JP3870409B2 - 車両用表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両周囲に存在する障害物等の状態を、その車両の乗員に表示によって報知する車両用表示装置に関し、例えば、代表的な車両である自動車に搭載して好適な表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両周囲の状態を赤外線撮像装置を用いて撮像し、その撮像した画像を運転席の前方に表示する装置が提案されている。これらの装置によれば、ヘッドライトを点灯させたとしても、人間の視覚特性によりドライバが認識することが困難な車両周囲の状況(例えば、夜間、濃霧等)においても、実際には存在する障害物等の状態をドライバは容易に把握することができ、運転操作を効果的に支援することができる。
【0003】
また、特開平8−263784号には、赤外線撮像装置を用いて撮像した温度分布情報を、ナビゲーション用の地図画面に重ね合わせて表示することにより、前方の道路のどの部分に歩行者が存在するかをドライバに報知する技術が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術によれば、ドライバは悪天候においても歩行者の存在を地図画像上で確認することができ、安全運転に寄与することができるが、係る歩行者等の熱源が自車両の至近距離に近づきすぎているときには、ドライバにとってナビゲーション用の地図画像に表示されている情報を認識し難くなり、利便性に欠ける。
【0005】
そこで本発明は、視認性の良くない走行環境における前方障害物の認識と、ナビゲーション用の地図画像の認識とをドライバが容易に行える車両用表示装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る車両用表示装置は、以下の構成を特徴とする。
【0007】
即ち、車両に設けられ、その車両前方を赤外線を利用して撮像する撮像装置と、地図画像情報に基づいて生成した立体的な地図画像と前記撮像装置によって撮像された赤外画像とを、表示画面上で重ね合わせた表示態様で、前記車両に設けられた表示器に表示する表示制御手段とを備える車両用表示装置であって、
前記表示制御手段は、前記地図画像の全体領域に対して、前記赤外画像に含まれるところの、前方に存在する障害物に相当する部分画像領域の占める割合が所定の割合より大きくなったときに、例えば、前記赤外画像の表示を禁止する等の方法により、前記表示態様による表示を規制することを特徴とする。また、表示制御手段は、前記表示器の表示領域内に、前記地図画像と、前記赤外画像とを分けて表示することも好適である。
【0008】
ワイパスイッチの設定状態、フォグランプの点灯状態、或いは、路車間通信機によって取得した視認性情報、の少なくとも何れかを判定する判定手段を備え、
前記表示制御手段は、前記地図画像の全体領域に対して前記部分画像領域が占める割合が大きくとも、前記判定手段による判定により、視認性に問題があると推定できるときには、前記表示態様による表示を継続することも好適である。
【0009】
また、上記の装置構成において、前記表示制御手段は、前記赤外画像に含まれる障害物に相当する部分画像領域を、
・その障害物の輻射熱量を表わす輝度に基づいて判断する、
・或いは、前方に存在する障害物との相対的な距離及び位置を検出する障害物検出手段を更に備えることにより、前記赤外画像に含まれる障害物に相当する部分画像領域を、前記障害物検出手段による障害物の検出結果と、予め設定された前記撮像装置と前記障害物検出手段との前記車両上の配置関係に関する情報とに基づいて判断すると良い。
【0010】
または、上記の同目的を達成するため、本発明に係る車両用表示装置は、以下の構成を特徴とする。
【0011】
即ち、車両に設けられ、その車両前方を赤外線を利用して撮像する撮像装置と、地図画像情報に基づいて生成した立体的な地図画像と前記撮像装置によって撮像された赤外画像とを、表示画面上で重ね合わせた表示態様で、前記車両に設けられた表示器に表示する表示制御手段とを備える車両用表示装置であって、
前記表示制御手段は、前記地図画像の全体領域に対して、前記赤外画像に含まれるところの、前方に存在する障害物に相当する部分画像領域の占める割合が所定の割合より大きくなったときには、前記地図画像を強調表示することを特徴とする。
【0012】
或いは、車両に設けられ、その車両前方を赤外線を利用して撮像する撮像装置と、前方に存在する障害物との相対的な距離及び位置を検出する障害物検出手段と、地図画像情報に基づいて生成した立体的な地図画像と前記撮像装置によって撮像された赤外画像とを、表示画面上で重ね合わせた表示態様で、前記車両に設けられた表示器に表示する表示制御手段とを備える車両用表示装置であって、
前記表示制御手段は、前記障害物と、前記赤外画像に含まれる前記障害物に相当する部分画像領域との対応関係を、前記障害物検出手段による前記障害物の検出結果と、予め設定された前記撮像装置と前記障害物検出手段との前記車両上の配置関係に関する情報とに基づいて判断すると共に、検出された前記障害物との相対的な距離が所定値より短くなったときには、前記表示態様による表示を規制することを特徴とする。
【0013】
【発明の効果】
上記の本発明によれば、視認性の良くない走行環境における前方障害物の認識と、ナビゲーション用の地図画像の認識とをドライバが容易に行える車両用表示装置の提供が実現する。
【0014】
即ち、請求項1、請求項7、請求項8の発明によれば、前方の障害物との相対的な距離が短くなったときには、重ね合わせ表示が規制(例えば、赤外画像の表示禁止(請求項2)、表示器の表示領域内に地図画像と赤外画像とを分けて表示(請求項3)等)されるので、ドライバはナビゲーション用の地図画像(矢印等の経路誘導用の進路ガイダンスシンボルを含む)を容易に認識することができる。
【0015】
また、請求項4の発明によれば、至近距離(例えば1メートル程度前方)に存在する障害物であっても容易に認識することができない濃霧や大雨等の荒天時には、重ね合わせ表示が継続されるので、ドライバの前方視界を確保することを優先することにより、運転操作を効率的に支援することができる。
【0016】
また、請求項5、請求項6の発明によれば、前方に存在する歩行者等の障害物を確実に検出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る車両用表示装置を、代表的な車両である自動車に搭載された表示装置の実施形態として、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態における表示装置のシステム構成を示すブロック構成図である。
【0019】
