JP3872269B2 - シアン化水素の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタノールのアンモ酸化によるシアン化水素の製造に適する触媒及び反応方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタノールのアンモ酸化によるシアン化水素の製造に関しては、これに適する触媒として、種々の触媒が開示されている。例えば、特公昭37−13460号公報には錫とアンチモンとを含む酸化物触媒が、特公昭51−35400号公報にはモリブデンとその他多くの元素との複合酸化物触媒が、特公昭54−39839号公報には鉄、コバルト、ニッケル等の金属元素とアンチモンを含む酸化物触媒が開示されている。
【0003】
その後も、これらの触媒の改良が精力的に続けられ、例えば、特公昭61−4771号公報、特公昭63−16330号公報、特公平7−64555号公報等の改良特許が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これら従来技術による触媒は、それなりにシアン化水素収率の改善には効果があったが、なお一層の改良が求められており、特にモリブデン含量の多い触媒については、シアン化水素の初期収率が良好であっても、触媒製造における再現性、構造安定性、あるいは長期間にわたる安定的な反応等の点で未だ不十分なものであった。
【0005】
このため良好なシアン化水素収率が得られ、かつ反応使用においては経時安定であるという要件を満たした触媒が求められていた。本発明は、これら課題を解決しようとするものであり、特にモリブデン含量の多い触媒に関して、流動層を用いるメタノールのアンモ酸化反応によりシアン化水素を製造するに適した触媒として改良を加えたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、モリブデン、ビスマス、鉄、ニッケル、クロム、F成分並びにカリウムを必須成分として含有する触媒において、金属モリブデン酸塩を生成し得る金属元素、即ちビスマス、鉄、ニッケル、クロム、カリウム、F、G及びY成分元素のそれぞれの価数と原子比の積の総和がモリブデンのモリブデン酸としての価数と原子比の積に対し量論値以上の特定の範囲となるように調製することにより良好な性能を発現すること、またモリブデン含有物をこれに適宜添加しつつ反応することにより長期間その性能を効果的に維持できることを見いだした。
【0007】
本発明による触媒は、高いシアン化水素収率を与えると共に、触媒構造として安定なものなので長期の反応使用に耐える。モリブデン含有物が前記の計算による量論値より大きい場合は、余剰のモリブデン成分が、触媒として機能すべき金属モリブデン酸塩の界面に入り込んで機能阻害を起こすことがある。また、モリブデン成分が量論値より小さい時はシアン化水素収率が低下すると共に経時変化も大きくなる。
【0008】
ただし、触媒構造的に安定な本発明の触媒も反応を続けていると、モリブデン成分の逃散によるシアン化水素収率の低下が観察される。この種のモリブデン含有触媒を用いるアンモ酸化反応の反応温度は400℃を越えるものであり、反応時のモリブデン成分逃散は避けがたいものと考えられる。これに対してはモリブデン含有物を添加補給しながら反応することにより、高位のシアン化水素収率を長期間維持することが出来た。
【0009】
本発明の触媒は、構造的に安定であり、反応時にモリブデン含有物を適宜添加することによって反応成績の維持、向上あるいは回復が十分に果たされ、しかもこのモリブデン含有物の反応時添加は繰り返し適用できるため、本発明の触媒に対しこの反応方法を組み合わせて適用することによってさらに長期間の反応使用が可能となった。またモリブデン含有物の添加は、反応の初期から行っても良い。触媒は、調合組成、調製法等により触媒表面組成、構造の最適化をして反応に供しているが、必ずしも常にそれが実現出来ているとは限らない。反応初期にモリブデン成分を添加すると目的生成物収率が高められることがある。これは、モリブデン含有物の添加も含めて触媒表面組成、構造の最適化を行ったことになると考えられる。
【0010】
従来の触媒は、前述のようにシアン化水素収率も不十分であり、モリブデン含有物を添加しながら反応しても必ずしも性能を維持するのは難しく、また長期使用によって収率が低下したときにモリブデン含有物を添加しても性能の回復が不十分であったが、本発明により、高いシアン化水素収率を長期にわたり維持出来る方法が提供された。
【0011】
