JP3872173B2 - ポリヒドロキシエーテル樹脂およびその合成方法およびポリヒドロキシエーテル膜およびその製造方法 - Google Patents

ポリヒドロキシエーテル樹脂およびその合成方法およびポリヒドロキシエーテル膜およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリヒドロキシエーテル樹脂およびその合成方法およびポリヒドロキシエーテル膜およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の医療技術の進歩により重度の心臓疾患の治療方法として、冠動脈のバイパス手術をはじめ心臓移植などが可能となっているが、このような高度な開心術には極めて長い手術時間を要する。また術後においては、人工心肺装置から離脱するまで体外循環は長期におよぶ。
【0003】
現在開心術に用いる市販の人工肺には、シリコン均質膜または多孔質膜が用いられている。シリコン均質膜は、ガス分子が膜に溶解、拡散することでガス交換が行われるためガス透過量が極めて小さく、特に炭酸ガス透過性能が不十分である。また、シリコン均質膜よりガス透過能が高い、ポリトリメチルシリルプロピン均質膜や、ガス分離膜に用いられているフッ素化ポリイミドを用いた非多孔質膜も、人工肺膜としてはガス透過量が不十分である。一方、多孔質人工肺膜では、数100Å〜2000Å程度の細孔を通してガス交換が行われるためガス透過量は大きい。
【0004】
しかし、長期の体外循環の間に、人工肺膜の細孔内への血漿蛋白の吸着が起こり、細孔壁の親水化が起こる。そのため、血漿リークが生じ、ガス交換能が低下したり人工肺膜の交換が必要となり、患者に対する負担が増大し治癒が遅れ、人工心肺装置からの離脱が困難となる。
【0005】
前述のような血漿リークが生じる原因には、膜素材の血漿に対する接触角に深い関係がある。以下に示すように細孔を毛細管に見立てると、血漿に対する接触角が90゜以上であれば、細孔壁との間に働く表面張力Fは、血漿の侵入を抑制する方向に作用する。
【0006】
【数1】
Figure 0003872173
【0007】
そしてこれまで、血漿リークを抑制するため種々の膜材料が試みられてきた。
【0008】
例えば、疎水性の高い材料としてポリプロピレン(PP,特開昭54-160098号)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE,特開昭60-53153号)およびポリ(4−メチルペンテン−1)(PMP,特開平1-10427号)等の疎水性材料を用いた多孔質人工肺膜が検討されたが、これらの素材を用いても、細孔径が数100Å以上の多孔質膜では細孔より小さい血漿蛋白が細孔内へ侵入してしまうため、長期間の体外循環においては血漿リークの回避が不可能であった。
【0009】
細孔径が数100Å以下の非対称非多孔質膜(以下非対称膜)からなる、分画分子量が1万〜5万程度の限外濾過膜は、血漿蛋白であるアルブミンやγ−グロブリンを透過しないため、血漿リークを抑制することが可能であると考えられる。前記のPP、PTFE、PMP、さらにシリコーン樹脂は、いずれも一般の有機溶媒に溶解しないため、限外濾過膜と同じ構造を有する非対称膜を得ることは困難である。
【0010】
有機溶媒に溶解しかつ疎水性の高い材料としてポリスルホンが挙げられる。ポリスルホンをN-メチル-2-ピロリドン(NMP)やN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)などの極性溶媒に溶解し、適当な添加剤を加えて調製した溶液を、湿式製膜法あるいは乾湿式製膜法により膜表面に緻密層を持ち、内部が多孔質構造である非対称膜が得られる。この膜は限外ろ過膜あるいは血液透析膜、血漿濃縮膜などの医療用途で、既に実用化されている。
【0011】
このポリスルホン非対称膜を用いた人工肺として、高いガス透過性能を有するポリスルホン非対称膜(特開昭61-119272号など)も提案された。しかしポリスルホン膜は水に対する接触角が90゜以下であるため水の侵入を抑制することができない。そのため限外濾過によって血漿から高分子量の成分が除去された水が細孔を閉塞し、人工肺のガス交換能が低下するおそれがあった。
【0012】
このように、血漿リークの問題を解決するため、膜素材には疎水性が高く、接触角が血漿より大きい材料が、そして細孔内に血漿蛋白が侵入出来ないレベルの孔径を有する非対称膜が求められていた。また、人工心肺装置に限らず、血液透析装置や輸血または採血装置においても、治療効果を保つために血液凝固の防止や補体の活性化を抑制した血液回路が必須となっている。
【0013】
一方、ジフェノールとエピハロヒドリンから得られるポリヒドロキシエーテル樹脂(フェノキシ樹脂)は古くから数多くの研究され、熱可塑性樹脂として実用化されてからすでに30年以上が経過している。
【0014】
例えばビスフェノールAとエピクロロヒドリンからフェノキシ樹脂を合成する方法として、CarpenterがUSP2,602,075で提示した方法を始め、Wynstraが提案したエタノール中での合成(USP3,305,528)およびDMSO中での合成(USP3,277,051)、Roicki(例えばMaklomol. Chem. 179,1661(1978)、または181, 985(1980))の文献などが挙げられる。