同図において、2は、ヘッドランプ、スモールランプ、フォグランプのオン・オフ操作が可能なライトスイッチである。11は、ワイパーの動作速度や動作パターンの設定が可能なワイパースイッチである。本実施形態では、赤外線カメラ3によって撮影された画像を前方の視認性が良くない状況下において表示する表示オン・オフの条件を、一例として、ドライバによるライトスイッチ2の操作状態によって判別すると共に、視認性が極めて良くない状況(例えば自車両の前方10メートル程度の視界が確保できないような状況)をワイパースイッチ11の操作状態によって判別するが、これらのスイッチ操作によって推測する方法に限られるものではなく、所定の時間帯(例えば、時間情報やカレンダ情報を参照することにより、夕方や夜間に表示オン、或いは、夏季には19時から5時、冬季には17時から7時まで表示オンにすれば良い)、或いは、外部より通信によって入手した天候状況等(例えば、雨天や濃霧の時に表示オン)を利用して判別しても良い。
【0020】
3は、自車両の前方を赤外線を利用して撮像する赤外線カメラであり、この赤外線カメラ3は、車両先頭部分における設置スペースの関係から、車両前後方向に延びる中央軸上から右方向にB(メートル)オフセットされた位置に搭載されている。ここで、オフセット量Bは、表示制御装置1のメモリに予め記憶しておく。
【0021】
4は、レーザレーダ、或はミリ波レーダ等を利用することにより、前方に存在する障害物との相対距離を検出する前方障害物センサであり、この前方障害物センサ5は、車両前後方向に延びる中央軸上に搭載されている。
【0022】
5は、外部より受信したGPS(グローバル・ポジショニング・システム)信号に基づいて自車両の現在位置を検出するGPSセンサである。6は、ナビゲーション機能をオン・オフ可能なナビゲーションメインスイッチである。
【0023】
7は、表示装置9Aまたは9Bに表示される地図画像のスクロールを指示可能な地図スクロールスイッチである。8は、経路誘導を希望する所望の目的地を設定可能な目的地設定スイッチである。
【0024】
9A及び9Bは、地図データベース10に予め格納されている地図情報に基づく地図画像及び/または赤外線カメラ3により撮像された画像(以下、赤外画像:図8(a)の表示例参照)を表示する液晶表示器またはヘッドアップディスプレイ等の表示装置である。
【0025】
ここで、表示装置9A(第1表示器)は、自車両の運転席前方であってドライバが前方を凝視したときに大きな視線移動を行わずに容易に表示画像を見ることができる位置であって、ドライバにとって視認性の良好な高い位置(ダッシュボードの中央位置近傍であってもよい)に配設されている。また、表示装置9B(第2表示器)は、表示装置9Aの配設位置と比較してドライバが前方を凝視したときの視線範囲の外延部寄りとなるセンターコンソールに配設されている。
【0026】
12は、前方に存在する障害物に関する情報や、雨天や濃霧等の視認性に関する情報等を外部より受信可能な路車間通信機である。
【0027】
そして、1は、地図データベース10に予め格納されている地図情報に基づく地図画像の表示制御を行うと共に、GPSセンサ5によって検出された現在位置情報や、その現在位置情報に対応する地図情報等を利用して、乗員(ドライバ)が設定した所望の目的地への経路誘導を行う一般的なナビゲーション装置の制御機能と、赤外画像を利用した表示制御(詳細は後述する)とを行う表示制御装置である。この表示制御装置1によるナビゲーション制御及び表示制御は、予めメモリに格納されたソフトウエアを、不図示のCPUが実行することによって実現される。
【0028】
尚、本実施形態において、表示制御装置1による地図画像の表示態様は、図8(b)に例示するように、ドライバが運転席から見る前方の視界と同様な立体視が可能なタイプであり、経路誘導に際しては、表示画面に自車両が進行すべき矢印のシンボルが表示されるタイプを前提とする。尚、地図情報に基づいて立体的な地図画像を表示する方法は、一般的なものを採用するものとし、本実施形態における説明は省略する。
【0029】
次に、本実施形態において表示制御装置1が行う具体的な制御処理について説明する。
【0030】
表示制御装置1は、ナビゲーション機能による立体的な地図画像を表示するに際して、自車両の走行路の前方位置に、前方障害物の赤外画像を重ね合わせて表示することにより、ドライバにとって視認性の悪い走行環境においても、前方に存在する障害物の種類や大きさ及び存在位置(走行路との関係)の認知性を向上させる。その際、所望の目的地への経路誘導が行われており、且つ、前方の障害物との相対的な距離が短くなったときには、重ね合わせ表示を継続するとナビゲーション用の地図画像に含まれる情報(矢線等のガイダンス表示)の認識がドライバにとって容易でなくなるので、そのような場合には、当該重ね合わせ表示を規制(本実施形態では赤外画像の表示禁止)することにより、ナビゲーション用の地図画像のドライバによる認識性を確保する。
【0031】
但し、至近距離(例えば1メートルから数メートル程度前方)に存在する障害物であっても容易に認識することができない濃霧や大雨等の荒天時等の極めて視認性が悪い状況下においては、重ね合わせ表示を継続することにより、ドライバの運転操作を効率的に支援する。
【0032】
次に、地図画像と赤外画像とを重ね合わせて表示する上で行わなければならない赤外線カメラ3と地図画像の表示基準との調整方法について、自車両が走行している道路が1車線の自動車専用道路である場合と、複数車線の自動車専用道路である場合とに分けて説明する。
【0033】
<走行路が1車線の道路である場合>
まず、自車両が走行する道路が、基本的には人間が走行路上に存在することがない1車線の自動車専用道路であり、地図画像に、赤外画像のうち前方障害物としての車両の部分画像だけを重ね合わせて表示する場合について説明する。この場合における表示態様としては、自車両と同じ車線を走行する前方車両の赤外画像を、その走行中の道路の走行レーンの中央を基準として表示すると良い。
【0034】
より具体的な動作として、表示制御装置1は、自車両が走行中の走行レーンの略中央に位置するように、図8(b)に例示するような地図画像を、現在位置の変化に応じて地図画像を次第にスクロールしながら、表示装置9Aまたは9Bに表示する。その際、前方に先行する車両が存在する場合には、赤外線カメラ3の赤外画像のうち当該車両の部分画像だけを、当該走行レーンの略中央に位置するように重ね合わせ、図8(d)に例示するような表示態様の画像を表示する。
【0035】
ここで、赤外画像(前方車両を表わす部分画像)のずらし量は、前方障害物センサ4によって検出した前方車両の自車両に対する相対位置、オフセット量B、そして赤外画像及び地図画像のそれぞれの縮尺に基づいて設定する。例えば、両画像とも縮尺が1/2で、前方車両が自車両の中央軸から左にA(m)ずれた位置に存在し、上記の如く赤外線カメラ3のオフセット量が右にB(m)である場合、赤外画像のずらし量は、右方向に、(A−B)×1/2(m)である。
