JP3870308B2 - 製氷検知器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製氷の進行状況を検知する製氷検知器に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、省エネルギー実現のための蓄熱式空調システム、特に氷蓄熱式冷房装置に注目されている。氷蓄熱式冷房装置は、深夜電力を使用して氷蓄熱槽内に氷を製氷して蓄積し、昼間は、解氷によって生じた冷却水を室内の空調機に供給しつつ冷却を行う装置である。氷蓄熱式冷房装置は、氷蓄熱エアコンとしてオフィスや店舗、工場などに需要が高く、最近では家庭用の氷蓄熱式エアコンの開発が進められている。
【0003】
ところで、このような氷蓄熱式冷房装置においては、例えば、ヒートポンプの運転と、蓄冷分による冷房とを併用する方式のものがあり、特開平8−226682号においては、氷蓄熱槽の蓄冷分を翌日までに残さずに使用するとともに電力使用量のピークカットに確実に寄与することができる氷蓄熱式冷房装置を提案している。
【0004】
上記の目的で氷蓄熱式冷房装置を用いる場合に、氷蓄熱槽内の氷の有無を検知できることが好ましい。氷蓄熱槽内の氷の有無を検知できれば製氷開始、製氷停止を制御でき、また、ヒートポンプの運転と、蓄冷分による冷房の運転の切替制御を要領よく行うことができる。氷の生成を検知する方法としては、氷の温度である設定温度Tice(0℃以下)を定め、温度センサがTiceを検知した時点で水面のほぼ全域に氷が張ったものと判断するのが一般的である(特開平7−332715号参照)。
【0005】
その他、特異な例であるが、氷の生成量を検出する手段として多孔板を用い、これをワイヤで吊り下げて水面近傍で吊持させる例が特開平8−254379号公報に示されている。この検出手段によれば、製氷時に未だ氷が生成されていない状態では、ワイヤには多孔板の自重から多孔板に作用する浮力を引いた荷重が作用しているが、氷が生成されると、氷は浮力で上昇し、多孔板を押し上げる。その結果、多孔板には生成された氷の量に比例した浮力が作用し、その分ワイヤに働く荷重は小さくなる。このワイヤに働く荷重を荷重センサにより検出するというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
温度センサを用いて氷の温度である設定温度Ticeを検知する方法は、要するに検出温度がTiceとなった時点で水面のほぼ全域に氷が張ったものと推定するものにすぎず、また、多孔板を用いる検知方法によるときには、氷が所定量生成されたときのワイヤに作用する荷重は予め計算で求めておく、というのであるから、いずれも、推測の域を脱せず、現実に氷を張ったことによる実体が示されるわけではない。
【0007】
本発明の目的は、製氷時の水と氷との共存状態から氷の生成までの変化を実体に即して検出する製氷検知器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による製氷検知器においては、第1及び第2の温度センサと受熱室とを有する製氷検知器であって、
第1及び第2の温度センサは、製氷が進行する環境の温度を測定するものであり、
受熱室は、内部で製氷が進行する製氷槽内の温度が時間的遅れをもって伝熱される空間であり、氷となる水に満たされ、
第1の温度センサは、製氷槽内の温度を検知するものであり、
第2の温度センサは、受熱室の内部の温度を検知し、0℃以下の結氷温度を検知したときに、製氷槽内の製氷完了を指示するものである。
【0009】
また、受熱室は、製氷槽に通じて製氷される水を内部に受入れるものである。
【0010】
また、受熱室は、熱伝導性の容器内に形成された空間であり、容器は製氷槽に通ずる小孔を有し、第1の温度センサは、容器の外部に取付けられたものである。
【0011】
また、容器は、フィンを有し、フィンは、製氷槽内の外部環境の温度を迅かに第1の温度センサに伝えるものである。
【0012】
また、第2の温度センサは、熱伝導をしゃ断して容器に取付けられているものである。
【0013】
また、温度センサは、サーミスタであり、検出回路に組込まれ、検出回路は、サーミスタが検知した温度変化を電気的出力に変換して第1及び第2の温度センサの出力変化を検出するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明による氷検知器の実施の形態を図によって説明する。
【0015】
図1〜3において、本発明による製氷検知器1は、熱伝導性、例えば金属製の容器2と、第1及び第2の温度センサ3、4との組合せからなるものである。容器2は、小孔5を有する有底の円筒状容器であり、胴部には、周囲に張り出したフィン6を上下3段に有している。
【0016】
