JP3867396B2 - 光ピックアップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクの情報の記録や再生を行う光ピックアップに係り、特に、CDやCD−ROM等の従来型光ディスクやデジタルビデオディスク(DVD、DVD−ROM、DVD−RAM)等の高密度光ディスクのようにディスク基板の厚みや記録密度等の規格の異なる光ディスクの記録や再生が可能な光ピックアップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来型光ディスクとして、音楽ソフトやコンピュータ用ソフトの媒体としてコンパクトディスク(CD、CD−ROM)が幅広く普及しているが、近年、映像ソフトや大容量コンピュータソフトの媒体として、高密度光ディスク(DVD、DVD−ROM)が提案され実用化されようとしている。高密度光ディスクでは、光ピックアップの集光手段の開口数を従来型光ディスクの0.45から0.60に高めるとともに、半導体レーザの波長を従来型光ディスクの780nmから650nmあるいは635nmに短波長化することにより、光ディスクの記録面に結像されるスポット径をさらに微小化し、記録密度を従来型光ディスクの4.2倍程度にまで高めている。一方、ディスクの傾きにより生じる波面収差は開口数の3乗とディスク基板の厚みに比例するため、高密度光ディスクではディスクの傾きによる波面収差が増大することを抑制するために、ディスク基板の厚みを従来型光ディスクの1.2mmに対して半分の0.6mmに設定している。
【0003】
このような背景にあって、高密度光ディスク用の光ピックアップは、現在までに出版されたソフトの資産を有効に活用できるようにするために、高密度光ディスクだけでなく従来型光ディスクの再生が可能であることが要求されている。しかしながら、高密度光ディスク用に設計された光学系をそのまま従来型光ディスクに用いると、ディスク基板の厚みの違いにより大きな球面収差が発生して、結像スポットがボケて情報の再生ができないという問題が生じる。
【0004】
さらに加えて第3の記録媒体としてCD−Rと呼ばれている一回だけ書き換え可能な追記型光ディスクが存在している。このCD−Rの反射膜は波長依存性が非常に高いので、規格で定められている780nm近傍の発振波長を有する光源しか用いることができない。
【0005】
この問題を解決するための従来の技術について以下詳細に説明する。図13は従来の光ピックアップの光学系を示す図である。図13において、200および300は光源で、光源200は高密度光ディスクを再生するために用いられる波長が635〜650nmの半導体レーザであり、光源300は低密度光ディスクおよび追記型低密度光ディスク(以下まとめて低密度光ディスクと称す)を再生するために用いられる波長が780nmの半導体レーザである。201はプリズムで、プリズム201にはハーフミラーが設けられている。202はコリメータレンズで、コリメータレンズ202は拡散光を平行光に変換する働きを有している。203は対物レンズ保持部で、対物レンズ保持部203には低密度光ディスク用レンズ204と高密度光ディスク用レンズ205が保持されている。対物レンズ保持部203は光ディスクの種類に応じてレンズを切り替えられるような構成を有している。206は高密度光ディスク、207は低密度光ディスクである。
【0006】
以下図13に示す光ピックアップの動作について説明する。
まず最初に低密度光ディスクに対する動作について説明する。図13において、光源200から照射された光は所定の拡散角を有した状態でプリズム201に入射し、ハーフミラー201aで反射された光束208のみがコリメータレンズ202に入射する。そしてコリメータレンズ202で拡散光から平行光に変換された光束209は対物レンズに入射する。ここで対物レンズは予め対物レンズ保持部203を切り替えて、低密度光ディスク用の対物レンズ204が配置されているようにしておく。低密度光ディスク用レンズ204に入射した光束209は集光されて低密度光ディスク207に収束される。そして低密度光ディスク207で反射された光は、所定の経路を介して受光素子(図示せず)に導かれる。
【0007】
次に高密度光ディスクに対する動作について説明する。図8において、光源200から照射された光は所定の拡散角を有した状態でプリズム201に入射し、ハーフミラー201aを透過した光束210のみがコリメータレンズ202に入射する。そしてコリメータレンズ202で拡散光から平行光に変換された光束211は対物レンズに入射する。ここで対物レンズは予め対物レンズ保持部203を切り替えて、高密度光ディスク用レンズ205が配置されているようにしておく。低密度光ディスク用の対物レンズ205に入射した光束211は集光されて高密度光ディスク206に収束される。そして高密度光ディスク206で反射された光は、所定の経路を介して受光素子(図示せず)に導かれる。
【0008】
そしてこのときどちらの光源を用いるか、及び、どちらの対物レンズを用いるかは、ユーザによってセットされたディスクが高密度であるか低密度であるかを判断して切り替える。
【0009】
しかしながらこのような光ピックアップにおいては、複数の光学系が光源から記録媒体まで存在し、対物レンズも複数存在することから光ピックアップの小型化が困難であった。
【0010】
そこで複数の光源を1つの光学ヘッド内に収納し、光学ヘッドに設けられている光学部材に複数の光源からの光を入射させて、光路を1つに統一して、対物レンズを1つにした構成を用いる光ピックアップが開発されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような光ピックアップでは、非常に高い精度を要求される複数の光源と光学部材との位置あわせが困難なものとなっており、組み立てた光ピックアップが所定の光学特性を得ることが非常に難しく、光ピックアップの良品率が低いという問題点があった。
【0012】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、光源と光学部材との位置あわせを非常に高い精度で行うことができ、従って優れた光学特性を有し、かつ、高い良品率で生産することができる光ピックアップを実現することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、第1の光源と、第1の光源と異なる波長を有する第2の光源と、第1の光源と第2の光源に対向し、第1の光源および第2の光源から出射された光を光ディスクに透過または反射させつつ光ディスクから反射された戻り光を第1の光源および第2の光源に向かわないように反射または透過させる分離手段を有する光学部材とを備え、第1の光源と第2の光源とが、光学部材と対向する同一の面に配置されるとともに、第1の光源が対向する光学部材の面と第2の光源が対向する光学部材の面とが同一であって、第1の光源から光学部材の同一面までの距離と第2の光源から光学部材の同一面までの距離とがほぼ同一であり、第1の光源および第2の光源から出射された各々の直線光は、第1の光源および第2の光源が対向する光学部材の同一面にその光路を変えることなく入光し、且つ、光学部材は、分離手段を設ける斜面を有することを特徴とする光ピックアップである。
【0014】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、第1の光源と、第1の光源と異なる波長を有する第2の光源と、第1の光源と第2の光源に対向し、第1の光源および第2の光源から出射された光を光ディスクに透過または反射させつつ光ディスクから反射された戻り光を第1の光源および第2の光源に向かわないように反射または透過させる分離手段を有する光学部材とを備え、第1の光源と第2の光源とが、光学部材と対向する同一の面に配置されるとともに、第1の光源が対向する光学部材の面と第2の光源が対向する光学部材の面とが同一であって、第1の光源から光学部材の同一面までの距離と第2の光源から光学部材の同一面までの距離とがほぼ同一であり、第1の光源および第2の光源から出射された各々の直線光は、第1の光源および第2の光源が対向する光学部材の同一面にその光路を変えることなく入光し、且つ、光学部材は、分離手段を設ける斜面を有するものである。第1の光源および第2の光源から出射された各々の直線光を、第1の光源および第2の光源が対向する光学部材の同一面にその光路を変えることなく入光させることにより、第1の光源および第2の光源と光学部材との間で、第1の光源および第2の光源から出射した各々の直線光を、その向きを変えずにそのまま光学部材に到達させるので、製造容易な構成で第1の光源および第2の光源と光学部材との間の光路を正確に保つことができる。また、第1の光源および第2の光源から光学部材の同一面までの距離をほぼ同一とすることにより、第1の光源から光学部材までの光路長を決定する光学部材の入光面と、第2の光源から光学部材までの光路長を決定する光学部材の入光面とを光学部材の同一面で形成できるので、第1の光源から光学部材までの光路長と第2の光源から光学部材までの光路長の調整が容易となり、簡易な組立工程で精度の高い光ピックアップを実現できる。また、光学部材が、第1の光源および第2の光源から出射された各々の直線光を透過または反射させつつ光ディスクから反射された戻り光を第1の光源および第2の光源に向かわないように反射または透過させる分離手段を設けた斜面を有することにより、ホログラムを使用せずに直線光と戻り光を分離できるので、直線光がホログラムを通過する際に、直線光の光量をほとんど減少させることなく光ディスクへ導くことが可能となる。その結果、第1の光源と第2の光源とを小さい出力で動作させることができるので、第1の光源と第2の光源の長寿命化を実現できる。また、分離手段が斜面に設けられることにより、分離手段を製造容易な構成で形成できるので、生産性の向上と製造コストの低減を実現できる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、第1の光源からの光が光学ヘッドから出射されるまでの光路長と、第2の光源からの光が光学ヘッドから出射されるまでの光路長とが異なっていることにより、それぞれの光源からの光が、異なる位置にビームスポットを形成するための光学系の配置を光学ヘッド内で最適化することができる。
【0016】
請求項3記載の発明は、第1の光源からの光が光学ヘッドから出射されるまでの光路長と、第2の光源からの光が光学ヘッドから出射されるまでの光路長とが異なっていることにより、それぞれの光源からの光が、異なる位置にビームスポットを形成するための光学系の配置を光学ヘッド内で最適化することができる。
【0018】
(実施の形態1)
まず最初に本発明の実施の形態1について図を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態1による光ピックアップの構成と光路を示す図。図1において、1は第1のパッケージであり、第1のパッケージ1は、高密度光ディスク用の光を出射する光源2や高密度光ディスクで反射された光を受光する受光素子3等が載置される基板部1a及びそれらの部材を包含するように設けられている側壁部1b等により形成されている。これらの基板部1aと側壁部1b等は一体で形成しても別体で形成しても良い。なお一体で形成した場合には、組立工程の簡素化を図ることができ、生産性の向上が可能になる。第1のパッケージ1を形成する材料としては金属、セラミック等の材料を用いることが、光源2で発生する熱を良好に放出できるので好ましい。
【0020】
そして金属材料の中でも、熱伝導性が高いCu,Al,Fe等の金属材料やFeNi合金やFeNiCo合金等の合金材料を用いることが好ましい。なぜならばこれらの材料は安価で放熱性が高く、かつ、高周波重畳回路等からの電磁波等のノイズを遮断する電磁シールドとしての効果も有するからである。これらの中でも特にFe,FeNi合金,FeNiCo合金は熱抵抗が小さく、放熱性が良好なので、光源2で発生する熱を効率的に外部に放出することができる。またこれらの材料は、低コストであるので、光ピックアップを低価格で提供することが可能になる。
【0021】
また第1のパッケージ1はその基板部1a及び必要に応じて側壁部1bを大きな熱容量を有するキャリッジ(図示せず)に当接させることにより、光源2で発生する熱を外部に逃がしている。従ってキャリッジに接触している基板部1aの面積が大きければ大きいほど放熱性が良好になる。
【0022】
なお本実施の形態においてはパッケージ1を基板部1aと側壁部1bとで構成したが、基板部1aと蓋等のキャップで覆って構成しても良い。
【0023】
さらに基板部1aには光源2に電力を供給したり、受光素子3からの電気信号を演算回路(図示せず)に伝達する端子1cが設けてある。この端子1cはピンタイプのものであっても良いし、プリントタイプのものであっても良いここで特にピンタイプで端子1cを形成した場合について説明する。端子1cは、金属材料から構成されている基板部1aに電気的に接触しないようにしながら、基板部1aに設けられている複数の孔(図示せず)に挿入されている。この端子1cの材質としてはFeNiCo合金,FeNi合金,FeCr合金等を用いることが好ましい。基板部1aと端子1cの間の電気的な接触を断つ手段としては、孔において端子1cと基板部1aと接する部分については絶縁性の皮膜等が設けることが好ましく、更にこの部分から外気が混入してこないように密閉しておくことが好ましい。このような要求を満たすものとしてハーメチックシール等の絶縁及び密閉の双方を同時に行えるものを用いることが好ましい。ここでは特に整合封止型若しくは圧縮封止型のハーメチックシールを用いることが好ましい。なぜならばこれらの部材は極めて容易に絶縁と密閉の双方を行うことができ、さらに極めて安価であるので、端子1cの基板部1aへの取付工程を簡略化でき、さらには光ピックアップの製造コストを削減できるからである。また同時に広い温度範囲にわたって高い気密性及び絶縁性を保つことができるので、光ピックアップの信頼性を高くすることができ、かつ端子形状も比較的自由に変形することができるので、設計の自由度も大きくすることができる。
