JP3869289B2 - 超音波映像検査装置とその焦点位置検出方法 - Google Patents

超音波映像検査装置とその焦点位置検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波映像検査装置とその焦点位置検出方法に関し、特に、検査対象部に対する三次元プロファイルデータを作成しこのデータを利用して最適なゲートを設定して焦点合せを行える超音波映像検査装置とその焦点位置検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波映像検査装置は、被検体の内部を、Bスコープ像やCスコープ像の映像で表示できる。この装置では、より鮮明な映像を採取するため、超音波探触子の音響特性、超音波の媒体、被検体の内部でのその時の温度による音速等、の各種の測定条件を入力し、それに応じて被検体内の所望の深さ位置に超音波探触子の焦点を設定する焦点合せ作業が必要である。この焦点合せ作業は、オシロスコープ等を使用して被検体からの反射エコーの波形(Aスコープ像)を観察して行われていた。従来の焦点合せ作業では、まず観察した反射エコー波形を参照して測定したい深さや検出ゲート幅等を設定し、次に目標となる反射エコーの波形が最大となるように焦点型超音波探触子を被検体に対して上下移動させる操作(深さ(Z方向)の位置決め)を行い、測定したい深さに焦点型超音波探触子の焦点を合せるようにしている。なお、焦点合せに関する技術を開示する文献として特開平8−75718号公報を挙げることができる。この公報に開示される自動焦点合せ方法は、被検体の全面について焦点合せを行い、ラフスキャンの手間を省く自動焦点合せを行うための方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
超音波映像検査装置における従来の焦点合せ作業は主に手動で行われる人的作業であった。従って経験が豊富な検査作業者の場合には正確に焦点合せを行うことができるが、経験の少ない検査作業者には正確な焦点合せは難しい作業となっていた。また経験のある検査作業者にとっても負担の大きな作業であった。また特開平8−75718号公報に開示される自動焦点合せ方法では、被検体全面について焦点合せを行うようにしているので、焦点合せに要する時間が長くなり、さらに複雑な計算式に基づいて焦点合せを行っていることから構成が複雑であるという不具合を有する。
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解決するもので、被検体における所望の検査対象部に対して自動的に焦点合せとゲイン調整を行うことができ、焦点合せとゲイン調整の作業を簡単にかつ短時間に行うことができ、さらに測定で得たCスコープ像が合焦点か否かを容易かつ確実に確認できる超音波映像検査装置とその焦点位置検出方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係る超音波映像検査装置とその焦点位置検出方法は、上記目的を達成するため、次のように構成される。
【0006】
第1の超音波映像検査装置の焦点位置検出方法(請求項1に対応)は、検査対象部を有する被検体を焦点型の探触子で走査して検査対象部の画像を表示装置に表示する超音波映像検査装置で実施される。この焦点位置検出方法は、被検体に対する基準位置に探触子を設定するステップと、被検体の深さ方向に探触子を移動しながら被検体からのエコー信号を逐次取り込むステップと、取り込んだエコー信号に係るデータを用いて、時間軸と高さ軸とエコー強度軸から成る三次元座標系でのエコー信号レベル波形(以下「三次元プロファイル」と記す)を作成するステップと、検査対象部に対応するエコー信号に係る検査対象部データに対応する箇所に検出ゲートを設定するステップと、検査対象部データを用いて三次元プロファイルについて上記時間軸の方向に透視したような形での断面画像を作成するステップと、断面画像のピーク値を検出することにより検査対象部に対応する焦点位置を検出し、探触子の位置決めを行うステップとから構成される。
【0007】
第2の超音波映像検査装置の焦点位置検出方法(請求項2に対応)は、上記方法において、好ましくは、適正な輝度で検査対象部を走査するため、三次元プロファイルについて時間軸の方向に透視したような形での上記断面画像より得られるピーク値を補正するステップを含むことで特徴づけられる。
