JP3869147B2 - 電磁波吸収シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として1GHz以上の周波数域において、効果的に吸収性能が得られる電磁波吸収シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
社会の高度な技術化にともなって、各種電子機器が広く使用されるようになり、これらの機器から発せられる電磁波が電子機器の制御や性能あるいは人々の一般生活に影響を与えるおそれがあることから、電磁波の発生源には遮蔽体をはじめとする様々な電磁波漏洩防止措置がなされ、また、被受信体には発生電磁波の影響を受けないようにするためにその電磁波を反射あるいは吸収するための各種技術が提供されている。
【0003】
通常、10MHz〜1GHz近傍の周波数帯域では主としてフェライト等の磁性材料やカーボンなどで構成された吸収体が用いられ、1GHz以上ではカーボン等の導電材料、カーボニル鉄等の磁性材料、金属繊維、導電性繊維、導電性塗料などが用途に応じて用いられている。
【0004】
それらの中で、金属繊維を使った不織布状の電磁波吸収体シートとして、特開平2−12898、特開平9−307268等が提案されている。
これらに使用されている金属繊維としては、主として、高分子繊維の表面に金属をメッキした導電性高分子繊維や、金属を繰り返し冷間引き抜き加工して繊維状まで細かくした金属そのものの繊維などが大多数を占めている。
【0005】
例えば、前記導電性高分子繊維では、特開平2−19898があり、これには直径20μm、長さ5mmの金属繊維についての開示がなされている、
また、特開昭58−188190には、加圧成形した樹脂の中に直径が10〜100μm、長さが1〜5mmの金属繊維を含ませた形態が示されている。
さらに、特開平8−288685には、長さ1mm以上で太さが長さの1/10以下の金属繊維が示されている。
【0006】
これらの繊維は比較的直線性が良いことと絡みにくいことから、いずれも不織布製造時に繊維が設備のパスラインで、絡んで引き千切ぎれたりしにくく、製造中の吸収体シートの流れに沿って配列し易くなっている。
しかし、これらの電磁波吸収体シートは、いずれも製造工程が複雑であるために高価なものとなり、また使用されている金属繊維は線径が非常に均一且つ長さも一定なものであることから、電磁波入射時の反射減衰効果が電磁波の偏波面が吸収体シートの流れに平行なときと垂直なときとで大きく異なる。
【0007】
即ち、偏波面が電磁波吸収体シートの流れに平行な時の方が電磁波の反射減衰量が大きい(即ち、良く吸収する)というように吸収体シートの流れ(方向)と電磁波偏波面との相対関係において吸収量が異なる(以下「シート異方性」と呼ぶ)という大きな問題があった。
この現象を別の角度から説明すると、電磁波吸収体シートの誘電率が平行偏波と垂直偏波とでは大きく異なるということになる。
【0008】
前記「シート異方性」に関して、「Tetuji Inuiら、1989 International symposium on Nagoya p.775」の文献がある。
その文献中、対象となる不織布中に入っている金属繊維は、直径8μm、長さ40mm、質量比0.3〜3wt%であり、この金属繊維が原因で電磁波吸収量のシート異方性を引き起こしていると考えられる。
そのように、従来の電磁波吸収体シートのいずれもが、受ける電磁波の偏波面が平行及び垂直の両方に対し充分な電磁波吸収性能をえるための特別な設計を必要とするという欠点を有するものとなっていて、これまで、その欠点を解決することができなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記実情に鑑みてなされたもので、従来の電磁波吸収体シートに金属繊維として用いられている金属メッキ高分子繊維や冷間引き抜き加工された金属繊維は「シート異方性」を有するので使用せず、本発明においては「シート異方性」を解消するのに有効な線材切削法により製作された切削金属繊維を用いることによって、電磁波の偏波面が平行又は垂直にかかわらず、主として3GHz(望ましくは1GHz)以上の周波数域で10dB以上(70%減衰)の電磁波吸収能が得られ、且つ低コストで製造できる電磁波吸収シートを提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、円形断面を有する金属線の表面を微細な溝の着いた刃物で、線軸にある角度で刃物を当て、線軸方向に平行に連続して削って行くことにより、連続的に削り出される線材切削法で製作され、横断面が刃物の形状や切削条件により変化し様々な不定形状を成す切削金属繊維1と、 繊維結合機能を有するバインダー繊維2又はそのバインダー繊維2を含む単相物又は混合複相物である非バインダー繊維3とを均一に混合し、前記バインダー繊維2で繊維結合された不織布4を、単層又は複層させて不織布層Aを形成する。