容器2は、製氷が進行する環境である製氷槽7内の水中に置かれ、容器2内には小孔5を通して製氷槽7内の水が受入れられる。製氷は、まず容器2の外側である製氷槽7内で進行する。容器2内は、受熱室8であり、その空間内には、製氷槽7内の製氷温度が時間的遅れをもって熱伝達される。
【0017】
第1及び第2の温度センサ3、4は、製氷が進行する環境の温度を検知するセンサ、例えばサーミスタであり、第1の温度センサ3は、受熱室8の外部の製氷槽内の温度を測定するセンサとしてフィン6に支えて容器2の外部に取付けられ、第2の温度センサ4は、受熱室8の内部の温度を測定するセンサとして容器2内の空間に設置されている。なお、第2の温度センサ4のケース部分は、容器2の一部に取付けられた断熱材9に支持され、容器2からの熱の伝導を遮断している。図4に、第1及び第2の温度センサ3、4に用いる温度センサの構造の一例を示す。図4において、温度センサ3、4は、筒状ケース10内にサーミスタ素子11を装てんしたものであり、筒状ケース10は、例えばステンレスなどの熱伝導体をもって作られ、その内部にサーミスタ素子11を挿入し、そのリード線12を筒状ケース10の一端から外部へ引き出したものである。サーミスタ素子11はガラスビーズ13に封入され、さらにガラスビーズ13は、耐湿性充てん剤14で被覆したものである。また、サーミスタ素子11及びそのリード線12と筒状ケース10との隙間には、緩衝性充てん剤15を充填してサーミスタ素子11を定位置に保持させている。緩衝性充てん剤15は、温度サイクルによる膨張、収縮による変化を緩和するものである。もっとも、耐湿性充てん剤14及び緩衝性充てん剤15にはエポキシ樹脂材を共用することができる。
【0018】
本発明による製氷検知器を使用するときには、水が充填された製氷槽7、例えば氷蓄熱式冷房装置の氷蓄熱槽内に浸漬し、小孔5を通して製氷槽7内の水を容器2内にも流入させる。製氷槽7内の水は、槽7内の配管を通る冷媒によって冷され、あるいは槽全体が冷されて次第に氷になってゆくが、製氷検知器1の容器2の内外においては、容器2内の水より容器2の外部の製氷槽内の水が先に氷になってゆく。水と氷との共存状態での水の温度は0℃である。したがって、製氷槽7内の外部での製氷が進んでも水と氷との共存状態にある限り、第1の温度センサ3は、0℃を示す。一方、製氷槽7内の水が冷されても、その温度は直ちに容器2内には伝えられず、冷却開始からしばらくの間は、容器2内の水温は、製氷槽内の水温よりも高いが、一定の時間遅れをもって容器2内の水温は、製氷槽7内の外部の水温に近づいてゆく。容器2の外部の製氷槽7内の水がすべて氷になると、第1の温度センサ3は、氷の温度を検知して0℃以下のマイナス温度を表示するが、容器2内が水と氷との共存を保っている限り、第2の温度センサ4は0℃を表示し、第1の温度センサ3と第2の温度センサ4との検知温度には温度差を生じる。
【0019】
しかし、時間の経過とともに容器2内の水が氷始め、全てが結氷した後は、その氷の温度が製氷槽7内の氷の温度に近づいてゆくので、第1の温度センサ3と、第2の温度センサ4との検知温度差は狭まり、ついにその温度差がなくなる。第1と第2の温度センサの検出温度差がなくなったことは、容器2内の水が製氷槽7内の氷の温度と同じ温度で結氷するに至ったことを示している。しかしながら、製氷槽7内の水が完全に結氷したという事実は、第1及び第2の温度センサ3、4がマイナスの温度領域で検出温度差がなくなる以前、すなわち、第2の温度センサが0℃以下の結氷温度であるマイナス温度領域の温度を検知した時点をもって判断できる。
【0020】
(実施例)
以下に本発明の実施例を説明する。
図5は、製氷検知器と水を入れた製氷槽を−20℃に制御された不凍液中に入れ、製氷槽の温度を室温から次第に降温して槽内の水を結氷させたときに、製氷槽内に装入された製氷検知器1の第1の温度センサ3と、第2の温度センサ4との検知温度の出力変化を示すものである。
【0021】
各温度センサ3,4にはサーミスタを用い、図6に示す検出回路16において、各サーミスタの両端の電圧V3,V4の時間的変化を検知したものである。図5には、あわせて両温度センサ3,4の出力差(V3−V4)を表示している。
【0022】
図によれば、当初のt1の期間は容器2の外部の水が先に冷され、容器2の内外では温度差を生じるが、t2の期間は、氷と水との共存状態であり、容器2の内外に温度差がなくなり、第1の温度センサ3と第2の温度センサ4とに出力差を生ぜず、しかも、その出力が一定値を保つ。容器2の外部の水がすべて氷になると、第1の温度センサ3による検出温度が下がり始め、V3は大きくなる。とかく第2の温度センサ4には、依然として水と氷との共存状態の温度を検知する期間t3があり、t3以後、第2の温度センサ4による検出温度が下がり、V4も小さくなり、第1の温度センサ3による検出温度に近づき、期間t4経過後には両センサの検出温度は一致する。図5によれば、t3経過後に容器内外の水、すなわち槽内の水のすべてが完全に結氷したことを示している。