【0008】
第3の超音波映像検査装置の焦点位置検出方法(請求項3に対応)は、上記方法において、好ましくは、作成された三次元プロファイルを表示装置に表示させるステップを含み、検査対象部に対して探触子の焦点が合致しているか否かを確認可能とすることで特徴づけられる。
【0009】
第1の超音波映像検査装置(請求項4に対応)は、検査対象部を有する被検体を焦点型の探触子で走査して被検体から得られる焦点位置に対応する位置からのエコー信号のピーク値を検出して測定値とし、この測定値に基づき表示データを生成して検査対象部の画像を表示装置に表示する超音波映像検査装置であり、この装置は、被検体の深さ方向に探触子を移動しながら被検体からのエコー信号を逐次取り込み、時間軸と高さ軸とエコー強度軸から成る三次元座標系でのエコー信号レベル波形(三次元プロファイルを作成し、検査対象部のエコー信号に対して検出ゲートを設定し、検査対象部のエコー信号を利用して三次元プロファイルについて時間軸の方向に透視したような形での断面画像を作成し、この断面画像のピーク値を検出することで検査対象部の焦点位置を検出し、探触子の位置決めをする焦点合せ制御手段を備える。
【0010】
第2の超音波映像検査装置(請求項5に対応)は、上記の構成において、好ましくは、焦点合せ制御手段は、三次元プロファイルについて時間軸の方向に透視したような形での断面画像より得られるピーク値を補正する手段を有し、適正な輝度で検査対象部を走査するように構成される。
【0011】
第3の超音波映像検査装置(請求項6に対応)は、上記の構成において、好ましくは、三次元プロファイルは表示装置に表示され、表示された三次元プロファイルに基づき検査対象部に探触子の焦点が合致しているか否かが確認可能であることで特徴づけられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本発明に係る超音波映像検査装置の構成を示すブロック図である。図1に従って超音波映像検査装置の構成を説明する。超音波映像検査装置10はXYZ移動機構を有する走査機構11と、水27を蓄えかつその中に被検体12を配置する水槽13を備える。走査機構11のXYZ移動機構はX軸とY軸とZ軸の各方向の移動機構を含んでいる。焦点型の超音波探触子(以下「探触子」という)14は、走査機構11に取り付けられ、水槽13内の被検体12の上方位置に配置される。走査機構11によって探触子14は、X軸、Y軸、Z軸の各方向に自由に移動させられる。探触子14は、走査機構11による移動動作で、被検体12をX軸方向に主走査しかつY軸方向に副走査する。
【0014】
超音波映像検査装置10は、上記XY走査に基づいて被検体12上でのそれぞれの測定点でAスコープ像が得られる測定値を取得する。さらにAスコープ像に係る測定値に基づいてBスコープ像の表示やCスコープ像の表示のデータを生成し、Bスコープ像やCスコープ像の画像を表示する。
【0015】
なお本実施形態において、被検体12には、その表面から或る深さの位置に検査対象部となるような例えば接合面等の境界面が存在しているものとする。
【0016】
走査機構11はスキャン(走査)制御装置15により制御される。スキャン制御装置15は、インターフェース16を介して画像処理装置20により制御される。探触子14は超音波探傷器17に接続されている。超音波探傷器17は発振器やパルサ・レシーバ等を含んで構成されている。超音波探傷器17もインターフェース16を介して画像処理装置20により制御される。超音波探傷器17は、画像処理装置20からの制御信号に応じて、その送信端子から探触子14に所定の周期でパルス信号を送って探触子14を駆動し、被検体12に対して超音波を出射させる。この時、探触子14からの超音波に対して被検体12から得られる超音波反射エコーを、探触子14が電気信号に変換する。超音波探傷器17は、探触子14で変換された電気信号をエコー受信信号としてその受信端子で受け、そして、これを増幅する。A/D変換回路18は、画像処理装置20からの制御信号に応じて、超音波探傷器17から得られたアナログ信号を例えば8ビットによる256段階でデジタル値に変換する。このデジタル値の測定データは画像処理装置20のバス21に入力される。当該測定データは、画像処理装置20のマイクロプロセッサ(MPU)22で処理される。
【0017】