すなわち、本発明は、メタノールのアンモ酸化によりシアン化水素を製造するに際し、下記の実験式で表される組成の流動層触媒を用いるシアン化水素の製造方法、並びにその製造にあたってモリブデン含有物を添加しながら反応を行うことを特徴とするシアン化水素の製造方法に関する。
Mo10 Bia Feb Sbc Nid Cre Ff Gg Hh Kk Mm Xx Yy Oi(SiO2)j
(式中、Mo、Bi、Fe、Sb、Ni、Cr及びKは、それぞれモリブデン、ビスマス、鉄、アンチモン、ニッケル、クロム及びカリウムを示し、Fはランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、アルミニウム及びガリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Gはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、マンガン、コバルト、亜鉛及びカドミウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Hはチタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン、ゲルマニウム錫及び鉛からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Mはルテニウム及びパラジウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Xは燐、硼素及びテルルからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Yはリチウム、ナトリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Oは酸素、Siは珪素を、そして添字a、b、c、d、e、f、g、h、k、x、y、i及びjは原子比を示し、Mo=10の時、a=0.2〜1.5、好ましくは0.3〜1.2、b=0.7〜15、好ましくは0.8〜13、c=0〜20、好ましくは0〜15、d=3〜8、好ましくは4〜7、e=0.1〜2.5、好ましくは0.2〜2、f=0.1〜1.5、好ましくは0.2〜1、g=0〜5、好ましくは0〜3、h=0〜3、好ましくは0〜2、k=0.05〜1.5、好ましくは0.1〜1.0、m=0〜1、好ましくは0〜0.5、x=0〜3、好ましくは0〜2、y=0〜1、好ましくは0〜0.5、i=上記各成分が結合して生成する金属酸化物の酸素の数、j=20〜200である。更に、モリブデンのモリブデン酸としての価数と原子比の積20を、ビスマス、鉄、ニッケル、クロム、カリウム、F、G及びY成分元素の価数と原子比の積の総和pで割った数20/pが0.8〜1である。)
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態をを更に詳細に説明する。
本発明で用いる触媒にはモリブデン、ビスマス、鉄、ニッケル、クロム、F成分、カリウム及びシリカは必須成分であり、それぞれ前記組成範囲になければ本発明の目的を達成することは出来ない。本発明の方法によれば、モリブデンに対しビスマスが比較的少ない組成領域で良好な触媒性能を発揮することが出来る。
【0013】
また、鉄成分が本発明組成範囲より少ないと、反応初期のシアン化水素選択性は高いものの経時安定性が悪化する傾向にあるが、本発明の触媒組成、反応方法によれば、良好な触媒性能を長期に安定的に維持することが出来る。ニッケルは触媒構造の安定化のために寄与する。
【0014】
カリウムは触媒の酸性度の調整に寄与しており、シアン化水素選択率向上に、また副生成物の生成抑制などに働く。そしてクロムとF成分好ましくはランタン及び/またはセリウムを共存させる。これらの効果は、相乗的なものでクロムだけ、あるいはF成分例えばランタン及び/またはセリウムだけを加えても特段の効果は見られないが、両者を共存させることによって目的生成物収率が著しく向上する。クロム添加によりアンモニア燃焼性が抑制され、副生成物の生成が減少する。これらの添加量範囲は重要であり、前記の範囲からはずれると効果は著しく低減される。
【0015】
触媒成分としては、さらに前記のアンチモン、G、H、M、X及びY成分を加えることが出来る。これらは、それぞれに触媒構造の安定化、酸化還元特性の改善、酸・塩基性の調整等を目的に必要により添加される。G成分としては、マグネシウム、カルシウム、マンガン、コバルト、亜鉛等が、H成分としては、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タングステン、ゲルマニウム等が好ましい。X成分はシアン化水素選択性向上等を目的に必要により少量添加する。Y成分としては、ルビジウム、セシウム等が好ましい。
