JP3868832B2 - バックル装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両等に用いられるシートベルトのバックル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等では、シールベルトの着用を促す等の目的に使用するため、シートベルトの装着の有無を検知する装置が組込まれることが多い。
【0003】
従来、この種の検知装置を組込んだバックル装置として、実開昭55−72406号公報に開示のものがある。
【0004】
上記公報に開示のバックル装置では、バックル本体に所定のスイッチ機構が組込まれている。そして、タングプレートをバックル本体に挿入し係合させると、該スイッチ機構がタングプレートに接触してオン動作し、これにより、シートベルトの着用の有無を検知するようになっている。
【0005】
しかしながら、上述のようなバックル装置では、タングプレートの係合・離脱を繰返すと、スイッチ機構の接触部分が摩耗し動作不良を発生する恐れがあり、耐久性が良好とはいえなかった。
【0006】
このため近年、非接触で検知を行うバックル装置として、米国特許第5742986号に開示のものがある。
【0007】
このバックル装置のバックル本体では、タングプレートの挿入係合に伴って可動する部材(例えばラッチ部材やエジェクタ部材)が磁石により形成されると共に、ホール効果素子が設けられている。これら可動部材とホール効果素子とは、タングプレートをバックル本体側に挿入係合して前記可動部材が移動すると、該可動部材がホール効果素子に近接する配置関係で、バックル本体に組込まれている。そして、ホール効果素子が磁界の強弱を検出することで、シートベルトの着用の有無を判断している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、米国特許第5742986号に開示のバックル装置では、磁石により形成された可動部材が1個のホール素子に近接するだけで、磁界の強弱を検出してしまう。このため、不完全な挿入係合状態でも、シートベルトが着用されたと判定してしまう恐れがあり、該判定が不正確となる恐れがある。
【0009】
そこで、この発明の課題は、シートベルトの着用の有無をより正確に判別できるバックル装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、請求項1記載のバックル装置は、タングプレートと、前記タングプレートが挿脱されるバックル本体とを備えたバックル装置であって、前記バックル本体は、基体と、前記タングプレートの挿入に伴って非係合形態から係合形態に形態変更して前記タングプレートを係合保持する係合保持手段と、磁界を発生させる磁界発生手段と、磁界に応じた検知信号を出力する磁気センサと、を備え、前記係合保持手段は、前記非係合形態から前記係合形態への形態変更に伴って変位しかつ磁化可能な磁界媒介部を有し、前記係合形態でのみ、前記磁界発生手段が前記磁界媒介部の一部に近接する位置であってその磁界媒介部を磁化可能な位置に配設されると共に、前記磁気センサが前記磁界媒介部の他部に近接する位置であって前記磁界発生手段により磁化された前記磁界媒介部による磁界の変動を検出可能な位置に配設されたものである。
【0011】
なお、請求項2記載のように、前記基体は、基板部とこの基板部の両側部に立設された一対の側板部を有し前記両側板部間に前記タングプレートが挿脱自在とされると共に前記両側板部に前記タングプレートの挿脱方向に沿って長孔が形成された構成とされ、前記係合保持手段は、前記両側板部間で前記タングプレートの挿脱方向に沿って移動自在に配設され、前記タングプレートの挿入により係合不許容位置から係合許容位置に向けて押込まれると共に、前記係合不許容位置に向けて付勢されるエジェクタ部材と、前記両側板部間に挿入されたタングプレートに係合可能な係合位置と前記タングプレートとの係合を解除可能な係合解除位置との間で回動自在に配設され、前記タングプレートの挿入により前記エジェクタ部材が前記係合許容位置に移動すると前記係合位置に回動して前記タングプレートに係合すると共に、前記係合解除位置に向けて常時付勢されるフック部材と、前記各長孔にその長手方向に沿って移動自在に挿通保持された両端部を有する長尺形状に形成され、前記係合位置に回動した前記フック部材に当接して前記フック部材が前記タングプレートに係合する状態を保持する係合保持位置と、前記フック部材が前記係合位置から前記係合解除位置に回動するのを許容する係合保持解除位置との間で、移動自在に配設されたロックバーと、を備え、前記磁界媒介部は、前記エジェクタ部材、前記フック部材若しくは前記ロックバーのうちのいずれか一つの全体若しくは一部、又は、それらの2以上の組合せにより構成されたものであってもよい。