そして、その不織布Aの片面に電波反射性能を有する鉄、アルミ、銅又はそれらの合金から成る金属体5を直接又は前記切削金属繊維1を含まない間隔保持充填材6を介して張設する。
そして、前記切削金属繊維1が、太さは30〜50μmのものを中心に殆どが10〜70μm範囲内にあり、長さは10〜30mmのものを中心に1〜50mm範囲内にあり、前記不織布層A中に前記切削金属繊維1が100本〜500本/cm 3 含有されたことを特徴とする電磁波吸収シートである。
【0016】
さらに、上記構成おいて、前記不織布層Aの露出面の全体を高分子膜7で被覆し、その不織布層A内への水の侵入を防止できるようにしたことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図で以下説明する。
本発明は、図1に示すように、金属線材を線材切削法で製作した不定形横断面を成す切削金属繊維1と、繊維結合機能を有するバインダー繊維2又はそのバインダー繊維2を含む単相物又は混合複相物である非バインダー繊維3とを均一に混合し、前記バインダー繊維2で繊維結合された不織布4を、単層(図1に示す)又は複層(図2に示す)させて不織布層Aを形成する。
【0018】
そして、その不織布層Aの片面に電波反射性能を有する鉄、アルミ、銅又はそれらの合金から成る金属面体5を直接(図1及び図2に示す)又は、図3に示すように、前記切削金属繊維1を含まない間隔保持充填材6を介して張設して電磁波吸収シートを構成する。
【0019】
前記金属面体5は、金属板4a、金属箔4b又は金属網4cとする形態が可能である。
【0020】
前記非バインダー繊維3としては、不織布として適した無機繊維及び/又は有機繊維を用いることができる。
そして、前記無機繊維としては、ガラス繊維及び/又はアルミナとシリカから成るセラミック繊維が使用できる。
また、前記バインダー繊維2の無機繊維に対する混合率を10〜40%とし、可撓性を持たせることができる。
【0021】
さらに、前記切削金属繊維1については、フェライト系ステンレス鋼、鉄又は銅で製作される。
そして、その切削金属繊維1の太さが30〜50μmのものを中心に殆どが10〜70μm範囲内にあり、長さが10〜30mmのものを中心に1〜50mm範囲内にあり、不織布層A中に前記切削金属繊維1が100本〜500本/cm3含有されて成るものが好ましい。
【0022】
また、不織布層Aの繊維間に水が直接侵入することによって、誘電率が変化し、電磁波吸収性能が低下するのを防止するために、図4に示すように、少なくとも前記不織布層Aの露出面の全体を高分子膜7で被覆する形態が可能である。
そうすれば、濡れやすい条件下に用いても、不織布層A内への水の侵入を防止しできて安定した性能が得られる。
【0023】
これを、さらに具体的に、以下の実施例で説明する。
【0024】
【実施例1】
図1に示す電磁波吸収シートについて性能実験を行った。
不織布層Aの切削金属繊維1は、長さが300mmで、平均30μmのフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を、ガラス繊維(グラスウール)と、そのガラス繊維に対して質量比30%の、繊維結合機能を有するポリエステル繊維を含ませて不織布製造機にかけて製造し、厚さ10mmで大きさ300mm角にした不織布4を用いた。
その不織布4の単位体積中に含まれる繊維の本数は、80本数/CC、230本数/CC、360本数/CC、550本数/CCの4種類のものを用意した。
【0025】
それら4種類の各不織布4の裏面にアルミ箔を貼ったサンプルついて、電磁波吸収量を周波数1〜18GHzにわたり反射電力法で測定した。
そして、例えば230本数/CCの場合において、平行偏波と垂直偏波の電磁波吸収量(反射減衰量:単位dB)の計算結果は図7に示すようであった。
即ち、本発明に用いる不織布4にはシート異方性が認められず、どちらの偏波に対してもその吸収量に大きな差がないことがわかる。
これを誘電率で調べると、下記数式1のようになる。
【0026】
【数式1】
【0027】
この数式1に示されているように、平行、垂直いずれの場合も大差ないことでもわかる。
なお、図7に示されているように3〜4GHz以下では吸収量が低下してくることが認められる。しかし、それ以上では安定した良好な数値が示されている。そこで、本発明サンプルの3〜18GHzの範囲における吸収量の平均レベルを数値で表わした結果を、従来品のサンプルと比較して下記表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
