり、半円筒部材の開口側の両側で絶縁性ガスの上流側に筒部長手方向の辺部で互いに結合された半円筒状のシールド14とを有し、又半円筒状のシールド14は絶縁性ガスの下流側の先端が閉じた半円球状を有する端末シールド13が設けられている。
【0021】
固定側導体12は半円筒状部材の胴部の軸に対して平行な断面が絶縁性ガスの流れに対して上流部と中間部と下流部との3段階を有し、中間部の下流側で断面が小さくなっており、中間部に排出口18を有する。
【0022】
更に、半円筒状のシールド14は、固定側導体12の半円筒状部材の両側に下流側の先端で互いに接して固定されている。半円筒状のシールド14は半円筒状の固定側導体12の固定側から中間部に亘って設けられている。
【0023】
図6は、前述した固定側導体12の下流側の断面図であり、半円形状を有する。そして、その端部22は、半円筒状の胴部の周方向の長さより長く形成される。
【0024】
以上のように、本発明の半円筒状のシールド14を形成することによって、熱ガス流を対地へ拡散させないように整流し且つ、熱伝導率に優れる例えば銅材質を用いることにより、熱の冷却効果を兼ね備え、且つ、シールド形状をしていることから局部的電界集中を緩和させ、大電流遮断時の熱ガス流による絶縁低下を抑制し、対地絶縁性能を向上させると共に消弧室1から熱ガスを滞留すること無く排気させることで極間絶縁性能も向上させることができる。又、大電流遮断性能に対する性能向上及びタンクの縮小化を図ることが可能となる。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、固定側導体を特定の構造とし、又熱ガス流の整流効果のある特定の構造を有するシールドを設けたことにより、大電流遮断時に発生する熱ガス流に伴う絶縁性能の向上が可能で、又、導体の少なくとも一部に導体を貫通させる穴を設けることで、固定側導体内部の熱ガス流を排気効率のよいガス遮断器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るガス遮断器を示す断面図である。
【図2】 図1のA−A断面を矢印方向に見た平面図である。
【図3】 本発明に係るガス遮断器を示す断面図である。
【図4】 図3の固定側導体を固定側接触子側から見た平面図である。
【図5】 図3のB−B断面を矢印方向に見た平面図である。
【図6】 図3のC−C断面を矢印方向に見た平面図である。
【符号の説明】
1…消弧室、2…固定側接触子、3…可動側接触子、4…絶縁ノズル、5…パッファシリンダ、6…絶縁ロッド、7…ピストン、8…ガスタンク、9…給気口、10…ピン、11…絶縁カバー、12…固定側導体、13…端末シールド、14…半円筒状シールド、15…可動側アーク接触子、16…固定側アーク接触子、17…流路、18…排気穴、19…絶縁支持筒、20…ネジ、21…アーム、22…端部。
Claims (6)
- 対向して設けられた可動側アーク接触子及び固定側アーク接触子と、前記可動側アーク接触子にその前記固定側アーク接触子側に設けられた絶縁ノズルと、該絶縁ノズルの前記固定側アーク接触子に対して反対側に設けられたパッファシリンダと、前記固定側アーク接触子にその前記絶縁ノズルに対して反対側に固定された中空導体からなる固定側導体と、前記パッファシリンダに連結された絶縁ロッドと、該絶縁ロッドの駆動によって前記パッファシリンダ内に設けられた固定ピストンとの間で絶縁性ガスを噴射させ、電流遮断時に発生するアークに前記絶縁性ガスを噴射するガス遮断器において、前記固定側導体は、その軸に対して平行な断面が前記絶縁性ガスの下流側で小さく、該下流側の先端が閉じている円筒形状を有し、該円筒形状の胴部に複数の開口部を有すると共に、前記円筒形状の胴部はその軸に対して平行な断面が前記絶縁性ガスの流れに対して上流部と中間部と下流部との3段階を有し、前記中間部の前記下流側で前記断面が小さくなっており、前記中間部に前記開口部を有することを特徴としたガス遮断器。
- 対向して設けられた可動側アーク接触子及び固定側アーク接触子と、前記可動側アーク接触子にその前記固定側アーク接触子側に設けられた絶縁ノズルと、該絶縁ノズルの前記固定側アーク接触子に対して反対側に設けられたパッファシリンダと、前記固定側アーク接触子に前記絶縁ノズルに対して反対側に固定された固定側導体と、前記パッファシリンダに連結された絶縁ロッドと、該絶縁ロッドの駆動によって前記パッファシリンダ内に設けられた固定ピストンとの間で絶縁性ガスを噴射させ、電流遮断時に発生するアークに前記絶縁性ガスを噴射するガス遮断器において、前記固定側導体は、前記絶縁性ガスの下流側に開口部を有し、且つ前記固定側導体の軸に対して平行な断面が前記絶縁性ガスの下流側で小さくなっている半円筒状部材と、該半円筒部材の開口側の両側で前記絶縁性ガスの上流側に筒部長手方向の辺部で互いに結合された半円筒状シールド部材とを有し、該半円筒状シールド部材は前記絶縁性ガスの下流側の先端が閉じた形状を有することを特徴としたガス遮断器。
- 請求項2において、前記半円筒状部材の胴部はその軸に対して平行な断面が前記絶縁性ガスの流れに対して上流部と中間部と下流部との3段階を有し、前記中間部の前記下流側で前記断面が小さくなっており、前記中間部に前記開口部を有することを特徴としたガス遮断器。
- 請求項2又は3において、前記半円筒状シールド部材は前記下流側の先端で互いに接して固定されていることを特徴としたガス遮断器。
- 請求項2〜4のいずれかにおいて、前記半円筒状シールド部材は前記半円筒状部材の前記固定側から前記中間部に亘って設けられていることを特徴としたガス遮断器。
- 請求項2〜5のいずれかにおいて、前記半円筒状シールド部材は前記絶縁性ガスの下流側の先端が半円球状であることを特徴とするガス遮断器。
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