【0012】
さらに、請求項3記載のように、前記磁界媒介部は前記ロックバーであり、前記ロックバーが前記係合保持位置に移動した状態で、そのロックバーの一端部に近接する位置に前記磁界発生手段が配設されると共に、そのロックバーの他端部に近接する位置に前記磁気センサが配設されていてもよい。
【0013】
また、請求項4記載のように、前記磁気センサは、ホール効果素子であってもよい。
【0014】
さらに、請求項5記載のように、前記磁界発生手段と前記磁気センサとは、単一のスイッチホルダ体に取付けられた状態で、前記バックル本体に組込まれていてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態に係るバックル装置について説明する。
【0016】
このバックル装置は、車両等のシートベルト装置において、乗員の身体に装着されたウエビングを車体側に連結固定するための装置である。
【0017】
図1〜図6に示すように、このバックル装置10は、タングプレート12と、該タングプレート12が挿脱されるバックル本体20とを備えている。
【0018】
タングプレート12は、図示省略のウエビングの途中に移動自在に配設されるものであり、タング部14とこのタング部14に一体的に形成された連結部16とを有している。
【0019】
タング部14は、金属等により略矩形板状に形成されており、その略中央部に略矩形状の係合孔14aが形成されている。この係合孔14aに、後述するバックル本体20側の係合保持手段50が係合することで、タングプレート12とバックル本体20とが連結固定される。
【0020】
また、連結部16は、前記タング部14よりも若干幅広かつ肉厚の部材に形成されており、その略中央部にウエビングを挿通可能なウエビング挿通孔16aが形成されている。そして、ウエビングが該ウエビング挿通孔16a内に挿通されることで、タングプレート12がウエビングの途中に移動自在に配設されることとなる。
【0021】
バックル本体20は、図1〜図11に示すように、フロア等の車体側に配設されるものであり、基体30と、係合保持手段50と、磁界発生部40と、磁気センサ42とを備えている。これらの各部材は、合成樹脂等により形成されたベースカバー48と蓋カバー49との間に収容配置される。なお、図2〜図6は、バックル本体10にタングプレート12が挿入係合された状態を示しており、図7〜図11は、バックル本体10にタングプレート12が挿入係合されていない状態を示している。このバックル本体20の説明において、便宜上、タングプレート12が挿入される側を前側(図1の右下側)、その反対側を後側(図1の左上側)として説明する。
【0022】
基体30は、例えば、厚板状金属材を適宜打抜き屈曲形成することにより形成されたもので、基板部31とこの基板部31の両側部に立設された一対の側板部35とを有している。上記タングプレート12は、両側板部35間に挿脱自在とされる。
【0023】
基板部31は、略長方形板状に形成されており、その略中央部にガイド穴32が形成されている。ガイド穴32は、略矩形状に形成されており、後述するエジェクタ52の移動をガイドすると共に、該エジェクタ52を付勢するためのコイルバネ80が収容配置される(図5及び図10参照)。また、ガイド穴32の後端縁の幅方向略中央部に長尺状のバネ連結部33が突出形成されている。
【0024】
一対の側板部35には、それぞれタングプレート12の挿脱方向(前後方向)に沿って長孔36が形成されており、後述するロックバー70が該長孔36に沿って移動自在に配設される。
【0025】
また、各側板部35の上縁部であって前記長孔36よりも後側の位置に、それぞれ回動支持部37が切欠形成されている。回動支持部37は、その開口縁部が若干狭まった凹切欠状に形成されており、後述するフック部材60を回動自在に支持する。
【0026】
さらに、各側板部35の内面側には、それぞれ案内突部38が突出形成されている。各案内突部38は、基板部31の上面からタングプレート12の厚み寸法分離れた位置に形成されており、該タングプレート12が基板部31の上面に摺接しつつ両側板部35間で挿脱されるようにガイドする機能を有している。
【0027】
なお、この基体30の基板部31の後端部には、車体側への固定に供される取付孔30hが形成されている。
【0028】
係合保持手段50は、タングプレート12の挿入に伴って非係合形態から係合形態に形態変更して該タングプレート12を係合保持可能に構成されいる。また、この係合保持手段50は、前記非係合形態から前記係合形態への形態変更に伴って変位しかつ磁化可能な磁界媒介部を有している。
【0029】
本実施の形態では、係合保持手段50は、エジェクタ52と、フック部材60と、ロックバー70とを備えており、そのロックバー70を磁界媒介部として機能させている。