以上の構成において、超音波映像検査装置10では、通常の測定状態にあっては、例えば、探触子14は、X軸方向に1ライン走査後に、Y軸方向にピッチ送りされかつX軸方向に先とは逆方向に走査する。いわゆるX軸方向の往復走査によって被検体12をXY平面上で走査する。この往復走査で、X軸方向の走査について所定ピッチで割り当てられた各測定点ごとに検査測定を行い、A/D変換回路18でデジタル化されデジタル値の形で測定データを上記MPU22が取り込む。MPU22は、これらのデジタル化されたエコー受信信号から所定のゲート内のピーク値を検出し、各測定点に対応して順次メモリ23のデータ領域23aに記憶していく。
【0018】
メモリ23は、その他、平面走査プログラム23b、焦点位置検出プログラム23c、表示処理プログラム23d等を格納している。
【0019】
平面走査プログラム23bは、通常、上述した走査動作を実行させるための二次元の走査プログラムである。MPU22がこのプログラムを実行することで、探触子14のZ軸座標(高さ)が設定されると、そのZ軸座標を固定にしたままX軸方向に所定ピッチで主走査をし、Y軸方向に副走査をする。Y軸方向の測定ピッチは、X軸方向の測定ピッチと同じである場合もあれば、それより粗い場合もある。
【0020】
焦点位置検出プログラム23cは、本実施形態に係る超音波映像検査装置における特徴的な機能を実現するプログラムであり、自動的に焦点合せを行うことを可能にし、併せてゲイン調整を可能にする特徴的な機能を実現する。焦点位置検出プログラム23cは図2〜図4を参照して後述される。
【0021】
表示処理プログラム23dは、検査測定で得られた多数の測定点に関する測定データに基づいて画像を作成するための表示処理を行い、画像メモリ24に表示用の画像データを蓄え、さらにディスプレイ(表示装置)25の表示画面に検査測定で得た被検体12の内部の検査対象部に関する画像を表示する。ディスプレイ25は画像処理装置20の外に配置される。また超音波映像検査装置は、画像処理装置につながれる入力装置26を備える。この入力装置26には所定の焦点合せ機能キー、その他の各種の入力キーが備えられている。
【0022】
上記の焦点位置検出プログラム23cによれば、特に初期位置の指定がなされていないときには、探触子14の初期位置設定が行われる。焦点位置検出プログラム23cがMPU22で実行されると、MPU22は、予め入力された探触子14の焦点距離と被検体12との位置関係に応じて測定開始点において、まず被検体12の表面直下に焦点が位置づけられるように探触子14のZ軸方向の座標位置(高さ位置)を算出して探触子14を最初の高さ位置の位置決めを行う。探触子14の焦点距離と被検体12との位置関係は、通常、被検体12は水槽13の底部に配置されているので、その厚み等が入力されることで決定される。特別な初期位置の設定があったときにはそれに従って探触子14がZ軸方向で位置づけられるが、そのような場合を除いて、最初の位置決めによる位置が焦点合せの基準位置(初期位置)になる。
【0023】
図2は、焦点合せを行うときの被検体12に対する探触子14の動作状態を示している。初期において、探触子14は、水27を蓄えた上記水槽13内の被検体12に対して、その上方位置にて、前述のごとく基準位置に配置される。その後、探触子14は、矢印28で示されるように、基準位置(基準の高さ)から所定のピッチで接近され、その時の位置(高さ)の情報と、当該位置での被検体12からのエコー受信信号に係る情報とが、メモリ23のデータ領域23aに取り込まれる。被検体12からのエコー受信信号に係る情報はA/D変換回路18でデジタル値に変換され、上記バス21を介して取り込まれる。上記の接近動作を継続して所定ピッチごとに上記の測定動作が順次に行われ、被検体13の表面近傍位置まで繰返す。メモリ23のデータ領域23aには、被検体12への探触子14の接近動作に基づく所定ピッチごとの測定での取込み位置(高さ)の情報とエコー受信信号の情報はデジタル値情報として蓄積される。
【0024】
次に、図3と図4に基づいて、かつ上記の図2に示された探触子14の焦点合せのための接近動作を参照しながら、画像処理装置20による焦点合せ処理について説明する。図3は焦点合せ処理の流れを示すフローチャートであり、図4は焦点検出および適正輝度補正の手順を(a)〜(e)の波形図等で説明する図である。
【0025】
