JP3874240B2 - 撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末及び該微粉末の製造方法 - Google Patents

撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末及び該微粉末の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料、コーティング剤の表面滑り性、撥水、撥油性付与剤、化粧品、ワックスの伸展性、表面滑り性、撥水、撥油性付与剤、プラスチックフィルムのブロッキング防止剤として好適な撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より各種のポリオルガノシルセスキオキサン微粉末が提案されている。例えば、メチルトリクロロシランを水中で加水分解、縮合反応させる方法(ベルギー特許第572412号)、メチルトリアルコキシシランをアルカリ金属水酸化物、アンモニアまたは有機アミンの水溶液中で加水分解、縮合反応させる方法(特公昭40−16917号公報)、メチルトリアルコキシシランをアルカリ土類金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩の水溶液中で加水分解、縮合反応させる方法(特公昭56−39808号公報)、メチルトリアルコキシシランをアンモニアまたは有機アミンの水溶液中で加水分解、縮合反応させ、70〜80℃で加熱することにより縮合反応を促進させ、その生成物を洗浄した後、粉末化する方法(特公平2−22767号公報)、炭化水素基が炭素原子数6以下のオルガノトリアルコキシシランを有機酸の存在下に加水分解させた後、アルカリ水溶液中で縮合反応させる方法(特開平1−217039号公報)、メチル基の他、長鎖アルキル、フェニル基、官能基含有のアルキル基等を含むポリオルガノシルセスキオキサン微粒末(特開平4−202325号公報)、ポリメチルシルセスキオキサンの表面のポリメチルシルセスキオキサン分子にアルケニル基、フェニル基、エポキシ基、アクリロキシ基及びアミノ基から選ばれる官能基を含む有機基が結合してなる表面変性ポリメチルシルセスキオキサン球状微粒子(特開平2−163127号公報)等が提案されている。
【0003】
これらの方法で得られたポリオルガノシルセスキオキサン微粉末は、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴムの滑り性、耐摩耗性付与、塗料、インキ、コーティング剤の表面滑り性付与、化粧品、ワックスの伸展性、表面滑り性付与等のために、それら材料に添加されている。しかし、塗料、コーティング剤、化粧品、ワックス等は、更に、撥水性、撥油性の両方が要求される場合があるが、この場合、撥水性は必ずしも充分でなく、撥油性は乏しい。これはポリオルガノシルセスキオキサン微粉末の表面に若干のシラノール基が存在しており、これが撥水性を不充分にする原因となっている。
【0004】
そこで、パーフロロアルキルシルセスキオキサン単位を含有するポリオルガノシルセスキオキサン微粒子とする方法(特開平4−122731号公報)、ポリメチルシルセスキオキサン微粉末の表面を非置換の炭化水素基を含有するシリル化剤で処理する方法(特開平1-185367号公報)、ポリメチルシルセスキオキサン微粉末の表面をポリフロロアルキル基を含むシリル化剤で処理する方法(特開平2-150426号公報)、水中でシルセスキオキサン微粉末の表面をヘキサメチルジシラザン及び/またはジビニルテトラメチルジシラザンで処理する方法(特開平3−244636号公報)等が提案されている。
これらの方法で得られたシリコーン樹脂微粒子または微粉末は、撥水性はある程度改良されるものの、撥油性はまだ不充分なものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決するものであり、撥水、撥油性の両方に優れたシリコーン樹脂微粉末を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、〔R1SiO3/2〕、〔R1 2SiO2/2〕、〔R1 3SiO1/2〕、〔SiO4/2〕から選択される一種または二種以上の構造単位(ここで、R1は炭素原子数1〜20の、置換または非置換の、一種または二種以上の一価の有機基である。)からなり、〔R1SiO3/2〕単位含有量が70モル%以上で、有機溶剤に不溶であるシリコーン微粉末表面が、パーフロロアルキル基含有シラザン及び非置換の炭化水素基含有シラザンでシリル化処理されている撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末の構造単位におけるR1は炭素原子数1〜20の、置換または非置換の一価の有機基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシルなどのアルキル基;シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基;ビニル、アリルなどの不飽和アルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;β−フェニルプロピルなどのアラルキル基及びこれらの炭化水素基の炭素原子に結合する水素原子の一部または全部が、アミノ、エポキシ、アクリロキシ、メタクリロキシ、アクリロイル、メタクリロイル、メルカプト、シアノなどの官能性基で置換された一価の有機基の中から選択される一種あるいは二種以上のものである。これらの中ではメチル基が最も好ましい。