上記表1中で平行、垂直は偏波面がシート製作時に不織布の流れとの関係を示している。
この表1に示されるように、本発明品でも繊維本数が80本数/CC及び550本数/CCでは平行、垂直を問わず吸収量は10dB以下であり、この本数では230本数/CC及び360本数/CCの場合程の良い性能が得られていないことがわかる。
また従来品では230本数/CC及び360本数/CCのところで平行、垂直の差が著しく現れており、シート異方性が顕著に認められる。
【0030】
本発明では、上記構成の電磁波吸収シートにおいて、用いられるグラスウールに替えてセラミック繊維を用いたり、またグラスウールにセラミック繊維を加えたりする各態様では、それ自体が難燃材、断熱材なので、難燃、断熱の機能を果たせることにもなる。
また、、難燃性、断熱性を必要としない場合には、前記切削金属繊維1をポリエステル繊維のみか、また他の合成繊維又は天然繊維と前記ポリエステル繊維とを混合したものでも良く、同様の電磁波吸収性能を得ることができる。
【0031】
【実施例2】
また、図1に示す電磁波吸収シートについて別の素材構成による性能実験を行った。
不織布層A部分の切削金属繊維1は、長さが300mmで、平均30μmのフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を質量比10%と、アルミナとシリカから成るセラミック繊維と、そのセラミック繊維に対して質量比20%の、繊維結合機能を有するポリエステル繊維を含ませて不織布製造機にかけて製造し、厚さ10mmで大きさ300mm角にした不織布4を用いた。
【0032】
この時、その不織布4中のステンレス製切削金属繊維1の長さは1〜50mmにわたり、その本数は320本/CCあった。
そして、その不織布層Aの裏側にアルミ箔を貼った。
次に、周波数1〜18GHzにわたり反射電力法で測定した。
その結果、周波数帯域3〜18GHzにおいて、12〜15dBの吸収量が測定された。
【0033】
【実施例3】
さらに、図2に示す電磁波吸収シートについて性能実験を行った。
不織布層A部分の切削金属繊維1は、長さが300mmで平均30μmのフェライト系ステンレス鋼(SUS430)を、ガラス繊維(グラスウール)と、そのガラス繊維に対して質量比20%の、繊維結合機能を有するポリエステル繊維を含ませて不織布製造機にかけて製造し、厚さ5mmで大きさ300mm角にした不織布4を用いた。
【0034】
前記切削金属繊維1は、前記不織布4の単位体積中に含まれる量を、2.5%、5.0%、7.5%の3種類のものを用意した。
製造された不織布4中のステンレス製の切削金属繊維1は、長さが1〜50mmに分布していた。
また、含まれる本数は、それぞれ180本/CC、300本/CC、440本/CCであった。
【0035】
これらの不織布4を上から、180本/CC、300本/CC、440本/CCの順に3層積層した不織布層Aの最下層の下面にアルミ箔を貼ったもの(イ)と、その不織布4の順序をひっくり返して、上から、440本/CC、300本/CC、180本/CCの順に積層した不織布層Aの最下層の下面にアルミ箔を貼ったもの(ロ)の2種類を製作した。
そしてそれら2種類(イ),(ロ)の電磁波吸収シートを、周波数1〜18GHzにわたり反射電力法で測定した。
【0036】
それら2種類(イ),(ロ)の測定結果は、図9に示す(ロ)の切削金属繊維1がより多く含まれる(440本/CC)層を上にして測定した値が25dBレベルで、図9に示す(イ)の切削金属繊維1が比較的少ない(180本/CC)層を上にして測定した値が35dBレベルであった。
このことから、異なる密度の不織布4を複層させた場合には、表面側に密度が低い不織布4を配置させた方がより優れた吸収能を得られることがわかる。
また、表面側に密度が高い不織布4を配置させた方でも、図7で示す単層の場合のレベルを上回っていた。
即ち、不織布4が単層である場合(図7に示す)よりも、異なる密度の不織布4を複層させた場合(図9に示す(イ)及び(ロ))の方がより優れた吸収能を得られることがわかる。
【0037】
【実施例4】
また、図3に示す電磁波吸収シートについて性能実験を行った。
本実施例では、抵抗膜型吸収体として知られている1/4λ構造の吸収体を作る目的で、長さが1〜50mmに分布しているステンレス製の切削金属繊維1を、不織布層A中に400本/CCで混入し、ガラス繊維(グラスウール)と、そのガラス繊維に、繊維結合機能を有するポリエステル繊維を含ませて不織布製造機にかけて製造した厚さ1.5mmの不織布シートを用いた。