【0030】
エジェクタ52は、上記側板部35間でタングプレート12の挿脱方向(前後方向)に沿って移動自在に配設されている。そして、該タングプレート12の挿入により所定の係合不許容位置(前側の位置)から所定の係合許容位置(後側の位置)に向けて押込まれる。
【0031】
具体的には、エジェクタ52は、基板部31上を摺動するエジェクタ本体部55と、エジェクタ本体部55の下面側に形成されたエジェクタガイド部53とを備えている。
【0032】
エジェクタ本体部55の前端部上面には、後述するフック部材60のフック部66をタングプレート12の係合孔14aに案内する案内傾斜部56が形成され、エジェクタ本体部55の両側部の前部に、後述するレリースボタン90を前方に押動するための一対のボタン押動部57が突出形成され、エジェクタ本体部55の後端縁部両側に、フック部材60を後述する係合位置に向けて押動するための一対のフック押動部58が形成されている。
【0033】
また、エジェクタガイド部53の両側部には、その前後方向に沿って断面略U字状の溝(図示省略)が形成されている。そして、基板部31のガイド穴32の両側縁部を該溝にスライド自在に嵌め込むことにより、本エジェクタ52が基体30に対して前後移動自在に取付けられることとなる。
【0034】
また、エジェクタ52の後端部には、バネ連結部54が突出形成されている。そして、上述のようにエジェクタ52を基体30に組込んだ状態で、エジェクタ52を前側に付勢するための付勢部材としてのコイルバネ80が、該バネ連結部54とガイド穴32側のバネ連結部33との間に若干の圧縮状態で介在されている。このコイルバネ80の付勢力により、エジェクタ52が前方(タングプレート12の離脱方向)に向けて弾性付勢される(図5及び図10参照)。
【0035】
エジェクタ52を基体30に組込んだ状態では、エジェクタ52は、コイルバネ80の付勢力により前方に向けて付勢され、前方の係合不許容位置に移動している。
【0036】
この状態から、タングプレート12をバックル本体20内に挿入すると、該タングプレート12の先端部がエジェクタ本体部55の前端部に当接する。これにより、コイルバネ80の付勢力に抗して、エジェクタ52が後方に押込まれる。タングプレート12がバックル本体20内の所定位置まで挿入された状態で、エジェクタ52は、フック部材60が該タングプレート12に係合するのを許容する係合許容位置に移動している。
【0037】
フック部材60は、例えば厚板状金属材を適宜打抜き・屈曲形成すること等により形成された部材であり、本体部61と、その本体部61の前方に連設された湾曲部65と、該湾曲部65の先端部に連設されたフック部66とを備えている。
【0038】
本体部61は、両側板部35間に配設可能な板状部材に形成され、その後部に左右一対の回動軸部62が突出形成されている。そして、本フック部材60を両側板部35間に配設して、一対の回動軸部62を一対の回動支持部37にそれぞれ回動自在に嵌入することで、フック部材60が一対の回動軸部62周りに回動自在に支持されることとなる。
【0039】
この本体部61の後端部の幅方向略中央部には、バネ連結部63が立設されると共に、本体部61の後端縁部の両側部に上記フック押動部58と当接可能なフック被押動部64が垂設されている。
【0040】
また、湾曲部65は、本体部61の前方から上方へ弧状に湾曲する形状に形成されている。フック部66は、該湾曲部の先端部から下方に向けて延設されており、特にフック部66の先端部は、本体部61の下面よりも下方に伸びている。
【0041】
このフック部材60は、後述する付勢力により、回動軸部62周りにフック部66を上向きに移動させる方向(タングプレート12との係合を解除する方向)に付勢されている。
【0042】
そして、上記エジェクタ52が前方の係合不許容位置にある状態では、フック部66の先端部はエジェクタ52の上面に当接しており、フック部材60は係合解除位置に位置している。
【0043】
この状態から、フック部66の先端部をエジェクタ52の上面に摺接させつつ、エジェクタ52を係合不許容位置から後方の係合許容位置に向けて移動させると、フック押動部58がフック被押動部64に当接する。さらに、エジェクタ52を移動させると、フック部材60は、そのフック部66を下向きに移動させる方向に回動し、係合位置に変位する。そして、タングプレート12を、その係合孔14aをフック部66の下方に位置させるまで、十分に押込むと、フック部66は、下方に移動して係合孔14aに係合して、タングプレート12とバックル本体20とが結合する。この状態では、コイルバネ82の付勢力により、フック部材60は係合解除位置に向けて付勢されている。
【0044】
