JP3870668B2 - パイプ連結金具 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセットして配備された2本のパイプを接続するパイプ連結金具の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフセットして配備される2本のパイプを接続するためのパイプ連結金具として、既に様々なものが提案されている。その構造を大別すると、図17(a)に示されるようなパイプ連結金具と図18(a)に示されるようなパイプ連結金具とに分けることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図17(a)は、パイプを通す貫通孔102を備えた連結金具本体103の一端に半円弧状のパイプ支持部104を形成すると共に、パイプ支持部104の下端部にピン105を介して半円弧状のパイプ把持部材106を回転自在に取り付け、このパイプ把持部材106の先端部をパイプ支持部104の上端部に固定する構造のパイプ連結金具101について示した斜視図である。
【0004】
また、図17(b)は、このパイプ連結金具101においてパイプ把持部材106の先端部とパイプ支持部104とを固定するための構造について簡略化して示した部分断面図であり、図17(c)は、パイプ連結金具101からその構成要素であるツマミ付ナット109を取り外した状態で図17(b)に相当する部分を示した平面図である。
【0005】
図17(b)および図17(c)に示されるように、パイプ支持部104の上端部には、パイプ把持部材106の先端部を嵌合するための溝状の欠切部107が形成されており、この欠切部107を表裏に貫通するようにしてパイプ支持部104の上端部にピン108が取り付けられている。更に、ピン108の中央部には、パイプ把持部材106の先端部を固定するためのツマミ付ナット109を備えた雄ネジ110の基部が直交するかたちで固着されている。
【0006】
また、パイプ把持部材106の先端部には、これらのピン108,雄ネジ110との干渉を避けるための横溝111と縦溝112とが刻設され、パイプ把持部材106の先端部がピン108,雄ネジ110と干渉することなく欠切部107に突入できるようになっている。
【0007】
パイプ支持部104に対するパイプ把持部材106の固定は、図17(a)および図17(b)に示されるように、パイプ把持部材106の先端部をパイプ支持部104の欠切部107に突入させた状態でツマミ付ナット109を締め付け、ツマミ付ナット109の下面でパイプ把持部材106の先端部の上面、つまり、縦溝112の外周部を強く押さえて固定することによって達成される。この係合を解除してパイプ把持部材106を外側に回転させる場合には、単に、ツマミ付ナット109を緩めるだけでよく、ツマミ付ナット109自体を雄ネジ110から取り外してしまう必要はない。
【0008】
このような構造を有するパイプ連結金具101を使用してオフセット配備されたパイプを接続する場合には、予め、パイプ支持部104の上端部に対するパイプ把持部材106の係合を解除し、パイプ把持部材106を開いておくようにする。
【0009】
そして、まず、オフセットして配備された2本のパイプのうちの何れか一方を連結金具本体103の貫通孔102に通してから、パイプ連結金具101をこの一方のパイプに沿って必要な位置にまでずらせ、所望の接続位置に達したところで、パイプ支持部104とパイプ把持部材106とによって他方のパイプを挟むようにしてパイプ把持部材106を閉じ、前述したようにしてパイプ把持部材106の先端部をパイプ支持部104に固定することになる。
【0010】
従って、このような構造でパイプ同士の接続作業を行う場合には、予め、接続対象となるパイプのうちの何れか一方を必ず貫通孔102に通しておかなければならず、パイプ中央部での接続作業が困難となる問題がある。
また、パイプの端部にキャップ状のエンドピース等が設けられている場合には、貫通孔102に対するパイプの挿入に支障をきたすので、パイプ同士の接続作業自体が不可能となってしまう。
【0011】
一方、図18(a)は、半円弧状のパイプ支持部114,114を並列して設けた対称形の連結金具本体115,115を重合させ、雄ネジ116およびツマミ付ナット117でパイプに共締めすることによって、2本のパイプを接続するようにしたパイプ連結金具113について示す斜視図、また、図18(b)はその断面図である。
【0012】
このような構造のパイプ連結金具113を適用した場合、パイプ中央部での接続作業もキャップ状のエンドピース等を備えたパイプの接続作業も実施することが可能である。
【0013】
しかし、安全上の観点、つまり、ツマミ付ナット117の脱着時間を短くして足場の悪い状況下で作業する作業者の安全を確保するといった目的から、雄ネジ116とツマミ付ナット117の螺合部の長さが最低限度に抑えられており、この結果、連結金具本体115,115を大きく離間させてパイプ中央部での接続作業を行うような場合には、一旦、完全にツマミ付ナット117を取り外してしまわなければならないといった問題が生じる。
【0014】
このようにして連結金具本体115,115を完全に分離させてしまうと、連結金具本体115,115をパイプに仮り止めすることができず、雄ネジ116やツマミ付ナット117、また、場合によっては、連結金具本体115,115自体を取り落としてしまうといった可能性もあり、高所で作業を行うような場合、落下事故の危険等が懸念される。
【0015】
また、このように作業が煩雑化する結果、雄ネジ116とツマミ付ナット117との螺合部の長さを短縮しているとは言え、実際に作業時間が短縮されるといった保証はなく、作業者自身の安全向上に役立つ構造であるかどうかにも疑問が残る。
【0016】
【発明の目的】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消し、パイプのどのような位置においても容易に接続作業を行うことができ、しかも、全体が一体化していて作業中にパーツを取り落とすような心配もなく、短時間で脱着作業を行うことのできるパイプ連結金具を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パイプを把持するための二つの円弧状の把持部材と、これらの把持部材を装着する把持具本体とから成るパイプ連結金具であり、前記目的を達成するため、特に、把持具本体の両側に前記把持部材の外周部を周方向摺動自在に保持するための円弧溝を有するパイプ把持部を配備し、前記円弧溝の側壁には把持部材に沿って延びる円弧状の長穴を穿設すると共に、前記把持部材の周方向一端部の側面に雌ネジを刻設し、前記円弧状の長穴を介して円弧溝の側壁を貫通する雄ネジを前記雌ネジに螺合して二つの円弧状の把持部材を把持具本体に固定したことを特徴とする構成を有する。
【0018】
このような構成によれば、パイプを把持するための円弧状の把持部材は、把持具本体の両側の円弧溝に重合した状態でコンパクトに収納される。
このパイプ連結金具を用いてオフセット配備された2本のパイプを接続する際には、まず、把持具本体の両側に円弧状の把持部材を格納した状態のまま、2本のパイプの各々の対向面に把持具本体の両側のパイプ把持部を押し当てるようにして把持具本体を挿入する。このとき円弧状の把持部材は円弧溝に重合して格納されているため、把持具本体の両側は完全な開放状態となっており、パイプのどのような位置においても容易に把持具本体を挿入することができる。
そして、円弧溝の側壁に穿設された円弧状の長穴を貫通して把持部材の雌ネジと螺合した雄ネジを緩め、把持具本体の両側に格納されている円弧状の把持部材の各々を夫々の円弧溝に沿って周方向に摺動させ、把持具本体のパイプ把持部と円弧状の把持部材とによって各々のパイプを包み込むようにしてパイプを保持する。
最終的に、把持部材の雌ネジと螺合している雄ネジを強く締め付けることによって把持部材を把持具本体のパイプ把持部に確実に固定する。
把持部材の各々は、把持部材の雌ネジと螺合した雄ネジと円弧状の長穴との嵌合部、および、把持部材の外周と円弧溝の端部内周との接触面によって支承されるため、径方向外側に向けて作用する力、つまり、把持部材を押し開こうとする力に対して強い耐久力を発揮することができる。
また、パイプ連結金具を構成する把持部材や雄ネジは全て把持具本体と一体に取り付けられているため、作業中に部品を取り落とすといった心配もない。
更に、把持部材の各々は、把持部材の端部側面に設けられた雌ネジと螺合した雄ネジと円弧状の長穴との嵌合、および、把持部材の外周と円弧溝の端部内周との接触によって支承される構造であるため、雄ネジを締め付ける前の段階では、把持部材の端部、つまり、雌ネジの刻設位置を支点として径方向内側への回転が許容される。
従って、パイプ連結金具の取り付け対象となるパイプの径が細いような場合には、把持部材を円弧溝に沿って適当な距離だけ周方向に摺動させた状態で、前述のネジ止め位置を支点として把持部材を内側に回転させることにより、小径のパイプを的確に把持することができる。この場合、把持部材の外周と円弧溝の端部内周との接触による支承効果は得られないので、把持部材の雌ネジと螺合している雄ネジを強く締め付けることによって把持部材の開きを防止することになる。
【0019】
また、前記把持具本体は、把持部材の外周部を周方向摺動自在に保持するための円弧溝を有するパイプ把持部を一側に配備した一対の把持具本体構成要素を回転自在に接続して形成することができ、その接続部に、把持具本体構成要素同士の成す捩れ角を所望する値に設定する回転角設定機構を配備した構成とすることが可能である。
【0020】
このような構成によれば、一対の把持具本体構成要素によって形成される把持具本体の両側に位置するパイプ把持部の成す捩れ角を任意に設定することができるので、斜交して配備されたパイプ同士も的確に接続することができるようになる。
【0021】
更に、具体的な構成として、一対の把持具本体構成要素間に生じる回転を許容して一対の把持具本体構成要素を相互に接近する方向に付勢するスプリングと、これら一対の把持具本体構成要素の接続面の各々に形成された凹凸嵌合部とから成る回転角設定機構を提案する。
【0022】
この場合、パイプ把持部の成す捩れ角は把持具本体構成要素の接続面の各々に形成された凹凸嵌合部によって保持される。捩れ角を変更する際には、スプリングの付勢力に抗して把持具本体構成要素同士を相互に離間させて各々の接続面を引き離し、把持具本体構成要素同士を相互に回転させて所望する捩れ角を得た後、改めてスプリングの力で接続面を当接させ、当該回転位置において凹凸嵌合を得るようにする。
【0023】