【0036】
尚、縮尺1/nとは、自車両の前方に存在する障害物に対するドライバの眼の横方向(水平方向)の視野角と、表示装置9Aに表示されている障害物に対するドライバの眼の横方向(水平方向)の視野角との比を表わし、予め実験により求めた値である。
【0037】
そして、表示制御装置1は、設定された縮尺で地図画像を表示するに際して、その縮尺に応じて赤外画像全体を拡大または縮小(両画像の縮尺が同じ場合はそのまま)すると共に、上記の如く算出したずらし量だけ横方向にずらし、その赤外画像の中から前方車両の部分画像を抽出し、その部分画像を、地図画像上に重ねて表示する。これにより、地図画像に前方車両の部分画像をそのまま重ね合わせた場合には図8(c)のような表示画面となるところを、図8(d)の如くドライバの運転席からの視界に応じた表示画面とすることができる。
【0038】
尚、赤外線カメラ2の画角と、前方障害物センサ4の検出範囲との対応関係は予めメモリに記憶しておくことにより、前方車両に相当する部分画像の抽出は、前方障害物センサ4の検出結果(自車両に対する距離及び位置)と、当該対応関係とに基づいて、赤外画像全体の中から検出することによって容易に抽出できる。また、熱源としての一般的な車両の温度特性も予めメモリに記憶しておき、部分画像の抽出に際して参照しても良い。
【0039】
<走行路が複数車線の道路である場合>
次に、自車両が走行する道路が、基本的には人間が走行路上に存在することがない複数車線の自動車専用道路であり、地図画像に、赤外画像の全体を重ね合わせて表示する場合について説明する。この場合における表示態様としては、検出した現在位置に基づいて地図情報を参照することにより、自車両が走行している車線を複数車線の中から検出し、自車両と同じ車線を走行する前方車両の赤外画像を、検出した車線の中央を基準として、走行路が1車線の道路である図8(d)と同様な表示を行うと良い。
【0040】
より具体的な動作として、赤外画像のずらし量は、オフセット量B、そして赤外画像及び地図画像のそれぞれの縮尺に基づいて設定する。例えば、両画像とも縮尺が1/2で、上記の如く赤外線カメラ3のオフセット量が右にB(m)である場合、赤外画像のずらし量は、左方向に、B×1/2(m)である。
【0041】
そして、表示制御装置1は、設定された縮尺で地図画像を表示するに際して、その縮尺に応じて赤外画像全体を拡大または縮小(両画像の縮尺が同じ場合はそのまま)すると共に、上記の如く算出したずらし量だけ赤外画像を横方向にずらし、地図画像上に重ねて表示する(尚、上記の複数車線の場合においても、1車線の場合と同様に前方車両の部分画像だけを地図画像に重ね合わせても良い)。
【0042】
尚、上述した1車線及び複数車線の何れの場合においても、自車両が走行レーンの中央から大きくずれている場合には、上記の如く赤外画像(またはその部分画像)をずらした上で、自車両が実際に存在する位置に重ね合わせて表示すると、表示画面とドライバの実際の視界とのずれが大きく、違和感を生じることが予想される。
【0043】
そこで、走行レーンに対する自車両の横位置(ずれ量)を検出し、検出した横位置が当該走行レーンの中央から所定量を越えて離れていると判定したときには、そのずれ量の分だけ、地図画像上に表示する障害物(前方車両)の表示位置をずらす、或いは、地図画像をずらすと良い。例えば、検出した横位置が右方向に1メートルであるときは、障害物の表示位置を、(1×縮尺)メートルだけ右方向にずらす、或いは、表示画面の略中央に、走行レーンの中央から右方向に(1×縮尺)メートルだけ偏ったラインが表示されるようにすれば良い。
【0044】
尚、走行レーンに対する横位置の検出方法は、現在では一般的であるため、説明は省略する。
【0045】
<表示制御処理>
次に、上述した1車線または複数車線の場合における表示態様を実現すべく表示制御装置1が行う表示制御処理の手順について説明する。
【0046】
図2及び図3は、第1の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【0047】
同図において、ステップS1:路車間通信機12の受信データの入力、各種センサの検出結果や各種操作スイッチの操作状態を入力する。
【0048】
ステップS2:ライトスイッチ2の操作状態を検出し、当該スイッチがオン状態に操作されているときには、ステップS3に進み、当該スイッチがオフ状態に操作されているときには、ステップS3に進む。
【0049】
ステップS3:回避すべき人間等の障害物(熱源)として、赤外画像において輝度がしきい値Aよりも大きな部分画像領域を検出すると共に、その大きな部分画像領域の当該赤外画像の全体領域に対する大きさ(面積)の割合を算出する。
【0050】
ここで、しきい値Aには、ナビゲーション用の地図画像の視認性が悪くなっているような値を予め実験等によって求めておき、その値を設定しておく。
【0051】
尚、面積割合の計算においては、画像周辺部の重み付けを、中心部と比較して小さく設定しても良い。例えば、赤外画像の全体領域を中心部と周辺部とに分け、周辺部の高輝度部分の面積に0.3程度の係数をかけた値と、中心部の高輝度部分の面積とを加算した高輝度部分を、当該赤外画像の全体領域と比較すれば良い。
【0052】
ステップS4,ステップS5:算出した面積割合が70%より大きいときには、視認性が極めて悪い走行環境であるかを判断する。ステップS5における判断には、ワイパスイッチ11の設定状態、ライトスイッチ2によってフォグランプが点灯状態に設定されているか等によって推定する、或いは、路車間通信機12によって情報を直接取得しても良い。そして、ステップS4にて面積割合が70%以下のときには、地図画像が見難くなるほど前方の障害物との距離は短くはないと判断できるのでステップS7に進み、ステップS5の判断で視認性が極めて悪いと判断されたときにも、赤外画像が表示されているべきであるのでステップS7に進む。
【0053】
ステップS6:ステップS5の判断で視認性が極めて悪いとは判断されなかったものの、視認性が良い走行環境ではないとステップS2にて判断しているので、本ステップでは、障害物の認識を容易にすべく、第1表示器である表示装置9Aに、赤外画像だけを表示する。
【0054】
ステップS7:前段のステップにより、視認性が良い走行環境、視認性が良くなくても前方の障害物との距離は地図画像が見難くなるほど短くはない走行環境、或いは、視認性が極めて悪い走行環境の何れかの状態であると判断されているので、本ステップでは、第1表示器である表示装置9Aに、上述した表示態様の如く、ナビゲーション機能による地図画像と、赤外画像(またはその部分画像)とを重ね合わせて表示する。
【0055】