【0008】
これらの構造単位の中では〔R1SiO3/2〕が70モル%以上であることが必要で、好ましくは90モル%以上である。これは、微粒子が柔らかいと、表面滑り性が不十分となること、微粒子の真比重が高いと基材に配合したときに沈降を起こしやすくなるので真比重は低い方が望ましいこと、また有機溶剤に溶解してしまうと、有機溶剤を含む材料においては、表面滑り性、撥水性、撥油性等の特性が不十分となるため、有機溶剤に対し不溶であることが必要なことなどに由来している。
【0009】
本発明のシリコーン樹脂微粉末の形状は、球状、不定形、鱗片状、針状、板状などのいずれでもよいが、基材中への分散性に優れる球状が最も好ましい。また、このシリコーン樹脂微粉末の平均粒径は、0.1μmより小さいと滑り性付与効果が低下し、逆に50μmより大きいと基材の強度を低下させるため、0.1〜50μmが好ましく、より好ましくは0.5〜20μmである。
【0010】
本発明のシリコーン樹脂微粉末の製造方法は、前述の特公昭40−16917号公報、特公昭56−39808号公報、特公平2−22767号公報等に提案されている公知の方法に従って行えばよく、例えば、アルカリ性物質の水溶液にオルガノアルコキシシランあるいはそれらの混合物を添加し、加水分解、縮合反応させることにより製造できる。中でも水への溶解性、触媒活性及び揮発により粉末から容易に除去できることから、アルカリ性物質としてアンモニアを使用する方法が望ましいとされ、これには一般的に市販されているアンモニア水溶液(濃度25〜30%)を使用すればよい。
上記のようにして得られた水性分散液から、水及び副生アルコールを、加熱、乾燥等により除去することで、シリコーン樹脂微粉末を得ることができる。この得られたシリコーン樹脂微粉末が凝集している場合には、粉砕機で解砕することも必要である。
【0011】
本発明においては、上記のようにして得られたシリコーン樹脂微粉末に、一般式RfSi(NH)3/2、RfSi(R2)NHまたは[RfSi(R2 2)]2NHで示され、Rfの炭素原子数が好ましくは3〜12のパーフロロアルキル基含有シラザン及び炭素原子数が好ましくは1〜5の非置換の炭化水素基含有シラザンでシリル化処理を施す。Rfの炭素原子数が多くなると反応性が低下するため、炭素原子数3〜12のパーフロロアルキル基含有有機基が好ましく、R2はメチル基が好ましい。また、非置換の炭化水素基含有シラザンは、炭素原子数が多くなると反応性が低下または撥水、撥油性が不十分となるため、炭素原子数1〜5が好ましい。
【0012】
本発明におけるパーフロロアルキル基含有シラザンとしては、例えば、CF324Si(CH3)2NHSi(CH3)224CF3、C2524Si(CH3)2NHSi(CH3)22425、C3724Si(CH3)2NHSi(CH3)22437、C4924Si(CH3)2NHSi(CH3)22449、C51124Si(CH3)2NHSi(CH3)224511、C61324Si(CH3)2NHSi(CH3)224613、C81724Si(CH3)2NHSi(CH3)224817、[CF324Si(CH3)NH]n、[C81724Si(CH3)NH]n、[CF324Si(NH)3/2]n、[C81724Si(NH)3/2]n等が挙げられ、中でも撥油性に優れる微粉末が得られることからパーフロロオクチル基含有シラザンが最も好ましい。
【0013】
本発明における炭素原子数が、好ましくは、1〜5の非置換の炭化水素基を含有するシラザンとしては、例えば、(CH3)3SiNHSi(CH3)3、(C25)3SiNHSi(C25)3、(C37)3SiNHSi(C37)3、C37Si(CH3)2NHSi(CH3)237、C511Si(CH3)2NHSi(CH3)2511、[(CH3)2SiNH]n、[(C25) 2、SiNH]n、[(C49)2SiNH]n、[(CH3)Si(C511)NH]n、[(CH3)Si(C511)NH]n、[CH3Si(NH)3/2]n、[C25Si(NH)3/2]n、[C37Si(NH)3/2]n、[C511Si(NH)3/2]n等が挙げられ、中でも反応性と未反応物除去の容易さから、ヘキサメチルジシラザンが最も好ましい。
【0014】
本発明の撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末の製造方法においては、これらパーフロロアルキル基含有シラザン及び非置換の炭化水素基含有シラザンによるシリコーン樹脂微粉末表面のシリル化処理は、パーフロロアルキル基含有シラザンで先に処理し、その後に、非置換の炭化水素基含有シラザンで処理するか、もしくは、パーフロロアルキル基含有シラザンと非置換の炭化水素基含有シラザンで同時に処理することが必要である。先に非置換の炭化水素基含有シラザンで処理すると、撥油性に優れたシリコーン樹脂微粉末が得られない。