【0024】
光源2としては単色で、干渉性、指向性および集光性が良好なものを用いることが、適当な形状のビームスポットを比較的容易に形成でき、ノイズ等の発生を抑制できるので好ましい。このような条件を満たすものとして、固体、ガス及び半導体等の各種レーザ光を用いることが好ましい。特に半導体レーザはその大きさが非常に小さく、光ピックアップの小型化を容易に実現することができるので、光源2としては最適である。
【0025】
そしてこのときの光源2の発振波長は800nm以下であることが、光源から出射された光が記録媒体上に収束する際のビームスポットを容易に記録媒体に形成されているトラックのピッチ程度の大きさにすることができるので好ましい。更に光源2の発振波長が650nm以下であれば、非常に高密度で情報が記録されている記録媒体をも再生することができる程度に小さなビームスポットを形成できるので、大容量の記憶手段を容易に実現することができ、特に高密度光ディスクの対する記録再生に供される光源2としては好ましい。
【0026】
光源2を半導体レーザで構成した場合、800nm程度以下の発振波長を実現できる材料としては、AlGaInP,AlGaAs,ZnSe,GaN等があり、これらの中でも特にAlGaAsは、化合物材料の中でも結晶成長が容易であり、従って半導体レーザの製造が容易であるので、歩留まりが高く、高い生産性を実現することができるので好ましい材料である。また650nm以下の発振波長を実現できる材料としては、AlGaInP,ZnSe,GaN等がある。これらの材料を用いた半導体レーザを光源2として用いることにより、記録媒体上に形成されるビームスポット径をより小さくすることができるので、さらなる記録密度の向上が可能になり、従って高密度光ディスクの再生が可能になる。
【0027】
これらの中でも特にAlGaAsPは長期間にわたり安定した性能を有しているので、光源2の信頼性を向上させることができるので好ましい材料である。
【0028】
また光源2の出力は、再生専用である場合には3〜10(mW)程度であることが、再生に必要な光量を十分に確保しつつエネルギーの消費を最小限に抑制でき、更には光源2から放出される熱量も抑制できるので好ましい。記録再生兼用である場合には、記録の際に記録層の状態を変化させるために大きなエネルギーを必要とするので、少なくとも25(mW)以上の出力が必要となる。但し出力が60mWを超えると光源2から放出される熱を外部に逃がすことが難しくなり、光源2及びその周辺部が高温になってしまい、光源の寿命が著しく低下し、最悪の場合には光源が破壊される危険性がある。このため電気回路が誤動作を起こしたり、光源2自体が波長変動を起こして発振波長がシフトしたり、信号にノイズが混入したりして、光ピックアップの信頼性が大きく低下してしまうので好ましくない。
【0029】
第1のパッケージ1の出射部1dには第1光学部材5が接合されている。この第1光学部材5は、光源2から出射され記録媒体で反射されてきた光を受光素子3の所定の位置に導く働きを有している。ここでは第1光学部材5が複数の斜面を有しており、それぞれの斜面に形成された光学素子を用いて戻り光を誘導する場合の構成について説明する。
【0030】
第1光学部材5は、その内部に第1の斜面5aと第2の斜面5bとが形成されている。さらに第1の斜面5aにはハーフミラーや偏光分離膜等で構成されている光路分割手段6が形成してあり、第2の斜面5bには入射してきた光を受光素子3に導く反射手段7が形成されている。また特に高密度光ディスクの書き換え可能な場合には、非常に高いエネルギーを光ディスクに照射する必要があるので、光源2から出射された光をできるだけ効率よく光ディスク上に導く必要がある。このことを考慮して光路分割手段6を偏光分離膜で形成して1/4波長板4と組み合わせて用いることが、光の利用効率を向上させ、複数種類の光ディスクを用いて記録もしくは再生を行えるので好ましい。また光源2からの出射光量を抑制することができるので、光源2の長寿命化を図ることができ、引いては光ディスク装置の信頼性を向上させることができるので好ましい。
【0031】
ここで1/4波長板4は、直線偏光で入射してきた光を楕円偏光に変換する働きを有しており、記録媒体で反射されて回転方向が反対になった楕円偏光は前述した入射の偏光方向と直交する直線偏光に変換する。
【0032】
なお反射手段7の位置には、目的(例えば非点収差を用いたフォーカスエラー信号の形成等)に応じた光学素子を配置することが好ましい。例を挙げるとナイフエッジ法によりフォーカスエラー信号形成する際には、反射手段7の位置にはナイフエッジを形成できる光学素子を形成し、非点収差法を用いてフォーカスエラー信号を得る場合には、反射手段7の位置には非点収差を形成できる光学素子を形成する。そしてこれらの光学素子は第1光学部材5中に形成されることを考慮すると、ホログラム等で形成することが、例えばレンズ等で構成している場合に比べて薄く形成することができるので、空間をより有効に利用することが可能になり、第1光学部材5の小型化、薄型化を容易に行うことができるので好ましい構成である。
【0033】
また第1光学部材5は全体として平行平面板状に形成されていることが収差の発生等を防止でき、従って良好な再生信号形成若しくはフォーカス・トラッキング信号形成を行うことができるので好ましい。さらに第1光学部材5はその上面及び下面が透過する光の光軸に対して正確にほぼ垂直となるように取り付けられていることが、非点収差の発生を防止でき、スポットのぼけによる再生信号の劣化を防止することができる。
【0034】
また第1光学部材5を形成する材料としては、ガラスや樹脂などの高い光透過性を有する材料を用いることが、光量の減少を防止できるとともに第1光学部材5を透過した光の光学特性を劣化させないので好ましい。特にガラスは複屈折が起こらず、従って透過した光の特性を良好に保持できるので、第1光学部材5の材料として好ましい。更にガラスの中でもBK−7等の波長分散の小さなすなわちアッベ数の大きな光学ガラスを用いることが、特に波長変動による球面収差の発生を抑制できるので好ましい。またこれらの光学ガラスの中でもBK−7は低コストであるので、第1光学部材5の材料としては最適である。
【0035】
そして、第1光学部材5の形成方法としては、予め中に光学素子が形成されている複数のサイコロ状のプリズムを直線状に接合して形成するか、もしくは、板状の構成材料の所定の位置に光学素子を形成した後にそれぞれの板状材料を張り合わせて所定の形状に切り出す等の方法を用いることが、良好な生産性を得られるので好ましい。特に後者の方法では高い生産性と歩留まりを両立させることができるので好ましい方法である。
【0036】
なお本実施の形態においては第1のパッケージ1の側壁部1bに設けられた出射部1dに直接第1光学部材5を接合していたが、第1のパッケージ1と第1光学部材5とは離間して設けても良い。離間して設けることにより、パッケージ1の高さのばらつきが存在する場合に問題となる光源2と第1光学部材5との距離をより正確に調整することが可能になるので、第1光学部材5によって受光素子3に導かれた光の光学特性をより良好に保つことができ、正確な信号の検出が可能になる。
【0037】
次に図1において、8は第2のパッケージであり、第2のパッケージ8は、低密度光ディスク用の光を出射する光源9や低密度光ディスクで反射された光を受光する受光素子10等が載置される基板部8a及びそれらの部材を包含するように設けられている側壁部8b等により形成されている。なお以下第2のパッケージ8については特に第1のパッケージ1と異なる部分について説明する。
【0038】
まず第2のパッケージ8を形成する材料としては金属、セラミック等の材料を用いることが、光源9で発生する熱を良好に放出できるので好ましい。
【0039】
そして金属材料の中でも、熱伝導性が高いCu,Al,Fe等の金属材料やFeNi合金やFeNiCo合金等の合金材料を用いることが好ましい。なぜならばこれらの材料は安価で放熱性が高く、かつ、高周波重畳回路等からの電磁波等のノイズを遮断する電磁シールドとしての効果も有するからである。これらの中でも特にFe,FeNi合金,FeNiCo合金は熱抵抗が小さく、放熱性が良好なので、光源8で発生する熱を効率的に外部に放出することができる。またこれらの材料は、低コストであるので、光ピックアップを低価格で提供することが可能になる。
【0040】
光源9の発振波長は800nm以下であることが、光源から出射された光が記録媒体上に収束する際のビームスポットを容易に記録媒体に形成されているトラックのピッチ程度の大きさにすることができるので好ましい。特に光源9としては光源2よりも発振波長が長いものを用いることができ、例えばCDを再生する場合には780nm程度で十分な大きさのビームスポットを低密度光ディスク上に形成することができる。
【0041】
第2光学部材11は、その構成はほぼ第1光学部材5と同様であるが、斜面に形成された光学素子に違いがある場合があるので、それについて説明する。第1の斜面11aにはハーフミラーや偏光分離膜等で構成されている光路分割手段12が形成してあり、第2の斜面11bには入射してきた光を受光素子10に導く反射手段13が形成されている。
【0042】
ここで高密度光ディスクと低密度光ディスクとでは信号検出方法が異なる場合が多い。従って受光素子10における受光部の配置は、受光素子3の受光部の配置とは異なっている場合が多い。従って受光素子10に光ディスクからの光を導く際に反射手段13でフォーカスエラー信号等を形成している場合には、反射手段13の形状は反射手段7の構成とは異ならせて、それぞれの光ディスクに最適な信号形成を行うことが、より正確な信号形成及び動作制御を行うことができ、より信頼性の高い、誤動作の少ない光ピックアップを実現することができるので好ましい構成である。
【0043】
次に第1のパッケージ1と第1光学部材5とにより囲まれた空間の内部、即ち光源2及び受光素子3等が配置されている空間は密閉されることが好ましい。このような構成にすることにより、ゴミや水分等の不純物のパッケージ内部への進入を防止することができるので、光源2や受光素子3の性能を維持することができるとともに出射される光の光学特性の劣化も防止することができる。さらに第1のパッケージ1と第1光学部材5とで密閉された空間にはN2ガス、乾燥空気若しくはArガス等の不活性ガスを封入しておくことが、第1のパッケージ1の内部に接している第1光学部材5等の表面に結露が生じて光学特性が悪化してしまったり、光源2や受光素子3の酸化などによる特性の劣化を防止することができるのでさらに好ましい。さらに同様に第2のパッケージ8と第2光学部材11とにより囲まれた空間の内部も密閉されていることが好ましい。
【0044】
次に15は光路分割手段で光路分割手段15は、光源2及び光源9からの光の双方を光ディスク方向に導く働きを有するものである。光路分割手段15としてはハーフミラーや偏光分離膜等を用いることが一般的であるが、さらに好ましくは光源2からの光を高い割合で透過するとともに光源9からの光を高い割合で反射する様な性質を有していることが望ましい。このような場合には光路分割手段15での光の損失を最小限に抑制することができ、従って光の利用効率を向上させることができる。光の利用効率の向上により、光源2または光源9からの出射光量を抑制してもなお記録媒体上での盤面光量を確保できるので、光源2及び光源9の長寿命化を図ることができ、ひいてはこの光ピックアップを搭載した光ディスク装置の信頼性を向上させることができるので好ましい。
【0045】
上記したような性質を有する光路分割手段15として、波長選択機能を有する反射手段を用いることが好ましい。この波長選択機能を持つ反射手段は、ある波長を有する光を透過するとともに別の波長の光は反射する働きを有しており、特に本実施の形態においては光源2からの光をほぼ透過し、光源9からの光をほぼ反射するように光路分割手段15を構成することが、光源2及び光源9の光の利用効率を最も効率的に設定できる。従って光源2若しくは光源9のどちらかに大きな負荷がかかることがほとんどなくなるので、光源2及び光源9の寿命を平均化でき、ひいては光ピックアップの長寿命化を実現できるので好ましい構成である。
【0046】
なお本実施の形態においては1/4波長板4及び1/4波長板14をそれぞれの第1光学部材5及び第2光学部材11に設けていたが、このようにする代わりに光路分割手段15のコリメータレンズ16側の端面と光ディスクの間であれば何れの位置に設けてもよい。このような構成とすることにより2つ必要であった1/4波長板を1つ減らすことができるので、生産性を向上させることができると共により安価な光ピックアップとすることができる。特に光路分割手段15のコリメータレンズ16側の端面に予め形成しておくことが、工数を削減でき、より生産性を向上させることができるので好ましい構成である。
【0047】
16はコリメータレンズで、コリメータレンズ16は光源2,9から出射された光の拡散角を変換して、入射前は拡散光だった光をほぼ平行光に変換する働きを有している。17は集光レンズで、集光レンズ17は入射してきた光を集光して光ディスク上にビームスポットを形成するもので、レンズ駆動手段(図示せず)によって、フォーカス方向およびトラッキング方向に移動できるように支持されている。コリメータレンズ16により集光レンズ17に入射する光の光量を増加させることができるので、光の利用効率が向上する。従って光源2,9を最大出力よりも大幅に低い出力で使用することができ、光源2,9の寿命を長くすることができ、引いては光ピックアップの信頼性を向上させることができる。