【0015】
また機械物性等を改良するためにジフェノールとしてメチレンビスフェノール、エチリデンビスフェノール、ジヒドロキシフェニルスルホンなどのフェノキシ樹脂の合成方法も報告されている。
【0016】
ジフェノールのうち、フッ素を含む2,2-(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフロロイソプロピリデン(以下ビスフェノールAF)は、ジグリシジルエーテル(Polymer letters, 3, 1021(1965))の報告がある。このビスフェノールAFのジグリシジルエーテルからなるエポキシ硬化体は、2つのトリフロロメチル基によってガラス転移温度(Tg)の向上と表面張力の低下が報告されている(公開特許昭61-44969)。
【0017】
しかし重合度が20以下の低分子量のポリヒドロキシエーテル樹脂(例えばEP0212319A2)については報告されているが、高分子量のポリヒドロキシエーテル樹脂は報告されていない。これは電子吸引性の高いトリフロロメチル基によってフェノール水酸基の酸性度が大きくなり、その結果エピクロロヒドリンへの求核反応性が低下し、高分子量のポリマーが得られないためである。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、還元粘度が0.6(dl/g)以上で、機械的物性に優れ、表面張力が低く、また、水に対する接触角よりも血漿あるいはタンパク水溶液に対する接触角の方が大きく、かつ水に対する接触角が90゜以上であるという特異性を有するポリヒドロキシエーテル樹脂およびその合成方法を提供することを目的とする。
【0019】
また本発明は、血漿リークを抑制し、しかも十分なガス透過性能を有するポリヒドロキシエーテル膜およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の手段によって解決される。
【0021】
(1) 式(1)で表される不溶不融のゲルを含まないポリヒドロキシエーテル樹脂であって、
式(1)
【化13】
Figure 0003872173
前記ポリヒドロキシエーテル樹脂は、式(2)で表されるR基が100mol%〜20mol%であり、
式(2)
【化14】
Figure 0003872173
残りのR基が式(3)で表されるR基の群のうちのいずれかであり、
式(3)
【化15】
Figure 0003872173
かつ、前記ポリヒドロキシエーテル樹脂0.5gにN,N-ジメチルアセトアミドを加えて溶解し100mlとした溶液の25℃における還元粘度が0.6(dl/g)以上であることを特徴とするポリヒドロキシエーテル樹脂
【0022】
(2) 前記ポリヒドロキシエーテル樹脂の前記残りのR基が、式(4)で表されるR基の群のうちのいずれかであることを特徴とする(1)記載のポリヒドロキシエーテル樹脂
式(4)
【化16】
Figure 0003872173
【0023】
(3) 水に対する接触角よりも血漿あるいはタンパク水溶液に対する接触角の方が大きく、かつ水に対する接触角が90゜以上であることを特徴とする(1)および(2)記載のポリヒドロキシエーテル樹脂
【0024】
(4) 非プロトン性極性溶媒に、式(5)で表される群のうちのいずれかの構造を有するビスフェノール類を少なくとも1種類以上と、エピハロヒドリンとを加え反応させることを特徴とするポリヒドロキシエーテル樹脂の合成方法
式(5)
【化17】
Figure 0003872173
【0025】
(5) 前記非プロトン性極性溶媒に、前記式(5)で表される群のうちのいずれかの構造を有するビスフェノール類を少なくとも1種類以上と、前記ビスフェノール類に対するモル比が0.95〜1.05のエピハロヒドリンと、前記ビスフェノール類に対して等モル以上の水酸化ナトリウム水溶液とを加え、室温以上かつ前記非プロトン性極性溶媒の沸点以下の反応温度で均一に攪拌することを特徴とする(4)記載のポリヒドロキシエーテル樹脂の合成方法
【0026】
(6) 前記非プロトン性極性溶媒がジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、スルホランのうちのいずれかまたはこれらの混合溶媒であることを特徴とする(4)および(5)記載のポリヒドロキシエーテル樹脂の合成方法
【0027】
(7) 式(1)で表されるポリヒドロキシエーテル膜であって、
式(1)
【化18】
Figure 0003872173
前記ポリヒドロキシエーテル膜は、式(2)で表されるR基が100mol%〜20mol%であり、
式(2)
【化19】
Figure 0003872173
残りのR基が式(3)で表されるR基の群のうちのいずれかであり、
式(3)
【化20】
Figure 0003872173
かつ、前記ポリヒドロキシエーテル膜0.5gにN,N-ジメチルアセトアミドを加えて溶解し100mlとした溶液の25℃における還元粘度が0.6(dl/g)以上であることを特徴とするポリヒドロキシエーテル膜
【0028】
(8) 前記ポリヒドロキシエーテル膜の前記残りのR基が、式(4)で表されるR基の群のうちのいずれかであることを特徴とする(1)記載のポリヒドロキシエーテル膜