また、本発明は、パイプを把持するための二つの円弧状の把持部材と、これらの把持部材を装着する把持具本体とから成るパイプ連結金具において、前記把持具本体の両側に前記把持部材の各々と対向する円弧状のパイプ把持部を形成すると共に、この把持具本体と前記把持部材との間に、前記パイプ把持部に対する前記把持部材の接離移動を案内するためのガイド機構と、前記把持部材を任意の接離移動位置で固定するための把持部材固定機構とを一体的に配備したことを特徴とする構成により、前記と同様の目的を達成した。
【0024】
このような構成を有するパイプ連結金具によってオフセット配備された2本のパイプを接続する際には、まず、ガイド機構の案内に沿ってパイプ把持部から把持部材を離間させ、パイプ把持部と把持部材との間に間隙を形成させる。そして、この間隙を利用して、パイプ連結金具の側方から各々のパイプを挿入する。前記と同様、把持具本体の両側は完全な開放状態となるため、パイプのどのような位置においても容易にパイプ連結金具を挿入することが可能である。
そして、把持部材を再びパイプ把持部に接近させて円弧状のパイプ把持部と把持部材とによってパイプを把持し、把持部材固定機構によってパイプ把持部に対する把持部材の位置を固定し、パイプ把持部と把持部材とによるパイプの把持状態を確保する。
前記と同様、パイプ連結金具を構成する把持部材やガイド機構および把持部材固定機構等の全てが把持具本体と一体に取り付けられているため、作業中に部品を取り落とすといった心配がない。
【0025】
ここで、前記ガイド機構は、パイプ把持部の各々に沿って把持具本体に形成された円弧溝と、各々の把持部材の周方向一端部の側面に設けられた突起と、把持部材の各々に穿設された円弧状の長穴と、これら円弧状の長穴を貫通して把持部材の各々を把持具本体の中央部に共締めする雄ネジとで構成することができ、また、前記把持部材固定機構は、把持部材の各々を把持具本体の中央部に共締めする雄ネジによって構成することができる。
【0026】
このような構成によれば、各々の把持部材の周方向一端部の側面に設けられた突起と他方のパイプ把持部に沿って把持具本体に形成された円弧溝との摺嵌作用、および、各々の把持部材に穿設された円弧状の長穴と把持具本体中央部の雄ネジとの摺嵌作用によってパイプ把持部に対する把持部材の接離移動が案内されることになる。
そして、把持部材を把持具本体の中央部に共締めする雄ネジによって構成される把持部材固定機構を強く締め付けることにより、把持具本体に対する把持部材の移動が禁止され、把持部材が任意の移動位置で固定される。
把持部材を押し開こうとする力の多くは、把持具本体中央部の雄ネジを中心として把持部材を回転させる方向に作用するが、この力は、把持部材の周方向一端部に設けられた突起と把持具本体に設けられた円弧溝の側壁との当接によって受け止められるので、把持部材が不用意に回転して開くことはない。つまり、前記と同様、把持部材を押し開こうとする力に対して強い耐久力を得ることができる。
【0027】
また、把持具本体の中央部に円弧溝の端部と連絡する切欠部を形成することにより、パイプ連結金具の取り付けの自由度を更に向上させることが可能である。
【0028】
このような構成によれば、把持部材を把持具本体から限界位置まで離間させることによって、把持部材の周方向一端部に設けられた突起を円弧溝から離脱させて切欠部に退避させることが可能となる。突起を円弧溝から離脱させることにより突起と円弧溝の側壁との干渉が解消されるので、把持部材は把持具本体の雄ネジを中心として自由に回転できる状態となる。この結果、把持部材を回転させて把持具本体のパイプ把持部の対向位置から完全に退避させた状態で、オフセット配備された2本のパイプの側方からパイプ連結金具を取り付けることが可能となり、取り付けの自由度が一層向上することになる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の幾つかについて詳細に説明する。図1は、本発明を適用した一実施形態のパイプ連結金具1の構成の概略を示す斜視図である。
【0030】
このパイプ連結金具1は、図1に示されるように、概略において、パイプを把持するための二つの円弧状の把持部材2a,2bと把持具本体3および雄ネジ4a,4bによって構成される。
【0031】
このうち、把持具本体3は、一対の把持具本体構成要素3a,3bを接続して形成され、把持具本体構成要素3a,3bの一側には、各々、把持部材2a,2bの外周部を周方向摺動自在に保持するための円弧溝5a,5bを備えたパイプ把持部6a,6bが一体に設けられている。つまり、一体化された把持具本体3は、その両側にパイプ把持部6a,6bを備える。
【0032】
更に、パイプ把持部6a,6bに設けられた円弧溝5a,5bの側壁には、把持部材2a,2bに沿って延びる円弧状の長穴7a,7bが穿設して配備され、把持部材2a,2bの周方向下端部の側面には、図6の断面図に示されるように、雄ネジ4a,4bを螺合するための雌ネジ8a,8bが螺刻されている。把持部材2a,2bは円弧溝5a,5bに設けられた各々の長穴7a,7bを貫通した雄ネジ4a,4bによって円弧溝5a,5bに対して周方向摺動自在に取り付けられる。なお、長穴7a,7bを把持具本体3の表裏に設けて両側から把持部材2a,2bを固定するようにしてもよい。
【0033】
把持具本体3(把持具本体構成要素3a,3b)および把持部材2a,2bは、アルミニウム合金等を利用した押し出し加工等によって予め長尺のものを作成しておき、これを押し出し方向と直交する面で切断することにより大量生産が可能である。円弧溝5a,5bや長穴7a,7bの部分に関しては機械加工を利用した追加工によって形成する。
【0034】
ここで、図6を参照して、把持具本体構成要素3a,3bの接続部に設けられた回転角設定機構9の構造について説明する。
【0035】
この回転角設定機構9の主要部は、把持具本体構成要素3a,3b間に生じる回転を許容して把持具本体構成要素3a,3bを相互に接近する方向に付勢するスプリング10と、把持具本体構成要素3a,3bの接続面の各々に形成された凹凸嵌合部11a,11bとによって構成される。
【0036】
このうち、スプリング10は、把持具本体構成要素3a,3bの中央部を貫通して穿設された段付穴12a,12bの大径部に内嵌されたリテーナ13a,13bの有するフック14a,14bに、自然長よりも伸ばされた状態、つまり、圧縮方向に付勢された状態で両端を係止して取り付けられ、把持具本体構成要素3a,3bを相互に接近する方向に付勢している。
【0037】
また、リテーナ13a,13bは段付穴12a,12bに対して回転自在であり、スプリング10に不用意な捩れを生じることなく、把持具本体構成要素3a,3b間の回転を許容する。リテーナ13a,13bの形状の詳細を図8(a)に示す。この部品はプレス等を利用した打ち抜きと曲げ加工の組み合わせによって容易に製造可能である。
【0038】
一方、把持具本体構成要素3a,3bの接続面の各々に形成する凹凸嵌合部11a,11bの形状としては、例えば、図8(b)に示すように、段付穴12a,12bの周りに90°刻みで形成された4つの矩形状突起とこれに対応する4つの矩形状の凹部を利用することが可能である。一例として、把持具本体構成要素3a,3bの間に90°の捩れ角を設定したときの状態を図3に示す。このような構造は、例えば、図19に示されるような足場16の組み立てにおいて、互いに直交して配備されたパイプ18,23等を固定する際に便利である。
【0039】
また、図8(c)に示すように、段付穴12a,12bの周りに放射線状に設けられた多数の突条を凹凸嵌合部11a,11bとして利用してもよく、この場合は、把持具本体構成要素3a,3b間に実質的に無段階の捩れ角を設定することが可能となる。従って、例えば、図19に示されるように、縦横に固定された多数のパイプによって形成される足場16に斜交いとなるパイプ17を掛け渡し、このパイプ17に対して斜交するパイプ18,19,20等にパイプ17を固定する際に便利である。
【0040】
図7はスプリング10の取り付け構造の変形例について示した断面図である。この場合、把持具本体構成要素3a,3bの接続は、実質的に、把持具本体構成要素3a,3bの段付穴15a,15bに通されたピン21と、その先端に取り付けられたCリング等の抜け止め防止部材22によって達成される。スプリング10は前記とは逆に自然長よりも縮められた状態、つまり、伸長方向に付勢された状態でピン21の頭部と段付穴15aの段差部との間に介装されており、ピン21の頭部を段付穴15aの段差部から離間させる方向に付勢することによって、前記と同様、把持具本体構成要素3a,3bを相互に接近する方向に付勢している。
【0041】
このような構造によれば、把持具本体構成要素3a,3bとの接続がピン21と抜け止め防止部材22によって達成されるため、万一、スプリング10が座屈したり破断したような場合であっても、把持具本体構成要素3a,3bの接続状態が確保されるといったメリットがある。
【0042】
次に、パイプ連結金具1を利用したパイプの接続作業について簡単に説明する。パイプ連結金具1は、通常、把持具本体構成要素3a,3b間の捩れをなくして把持部材2a,2bを把持具本体3の両側の円弧溝5a,5bに格納した図1のような状態で、コンパクトに収納されている。
【0043】
そこで、このパイプ連結金具1を用いてオフセット配備された2本のパイプを接続する際には、まず、接続すべき2本のパイプの斜交状態を確認して把持具本体構成要素3a,3b間の捩れ角を調整する。例えば、図19に示されるようなパイプ18とパイプ23を接続する場合にはパイプ間に90°の捩れが存在するので、把持具本体構成要素3a,3b間にも90°の捩れを設定することになる。ここで、図6に示されるような回転角度設定機構9を適用した場合には90°刻みの捩れ角の設定が可能であり、また、図7に示されるような回転角度設定機構9を適用した場合には、事実上、無段階の角度設定が可能となる。
【0044】
次いで、把持具本体3の両側に把持部材2a,2bを格納した状態のまま、2本のパイプの各々の対向面に把持具本体3の両側のパイプ把持部6a,6bを押し当てるようにして把持具本体3を挿入する。把持部材2a,2bは円弧溝5a,5bに重合して格納されているため、把持具本体3の両側は完全な開放状態となっており、パイプの端部あるいは中央部等のどのような位置においても容易に把持具本体3を挿入することができる。無論、パイプの端部に太目のエンドピース等が装着されているような場合であっても何ら支障はない。
【0045】
次に、把持部材2a,2bの雌ネジ8a,8bと螺合した雄ネジ4a,4bを緩め、把持具本体3の両側に格納されている円弧状の把持部材2a,2bの各々を夫々の円弧溝5a,5bに沿って周方向に摺動させ、把持具本体3のパイプ把持部6a,6bと円弧状の把持部材2a,2bとによって各々のパイプを包み込むようにして保持する。