ステップS8:ナビゲーションメインスイッチ6の操作状態を検出し、当該スイッチの操作状態に応じて、オン状態に操作されているときにはステップS9に進み、オフ状態に操作されているときにはリターンする。
【0056】
ステップS9:GPSセンサ5によって検出された現在位置情報に基づいて、現在位置近傍の地図画像情報を地図データベース10から読み出し、その地図画像情報に応じた地図画像を、第2表示器である表示装置9Bに表示すると共に、その地図画像上に、現在位置を表わすシンボルを表示する。
【0057】
ステップS10:目的地設定スイッチ8の操作状態を検出することにより、ドライバによって目的地が設定され、その目的地への経路誘導が行われているかを判断し、この判断で経路誘導中のときにはステップS11に進み、そうでないときにはリターンする。
【0058】
ステップS11:設定されている目的地への経路誘導において、車線変更や右左折すべき地点までの距離が所定距離より短く、ガイダンス表示すべきタイミングであるかを判断し、この判断でガイダンス表示が必要なときにはステップS12に進み、そうでないときにはリターンする。
【0059】
ステップS12:ライトスイッチ2がオン状態に操作され、表示装置9Aに地図画像と赤外画像とが重ね合わされて表示されている状態かを判断し、この判断でYES(当該スイッチ:オン)のときにはステップS13に進み、NO(当該スイッチ:オフ)のときにはステップS17に進む。
【0060】
ステップS13〜ステップS15:算出した部分画像領域の面積割合が50%より大きいか否かを基準として、上述したステップS3乃至ステップS5の各ステップと同様の手順で判断を行う。そして、ステップS14にて面積割合が50%以下のときには、前方の障害物との距離は地図画像が見難くなるほど短くはないと判断できるのでステップS16に進み、ステップS15の判断で視認性が極めて悪いと判断されたときにも、赤外画像が表示されているべきであるのでステップS16に進む。そして、ステップS14にて面積割合が50%より大きく、且つステップS15にて視認性が極めて悪い走行環境であるとは判断されていないので、経路誘導路のドライバによる認識を容易にすべく、赤外画像の表示を規制して地図画像だけを表示すべくステップS17に進む。
【0061】
ここで、判断基準を50%としたのは、本ステップでは、経路誘導が行われている状態なので、ディスプレイ上における地図画像の視認性はステップS4の場合よりも重要であるという理由による。
【0062】
ステップS16:表示装置9Aに表示中の画面(地図画像と赤外画像とが重ね合わされた表示画面)に進路ガイダンス用の矢印を更に重ね合わせて表示する。
【0063】
ステップS17:表示装置9Aに前方の道路を表わす地図画像を表示し、その地図画像に進路ガイダンス用の矢印を表示する。
【0064】
上述した本実施形態によれば、自車両の走行路の前方位置に、前方障害物の赤外画像を重ね合わせて表示することにより、ドライバにとって視認性の悪い環境においても、前方に存在する障害物の種類や大きさ及び存在位置(走行路との関係)の認知性を向上させることができ、ドライバの運転操作を効率的に支援することができる。
【0065】
また、経路誘導中において、前方の障害物との相対的な距離が短くなったときには、重ね合わせ表示を規制(本実施形態では赤外画像の表示禁止)されるので、ナビゲーション用の地図画像(及びその地図画像内の進路ガイダンス用の矢印)のドライバによる認識性を確保することができる。また、そのような場合であっても、至近距離(例えば1メートルから数メートル程度前方)に存在する障害物であっても容易に認識することができない濃霧や大雨等の荒天時等の極めて視認性が悪い状況下においては、重ね合わせ表示が継続されるので、ドライバの運転操作を効率的に支援することができる。
【0066】
また、図2及び図3に示す表示制御処理との組み合わせにより、2つの表示器が適切に使い分けられるので、ドライバが運転操作に伴って積極的に必要としない状況において、地図画像や赤外画像が視界の中央よりの表示装置9Aにおいて表示されることによるドライバの違和感(煩わしさ)を防止することができる。
【0067】
尚、上述した本実施形態では、ステップS15においてYES(視認性が極めて悪い)のときには、ステップS16にて重ね合わせ表示を行う代わりに、表示装置9Aの表示領域内に、地図画像と、赤外画像とを2つの表示領域(例えば左右)に分けて表示しても良い。
【0068】
[第2の実施形態]
次に、上述した第1の実施形態に係る車両用表示装置を基本とする第2の実施形態を説明する。以下の説明においては、第1の実施形態と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0069】
上述した図2及び図3の表示制御処理では、赤外画像の表示条件(ライトスイッチ2がオン)が成立したときには、常に、地図画像と赤外画像(またはその部分画像)とを重ね合わせて表示したが、係る表示画面は、地図画像に赤外画像全体を重ね合わせる場合、表示画面内における物体の輪郭線が重複する等、鮮明さに欠け、ドライバの視覚に負担を与えることも予想される。
【0070】
そこで、本実施形態では、係る表示条件が成立した場合であっても、障害物が検出されていないときには、現在位置に応じた地図画像の表示だけを行い、障害物が検出されたときにだけ、第1の実施形態と同様に、地図画像と赤外画像とを重ね合わせて表示する。
【0071】
尚、本実施形態においても、上述した1車線または複数車線の場合における赤外画像のずらし量の算出方法は同様であり、重複する説明は省略する。
【0072】
図4及び図5は、第2の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【0073】
同図において、第1の実施形態における図2及び図3のフローチャートとは、ステップS22におけるライトスイッチ2の操作状態の判断において当該スイッチがオンである場合には、まず、ステップS23において、第1表示器である表示装置9Aに現在位置に応じた地図画像を表示する。そして、ステップS24において赤外線カメラ3による赤外画像の中に、前方車両を表わす熱源が含まれるかを、当該赤外画像内に輝度がしきい値C(<しきい値A)より大きな部分画像領域が含まれているかによって判断し、この判断で前方車両が検出された場合にだけ、ステップS25以降の処理に進む点が異なる。
【0074】
ステップS30以降の各ステップの処理は、図3のステップS8以降の各ステップの処理と同様である。
【0075】
このような本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に前方に存在する障害物の種類や大きさ及び存在位置(走行路との関係)の認知性を向上させることができ、ドライバの運転操作を効率的に支援することができるのに加え、障害物が存在しない場合には、地図画像だけが表示され、地図画像と赤外画像とが重ね合わされた表示画面の表示機会を減らすことができるので、ドライバの視覚に対する負担を軽減することができる。