式(4)
【化21】
Figure 0003872173
【0029】
(9)
式(1)で表される不溶不融のゲルを含まないポリヒドロキシエーテル樹脂と、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、THF、アセトン、スルホランのうちのいずれかまたはこれらの混合溶媒と、第3成分としての水、塩、低分子量化合物もしくは高分子量化合物を加えて溶解し調製した溶液を用いて、乾湿式または湿式製膜法により製造することを特徴とするポリヒドロキシエーテル膜の製造方法
式(1)
【化22】
Figure 0003872173
但し、式(2)で表されるR基が100mol%〜20mol%であり、
式(2)
【化23】
Figure 0003872173
残りのR基が式(3)で表されるR基の群のうちのいずれか
式(3)
【化24】
Figure 0003872173
【0030】
(10)
前記塩、低分子量化合物もしくは高分子量化合物が、NaCl、LiCl、CaCl2、MgCl2、Mg(ClO4)2、LiClO4、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、尿素、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドのうちのいずれかまたはこれらの混合物であり、これらの第3成分が製膜溶液中の5wt%〜50wt%であることを特徴とする(9)記載のポリヒドロキシエーテル膜の製造方法
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳しく説明する。
【0032】
本発明における還元粘度は、ポリヒドロキシエーテル樹脂0.5gにN,N-ジメチルアセトアミドを加えて溶解し100mlとした溶液を、25℃の恒温装置(クールニクスサーキュレーターCTR-22WSおよびCTE-22WS、ヤマト科学(株)社製)を付した水槽中に入れ、ウベローデ粘度計(柴田科学器械工業(株)社製、1〜5cSt測定用)を用いて測定し、次式よりηとして求めた。
【0033】
【数2】
Figure 0003872173
【0034】
まず、本発明のポリヒドロキシエーテル樹脂について説明する。
【0035】
本発明のポリヒドロキシエーテル樹脂の還元粘度は0.6(dl/g)以上であることが好ましく、還元粘度が0.6以上のポリマーは強度も大きく強靱である。還元粘度が0.6に満たないポリマーは、硬くて脆く形状を維持することが困難である。
【0036】
また式(2)の構造を導入することによって、従来のビスフェノールAからなるポリヒドロキシエーテル樹脂に比べ、Tgを向上させることと、表面張力を低くすることが可能である。低い表面張力を有しつつ、機械的物性、熱的性質、有機溶媒に対する溶解性等の改良、あるいは経済的理由により式(2)をR基として有する2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフロロプロパン(以下ビスフェノールAF)以外に、式(3)の群のビスフェノール類のうちいずれかを用いても良い。好ましくは工業的に安定して供給される式(4)の群の廉価なビスフェノールAあるいは2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、テトラブロモビスフェノールA、4,4-ビフェノール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホンのうちいずれかを用いるのが良い。
【0037】
またこれらのポリヒドロキシエーテル樹脂は血漿あるいはタンパク水溶液に対する接触角が水よりも大きいという特異性を有する。ここで接触角が大きいということは、材料の表面張力が低いことを示している。さらに表面張力を低くし、水に対する接触角も90゜以上にするには式(2)の成分を少なくとも20mol%以上導入する必要がある。
【0038】
還元粘度の高いポリヒドロキシエーテル樹脂を合成するために用いる溶媒は、出発物質および生成するポリマーを溶解ししかも極性が高くフェノール性水酸基の求核反応を促進することが望ましい。そのような溶媒として、非プロトン性極性溶媒である、ジメチルスルホキシド(DMSO)、DMAc、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、スルホラン、ジオキサン、THFあるいはそれらのうち2つ以上から選ばれる混合溶媒が挙げられる。そのうちDMSO、DMAcは安価で沸点が高く水溶性で反応溶液が均一に攪拌でき、しかも塩基によって分解されない溶媒として好ましい。さらに好ましくはDMSOとDMAcの混合溶媒であり、DMAc単独で用いるよりも求核反応を促進し高粘度のポリヒドロキシエーテル樹脂が得られる。またこの混合溶媒はDMSO単独で用いるよりも反応溶液の粘度が低いために均一に攪拌することが容易である。
【0039】
ここで均一に撹拌するということは、容器内で反応のバラツキ、溶液の滞留、ポリマーの付着による固化、一部過熱によるゲル化などがない状態を指す。
【0040】