ロックバー70は、金属等の磁界によって磁化可能な部材により形成されており、長尺形状に形成されている。ロックバー70の両端部は各側板部35の長孔36にその長手方向(前後方向)に沿って移動自在に挿通保持されている。
【0045】
ロックバー70が各長孔36に沿って最も前方に移動した係合保持位置では、該ロックバー70は、湾曲部65の上方に配設される。そして、フック部材60が上記係合位置に回動した状態で、該湾曲部65の上部に当接し、フック部材60がタングプレート12に係合する状態を保持するようになっている。
【0046】
また、ロックバー70が各長孔36に沿って後方に移動した係合保持解除位置では、ロックバー70は湾曲部65よりも後方に配設される。そして、フック部材60が係合位置から係合解除位置に変位するのを妨げないようになっている。
【0047】
なお、ロックバー70の両端部は、両側板部35の外側に若干突出している。
【0048】
また、ロックバー70の幅方向中央部に、上記バネ連結部63に対向するようにしてバネ連結部72が突出形成されている。そして、付勢部材としてコイルバネ82がバネ連結部63とバネ連結部72との間に若干圧縮状態で介在されている。
【0049】
このコイルバネ82によりロックバー70が前方の係合保持位置に向けて付勢され、ロックバー70が係合保持解除位置において前方に向けて付勢されると、該ロックバー70が湾曲部65の外周側湾曲面の後部に圧接される。
【0050】
また、後述するレリースボタン90によりロックバー70が係合保持解除位置に押込まれた状態では、コイルバネ82の付勢力により、フック部材60を係合解除位置に向けて付勢することとなる。
【0051】
また、このバックル本体20には、ロックバー70を係合保持解除位置に移動させて、フック部材60とタングプレート12との係合状態を解除するための部材として、レリースボタン90が設けられている。
【0052】
レリースボタン90は、樹脂等により形成されており、操作部91と、一対のガイド側板部92と、ガイド側板部92を所定間隔寸法に連結支持するための枠部94と、操作部91の後面に突出形成されて一対のボタン押動部57に当接可能な一対のボタン被押動部96とを備えている。
【0053】
一対のガイド側板部92は、それぞれ操作部91の両側部より後方に向けて延出された長尺板状に形成されており、両側板部35の外面に摺接可能な間隔寸法をあけて並設されている。
【0054】
また、一対のガイド側板部92の遊端部(後端部)の内面には、その長手方向(前後方向)に沿って所定長に亘って凹溝93が形成されている。各凹溝93は、ロックバー70の各端部をスライド自在に収容可能に形成されている(図6及び図11参照)。
【0055】
そして、一対の側板部92を各側板部35の外面側に配設して、各側板部35の外面側に突出するロックバー70の両端部を各凹溝93内に配設すると共に、操作部91を基体30の前方に配設するようにして、レリースボタン90が基体30に組込まれる。
【0056】
そして、手指等で操作部91を押動し、レリースボタン90を基体30に対して後方に押込むと、凹溝93の前側端部がロックバー70の両端部に当接し、該ロックバー70が係合保持位置から係合保持解除位置に向けて移動するように構成される。また、タングプレート12がバックル本体20から離脱した状態、即ち、エジェクタ52が係合非許容位置に移動した状態では、エジェクタ52の一対のボタン押動部57が一対のボタン被押動部96に当接して、該レリースボタン90を前方に向けて押動するようになっている。
【0057】
また、磁界発生部40は、一般的な強磁性体(永久磁石等)により構成されており、係合保持手段50がタングプレート12を係合保持した形態で、磁界媒介部の一部、即ち、ロックバー70の一部に近接して磁化可能な位置に配設されている。本実施の形態では、磁界発生部40は、ロックバー70の一端部近傍、より具体的には、ロックバー70の一端部の前側の位置に配設されている(図6及び図1参照)。
【0058】
磁気センサ42としては、磁界に応じた(少なくとも磁界の強さに応じた)検知信号を出力するセンサ、例えば、ホールIC(集積回路)や強磁性体磁気センサ等、好ましくはホールICが用いられる。この磁気センサ42は、係合保持手段50がタングプレート12を係合保持した形態で、磁界媒介部の他部、即ち、ロックバー70の他部に近接する位置であって、磁化されたロックバー70による磁界の変動を検出可能な位置に配設されている(図6及び図11参照)。本実施の形態では、磁気センサ42は、ロックバー70の他端部近傍、より具体的には、ロックバー70の他端部の前側の位置に配設されている。
【0059】
ここで、磁界媒介部の一部と他部とは、互いに隣接しない位置であることが好ましい。それらに対応して磁界発生部40と磁気センサ42とが配設されるところ、磁界発生部40からの磁界が直接磁気センサ42に影響を及さないようにするためである。また、磁界媒介部が少しでも傾くと係合状態が不完全であると判別できるように、磁界媒介部の幅方向両側の位置に、一部及び他部が設定されることが好ましい。