【0038】
そして、その下面に厚さ7.5mmの切削金属繊維を含ませずにガラス繊維にポリエステル繊維を含ませた間隔保持充填材6の不織布シートを貼って、さらにその下面にアルミ箔を貼って複合化した電磁波吸収シートを作成した。
そして前記1.5mm厚の不織布層Aを上にして、周波数1〜10GHzにわたり反射電力法で測定した。
その結果、図10に示すように周波数9.5GHz近傍において、40dB以上の吸収量が測定された。
【0039】
【発明の作用】
本発明に用いる切削金属繊維1は、円形断面を有する金属線の表面を微細な溝の着いた刃物で、線軸にある角度で刃物を当て、線軸方向に平行に連続して削って行くことにより、連続的に削り出されるものである。
その切削金属繊維1の横断面は刃物の溝形状や切削条件により変化し様々な形状即ち異形(不定形)を呈している。
【0040】
図8は、ステンレス鋼繊維(材質:SUS430)の切削金属繊維1の横断面を示すものである。
この断面異形に加えて、切削加工された繊維の1本づづにはそれぞれに加工時のせん断加工歪みがあるため、全て繊維に直線性はなく、様々な曲がり方している。そして、隣り合ったそれらの繊維同士が絡み合っている状態がしばしば見られることになる。
このような状態を有する金属繊維は、従来の吸収体に使用されている繊維には全く見られないものであり、これが上述の電磁波吸収量におけるシート異方性を改善するための大きな要因となるのである。
本発明における切削金属繊維1として用いられる金属は、鉄、非鉄を問わず導電性を有し、且つ線状に加工でき、且つその線が刃物で切削できるものが該当する。
【0041】
そこで、このような切削金属繊維1を非バインダー繊維3の主体となるガラス繊維(グラスウール)などの無機繊維や、繊維結合機能を有する有機バインダー繊維2とともに不織布製造機に供給すると、切削金属繊維1は上記不定形状のため不織布製造機内を通過中に千切られて成形されいく。
【0042】
即ち、不織布製造機内通過時の製造条件に応じて、最初に供給された長い切削金属繊維が分断され、その分断された切削金属繊維の長さがある分布を呈するようになるとともに、不織布中における空間的分布も製造時の不織布シートの流れ方向とは無関係にランダム分布する。
そして、分断された切削金属繊維のうち長さが1mm以下のものは不織布シート製造時に絡まることができずに落下し、また、その長さが50mm以上のものはプレス成形により圧迫されて千切れてしまい存在する確率が極めて低くなる。
【0043】
そして、例えば、平均300mm長さの切削ステンレス鋼繊維(材質:SUS430)をガラス繊維(グラスウール)とともに不織布製造機に供給し、ある条件下で不織布を製造したときのステンレス繊維の長さ分布と不織布中での分散の状況を見ると、図6に示す通りである。この図6ではステンレス繊維が分断されて、かなり短くなっていることがわかる。
【0044】
切削ステンレス繊維が分断され短くなっているということは、その分本数が増加していることを意味する。
一定体積の不織布シート中に入っている切削ステンレス繊維の本数を見るために、その不織布シートをX線透過写真で撮影した。その写真図5に示されるように、切削ステンレス繊維は不織布シートの製造方向とは無関係に曲がりくねって分散している様子がわかる。
【0045】
本発明では、不織布A中の切削金属繊維1について、良好な電波吸収能を示すときのその本数、長さ、繊維径などを示しているが、その測定方法について以下説明する。
まず、繊維径の測定については、これらの繊維を垂直に立てて樹脂に埋め込み、これを固めた後、繊維に垂直な面を切断研磨し、この面を顕微鏡で拡大して観察した。
【0046】
ステンレス鋼繊維(材質:SUS430)の、図8は線の輪切り方向で切断したときの断面の顕微鏡写真図である。
その繊維径は、その写真図である図8から、各ファイバー断面の長径と短径の平均を繊維径としn=30で算術平均した。
また、長さと本数は不織布形成直後の一定領域中に含まれる繊維をすべて抜き取って本数を数えて測定した。
【0047】
その結果、本数は上記実施例でも示すように、100本以下または500本以上になると、吸収性能が低下することから、これらを上下限とした。
次に、製作した電磁波吸収シートの吸収量の測定は、電波暗室内で反射電力法を用いて行い、電波吸収体に直接電波を送信し、これからの反射レベルを測定した後、これと幾何学的に同面積の金属板からの反射レベルを同様に測定し、両者の比から吸収量を測定した。
なお、測定値と吸収量との関係は次の数式2に示す通りである。
【0048】
【数式2】
【0049】