【0046】
この際、パイプ把持部6a,6bおよび把持部材2a,2bの円弧の曲率とパイプの外径とが概ね一致していれば、図2に示すように、円弧状の把持部材2a,2bを円弧溝5a,5bの曲率に沿って限界位置まで摺動させ、2本のパイプを完全に包み込むように把持することが望ましい。この場合、把持部材2a,2bの各々は、把持部材2a,2bに螺合した雄ネジ4a,4bと円弧状の長穴7a,7bとの嵌合部、および、把持部材2a,2bの外周と円弧溝5a,5bの端部内周との接触面により径方向外側に向かう揺動を禁止された状態で支承されることになるので、径方向外側に向けて作用する力、つまり、把持部材2a,2bを押し開こうとする力に対して強い耐久力を発揮することができる。
【0047】
また、もし、パイプ把持部6a,6bおよび把持部材2a,2bの円弧の曲率に比べてパイプの外径が著しく小さいような場合には、図4に示すように、把持部材2a,2bを円弧溝5a,5bの曲率に沿って限界位置にまで摺動させた状態で雄ネジ4a,4bを支点として把持部材2a,2bを径方向内側に揺動させるか、あるいは、図5に示すように、把持部材2a,2bを円弧溝5a,5bの曲率に沿って途中まで摺動させた状態で止め、雄ネジ4a,4bを支点として把持部材2a,2bを径方向内側に揺動させることによって、細めのパイプを的確に把持することができる。
【0048】
なお、図5に示した把持方法を適用した場合には、パイプと把持部材2a,2bとの接点から雄ネジ4a,4bに至る距離、つまり、雄ネジ4a,4bを支点とする作用点までの距離を図4の場合と比べて短めにすることができるので、雄ネジ4a,4bの周りに作用するモーメントを軽減することが可能であり、把持部材2a,2bの開き防止の点で有利である。
【0049】
何れの場合も、最終的には、雄ネジ4a,4bを強く締め付けて把持部材2a,2bを円弧溝5a,5bの側壁に固定することで把持部材2a,2bの移動や揺動を防止してパイプを把持することになる。
【0050】
パイプ連結金具1を構成する把持部材2a,2bや雄ネジ4a,4bは全て把持具本体3と一体に取り付けられているため、作業中に部品を取り落とすといった心配は全くない。
【0051】
円弧溝5a,5bと把持部材2a,2bとの嵌合部の形状に関しては、例えば、図9(a)〜図9(d)に示されるように様々な形状のものを適用することが可能である。このうち、図4あるいは図5に示されるようにして雄ネジ4a,4bを支点とする把持部材2a,2bの揺動が許容されるのは、図9(a)および図9(b)のように、嵌合部にアンダーカットを生じない構造のものである。
【0052】
図9(c)および図9(d)に示されるような構造のものは、専ら、パイプ把持部6a,6bおよび把持部材2a,2bの円弧の曲率とパイプの外径とが一致しているような場合に適し、剛性の点で優れる。また、図9(c)および図9(d)のようにアンダーカットのある構造の場合は円弧溝5a,5bの加工が複雑となるが、この種の問題は、例えば、図10(a)および図10(b)に示されるように、把持具本体構成要素3a,3bを2分割構成とすることにより容易に解消され得る。いずれの場合においても、円弧溝5a,5bおよび雄ネジ4a,4bは、把持具本体3の表裏両側に配備するように構成することが可能である。
【0053】
次に、パイプを把持するための二つの円弧状の把持部材と把持具本体とによって構成されるパイプ連結金具の幾つかの変形例を図11〜図14を参照して簡単に説明する。
【0054】
図11に示されるパイプ連結金具24も図1で示した実施形態と同様、パイプを把持するための二つの円弧状の把持部材2a,2bと把持具本体3および雄ネジ4a,4bとによって構成されるが、把持具本体3が一体構造である点、および、円弧溝5a,5bを備えたパイプ把持部6a,6bが横方向に並列配備されている点で図1の実施形態のものと相違する。その断面構造を図13に示す。
【0055】
このような構造を有するパイプ連結金具24の場合、その使用目的は、専ら、平行配備された2本のパイプの接続に制限される。また、接続作業に際しては、平行配備された2本のパイプの側方から図11の状態のパイプ連結金具24を押し当て、図12に示されるように、把持部材2a,2bを円弧溝5a,5bに沿って周方向に移動させることで2本のパイプを把持することになる。
【0056】
図1の実施形態と同様、細いパイプを把持する場合には、把持部材2a,2bを円弧溝5a,5bに沿って適当な距離だけ周方向に摺動させた状態で、雄ネジ4a,4bを支点として把持部材2a,2bを内側に回転させることが可能である。
【0057】
更に、図14に示されるパイプ連結金具25のように、把持部材2a,2bを円弧溝5a,5bに沿って内側から外側に向けて摺動させて突き出す構造とすることも可能である。このような構成によれば、把持部材2a,2bが2本のパイプを外側から内側に向けて巻回するかたちとなるので、パイプ連結金具25によって把持された2本のパイプが不用意に外側に離間するのを確実に防止することができるといったメリットがある。
【0058】
次に、把持部材の接離移動を案内するためのガイド機構と把持部材を任意位置で固定するための把持部材固定機構とを備えたパイプ連結金具について説明する。
【0059】
図15(a)はガイド機構と把持部材固定機構とを備えたパイプ連結金具26の構成を示す斜視図であり、この実施形態のパイプ連結金具26は、図15(a)に示される通り、概略において、円弧状の把持部材27a,27bと把持具本体28によって構成される。
【0060】
把持具本体28の両側には把持部材27a,27bの各々と対向する円弧状のパイプ把持部29a,29bが形成されている。更に、把持具本体28の表面側には、円弧状のパイプ把持部29bに沿って把持部材27aのための円弧溝30aが刻設される一方、把持具本体28の裏面側には、図15(b)に示されるように、円弧状のパイプ把持部29aに沿って把持部材27bのための円弧溝30bが刻設されている。
【0061】
円弧溝30a,30bの上端部には、これらの円弧溝30a,30bに連絡する一定の面積を持った切欠部36が、略矩形状の貫通穴によって形成されている。
【0062】
更に、把持具本体28の中央部上方には、把持部材27a,27bを把持具本体28に共締めして取り付けるための雄ネジ33を通すための貫通孔34が図15(b)に示されるようにして穿設されている。
【0063】
また、円弧状の把持部材27a,27bの周方向の下端部には、前述の円弧溝30a,30bに摺嵌する突起31a,31bが突設され、更に、把持部材27a,27bの各々に、円弧状の長穴32a,32bが穿設されている。
【0064】
そして、把持部材27a,27bの各々は、夫々の突起31a,31bを円弧溝30a,30bに摺嵌させた状態で把持具本体28の表裏に配置される。これらの把持部材27a,27bは、各々の長穴32a,32bと把持具本体28の貫通孔34を貫通して把持具本体28の裏面側で図示しないナットに螺合する雄ネジ33により、把持具本体28に一体的に取り付けられる。
【0065】
このうち、把持部材27a,27bの接離移動を案内するためのガイド機構35は、把持具本体28の円弧溝30a,30bと雄ネジ33、および、把持部材27a,27bの突起31a,31bと円弧状の長穴32a,32bによって構成され、また、把持部材27a,27bを任意位置で固定するための把持部材固定機構は雄ネジ33によって構成される。
【0066】
パイプ連結金具26を利用して平行にオフセット配備されたパイプを接続する場合には、まず、把持部材27a,27bを固定している雄ネジ33を緩める。そして、把持部材27a,27bを手で持って、可能な限り把持具本体28のパイプ把持部29a,29bから離間する方向、つまり、図15において上方に移動させる。
【0067】
このとき、把持部材27a,27bの移動軌跡は、円弧溝30a,30bと突起31a,31bとの摺接作用、および、長穴32a,32bと雄ネジ33との摺接作用によって案内されるので、把持部材27aは図15において右上方に向けて、また、把持部材27bは図15において左上方に向けて移動することになる。
【0068】
この結果、パイプ連結金具26の両側部、つまり、パイプ把持部29aと把持部材27aとの間、および、パイプ把持部29bと把持部材27bとの間に大きな間隙が生じ、パイプ連結金具26の側方から各々のパイプを挿入することが可能となる。パイプ連結金具26の両側は完全な開放状態となるため、パイプのどのような位置においても容易にパイプ連結金具26を挿入することができる。
【0069】
しかし、パイプのオフセット間隔が狭くパイプ間にパイプ連結金具26を挿入することが困難な場合や、あるいは、取り付け対象となるパイプの径が太くてパイプ連結金具26の両側の間隙からパイプを通すことが困難な場合もある。
【0070】
そのような場合は、把持部材27a,27bを限界位置まで引き出して突起31a,31bを円弧溝30a,30bから切欠部36に逃がし、雄ネジ33を中心とする把持部材27a,27bの揺動動作を許容した状態で、把持部材27a,27bの各々を把持具本体28に対して略90°内側に回転させ、パイプ連結金具26の全体形状を略T字型にして、把持部材27a,27bの先端を2本のパイプ間に突入させることも可能である。この場合は、パイプ連結金具26のパイプ把持部29a,29bを各々のパイプの側面に押し当てた段階で把持部材27a,27bを通常の角度に戻し、再び、突起31a,31bを円弧溝30a,30bに摺嵌させることになる。
【0071】
何れの場合も、最終的には、把持部材27a,27bを再びパイプ把持部29a,29bに接近させて円弧状のパイプ把持部29a,29bと円弧状の把持部材27a,27bとによって各々のパイプを把持し、把持部材固定機構を構成する雄ネジ33を締め付けて把持具本体28に対する把持部材27a,27bの位置を固定し、パイプ把持部29a,29bと把持部材27a,27bとによるパイプの把持状態を確保する。
【0072】
パイプ連結金具26を構成する把持部材27a,27bやガイド機構となる突起31a,31bおよび把持部材固定機構となる雄ネジ33等は全て把持具本体28と一体に取り付けられているため、作業中に部品を取り落とすといった心配がない。
【0073】
また、把持部材27a,27bを押し開こうとする力の多くは、雄ネジ33を中心として把持部材27a,27bを回転させる方向に作用するが、この力は、把持部材27a,27bの周方向下端部に設けられた突起31a,31bと把持具本体28に設けられた円弧溝30a,30bの側壁との当接によって受け止められるので、把持部材27a,27bが不用意に回転して開くことはない。つまり、把持部材27a,27bを押し開こうとする力に対して強い耐久力を得ることができる。