【0048】
なおコリメートレンズ16を用いる代わりに例えば第1光学部材5及び第2光学部材11等に光の拡散角を変換するような機能を設けても良い。この場合にはコリメートレンズ16を設けなくても良くなるので、正確な位置あわせが不要になるとともに部品点数の削減により、生産性の向上を図ることができる。またコリメータレンズ16や集光レンズ17等の集光光学素子は、レンズで構成せずにホログラム等の光学素子で形成しても良い。この場合光学系の小型化・薄型化が可能になる。更に本実施の形態では、光源2,9の2つを設けていたが、光源を3つ以上設けても良い。更にその場合の光源の波長はそれぞれ異なっていても良いし、1つだけ異なっていても良い。また光源の波長は800nm以下であれば良く、例えば780nmのものと650nmのものでもよいし、400nmのものと635nmのものでも良い。
【0049】
次にこのような構成を有する光ピックアップの動作について図を参照しながら説明する。
【0050】
18はスピンドルモータ(図示せず)に取り付けられた高密度光ディスクであり、高密度光ディスク18はディスク基板の厚みが0.6mm程度のものを2枚張り合わせて成形されていることが多い。光源2の発光点2aから出射された光束2bは、第1光学部材5の第1の斜面5aに形成してある光路分割手段6を透過して、1/4波長板4で直線偏光から円偏光に偏光方向を変えて、光路分割手段15に入射する。そして光路分割手段15をほぼ透過した後、コリメータレンズ16で光束2cに変換され、集光レンズ17により光束2dのように集光される。集光レンズ17は高密度光ディスク18のデータが再生できる程度にまで微小スポットに絞れるように開口数が0.6程度もしくはそれ以上に設計されている。
【0051】
次に、図1を用いて、低密度光ディスク19を再生する往路光の光路について説明する。なおここでは低密度光ディスク19の厚みは1.2mm程度である。光源9の発光点9aから出射された出射光9bは第2光学部材11の第1の斜面11aに設けられている光路分割手段12を透過して、1/4波長板14で直線偏光から円偏光に偏光方向を変えて、光路分割手段15に入射する。そして光路分割手段15でほぼ反射された後、コリメータレンズ16で光束9cに変換され、集光レンズ17で低密度光ディスク19に光束9dのように集光される。
【0052】
このとき低密度光ディスク19を再生する時の集光レンズ17の焦点距離L1は、高密度光ディスク18を再生する時の集光レンズ17の焦点距離L2よりも長くなるように設定されている。この焦点距離の差は1.0mm以下、好ましくは0.6mm以下とすることが、種類の異なる複数のディスクをそれぞれ再生する際に、集光レンズ17を保持するアクチュエータを大きく駆動する必要がほとんどなくなる。従って焦点位置の調整を容易に行うことができ、従って基板の厚さの違いに非常に良好に対応することができるので好ましい。
【0053】
このように複数の光源からの光が記録媒体上の異なる位置に焦点を結ぶようにしたことにより、異なる基板厚さを有する記録媒体を同一の光ピックアップによって再生することが可能になる。即ち厚さが1.2mmのCD−ROM等の低密度光ディスク19と厚さが0.6mmの単板もしくはこの単板の両面張り合わせで形成されたDVD等の高密度光ディスク18とを同じ光ピックアップで記録再生することが可能になるのである。
【0054】
なおこの焦点距離L1及び焦点距離L2は、集光レンズ等の光学部材の可動範囲を大きく取ることにより、ある程度変更することが可能であるので、例えば高密度光ディスクの張り合わせディスクや多数(例えば4層等)の記録層を有する光ディスクの再生も可能になる。
【0055】
次に、高密度光ディスク18および低密度光ディスク19からの反射光を検出するまでの光路すなわち復路について説明する。
【0056】
まず、高密度光ディスク18を再生する場合について説明する。光ディスク18からの反射光は、往路とほぼ同じ光路をたどって光路分割手段15を透過し、1/4波長板4で円偏光から最初の偏光方向に直交する直線偏光に変換され、光学部材5の第1の斜面5aに形成された光路分割手段6に入射する。光路分割手段6はここでは偏光分離膜で形成されているので、入射した光はほぼ反射されて、反射手段7に導かれる。反射手段7は目的に応じた光学素子で形成されているが、ここではフォーカスエラー信号を形成する素子が設けられている。従って反射手段7で反射された光はフォーカスエラー信号を形成しつつ受光素子3に集光されて高密度光ディスク18に記録されたデータに応じた信号及びトラックエラー信号及びフォーカスエラー信号を検出する。
【0057】
次に、低密度光ディスク19を再生する場合について説明する。低密度光ディスク19からの反射光は、往路とほぼ同じ光路をたどって、光路分割手段15で反射され、1/4波長板14で円偏光から最初の偏光方向に直交する直線偏光に変換され、光学部材11の第1の斜面11aに形成された光路分割手段12に入射する。光路分割手段12はここでは偏光分離膜で形成されているので、入射した光はほぼ反射されて、反射手段13に導かれる。反射手段13は目的に応じた光学素子で形成されているが、ここではフォーカスエラー信号を形成する素子が設けられている。従って反射手段13で反射された光はフォーカスエラー信号を形成しつつ受光素子10に集光されて低密度光ディスク19に記録されたデータに応じた信号及びトラックエラー信号及びフォーカスエラー信号を検出する。
【0058】
このように複数の光源を別々の位置に配置した場合には、それぞれの光源から出射された光に発生する波面収差が大きく異なる場合が多く、この波面収差を補正することのできる収差補正機能を備えたレンズを集光レンズとして用いる必要があり、結果としてそれぞれの光束に応じた複数の集光レンズを用いる必要が生じることが一般的に多い。本実施の形態ではそれぞれ光源2,9の発光点2a,9aとコリメートレンズの間の距離を最適化することによりこの問題を回避しているので以下この点について説明する。
【0059】
図2は本発明の実施の形態1における無限光学系での発光点とコリメートレンズとの関係を示す図である。図2において、L3はコリメータレンズ16から発光点2aまでの距離を示しており、L4はコリメータレンズ16から発光点9aまでの距離を示している。更に図3は本発明の実施の形態1における波面収差量とL3,L4との関係を示した図。すなわちL3とL4の比を変化させたときに集光レンズ入射時に発生している波面収差量を集光レンズ17がトラッキング方向に500μmシフトしている場合(太線)とトラッキング方向のシフトが無い場合(細線)とで比較しているものである。一般に光ディスクを再生中の集光レンズはトラッキング方向に最大500μm程度シフトする可能性があり、また集光レンズに入射する光を有効に光ディスク上に収束させるために許容される波面収差量はRMS値で0.07λ(たたしλは光の波長を示す)以下程度とされていることを考慮すると、比較的収差の発生量が多く、集光レンズ17への光の入射条件がきつくなる発光点9aからの光に対して集光レンズ17のシフト量が最大(500μm)のときの波面収差量が0.07λ以下であれば、どちらの発光点からの光も集光レンズ17に入射した光は集光レンズ17のシフト量に拘わらず光ディスク上に収束されることになると考えられる。この条件を満たす範囲としては、図3から明らかなように、L3とL4との比(L4÷L3=H、以下Hで表記する)が0.50≦H≦0.75であることが好ましいことがわかる。
【0060】
またこの範囲を満足していれば、記録媒体で反射されて戻っていく光に発生する波面収差量も抑制することができるので、反射光を受光する受光素子に対して良好に入射し、優れた信号特性を得ることができる。
【0061】
更に同じ条件において波面収差量がRMS値で0.04λ以下であれば、どちらの発光点からの光も集光レンズ17に入射した光は集光レンズ17のシフト量に拘わらず光ディスク上に非常に正確に収束されることになると考えられる。この条件を満たす範囲としては、図3から明らかなように、L3とL4との比(H)が0.55≦H≦0.70であることが、さらに信号特性を向上させることができるので、好ましいことがわかる。
【0062】
Hの値が上記した範囲に存在するように光学系の配置を行うことにより、同一光学系中に複数の光束を有する光ピックアップにおいて、すべての光束における波面収差を理論限界値以下とすることができるので、一つの集光レンズ17を用いることにより、いずれの光束もそれぞれの光ディスク上に集光させることができる。
【0063】
従って対物レンズ17の数が一つで良いので、集光レンズを削減することができるとともに集光レンズの切替手段も設けなくて良くなり、光ピックアップの小型化や部品点数の削減による生産性の向上、複雑な機構を廃することによる光ピックアップの信頼性の向上、動作スピードの向上等を実現することができる。
【0064】
なお本実施の形態はコリメータレンズ16を用いた無限系の光学系を用いていたが、図4に示すような有限系の光学系を用いることも考えられる。図4は本発明の実施の形態1における有限光学系での発光点と集光レンズの関係を示す図である。図4において、L3は集光レンズ17から発光点2aまでの距離を示しており、L4は集光レンズ17から発光点9aまでの距離を示している他は無限光学系と同様である。更に一方が無限光学系で、一方が有限光学系で構成されている光ピックアップにおいても同様に定義することができる。
【0065】
(実施の形態2)
以下本発明の実施の形態2について図面を参照しながら説明する。
【0066】
図5は本発明の実施の形態2における集積化された光学ヘッドの断面図である。なお図5においては、実施の形態1と同様の構成を有する部材については同一の番号を付加している。
【0067】
図5において、20はパッケージで、パッケージ20は、高密度光ディスク18用の光を出射する光源2,低密度光ディスク19用の光を出射する光源9、光源2および光源9を載置する光源載置部34や高密度光ディスク18及び低密度光ディスク19で反射された光を受光する受光素子21等が載置される基板部20a及びそれらの部材を包含するように設けられている側壁部20b等により形成されている。パッケージ20を構成する基板部20a,側壁部20bおよび端子20cについては大きさを除いてほぼ第1のパッケージ1の基板部1a,側壁部1bおよび端子1cと同様の構成を有している。
【0068】
22は光学部材で、光学部材22は光源2および光源9から出射された光を所定の光路に導くとともに光ディスクで反射されて戻ってきた光を受光素子21に導く働きを有している。光学部材22は、第1の斜面22a,第2の斜面22bおよび第3の斜面22cを有する第1基板22dと、第1基板22dの光源側の端面に接合された第2基板22eから構成されている。
【0069】
以下光学部材22中に存在する各種光学素子について説明する。
23は拡散角変換手段で、拡散角変換手段23は第2基板22eの光源側の端面に光源2から出射される光の光軸に合わせて設けられており、光源2から入射してきた光の拡散角を小さくする働き、すなわち光源2の発光点2aから出射された光を見た目上より遠くから出射されたように光路を変換するもので、実質的に記録媒体と反対方向に発光点をずらし、光源から記録媒体までの光路長を長くする働きを有している。拡散角変換手段23としては回折格子特にホログラムで形成されていることが、光を高効率で透過させることができるので好ましい。特にホログラムとしては、4段以上の階段状断面や鋸歯状断面を有するものを用いることが、特に高効率に光を利用でき、光量の減少を防止できるので好ましい。
【0070】
24は波長選択性のあるフィルタで、フィルタ24は光源2から導かれてきた光をほぼ透過し、光源9から導かれてきた光をほぼ反射する働きを有している。
【0071】
このフィルタ24を第1の斜面22aに形成したことにより、光源2から出射された光をほとんど妨げること無しに光源9から導かれてきた光を反射することができるので、光源2および光源9から出射された光を高い割合で記録媒体まで導くことができる。従って光源2および光源9から出射される光の量を増加させなくとも記録媒体への記録もしくは再生が可能になるので、光源2および光源9を高出力状態で動作させることによる光源2および光源9の短寿命化を防止できる。更には光源2および光源9を低出力状態で用いることができるので、光源2および光源9の温度上昇がほとんど起こらず、従って温度変化に伴う光源2および光源9の発振波長のシフトがほとんど起こらない。従ってより正確に焦点形成が行える高性能な光ピックアップを提供することができる。
【0072】
25は偏光分離膜で、偏光分離膜25は特定の偏光方向を有する光を透過し、それ以外の偏光方向を有する光を反射する働きを有している。ここでは、偏光分離膜25は、光源2および光源9から出射されるS偏光成分を透過し、P偏光成分を反射するように形成されている。この偏光分離膜25により、通過する光の量をほとんど減少させることなく記録媒体へ導くことができるので、光の利用効率を向上させることができ、引いては光源2および光源9の長寿命化を実現できるので好ましい。
【0073】
26は1/4波長板で、1/4波長板26はその構成・働きともに実施の形態1に示した1/4波長板4および1/4波長板14とほぼ同様であるので説明を省略する。
【0074】