【0016】
本発明は、流動層反応を前提としている。従って触媒は流動層反応に適する物性を有している必要がある。そのためには坦体成分として、シリカを用いる。
【0017】
そして、重要なことは、金属モリブデン酸塩を生成しうる金属元素、即ちビスマス、鉄、ニッケル、クロム、カリウム、F、G及びY成分元素成分原料並びにモリブデン成分原料とを混合し、調製する際、ニッケル及びG成分は2価、ビスマス、鉄、クロム及びF成分は3価、カリウム及びY成分の価数を1とし、モリブデンのモリブデン酸としての価数2と原子比10の積20をビスマス、鉄、ニッケル、クロム、カリウム、F、G及びY成分元素の価数と原子比の積の総和pで割った数20/pを0.8〜1とすることである。これは特にビスマスが少ない組成領域において、好ましい触媒構造を構築するために極めて重要なことである。この系統の触媒は、多相から成っており、しかもそれぞれが有機的な関係を持たねばならない。しかし、20/pの値が0.8より小さい場合には、モリブデン酸の対イオンとなるべき金属元素がモリブデン酸塩を形成することなく酸化物等になってしまい、触媒反応において目的生成物の選択性を損なうことになり易い。また20/p値が1より大きい組成領域では、この多相間の良好な関係を構築することは困難なことがわかった。これが、従来の組成領域での触媒の触媒製造における再現性悪化原因の一つでもあったと考えられる。この値が1より大きいと遊離のモリブデンが酸化物としてこれらの相間に入り込み、触媒機能の阻害要因となるものと考えられる。
【0018】
本発明の触媒の調製方法は、前期の従来技術等に開示されている方法を選択し適用すればよい。
【0019】
モリブデン成分の原料としては、酸化モリブデン、パラモリブデン酸アンモニウム等が、ビスマス成分の原料としては、酸化ビスマス、硝酸ビスマス、炭酸ビスマス、蓚酸ビスマス等が、鉄成分原料としては、硝酸鉄、蓚酸鉄等が、ニッケル成分原料としては、硝酸ニッケル、水酸化ニッケル、酸化ニッケル等が、クロム成分原料としては、硝酸クロム、酸化クロム、無水クロム酸等が、F成分原料としては、それぞれの硝酸塩、酸化物、水酸化物等が、カリウム成分原料としては、硝酸カリウム、水酸化カリウム等が用いられる。アンチモン成分原料としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、後述のアンチモン酸鉄等が、G成分原料としては、それぞれの酸化物、水酸化物、硝酸塩等が用いられる。H成分原料としては、それぞれの酸化物、酸素酸またはその塩等が、X成分原料としては、硼素の場合は硼酸、無水硼酸など、燐の場合はオルト燐酸等が、またテルルの場合は金属テルル、二酸化テルル、三酸化テルル、テルル酸等が、またY成分原料としては、それぞれの硝酸塩、水酸化物等が用いられる。シリカ原料としては、シリカゾル、ヒュームド・シリカ等が用いられるが、シリカゾルを用いるのが便利である。
【0020】
これら触媒原料を混合し、噴霧乾燥、焼成することによって流動層触媒を調製する。触媒原料を混合し、必要によりスラリーのpHを調整し、加熱処理等を加えて触媒スラリーを調製するが、特に好ましい調製法としては、特許2640356号公報記載の方法に準じた方法を、またpHを比較的高く調整する工程を含む製造法をとるときは特許2747920号公報記載の方法に準じてスラリーのゲル化抑制のためキレート剤例えばエチレンジアミン四酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸等を共存させる方法を挙げることが出来る。これらキレート剤は、調整pHが比較的低い、例えば1ないし3とする時にも少量加えると効果を示すことがある。クロム成分が存在すると、調整pHが高い製造法をとるときには、スラリー粘度の低下をもたらし、触媒製造時の操作性改善につながることもわかった。特にpHを3〜8に調整することにより、目的生成物収率が高められたり、アンモニア燃焼性が低減されることがある。
【0021】
この様にして調製したスラリーを噴霧乾燥する。噴霧乾燥装置としては、回転円盤式、ノズル式等一般的なものでよい。条件を調節し、流動層触媒として好ましい粒径の触媒が得られるように行う。乾燥後、200〜500℃で焼成したのち、さらに500〜700℃で0.1〜20時間焼成する。焼成雰囲気は、酸素含有ガスが好ましい。空気中で行うのが便利であるが、酸素と窒素、炭酸ガス、水蒸気等とを混合して用いることも出来る。焼成には箱型炉、トンネル炉、回転炉、流動炉等が用いられる。この様にして製造される流動層触媒の粒径は、5〜200μmとするのが良い。
【0022】