重合反応は、所定量のビスフェノール類とエピハロヒドリンおよびNaOH水溶液を加え加熱攪拌することが挙げられる。エピハロヒドリンの中でも廉価なエピクロロヒドリン(EPC)が好ましい。
【0041】
この時還元粘度が0.6以上であるポリマーを得るためには、ビスフェノール類とエピクロロヒドリンのモル比は、0.95〜1.05が好ましく、より好ましくは0.98〜1.02さらに好ましくは1.00である。
【0042】
水酸化ナトリウムの量はビスフェノール類に対して、等モル以上であれば重合は進行するが、より好ましくは水酸化ナトリウムとビスフェノール類の比が1.02〜1.10が好ましく、より好ましくは1.04〜1.08である。NaOHとビスフェノールAFのモル比がこれ以下では高い還元粘度を有するポリヒドロキシエーテル樹脂が得られず、またそれ以上では副反応がおこり架橋が生じたり逆に還元粘度が低下する。
【0043】
また、反応温度は、常圧下で溶媒の沸点以下、室温以上であれば任意に設定することが可能であるが、実用上溶液が均一に攪拌可能で、かつ副反応や着色を抑制し短時間で重合を完結するためには、好ましくは50℃〜150℃より好ましくは70℃から130℃である。これ以下の温度では反応の進行が遅く重合が進行すると還元粘度が高くなり攪拌が困難となる。また温度が150℃以上では副反応が起こりやすく反応の進行の障害となったり、ポリマーが着色したりする。
【0044】
次に、本発明のポリヒドロキシエーテル膜について説明する。
【0045】
限外濾過膜型の非対称膜を得るためには、ポリマーを有機溶媒に溶解し該ポリマー溶液を賦形化したのち非溶媒からなる凝固液に浸せきする、いわゆる湿式または乾湿式製膜が必須である。式(1)で表されるポリヒドロキシエーテル樹脂を、DMSO、DMAcなどの極性有機溶媒に溶解し、湿式または乾湿式製膜法により非対称膜が得られる。ここで述べる非対称膜とは、膜面に垂直な方向にわたって緻密な層と多孔性の層に分かれている膜を指し、限外ろ過膜や逆浸透膜などはこのタイプのものが多い。一方対称膜は膜面に垂直な方向にわたって構造的異方性が認められない膜であり、シリコーン樹脂からなる均質膜やポリオレフィンからなる多孔性膜などを指す。
【0046】
本発明の接触角の測定方法は以下の通りである。乾燥した湿式平膜をスライドガラスに貼り付け、接触角測定装置(エルマ社製)の水平な試料台に載せて、その凝固溶媒と接触した側の膜表面にシリンジで液約3μlを静かに滴下し30秒以内に液滴の両端の値を読みとる。この操作を5回行い測定した平均値を接触角とした。
【0047】
この材料からなる限外ろ過膜タイプの非対称膜は、血漿あるいは血漿から蛋白を除いた水が細孔内部への侵入を抑制することが可能である。また機械的物性、熱的性質、有機溶媒に対する溶解性等の改良、あるいは経済的理由、ビスフェノールAF以外の式(3)で表される構造を有する各種ビスフェノール類のうち1種類以上と共重合するのもよい 。好ましくは、工業的に安定して供給される廉価なビスフェノールAあるいは2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、テトラブロモビスフェノールA、4,4-ビフェノール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホンのうち少なくとも1つ以上から選ばれる。
【0048】
この時ビスフェノールAFは、20mol%以上含有することが必須であり、20mol%含まれれば水に対する接触角が90°以上でしかも血漿に対する接触角が水よりも大きく血漿リークを抑制することが可能である。
【0049】
本発明の材料から非対称膜を製造する方法としては、蒸発法、浸漬法など湿式製膜法であればいずれの方法も用いることができる。製膜に用いるポリマー溶液は、ポリヒドロキシエーテル樹脂と溶媒および第3成分である添加剤を撹拌し均一に溶解したところで濾過と脱泡操作を行う。この時溶媒として、ポリマーを溶解しかつ工業的に供給される、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、THF、アセトン、スルホランまたはそれらのうち1つ以上の混合溶媒が好ましい。
【0050】
また、第3成分として用いられる化合物として任意量の水、塩、低分子量有機化合物もしくは高分子量化合物から選ばれ、好ましくはNaCl、LiCl、CaCl2、MgCl2、Mg(ClO4)2、LiClO4、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、尿素、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドまたはそれらのうち1つ以上の混合物、より好ましくは洗浄が容易で廉価で毒性の低く水溶性であるプロピレングリコールが挙げられる。
【0051】
また、添加剤の量は任意であるが、紡糸性やガス透過性能あるいは経済性などから5wt%〜50wt%が好ましい。これ以下だと膜構造の制御が困難であり、またこれ以上だとポリマーが析出し製膜が困難である。
【0052】
次に、本発明における製膜方法を簡単に説明する。
【0053】
湿式平膜は、図1に示すようにガラス板上に製膜溶液を垂らし、ガラス棒でキャストし直ちに凝固溶媒に浸せきして凝固させる。凝固が完了したら十分洗浄して乾燥させて膜を得た。