【0074】
図15の実施形態では把持部材27a,27bを把持具本体28の表裏に分離して配備したが、把持部材27a,27bや円弧溝30a,30bを把持具本体28の同一面側に配備することも可能である。
【0075】
次に、ガイド機構と把持部材固定機構とを備えたパイプ連結金具の変形例について簡単に説明する。
【0076】
図16は一変形例のパイプ連結金具40を示す正面図である。パイプ連結金具40の主要な構成要素は図15(a)のパイプ連結金具26の場合と概ね同様であるが、新たにターンバックル38が装備されている点、および、切欠部36が省略されている点で図15(a)の実施形態のものとは相違する。
【0077】
ターンバックル38は、正ネジと逆ネジを両端部に刻設して形成したもので、これらの正ネジと逆ネジの先端は、各々、把持部材27a,27bに水平方向に刻設された雌ネジ39a,39bと螺合している。
【0078】
このような構造において、ターンバックル38を手で持って回転させると、ターンバックル38の両端部の正ネジと逆ネジが共に雌ネジ39a,39bと螺合を深める方向、あるいは、共に螺合を浅くする方向に回転し、その結果として、把持部材27a,27bとの間に、これら把持部材27a,27bを接近させる方向、あるいは、離間させる方向の力が作用する。
【0079】
把持部材27a,27bの移動方向は、溝30a’,30b’と突起31a,31bとの摺接作用、および、長穴32a,32bと雄ネジ33との摺接作用によって規制されているので、把持部材27a,27bを離間させる方向にターンバックル38を回転させた場合には、結果的に、把持部材27aは図16において右上方に向けて移動し、また、把持部材27bは図16において左上方に向けて移動することになる。
【0080】
つまり、このような操作によってパイプ連結金具40の両側部、要するに、パイプ把持部29aと把持部材27aとの間、および、パイプ把持部29bと把持部材27bとの間に大きな間隙が生じ、接続対象となるパイプの受け入れ体制が整う。
【0081】
また、把持部材27a,27bを接近させる方向にターンバックル38を回転させた場合には、把持部材27aは図16において左下方に向けて移動し、また、把持部材27bは図16において右下方に向けて移動することになり、パイプ把持部29aと把持部材27aとの間、および、パイプ把持部29bと把持部材27bとの間に挟み込まれた各々のパイプが確実に把持されることになる。
【0082】
ターンバックル38を利用してこのような開閉操作を行う場合、把持部材27a,27bの相対的な姿勢が一定の状態に保たれていないと、雌ネジ39a,39bに対するターンバックル38の角度が変化してカジリを生じる可能性があるので、長穴32a,32bと溝30a’,30b’の形状は、なるべく、把持部材27a,27bが単純な平行移動状態で接離移動するような形状にすることが望ましい。
【0083】
このような構成の場合、ターンバックル38の支えのみによって把持部材27a,27bの開きを防止することが可能であるため、雄ネジ33には必ずしも把持部材27a,27bの移動を禁止するための締結機能は要求されない。つまり、この雄ネジ33を頭付リベット等に換装することも可能である。
【0084】
【発明の効果】
本発明のパイプ連結金具は、把持具本体の両側に設けた円弧溝に沿って円弧状の把持部材を周方向に移動させることによってパイプを把持するようにしたので、パイプの接続作業に際して把持具本体の両側を完全な開放状態とすることが可能であり、パイプのどのような位置においても容易にパイプ連結金具を挿入してパイプを把持することができる。
そして、把持部材の各々は、把持部材を円弧溝に取り付けるための雄ネジ、および、把持部材の外周と円弧溝の端部内周との接触面によって支承されるため、径方向外側に向けて作用する把持部材を押し開こうとする力に対して強い耐久力を発揮することができる。
しかも、把持部材の各々は、円弧溝の上のどのような移動位置においても基部を支点として径方向内側に回転させることができるので、接続対象となるパイプの径が細いような場合であっても、このパイプを的確に把持することができる。また、パイプ連結金具を構成する把持部材や雄ネジは全て把持具本体と一体に取り付けられているため、作業中に部品を取り落とすといった心配は全くない。
【0085】
更に、一対の把持具本体構成要素を回転可能に接続して把持具本体を構成し、把持具本体両側のパイプ把持部が成す捩れ角を回転角設定機構によって自由に調整できるようにしたので、斜交して配備されたパイプも的確に接続することができるようになった。
【0086】
また、パイプを把持する二つの円弧状の把持部材をガイド機構によって案内してパイプ把持部と接離する方向に移動可能とし、その移動位置を把持部材固定機構によって任意に固定できるようにしたので、把持具本体の両側を完全な開放状態とすることが可能であり、パイプのどのような位置においても容易にパイプ連結金具を挿入してパイプを把持することができ、様々な径のパイプにも対処することができる。
【0087】
更に、ガイド機構による接離移動の規制をキャンセルするための構成を設け、把持具本体をその基部を支点として自由に回転できるようにしたので、平行配備されたパイプをパイプ連結金具の間隙から挿入するのが困難な場合には、把持部材を回転させて把持具本体のパイプ把持部から完全に退避させて、オフセット配備された2本のパイプの側方からパイプ連結金具を取り付けることもできるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施形態のパイプ連結金具の構成の概略を示す斜視図である。
【図2】同実施形態のパイプ連結金具のパイプ把持部を引き出した状態を示す斜視図である。
【図3】同実施形態のパイプ連結金具の把持具本体構成要素を相互に回転させた状態を示す斜視図である。
【図4】同実施形態のパイプ連結金具のパイプ把持部を限界まで引き出して回転させた状態を示す斜視図である。
【図5】同実施形態のパイプ連結金具のパイプ把持部を途中まで引き出して回転させた状態を示す斜視図である。
【図6】同実施形態のパイプ連結金具の回転角設定機構の構成の概略を示す断面図である。
【図7】回転角設定機構の変形例を示す断面図である。
【図8】図8(a)はリテーナの形状の詳細を示す斜視図、図8(b)は凹凸嵌合部の形状の詳細を示す平面図、図8(c)は凹凸嵌合部の変形例を示す平面図である。
【図9】図9(a)〜図9(d)は円弧溝と把持部材との嵌合部の形状を例示した断面図である。
【図10】図10(a)および図10(b)は円弧溝にアンダーカットがある場合の構成例について示した断面図である。
【図11】円弧状の把持部材と把持具本体とによって構成されるパイプ連結金具の変形例について示した斜視図である。
【図12】変形例のパイプ連結金具のパイプ把持部を引き出した状態を示す斜視図である。
【図13】変形例のパイプ連結金具の構造を示す断面図である。
【図14】円弧状の把持部材と把持具本体とによって構成されるパイプ連結金具の他の変形例について示した斜視図である。
【図15】図15(a)はガイド機構と把持部材固定機構とを備えたパイプ連結金具の構成を示す斜視図、図15(b)は把持具本体を示す正面図である。
【図16】図16はガイド機構と把持部材固定機構とを備えたパイプ連結金具の変形例を示す正面図である。
【図17】図17(a)は従来のパイプ連結金具の一例について示した斜視図、図17(b)はその要部を簡略化して示した部分断面図、図17(c)はその要部を簡略化して示した平面図である。
【図18】図18(a)は従来のパイプ連結金具の他の例について示した斜視図、図18(b)はその断面図である。
【図19】斜交してオフセット配備されたパイプをパイプ連結金具で接続した状態について簡略化して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 パイプ連結金具
2a,2b 把持部材
3 把持具本体
3a,3b 把持具本体構成要素
4a,4b 雄ネジ
5a,5b 円弧溝
6a,6b パイプ把持部
7a,7b 円弧状の長穴
8a,8b 雌ネジ
9 回転角設定機構
10 スプリング
11a,11b 凹凸嵌合部
12a,12b 段付穴
13a,13b リテーナ
14a,14b フック
15a,15b 段付穴
16 足場
17,18,19,20 パイプ
21 ピン
22 抜け止め防止部材
23 パイプ
24 パイプ連結金具
25 パイプ連結金具
26 パイプ連結金具
27a,27b 把持部材
28 把持具本体
29a,29b パイプ把持部
30a,30b 円弧溝(ガイド機構の一部)
30a’,30b’ 溝
31a,31b 突起(ガイド機構の一部)
32a,32b 長穴(ガイド機構の一部)
33 雄ネジ(把持部材固定機構,ガイド機構の一部)
34 貫通孔
35 ガイド機構
36 切欠部
38 ターンバックル
39a,39b 雌ネジ
40 パイプ連結金具
101 パイプ連結金具
102 貫通孔
103 連結金具本体
104 パイプ支持部
105 ピン
106 パイプ把持部材
107 欠切部
108 ピン
109 ツマミ付ナット
110 雄ネジ
111 横溝
112 縦溝
113 パイプ連結金具
114 パイプ支持部
115 連結金具本体
116 雄ネジ
117 ツマミ付ナット
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセットして配備された2本のパイプを接続するパイプ連結金具の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフセットして配備される2本のパイプを接続するためのパイプ連結金具として、既に様々なものが提案されている。その構造を大別すると、図17(a)に示されるようなパイプ連結金具と図18(a)に示されるようなパイプ連結金具とに分けることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図17(a)は、パイプを通す貫通孔102を備えた連結金具本体103の一端に半円弧状のパイプ支持部104を形成すると共に、パイプ支持部104の下端部にピン105を介して半円弧状のパイプ把持部材106を回転自在に取り付け、このパイプ把持部材106の先端部をパイプ支持部104の上端部に固定する構造のパイプ連結金具101について示した斜視図である。
【0004】
また、図17(b)は、このパイプ連結金具101においてパイプ把持部材106の先端部とパイプ支持部104とを固定するための構造について簡略化して示した部分断面図であり、図17(c)は、パイプ連結金具101からその構成要素であるツマミ付ナット109を取り外した状態で図17(b)に相当する部分を示した平面図である。