これらシラザンによるシリル化の方法は、例えば、先ず、シリコーン樹脂微粉末表面に、水を気相、液相あるいは固相で、0〜200℃で接触させ、次いで、シラザンを気相、液相あるいは固相で0〜300℃で接触させる。必要に応じて、更に、50〜300℃で加熱し、未反応のシリル化剤を除去して、本発明の撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末を得ることができる。
シリコーン樹脂微粉末表面を、先ずパーフロロアルキル基含有シラザンでシリル化処理し、その後、非置換の炭化水素基含有シラザンでシリル化処理する場合には、各シリル化処理において、上記操作を繰り返し行えばよい。得られた撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末が凝集している場合には、粉砕機で解砕することも必要である。
【0015】
【実施例】
次に実施例を示して、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによってのみ限定されるものではない。また、%は全て重量%である。
(実施例1)
5リットルのガラスフラスコに水3,672g及びアンモニア水(濃度28%)86gを仕込み、水温20℃としたところ、pHは11.6であった。翼回転数150rpmの条件で錨型撹拌翼により撹拌し、メチルトリメトキシシラン742gを3時間かけて滴下し、この間、液温を15〜25℃に保ち、更に1時間反応させた後、55〜60℃まで加熱し、引き続き1時間撹拌し、得られた液を加圧濾過器を用いて含水量約30%のケーキ状物とした。次いで、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕し、シリコーン樹脂粉末(A)250gを得た。
【0016】
上記で得られたシリコーン樹脂微粉末(A)200gを2リットルのプラネタリーミキサーに仕込み、撹拌しながら水1gを添加し、密閉後、更に、60℃で10時間撹拌した。次いで、室温まで冷却した後、3%のC81724Si(NH)3/2のヘキサフロロメタキシレン〔C64(CF3)2〕溶液67gを撹拌下添加し、密閉後、更に、24時間撹拌し、その後、120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながらヘキサフロロメタキシレン及び副生成物のアンモニアを除去した。
【0017】
次いで、撹拌しながら水2gを添加し、密閉後、更に、60℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、ヘキサメチルジシラザン2gを撹拌下添加し、密閉後、更に、24時間撹拌し、その後120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら、残存ヘキサメチルジシラザン及び副生成物のアンモニアを除去した。乾燥物をジェットミルで解砕し撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末を得た。得られた撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末を光学顕微鏡で観察したところ、これは球状であることが確認され、界面活性剤を用いて水に分散させて、その平均粒径をマルチサイザーII(コールター社製、商品名)を用いて測定したところ、2.1μmであった。また、撥水、撥油性を表1に示す濃度のエタノール水に添加し、軽く撹拌して評価したところ、表1に示す結果を得た。
【0018】
(実施例2)
実施例1で得られたシリコーン樹脂微粉末(A)200gを2リットルのプラネタリーミキサーに仕込み、撹拌しながら、水2gを添加し、密閉後、更に、60℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、3%のC81724Si(NH)3/2のヘキサフロロメタキシレン溶液133gを撹拌下添加し、密閉後、更に、24時間撹拌し、その後、120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら、ヘキサフロロメタキシレン及び副生成物のアンモニアを除去した。
【0019】
次いで、撹拌しながら、水2gを添加し、密閉後、更に、60℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、ヘキサメチルジシラザン2gを撹拌下添加し、密閉後、更に、24時間撹拌し、その後120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら、残存ヘキサメチルジシラザン及び副生成物のアンモニアを除去した。乾燥物をジェットミルで解砕し、撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末を得た。得られた撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末の形状、平均粒径、撥水、撥油性を評価した結果を表1に示した。
【0020】
(実施例3)