【0060】
また、これら磁界発生部40及び磁気センサ42は、単一のスイッチホルダ体44に取付けられた状態で、バックル本体20に組込まれる。
【0061】
具体的には、スイッチホルダ体44は、上記両側板部35の前部間に掛渡すようにして配設可能な長尺形状に形成されており、その一端部の取付部45aに磁界発生部40が取付けられると共に、その他端部の取付部45bに磁気センサ42が取付けられている。磁界発生部40や磁気センサ42の取付方法としては、インサート成型によるものや接着剤や嵌合構造等を利用したものを挙げることができる。
【0062】
そして、スイッチホルダ体44の両端部の係合部46を両側板部の前部上コーナ部に形成された凹部35aに嵌め込むことで、該スイッチホルダ体44が基体30に取付けられ、磁界発生部40及び磁気センサ42もバックル本体20に組込まれることとなる。
【0063】
なお、このように磁界発生部40や磁気センサ42が取付けられたスイッチホルダ体44を、ベースカバー48や蓋カバー49等に取付けるようにしてもよい。
【0064】
また、必ずしも上記のようなスイッチホルダ体44を用いる必要はなく、磁界発生部40及び磁気センサ42を、別々にベースカバー48や蓋カバー49、基体30等に取付けてもよい。
【0065】
なお、上記磁気センサ42からは図示省略の信号出力線が引出されており、該信号出力線は、図示省略のシートベルトの着用を判定する制御部に電気的に接続される。
【0066】
以上のように構成されたバックル装置10について、まず、バックル本体20とタングプレート12との係合動作及び離脱動作について説明する。
【0067】
まず、バックル本体20とタングプレート12とが離脱している状態では、図2〜図6に示すように、係合保持手段50が非係合形態、即ち、エジェクタ52が前側の係合不許容位置に、フック部材60はそのフック部66を上方に移動させた係合解除位置に、ロックバー70は後方の係合保持解除位置に、それぞれ位置している。
【0068】
この状態で、タングプレート12をバックル本体20に挿入すると、図7〜図11に示すように、係合保持手段50が係合形態に形態変更する。
【0069】
すなわち、まず、該タングプレート12の先端部がエジェクタ52の前端部に当接する。タングプレート12をさらに奥に押込むと、コイルバネ80の付勢力に抗して、エジェクタ52が後方に押込まれ、後方の係合許容位置に移動する。
【0070】
すると、フック押動部58がフック被押動部64を押して、フック部材60が係合位置に回動して、フック部66が下方に移動し、タング部14の係合孔14aに係合する。
【0071】
また、これに伴い、コイルバネ82の付勢力によってロックバー70が係合保持位置に移動し、フック部66が上方に持ち上がるのを阻止し、即ち、フック部66が係合孔14aに係合する状態を保持する。
【0072】
これにより、係合保持手段50が係合形態に形態変更して、バックル本体20とタングプレート12との係合動作が終了する。
【0073】
次に、離脱動作時においては、まず、操作者が手指等で操作部91を押動して、レリースボタン90を基体30に対して後方に押込む。これにより、レリースボタン90の凹溝93の前側端部がロックバー70の両端部に当接し、該ロックバー70が係合保持位置から係合保持解除位置に向けて移動する。このとき、ロックバー70はレリースボタン90により係合保持解除位置に向けて押込まれているので、ロックバー70を介して圧縮されたコイルバネ82の付勢力は、フック部材60を係合解除位置に向けて移動させる力として該フック部材60に作用し、該フック部材60は係合解除位置に回動する。
【0074】
そして、レリースボタン90を押込む力を取去ると、コイルバネ80の付勢力によりエジェクタ52は前方の係合不許容位置に移動する。エジェクタ52の前方への移動に伴って、タングプレート12が前方に押出されると共に、レリースボタン90も前方の位置に移動する。
【0075】
以上により、係合保持手段が非係合形態に形態変更して、離脱動作が終了する。
【0076】
次に、上記係合/離脱動作時における係合保持状態の検出動作について説明する。
【0077】
まず、係合保持手段50が非係合形態である状態では、図12に示すように、ロックバー70が後方の係合保持解除位置にあり、磁界発生部40及び磁気センサ42はロックバー70よりも前方へ所定距離離れた位置にある。
【0078】
そして、係合保持手段50が係合形態に形態変更すると、図13に示すように、ロックバー70が前方の係合保持位置に移動し、ロックバー70の一端部が磁界発生部40に近接して配置されると共に、ロックバー70の他端部が磁気センサ42に近接して配置される。
