JP3870999B2 - トンネル構築用拡縮セグメント - Google Patents

トンネル構築用拡縮セグメント Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は掘削口拡大又は縮小方向に拡幅または縮幅する機構を備えたシールド掘進機によってシールドトンネルを構築する際に用いるトンネル構築用拡縮セグメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
トンネルの断面を変化させたいときにシールド掘進機の本体を拡幅させて掘進する拡幅機能を備えたシールド掘進機が、例えば特開平6−146776号公報に開示されている。図10は同公報に開示されたシールド掘進機70を示しており、その構成を概説すると、左右の主力ッター71と中央の副カッター72とを、シールドフレーム73の前面部に回転駆動可能に取り付けてなる左右の主シールド部74と中央の副シールド部75とを備え、且つ上記シールドフレーム73を、主力ッター71の軸心と平行な上下部で、側方シールドフレーム体73aと中央シールドフレーム体73bとに分割して、各分割部を左右方向へ一定量スライドし得るように重合させたものである。
【0003】
上記のように構成されたシールド掘進機においては、シールドフレーム73の後端内面において該シールドフレーム73内周面に沿うようにセグメントを組み立てることによってシールドトンネルが構築されることになる。そして、構築されたシールドトンネルの外周面とシールドフレーム73の内周面との隙間から土砂等が機内に侵入するのを防止するために、シールドフレーム73の後端内周面にテールシールというブラシが装備され、該ブラシで前記隙間を塞ぐように構成されている。
【0004】
なお、掘進途中でトンネルの口径を拡大しようとする場合には、側方シールドフレーム体73aを中央シールドフレーム体73bに対して左右方向にスライドさせて、トンネル構築部の口径を拡大させた後に該拡大させた口径に合わせてトンネルを構築することになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、トンネル構築部の口径を拡大するために側方シールドフレーム体73aを中央シールドフレーム体73bに対して左右方向にスライドさせると、テールシールが既設のシールドトンネルの外周面から離れてしまい、シールドトンネルの外周面とシールドフレーム73の内周面との間に隙間が生じ、該隙間から土砂等がシールド掘進機の内部に侵入してしまうという問題があった。
また、トンネルの口径を縮小する場合についても同様に、口径を縮小したトンネルを構築した際にテールシールがトンネルの外周面から離れてしまい、シールドトンネルの外周面とシールドフレーム73の内周面との間に隙間が生じ、該隙間から土砂等がシールド掘進機の内部に侵入してしまうという問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたものであり、拡幅機能を備えたシールド掘進機による拡幅・縮小施工の際に土砂等が機内に侵入することのないトンネル構築用拡縮セグメントを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るトンネル構築用拡縮セグメントは、掘削口拡大又は縮小方向に拡幅または縮幅する機構を備えたシールド掘進機によってシールドトンネルを構築する際に用いられ、筒体と、該筒体内に出し入れ可能に収納された挿入体とからなるものであって、前記挿入体は当該シールド掘進機の側方シールフレーム体の拡幅方向又は縮幅方向の移動に追従して移動可能である
【0008】
また、筒体内面と挿入体の外周面との間に止水手段を設けたものである。
【0009】
さらに、筒体の前後方向の端面に、前後に配置されるセグメントとの間の隙間を塞ぐ止水手段を設けたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る拡縮セグメントを説明する説明図であり、シールド掘進機70の後胴部を後方から見た状態を示している。シールド掘進機の構成は基本的には従来例で示したものと同様であり、従来技術に相当する部分には同一の符号を付してある。ただ、この実施の形態のものは後胴部の形状が矩形である点が従来例のものと異なる。
まず、図1に基づいてシールド掘進機の構成を概説すると、73bは中央シールドフレーム、73aは中央シールドフレーム73bの両側に拡縮可能に設置された側方シールドフレーム、79は中央シールドフレーム73b及び側方シールドフレーム73aの内面側に後胴部の全周に亘って設置されたテールシールである。
【0011】
1,3は後胴部の左右に配置された拡縮セグメント、5は後胴部の上下に配置された通常のセグメントである。拡縮セグメント1,3は同一の構成であるので図2に片方の拡縮セグメント1を斜視図で示し、以下図2に基づいて拡縮セグメント1の構成を説明する。拡縮セグメント1は筒体1aの内側に挿入体1bが出入可能に挿入された構造である。挿入体1bの外端側の垂直辺には段部1cが形成されており、段部1cの外面は筒体1aの外周面と面一になっている。
【0012】
挿入体1b及び筒体1aの外周部には前後に配置されるセグメントとの連結の際に用いる複数のボルト穴1d,1eが設けられている。ここで、拡縮セグメント1の機能を説明すると、挿入体1bは、前述した通り、筒体1aに対して出し入れ可能になっており、挿入体1bを外方に突出させると、図3に示す状態となる。
【0013】
図4は挿入体1bを筒体1aから抜き出した状態を示しているが、同図に示すように挿入体1bの内端側の全周にはシールパッキン7が設置されており、このシールパッキン7によって筒体1aとの隙間が塞がれている。また、挿入体1bの内端側のシールパッキン7よりさらに内側には複数のボルト穴1fが設けられている。このボルト穴1fは、挿入体1bを外方に出した図3に示す位置で筒体1aに設けたボルト穴1eと一致する位置に設けられており、これらのボルト穴1e,1fを一致させた状態でボルトを貫通させることにより、挿入体1bを突出させた位置で固定させることができる。