【0054】
中空糸膜は、図2に示す装置を用いて二重管ノズルからポリマー溶液と内部液を同時に押し出して凝固溶媒中で凝固させて巻き取り装置で巻き上げ、洗浄乾燥後中空糸膜を得た。
【0055】
また膜の構造は緻密層を有する非対称膜であることが好ましく、ポリオレフィン多孔質膜よりも細孔を小さくでき、血漿リークの耐久性と十分なガス透過性能を得ることが可能と考えられる。膜の構造を確認するために凍結乾燥法により試料を作製し、白金蒸着後走査型電子顕微鏡JSM840(日本電子(株)製で膜の断面と表面を観察した。
【0056】
また人工肺膜として十分なガス透過性能は、実用上60ml/min・m2・mmHg以上であれば良い。ここで述べるガス透過性能は以下の方法で測定した。湿式平膜は乾燥した膜を円形の打ち抜き刃で切り取り図3に示すような限外濾過膜の透過性能測定装置(ADVANTEC社製、UHP-43)に取り付け、気体を流してそのときの圧力と透過量からガス透過性能を求めた。また中空糸膜は、図4に示す装置に取り付け、同様にして気体の流量とそのときのからガス透過性能を求めた。
【0057】
【実施例】
以下実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0058】
(ポリヒドロキシエーテル樹脂の合成方法)
【0059】
(1)モーター、テフロン製攪拌翼を付した100ml三つ口フラスコに、ビスフェノール類50mmol、エピクロロヒドリン50mmolおよび所定量の溶媒を加え、窒素気流下で攪拌し均一に溶解した。次に計算量のNaOH溶液をシリンジで正確に滴下し、そのまま70℃のオイルバスに移し20時間攪拌を続けた。
【0060】
(2)加熱を止めて、所定量の溶媒と1N HCl水溶液を加え残余のNaOHを中和した。そのまま室温まで冷却すると、透明で粘度の低い上澄みと不透明で粘度の高い下層に分離した。デカンテーションして上澄みを除去し、さらに溶媒を加えて水浴中で加熱し溶解させた。
【0061】
(3)この溶液を熱いうちにガラス繊維ろ紙 (ADVANTEC GB 100R、100μm)を付したステンレス製加圧ろ過器(ADVANTEC社製KST-47)にいれ窒素で2kgf/cm2に加圧ろ過し、NaClを除去した。ろ液はそのまま水中に滴下すると直ちに白色のポリマーが析出した。
【0062】
(4)1Lビーカーに析出したポリマーとRO水1Lを加え、80℃水浴中で1時間攪拌した。水を入れ替えて3回繰り返し、吸引ろ過しポリマーを回収した。一晩風乾してから80℃で一晩真空乾燥し、白色のポリマーを得た。
【0063】
(5)このポリマーについて、還元粘度の測定、DSC法によるガラス転移温度(Tg) 、成型物の引張破断強度、および接触角の測定を行った。また還元粘度の小さいポリマーは、1H NMRスペクトルから重合度(n)が求めることが可能である。この場合の重合度(n)は、ポリマー1分子中の主鎖のフェニル基と末端のフェニル基ピークの積分強度比から算出した。
【0064】
(6)なお、還元粘度が0.7(dl/g)以上のポリマーは末端ピークが小さすぎて定量できなかった。
【0065】
(実施例1)
三つ口フラスコに、ビスフェノールAF16.81g(50mmol)、DMSO17.35g、DMAc17.35g、エピクロロヒドリン4.63gを加えて溶解した。NaOH/AF=1.06のNaOH溶液を滴下すると溶液は透明な黄色からピンク色に変化した。以下HClによる中和、ろ過によるNaClの除去、再沈操作および洗浄と乾燥を行い白色繊維状のポリマーを得た。その還元粘度は0.6(dl/g)であり、DSC法により測定したガラス転移温度(Tg)は、124℃であった。このポリマーの成型物の引張破断強度は450kg/cm2であった。このポリマーの1H NMRから求めた重合度は40であった。湿式法で膜を作製し乾燥後測定した水の接触角は100°牛血漿に対する接触角は105°であった。
【0066】
(実施例2)
NaOH/AF=1.07となるNaOH溶液を加える以外は実施例1と同様にして白色繊維状のポリマーを得た。その還元粘度は0.7(dl/g)であった。
【0067】
(実施例3)
溶媒がDMSO34.7gである以外は実施例1と同様にして白色繊維状のポリマーを得た。その還元粘度は0.9(dl/g)であった。
【0068】
(実施例4)
ビスフェノールAF10.09g(30mmol)、ビスフェノールA4.57g(20mmol)、NaOH/(AF+A)=1.04である以外は実施例1と同様にして重合した得られたポリマーの還元粘度は0.7(dl/g)、ポリマーの成型物の引張破断強度は600kg/cm2であった。また水の接触角は96°、牛血漿に対する接触角は100°であった。
【0069】
(実施例5)
ビスフェノールAF3.36g(10mmol)、ビスフェノールA9.13g(40mmol)、NaOH/(AF+A)=1.04である以外は実施例1と同様にして重合した得られたポリマーの還元粘度は0.9(dl/g)、ポリマーの成型物の引張破断強度は600kg/cm2であった。またこのポリマーから湿式法で膜を作製し乾燥後測定した水の接触角は91°、牛血漿に対する接触角は96°であった。
【0070】
(比較例1)