【0079】
この状態では、磁界発生部40がロックバー70を磁化すると共に、磁化されたロックバー70による磁界の変動(磁界強弱が大きくなったこと)が磁気センサ42により検出される。換言すれば、ロックバー70が磁界発生部40から磁気センサ42に至る磁路が形成される。そして、その磁界の変動(磁界強弱の大きさ)に応じた検出信号が磁気センサ42から出力されることとなる。そして、この検出信号に基づいて、制御部においてシートベルト着用の有無が判定されることとなる。
【0080】
なお、ロックバー70の一端部と磁界発生部40との間隔寸法、ロックバー70の他端部と磁気センサ42Bとの間隔寸法は、磁界発生部40による磁界の強さ、磁気センサ42Bの検出精度、磁界媒介部として用いるロックバー70の透磁率等に応じて、上述した動作によって検出が行えるように適宜調整される。
【0081】
一方、タングプレート12とバックル本体20との係合が不完全である場合、例えば、ロックバー70が傾いた姿勢で係合保持位置に向けて移動した場合には、図14又は図15に示すようになる。
【0082】
即ち、図14に示すように、ロックバー70の一端部が後側に傾斜した状態では、ロックバー70の一端部と磁界発生部40とが所定距離以上離れた位置にある。この場合、磁界発生部40によるロックバー70の磁化度合が不十分である。このため、磁気センサ42は、ロックバーが正規に係合保持位置に移動したと判断し得る検出信号を出力しない。
【0083】
また、図15に示すように、ロックバー70の他端部が後側に傾斜した状態では、ロックバー70の他端部と磁気センサ42とが所定距離以上離れた位置にある。この場合、ロックバー70については磁界発生部40により磁化されるものの、磁気センサ42とロックバー70間の距離が所定距離以上離れているので、磁気センサ42は、ロックバーが正規に係合保持位置に移動したと判断し得る検出信号を出力しない。
【0084】
以上のように構成されたバックル装置10によると、係合保持手段50の係合形態で、磁界媒介部であるロックバー70の一端部が磁界発生部40に近接しかつその他端部が磁気センサ42に近接したときにのみ、ロックバー70が正規に係合保持位置に移動したと判断できる。従って、前記係合保持状態をより正確に検出でき、シートベルトの着用の有無をより正確に判別できる。
【0085】
また、非接触で係合保持状態を検出するので、バックル本体20内に浸入した異物等により検出動作が妨げられ難く、しかも、耐久性も良好である。
【0086】
また、磁界発生部40や磁気センサ42を、可動部材である係合保持手段50側に設ける必要が無く、基体30やベースカバー48、蓋カバー49等の固定部材側に固定すればよいので、設計自由度に優れる。
【0087】
特に、磁界媒介部としてロックバー70を用い、ロックバー70が係合保持位置に移動した状態で、そのロックバー70の一端部に近接する位置に磁界発生部40を配設すると共に、そのロックバー70の他端部に近接する位置に磁気センサ42を配設しているため、ロックバー70が正規に係合保持位置に移動した状態で、係合保持状態を検出することができ、シートベルトの着用の有無をより正確に判別できる。
【0088】
また、磁界発生部40と磁気センサ42とは、単一のスイッチホルダ体44に取付けられた状態で、バックル本体20に組込まれるため、磁界発生部40と磁気センサ42とのバックル本体20への組込を容易に行うことができる。
【0089】
なお、磁界発生部40と磁気センサ42との配設位置例は、上記のものに限られない。例えば、図16及び図17に示すように、磁界発生部40Bと磁気センサ42Bとが、スイッチホルダ体44Bを介して、ロックバー70の一端部及び他端部の外側に配設されていてもよい。
【0090】
また、図18に示すように、上記各配設位置の組合せ、即ち、磁界発生部40C1がロックバー70の一端部の外側に配設されると共に、磁気センサ42C1がロックバー70の一端部の前側に配設された例であってもよいし、また、磁界発生部40C2がロックバー70の一端部の前側に配設されると共に、磁気センサ42C2がロックバー70の一端部の外側に配設された例であってもよい。
【0091】
さらに、本実施の形態では、磁界媒介部としてロックバー70を用いる構成としているが、必ずしもこれに限られるものではない。
【0092】
即ち、上記係合保持手段50の構成部材のうち、非係合形態から係合形態への形態変更に伴って変位しかつ磁化可能な部分を磁界媒介部として用いることができる。上記係合保持手段50においては、ロックバー70の全体又は一部の他、フック部材60の全体又は一部を磁界媒介部として用いることができる。また、エジェクタ52を金属等の磁化可能な材料により形成した場合には、該エジェクタ52の全体又は一部をも磁界媒介部として用いることができる。勿論、磁界媒介部として用いる部材の変位態様に応じて、磁界発生部40や磁気センサ42の配設位置を適宜変更する必要がある。