【0014】
図5は拡幅機能を有するシールド掘進機70を用いてシールドトンネル10を構築している状態を示した斜視図である。また、図6及び図7は図5におけるA−A線の位置におけるトンネルの水平断面図であり、図6が拡幅前の状態を示し、図7が拡幅後の状態を示している。以下、図5乃至図7に基づいて拡縮セグメントを用いてトンネル径を拡幅する際の動作を説明する。
【0015】
図6において、11は通常のセグメント、13は厚みが拡縮セグメント1と同じ厚形セグメント、1は拡縮セグメントである。拡幅施工の前段階の作業としては、通常のセグメント11の次に厚形セグメント13を設置し、その次に拡縮セグメント1を縮幅状態のまま設置し、拡縮セグメント1と既設の厚形セグメント13とをボルト15によって固定する。この状態が図6に示す状態である。
【0016】
次に、図7に示すように、シールド掘進機70の側方シールドフレーム体73aを拡幅方向に移動させると共に、この移動に追従させるように拡縮セグメント1の挿入体1bを外方に押し出す。このように挿入体1bを側方シールドフレーム体73aの移動に追従させることにより、側方シールドフレーム体73aの内周面に設置したテールシールは拡縮セグメント1の外周面との接触を保つことができ、テールシールと拡縮セグメント1の外周面との間に隙間が生ずることがなく、土砂等がシールド掘進機に浸入することもない。しかも、拡縮セグメント1は既設のセグメント13とボルト15によって連結されているので、挿入体1bの移動に際して両者間で相対位置の変化はなく、両者間から地下水等がトンネル内に浸入することもない。図8に側方シールドフレーム体73a及び挿入体1bの移動後の状態を示した。
なお、挿入体1bを外方へ押し出すには、挿入体1bの内側にスライドジャッキを設置して、該スライドジャッキを伸長させることによって、挿入体1bを外方へ押し出すようにする。
【0017】
側方シールドフレーム体73a及び挿入体1bの移動が終了した後に、挿入体1bを突出させた状態で、既設セグメント13と拡縮セグメント1をボルト17によって連結する。
次に、拡縮セグメント1の前方に厚形セグメント19を設置して、該厚形セグメント19と拡縮セグメント1をボルト21,23によって連結し、以後は通常のセグメントを組み立ててゆく。
なお、トンネルを縮幅施工する際には、上記の拡幅施工の場合と全く逆の工程を実行すればよい。
【0018】
以上のように、この実施の形態の拡縮セグメントを利用することによって、土砂等が機内側へ浸入することなく、トンネルの拡縮を行うことができる。
なお、図9に示すように、上下に配置されたセグメント5及び拡縮セグメント1の前後方向の端面にそれぞれシールパッキン27,25を連続するように設置しておくことによって、これらセグメント5及び拡縮セグメント1とこれらの前後に配置されるセグメントとの間を止水することができる。
【0019】
なお、上記の実施の形態においては、トンネルの側方に1個の拡縮セグメント1を配置する例を示したが、トンネル径が大きい場合には拡縮セグメント1を上下二段に積み重ねて使用することもできる。逆に、拡縮セグメント1を小形にすることによってハンドリングに優れたものにすることもできる。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、拡縮セグメントを、筒体と、該筒体内に出し入れ可能に収納された挿入体とから構成することにより、該拡縮セグメントをシールド掘進機の後胴部内に設置して、後胴部の拡幅に追従させて挿入体を突出させることができ、後胴部の内周面に設置されるテールシールと挿入体との接触を確保したまま拡幅動作が可能となり、拡幅時に機内側に土砂等が浸入することがない。
【0021】
また、筒体内面と挿入体の外周面との間に止水手段を設けることにより、筒体内面と挿入体の外周面の間から地下水等が浸入するのを防止できる。
【0022】
さらに、筒体の前後方向の端面に、前後に配置されるセグメントとの間の隙間を塞ぐ止水手段を設けることにより、前後に配置されるセグメントとの止水を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の説明図である。
【図2】 本発明の実施の形態の縮幅状態の斜視図である。
【図3】 本発明の実施の形態の拡幅状態の斜視図である。
【図4】 本発明の実施の形態の一部分の斜視図である。
【図5】 本発明の実施の形態の動作を説明する図である。
【図6】 本発明の実施の形態に係る拡縮セグメントを用いた拡幅動作の説明図である。
【図7】 本発明の実施の形態に係る拡縮セグメントを用いた拡幅動作の説明図である。
【図8】 本発明の実施の形態の説明図である。
【図9】 本発明の実施の形態の拡縮セグメントの説明図である。
【図10】 従来の多連型シールド掘進機の斜視図である。
【符号の説明】
1,3 拡縮セグメント
1a,3a 筒体
1b,3b 挿入体
7 右掘削ブロック

Claims (3)

  1. 掘削口拡大又は縮小方向に拡幅または縮幅する機構を備えたシールド掘進機によってシールドトンネルを構築する際に用いられ、筒体と、該筒体内に出し入れ可能に収納された挿入体とからなるトンネル構築用拡縮セグメントであって、前記挿入体は当該シールド掘進機の側方シールフレーム体の拡幅方向又は縮幅方向の移動に追従して移動可能であることを特徴とするトンネル構築用拡縮セグメント。
  2. 前記筒体内面と前記挿入体の外周面との間に止水手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のトンネル構築用拡縮セグメント。
  3. 前記筒体の前後方向の端面に、前後に配置されるセグメントとの間の隙間を塞ぐ止水手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のトンネル構築用拡縮セグメント。
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