図2に示された初期状態において、最初に、超音波映像検査装置の入力装置26に備えられた上記の焦点合せ機能キーが操作され、焦点合せの指令信号が入力される。焦点合せ機能キーの入力操作が行われたことを条件にして図3に示すスタートの位置になり、図4に示される一連の手順が開始される。
【0026】
最初のステップS11で、探触子14の焦点距離と被検体12の厚さなどの初期的情報を入力装置26によって入力する。一方、メモリ23のデータ領域23aには超音波探傷器17の送信パルスの発生周期等について予め超音波映像検査装置10として最もよく使われる設定値が記憶されている。そこで、MPU22は、それらの設定データを参照してインターフェース16を介して各種回路に必要な設定データを与え、設定処理を行う。
【0027】
次のステップS12では焦点検出プログラム23cが起動される。MPU22は、焦点位置検出プログラム23cを実行することにより、ステップS11で入力された探触子14の焦点距離と被検体12との位置関係に応じて、測定開始点で、前述のごとく検出開始の初期位置に探触子14を位置づける。すなわちMPU22は、当該プログラム23cを実行して探触子14の焦点がその表面直下に来るように距離を設定する。
【0028】
ステップS13で、入力装置26に設けられた検出開始キー等の入力待ちループに入り、検出開始か否かを検出開始キー等の入力によって検出する。検出開始キー等が入力されると、次のステップS14に移行する。
【0029】
ステップS14において、MPU22の焦点検出プログラム23cの実行により基準位置(高さ)から探触子14を所定ピッチで被検体12に接近させ、所定ピッチで接近した後の高さ位置で測定を行う。所定ピッチの接近後、高さ位置の情報とその高さ位置での被検体12からのエコー受信信号に係る情報とをA/D変換回路18でデジタル値に変換し、バス21を介してメモリ23のデータ領域23aに格納する。上記の測定動作を所定ピッチの接近動作ごとに順次に行い、被検体12の表面近傍位置まで繰返す。デジタル値に変換してデータ領域23aに蓄積されたエコー受信信号の測定値と取込み位置(高さ位置)の情報に基づいて、MPU22で三次元のプロファイルを作成し、バス21を介してディスプレイ25に表示する。
【0030】
上記の接近動作おける一連の測定に基づいて、図4の(a)に示すごとき高さに応じたAスコープ像が得られる。この図において、横軸は時間を意味し、縦軸は高さを意味する。この例では例えば5つ高さに応じたAスコープ像が示されている。一番上側の像が被検体12の表面に係る測定に対応するAスコープ像である。その下側に向かうにつれて探触子14の高さが低くなる。図4の(a)で信号41は被検体12の表面からのエコー受信信号であり、信号42は被検体12の内部の検査対象部からのエコー受信信号である。この図によれば、探触子14が被検体12の表面に近づくに従って、その焦点が下方位置に移動して、検査対象部からのエコー受信信号42が現れる。
【0031】
蓄積された前述のエコー受信信号と取込み位置の各情報に基づいて、MPU22で三次元のプロファイルが作成される。図4の(b)に、ディスプレイ25に表示される三次元プロファイル43を示す。図4の(b)で、水平横軸は時間を意味し、水平縦軸は高さを意味し、垂直軸はエコー強度(信号レベル)を意味している。図4の(b)において、41は被検体12の表面に対応するエコー受信信号、42は検査対象部に対応するエコー受信信号である。
【0032】
次のステップS15では、測定オペレータがディスプレイ25の画面上に表示されている三次元プロファイル43に基づいて所望の検査対象部(検査面)のエコー受信信号にゲート(ゲート位置とゲート幅)の設定を入力するという入力待ちループに入る。ステップS15でゲート設定が検出されると、ステップS16による焦点位置の検出処理に移る。
【0033】
測定オペレータによるゲート設定をイメージ的に示すと、図4の(b)と(c)にようになる。前述のごとくディスプレイ25では、図4(b)に示すように三次元プロファイル43が表示されている。測定オペレータは、この三次元プロファイル43を見ながら、入力装置26に設けられたゲート設定入力キーを操作して、図4(c)に示すごとく、所望の検査対象部(検査面)のエコー受信信号42を入力するためのゲート44のゲート位置およびゲート幅を設定する。このゲート設定では、ゲート位置に係るデータとゲート幅に係るデータがMPU22に与えられる。