27は拡散角変換手段で、拡散角変換手段27は第2基板22eの光源側の端面に光源9から出射される光の光軸に合わせて設けられており、光源9から入射してきた光の拡散角を負にする働き、すなわち光源9の発光点9aから出射された光を見た目上より近くから出射されたように光路を変換するもので、実質的に記録媒体に近づく方向に発光点をずらす。これにより光源9の発光点は発光点9aから発光点9eに見かけ上移動し、従って光源9から記録媒体までの光路長を短くする働きを有している。拡散角変換手段27としては回折格子特にホログラムで形成されていることが、光を高効率で透過させることができるので好ましい。特にホログラムとしては、4段以上の階段状断面や鋸歯状断面を有するものを用いることが、特に高効率に光を利用でき、光量の減少を防止できるので好ましい。
【0075】
28は複数ビーム形成手段で、複数ビーム形成手段28は入射してきた光を複数の光束に分離して反射する働きを有しており、ここでは拡散角変換手段27を通過してきた光を3つの光束に分離してフィルタ24に向けて反射している。複数ビーム形成手段28は、回折格子で形成することが、効率よく複数の光束を形成することができるので好ましい。ここでは回折格子で発生する0次光および±1次光の3つの光束を主に形成するような構成を有している。ここで形成された複数の光束は低密度光ディスク19のトラックの所定の位置に照射され、戻ってきた光の光量を比較することにより、低密度光ディスク19のトラッキングを行う通称3ビーム法と呼ばれるトラッキング方法に供される。
【0076】
29及び30は反射手段で、反射手段29は偏光分離膜25で反射されてきた光を、反射手段30は反射手段29で反射されてきた光を所定の方向に反射する働きを有しており、Ag,Au,Cu等の高反射を有する金属材料若しくは屈折率の異なる複数の誘電体材料で形成されていることが好ましい。
【0077】
31は拡散角変換手段で、拡散角変換手段31は第1基板の22dの第3の斜面22cに形成されており、反射手段30から反射されてきた光束のうち、拡散方向にある光の拡散角を収束方向に変化させると共に、収束方向にある光束はそのまま反射する働きを有している。
【0078】
拡散角変換手段31としては回折格子特に反射型ホログラムで形成されていることが、光を高効率で透過させることができるので好ましい。特に反射型ホログラムとしては、4段以上の階段状断面や鋸歯状断面を有するものを用いることが、特に高効率に光を利用でき、光量の減少を防止できるので好ましい。
【0079】
本実施の形態においては、拡散角変換手段31は、光源2から出射された光が形成する光束の大部分を0次光として反射すると共に、光源9から出射された光が形成する光束の大部分を+1次光に回折するように形成されている。これにより光源9から出射された光の発光点位置が前方(記録媒体より)に移動したことにより、受光素子21上で光源9からの光束が発散してしまい、RF信号の検出やフォーカシング及びトラッキング信号の形成が困難になることを防止できるので、正確な信号形成を確実に行える高性能な光ピックアップを実現することができる。
【0080】
32は信号形成手段で、信号形成手段32は第2基板22eの光源側の端面に設けられており、拡散角変換手段31から導かれてきた光を受光素子21の所定の位置に導くと共に入射してきた光束に所定の特性を付与し、フォーカシング及びトラッキング用の信号を形成することができる様な構成を有している。
【0081】
33は受光手段で、受光手段33は、光源2から出射された光のうちフィルタ24を透過せずに反射してきた光及び光源9から出射された光のうちフィルタ24で反射されずに透過した光を受光し、その信号を光源2及び光源9の電源制御回路フィードバックすることにより、光源2及び光源9の出力を制御している。
【0082】
次に光学部材22を第1基板22d及び第2基板22eに分けて形成した理由について説明する。第1基板22dは複数の斜面を有しており、それらの斜面に平行な位置に各種光学素子が配置されている。従って第1基板に設けられている各種光学素子は入射してくる光の光軸に対して傾斜して配置されていることになる。従って角度依存性の高い例えばホログラムの様な光学素子を第1基板22d中に形成すると、相当高い精度で位置合わせを行わない限り、角度による公差が大きくなり、記録媒体に向かう光の特性が劣化してしまう可能性が非常に大きい。このことは信号特性の劣化につながり、結果として光ピックアップの性能を低下させる要因となるので好ましくない。そこで本実施の形態においては、特に角度依存性が高いと思われる拡散角変換手段23,27を第1基板22dとは別体に設けられている第2基板22eに形成して、光源2及び光源9から出射される光の光軸に対して拡散角変換手段23,27が略垂直になるように配置している。
【0083】
このような配置としたことにより、記録媒体へ導かれる光の特性が劣化してしまうことをほとんど防止することができ、信号特性の劣化が少ない、高性能な光ピックアップを提供することができるので好ましい。
【0084】
また第2基板22eに設けられている各種光学素子は、第2基板22eの片面にのみ形成されていることが好ましい。
【0085】
なぜならばこれらの光学素子は所定の形状のマスクを介してエッチング等の物理的若しくは化学的方法により形成されるものであり、片面のみに形成した方がマスクの枚数を減らすことができ、さらにエッチングの回数も減らせるので、工程数の削減も可能である。加えて第2基板22eの原盤をひっくり返す必要もないので、複数回の位置合わせを省略することができる。従って生産性を大幅に向上させることができると共に、製造コストも低減することができるからである。
【0086】
本実施の形態においては拡散角変換手段23,27及び信号形成手段32が第2基板22eの光源側の端面に形成されている。
【0087】
さらにパッケージ20と光学部材22とで囲まれている空間は実施の形態1と同様に密閉してあることが好ましい。
【0088】
以上示してきたように、複数の発振波長の異なる光源からの光を複数の光学素子が形成された光学部材に入射させて所定の光路に導くような構成としたことにより、従来それぞれの光源に対して複数設けられていた光学素子等を1つに集約できるので、分散配置された光ピックアップに比べて、光ピックアップ全体の大きさを大幅に小型化することができるとともにそれぞれの光源に対する各光学素子間の位置あわせ等も不要になるので生産性が大幅に向上し、さらには各光学素子の取り付け誤差も最小限度に抑制することができるので良好な光学特性を実現でき、加えて各光学素子の取り付け誤差に起因する光の損失を最小限に抑止できるので光の利用効率の良好な光ピックアップを実現することができる。
【0089】
さらに光源2から出射された光と光源9から出射された光の少なくとも一方を光学部材22で複数回反射して所定の光路に導くことにより、光学部材22の大きさを小さくすることができるとともに反射なしで導く場合に比べて光学部材22を出てからの光路長を短くできるので、光ピックアップの小型化・薄型化を図ることができる。
【0090】
また光源2および光源9からの光を複数の光学素子が形成された光学部材22に入射させて所定の光路に導くことにより、高密度光ディスク18に対する光も低密度光ディスク19に対する光も、ともに正確にそれぞれの記録媒体に導くことができるとともに、複数の光源それぞれに対応した複数の光学系を異なる光学部材を用いて形成する必要がなくなり、部品点数の削減による生産性の向上及びそれぞれの構成部材の位置あわせの簡略化を行うことができる。
【0091】
更に本実施の形態では、光源2および光源9を第2基板22eに対向するように設けられている。即ち光源2および光源9から出射された光は、第2基板22eの同一面に入射し、光学部材22に形成されている各種光学素子により所定の性質を有する光束に変換されて記録媒体に導かれる構成を有している。
【0092】
このような構成としたことにより、光源2および光源9は、第2基板22eの光源側の面22fを基準面として、位置あわせを行うことができる。即ち複数形成されている光源を1つの面22fを基準として位置あわせを行うことができるので、光学部材22に形成されている各種光学素子に対してより高精度で位置あわせを行うことが可能になり、光学部材22に設けられている各種光学素子に対する位置ずれが原因で発生する光学特性の劣化を防止することができる。また光源2と光源9との相互の位置調整も基準となる面が1つであるのでより容易に行うことができる。
【0093】
従って光源間の位置ずれおよび光源と光学素子との間の位置ずれがほとんど存在せず、光学特性の良好な信頼性の高い光ピックアップを実現することができる。また本実施の形態では、第2基板22eの光源に対向する面22fから光源2および光源9までの距離を等しくしている。このような関係に光源2および光源9を配置することによって、光源2および光源9を例えば同一の平行平面部材に当て決めして固定することができるので、光源2および光源9の高さ精度を容易に確保することができる。そしてこれにより、高さ精度がでていないことが原因で発生する光学特性の劣化を抑制することができるので、良好な記録若しくは再生特性を有した光ピックアップを実現することができる。
【0094】
更に本実施の形態においては、光源2および光源9とを光源載置部34に配置している。このように複数の光源を同一の光源載置部に設ける構成をしたことにより、予め光源載置部34に対して決められた位置関係に光源2および光源9を固定しておくことができるので、光学ヘッドの組立を行う際に、光学部材22と光源2および光源9との間の位置決めを簡単にしかも精度良く行うことができるようになり、光学ヘッドの生産性を向上させることができる。また光源2および光源9と光学部材22との間の位置ずれも発生しにくくなるので、優れた光学特性を有する光ピックアップとすることができる。
【0095】
更に光源載置部34の同一の面34aに光源2および光源9を設けることにより、光源2および光源9の光源載置部34への取付をより容易に行え、更に異なる面に設けた場合に比べて、光源2および光源9と光源に電力を供給する電極やアースとの接続に用いられるワイヤの光源2および光源9との接続を容易に行えるようになる。また光源2および光源9との相対的な位置決めもより簡単かつ正確に行えるようになる。
【0096】
また光源を載置する光源載置部の面は非常に高い精度で面出しを行う必要があるが、複数の光源を同一面に設けることにより、面出しを行う面が1面で良くなるので、製造工程の削減でき、これにより生産性を向上させることができるとともに生産コストも低減できる。
【0097】
以上のような構成を有する光ピックアップの動作について説明する。
記録媒体が高密度光ディスク18である場合には、光源2から出射された光を用いて記録若しくは再生を行う。この場合、光源2から出射された光は、拡散角変換手段23でその拡散角を小さくされる、即ち光の広がりを小さくされる。
【0098】
この拡散角変換手段23により、光源2から出射された光のほとんどを高密度光ディスク18に向けて輸送することができるので、特に記録の際に多く必要とされる高密度光ディスク18上での板面光量を十分に得ることができるようになる。従って記録再生共に良好に行うことができる光ピックアップを提供することができるようになる。
【0099】
また、光学部材22の所定の光路以外の部分に混入してしまう光を減少させることができるので、光学部材22中の迷光成分が減少し、従って迷光が受光素子21等に入射して信号成分が劣化してしまうことを防止することもできる。
【0100】
拡散角変換手段23で光の広がりを小さくされた光は、フィルタ24をほとんど透過して、その後に設けられいる偏光分離膜25もほとんど透過して1/4波長板26に入射する。
【0101】
1/4波長板26を通過する際に、それまで直線偏光だった光は円偏光に変換されて、コリメータレンズがある場合にはコリメータレンズ16を通過して平行光に変換されてから、無い場合には直接集光レンズ17に入射し、高密度光ディスク18へ収束される。
【0102】
そして高密度光ディスク18で反射されて戻ってきた光は再び1/4波長板26に入射し、それを通過する際に円偏光から光源2を出射された時の偏光方向と直交する直線偏光に変換されて偏光分離膜25に入射する。ここで行きとは違い、今度は偏光方向が異なっているので、偏光分離膜25で反射され、反射手段29,30を介して拡散角変換手段31に入射する。この拡散角変換手段31で入射してきた光はほとんど回折されることなく反射され、信号形成手段32で受光素子21上の所定の位置に所定の形状の光束を形成され、この受光素子21上に入射する光に基づいてRF信号及びフォーカス・トラッキングの両信号が形成され、情報の再生を行うと共に光ピックアップの最適な制御を行っている。
【0103】
記録媒体が低密度光ディスク19である場合には、光源9から出射された光を用いて記録若しくは再生を行う。この場合、光源9から出射された光は、拡散角変換手段27で光の広がりが拡散方向から収束方向に、即ち拡散光から収束光に変換される。
【0104】
拡散角変換手段27で収束光に変換された光は、フィルタ24でほとんど反射され、その後に設けられいる偏光分離膜25をほとんど透過して1/4波長板26に入射する。
【0105】
1/4波長板26を通過する際に、それまで直線偏光だった光は円偏光に変換されて、コリメータレンズがある場合にはコリメータレンズ16を通過して平行光に変換されてから、無い場合には直接集光レンズ17に入射し、低密度光ディスク19へ収束される。
【0106】
そして低密度光ディスク19で反射されて戻ってきた光は再び1/4波長板26に入射し、それを通過する際に円偏光から光源9を出射された時の偏光方向と直交する直線偏光に変換されて偏光分離膜25に入射する。ここで行きとは違い、今度は偏光方向が異なっているので、偏光分離膜25で反射され、反射手段29,30を介して拡散角変換手段31に入射する。この拡散角変換手段31で入射してきた光はほとんど+一次光に回折されて反射され、入射前に拡散光であった光は収束光に変換された状態で、信号形成手段32に入射する。
【0107】