【0076】
また、経路誘導中において、前方の障害物との相対的な距離が短くなったときには、重ね合わせ表示を規制(本実施形態では赤外画像の表示禁止)されるので、ナビゲーション用の地図画像(及びその地図画像内の進路ガイダンス用の矢印)のドライバによる認識性を確保することができる。また、そのような場合であっても、至近距離(例えば1メートルから数メートル程度前方)に存在する障害物であっても容易に認識することができない濃霧や大雨等の荒天時等の極めて視認性が悪い状況下においては、重ね合わせ表示が継続されるので、ドライバの運転操作を効率的に支援することができる。
【0077】
[第3の実施形態]
次に、上述した第1の実施形態に係る車両用表示装置を基本とする第3の実施形態を説明する。以下の説明においては、第1の実施形態と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0078】
上述した第1の実施形態では、地図画像の表示を基本として捉え、表示中の地図画像に対して、赤外画像を重ね合わせる構成を説明したが、本実施形態では、赤外画像の表示を基本として捉え、赤外画像を表示している場合において、ナビゲーション機能による経路誘導すべき地点(地点近傍)に到達したときには、その赤外画像に対して、進路ガイダンス用の矢印のシンボルを重ね合わせて表示する。
【0079】
ここで、本実施形態における赤外画像と矢印のシンボルとの重ね合わせの方法について説明する。
【0080】
本実施形態においても、赤外線カメラ3は、車両前後方向に延びる中央軸上から右方向にB(m)オフセットされた位置に搭載されているので、自車両が走行レーンの略中央を走っている場合において、赤外画像の中心線は、その走行レーンの中心線から赤外線カメラ3のオフセット量B(m)分ずれた位置になる。
【0081】
また、一般的なナビゲーション機能による経路誘導は、自車両の走行レーンの中心線が表示画面の中心線上に配置されるように、現在位置の変化に応じて地図画像がスクロールし、経路誘導のガイダンス用の矢印は、その矢印の始点が自車両の走行レーンの中心線上に位置するように表示される。
【0082】
従って、赤外画像内における自車両の走行レーンの中心線上に、進路ガイダンス用の矢印を表示するには、赤外線カメラ3のオフセット量だけ、その矢印のシンボルをずらしてから重ね合わせる必要がある。
【0083】
即ち、赤外線カメラ3の配置位置のオフセット量が右側にB(m)である場合、その値に、赤外画像と地図画像との間の縮尺を掛けた値が、進路ガイダンス用の矢印のすらし量になる。例えば、赤外画像の縮尺が1/2であり、地図画像の縮尺が1/3である場合において、進路ガイダンス用の矢印のずらし量は、C×1/2×3/2(m)である。
【0084】
<表示制御処理>
次に、上記の如く赤外画像に対して進路ガイダンス用の矢印を重ね合わせて表示すべく、本実施形態において表示制御装置1が行う表示制御処理の手順について説明する。
【0085】
図6は、第3の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【0086】
同図において、ステップS41:図2のステップS1と同様に、各種センサの検出結果等を入力する。
【0087】
ステップS42,ステップS43:ライトスイッチ2の操作状態を検出し(ステップS42)、当該スイッチがオン状態に操作されているときには、ステップS43において、第1表示器である表示装置9Aに、赤外画像を表示する。一方、当該スイッチがオフ状態に操作されているときには、ステップS44に進む。
【0088】
ステップS44:ナビゲーションメインスイッチ6の操作状態を検出し、当該スイッチの操作状態に応じて、オン状態に操作されているときにはステップS45に進み、オフ状態に操作されているときにはリターンする。
【0089】
ステップS45:GPSセンサ5によって検出された現在位置情報に基づいて、現在位置近傍の地図画像情報を地図データベース10から読み出し、その地図画像情報に応じた地図画像を、第2表示器である表示装置9Bに表示すると共に、その地図画像上に、現在位置を表わすシンボルを表示する。
【0090】
ステップS46:目的地設定スイッチ8の操作状態を検出することにより、ドライバによって目的地が設定され、その目的地への経路誘導が行われているかを判断し、この判断で経路誘導中のときにはステップS47に進み、そうでないときにはリターンする。
【0091】
ステップS47:設定されている目的地への経路誘導において、車線変更や右左折すべき地点までの距離が所定距離より短く、ガイダンス表示すべきタイミングであるかを判断し、この判断でガイダンス表示が必要なときにはステップS48に進み、そうでないときにはリターンする。
【0092】
ステップS48〜ステップS53:第1の実施形態における図3のステップS12乃至ステップS17の各ステップと同様な処理を行うことにより、表示装置9Aに表示中の赤外画像に、上記の如く表示位置を調整した(ずらした)進路ガイダンス用の矢印を重ね合わせて表示する(ステップS52)、或いは、表示装置9Aに前方の道路を表わす地図画像を表示し、その地図画像に進路ガイダンス用の矢印を表示する(ステップS53)。
【0093】
上述した本実施形態によっても、自車両の走行路の前方位置に、前方障害物の赤外画像を重ね合わせて表示することにより、ドライバにとって視認性の悪い環境においても、前方に存在する障害物の種類や大きさ及び存在位置(走行路との関係)の認知性を向上させることができ、ドライバの運転操作を効率的に支援することができる。
【0094】
また、第1及び第2の実施形態と同様な経路誘導中における重ね合わせ表示の規制により、ナビゲーション用の地図画像(及びその地図画像内の進路ガイダンス用の矢印)のドライバによる認識性の確保と、濃霧や大雨等の荒天時等の極めて視認性が悪い状況下における前方視界の確保とを効果的に行うことができる。
【0095】
[第4の実施形態]
次に、上述した第3の実施形態に係る車両用表示装置を基本とする第4の実施形態を説明する。以下の説明においては、第3の実施形態と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0096】
上述した第3の実施形態では、赤外画像の表示中に経路誘導がなされている場合に、進路ガイダンス用の矢印の表示条件が成立したときには矢印のシンボルを表示したが、本実施形態では、赤外画像に基づいて障害物が検出されたときにだけ、赤外画像中に矢印を重ね合わせる。
【0097】
尚、本実施形態においても、上述した進路ガイダンス用の矢印のずらし量の算出方法は同様であり、重複する説明は省略する。
【0098】