本発明で使用される切削金属繊維1の太さは、以下の理由により限定した。
即ち、太さは平均径10μm以下になると不織布製造中に粉砕されて落下してしまう。また70μm以上になると切削金属繊維1が不織布製造工程中に千切れにくくなり、長さの分布が一様ではなくなるためこれを使用する上限とした。
【0050】
次に、、繊維結合機能を有する合成樹脂製のバインダー繊維2と電磁波吸収シートの可撓性との関係について説明する。
電磁波吸収シートの可撓性については、10mm厚の吸収シートを幅20mmの帯状に切断し、これを直径100mmの丸棒に巻き付けた時、電磁波吸収シートが折れずに巻き付けできるがどうかで可撓性の有無を判断した。
【0051】
バインダー繊維2としては、代表的なものとして、繊維結合機能を有するポリエステル繊維を用いたが、電磁波吸収シート内にあって加熱されると溶け、その周囲の切削金属繊維1や無機繊維、有機繊維などの非バインダー繊維3とを接着結合させる。
したがって、その量が少ない場合には不織布シートの厚さが定まらず、得たい一定の厚さを得ることができない。また多すぎると不織布シートの柔軟性が損なわれて曲げにくくなる。
このため、上記の簡易な丸棒巻付けテストでの試験結果に基づいて、可撓性を保持するためにバインダー繊維2の無機繊維に対する混合率を10〜40%とした。
【0052】
【発明の効果】
本発明は以上のようで、線材切削法により製作された切削金属繊維1を用いた電磁波吸収シートによって、従来の金属繊維に備わる「シート異方性」を解消し、電磁波の偏波面が平行又は垂直にかかわらず、各種電子機器から発せられる主として3GHz以上(望ましくは1GHz以上)の周波数域の電磁波を10dB以上(70%減衰)吸収することによって、電子機器の制御や性能を電磁波から保護するとともに、人々の一般生活への電磁波の影響を有効に防ぐことができるようになった。
【0053】
また、従来の電磁波吸収体体シートは、その製造工程が複雑なので高価であったが、それに比べると本発明の製造工程は単純であり、その分低コストで製造できるので、吸収性能の優れた電磁波吸収シートを低価格で提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の断面構成を示す縦断斜視図。
【図2】 不織布を複数積層した形態の断面構成を示す縦断斜視図。
【図3】 不織布と金属面体との間に間隔保持充填材を積層した形態の断面構成を示す縦断斜視図。
【図4】 高分子膜で被覆した形態の斜視図。
【図5】 不織布の表面からのX線透過写真図。
【図6】 切削金属繊維長さの偏差分布グラフ図。
【図7】 切削金属繊維230本/CCの場合の電磁波吸収シートにおける、周波数に対する吸収量のグラフ図。
【図8】 切削金属繊維の輪切り方向で切断したときの形状を示す写真図。
【図9】 実施例3の3種類の不織布を積層した場合における、上下側からの周波数に対する吸収量の比較グラフ図。
【図10】 実施例4の電磁波吸収シートにおける周波数に対する吸収量のグラフ図。
【符号の説明】
1 切削金属繊維
2 バインダー繊維
3 非バインダー繊維
4 不織布
5 金属面体
5a 金属板
5b 金属箔
5c 金属網
6 間隔保持充填材
7 高分子膜
A 不織布層
Claims (2)
- 円形断面を有する金属線の表面を微細な溝の着いた刃物で、線軸にある角度で刃物を当て、線軸方向に平行に連続して削って行くことにより、連続的に削り出される線材切削法で製作され、横断面が刃物の形状や切削条件により変化し様々な不定形状を成す切削金属繊維(1)と、 繊維結合機能を有するバインダー繊維(2)又はそのバインダー繊維(2)を含む単相物又は混合複相物である非バインダー繊維(3)とを均一に混合し、前記バインダー繊維(2)で繊維結合された不織布(4)を、単層又は複層させて不織布層(A)を形成し、その不織布(A)の片面に電波反射性能を有する鉄、アルミ、銅又はそれらの合金から成る金属体(5)を直接又は前記切削金属繊維(1)を含まない間隔保持充填材(6)を介して張設して成り、前記切削金属繊維(1)が、太さは30〜50μmのものを中心に殆どが10〜70μm範囲内にあり、長さは10〜30mmのものを中心に1〜50mm範囲内にあり、前記不織布層(A)中に前記切削金属繊維(1)が100本〜500本/cm 3 含有されたことを特徴とする電磁波吸収シート。
- 不織布層(A)の露出面の全体を高分子膜(7)で被覆し、その不織布層(A)内への水の侵入を防止できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収シート。
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