【0034】
次の焦点位置検出処理のステップS16では、設定されたゲート44内のデータを時間軸方向に透視したような形でゲート内断面データをMPU22にて作成し、バス21を介してディスプレイ25に表示する。
【0035】
ディスプレイ25に表示されたゲート内断面データに基づく表示内容を図4の(d)に示す。図4(d)で、横軸は高さを意味し、縦軸はエコー強度を意味している。45は、図2に示すように探触子14の高さ位置を変えてエコー受信信号を取り込んだとき、ゲート44の範囲内で生じた検査対象部に対応するエコー受信信号の測定データを集合的に示した領域であり、これがゲート内断面データを意味する。図4(c)において、左側端面から検査対象部に対応するエコー受信信号42の部分を見た図が、図4(d)に相当する。すなわち、設定されたゲート44内のエコー受信信号42に係る測定データを図4(c)の時間軸の方向に透視した図が図4(d)である。
【0036】
焦点位置検出処理のステップS16では、さらに、作成されたゲート内断面データ45に基づいて、エコー受信信号42のピーク座標46が検出される。ピーク座標46の検出は、ゲート44の範囲内に含まれる検査対象部に対応するエコー受信信号のエコー強度の測定データを比較することにより、行われる。この時検出されたピーク座標46の高さ方向の成分47が、所望の検査対象部の焦点位置における探触子14の位置(高さ)となり、エコー強度方向の成分48がエコー受信信号のピーク値となる。
【0037】
焦点位置検出処理のステップS16では、さらに、ゲート内断面データ45を予め設定された適正なエコー強度レベルまでエンハンスし、エンハンスされた係数を取得する。この状態を図4の(e)に示す。図4の(e)で、ピーク座標46のエコー強度方向の成分48に対して点49がエンハンスによって設定されたエコー強度レベル(係数)である。50が、領域45に対するエンハンスされた領域を示している。領域45から領域50へのエンハンスは、ソフト的に処理することにより、あるいはゲインを大きくすることにより行われる。エンハンスされた係数49および焦点位置における探触子14の高さ位置47はメモリ23のデータ領域23aに保存される。
【0038】
次のステップS17において、MPU22は、入力装置26に設けられた走査測定開始キーの入力待ちループより走査開始か否かを検出する。この測定開始キーによる入力が検出されると、次のステップS18において平面走査プログラム23bが起動され、MPU22は、上記のメモリ23のデータ領域23aに記憶された高さ(高さ位置47)に探触子14の高さを設定し、測定開始位置から通常のXY走査による平面走査を行う。またこの平面走査の中で得られたエコー受信信号のピーク値にメモリ23のデータ領域23aに記憶されたエンハンスの係数を乗じる。この平面走査で得られた平面画像は、焦点位置検出処理が行われた条件で測定が行われているので、適正な輝度で、測定したい深さに焦点の合った鮮明な映像になる。
【0039】
ステップS19では測定終了か否かを判断する。測定終了であると判断したときには、測定作業を終了する。測定終了でない判断された時には、他の処理を行うためのステップS20に移行する。
【0040】
図3に示された前述の焦点位置検出のプロセスにおいてステップS13,S15,S17ではそれぞれ対応する機能を指示するための入力キーによる入力待ちという構成を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、所要の条件を設けて自動的に処理するように構成することもできる。
【0041】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、被検体の測定表面の任意の一点で焦点型探触子を高さ方向(上から下へ)に順次移動させながらエコー受信信号を取り込み、作成・表示した三次元プロファイルデータに対して所望の検査対象部にゲートを設定するように構成したため、被検体内部の検査対象部に対して容易に、短時間に、かつ確実に焦点合せを行うことができ、焦点の合った走査測定を行うことができる。さらに焦点合せの際、エンハンス処理を行うように構成したため、取得した平面映像を適正な輝度に補正することができる。
【0042】