図7は、第4の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【0099】
同図において、第3の実施形態における図6のフローチャートとは、ステップS68におけるライトスイッチ2の操作状態の判断において当該スイッチがオンである場合には、まず、ステップS69において、赤外線カメラ3による赤外画像の中に、歩行者や前方車両等の障害物を表わす輻射熱源が含まれるかを判断し、この判断で障害物が検出された場合にだけ、ステップS70以降の処理を行い、赤外画像に障害物が含まれていないときには、ステップS74において、表示装置9Aに前方の道路を表わす地図画像を表示し、その地図画像に進路ガイダンス用の矢印を表示する点が異なる。
【0100】
上記のステップS68以前の各ステップの処理は、図6のステップS48以前の各ステップの処理と同様である。
【0101】
このような本実施形態によれば、第3の実施形態と同様に前方に存在する障害物の種類や大きさ及び存在位置(走行路との関係)の認知性を向上させることができ、ドライバの運転操作を効率的に支援することができるのに加え、障害物が存在しない場合には、地図画像上に進路ガイダンス用の矢印だけが表示され、赤外画像と進路ガイダンス用の矢印とが重ね合わされた表示画面の表示機会を減らすことができるので、ドライバの判断を容易にすることができる。
【0102】
また、第1乃至第3の実施形態と同様な経路誘導中における重ね合わせ表示の規制により、ナビゲーション用の地図画像(及びその地図画像内の進路ガイダンス用の矢印)のドライバによる認識性の確保と、濃霧や大雨等の荒天時等の極めて視認性が悪い状況下における前方視界の確保とを効果的に行うことができる。
【0103】
[第5の実施形態]
上述した第1乃至第4の実施形態では、前方の障害物と自車両との位置関係を、撮影した赤外画像における面積割合に基づいて判断したが、本実施形態では、前方障害物センサ4の検出結果を利用する。以下の説明においては、第1乃至第4の実施形態と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0104】
図9及び図10は、第5の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートのうち、第1乃至第4の実施形態(図2乃至図7)と異なる部分を抜粋したフローチャートである。具体的には、
・第1の実施形態(図2及び図3)におけるステップS3乃至ステップS6が図9に示すフローチャートに置換され、且つステップS13乃至ステップS15が図10に示すフローチャートに置換された実施形態と、
・第2の実施形態(図4及び図5)におけるステップS25乃至ステップS28が図9に示すフローチャートに置換され、且つステップS35乃至ステップS37が図10に示すフローチャートに置換された実施形態と、
・第3の実施形態(図6)におけるステップS49乃至ステップS51が図10に示すフローチャートに置換された実施形態と、
・第4の実施形態(図7)におけるステップS70乃至ステップS72が図10に示すフローチャートに置換された実施形態とを想定している。
【0105】
以下、図9及び図10のフローチャートの各ステップについて説明する。
【0106】
図9のステップS1001:前方障害物センサ4の検出結果により、前方に存在する障害物との相対的な距離を求める。このとき、当該センサによって検出された障害物と、赤外画像に含まれる障害物であろう部分画像領域との対応関係は、本願出願人が先行する特願平11−253309号等において提案している方法を採用すれば良い。ここで、その方法について説明する。
【0107】
図20は、前方障害物センサ4の検出範囲を上から見た様子を示す図であり、その検出範囲内に、図19に例示した赤外線カメラ3による撮影画像に対応するところの、障害物A(先行する他車両)と障害物B(歩行者)とが含まれる場合を示している。
【0108】
本実施形態において、前方障害物センサ4による障害物A及び障害物Bの検出結果は、自車両と障害物Aとの距離Da及び中心軸とのなす角度θa(≒0)、並びに自車両と障害物Bとの距離Db及び中心軸との角度θbとして得られる。
【0109】
従って、前方障害物センサ4の検出範囲における中心軸と、赤外線カメラ3の撮像面(画角)の座標軸との位置関係を予め対応させておけば、前方障害物センサ4から出力される障害物までの距離D及び角度θを、当該撮像面において、図19に示すように、距離Dは当該撮像面の下辺からのライン数(画素数)としてカウントし、角度θは、当該撮像面の左右の中心線からの画素数としてカウントすることにより、そのカウントによって特定される当該撮像面内の位置(画素)を含む輻射熱源は、前方障害物センサ4によって検出された障害物の全体形状に相当すると判断できる。従って、このような処理をステップS1001において行えば、赤外線カメラ3の撮影画像に含まれる障害物と、その障害物までの距離Dとを関連付けることができる。
【0110】
ステップS1002,ステップS1003:前方障害物センサ4によって検出され、且つ赤外画像に含まれる部分画像領域との関連付けがなされた障害物までの距離が1メートルより短いときには、図2のステップS5と同様に視認性が極めて悪い走行環境であるかを判断する。そして、ステップS1002にて障害物までの距離が1メートル以上あるときには、前方の障害物との距離は地図画像が見難くなるほど短くはないと判断できるので赤外画像と地図画像とを重ね合わせ表示する処理ステップに進み、ステップS1003の判断で視認性が極めて悪いと判断されたときにも、赤外画像が表示されているべきであるので重ね合わせ表示の処理ステップに進む。
【0111】
ステップS1004:ステップS1003の判断で視認性が極めて悪いとは判断されなかったので、ナビゲーション用の地図画像の表示を優先するために、第1表示器である表示装置9Aに、ナビゲーション機能による地図画像だけを表示する。
【0112】
次に、図10のステップS1101乃至ステップS1103の各ステップでは、1.5メートルを判断の基準として、上述した図9のステップS1001乃至ステップS1003と同様な手順で処理を行う。この場合、判断基準を1.5メートルとしてステップS1002の判断基準(1メートル)より大きな値としたのは、本ステップでは、経路誘導が行われている状態なので、ディスプレイ上における地図画像の視認性はステップS1002の場合よりも重要であるという理由による。
【0113】
上述した図9及び図10の処理を採用することにより、前方障害物センサ4によって検出された障害物までの距離に従って表示制御を行っても、第1乃至第4の実施形態と同様な効果を享受することができる。
【0114】
[第6の実施形態]
次に、上述した第1の実施形態に係る車両用表示装置を基本とする第6の実施形態を説明する。以下の説明においては、第1の実施形態と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0115】