【0005】
図17(b)および図17(c)に示されるように、パイプ支持部104の上端部には、パイプ把持部材106の先端部を嵌合するための溝状の欠切部107が形成されており、この欠切部107を表裏に貫通するようにしてパイプ支持部104の上端部にピン108が取り付けられている。更に、ピン108の中央部には、パイプ把持部材106の先端部を固定するためのツマミ付ナット109を備えた雄ネジ110の基部が直交するかたちで固着されている。
【0006】
また、パイプ把持部材106の先端部には、これらのピン108,雄ネジ110との干渉を避けるための横溝111と縦溝112とが刻設され、パイプ把持部材106の先端部がピン108,雄ネジ110と干渉することなく欠切部107に突入できるようになっている。
【0007】
パイプ支持部104に対するパイプ把持部材106の固定は、図17(a)および図17(b)に示されるように、パイプ把持部材106の先端部をパイプ支持部104の欠切部107に突入させた状態でツマミ付ナット109を締め付け、ツマミ付ナット109の下面でパイプ把持部材106の先端部の上面、つまり、縦溝112の外周部を強く押さえて固定することによって達成される。この係合を解除してパイプ把持部材106を外側に回転させる場合には、単に、ツマミ付ナット109を緩めるだけでよく、ツマミ付ナット109自体を雄ネジ110から取り外してしまう必要はない。
【0008】
このような構造を有するパイプ連結金具101を使用してオフセット配備されたパイプを接続する場合には、予め、パイプ支持部104の上端部に対するパイプ把持部材106の係合を解除し、パイプ把持部材106を開いておくようにする。
【0009】
そして、まず、オフセットして配備された2本のパイプのうちの何れか一方を連結金具本体103の貫通孔102に通してから、パイプ連結金具101をこの一方のパイプに沿って必要な位置にまでずらせ、所望の接続位置に達したところで、パイプ支持部104とパイプ把持部材106とによって他方のパイプを挟むようにしてパイプ把持部材106を閉じ、前述したようにしてパイプ把持部材106の先端部をパイプ支持部104に固定することになる。
【0010】
従って、このような構造でパイプ同士の接続作業を行う場合には、予め、接続対象となるパイプのうちの何れか一方を必ず貫通孔102に通しておかなければならず、パイプ中央部での接続作業が困難となる問題がある。
また、パイプの端部にキャップ状のエンドピース等が設けられている場合には、貫通孔102に対するパイプの挿入に支障をきたすので、パイプ同士の接続作業自体が不可能となってしまう。
【0011】
一方、図18(a)は、半円弧状のパイプ支持部114,114を並列して設けた対称形の連結金具本体115,115を重合させ、雄ネジ116およびツマミ付ナット117でパイプに共締めすることによって、2本のパイプを接続するようにしたパイプ連結金具113について示す斜視図、また、図18(b)はその断面図である。
【0012】
このような構造のパイプ連結金具113を適用した場合、パイプ中央部での接続作業もキャップ状のエンドピース等を備えたパイプの接続作業も実施することが可能である。
【0013】
しかし、安全上の観点、つまり、ツマミ付ナット117の脱着時間を短くして足場の悪い状況下で作業する作業者の安全を確保するといった目的から、雄ネジ116とツマミ付ナット117の螺合部の長さが最低限度に抑えられており、この結果、連結金具本体115,115を大きく離間させてパイプ中央部での接続作業を行うような場合には、一旦、完全にツマミ付ナット117を取り外してしまわなければならないといった問題が生じる。
【0014】
このようにして連結金具本体115,115を完全に分離させてしまうと、連結金具本体115,115をパイプに仮り止めすることができず、雄ネジ116やツマミ付ナット117、また、場合によっては、連結金具本体115,115自体を取り落としてしまうといった可能性もあり、高所で作業を行うような場合、落下事故の危険等が懸念される。
【0015】
また、このように作業が煩雑化する結果、雄ネジ116とツマミ付ナット117との螺合部の長さを短縮しているとは言え、実際に作業時間が短縮されるといった保証はなく、作業者自身の安全向上に役立つ構造であるかどうかにも疑問が残る。
【0016】
【発明の目的】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の欠点を解消し、パイプのどのような位置においても容易に接続作業を行うことができ、しかも、全体が一体化していて作業中にパーツを取り落とすような心配もなく、短時間で脱着作業を行うことのできるパイプ連結金具を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、パイプを把持するための二つの円弧状の把持部材と、これらの把持部材を装着する把持具本体とから成るパイプ連結金具であり、前記目的を達成するため、特に、把持具本体の両側に前記把持部材の外周部を周方向摺動自在に保持するための円弧溝を有するパイプ把持部を配備し、前記円弧溝の側壁には把持部材に沿って延びる円弧状の長穴を穿設すると共に、前記把持部材の周方向一端部の側面に雌ネジを刻設し、前記円弧状の長穴を介して円弧溝の側壁を貫通する雄ネジを前記雌ネジに螺合して二つの円弧状の把持部材を把持具本体に固定したことを特徴とする構成を有する。
【0018】
このような構成によれば、パイプを把持するための円弧状の把持部材は、把持具本体の両側の円弧溝に重合した状態でコンパクトに収納される。
このパイプ連結金具を用いてオフセット配備された2本のパイプを接続する際には、まず、把持具本体の両側に円弧状の把持部材を格納した状態のまま、2本のパイプの各々の対向面に把持具本体の両側のパイプ把持部を押し当てるようにして把持具本体を挿入する。このとき円弧状の把持部材は円弧溝に重合して格納されているため、把持具本体の両側は完全な開放状態となっており、パイプのどのような位置においても容易に把持具本体を挿入することができる。
そして、円弧溝の側壁に穿設された円弧状の長穴を貫通して把持部材の雌ネジと螺合した雄ネジを緩め、把持具本体の両側に格納されている円弧状の把持部材の各々を夫々の円弧溝に沿って周方向に摺動させ、把持具本体のパイプ把持部と円弧状の把持部材とによって各々のパイプを包み込むようにしてパイプを保持する。
最終的に、把持部材の雌ネジと螺合している雄ネジを強く締め付けることによって把持部材を把持具本体のパイプ把持部に確実に固定する。
把持部材の各々は、把持部材の雌ネジと螺合した雄ネジと円弧状の長穴との嵌合部、および、把持部材の外周と円弧溝の端部内周との接触面によって支承されるため、径方向外側に向けて作用する力、つまり、把持部材を押し開こうとする力に対して強い耐久力を発揮することができる。
また、パイプ連結金具を構成する把持部材や雄ネジは全て把持具本体と一体に取り付けられているため、作業中に部品を取り落とすといった心配もない。
更に、把持部材の各々は、把持部材の端部側面に設けられた雌ネジと螺合した雄ネジと円弧状の長穴との嵌合、および、把持部材の外周と円弧溝の端部内周との接触によって支承される構造であるため、雄ネジを締め付ける前の段階では、把持部材の端部、つまり、雌ネジの刻設位置を支点として径方向内側への回転が許容される。
従って、パイプ連結金具の取り付け対象となるパイプの径が細いような場合には、把持部材を円弧溝に沿って適当な距離だけ周方向に摺動させた状態で、前述のネジ止め位置を支点として把持部材を内側に回転させることにより、小径のパイプを的確に把持することができる。この場合、把持部材の外周と円弧溝の端部内周との接触による支承効果は得られないので、把持部材の雌ネジと螺合している雄ネジを強く締め付けることによって把持部材の開きを防止することになる。
【0019】
また、前記把持具本体は、把持部材の外周部を周方向摺動自在に保持するための円弧溝を有するパイプ把持部を一側に配備した一対の把持具本体構成要素を回転自在に接続して形成することができ、その接続部に、把持具本体構成要素同士の成す捩れ角を所望する値に設定する回転角設定機構を配備した構成とすることが可能である。
【0020】
このような構成によれば、一対の把持具本体構成要素によって形成される把持具本体の両側に位置するパイプ把持部の成す捩れ角を任意に設定することができるので、斜交して配備されたパイプ同士も的確に接続することができるようになる。
【0021】
更に、具体的な構成として、一対の把持具本体構成要素間に生じる回転を許容して一対の把持具本体構成要素を相互に接近する方向に付勢するスプリングと、これら一対の把持具本体構成要素の接続面の各々に形成された凹凸嵌合部とから成る回転角設定機構を提案する。
【0022】
この場合、パイプ把持部の成す捩れ角は把持具本体構成要素の接続面の各々に形成された凹凸嵌合部によって保持される。捩れ角を変更する際には、スプリングの付勢力に抗して把持具本体構成要素同士を相互に離間させて各々の接続面を引き離し、把持具本体構成要素同士を相互に回転させて所望する捩れ角を得た後、改めてスプリングの力で接続面を当接させ、当該回転位置において凹凸嵌合を得るようにする。
【0023】
また、本発明は、パイプを把持するための二つの円弧状の把持部材と、これらの把持部材を装着する把持具本体とから成るパイプ連結金具において、前記把持具本体の両側に前記把持部材の各々と対向する円弧状のパイプ把持部を形成すると共に、この把持具本体と前記把持部材との間に、前記パイプ把持部に対する前記把持部材の接離移動を案内するためのガイド機構と、前記把持部材を任意の接離移動位置で固定するための把持部材固定機構とを一体的に配備したことを特徴とする構成により、前記と同様の目的を達成した。
【0024】
このような構成を有するパイプ連結金具によってオフセット配備された2本のパイプを接続する際には、まず、ガイド機構の案内に沿ってパイプ把持部から把持部材を離間させ、パイプ把持部と把持部材との間に間隙を形成させる。そして、この間隙を利用して、パイプ連結金具の側方から各々のパイプを挿入する。前記と同様、把持具本体の両側は完全な開放状態となるため、パイプのどのような位置においても容易にパイプ連結金具を挿入することが可能である。
そして、把持部材を再びパイプ把持部に接近させて円弧状のパイプ把持部と把持部材とによってパイプを把持し、把持部材固定機構によってパイプ把持部に対する把持部材の位置を固定し、パイプ把持部と把持部材とによるパイプの把持状態を確保する。