【0093】
また、非係合形態から係合形態への形態変更に伴って変位しかつ磁化可能な部分を複数組合わせて磁界媒介部として用いることができる。
【0094】
例えば、図19〜図22に示す変形例に係るバックル装置10Dでは、上記ロックバー70及びフック部材60の組合せにより磁界媒介部を構成している。
【0095】
即ち、このバックル装置10Dでは、係合保持位置に位置するロックバー70の一端部の外側に磁気センサ42Dが配設されている。また、係合位置に位置するフック部材60のフック部66の下端部の近傍に磁界発生部40Dが配設されている。なお、これら磁界発生部40D及び磁気センサ42Dは、ベースカバー48や蓋カバー49(図1参照)等に適宜取付けられている。
【0096】
このバックル装置10Dでは、非係合形態においては、フック部66の下端部は磁界発生部40Dから所定距離以上上方へ離れた位置にあり、また、ロックバー70の一端部は磁気センサ42Dから後方へ所定距離以上離れた位置にある。
【0097】
そして、バックル本体20Dとタングプレート12との係合保持により、係合保持手段50が係合形態に形態変更すると、ロックバー70は係合保持位置に移動すると共に、フック部材60は係合位置に回動する。これにより、フック部66の下端部が磁界発生部40Dに近接して配設され、磁界発生部40Dの磁界の影響を受けてフック部材60が磁化される。また、フック部材60の磁界の影響を受けて、湾曲部65でフック部材60と接触しているロックバー70も磁化される。この状態では、ロックバー70の一端部は磁気センサ42Dに近接して配設されていることから、磁気センサ42Dは、磁化されたロックバー70による磁界の変動を検出し、その検出信号を出力する。換言すると、ロックバー70とフック部材60との組合せにより、磁界発生部40Dから磁気センサ42Dに至る磁路が形成される。そして、磁気センサ42Dからの検出信号に基づいて、係合状態が判別される。
【0098】
この変形例に係るバックル装置10Dでは、複数部材の一部又は全部の組合せにより磁界媒介部を構成しているため、磁界発生部40Dや磁気センサ42Dの取付位置の自由度に優れる。
【0099】
なお、タングプレート12を係合保持する構成としては、種々の構成を考えることができ、係合保持するに伴って変位する部材を備えたバックル装置に対して、本発明を適用することができる。
【0100】
【発明の効果】
以上のように、この発明の請求項1〜請求項5記載のバックル装置によると、係合形態で、磁界媒介部の一部が磁界発生手段に近接しかつその他部が磁気センサに近接したときにのみ、磁界発生手段が磁界媒介部を磁化しかつその磁界媒介部による磁界の変動が磁気センサにより検出される。従って、前記係合保持状態をより正確に検出でき、シートベルトの着用の有無をより正確に判別できる。
【0101】
さらに、請求項2記載の発明によれば、前記磁界媒介部は、前記エジェクタ部材、前記フック部材若しくは前記ロックバーのうちのいずれか一つの全体若しくは一部、又は、それらの2以上の組合せにより構成されるため、磁界発生手段と磁気センサの取付位置の自由度に優れる。また、部品点数の増加を抑えることができる。
【0102】
また、請求項3記載の発明によれば、ロックバーが係合保持位置に移動した状態で、係合保持状態を検出することができ、シートベルトの着用の有無をより正確に判別できる。
【0103】
また、請求項4記載の発明によれば、リニア(連続的)な検知信号を出力できるため、信頼性が高くなる。
【0104】
請求項5記載の発明によれば、磁界発生手段と前記磁気センサとのバックル本体への組込を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に係るバックル装置を示す分解斜視図である。
【図2】同上のバックル装置の内部構造を示す斜視図である。
【図3】同上のバックル装置の内部構造を示す平面図である。
【図4】同上のバックル装置の内部構造を示す側面図である。
【図5】図3のV−V線断面図である。
【図6】図4のVI−VI線断面図である。
【図7】バックル本体の内部構造を示す斜視図である。
【図8】バックル本体の内部構造を示す平面図である。
【図9】バックル本体の内部構造を示す側面図である。
【図10】図8のX−X線断面図である。
【図11】図9のXI−XI線断面図である。
【図12】非係合形態におけるロックバーと磁界発生手段及び磁気センサとの位置関係を示す概略平面図である。
【図13】係合形態におけるロックバーと磁界発生手段及び磁気センサとの位置関係を示す概略平面図である。