信号形成手段32で受光素子21上の所定の位置に所定の形状の光束を形成され、この受光素子21上に入射する光に基づいてRF信号及びフォーカス・トラッキングの両信号が形成され、情報の再生を行うと共に光ピックアップの最適な制御を行っている。
【0108】
このように複数の光源を同一のパッケージ内に配置した場合においても実施の形態1と同様に、それぞれの光源から出射された光に発生する波面収差が大きく異なる場合が多く、このためそれぞれ光源2,9の発光点2a,9aとコリメートレンズの間の距離を最適化しているので以下この点について説明する。なお実施の形態1とほぼ同様の構成を有する部分については同一の番号を付加している。
【0109】
図6は本発明の実施の形態2における無限光学系での発光点とコリメートレンズとの関係を示す図である。図6において、L5はコリメータレンズ16から仮想発光点2eまでの距離を示しており、L6はコリメータレンズ16から仮想発光点9eまでの距離を示している。更に図7は本発明の実施の形態2における対物レンズのシフトの有無による仮想発光点からの光に発生する波面収差量とL5,L6との関係を示している。すなわちL5とL6の比を変化させたときに集光レンズ入射時に発生している波面収差量を集光レンズ17がトラッキング方向に500μmシフトしている場合(太線)とトラッキング方向のシフトが無い場合(細線)とで比較しているものである。一般に光ディスクを再生中の集光レンズはトラッキング方向に最大500μm程度シフトする可能性があり、また集光レンズに入射する光を有効に光ディスク上に収束させるために許容される波面収差量はRMS値で0.07λ(たたしλは光の波長を示す)以下程度とされていることを考慮すると、比較的収差の発生量が多く、集光レンズ17への光の入射条件がきつくなる発光点9aからの光に対して集光レンズ17のシフト量が最大(500μm)のときの波面収差量が0.07λ以下であれば、どちらの発光点からの光も集光レンズ17に入射した光は集光レンズ17のシフト量に拘わらず光ディスク上に収束されることになると考えられる。この条件を満たす範囲としては、図7から明らかなように、L5とL6との比(L6÷L5=H、以下Hで表記する)が0.50≦H≦0.75であることが好ましいことがわかる。
【0110】
またこの範囲を満足していれば、記録媒体で反射されて戻っていく光に発生する波面収差量も抑制することができるので、反射光を受光する受光素子に対して良好に入射し、優れた信号特性を得ることができる。
【0111】
更に同じ条件において波面収差量がRMS値で0.04λ以下であれば、どちらの発光点からの光も集光レンズ17に入射した光は集光レンズ17のシフト量に拘わらず光ディスク上に非常に正確に収束されることになると考えられる。この条件を満たす範囲としては、図3から明らかなように、L5とL6との比(H)が0.55≦H≦0.70であることが、さらに信号特性を向上させることができるので、好ましいことがわかる。
【0112】
Hの値が上記した範囲に存在するように光学系の配置を行うことにより、同一光学系中に複数の光束を有する光ピックアップにおいて、すべての光束における波面収差を理論限界値以下とすることができるので、一つの集光レンズ17を用いることにより、いずれの光束も光ディスク上に集光させることができる。
【0113】
従って集光レンズ17の数が一つで良いので、集光レンズを削減することができるとともに集光レンズの切替手段も設けなくて良くなり、光ピックアップの小型化や部品点数の削減による生産性の向上、複雑な機構を廃することによる光ピックアップの信頼性の向上、動作スピードの向上等を実現することができる。
【0114】
なお本実施の形態はコリメータレンズ16を用いた無限系の光学系を用いていたが、有限系の光学系を用いることも考えられる。この場合、無限系に比べてコリメータレンズを配置するスペースが不要になるので、光ピックアップ全体の大きさを小さくすることができる。
【0115】
(実施の形態3)
以下本発明の実施の形態3について図面を参照しながら説明する。図8は本発明の実施の形態3における集積化された光学ヘッドの断面図であり、図9は本発明の実施の形態3における光学部分の詳細な断面図である。ここで図9における正断面図は光路を直線状に描いている。また図8及び図9においては、実施の形態1及び実施の形態2と同様の構成を有する部材については同一の番号を付加している。
【0116】
図8及び図9において、40はパッケージで、パッケージ40は、高密度光ディスク18用の光を出射する光源2,低密度光ディスク19用の光を出射する光源9や高密度光ディスク18及び低密度光ディスク19で反射された光を受光する受光手段58,59等が載置される基板部40a及びそれらの部材を包含するように設けられている側壁部40b等により形成されている。パッケージ40を構成する基板部40a,側壁部40bおよび端子40cについては大きさを除いてほぼ第1のパッケージ1の基板部1a,側壁部1bおよび端子1cと同様の構成を有している。
【0117】
次に光源2及び光源9(以下合わせて各光源と称す)を載置する光源載置部42について説明する。光源載置部42はその形状が直方体状若しくは板形状で、その上面若しくは側面には各光源が取り付けられている。この光源載置部42は、基板部40a若しくは側壁部40bに別部材若しくは基板部40a,側壁部40bの一部として設けられており、各光源を載置するとともに、各光源で発生した熱を逃がす働きを有している。
【0118】
更に光源載置部42を構成する材料は、線膨張係数が各光源のそれ(約6.5×10-6/℃)に近い材質が好ましい。具体的には線膨張係数が3〜10×10-6/℃で、熱伝導率が100W/mK以上である物質、例えばAlN,SiC,T−cBN,Cu/W,Cu/Mo,Si等を、特に高出力の光源を用いる場合で熱伝導率を非常に大きくしなければならないときにはダイアモンド等を用いることが好ましい。
【0119】
光源2及び光源9と光源載置部42の線膨張係数が同じか近い数値となるようにした場合、各光源と光源載置部42の間の歪みの発生を抑制することができるので、各光源と光源載置部42との取付部分が外れたり、各光源にクラックが入る等の不都合を防止することができる。
【0120】
また光源載置部42の熱伝導率をできるだけ大きく取ることにより、各光源で発生する熱を効率よく外部に逃がすことができるので、各光源の温度が上昇し、各光源から出射される光の波長がシフトしてしまい、記録媒体での光の収束位置が微妙に異なってしまい、再生信号に多くのノイズ成分が混入してしまったり、各光源の出力が低下してしまい、記録媒体に対する記録再生動作が正常に行えなくなったり、更には各光源の寿命が短くなったり、最悪の場合には各光源が破壊されてしまう等の不都合の発生を防止することができる。
【0121】
本実施の形態においては、この様な光源載置部42の側面部42aに光源2と光源9とを光源載置部42の底面から略同一の高さに配置している。
【0122】
41は第1光学部材で、第1光学部材41は光源2および光源9から出射された光を所定の光路に導くとともに光ディスクで反射されて戻ってきた光を所定の光路に導く働きを有している。第1光学部材41は、第1の斜面41a,第2の斜面41bを有しており、特に光が入射する面と出射される面とは略平行となる構成を有しているが好ましい。この様に形成することにより、入射する光に対する非点収差等の発生を抑制することができるので、透過する光の光学特性の劣化を防止することができる。さらに第1の斜面41a及び第2の斜面41bには各種の光学素子が形成されている。
【0123】
以下第1光学部材41中に存在する各種光学素子について説明する。
まず第1の斜面41aには、反射膜43及び反射膜44が形成されている。反射膜43は、光源2から出射されてきた光を所定の方向に反射する働きを有しており、反射膜44は光源9から出射されてきた光を所定の方向に反射する働きを有している。そして反射膜43及び反射膜44を構成する材料としては、Ag,Au,Cu等の高反射を有する金属材料若しくは屈折率の異なる複数の誘電体材料を用いて、それぞれの材料を交互に複数層設けることにより形成されていることが好ましい。
【0124】
なお本実施の形態においては反射膜43及び反射膜44とは別々に設けられていたが、1つの大きな反射膜として第1の斜面41aのほぼ全体に形成しても良い。この場合マスク用を用いて反射膜を形成するプロセスを省略することができるとともに反射膜を形成するためのマスクもなくすことができるので、生産性を向上させることができるとともに製造コストも低減することができる。
【0125】
そして第2の斜面41bには、偏光分離膜45,46が形成されている。偏光分離膜46には、光源9から出射され、反射膜44で反射されてきた光が入射し、偏光分離膜45には光源2から出射され、反射膜43で反射されてきた光が入射する。これらの偏光分離膜45,46は、特定の偏光方向を有する光を透過し、それ以外の偏光方向を有する光を反射する働きを有している。この様な偏光分離膜45,46は屈折率の異なる複数の誘電体材料を用い、それぞれの材料を交互に複数層設けることにより形成されていることがより正確なPS分離が行えるので好ましい。特にここでは、光源2および光源9から出射されるS偏光成分を透過し、P偏光成分を反射するように形成されている。
【0126】
これらの偏光分離膜45,46により、通過する光の量をほとんど減少させることなく記録媒体へ導くことができるので、光の利用効率を向上させることができ、ひいては光源2および光源9を小さい出力で所定の盤面光量を得ることができるので、各光源の長寿命化を実現できるので好ましい。
【0127】
なお本実施の形態においては偏光分離膜45,46をそれぞれ別々に設けられていたが、1つの大きな反射膜として第2の斜面41bのほぼ全体に形成しても良い。この場合マスク用を用いて偏光分離膜を形成するプロセスを省略することができるとともに偏光分離膜を形成するためのマスクもなくすことができるので、生産性を向上させることができるとともに製造コストも低減することができる。
【0128】
また本実施の形態においては、出射光と戻り光の分離手段として偏光分離膜を用いていたが、これらは必要とされる盤面光量に応じて、ハーフミラー等の分離手段を用いても良い。
【0129】
次に第2光学部材47について説明する。第2光学部材47は第1光学部材41の上面に設けられているもので、第1光学部材41とは、紫外線硬化樹脂やエポキシ樹脂等で接合されている。第2光学部材は、それぞれの対向する面が略平行な透光性のある略平行平板で形成されており、その光源9からの光が透過する1端面には拡散角変換手段48が形成されている。
【0130】
拡散角変換手段48は第2光学部材47の光源9と反対側の側の端面に、光源9から出射される光の光軸に合わせて設けられており、光源9から入射してきた光の拡散角を負にする働き、すなわち光源9の発光点9aから出射された光を見た目上より近くから出射されたように光路を変換する働きを有しているもので、実質的に記録媒体に近づく方向に発光点をずらしている。これにより光源9の発光点は真の発光点9aから見かけ上の発光点9eに移動し、従って光源9から記録媒体までの光路長を見かけ上短くする働きを有している。拡散角変換手段48としては回折格子特にホログラムで形成されていることが、光を高効率で透過させることができるので好ましい。特にホログラムとしては、4段以上の階段状断面や鋸歯状断面を有するものを用いることが、特に高効率に光を利用でき、光量の減少を防止できるので好ましい。
【0131】
次に第3光学部材49について説明する。
第3光学部材49は、第2光学部材47の上面に設けられており、第2光学部材47と第3光学部材49とは紫外線硬化樹脂やエポキシ樹脂等の接合材により接合されている。
【0132】
そして第3光学部材49は、光源2および光源9から出射され、第1光学部材41及び第2光学部材47を介して導かれてきた光を所定の光路に導くとともに光ディスクで反射されて戻ってきた光を所定の光路に導く働きを有している。
【0133】
さらに第3光学部材49は、第1の斜面49a,第2の斜面49bを有しており、特に光が入射する面と出射される面とは、光の光軸に対して略垂直で、かつ、それぞれの面が略平行となるように構成されているが好ましい。この様に形成することにより、入射する光に対する非点収差等の発生を抑制することができるので、透過する光の光学特性の劣化を防止することができる。
【0134】
また第1の斜面49aと第2の斜面49bは互いに略平行で、かつ、第1光学部材41及び第2光学部材47を通過する光の光軸に対して略垂直な方向に傾斜を有するように形成されている。
【0135】
さらに第1の斜面49a及び第2の斜面49bには各種の光学素子が形成されている。
【0136】
第1の斜面49aには、複数ビーム形成手段50が設けられている。複数ビーム形成手段50は偏光方向に合わせて光を反射するかもしくは透過する偏光分離膜50aと入射してきた光を複数の光束に分離して反射するビーム分離部50bを有しており、光源9から出射され、拡散角変換手段48を通過してきた光は偏光分離膜50aをほとんど透過して、ビーム分離部50bに入射する。そして入射してきた光をビーム分離部50bで複数の光束に分離・反射している。
【0137】
ここでビーム分離部50bは、回折格子で形成することが、効率よく複数の光束を形成することができるので好ましい。ここでは回折格子で発生する0次光および±1次光の3つの光束を主に形成するような構成を有している。
【0138】
ここで形成された複数の光束は低密度光ディスク19のトラックの所定の位置に照射され、戻ってきた光の光量を比較することにより、低密度光ディスク19のトラッキングを行う通称3ビーム法と呼ばれるトラッキング方法に供される。
【0139】