モリブデンを主要成分として含む触媒をシアン化水素の製造に用いる際に、前述のようにモリブデン含有物を反応中に添加することによって目的生成物の収率を維持する方法が明らかになった。しかし、安定な触媒構造を持った触媒に適用するのでなければ、その効果は十分に期待できない。本発明の触媒はこの種の反応が行われる400℃を越える温度で長期間反応使用しても構造的に安定化しているので、モリブデン含有物を添加することによって初期と同等ないしはそれ以上の反応成績を維持しつつ反応を続けることが出来る。このような構造的に安定な触媒といえども、反応条件下で少しずつモリブデン成分が触媒から揮発し、おそらく金属モリブデン酸塩構造が損傷を受けると思われ、これが決定的になる以前にモリブデン含有物を添加することが必要である。
【0023】
ここで用いられるモリブデン含有物としては、金属モリブデン、三酸化モリブデン、モリブデン酸、ジモリブデン酸アンモニウム、パラモリブデン酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、ドデカモリブデン酸アンモニウム、燐モリブデン酸、あるいはこれらモリブデン含有物を不活性物質または触媒に坦持して用いても良い。ガス状、液体状としても使用出来るが、これら固体のモリブデン含有物を粉状として用いるのが実際的である。特にモリブデン含有物を触媒に富化して用いる方法は有効である。この方法は添加したモリブデンの利用効率が良く、系内の酸化モリブデン析出などによるトラブル発生が抑制されるなど好ましい使用形態である。モリブデン富化触媒の製法は、特開平11-33400号公報に記載の方法などを適用することが出来る。
【0024】
これらモリブデン含有物を連続的にまたは断続的に時々反応器に加える。添加時期並びに添加量は反応成績の推移により適宜決めればよいが、一時に添加する量は、充填触媒に対して、0.05〜2重量%の範囲とするのが良い。一時に多量に加えても、いたずらに反応系外へ逃散し、無駄に消費されてしまう上、反応器内へ沈着堆積したりして運転上問題を生じたりするので注意が必要である。
【0025】
メタノールのアンモ酸化は、通常、メタノール/アンモニア/酸素が1/0.9〜1.3/0.8〜10(モル比)の組成範囲の供給ガスを用い、反応温度370〜500℃、反応圧力常圧〜500kPaで行う。見掛け接触時間は0.1〜20秒である。酸素源としては、空気を用いるのが便利であるが、これを水蒸気、窒素、炭酸ガス、飽和炭化水素等で希釈して用いても良いし、酸素を富化して用いても良い。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。
【0027】
触媒の活性試験
メタノールのアンモ酸化によるシアン化水素合成を行って触媒の活性評価をした。
触媒流動部の内径が25mm、高さ400mmの流動層反応器に触媒を充填し、メタノール / アンモニア / 空気 = 1 / 1.2 / 9.5(酸素として2.0)(モル比)の組成の混合ガスをガス線速度4.5cm/secで送入した。反応圧力は100kPaとした。
なお、反応時にモリブデン成分を適宜添加した。モリブデン成分については、いくつかのモリブデン化合物並びにモリブデン成分を富化した触媒を用いて、充填触媒に対して、モリブデンとして0.1〜0.2重量%を100ないし500時間の間隔で加えた。
【0028】
実施例、比較例中の接触時間及びシアン化水素収率は下記の式により定義される。
接触時間(sec) = 見掛け嵩密度基準の触媒容積 (ml) / 反応条件に換算した供給ガス流量 (ml/sec)
シアン化水素収率(%) = 生成したシアン化水素のモル数 / 供給したメタノールのモル数×100
【0029】
実施例1
組成が、Mo10 Bi0.4 Fe1.3 Ni6 Cr0.8 Ce0.4 K0.2P0.2 B0.2 O (SiO2)35(酸素の原子比iは他の元素の価数により自然に決まる値であるので、以降は酸素の記述を省略する。)である触媒を以下の要領で調製した。
純水3000gにパラモリブデン酸アンモニウム346.5gを溶解し、ついで85%燐酸4.5g及び無水硼酸1.4gをそれぞれ加える。この液へ3.3%硝酸270gに硝酸ビスマス38.1g、硝酸カリウム4.0g、硝酸ニッケル342.5g、硝酸クロム62.8g、硝酸セリウム34.1g、クエン酸25.0gを溶解した液を混合した。純水270gに硝酸鉄103.1gとクエン酸25.0gを溶解した液を調製し、これに加えた。ついで20%シリカゾル2063.7gを加えた。このスラリーを撹拌しつつ15%アンモニア水を加え、pHを2.0に調整した。これを98℃で1.5時間加熱処理した。
【0030】