【0023】
以上のように本発明においては、第2の温度センサ4が0℃以下の結氷温度を検知したときに製氷槽内の水がすべて結氷したと判断できる。なお、本発明において、製氷槽は、蓄熱式冷房装置の氷蓄熱槽に限るものではなく、製氷すべき水が充填された槽を意味するものである。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明によるときには、2つの温度センサを用いて製氷が進行する環境の温度と、その温度が時間的遅れをもって伝熱される空間の温度とを同時に測定し、その出力差を検知することによって、製氷の進行状況の実体を正確に検出することができ、したがって、氷蓄熱式冷房装置に適用して氷蓄熱槽内の製氷状況を把握して製氷開始、製氷停止の制御、ヒートポンプの運転と蓄冷分による冷房の運転切替制御を要領よく行うことができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による製氷検知器の一実施形態を示す断面図である。
【図2】製氷検知器の平面図である。
【図3】製氷検知器の底面図である。
【図4】温度センサの断面図である。
【図5】製氷実験における第1及び第2の温度センサによる出力変化の実測を示すグラフである。
【図6】温度センサの温度検出回路の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 製氷検知器
2 容器
3 第1の温度センサ
4 第2の温度センサ
5 小孔
6 フィン
7 製氷槽
8 受熱室
9 断熱材
10 筒状ケース
11 サーミスタ素子
12 リード線
13 ガラスビーズ
14 耐湿性充てん剤
15 緩衝性充てん剤
16 検出回路
Claims (6)
- 第1及び第2の温度センサと受熱室とを有する製氷検知器であって、
第1及び第2の温度センサは、製氷が進行する環境の温度を測定するものであり、
受熱室は、内部で製氷が進行する製氷槽内の温度が時間的遅れをもって伝熱される空間であり、氷となる水に満たされ、
第1の温度センサは、製氷槽内の温度を検知するものであり、
第2の温度センサは、受熱室の内部の温度を検知し、0℃以下の結氷温度を検知したときに、製氷槽内の製氷完了を指示するものであることを特徴とする製氷検知器。 - 受熱室は、製氷槽内に通じて製氷される水を内部に受入れるものであることを特徴とする請求項1に記載の製氷検知器。
- 受熱室は、熱伝導性の容器内に形成された空間であり、容器は製氷槽に通ずる小孔を有し、第1の温度センサは、容器の外部に取付けられたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の製氷検知器。
- 容器は、フィンを有し、フィンは、製氷槽内の温度を迅かに第1の温度センサに伝えるものであることを特徴とする請求項3に記載の製氷検知器。
- 第2の温度センサは、熱伝導を遮断して容器に取付けられているものであることを特徴とする請求項3又は4に記載の製氷検知器。
- 温度センサは、サーミスタであり、検出回路に組込まれ、検出回路は、サーミスタが検知した温度変化を電気的出力に変換して第1及び第2の温度センサの出力変化を検出するものであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の製氷検知器。
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JP20497097A JP3870308B2 (ja) | 1997-07-30 | 1997-07-30 | 製氷検知器 |
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JP20497097A JP3870308B2 (ja) | 1997-07-30 | 1997-07-30 | 製氷検知器 |
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DE19920370C1 (de) * | 1999-05-04 | 2001-01-25 | Mannesmann Vdo Ag | Verfahren zur Bestimmung der Gefriertemperatur einer Flüssigkeit und eine hierfür bestimmte Vorrichtung |
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-
1997
- 1997-07-30 JP JP20497097A patent/JP3870308B2/ja not_active Expired - Lifetime
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