なおトラッキング方法として3ビーム法を用いない場合には、複数ビーム形成手段は設けなくて良い。
【0140】
そして第2の斜面49bには波長選択性のあるフィルタ51が形成されている。フィルタ51は光源2から導かれてきた光をほぼ80%以上透過し、光源9から導かれてきた光をほぼ80%以上反射する働きを有している。
【0141】
このフィルタ51を第1の斜面49aに形成したことにより、光源2から出射された光をほとんど妨げることなく光源9から導かれてきた光を反射することができるので、光源2および光源9から出射された光を高い割合で記録媒体まで導くことができる。従って光源2および光源9から出射される光の量を増加させなくとも記録媒体への記録もしくは再生が可能になるので、光源2および光源9を高出力状態で動作させることによる光源2および光源9の短寿命化を防止できる。更には光源2および光源9を低出力状態で用いることができるので、光源2および光源9の温度上昇がほとんど起こらず、従って温度変化に伴う光源2および光源9の発振波長のシフトがほとんど起こらない。従ってより正確に焦点形成が行える高性能な光ピックアップを提供することができる。
【0142】
この第3光学部材49により、光源2からの光と光源9からの光が略同一の光軸に導かれることになる。
【0143】
光源9からの光が第3光学部材に入射してきて複数ビーム形成手段50で反射された後にフィルタ51に入射するまでの光路は第1光学部材41中を進む光を含む平面に対して略垂直方向に進むように形成されている。
【0144】
52は1/4波長板で、1/4波長板52は、フィルタ51を透過してきた光源2からの光と、フィルタ51で反射されてきた光源9からの光の双方の偏光方向を直線偏光から楕円偏光に変換する働きを有している。
【0145】
なお1/4波長板52としては、本実施の形態に示すような所定の厚さを有する板状のものを用いても良いし、薄膜で形成しても良い。
【0146】
次に第4光学部材53について説明する。
第4光学部材53は、第1光学部材41の底面に光硬化性樹脂やエポキシ系樹脂等により接合されており、記録媒体で反射されてきた戻り光を所定の位置に導く働きを有している。第4光学部材53は、第1の斜面53aと第2の斜面53bを有しており、それぞれの斜面には目的に応じた光学素子が形成されている。
【0147】
本実施の形態においては、第1の斜面53aには光路分割手段54,55が形成されている。この光路分割手段54は、光源2から出射されて高密度光ディスク18で反射されて戻ってきた光を透過するか、若しくは、反射する働きを有しており、光路分割手段55は、光源9から出射されて低密度光ディスク19で反射されて戻ってきた光を透過するか、若しくは、反射する働きを有している。ここでは光路分割手段54及び光路分割手段55の双方とも透過する光量と反射する光量とが略同量となるようにハーフミラーを用いることが好ましい。
【0148】
第2の斜面53bには反射膜56,57が形成されている。反射膜56は、光路分割手段54で反射されて入射してきた光を反射して所定の位置に導く働きを有しており、反射膜57は光路分割手段55で反射されて入射してきた光を反射して所定の位置に導く働きを有している。反射膜56,57はともにAg,Au,Cu等の高反射を有する金属材料若しくは屈折率の異なる複数の誘電体材料で形成されていることが好ましい。
【0149】
58,59はともに受光手段で、受光手段58は、光路分割手段54を透過してきた光及び光路分割手段54で反射された後反射膜56で反射されてきた光を受光し、受光手段59は、光路分割手段55を透過してきた光及び光路分割手段55で反射された後反射膜57で反射されてきた光を受光するもので、ともにRF信号、トラッキング信号及びフォーカシング信号を形成するのに必要な位置に必要な形状で必要な個数の各種受光部が形成されている。
【0150】
さらに光源2,9や受光手段58,59及び光学部材41,47,49,53等は実施の形態1と同様に密閉された空間に存在していることが好ましい。ここでは透光性を有するガラスや樹脂等で形成された封止部材60により出射部40dを密閉封止している。
【0151】
以上示してきたように、複数の発振波長の異なる光源からの光を複数の光学素子が形成された光学部材に入射させて所定の光路に導くような構成としたことにより、従来それぞれの光源に対して複数設けられていた光学素子等を1つに集約できるので、分散配置された光ピックアップに比べて、光ピックアップ全体の大きさを大幅に小型化することができる。
【0152】
またそれぞれの光源に対する各光学素子間の位置あわせ等も不要になるので生産性が大幅に向上し、さらには各光学素子の取り付け誤差も最小限度に抑制することができるので良好な光学特性を実現できる。
【0153】
更に各光学素子の取り付け誤差に起因する光の損失を最小限に抑止できるので光の利用効率の良好な光ピックアップを実現することができる。
【0154】
また光源2から出射された光と光源9から出射された光の少なくとも一方を光学部材41,49で複数回反射して所定の光路に導くことにより、1つ1つの光学部材の大きさを小さくすることができるとともに反射なしで導く場合に比べて光学部材41,49を出てからの光路長を短くできるので、光ピックアップの小型化・薄型化を図ることができる。
【0155】
更に光源2および光源9からの光を複数の光学素子が形成された光学部材41,47,49に入射させて所定の光路に導くことにより、高密度光ディスク18に対する光も低密度光ディスク19に対する光も、ともに正確にそれぞれの記録媒体に導くことができるとともに、複数の光源それぞれに対応した複数の光学系を異なる光学部材を用いて形成する必要がなくなり、部品点数の削減による生産性の向上及びそれぞれの構成部材の位置あわせの簡略化を行うことができる。更に各光学部材において光学素子を光源に応じて別々に形成することにより、光源2と光源9の波長が異なる場合にもそれぞれの波長に応じた最適条件で光学素子を形成することができるので、波長の異なる光源からの光をそれぞれ特性劣化させることなく所定の位置に導くことができるので好ましい。
【0156】
なお本実施の形態においては光源2及び光源9から出射された光は同一の光学部材に入射するような構成を有していたが、同一パッケージ中に別々に設けられている光学部材に入射するような構成としてもよい。この様な構成とすることにより、光源2から出射された光に対する光学部材と光源9から出射された光に対する光学部材とに分離することができるので、それぞれの光に所定の光学特性を与える光学素子のみをそれぞれの光学部材に形成すればよいので、同一斜面上に種類の異なる光学素子を別々に形成する必要がなくなり、形成された光学素子の性能を劣化させる要因を除去することができる。更に、例えば光源2から出射された光が光源9から出射された光用の光学素子に入射した後、再び光源2から出射された光の光路に混入して迷光成分となる可能性を減少させることができるので、光学特性の劣化の少ない優れた光ピックアップを提供することができる。
【0157】
更に本実施の形態では、光源2および光源9を第1光学部材41の面41cに対向するように設けられている。即ち光源2および光源9から出射された光は、第1光学部材41の面41cに入射し、第1光学部材41,第2光学部材47,第3光学部材49等に形成されている各種光学素子により所定の性質を有する光束に変換されて記録媒体に導かれる構成を有している。
【0158】
このような構成としたことにより、光源2および光源9は、第1光学部材41の光源側の面41cを基準面として、位置あわせを行うことができる。即ち複数形成されている光源を1つの面41cを基準として位置あわせを行うことができるので、各光学部材に形成されている各種光学素子に対してより高精度で位置あわせを行うことが可能になり、各光学部材に設けられている各種光学素子に対する位置ずれが原因で発生する光学特性の劣化を防止することができる。また光源2と光源9との相互の位置調整も基準となる面が1つであるのでより容易に行うことができる。
【0159】
また第1光学部材41のように、それぞれの光源からの光が入射してくる部位に光学素子が形成されていない場合には、入射面となる面41cには、入射してくる光が散乱されたりしないように面粗度をできる限り小さくする等の非常に精密な加工を施す必要がある。
【0160】
本実施の形態のように複数の光源からの光を光学部材の同一面に入射させるようにしたことにより、このような精密加工を施さなければならない面の数を減らすことができるので、精密加工に伴う製造工程を簡略化でき、光学ヘッドの生産性が向上する。また精密加工に係る生産コストも低減することができるので、安価な光学ヘッドとすることができる。
【0161】
従って光源間の位置ずれおよび光源と光学素子との間の位置ずれがほとんど存在せず、光学特性の良好な信頼性の高い光ピックアップを実現することができる。また本実施の形態では、第1光学部材41の光源に対向する面41cから光源2および光源9までの距離を等しくしている。このような関係に光源2および光源9を配置することによって、光源2および光源9を例えば同一の平行平面部材に当て決めして固定することができるので、光源2および光源9の高さ精度を容易に確保することができる。そしてこれにより、高さ精度がでていないことが原因で発生する光学特性の劣化を抑制することができるので、良好な記録若しくは再生特性を有した光ピックアップを実現することができる。
【0162】
更に本実施の形態においては、光源2および光源9とを光源載置部42に配置している。このように複数の光源を同一の光源載置部に設ける構成をしたことにより、予め光源載置部42に対して決められた位置関係に光源2および光源9を固定しておくことができるので、光学ヘッドの組立を行う際に、第1光学部材41と光源2および光源9との間の位置決めを簡単にしかも精度良く行うことができるようになり、光学ヘッドの生産性を向上させることができる。また光源2および光源9と第1光学部材41との間の位置ずれも発生しにくくなるので、優れた光学特性を有する光ピックアップとすることができる。
【0163】
更に光源載置部42の同一面42aに光源2および光源9を設けることにより、光源2および光源9の光源載置部42への取付をより容易に行え、更に異なる面に設けた場合に比べて、光源2および光源9と光源に電力を供給する電極やアースとの接続に用いられるワイヤの光源2および光源9との接続を容易に行えるようになる。また光源2および光源9との相対的な位置決めもより簡単かつ正確に行えるようになる。
【0164】
また光源を載置する光源載置部の面は非常に高い精度で面出しを行う必要があるが、複数の光源を同一面に設けることにより、面出しを行う面が1面で良くなるので、製造工程の削減でき、これにより生産性を向上させることができるとともに生産コストも低減できる。
【0165】
以上のような構成を有する光ピックアップの動作について説明する。
記録媒体が高密度光ディスク18である場合には、光源2から出射された光を用いて記録若しくは再生を行う。この場合、光源2から出射された光は、まず第1光学部材41の第1の斜面41aに形成された反射膜43で反射されて、第2の斜面41bに形成されている偏光分離膜45に入射する。この偏光分離膜45は光源2から出射された直線偏光を反射し、それと直交する偏光方向の光を透過する働きを有しているので、光源2から入射してきた光は反射される。
【0166】
その後第1光学部材41から出射された光は、第2光学部材47を透過して第3光学部材49に入射する。そして第3光学部材49の第2の斜面49bに形成されたフィルタ51を透過して第3光学部材49から出射され、1/4波長板52に入射する。この1/4波長板52に入射した光は、その偏光方向を直線偏光から楕円偏光に変換されて1/4波長板52から出射される。
【0167】
その後光源2から出射された光は、コリメータレンズがある場合にはコリメータレンズ16を通過して略平行光に変換されてから、無い場合には直接集光レンズ17に入射し、高密度光ディスク18へ収束する。
【0168】
そして高密度光ディスク18で反射されて戻ってきた光は再び1/4波長板52に入射する。この光は、高密度光ディスク18で反射される際に楕円偏光の回転方向が入射時のそれと比べて反対になっているので、1/4波長板52を通過する際には楕円偏光から光源2を出射された時の偏光方向と略直交する直線偏光に変換されることとなる。即ち仮に光源2から出射される際にS偏光で出射された光は、P偏光で光学部材に入射することとなる。
【0169】
1/4波長板52を通過した光は、第3光学部材49に入射し、その第2の斜面49bに形成してあるフィルタ51をほとんど透過して、第3光学部材49から出射され、第2光学部材47を透過して、第1光学部材41に入射する。
【0170】
そして第1光学部材41の第2の斜面41bに形成されている偏光分離膜45に入射する。この時入射してきた光の偏光方向は出射時のそれと比べると直交する向きになっているので、光は偏光分離膜45をほとんど透過して、第1光学部材41から出射されて、第4光学部材53に入射する。
【0171】
第4光学部材53に入射してきた光は、第4光学部材53の第1の斜面53aに形成されている光路分割手段54に入射する。この光路分割手段54により、入射してきた光は、その略半分が透過され、略半分が反射されることになる。
【0172】
そして光路分割手段54を透過した光は、そのまま第4光学部材53の下面に設けられている受光手段58の所定の位置に形成されている受光部に所定の形状の光束が形成され、目的に応じた信号形成に供することになる。
【0173】
また光路分割手段54で反射された光は、第4光学部材53の第2の斜面53bに設けられている反射膜56で反射されて受光手段58にも受けられている所定の受光部に所定の形状の光束が形成され、目的に応じた信号形成に供することとなる。
【0174】