前記と同様、パイプ連結金具を構成する把持部材やガイド機構および把持部材固定機構等の全てが把持具本体と一体に取り付けられているため、作業中に部品を取り落とすといった心配がない。
【0025】
ここで、前記ガイド機構は、パイプ把持部の各々に沿って把持具本体に形成された円弧溝と、各々の把持部材の周方向一端部の側面に設けられた突起と、把持部材の各々に穿設された円弧状の長穴と、これら円弧状の長穴を貫通して把持部材の各々を把持具本体の中央部に共締めする雄ネジとで構成することができ、また、前記把持部材固定機構は、把持部材の各々を把持具本体の中央部に共締めする雄ネジによって構成することができる。
【0026】
このような構成によれば、各々の把持部材の周方向一端部の側面に設けられた突起と他方のパイプ把持部に沿って把持具本体に形成された円弧溝との摺嵌作用、および、各々の把持部材に穿設された円弧状の長穴と把持具本体中央部の雄ネジとの摺嵌作用によってパイプ把持部に対する把持部材の接離移動が案内されることになる。
そして、把持部材を把持具本体の中央部に共締めする雄ネジによって構成される把持部材固定機構を強く締め付けることにより、把持具本体に対する把持部材の移動が禁止され、把持部材が任意の移動位置で固定される。
把持部材を押し開こうとする力の多くは、把持具本体中央部の雄ネジを中心として把持部材を回転させる方向に作用するが、この力は、把持部材の周方向一端部に設けられた突起と把持具本体に設けられた円弧溝の側壁との当接によって受け止められるので、把持部材が不用意に回転して開くことはない。つまり、前記と同様、把持部材を押し開こうとする力に対して強い耐久力を得ることができる。
【0027】
また、把持具本体の中央部に円弧溝の端部と連絡する切欠部を形成することにより、パイプ連結金具の取り付けの自由度を更に向上させることが可能である。
【0028】
このような構成によれば、把持部材を把持具本体から限界位置まで離間させることによって、把持部材の周方向一端部に設けられた突起を円弧溝から離脱させて切欠部に退避させることが可能となる。突起を円弧溝から離脱させることにより突起と円弧溝の側壁との干渉が解消されるので、把持部材は把持具本体の雄ネジを中心として自由に回転できる状態となる。この結果、把持部材を回転させて把持具本体のパイプ把持部の対向位置から完全に退避させた状態で、オフセット配備された2本のパイプの側方からパイプ連結金具を取り付けることが可能となり、取り付けの自由度が一層向上することになる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の幾つかについて詳細に説明する。図1は、本発明を適用した一実施形態のパイプ連結金具1の構成の概略を示す斜視図である。
【0030】
このパイプ連結金具1は、図1に示されるように、概略において、パイプを把持するための二つの円弧状の把持部材2a,2bと把持具本体3および雄ネジ4a,4bによって構成される。
【0031】
このうち、把持具本体3は、一対の把持具本体構成要素3a,3bを接続して形成され、把持具本体構成要素3a,3bの一側には、各々、把持部材2a,2bの外周部を周方向摺動自在に保持するための円弧溝5a,5bを備えたパイプ把持部6a,6bが一体に設けられている。つまり、一体化された把持具本体3は、その両側にパイプ把持部6a,6bを備える。
【0032】
更に、パイプ把持部6a,6bに設けられた円弧溝5a,5bの側壁には、把持部材2a,2bに沿って延びる円弧状の長穴7a,7bが穿設して配備され、把持部材2a,2bの周方向下端部の側面には、図6の断面図に示されるように、雄ネジ4a,4bを螺合するための雌ネジ8a,8bが螺刻されている。把持部材2a,2bは円弧溝5a,5bに設けられた各々の長穴7a,7bを貫通した雄ネジ4a,4bによって円弧溝5a,5bに対して周方向摺動自在に取り付けられる。なお、長穴7a,7bを把持具本体3の表裏に設けて両側から把持部材2a,2bを固定するようにしてもよい。
【0033】
把持具本体3(把持具本体構成要素3a,3b)および把持部材2a,2bは、アルミニウム合金等を利用した押し出し加工等によって予め長尺のものを作成しておき、これを押し出し方向と直交する面で切断することにより大量生産が可能である。円弧溝5a,5bや長穴7a,7bの部分に関しては機械加工を利用した追加工によって形成する。
【0034】
ここで、図6を参照して、把持具本体構成要素3a,3bの接続部に設けられた回転角設定機構9の構造について説明する。
【0035】
この回転角設定機構9の主要部は、把持具本体構成要素3a,3b間に生じる回転を許容して把持具本体構成要素3a,3bを相互に接近する方向に付勢するスプリング10と、把持具本体構成要素3a,3bの接続面の各々に形成された凹凸嵌合部11a,11bとによって構成される。
【0036】
このうち、スプリング10は、把持具本体構成要素3a,3bの中央部を貫通して穿設された段付穴12a,12bの大径部に内嵌されたリテーナ13a,13bの有するフック14a,14bに、自然長よりも伸ばされた状態、つまり、圧縮方向に付勢された状態で両端を係止して取り付けられ、把持具本体構成要素3a,3bを相互に接近する方向に付勢している。
【0037】
また、リテーナ13a,13bは段付穴12a,12bに対して回転自在であり、スプリング10に不用意な捩れを生じることなく、把持具本体構成要素3a,3b間の回転を許容する。リテーナ13a,13bの形状の詳細を図8(a)に示す。この部品はプレス等を利用した打ち抜きと曲げ加工の組み合わせによって容易に製造可能である。
【0038】
一方、把持具本体構成要素3a,3bの接続面の各々に形成する凹凸嵌合部11a,11bの形状としては、例えば、図8(b)に示すように、段付穴12a,12bの周りに90°刻みで形成された4つの矩形状突起とこれに対応する4つの矩形状の凹部を利用することが可能である。一例として、把持具本体構成要素3a,3bの間に90°の捩れ角を設定したときの状態を図3に示す。このような構造は、例えば、図19に示されるような足場16の組み立てにおいて、互いに直交して配備されたパイプ18,23等を固定する際に便利である。
【0039】
また、図8(c)に示すように、段付穴12a,12bの周りに放射線状に設けられた多数の突条を凹凸嵌合部11a,11bとして利用してもよく、この場合は、把持具本体構成要素3a,3b間に実質的に無段階の捩れ角を設定することが可能となる。従って、例えば、図19に示されるように、縦横に固定された多数のパイプによって形成される足場16に斜交いとなるパイプ17を掛け渡し、このパイプ17に対して斜交するパイプ18,19,20等にパイプ17を固定する際に便利である。
【0040】
図7はスプリング10の取り付け構造の変形例について示した断面図である。この場合、把持具本体構成要素3a,3bの接続は、実質的に、把持具本体構成要素3a,3bの段付穴15a,15bに通されたピン21と、その先端に取り付けられたCリング等の抜け止め防止部材22によって達成される。スプリング10は前記とは逆に自然長よりも縮められた状態、つまり、伸長方向に付勢された状態でピン21の頭部と段付穴15aの段差部との間に介装されており、ピン21の頭部を段付穴15aの段差部から離間させる方向に付勢することによって、前記と同様、把持具本体構成要素3a,3bを相互に接近する方向に付勢している。
【0041】
このような構造によれば、把持具本体構成要素3a,3bとの接続がピン21と抜け止め防止部材22によって達成されるため、万一、スプリング10が座屈したり破断したような場合であっても、把持具本体構成要素3a,3bの接続状態が確保されるといったメリットがある。
【0042】
次に、パイプ連結金具1を利用したパイプの接続作業について簡単に説明する。パイプ連結金具1は、通常、把持具本体構成要素3a,3b間の捩れをなくして把持部材2a,2bを把持具本体3の両側の円弧溝5a,5bに格納した図1のような状態で、コンパクトに収納されている。
【0043】
そこで、このパイプ連結金具1を用いてオフセット配備された2本のパイプを接続する際には、まず、接続すべき2本のパイプの斜交状態を確認して把持具本体構成要素3a,3b間の捩れ角を調整する。例えば、図19に示されるようなパイプ18とパイプ23を接続する場合にはパイプ間に90°の捩れが存在するので、把持具本体構成要素3a,3b間にも90°の捩れを設定することになる。ここで、図6に示されるような回転角度設定機構9を適用した場合には90°刻みの捩れ角の設定が可能であり、また、図7に示されるような回転角度設定機構9を適用した場合には、事実上、無段階の角度設定が可能となる。
【0044】
次いで、把持具本体3の両側に把持部材2a,2bを格納した状態のまま、2本のパイプの各々の対向面に把持具本体3の両側のパイプ把持部6a,6bを押し当てるようにして把持具本体3を挿入する。把持部材2a,2bは円弧溝5a,5bに重合して格納されているため、把持具本体3の両側は完全な開放状態となっており、パイプの端部あるいは中央部等のどのような位置においても容易に把持具本体3を挿入することができる。無論、パイプの端部に太目のエンドピース等が装着されているような場合であっても何ら支障はない。
【0045】
次に、把持部材2a,2bの雌ネジ8a,8bと螺合した雄ネジ4a,4bを緩め、把持具本体3の両側に格納されている円弧状の把持部材2a,2bの各々を夫々の円弧溝5a,5bに沿って周方向に摺動させ、把持具本体3のパイプ把持部6a,6bと円弧状の把持部材2a,2bとによって各々のパイプを包み込むようにして保持する。
【0046】
この際、パイプ把持部6a,6bおよび把持部材2a,2bの円弧の曲率とパイプの外径とが概ね一致していれば、図2に示すように、円弧状の把持部材2a,2bを円弧溝5a,5bの曲率に沿って限界位置まで摺動させ、2本のパイプを完全に包み込むように把持することが望ましい。この場合、把持部材2a,2bの各々は、把持部材2a,2bに螺合した雄ネジ4a,4bと円弧状の長穴7a,7bとの嵌合部、および、把持部材2a,2bの外周と円弧溝5a,5bの端部内周との接触面により径方向外側に向かう揺動を禁止された状態で支承されることになるので、径方向外側に向けて作用する力、つまり、把持部材2a,2bを押し開こうとする力に対して強い耐久力を発揮することができる。
【0047】
また、もし、パイプ把持部6a,6bおよび把持部材2a,2bの円弧の曲率に比べてパイプの外径が著しく小さいような場合には、図4に示すように、把持部材2a,2bを円弧溝5a,5bの曲率に沿って限界位置にまで摺動させた状態で雄ネジ4a,4bを支点として把持部材2a,2bを径方向内側に揺動させるか、あるいは、図5に示すように、把持部材2a,2bを円弧溝5a,5bの曲率に沿って途中まで摺動させた状態で止め、雄ネジ4a,4bを支点として把持部材2a,2bを径方向内側に揺動させることによって、細めのパイプを的確に把持することができる。