USP3,277,051記載の方法に従い、溶媒がDMSO17.35g NaOH/AF=1.04、となるNaOH溶液を加える以外は実施例1と同様にして白色繊維状のポリマーを得た。その還元粘度は0.5(dl/g)であった。
【0071】
(比較例2)
NaOH/AF=1.04となるNaOH溶液を加える以外は実施例1と同様にして白色粉末状のポリマ−を得た。その還元粘度は 0.3(dl/g)であった。このポリマーをTHFに溶解し乾式法により作成したが、脆くて膜は得られなかった。このポリマーの重合度は30であった。
【0072】
(比較例3)
反応時間が3時間である以外は実施例1と同様にして白色粉末状のポリマ−を得た。その還元粘度は0.2(dl/g)であった。このポリマーは脆くて膜は得られなかった。このポリマーの重合度は20であった。
【0073】
(比較例4)
ビスフェノールA11.4g(50mmol)を用いて、NaOH/ビスフェノールA=1.04となるNaOH溶液を加える以外は実施例1と同様にして白色のフェノキシ樹脂を得た。その還元粘度は1.1(dl/g)であり、Tgが100℃であった。このポリマーから作製した膜に対する水の接触角は80°、血漿に対する接触角は90°であった。
【0074】
(比較例5)
USP3,277,051記載の実施例に従い、ビスフェノールAを用いて、NaOH/ビスフェノールA=1.04となるNaOH溶液を加える以外は実施例1と同様にして白色繊維状のフェノキシ樹脂を得た。その還元粘度は1.2(dl/g)であった。
【0075】
(比較例6)
USP3,277,051記載の実施例に従い、ビスフェノールAFを用いて、溶媒量がDMSO17.35g、NaOH/ビスフェノールAF=1.06となるNaOH溶液を加える以外は実施例1と同様にして重合したところ、ゲル化した。
【0076】
実施例1〜5および比較例1〜6の結果を
【表1】
Figure 0003872173
に示す。
【表1】
【0077】
(実施例6)
還元粘度が0.7(dl/g)である式(5)のポリヒドロキシエーテル樹脂10gを50mlサンプル瓶にテフロン攪拌子とともにいれ、プロピレングリコール12g、DMSO9gおよびDMAc9gを加えて攪拌して溶解後脱泡し製膜溶液を得た。溶液温度を30℃に保ち、ガラス板上にキャストしそのまま30℃の水中で凝固させて十分水洗し、乾燥して湿式平膜を得た。一部は濡れたまま凍結乾燥しSEM観察を行った。膜は非対称膜であり、緻密層が形成されておりわずかにマクロボイドが存在した(図5)。膜が非溶媒と接触した側の表面は平滑であった(図6)。
酸素透過性能を測定したところ、1380ml/min・m2・mmHgであった。この膜に対する接触角は、水が100゜、牛血漿が110゜であった。
【0078】
【化13】
【0079】
(実施例7)
還元粘度が0.7(dl/g)である式(5)のポリヒドロキシエーテル樹脂10g、プロピレングリコール14g、DMSO8gおよびDMAc8gである以外は実施例1と同様にして湿式平膜を作製した。膜は非対称膜であり、マクロボイドは認められなかった(図7)が、表面は極めて小さい孔が見られた(図8)。この膜の酸素透過性能は1680ml/min・m2・mmHgであった。この膜に対する接触角は、水が100゜、牛血漿が110゜であった。
【0080】
(実施例8)
還元粘度が0.8(dl/g)である式(6)のポリヒドロキシエーテル樹脂10g、プロピレングリコール10g、DMSO10gおよびDMAc10gである以外は実施例1と同様にして湿式平膜を作製した。
膜は非対称膜であり(図9)、膜表面は平滑であった(図10)。この膜の酸素透過性能は1500ml/min・m2・mmHgであった。この膜に対する接触角は、水が95゜、牛血漿が100゜であった。
【0081】
【化14】
【0082】
(実施例9)
還元粘度が0.9(dl/g)である式(7)のポリヒドロキシエーテル樹脂10g、プロピレングリコール10g、DMSO10gおよびDMAc10gを用いて調製した以外は実施例1と同様にして湿式平膜を作製した。膜は非対称膜であり(図11)、膜表面は平滑であった(図12)。この膜の酸素透過性能は100ml/min・m2・mmHgであった。この膜に対する接触角は、水が91゜、牛血漿が97゜であった。
【0083】
【化15】
【0084】
(実施例10)
還元粘度が0.9(dl/g)である式(5)のポリヒドロキシエーテル樹脂100gを500mlセパラブルフラスコに入れ、プロピレングリコール120g、DMSO90gおよびDMAc90gを加えて攪拌する。溶解後脱泡し製膜溶液を得た。溶液温度を40℃にして二重紡糸口金から押し出した。この時内部凝固液として水も同時に供給した。口金から出た溶液を直ちに10℃の水中(凝固槽)に入れて紡糸液を凝固させ、引き続きこの中空糸膜繊維を十分に水洗したあと、50℃で24時間乾燥した。この中空糸膜繊維は内径200μm、膜厚50μmであった。膜は非対称膜であり、スキン層は内面と外面にあり、平滑であった。(図13,図14,図15)。この膜の酸素透過性能は300ml/min・m2・mmHgであった。
【0085】
(実施例11)