記録媒体が低密度光ディスク19である場合には、光源9から出射された光を用いて記録若しくは再生を行う。この場合、光源9から出射された光は、まず第1光学部材41の第1の斜面41aに形成された反射膜44で反射されて、第2の斜面41bに形成されている偏光分離膜46に入射する。この偏光分離膜46は光源9から出射された直線偏光を反射し、それと直交する偏光方向の光を透過する働きを有しているので、光源9から入射してきた光は反射される。
【0175】
その後第1光学部材41から出射された光は、第2光学部材47の端面に形成された拡散角変換手段48に入射する。この拡散角変換手段48により、光源9から出射された光は拡散角を変換されて、拡散光だった光は収束光となって第2光学部材47から出射され、第3光学部材49に入射する。
【0176】
第3光学部材49に入射した光は、第1の斜面49aに形成された複数ビーム形成手段50に入射し、偏光分離膜50aを透過して、ビーム分離部50bで反射される際に1本のメインビームと2本のサイドビームとに分離されたのち、第2の斜面49bに形成されているフィルタ51に入射する。このフィルタ51は光源9から出射された光を反射し、光源2から出射された光を透過するように形成されているので、複数ビーム形成手段50からフィルタ51に入射した光はほとんど反射されて第3光学部材49から出射される。
【0177】
その後光源9から出射された光は、1/4波長板52に入射する。この1/4波長板52に入射した光は、その偏光方向を直線偏光から楕円偏光に変換されて1/4波長板52から出射される。
【0178】
その後光源9から出射された光は、コリメータレンズがある場合にはコリメータレンズ16を通過して略平行光に変換されてから、無い場合には直接集光レンズ17に入射し、低密度光ディスク19へ収束する。
【0179】
そして低密度光ディスク19で反射されて戻ってきた光は再び1/4波長板52に入射する。この光は、低密度光ディスク19で反射される際に楕円偏光の回転方向が入射時のそれと比べて反対になっているので、1/4波長板52を通過する際には楕円偏光から光源9を出射された時の偏光方向と略直交する直線偏光に変換されることとなる。即ち仮に光源9から出射される際にS偏光で出射された光は、P偏光で光学部材に入射することとなる。
【0180】
1/4波長板52を通過した光は、第3光学部材49に入射し、その第2の斜面49bに形成してあるフィルタ51でほとんど反射されて、第1の斜面49aにも受けられている複数ビーム形成手段50に入射する。この場合は、入射する光の偏光方向が往きの光とは略直交する方向となっているので、入射してきた光はビーム分離部50bにほとんど入射することなく偏光分離膜50aで反射されて、第3光学部材から出射され、第2光学部材47に形成されている拡散角変換手段48に入射する。
【0181】
この拡散角変換手段48で拡散光として入射してきた光は、その拡散角を変換されて収束光となって第2光学部材47を透過して、第1光学部材41に入射する。
【0182】
そして第1光学部材41の第2の斜面41bに形成されている偏光分離膜46に入射する。この時入射してきた光の偏光方向は出射時のそれと比べると略直交する向きになっているので、光は偏光分離膜46をほとんど透過して、第1光学部材41から出射されて、第4光学部材53に入射する。
【0183】
第4光学部材53に入射してきた光は、第4光学部材53の第1の斜面53aに形成されている光路分割手段55に入射する。この光路分割手段54により、入射してきた光は、その略半分が透過され、略半分が反射されることになる。
【0184】
そして光路分割手段55を透過した光は、そのまま第4光学部材の下面に設けられている受光手段59の所定の位置に形成されている受光部に所定の形状の光束が形成され、目的に応じた信号形成に供することになる。
【0185】
また光路分割手段55で反射された光は、第4光学部材53の第2の斜面53bに設けられている反射膜57で反射されて受光手段59に設けられている所定の受光部に所定の形状の光束が形成され、目的に応じた信号形成に供することとなる。
【0186】
このように複数の光源を同一のパッケージ内に配置した場合においても実施の形態2と同様に、それぞれの光源から出射された光に発生する波面収差が大きく異なる場合が多く、このためそれぞれ光源2,9の発光点2a,9aとコリメートレンズの間の距離を最適化しているが、考え方は実施の形態2と同様なので、ここではその説明を省略する。
【0187】
先程も説明したように本実施の形態においては、この様な光源載置部42の側面部42aに光源2と光源9とを光源載置部42の底面から略同一の高さに配置している。即ち光源2の発光点2aと光源9の発光点9aとを結んだ直線は、記録媒体の表面に対して略垂直となっている。
【0188】
この様な配置にすることにより、光源2から出射された光が第1光学部材41及び第4光学部材53を通過する際に形成する光軸を含む第1の平面と、光源9から出射された光が第1光学部材41及び第4光学部材53を通過する際に形成する光軸を含む第2の平面及び光源9から出射された光が第3光学部材49を通過する際に形成する光軸を含む第3の平面を光の伝搬面として利用することができる。即ち記録媒体の表面に対して垂直な面若しくは平行な面のいずれかの面のみを伝搬面とするのではなく、そのいずれの面も伝搬面として利用することができる。
【0189】
またこの時第1の平面と第2の平面とを略平行な関係とすることにより、本来第1の平面を構成する光軸に係る光の一部が、第2の平面を構成する光軸に係る光が入射すべき光学素子に入射して迷光成分となること、若しくは逆に本来第2の平面を構成する光軸に係る光の一部が、第1の平面を構成する光軸に係る光が入射すべき光学素子に入射して迷光成分となることを防止できるので、この様な構成を有する光ピックアップの光学特性を良好なものとすることができ、高性能な光ピックアップを提供することができる。
【0190】
このような立体的な伝搬面の形成を行うことにより、各光学部材の空間利用効率を向上させることができる。これにより各光学部材の小型化が可能となり、これらの光学部材を搭載した光ピックアップの小型化にも寄与することになる。
【0191】
更にこのような空間の立体的な利用を行う際に、記録媒体に平行な面内方向の利用頻度を記憶媒体に非平行な面内方向の利用頻度に比べて高くすることにより、各光学部材の薄型化が可能となるので、光ピックアップの薄型化を可能にすることができる。このことにより特に携帯型のパソコン等の情報端末に搭載される光ディスクドライブに最適な光ピックアップを提供することができる。
【0192】
なお本実施の形態においては光源2と光源9を記録媒体の表面に対して略垂直に配置していたが、これらの光源の配置は記録媒体の表面に対して非平行、即ち記録媒体の表面に垂直な高さ方向に分布を有するような配置とすることにより、上記した目的を達成することができる。
【0193】
(実施の形態4)
以下本発明の実施の形態4について図面を参照しながら説明する。
【0194】
図10は本発明の実施の形態4における集積化された光学ヘッドの断面図であり、図11は本発明の実施の形態4における光学部分の詳細な断面図である。ここで図11における正断面図は光路を直線状に描いている。また図10及び図11においては、実施の形態3と同様の構成を有する部材については同一の番号を付加している。
【0195】
図10及び図11において、パッケージ70については、その構成要素である基板部70a,側壁部70b及び端子70cのいずれについても、大きさや形状等に若干の差があるものの、パッケージ40の基板部40a,側壁部40bおよび端子40cとほぼ同様の構成を有しているので、説明を省略する。
【0196】
また光源2及び光源9を載置する光源載置部71についても、実施の形態3の光源載置部42とほぼ同様の構成を有しているので、説明を省略する。
【0197】
72は第1光学部材で、第1光学部材72は光源2および光源9から出射された光を所定の光路に導くとともに光ディスクで反射されて戻ってきた光を所定の光路に導く働きを有している。
【0198】
第1光学部材72は、第1の斜面72a,第2の斜面72b及び第3の斜面72cを有しており、特に光が入射する面と出射される面とは略平行で、かつ、入射若しくは出射される光はこれらの面に略垂直に入射するような構成を有しているが好ましい。この様に形成することにより、入射する光に対する非点収差等の発生を抑制することができるので、透過する光の光学特性の劣化を防止することができる。
【0199】
さらに第1の斜面72a,第2の斜面72b及び72cには各種の光学素子が形成されている。
【0200】
以下第1光学部材72中に存在する各種光学素子について説明する。
まず第1の斜面72aには、反射膜73及び反射膜74が形成されている。反射膜73は、光源2から出射されてきた光を所定の方向に反射する働きを有しており、反射膜74は光源9から出射されてきた光を所定の方向に反射する働きを有している。そして反射膜73及び反射膜74を構成する材料としては、Ag,Au,Cu等の高反射を有する金属材料若しくは屈折率の異なる複数の誘電体材料を交互に複数層設けることにより形成されていることが好ましい。
【0201】
なお本実施の形態においては反射膜73及び反射膜74とは別々に設けられていたが、1つの大きな反射膜として第1の斜面72aのほぼ全体に形成しても良い。この場合マスクを用いて反射膜を形成するプロセスを省略することができるとともに反射膜を形成するためのマスクも減らすことができるので、生産性を向上させることができるとともに製造コストも低減することができる。
【0202】
そして第2の斜面72bには、偏光分離膜75,76が形成されている。偏光分離膜75には、光源2から出射され、反射膜73で反射されてきた光が入射し、偏光分離膜76には光源9から出射され、反射膜74で反射されてきた光が入射する。これらの偏光分離膜75,76は、特定の偏光方向を有する光を透過し、それ以外の偏光方向を有する光を反射する働きを有している。
【0203】
この様な偏光分離膜75,76は屈折率の異なる複数の誘電体材料を交互に複数層設けることにより形成されていることがより正確なPS分離が行えるので好ましい。特にここでは、光源2および光源9から出射されるS偏光成分を透過し、P偏光成分を反射するように形成されている。
【0204】
これらの偏光分離膜75,76により、通過する光の量をほとんど減少させることなく記録媒体へ導くことができるので、光の利用効率を向上させることができ、ひいては光源2および光源9を小さい出力で所定の盤面光量を得ることができるので、各光源の長寿命化を実現できるので好ましい。
【0205】
なお本実施の形態においては偏光分離膜75,76をそれぞれ別々に設けられていたが、1つの大きな反射膜として第2の斜面72bの上部ほぼ全体に形成しても良い。この場合マスク用を用いて偏光分離膜を形成するプロセスを省略することができるとともに偏光分離膜を形成するためのマスクも減らすことができるので、生産性を向上させることができるとともに製造コストも低減することができる。
【0206】
また本実施の形態においては、出射光と戻り光の分離手段として偏光分離膜を用いていたが、これらは必要とされる盤面光量に応じて、ハーフミラー等の分離手段を用いても良い。
【0207】
次に第2の斜面72bに設けられている他の光学部材について説明する。
77及び78はモニター光用のホログラムで、ホログラム77は光源2から出射され、反射膜73で反射された光のうちの一部を所定の方向へ反射回折する働きを有している。このホログラム77で反射回折された光は、第1光学部材72の上面に設けられている反射部79に導かれ、その後受光手段上91に設けられたモニタ光受光部に入射する。そしてモニタ光受光部からの電気信号を元に光源2に加える電力を調整して、光源2から出射される光の光量が常に最適値となるように制御を行う。
【0208】
またホログラム78は光源9から出射され、反射膜74で反射された光のうちの一部を所定の方向へ反射回折する働きを有している。このホログラム78で反射回折された光は、第1光学部材72の上面に設けられている反射部80に導かれ、その後受光手段92上に設けられたモニタ光受光部に入射する。そしてモニタ光受光部からの電気信号を元に光源9に加える電力を調整して、光源9から出射される光の光量が常に最適値となるように制御を行う。
【0209】
さらに第2の斜面72bの最も光源寄りの部分には反射膜81,82が設けられている。
【0210】
この反射膜81,82は、実施の形態3に示す第4光学部材53の第2の斜面53bに形成されている反射膜56,57とほぼ同様の構成を有しているので、ここでは説明を省略する。
【0211】
最後に第3の斜面72cには光路分割手段83,84が形成されている。この光路分割手段については、実施の形態3に示した第4光学部材53の第1の斜面53aに形成されている光路分割手段54,55とほぼ同様の構成及び働きを有しているので、ここでは説明を省略する。
【0212】
次にパッケージ70により囲まれた空間の内部、即ち光源2,9及び受光手段等が配置されている空間は密閉されることが好ましい。このような構成にすることにより、ゴミや水分等の不純物のパッケージ内部への進入を防止することができるので、光源2,9や受光手段91,92の性能を維持することができるとともに出射される光の光学特性の劣化も防止することができる。
【0213】
このためシールド部材85が設けられている。シールド部材85は、パッケージ70の側壁部70bに設けられた開口部70dを塞ぐように設けられているもので、パッケージ70の内部を密閉する働きを有している。そして密閉された空間にはN2ガス、乾燥空気若しくはArガス等の不活性ガスを封入しておくことが、パッケージ70の内部に存在する第1光学部材72等の表面に結露が生じて光学特性が悪化してしまったり、光源2,9や受光手段の酸化などによる特性の劣化を防止することができるのでさらに好ましい。