この様にして調製したスラリーを回転円盤式噴霧乾燥機で、入口温度330℃、出口温度160℃として噴霧乾燥した。この乾燥粒子を250℃ 2時間、400℃ 2時間熱処理し、最終的に660℃ 3時間流動焼成した。
【0031】
実施例2
組成がMo10 Bi0.4 Fe1.1Ni4 Cr0.8 Co2 Ce0.5 K0.3 P0.2 (SiO2)35である触媒を実施例1と同様の方法により調製し、表1の条件で焼成した。但し、Co原料は硝酸塩を使用した。
【0032】
実施例3
組成がMo10 Bi0.4 Fe1.3 K0.2 Ni5.5 Zn0.2 Cr1.5 Ce0.6 La0.2 Ge0.2 B0.2 (SiO2)35である触媒を実施例1と同様の方法により調製し、表1の条件で焼成した。但し、La, Zn, Ge 原料は硝酸塩を使用した。
【0033】
実施例4
組成がMo10 Bi0.3 Fe1.5 K0.2 Ni5 Mg1 Cr0.5 Ce0.3 Pr0.2 (SiO2)35である触媒を実施例1と同様の方法により調製し、表1の条件で焼成した。但し、Pr, Mg 原料は硝酸塩を使用した。
【0034】
実施例5
組成がMo10 Bi0.5 Fe1.3 K0.1 Ni5.75 Mn0.5 Cr0.8 Ce0.75 Pd0.01 Rb0.1 P0.1 B0.1 (SiO2)40である触媒を以下の様にして調製した。
純水3000gにパラモリブデン酸アンモニウム321.1gを溶解し、ついで85%燐酸2.1g及び無水硼酸0.6gを加える。この液と3.3%硝酸270gに硝酸ビスマス44.1g、硝酸カリウム1.8g、硝酸ニッケル304.1g、硝酸マンガン26.1g、硝酸クロム58.2g、硝酸セリウム59.2g、硝酸パラジウム0.4g、硝酸ルビジウム2.7g、クエン酸25gを溶解した液とを混合した。ついで20%シリカゾル2185.2gを加えて、撹拌しつつ15%アンモニア水を滴下しpHを7.7に調整した。これを98℃ 1.5時間加熱処理した。純水270gに硝酸鉄95.5gとクエン酸25gを溶解した液を調製した。
【0035】
この様にして調製したスラリーを回転円盤式噴霧乾燥機で、入口温度330℃、出口温度160℃として噴霧乾燥した。この乾燥粒子を250℃2時間、400℃2時間加熱処理し、最終的に670℃ 3時間流動焼成した。
【0036】
実施例6
組成が、Mo10 Bi0.8 Fe1.3 K0.2 Ni5.5 Cr0.8 Ce0.4 W0.5 P0.2 (SiO2)60である触媒を以下の要領で調製した。
純水3000gにパラタングステン酸アンモニウム19.2gを溶解し、ついでパラモリブデン酸アンモニウム260gを混合溶解し、さらに85%燐酸3.4gを加えた。この液へ3.3%硝酸270gに硝酸ビスマス57.2g、硝酸カリウム3.0g、硝酸ニッケル235.6g、硝酸クロム47.2g、硝酸セリウム25.6g、クエン酸25gを溶解した液を混合した。ついで20%シリカゾル2655.1gを混合した。このスラリーを撹拌しつつ15%アンモニア水を滴下し、pH5に調整した。これを環流下98℃1.5時間加熱処理した。純水270gに硝酸鉄77.4gとクエン酸25gを溶解して調製した液をこれに加えた。
【0037】
この様にして調製したスラリーを回転円盤式噴霧乾燥機で、入口温度330℃、出口温度160℃の条件下に噴霧乾燥した。この乾燥粒子を250℃2時間、400℃2時間熱処理し、最終的に670℃ 3時間流動焼成した。
【0038】
実施例7
組成がMo10 Bi0.5 Fe2 K0.2 Ni4 Mg1.5 Cr0.5 Ce0.5 Al0.1 Nb0.1 (SiO2)35である触媒を実施例6と同様の方法により調製し、表1の条件で焼成した。但し、Al, Mg原料は硝酸塩を使用し、Nb原料は蓚酸水素ニオブを使用した。
【0039】
実施例8
組成がMo10 Bi0.5 Fe1 Sb1 K0.2 Ni4 Co1.5 Cr2 Ce0.5 Ru0.05 Cs0.05 P0.3 (SiO2)35である触媒を実施例6と同様の方法により調製し、表1の条件で焼成した。但し、Co, Ru, Cs,原料は硝酸塩を、Sb原料は三酸化アンチモンを使用した。
【0040】
実施例9
組成が Mo10 Bi0.5 Fe1.3 Sb5 K0.2 Ni6 Cr1 Ce0.2 Nd0.2 Zr0.2 P0.1 (SiO2)35である触媒を実施例6と同様の方法により調製し、表1の条件で焼成した。但し、Nd原料は硝酸塩を、Sb原料は四酸化アンチモンを、Zr原料はオキシ硝酸ジルコニウムを使用した。
【0041】
実施例10
組成がMo10 Bi0.5 Fe1.2 Sb10 K0.2 Ni5.75 Cr1.5 Ce0.5 Sm0.2 V0.1 Te0.25 (SiO2)35である触媒を実施例6と同様の方法により調製し、表1の条件で焼成した。但し、Sm原料は硝酸塩を、V原料はメタバナジン酸アンモニウムを、Sb原料は四酸化アンチモンを使用した。