還元粘度が0.9(dl/g)である式(5)のポリヒドロキシエーテル樹脂100g、プロピレングリコール140g、DMSO80gおよびDMAc80gの溶液を調製し、溶液温度50℃、凝固槽温度30℃である以外は実施例3と同様にして中空糸膜繊維を得た。この膜は内径200μm、膜厚50μmであった。膜は非対称膜で、スキン層は内面と外面にあり両面ともに平滑であった(図16,図17,図18)。この膜の酸素透過性能は1600ml/min・m2・mmHgであった。
【0086】
(実施例12)
還元粘度が0.9(dl/g)で式(5)のポリヒドロキシエーテル樹脂100g、プロピレングリコール160g、DMSO70gおよびDMAc70gの溶液を調製し、溶液温度50℃、凝固槽温度30℃である以外は実施例3と同様にして中空糸膜繊維を得た。この膜は内径200μm、膜厚50μmであった。膜は非対称膜でスキン層は内面と外面にあり、外表面側には走査型電子顕微鏡で10,000倍では小さな孔が認められた(図19,図20,図21)。この膜の酸素透過性能は2000ml/min・m2・mmHgであった。
【0087】
(実施例13)
還元粘度が0.8(dl/g)で式(6)のポリヒドロキシエーテル樹脂100g、プロピレングリコール160g、DMSO70gおよびDMAc70gの溶液を調製し、溶液温度50℃、凝固槽温度30℃である以外は実施例3と同様にして中空糸膜繊維を得た。この膜は内径200μm、膜厚50μmであった。膜は非対称膜であり、スキン層は内面と外面にあり、外表面側は平滑であった(図22,図23,図24)。この膜の酸素透過性能は300ml/min・m2・mmHgであった。
【0088】
(比較例7)
還元粘度が0.3(dl/g)で式(5)のポリヒドロキシエーテル樹脂10gを50mlサンプル瓶にマグネテイクスターラーチップとともにいれ、プロピレングリコール12g、DMSO9gおよびDMAc9gを加えて攪拌する。溶解後脱泡し、溶液温度を30℃に保ち、ガラス板上にキャストしそのまま30℃の水中に浸せきしたが凝固せず膜は得られなかった。
【0089】
(比較例8)
還元粘度が0.5(dl/g)で式(5)のポリヒドロキシエーテル樹脂10gを50mlサンプル瓶にマグネテイクスターラーチップとともにいれ、プロピレングリコール12g、DMSO9gおよびDMAc9gを加えて攪拌する。溶解後脱泡し、溶液温度を30℃に保ち、ガラス板上にキャストしそのまま30℃の水中に浸せきして膜を得たが、脆くて形状を維持することが困難であった。
【0090】
(比較例9)
特公昭63−25784に従い、アモコ社製ポリスルホンP−3500 11g、プロピレングリコール7g、N-メチルピロリドン32gから溶液を調製し、実施例1と同様にして平膜を作製した。この膜は非対称膜(図25,図26)で酸素透過性能は500ml/min・m2・mmHgであった。この膜に対する接触角は、水が88゜、牛血漿が98゜であった。
【0091】
(比較例10)
還元粘度が0.9(dl/g)である式(8)のポリヒドロキシエーテル樹脂10g、プロピレングリコール10g、DMSO10gおよびDMAc10gである以外は実施例1と同様にして湿式平膜を作製した。この膜は非対称膜で(図27,図28)、酸素透過性能は30ml/min・m2・mmHgであった。この膜に対する接触角は、水が80゜、牛血漿が89゜であった。
【0092】
【化16】
【0093】
(比較例11)
市販のポリオレフィン製人工肺膜は、酸素透過性能が1400ml/min・m2・mmHgで、膜表面には孔が認められ、断面は同じ構造を有する多孔性の対称膜であった(図29,図30)。
【0094】
【発明の効果】
本発明のポリヒドロキシエーテル樹脂およびポリヒドロキシエーテル膜は、還元粘度が0.6以上で重合度が大きく、しかも不溶不融の成分を含まないことを特徴とする。本発明の樹脂はこれまでに知られている重合度20以下のポリヒドロキシエーテル樹脂に比べ機械的強度にも優れており、水に対する接触角よりも血漿あるいはタンパク水溶液に対する接触角の方が大きく、かつ水に対する接触角が90゜以上であるという特異性を有する。さらに従来のビスフェノールAからなるポリヒドロキシエーテル樹脂よりもガラス転移温度Tgが高くその表面張力が小さい。
【0095】
また、本発明のポリヒドロキシエーテル膜は、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフロロプロパン、あるいはそれ以外のビスフェノール類とハロゲン化エポキシ(エピクロロヒドリン等)との重縮合から得られた樹脂を、DMSOやDMAc等の有機溶媒に溶解し湿式法により得られる。
【0096】
さらに、このポリヒドロキシエーテル膜は非対称膜であり、
1)細孔径が小さいためPP多孔質膜よりも血漿の侵入を防ぐ力が大きい
2)血漿蛋白が細孔内部へ侵入することを抑制することが可能である
3)水に対する接触角が90°以上であるため血漿ろ液である水の透過も抑制する
4)人工肺膜として十分なガス透過性能を有する
などの点において優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】湿式平膜の作成方法を示す図である。
【図2】紡糸装置の概略を示す図である。
【図3】湿式平膜のガス透過性能の測定方法を示す図である。
【図4】中空糸膜のガス透過性能の測定方法を示す図である。
【図5】平膜断面のSEM写真である。
【図6】平膜表面のSEM写真である。