実施例1で得られたシリコーン樹脂微粉末(A)200gを2リットルのプラネタリーミキサーに仕込み、撹拌しながら、水3gを添加し、密閉後、更に、60℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、3%のC81724Si(NH)3/2のヘキサフロロメタキシレン溶液67g及びヘキサメチルジシラザン2gの混合液を撹拌下に添加し、密閉後、更に、24時間撹拌し、その後、120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら、ヘキサフロロメタキシレン及び副生成物のアンモニアを除去した。乾燥物をジェットミルで解砕し、撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末を得た。得られた撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末の形状、平均粒径、撥水、撥油性を評価した結果を表1に示した。
【0021】
(実施例4)
5リットルのガラスフラスコに水3,823g及びアンモニア水(濃度28%)90gを仕込み、水温20℃としたところ、pHは11.6であった。翼回転数150rpmの条件で錨型撹拌翼により撹拌し、メチルトリメトキシシラン90g、テトラメトキシシラン1.0g及びトリメチルシラノール0.6gを投入し10分撹拌した後、メチルトリメトキシシラン495gを3時間かけて滴下し、この間、液温を15〜25℃に保ち、更に、1時間反応を行った後、55〜60℃まで加熱し、引き続き1時間撹拌し、得られた液を加圧濾過器を用いて含水量約30%のケーキ状物とした。次いで、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕し、シリコーン樹脂微粉末(B)210gを得た。
【0022】
上記で得られたシリコーン樹脂微粉末(B)200gを2リットルのプラネタリーミキサーに仕込み、撹拌しながら、水1gを添加し、密閉後、更に、60℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、3%のC81724Si(NH)3/2のヘキサフロロメタキシレン溶液67gを撹拌下添加し、密閉後、更に、24時間撹拌し、その後、120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら、ヘキサフロロメタキシレン及び副生成物のアンモニアを除去した。
【0023】
次いで、撹拌しながら、水2gを添加し、密閉後、更に、60℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、ヘキサメチルジシラザン2gを撹拌下添加し、密閉後、更に、24時間撹拌し、その後、120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら、残存ヘキサメチルジシラザン及び副生成物のアンモニアを除去した。乾燥物をジェットミルで解砕し、撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末を得た。得られた撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末の形状、平均粒径、撥水、撥油性を評価した結果を表1に示した。
【0024】
(比較例1)
実施例1で得られたシリコーン樹脂微粉末(A)について、その形状、平均粒径、撥水、撥油性を評価し、その結果を表1に示した。
【0025】
(比較例2)
実施例1で得られたシリコーン樹脂微粉末(A)200gを2リットルのプラネタリーミキサーに仕込み、撹拌しながら、水1gを添加し、密閉後、更に、60℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、3%のC81724Si(NH)3/2のヘキサフロロメタキシレン溶液67gを撹拌下添加し、密閉後、更に、24時間撹拌し、その後、120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら、ヘキサフロロメタキシレン及び副生成物のアンモニアを除去した。乾燥物をジェットミルで解砕し、シリコーン樹脂微粉末を得た。得られたシリコーン樹脂微粉末の形状、平均粒径、撥水、撥油性を評価した結果を表1に示した。
【0026】
(比較例3)
実施例1で得られたシリコーン樹脂微粉末(A)200gを2リットルのプラネタリーミキサーに仕込み、撹拌しながら、水2g添加し、密閉後、更に、60℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、ヘキサメチルジシラザン2gを撹拌下添加し、密閉後、更に、24時間撹拌し、その後、120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら、残存ヘキサメチルジシラザン及び副生成物のアンモニアを除去した。乾燥物をジェットミルで解砕し、撥水性シリコーン樹脂微粉末を得た。得られた撥水性シリコーン樹脂微粉末の形状、平均粒径、撥水、撥油性を評価した結果を表1示した。
【0027】
(比較例4)