図11及び図12は、第6の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【0116】
同図において、第1の実施形態における図2及び図3のフローチャートとは、ステップS6(図2)の地図画像の表示ステップがステップS106に置換されることと、ステップS15(図12のステップS115に対応)の判断において視認性が極めて悪いときに行うステップS116が追加されている点が異なる。
【0117】
即ち、本実施形態では、ステップS106では、第1表示器である表示装置9Aに赤外画像と地図画像とを重ね合わせて表示するが、その際、ドライバによる地図画像の認識性を向上すべく、地図画像の輝度を、赤外画像を表示していない通常の場合と比較して高輝度(高いコントラスト)で表示する。また、ステップS116では、第1表示器である表示装置9Aに赤外画像と地図画像とを重ね合わせて表示するが、その際、ドライバによる地図画像及び進路ガイダンス用の矢印の認識性を向上すべく、当該矢印の輝度を、赤外画像を表示していない通常の場合と比較して高輝度(高いコントラスト)で表示する。それ以外の処理手順は第1の実施形態と同様なため、説明を省略する。
【0118】
尚、地図画像の輝度を高くする代わりに、赤外画像の輝度を低くした状態で、両画像の重ね合わせを行っても良い。
【0119】
このような本実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果を享受することができる。
【0120】
[第7の実施形態]
次に、上述した第2の実施形態に係る車両用表示装置を基本とする第7の実施形態を説明する。以下の説明においては、第2の実施形態と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0121】
図13及び図14は、第7の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【0122】
同図において、第2の実施形態における図4及び図5のフローチャートとは、ステップS28(図4)の地図画像の表示ステップがステップS128に置換されることと、ステップS37(図14のステップS137に対応)の判断において視認性が極めて悪いときに行うステップS138が追加されている点が異なる。そして、ステップS128及びステップS138にて行う処理は、上述した第6の実施形態におけるステップS106及びステップS116と同様である。また、それ以外の処理手順は第2の実施形態と同様なため、説明を省略する。
【0123】
このような本実施形態によっても、第2の実施形態と同様な効果を享受することができる。
【0124】
[第8の実施形態]
次に、上述した第3の実施形態に係る車両用表示装置を基本とする第8の実施形態を説明する。以下の説明においては、第3の実施形態と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0125】
図15は、第8の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【0126】
同図において、第3の実施形態における図6のフローチャートとは、ステップS51(図15のステップS161に対応)の判断において視認性が極めて悪いときに行うステップS162が追加されている点が異なる。そして、ステップS162にて行う処理は、上述した第6の実施形態におけるステップS116と同様である。また、それ以外の処理手順は第2の実施形態と同様なため、説明を省略する。
【0127】
このような本実施形態によっても、第3の実施形態と同様な効果を享受することができる。
【0128】
[第9の実施形態]
次に、上述した第4の実施形態に係る車両用表示装置を基本とする第9の実施形態を説明する。以下の説明においては、第4の実施形態と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0129】
図16は、第9の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【0130】
同図において、第4の実施形態における図7のフローチャートとは、ステップS72(図16のステップS182に対応)の判断において視認性が極めて悪いときに行うステップS183が追加されている点が異なる。そして、ステップS183にて行う処理は、上述した第6の実施形態におけるステップS116と同様である。また、それ以外の処理手順は第4の実施形態と同様なため、説明を省略する。
【0131】
このような本実施形態によっても、第4の実施形態と同様な効果を享受することができる。
【0132】
[第10の実施形態]
上述した第6乃至第9の実施形態では、前方の障害物と自車両との位置関係を、撮影した赤外画像における面積割合に基づいて判断したが、本実施形態では、前方障害物センサ4の検出結果を利用する。以下の説明においては、上述した各と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0133】
図17及び図18は、第10の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートのうち、第6乃至第9の実施形態(図11乃至図16)と異なる部分を抜粋したフローチャートである。具体的には、
・第6の実施形態(図11及び図12)におけるステップS103乃至ステップS106が図17に示すフローチャートに置換され、且つステップS113乃至ステップS116が図18に示すフローチャートに置換された実施形態と、
・第7の実施形態(図13及び図14)におけるステップS125乃至ステップS128が図17に示すフローチャートに置換され、且つステップS135乃至ステップS138が図18に示すフローチャートに置換された実施形態と、
・第8の実施形態(図15)におけるステップS159乃至ステップS162が図18に示すフローチャートに置換された実施形態と、
・第9の実施形態(図16)におけるステップS180乃至ステップS183が図18に示すフローチャートに置換された実施形態とを想定している。
【0134】
そして、図17及び図18のフローチャートは、第5の実施形態において説明した図9及び図10のフローチャートと略同様な処理手順であり、異なるのは、ステップS1004の地図画像の表示ステップがステップS2004に置換されることと、ステップS103(図18のステップS2103に対応)の判断において視認性が極めて悪いときに行うステップS2104が追加されている点が異なる。そして、ステップS2004及びステップS2104にて行う処理は、上述した第6の実施形態におけるステップS106及びステップS116と同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における表示装置のシステム構成を示すブロック構成図である。