【0048】
なお、図5に示した把持方法を適用した場合には、パイプと把持部材2a,2bとの接点から雄ネジ4a,4bに至る距離、つまり、雄ネジ4a,4bを支点とする作用点までの距離を図4の場合と比べて短めにすることができるので、雄ネジ4a,4bの周りに作用するモーメントを軽減することが可能であり、把持部材2a,2bの開き防止の点で有利である。
【0049】
何れの場合も、最終的には、雄ネジ4a,4bを強く締め付けて把持部材2a,2bを円弧溝5a,5bの側壁に固定することで把持部材2a,2bの移動や揺動を防止してパイプを把持することになる。
【0050】
パイプ連結金具1を構成する把持部材2a,2bや雄ネジ4a,4bは全て把持具本体3と一体に取り付けられているため、作業中に部品を取り落とすといった心配は全くない。
【0051】
円弧溝5a,5bと把持部材2a,2bとの嵌合部の形状に関しては、例えば、図9(a)〜図9(d)に示されるように様々な形状のものを適用することが可能である。このうち、図4あるいは図5に示されるようにして雄ネジ4a,4bを支点とする把持部材2a,2bの揺動が許容されるのは、図9(a)および図9(b)のように、嵌合部にアンダーカットを生じない構造のものである。
【0052】
図9(c)および図9(d)に示されるような構造のものは、専ら、パイプ把持部6a,6bおよび把持部材2a,2bの円弧の曲率とパイプの外径とが一致しているような場合に適し、剛性の点で優れる。また、図9(c)および図9(d)のようにアンダーカットのある構造の場合は円弧溝5a,5bの加工が複雑となるが、この種の問題は、例えば、図10(a)および図10(b)に示されるように、把持具本体構成要素3a,3bを2分割構成とすることにより容易に解消され得る。いずれの場合においても、円弧溝5a,5bおよび雄ネジ4a,4bは、把持具本体3の表裏両側に配備するように構成することが可能である。
【0053】
次に、パイプを把持するための二つの円弧状の把持部材と把持具本体とによって構成されるパイプ連結金具の幾つかの変形例を図11〜図14を参照して簡単に説明する。
【0054】
図11に示されるパイプ連結金具24も図1で示した実施形態と同様、パイプを把持するための二つの円弧状の把持部材2a,2bと把持具本体3および雄ネジ4a,4bとによって構成されるが、把持具本体3が一体構造である点、および、円弧溝5a,5bを備えたパイプ把持部6a,6bが横方向に並列配備されている点で図1の実施形態のものと相違する。その断面構造を図13に示す。
【0055】
このような構造を有するパイプ連結金具24の場合、その使用目的は、専ら、平行配備された2本のパイプの接続に制限される。また、接続作業に際しては、平行配備された2本のパイプの側方から図11の状態のパイプ連結金具24を押し当て、図12に示されるように、把持部材2a,2bを円弧溝5a,5bに沿って周方向に移動させることで2本のパイプを把持することになる。
【0056】
図1の実施形態と同様、細いパイプを把持する場合には、把持部材2a,2bを円弧溝5a,5bに沿って適当な距離だけ周方向に摺動させた状態で、雄ネジ4a,4bを支点として把持部材2a,2bを内側に回転させることが可能である。
【0057】
更に、図14に示されるパイプ連結金具25のように、把持部材2a,2bを円弧溝5a,5bに沿って内側から外側に向けて摺動させて突き出す構造とすることも可能である。このような構成によれば、把持部材2a,2bが2本のパイプを外側から内側に向けて巻回するかたちとなるので、パイプ連結金具25によって把持された2本のパイプが不用意に外側に離間するのを確実に防止することができるといったメリットがある。
【0058】
次に、把持部材の接離移動を案内するためのガイド機構と把持部材を任意位置で固定するための把持部材固定機構とを備えたパイプ連結金具について説明する。
【0059】
図15(a)はガイド機構と把持部材固定機構とを備えたパイプ連結金具26の構成を示す斜視図であり、この実施形態のパイプ連結金具26は、図15(a)に示される通り、概略において、円弧状の把持部材27a,27bと把持具本体28によって構成される。
【0060】
把持具本体28の両側には把持部材27a,27bの各々と対向する円弧状のパイプ把持部29a,29bが形成されている。更に、把持具本体28の表面側には、円弧状のパイプ把持部29bに沿って把持部材27aのための円弧溝30aが刻設される一方、把持具本体28の裏面側には、図15(b)に示されるように、円弧状のパイプ把持部29aに沿って把持部材27bのための円弧溝30bが刻設されている。
【0061】
円弧溝30a,30bの上端部には、これらの円弧溝30a,30bに連絡する一定の面積を持った切欠部36が、略矩形状の貫通穴によって形成されている。
【0062】
更に、把持具本体28の中央部上方には、把持部材27a,27bを把持具本体28に共締めして取り付けるための雄ネジ33を通すための貫通孔34が図15(b)に示されるようにして穿設されている。
【0063】
また、円弧状の把持部材27a,27bの周方向の下端部には、前述の円弧溝30a,30bに摺嵌する突起31a,31bが突設され、更に、把持部材27a,27bの各々に、円弧状の長穴32a,32bが穿設されている。
【0064】
そして、把持部材27a,27bの各々は、夫々の突起31a,31bを円弧溝30a,30bに摺嵌させた状態で把持具本体28の表裏に配置される。これらの把持部材27a,27bは、各々の長穴32a,32bと把持具本体28の貫通孔34を貫通して把持具本体28の裏面側で図示しないナットに螺合する雄ネジ33により、把持具本体28に一体的に取り付けられる。
【0065】
このうち、把持部材27a,27bの接離移動を案内するためのガイド機構35は、把持具本体28の円弧溝30a,30bと雄ネジ33、および、把持部材27a,27bの突起31a,31bと円弧状の長穴32a,32bによって構成され、また、把持部材27a,27bを任意位置で固定するための把持部材固定機構は雄ネジ33によって構成される。
【0066】
パイプ連結金具26を利用して平行にオフセット配備されたパイプを接続する場合には、まず、把持部材27a,27bを固定している雄ネジ33を緩める。そして、把持部材27a,27bを手で持って、可能な限り把持具本体28のパイプ把持部29a,29bから離間する方向、つまり、図15において上方に移動させる。
【0067】
このとき、把持部材27a,27bの移動軌跡は、円弧溝30a,30bと突起31a,31bとの摺接作用、および、長穴32a,32bと雄ネジ33との摺接作用によって案内されるので、把持部材27aは図15において右上方に向けて、また、把持部材27bは図15において左上方に向けて移動することになる。
【0068】
この結果、パイプ連結金具26の両側部、つまり、パイプ把持部29aと把持部材27aとの間、および、パイプ把持部29bと把持部材27bとの間に大きな間隙が生じ、パイプ連結金具26の側方から各々のパイプを挿入することが可能となる。パイプ連結金具26の両側は完全な開放状態となるため、パイプのどのような位置においても容易にパイプ連結金具26を挿入することができる。
【0069】
しかし、パイプのオフセット間隔が狭くパイプ間にパイプ連結金具26を挿入することが困難な場合や、あるいは、取り付け対象となるパイプの径が太くてパイプ連結金具26の両側の間隙からパイプを通すことが困難な場合もある。
【0070】
そのような場合は、把持部材27a,27bを限界位置まで引き出して突起31a,31bを円弧溝30a,30bから切欠部36に逃がし、雄ネジ33を中心とする把持部材27a,27bの揺動動作を許容した状態で、把持部材27a,27bの各々を把持具本体28に対して略90°内側に回転させ、パイプ連結金具26の全体形状を略T字型にして、把持部材27a,27bの先端を2本のパイプ間に突入させることも可能である。この場合は、パイプ連結金具26のパイプ把持部29a,29bを各々のパイプの側面に押し当てた段階で把持部材27a,27bを通常の角度に戻し、再び、突起31a,31bを円弧溝30a,30bに摺嵌させることになる。
【0071】
何れの場合も、最終的には、把持部材27a,27bを再びパイプ把持部29a,29bに接近させて円弧状のパイプ把持部29a,29bと円弧状の把持部材27a,27bとによって各々のパイプを把持し、把持部材固定機構を構成する雄ネジ33を締め付けて把持具本体28に対する把持部材27a,27bの位置を固定し、パイプ把持部29a,29bと把持部材27a,27bとによるパイプの把持状態を確保する。
【0072】
パイプ連結金具26を構成する把持部材27a,27bやガイド機構となる突起31a,31bおよび把持部材固定機構となる雄ネジ33等は全て把持具本体28と一体に取り付けられているため、作業中に部品を取り落とすといった心配がない。
【0073】
また、把持部材27a,27bを押し開こうとする力の多くは、雄ネジ33を中心として把持部材27a,27bを回転させる方向に作用するが、この力は、把持部材27a,27bの周方向下端部に設けられた突起31a,31bと把持具本体28に設けられた円弧溝30a,30bの側壁との当接によって受け止められるので、把持部材27a,27bが不用意に回転して開くことはない。つまり、把持部材27a,27bを押し開こうとする力に対して強い耐久力を得ることができる。
【0074】
図15の実施形態では把持部材27a,27bを把持具本体28の表裏に分離して配備したが、把持部材27a,27bや円弧溝30a,30bを把持具本体28の同一面側に配備することも可能である。
【0075】
次に、ガイド機構と把持部材固定機構とを備えたパイプ連結金具の変形例について簡単に説明する。
【0076】
図16は一変形例のパイプ連結金具40を示す正面図である。パイプ連結金具40の主要な構成要素は図15(a)のパイプ連結金具26の場合と概ね同様であるが、新たにターンバックル38が装備されている点、および、切欠部36が省略されている点で図15(a)の実施形態のものとは相違する。
【0077】
ターンバックル38は、正ネジと逆ネジを両端部に刻設して形成したもので、これらの正ネジと逆ネジの先端は、各々、把持部材27a,27bに水平方向に刻設された雌ネジ39a,39bと螺合している。
【0078】
このような構造において、ターンバックル38を手で持って回転させると、ターンバックル38の両端部の正ネジと逆ネジが共に雌ネジ39a,39bと螺合を深める方向、あるいは、共に螺合を浅くする方向に回転し、その結果として、把持部材27a,27bとの間に、これら把持部材27a,27bを接近させる方向、あるいは、離間させる方向の力が作用する。