【図14】係合不完全状態におけるロックバーと磁界発生手段及び磁気センサとの一の位置関係を示す概略平面図である。
【図15】係合不完全状態におけるロックバーと磁界発生手段及び磁気センサとの他の位置関係を示す概略平面図である。
【図16】磁界発生手段及び磁気センサの他の配設位置例を示す概略平面図である。
【図17】磁界発生手段及び磁気センサの他の配設位置例を示す概略平面図である。
【図18】磁界発生手段及び磁気センサのさらに他の配設位置例を示す概略平面図である。
【図19】変形例に係るバックル装置の内部構造を示す断面図である。
【図20】同上のバックル装置の内部構造を示す他の断面図である。
【図21】同上のバックル装置に係るバックル本体の内部構造を示す断面図である。
【図22】同上のバックル装置に係るバックル本体の内部構造を示す他の断面図である。
【符号の説明】
10,10B バックル装置
12 タングプレート
14a 係合孔
20,20B バックル本体
30 基体
31 基板部
35 側板部
36 長孔
40,40B,40C,40D 磁界発生部
42,42B,42C,42D 磁気センサ
44,44B スイッチホルダ体
50 係合保持手段
52 エジェクタ
60 フック部材
66 フック部
70 ロックバー
80,82 コイルバネ

Claims (5)

  1. タングプレートと、前記タングプレートが挿脱されるバックル本体とを備えたバックル装置であって、
    前記バックル本体は、
    基体と、前記タングプレートの挿入に伴って非係合形態から係合形態に形態変更して前記タングプレートを係合保持する係合保持手段と、磁界を発生させる磁界発生手段と、磁界に応じた検知信号を出力する磁気センサと、を備え、
    前記係合保持手段は、
    前記非係合形態から前記係合形態への形態変更に伴って変位しかつ磁化可能な磁界媒介部を有し、
    前記係合形態でのみ、前記磁界発生手段が前記磁界媒介部の一部に近接する位置であってその磁界媒介部を磁化可能な位置に配設されると共に、前記磁気センサが前記磁界媒介部の他部に近接する位置であって前記磁界発生手段により磁化された前記磁界媒介部による磁界の変動を検出可能な位置に配設された、バックル装置。
  2. 請求項1記載のバックル装置であって、
    前記基体は、
    基板部とこの基板部の両側部に立設された一対の側板部を有し前記両側板部間に前記タングプレートが挿脱自在とされると共に前記両側板部に前記タングプレートの挿脱方向に沿って長孔が形成された構成とされ、
    前記係合保持手段は、
    前記両側板部間で前記タングプレートの挿脱方向に沿って移動自在に配設され、前記タングプレートの挿入により係合不許容位置から係合許容位置に向けて押込まれると共に、前記係合不許容位置に向けて付勢されるエジェクタ部材と、
    前記両側板部間に挿入されたタングプレートに係合可能な係合位置と前記タングプレートとの係合を解除可能な係合解除位置との間で回動自在に配設され、前記タングプレートの挿入により前記エジェクタ部材が前記係合許容位置に移動すると前記係合位置に回動して前記タングプレートに係合すると共に、前記係合解除位置に向けて常時付勢されるフック部材と、
    前記各長孔にその長手方向に沿って移動自在に挿通保持された両端部を有する長尺形状に形成され、前記係合位置に回動した前記フック部材に当接して前記フック部材が前記タングプレートに係合する状態を保持する係合保持位置と、前記フック部材が前記係合位置から前記係合解除位置に回動するのを許容する係合保持解除位置との間で、移動自在に配設されたロックバーと、
    を備え、
    前記磁界媒介部は、
    前記エジェクタ部材、前記フック部材若しくは前記ロックバーのうちのいずれか一つの全体若しくは一部、又は、それらの2以上の組合せにより構成された、バックル装置。
  3. 請求項2記載のバックル装置であって、
    前記磁界媒介部は前記ロックバーであり、
    前記ロックバーが前記係合保持位置に移動した状態で、そのロックバーの一端部に近接する位置に前記磁界発生手段が配設されると共に、そのロックバーの他端部に近接する位置に前記磁気センサが配設された、バックル装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のバックル装置であって、
    前記磁気センサは、ホール効果素子である、バックル装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のバックル装置であって、
    前記磁界発生手段と前記磁気センサとは、単一のスイッチホルダ体に取付けられた状態で、前記バックル本体に組込まれた、バックル装置。
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