【図7】平膜断面のSEM写真である。
【図8】平膜表面のSEM写真である。
【図9】平膜断面のSEM写真である。
【図10】平膜表面のSEM写真である。
【図11】平膜断面のSEM写真である。
【図12】平膜表面のSEM写真である。
【図13】中空糸膜断面のSEM写真である。
【図14】中空糸膜外表面のSEM写真である。
【図15】中空糸膜外表面のSEM写真である。
【図16】中空糸膜断面のSEM写真である。
【図17】中空糸膜外表面のSEM写真である。
【図18】中空糸膜外表面のSEM写真である。
【図19】中空糸膜断面のSEM写真である。
【図20】中空糸膜外表面のSEM写真である。
【図21】中空糸膜外表面のSEM写真である。
【図22】中空糸膜断面のSEM写真である。
【図23】中空糸膜外表面のSEM写真である。
【図24】中空糸膜外表面のSEM写真である。
【図25】平膜断面のSEM写真である。
【図26】平膜表面のSEM写真である。
【図27】平膜断面のSEM写真である。
【図28】平膜表面のSEM写真である。
【図29】ポリオレフィン中空糸膜断面のSEM写真である。
【図30】ポリオレフィン中空糸膜表面のSEM写真である。
【化25】
Figure 0003872173
【化26】
Figure 0003872173
【化27】
Figure 0003872173
【化28】
Figure 0003872173

Claims (7)

  1. 式(1)で表される不溶不融のゲルを含まないポリヒドロキシエーテル樹脂であって、式(1)
    Figure 0003872173
    前記ポリヒドロキシエーテル樹脂は、式(2)で表されるR基が100mol%〜20mol%であり、式(2)
    Figure 0003872173
    残りのR基が式(3)で表されるR基の群のうちのいずれかであり、式(3)
    Figure 0003872173
    かつ、前記ポリヒドロキシエーテル樹脂0.5gにN,N-ジメチルアセトアミドを加えて溶解し100mlとした溶液の25℃における還元粘度が0.6(dl/g)以上であることを特徴とするポリヒドロキシエーテル樹脂。
  2. 前記ポリヒドロキシエーテル樹脂の前記残りのR基が、式(4)で表されるR基の群のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1記載のポリヒドロキシエーテル樹脂。
    式(4)
    Figure 0003872173
  3. 水に対する接触角よりも血漿あるいはタンパク水溶液に対する接触角の方が大きく、かつ水に対する接触角が90゜以上であることを特徴とする請求項1または2記載のポリヒドロキシエーテル樹脂
  4. 式(1)で表されるポリヒドロキシエーテル膜であって、式(1)
    Figure 0003872173
    前記ポリヒドロキシエーテル膜は、式(2)で表されるR基が100mol%〜20mol%であり、式(2)
    Figure 0003872173
    残りのR基が式(3)で表されるR基の群のうちのいずれかであり、式(3)
    Figure 0003872173
    かつ、前記ポリヒドロキシエーテル膜0.5gにN,N-ジメチルアセトアミドを加えて溶解し100mlとした溶液の25℃における還元粘度が0.6(dl/g)以上であることを特徴とするポリヒドロキシエーテル膜。
  5. 前記ポリヒドロキシエーテル膜の前記残りのR基が、式(4)で表されるR基の群のうちのいずれかであることを特徴とする請求項4記載のポリヒドロキシエーテル膜。
    式(4)
    Figure 0003872173
  6. 式(1)で表される不溶不融のゲルを含まないポリヒドロキシエーテル樹脂と、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、THF、アセトン、スルホランのうちのいずれかまたはこれらの混合溶媒と、第3成分としての水、塩、低分子量化合物もしくは高分子量化合物を加えて溶解し調製した溶液を用いて、乾湿式または湿式製膜法により製造することを特徴とするポリヒドロキシエーテル膜の製造方法。
    式(1)
    Figure 0003872173
    但し、式(2)で表されるR基が100mol%〜20mol%であり、式(2)
    Figure 0003872173
    残りのR基が式(3)で表されるR基の群のうちのいずれか式(3)
    Figure 0003872173
  7. 前記塩、低分子量化合物もしくは高分子量化合物が、NaCl、LiCl、CaCl2、MgCl2、Mg(ClO4)2、LiClO4、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、尿素、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドのうちのいずれかまたはこれらの混合物であり、これらの第3成分が製膜溶液中の5wt%〜50wt%であることを特徴とする請求項6記載のポリヒドロキシエーテル膜の製造方法。
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