【図2】第1の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【図7】第4の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【図8】表示装置への地図画像等の表示例を示す図である。
【図9】第5の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートのうち、第1乃至第4の実施形態(図2乃至図7)と異なる部分を抜粋したフローチャートである。
【図10】第5の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートのうち、第1乃至第4の実施形態(図2乃至図7)と異なる部分を抜粋したフローチャートである。
【図11】第6の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【図12】第6の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【図13】第7の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【図14】第7の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【図15】第8の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【図16】第9の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートである。
【図17】第10の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートのうち、第6乃至第9の実施形態(図11乃至図16)と異なる部分を抜粋したフローチャートである。
【図18】第10の実施形態における表示制御装置1による表示制御処理を示すフローチャートのうち、第6乃至第9の実施形態(図11乃至図16)と異なる部分を抜粋したフローチャートである。
【図19】赤外線カメラによる撮影画像を例示する図である(通常表示の場合)。
【図20】前方障害物センサ4の検出範囲を上から見た様子を示す図である。
【符号の説明】
1:表示制御装置,
2:ライトスイッチ,
3:赤外線カメラ,
4:前方障害物センサ,
5:GPSセンサ,
6:ナビゲーションメインスイッチ,
7:地図スクロールスイッチ,
8:目的地設定スイッチ,
9A,9B:表示装置,
10:地図データベース,
11:ワイパスイッチ,
12:路車間通信機,
Claims (8)
- 車両に設けられ、その車両前方を赤外線を利用して撮像する撮像装置と、地図画像情報に基づいて生成した立体的な地図画像と前記撮像装置によって撮像された赤外画像とを、表示画面上で重ね合わせた表示態様で、前記車両に設けられた表示器に表示する表示制御手段とを備える車両用表示装置であって、
前記表示制御手段は、前記地図画像の全体領域に対して、前記赤外画像に含まれるところの、前方に存在する障害物に相当する部分画像領域の占める割合が所定の割合より大きくなったときには、前記表示態様による表示を規制することを特徴とする車両用表示装置。 - 前記表示制御手段は、前記表示態様を規制すべく、前記赤外画像の表示を禁止することを特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。
- 前記表示制御手段は、前記表示器の表示領域内に、前記地図画像と、前記赤外画像とを分けて表示することを特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。
- 更に、ワイパスイッチの設定状態、フォグランプの点灯状態、或いは、路車間通信機によって取得した視認性情報、の少なくとも何れかを判定する判定手段を備え、
前記表示制御手段は、前記地図画像の全体領域に対して前記部分画像領域が占める割合が大きくとも、前記判定手段による判定により、視認性に問題があると推定できるときには、前記表示態様による表示を継続することを特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。 - 前記表示制御手段は、前記赤外画像に含まれる障害物に相当する部分画像領域を、その障害物の輻射熱量を表わす輝度に基づいて判断することを特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。
- 更に、前方に存在する障害物との相対的な距離及び位置を検出する障害物検出手段を備え、
前記表示制御手段は、前記赤外画像に含まれる障害物に相当する部分画像領域を、前記障害物検出手段による障害物の検出結果と、予め設定された前記撮像装置と前記障害物検出手段との前記車両上の配置関係に関する情報とに基づいて判断することを特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。 - 車両に設けられ、その車両前方を赤外線を利用して撮像する撮像装置と、地図画像情報に基づいて生成した立体的な地図画像と前記撮像装置によって撮像された赤外画像とを、表示画面上で重ね合わせた表示態様で、前記車両に設けられた表示器に表示する表示制御手段とを備える車両用表示装置であって、
前記表示制御手段は、前記地図画像の全体領域に対して、前記赤外画像に含まれるところの、前方に存在する障害物に相当する部分画像領域の占める割合が所定の割合より大きくなったときには、前記地図画像を強調表示することを特徴とする車両用表示装置。 - 車両に設けられ、その車両前方を赤外線を利用して撮像する撮像装置と、前方に存在する障害物との相対的な距離及び位置を検出する障害物検出手段と、地図画像情報に基づいて生成した立体的な地図画像と前記撮像装置によって撮像された赤外画像とを、表示画面上で重ね合わせた表示態様で、前記車両に設けられた表示器に表示する表示制御手段とを備える車両用表示装置であって、
前記表示制御手段は、前記障害物と、前記赤外画像に含まれる前記障害物に相当する部分画像領域との対応関係を、前記障害物検出手段による前記障害物の検出結果と、予め設定された前記撮像装置と前記障害物検出手段との前記車両上の配置関係に関する情報とに基づいて判断すると共に、検出された前記障害物との相対的な距離が所定値より短くなったときには、前記表示態様による表示を規制することを特徴とする車両用表示装置。
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