【0042】
比較例1
組成がMo10 Bi0.4 Fe0.6 K0.2 Ni6 Cr0.8 Ce0.4 P0.2 B0.2 (SiO2)35である触媒を実施例1と同様の方法により調製し、表1の条件で焼成した。
【0043】
比較例2
組成がMo10 Bi0.4 Fe1.1 K0.2 Ni6 P0.2 B0.2 (SiO2)35である触媒を実施例1と同様の方法により調製し、表1の条件で焼成した。
【0044】
比較例3
組成がMo10 Bi1 Fe1.3 K0.2 Ni5.5 Zn0.2 Cr1.5 Ce0.6 La0.2 Ge0.2 B0.2 (SiO2)35である触媒を実施例6と同様の方法により調製し、表1の条件で焼成した。
【0045】
比較例4
組成がMo10 Bi0.4 Fe2 K0.2 Ni6 Zn0.2 Cr1.5 Ce0.6 La0.2 Ge0.2 B0.2 (SiO2)35である触媒を実施例6と同様の方法により調製し、表1の条件で焼成した。
【0046】
なお、実施例7〜10及び比較例3〜4に用いたモリブデン富化触媒は、それぞれの触媒をベースにパラモリブデン酸アンモニウム水溶液を含浸後、乾燥、焼成して調製したものである。
【0047】
これら実施例並びに比較例の触媒を用い、前記の反応条件下、メタノールのアンモ酸化反応をおこなった。結果を下表に示した。
【0048】
【表1】
Figure 0003872269
【0049】
【発明の効果】
本発明のシアン化水素の製法は、高いシアン化水素収率を与えると共に、触媒構造が安定なものであるため、反応の経時安定性が向上し、モリブデン成分を補給添加する事により長期にわたり触媒性能維持が可能である。

Claims (3)

  1. メタノールのアンモ酸化によりシアン化水素を製造するに際し、下記の実験式で表される組成の流動層触媒を用いるシアン化水素の製造方法。
    Mo10 Bia Feb Sbc Nid Cre Ff Gg Hh Kk Mm Xx Yy Oi(SiO2)j
    (式中、Mo、Bi、Fe、Sb、Ni、Cr及びKは、それぞれモリブデン、ビスマス、鉄、アンチモン、ニッケル、クロム及びカリウムを示し、Fはランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、アルミニウム及びガリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Gはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、マンガン、コバルト、亜鉛及びカドミウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Hはチタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン、ゲルマニウム、錫及び鉛からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Mはルテニウム及びパラジウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Xは燐、硼素及びテルルからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Yはリチウム、ナトリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Oは酸素、Siは珪素を、そして添字a、b、c、d、e、f、g、h、k、m、x、y、i及びjは原子比を示し、Mo=10の時、a=0.2〜1.5、b=0.7〜15、c=0〜20、d=3〜8、e=0.1〜2.5、f=0.1〜1.5、g=0〜5、h=0〜3、k=0.05〜1.5、m=0〜1、x=0〜3、y=0〜1、i=上記各成分が結合して生成する金属酸化物の酸素の数、j=20〜200である。更に、モリブデンのモリブデン酸としての価数と原子比の積20を、ビスマス、鉄、ニッケル、クロム、カリウム、F、G及びY成分元素の価数と原子比の積の総和pで割った数20/pが0.8〜1である。)
  2. モリブデン含有物を添加しながら反応を行うことを特徴とする請求項1に記載のシアン化水素の製造方法。
  3. 添加するモリブデン含有物が、モリブデン富化触媒であることを特徴とする請求項2に記載のシアン化水素の製造方法。
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