【0079】
把持部材27a,27bの移動方向は、溝30a’,30b’と突起31a,31bとの摺接作用、および、長穴32a,32bと雄ネジ33との摺接作用によって規制されているので、把持部材27a,27bを離間させる方向にターンバックル38を回転させた場合には、結果的に、把持部材27aは図16において右上方に向けて移動し、また、把持部材27bは図16において左上方に向けて移動することになる。
【0080】
つまり、このような操作によってパイプ連結金具40の両側部、要するに、パイプ把持部29aと把持部材27aとの間、および、パイプ把持部29bと把持部材27bとの間に大きな間隙が生じ、接続対象となるパイプの受け入れ体制が整う。
【0081】
また、把持部材27a,27bを接近させる方向にターンバックル38を回転させた場合には、把持部材27aは図16において左下方に向けて移動し、また、把持部材27bは図16において右下方に向けて移動することになり、パイプ把持部29aと把持部材27aとの間、および、パイプ把持部29bと把持部材27bとの間に挟み込まれた各々のパイプが確実に把持されることになる。
【0082】
ターンバックル38を利用してこのような開閉操作を行う場合、把持部材27a,27bの相対的な姿勢が一定の状態に保たれていないと、雌ネジ39a,39bに対するターンバックル38の角度が変化してカジリを生じる可能性があるので、長穴32a,32bと溝30a’,30b’の形状は、なるべく、把持部材27a,27bが単純な平行移動状態で接離移動するような形状にすることが望ましい。
【0083】
このような構成の場合、ターンバックル38の支えのみによって把持部材27a,27bの開きを防止することが可能であるため、雄ネジ33には必ずしも把持部材27a,27bの移動を禁止するための締結機能は要求されない。つまり、この雄ネジ33を頭付リベット等に換装することも可能である。
【0084】
【発明の効果】
本発明のパイプ連結金具は、把持具本体の両側に設けた円弧溝に沿って円弧状の把持部材を周方向に移動させることによってパイプを把持するようにしたので、パイプの接続作業に際して把持具本体の両側を完全な開放状態とすることが可能であり、パイプのどのような位置においても容易にパイプ連結金具を挿入してパイプを把持することができる。
そして、把持部材の各々は、把持部材を円弧溝に取り付けるための雄ネジ、および、把持部材の外周と円弧溝の端部内周との接触面によって支承されるため、径方向外側に向けて作用する把持部材を押し開こうとする力に対して強い耐久力を発揮することができる。
しかも、把持部材の各々は、円弧溝の上のどのような移動位置においても基部を支点として径方向内側に回転させることができるので、接続対象となるパイプの径が細いような場合であっても、このパイプを的確に把持することができる。また、パイプ連結金具を構成する把持部材や雄ネジは全て把持具本体と一体に取り付けられているため、作業中に部品を取り落とすといった心配は全くない。
【0085】
更に、一対の把持具本体構成要素を回転可能に接続して把持具本体を構成し、把持具本体両側のパイプ把持部が成す捩れ角を回転角設定機構によって自由に調整できるようにしたので、斜交して配備されたパイプも的確に接続することができるようになった。
【0086】
また、パイプを把持する二つの円弧状の把持部材をガイド機構によって案内してパイプ把持部と接離する方向に移動可能とし、その移動位置を把持部材固定機構によって任意に固定できるようにしたので、把持具本体の両側を完全な開放状態とすることが可能であり、パイプのどのような位置においても容易にパイプ連結金具を挿入してパイプを把持することができ、様々な径のパイプにも対処することができる。
【0087】
更に、ガイド機構による接離移動の規制をキャンセルするための構成を設け、把持具本体をその基部を支点として自由に回転できるようにしたので、平行配備されたパイプをパイプ連結金具の間隙から挿入するのが困難な場合には、把持部材を回転させて把持具本体のパイプ把持部から完全に退避させて、オフセット配備された2本のパイプの側方からパイプ連結金具を取り付けることもできるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施形態のパイプ連結金具の構成の概略を示す斜視図である。
【図2】同実施形態のパイプ連結金具のパイプ把持部を引き出した状態を示す斜視図である。
【図3】同実施形態のパイプ連結金具の把持具本体構成要素を相互に回転させた状態を示す斜視図である。
【図4】同実施形態のパイプ連結金具のパイプ把持部を限界まで引き出して回転させた状態を示す斜視図である。
【図5】同実施形態のパイプ連結金具のパイプ把持部を途中まで引き出して回転させた状態を示す斜視図である。
【図6】同実施形態のパイプ連結金具の回転角設定機構の構成の概略を示す断面図である。
【図7】回転角設定機構の変形例を示す断面図である。
【図8】図8(a)はリテーナの形状の詳細を示す斜視図、図8(b)は凹凸嵌合部の形状の詳細を示す平面図、図8(c)は凹凸嵌合部の変形例を示す平面図である。
【図9】図9(a)〜図9(d)は円弧溝と把持部材との嵌合部の形状を例示した断面図である。
【図10】図10(a)および図10(b)は円弧溝にアンダーカットがある場合の構成例について示した断面図である。
【図11】円弧状の把持部材と把持具本体とによって構成されるパイプ連結金具の変形例について示した斜視図である。
【図12】変形例のパイプ連結金具のパイプ把持部を引き出した状態を示す斜視図である。
【図13】変形例のパイプ連結金具の構造を示す断面図である。
【図14】円弧状の把持部材と把持具本体とによって構成されるパイプ連結金具の他の変形例について示した斜視図である。
【図15】図15(a)はガイド機構と把持部材固定機構とを備えたパイプ連結金具の構成を示す斜視図、図15(b)は把持具本体を示す正面図である。
【図16】図16はガイド機構と把持部材固定機構とを備えたパイプ連結金具の変形例を示す正面図である。
【図17】図17(a)は従来のパイプ連結金具の一例について示した斜視図、図17(b)はその要部を簡略化して示した部分断面図、図17(c)はその要部を簡略化して示した平面図である。
【図18】図18(a)は従来のパイプ連結金具の他の例について示した斜視図、図18(b)はその断面図である。
【図19】斜交してオフセット配備されたパイプをパイプ連結金具で接続した状態について簡略化して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 パイプ連結金具
2a,2b 把持部材
3 把持具本体
3a,3b 把持具本体構成要素
4a,4b 雄ネジ
5a,5b 円弧溝
6a,6b パイプ把持部
7a,7b 円弧状の長穴
8a,8b 雌ネジ
9 回転角設定機構
10 スプリング
11a,11b 凹凸嵌合部
12a,12b 段付穴
13a,13b リテーナ
14a,14b フック
15a,15b 段付穴
16 足場
17,18,19,20 パイプ
21 ピン
22 抜け止め防止部材
23 パイプ
24 パイプ連結金具
25 パイプ連結金具
26 パイプ連結金具
27a,27b 把持部材
28 把持具本体
29a,29b パイプ把持部
30a,30b 円弧溝(ガイド機構の一部)
30a’,30b’ 溝
31a,31b 突起(ガイド機構の一部)
32a,32b 長穴(ガイド機構の一部)
33 雄ネジ(把持部材固定機構,ガイド機構の一部)
34 貫通孔
35 ガイド機構
36 切欠部
38 ターンバックル
39a,39b 雌ネジ
40 パイプ連結金具
101 パイプ連結金具
102 貫通孔
103 連結金具本体
104 パイプ支持部
105 ピン
106 パイプ把持部材
107 欠切部
108 ピン
109 ツマミ付ナット
110 雄ネジ
111 横溝
112 縦溝
113 パイプ連結金具
114 パイプ支持部
115 連結金具本体
116 雄ネジ
117 ツマミ付ナット
Claims (6)
- オフセットして配備された2本のパイプを把持するための二つの円弧状の把持部材と、これらの把持部材を装着する把持具本体とから成るパイプ連結金具であって、前記把持具本体の両側に前記把持部材の外周部を周方向摺動自在に保持するための円弧溝を有するパイプ把持部を配備し、前記円弧溝の側壁には前記把持部材に沿って延びる円弧状の長穴を穿設すると共に、前記把持部材の周方向一端部の側面に雌ネジを刻設し、前記円弧状の長穴を介して前記円弧溝の側壁を貫通する雄ネジを前記雌ネジに螺合して前記二つの円弧状の把持部材を前記把持具本体に固定したことを特徴とするパイプ連結金具。
- 前記把持具本体は、前記把持部材の外周部を周方向摺動自在に保持するための円弧溝を有するパイプ把持部を一側に配備した一対の把持具本体構成要素を回転自在に接続して形成され、その接続部には、前記把持具本体構成要素同士の成す回転角を所望する値に設定する回転角設定機構を配備したことを特徴とする請求項1記載のパイプ連結金具。
- 前記回転角設定機構は、前記一対の把持具本体構成要素間に生じる回転を許容して該一対の把持具本体構成要素を相互に接近する方向に付勢するスプリングと、前記一対の把持具本体構成要素の接続面の各々に形成された凹凸嵌合部とによって構成されていることを特徴とする請求項2記載のパイプ連結金具。
- オフセットして配備された2本のパイプを把持するための二つの円弧状の把持部材と、これらの把持部材を装着する把持具本体とから成るパイプ連結金具であって、前記把持具本体の両側に前記把持部材の各々と対向する円弧状のパイプ把持部を形成すると共に、この把持具本体と前記把持部材との間に、前記パイプ把持部に対する前記把持部材の接離移動を案内するためのガイド機構と、前記把持部材を任意の接離移動位置で固定するための把持部材固定機構とを一体的に配備したことを特徴とするパイプ連結金具。
- 前記ガイド機構は、前記パイプ把持部の各々に沿って前記把持具本体に形成された円弧溝と、前記各々の把持部材の周方向一端部の側面に設けられて前記円弧溝に摺嵌する突起と、前記把持部材の各々に穿設された円弧状の長穴と、これら円弧状の長穴を貫通して前記把持部材の各々を前記把持具本体の中央部に共締めする雄ネジとによって構成され、前記把持部材固定機構は、前記雄ネジによって構成されていることを特徴とする請求項4記載のパイプ連結金具。
- 前記把持具本体の中央部に前記円弧溝の端部と連絡する切欠部を形成したことを特徴とする請求項5記載のパイプ連結金具。
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