実施例1で得られたシリコーン樹脂微粉末(A)200gを2リットルのプラネタリーミキサーに仕込み、撹拌しながら、水2gを添加し、密閉後、更に、60℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、ヘキサメチルジシラザン2gを撹拌下添加し、密閉後、更に、24時間撹拌し、その後、120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら、残存ヘキサメチルジシラザン及び副生成物のアンモニアを除去した。
【0028】
次いで、撹拌しながら、水1gを添加し、密閉後、更に、60℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、3%のC81724Si(NH)3/2のヘキサフロロメタキシレン溶液67gを撹拌下添加し、密閉後、更に、24時間撹拌し、その後、120℃に昇温し、窒素ガスを通気しながら、ヘキサフロロメタキシレン及び副生成物のアンモニアを除去した。乾燥物をジェットミルで解砕し、シリコーン樹脂微粉末を得た。得られたシリコーン樹脂微粉末の形状、平均粒径、撥水、撥油性を評価した結果を表1に示した。
【0029】
【表1】
Figure 0003874240
【0030】
(実施例の総括)
本発明におけるシリル化法によって処理された実施例1〜4のシリコーン樹脂微粉末は全て水上に浮いて撥水性を示し、且つ、10%〜40%のエタノール水に対し全て撥油性を示した。
シラザンで全くシリル化処理してない比較例1、パーフルロロアルキル基含有シラザンのみでシリル化処理した比較例2、非置換の炭化水素基含有シラザンのみでシリル化処理した比較例3、非置換の炭化水素基含有シラザンによる処理を、パーフルロロアルキル基含有シラザンによる処理に先行させた比較例4は、ともに撥水性は示したが、20%エタノール水及びそれ以上の高濃度のエタノール水に対し、全て撥油性を示さなかった。
【0031】
【発明の効果】
本発明の撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末は、優れた撥水、撥油性の両方を同時に示し、各種材料に配合することにより、それらに優れた表面滑り性、撥水、撥油性を付与する。

Claims (7)

  1. 〔R1SiO3/2〕、〔R1 2SiO2/2〕、〔R1 3SiO1/2〕、〔SiO4/2〕から選択される一種または二種以上の構造単位(ここで、R1は炭素原子数1〜20の、置換または非置換の、一種または二種以上の一価の有機基である。)からなり、〔R1SiO3/2〕単位の含有量が70モル%以上で、有機溶剤に不溶のシリコーン微粉末表面が、パーフロロアルキル基含有シラザン及び非置換の炭化水素基含有シラザンでシリル化処理されており、該シリル化処理は、上記シリコーン樹脂微粉末を先ずパーフロロアルキル基含有シラザンでシリル化処理し、次いで、非置換の炭化水素基含有シラザンでシリル化処理するか、または上記シリコーン樹脂微粉末をパーフロロアルキル基含有シラザンと非置換の炭化水素基含有シラザンで、同時にシリル化処理することを特徴とする撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末。
  2. シリコーン樹脂微粉末が、アルカリ性物質の水溶液に一種または二種以上のオルガノアルコキシシランを添加し、加水分解、縮合反応させることにより製造されたものである請求項1に記載の撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末。
  3. シリコーン樹脂微粉末の形状が、球状であり、平均粒径が0.1〜50μmである請求項1または2に記載の撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末。
  4. 1がメチル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末。
  5. パーフロロアルキル基含有シラザンが、一般式RfSi(NH)3/2、RfSi(R2)NHまたは[RfSi(R2 2)]2NHで示されるシラザン(ここで、Rfは炭素原子数3〜12のパーフロロアルキル基含有有機基、R2はメチル基である。)である請求項1〜4のいずれか1項に記載の撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末。
  6. パーフロロアルキル基含有シラザンが、パーフロロオクチル基を含有し、且つ、非置換の炭化水素基含有シラザンが、ヘキサメチルジシラザンである請求項1〜5のいずれか1項に記載の撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末。
  7. シリコーン樹脂微粉末を先ずパーフロロアルキル基含有シラザンでシリル化処理し、次いで、非置換の炭化水素基含有シラザンでシリル化処理するか、またはシリコーン樹脂微粉末をパーフロロアルキル基含有シラザンと非置換の炭化水素基含有シラザンで、同時にシリル化処理することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の撥水、撥油性シリコーン樹脂微粉末の製造方法。
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