さらに本発明に係る焦点合せ機能を有する超音波映像検査装置による測定では、測定後の効果として、作成された上記三次元プロファイルデータは、測定した平面映像の焦点位置が合っているか否かを確認するためのデータとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波映像検査装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】水槽内に配置された被検体に対する探触子の焦点合せのための操作状態を示す斜視図である。
【図3】本実施形態の超音波映像検査装置における焦点合せ処理を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態における焦点検出および適正輝度補正の手順を(a)〜(e)の波形図等で説明する図である。
【符号の説明】
10 超音波映像検査装置
11 走査機構
12 被検体
13 水槽
14 探触子
20 画像処理装置
22 マイクロプロセッサ(MPU)

Claims (6)

  1. 検査対象部を有する被検体を焦点型の探触子で走査して前記検査対象部の画像を表示装置に表示する超音波映像検査装置で実施され、
    前記被検体に対する基準位置に前記探触子を設定するステップと、
    前記被検体の深さ方向に前記探触子を移動しながら前記被検体からのエコー信号を逐次取り込むステップと、
    取り込んだ前記エコー信号に係るデータを用いて、時間軸と高さ軸とエコー強度軸から成る三次元座標系でのエコー信号レベル波形を作成するステップと、
    前記検査対象部に対応する前記エコー信号に係る検査対象部データに対応する箇所に検出ゲートを設定するステップと、
    前記検査対象部データを用いて前記三次元座標系での前記エコー信号レベル波形について前記時間軸の方向に透視したような形での断面画像を作成するステップと、
    前記断面画像のピーク値を検出することにより前記検査対象部に対応する焦点位置を検出し、前記探触子の位置決めを行うステップと、
    から成ることを特徴とする超音波映像検査装置の焦点位置検出方法。
  2. 適正な輝度で前記検査対象部を走査するため、前記三次元座標系での前記エコー信号レベル波形について前記時間軸の方向に透視したような形での前記断面画像より得られるピーク値を補正するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の超音波映像検査装置の焦点位置検出方法。
  3. 作成された前記三次元座標系での前記エコー信号レベル波形を表示装置に表示させるステップを含み、前記検査対象部に対して前記探触子の焦点が合致しているか否かを確認可能とすることを特徴とする請求項1記載の超音波映像検査装置の焦点位置検出方法。
  4. 検査対象部を有する被検体を焦点型の探触子で走査して前記被検体から得られる焦点位置に対応する位置からのエコー受信信号のピーク値を検出して測定値とし、この測定値に基づき表示データを生成して前記検査対象部の画像を表示装置に表示する超音波映像検査装置において、
    前記被検体の深さ方向に前記探触子を移動しながら前記被検体からのエコー信号を逐次取り込み、時間軸と高さ軸とエコー強度軸から成る三次元座標系でのエコー信号レベル波形を作成し、前記検査対象部のエコー信号に対して検出ゲートを設定し、前記検査対象部の前記エコー信号を利用して前記三次元座標系での前記エコー信号レベル波形について前記時間軸の方向に透視したような形での断面画像を作成し、この断面画像のピーク値を検出することで前記検査対象部の焦点位置を検出し、前記探触子の位置決めをする焦点合せ制御手段を備えることを特徴とする超音波映像検査装置。
  5. 前記焦点合せ制御手段は前記三次元座標系での前記エコー信号レベル波形について前記時間軸の方向に透視したような形での前記断面画像より得られるピーク値を補正する手段を有し、適正な輝度で前記検査対象部を走査することを特徴とする請求項4記載の超音波映像検査装置。
  6. 前記三次元座標系での前記エコー信号レベル波形は前記表示装置に表示され、表示された前記三次元座標系での前記エコー信号レベル波形に基づき前記検査対象部に前記探触子の焦点が合致しているか否かが確認可能であることを特徴とする請求項4記載の超音波映像検査装置。
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