【0214】
ここでシールド部材85を構成する材料としては、樹脂やガラス等の透光性が良好で、光の利用効率を低下させない材料を用いることが好ましい。
【0215】
次に第2光学部材86について説明する。
第2光学部材86はパッケージ70の側壁部70bに設けられている開口部70dを塞ぐように設けられており、パッケージ70の側壁部70bとは、紫外線硬化樹脂,エポキシ樹脂及び接着ガラス等で接合されている。第2光学部材86は、第1基板86a、第2基板86bを有している。以下これらの基板について順次説明する。
【0216】
まず第1基板86aは平行平面形状を有するガラスや樹脂等の良好な透光性を有する材料から形成されており、そのシールド部材85側の端面の光源9からの光が通る領域には拡散角変換手段87が形成されている。この拡散角変換手段87については、実施の形態3で示した拡散角変換手段48とほぼ同様の構成を有しているので、ここでは説明を省略する。
【0217】
次に第2基板86bは、第1の斜面86d及び第2の斜面86eを有し、更に第1の斜面86dには偏光分離膜88aとビーム分離部88bを備えた複数ビーム形成手段88が形成されており、第2の斜面86eにはフィルタ89が形成されている。
【0218】
第2基板86bの構成は、基本的に実施の形態3に示す第3光学部材49と同様のものであり、第2基板86bの第1の斜面86d,第2の斜面86e,偏光分離膜88a,ビーム分離部88b,複数ビーム形成手段88,フィルタ89はそれぞれ、実施の形態3の第3光学部材49の第1の斜面49a,第2の斜面49b,偏光分離膜50a,ビーム分離部50b,複数ビーム形成手段50,フィルタ51に相当し、ほぼ同様の構成を有しているので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0219】
第1基板86aと第2基板86bとの接合及び第2光学部材86と側壁部70bとの接合は光硬化樹脂,エポキシ樹脂,接合ガラス等の接合材により行われている。
【0220】
そしてこの第2光学部材86により、光源2からの光と光源9からの光が略同一の光軸に導かれることになる。
【0221】
そして光源9からの光が第2光学部材86に入射してきて複数ビーム形成手段88で反射された後にフィルタ89に入射するまでの光路は第1光学部材72中を進む光を含む平面に対して略垂直方向に進むように形成されている。
【0222】
90は1/4波長板で、1/4波長板90は、フィルタ89を透過してきた光源2からの光と、フィルタ89で反射されてきた光源9からの光の双方の偏光方向を直線偏光から楕円偏光に変換する働きを有している。
【0223】
なお1/4波長板90としては、本実施の形態に示すような所定の厚さを有する板状のものを用いても良いし、薄膜で形成しても良い。
【0224】
91,92はともに受光手段で、受光手段91は、光路分割手段83を透過してきた光及び光路分割手段83で反射された後反射膜81で反射されてきた光を受光し、受光手段92は、光路分割手段84を透過してきた光及び光路分割手段84で反射された後反射膜82で反射されてきた光を受光するもので、ともにRF信号、モニタ信号、トラッキング信号及びフォーカシング信号を形成するのに必要な位置に必要な形状で必要な個数の各種受光部が形成されている。
【0225】
以上示してきたように、複数の発振波長の異なる光源からの光を複数の光学素子が形成された光学部材に入射させて所定の光路に導くような構成としたことにより、従来それぞれの光源に対して複数設けられていた光学素子等を1つに集約できるので、分散配置された光ピックアップに比べて、光ピックアップ全体の大きさを大幅に小型化することができるとともにそれぞれの光源に対する各光学素子間の位置あわせ等も不要になるので生産性が大幅に向上し、さらには各光学素子の取り付け誤差も最小限度に抑制することができるので良好な光学特性を実現でき、加えて各光学素子の取り付け誤差に起因する光の損失を最小限に抑止できるので光の利用効率の良好な光ピックアップを実現することができる。
【0226】
さらに光源2から出射された光と光源9から出射された光の少なくとも一方を光学部材72,86で複数回反射して所定の光路に導くことにより、パッケージ70全体の大きさを小さくすることができるとともに反射なしで導く場合に比べて光学部材86を出てからの光路長を短くできるので、光ピックアップの小型化・薄型化を図ることができる。
【0227】
また光源2および光源9からの光を複数の光学素子が形成された光学部材72,86に入射させて所定の光路に導くことにより、高密度光ディスク18に対する光も低密度光ディスク19に対する光も、ともに正確にそれぞれの記録媒体に導くことができるとともに、複数の光源それぞれに対応した複数の光学系を異なる光学部材を用いて形成する必要がなくなり、部品点数の削減による生産性の向上及びそれぞれの構成部材の位置あわせの簡略化を行うことができる。
【0228】
なお本実施の形態においては光源2及び光源9から出射された光は同一の光学部材に入射するような構成を有していたが、同一パッケージ中に別々に設けられている光学部材に入射するような構成としてもよい。この様な構成とすることにより、光源2から出射された光に対する光学部材と光源9から出射された光に対する光学部材とに分離することができるので、それぞれの光に所定の光学特性を与える光学素子のみをそれぞれの光学部材に形成すればよいので、同一斜面上に種類の異なる光学素子を別々に形成する必要がなくなり、形成された光学素子の性能を劣化させる要因を除去することができる。更に、例えば光源2から出射された光が光源9から出射された光用の光学素子に入射した後、再び光源2から出射された光の光路に混入して迷光成分となる可能性を減少させることができるので、光学特性の劣化の少ない優れた光ピックアップを提供することができる。
【0229】
更に本実施の形態では、光源2および光源9を第1光学部材72の面72dに対向するように設けられている。即ち光源2および光源9から出射された光は、第1光学部材72の面72dに入射し、第1光学部材72および第2光学部材86等に形成されている各種光学素子により所定の性質を有する光束に変換されて記録媒体に導かれる構成を有している。
【0230】
このような構成としたことにより、光源2および光源9は、第1光学部材72の光源側の面72dを基準面として、位置あわせを行うことができる。即ち複数形成されている光源を1つの面72cを基準として位置あわせを行うことができるので、各光学部材に形成されている各種光学素子に対してより高精度で位置あわせを行うことが可能になり、各光学部材に設けられている各種光学素子に対する位置ずれが原因で発生する光学特性の劣化を防止することができる。また光源2と光源9との相互の位置調整も基準となる面が1つであるのでより容易に行うことができる。
【0231】
また第1光学部材72のように、それぞれの光源からの光が入射してくる部位に光学素子が形成されていない場合には、入射面となる面72dには、入射してくる光が散乱されたりしないように面粗度をできる限り小さくする等の非常に精密な加工を施す必要がある。
【0232】
本実施の形態のように複数の光源からの光を光学部材の同一面に入射させるようにしたことにより、このような精密加工を施さなければならない面の数を減らすことができるので、精密加工に伴う製造工程を簡略化でき、光学ヘッドの生産性が向上する。また精密加工に係る生産コストも低減することができるので、安価な光学ヘッドとすることができる。
【0233】
従って光源間の位置ずれおよび光源と光学素子との間の位置ずれがほとんど存在せず、光学特性の良好な信頼性の高い光ピックアップを実現することができる。また本実施の形態では、第1光学部材72の光源に対向する面72dから光源2および光源9までの距離を等しくしている。このような関係に光源2および光源9を配置することによって、光源2および光源9を例えば同一の平行平面部材に当て決めして固定することができるので、光源2および光源9の高さ精度を容易に確保することができる。そしてこれにより、高さ精度がでていないことが原因で発生する光学特性の劣化を抑制することができるので、良好な記録若しくは再生特性を有した光ピックアップを実現することができる。
【0234】
更に本実施の形態においては、光源2および光源9とを光源載置部71に配置している。このように複数の光源を同一の光源載置部に設ける構成をしたことにより、予め光源載置部71に対して決められた位置関係に光源2および光源9を固定しておくことができるので、光学ヘッドの組立を行う際に、第1光学部材72と光源2および光源9との間の位置決めを簡単にしかも精度良く行うことができるようになり、光学ヘッドの生産性を向上させることができる。また光源2および光源9と第1光学部材72との間の位置ずれも発生しにくくなるので、優れた光学特性を有する光ピックアップとすることができる。
【0235】
更に光源載置部71の同一面71aに光源2および光源9を設けることにより、光源2および光源9の光源載置部71への取付をより容易に行え、更に異なる面に設けた場合に比べて、光源2および光源9と光源に電力を供給する電極やアースとの接続に用いられるワイヤの光源2および光源9との接続を容易に行えるようになる。また光源2および光源9との相対的な位置決めもより簡単かつ正確に行えるようになる。
【0236】
また光源を載置する光源載置部の面は非常に高い精度で面出しを行う必要があるが、複数の光源を同一面に設けることにより、面出しを行う面が1面で良くなるので、製造工程の削減でき、これにより生産性を向上させることができるとともに生産コストも低減できる。
【0237】
以上のような構成を有する光ピックアップの動作について説明する。
記録媒体が高密度光ディスク18である場合には、光源2から出射された光を用いて記録若しくは再生を行う。この場合、光源2から出射された光は、まず第1光学部材72の第1の斜面72aに形成された反射膜73で反射されて、第2の斜面72bに形成されている偏光分離膜75に入射する。この偏光分離膜75は光源2から出射された直線偏光を反射し、それと直交する偏光方向の光を透過する働きを有しているので、光源2から入射してきた光は反射される。
【0238】
その後第1光学部材72から出射された光は、シールド部材85を透過して、第2光学部材86の第1基板86aを透過した後、第2光学部材86の第2基板86bの第2の斜面86eに形成されたフィルタ89を透過して第2光学部材86から出射され、1/4波長板90に入射する。この1/4波長板90に入射した光は、その偏光方向を直線偏光から楕円偏光に変換されて1/4波長板90から出射される。
【0239】
その後光源2から出射された光は、コリメータレンズがある場合にはコリメータレンズ16を通過して略平行光に変換されてから、無い場合には直接集光レンズ17に入射し、高密度光ディスク18へ収束する。
【0240】
そして高密度光ディスク18で反射されて戻ってきた光は再び1/4波長板90に入射する。この光は、高密度光ディスク18で反射される際に楕円偏光の回転方向が入射時のそれと比べて反対になっているので、1/4波長板90を通過する際には楕円偏光から光源2から出射された往きの光の偏光方向と略直交する直線偏光に変換されることとなる。即ち仮に光源2から出射される際にS偏光で出射された光は、P偏光で光学部材に入射することとなる。
【0241】
1/4波長板90を通過した光は、第2光学部材86に入射し、第2基板86bの第2の斜面86eに形成してあるフィルタ89をほとんど透過して、第2光学部材86から出射され、シールド部材85を透過して、第1光学部材72に入射する。
【0242】
そして第1光学部材72の第2の斜面72bに形成されている偏光分離膜75に入射する。この時入射してきた光の偏光方向は出射時のそれと比べると直交する向きになっているので、光は偏光分離膜75をほとんど透過して、第1光学部材72の第3の斜面72cに形成されている光路分割手段83に入射する。この光路分割手段83により、入射してきた光は、その略半分が透過され、略半分が反射されることになる。
【0243】
そして光路分割手段83を透過した光は、そのまま第1光学部材72の下に設けられている受光手段91の所定の位置に形成されている受光部に所定の形状の光束が形成され、目的に応じた信号形成に供することになる。
【0244】
また光路分割手段83で反射された光は、第1光学部材72の第2の斜面72bに設けられている反射膜81で反射されて受光手段91に設けられている所定の受光部に所定の形状の光束が形成され、目的に応じた信号形成に供することとなる。
【0245】
記録媒体が低密度光ディスク19である場合には、光源9から出射された光を用いて記録若しくは再生を行う。この場合、光源9から出射された光は、まず第1光学部材72の第1の斜面72aに形成された反射膜74で反射されて、第2の斜面72bに形成されている偏光分離膜76に入射する。この偏光分離膜76は光源9から出射された直線偏光を反射し、それと直交する偏光方向の光を透過する働きを有しているので、光源9から入射してきた光は反射される。
【0246】
その後第1光学部材72から出射された光は、第2光学部材86の第1基板86aの下端面に形成された拡散角変換手段87に入射する。この拡散角変換手段87により、光源9から出射された光は拡散角を変換されて、拡散光だった光は収束光となって第2基板86bから出射され、第2光学部材86の第2基板86bの第1の斜面86dに形成された複数ビーム形成手段88に入射し、偏光分離膜88aを透過して、ビーム分離部88bで反射される際に1本のメインビームと2本のサイドビームとに分離されたのち、第2の斜面86eに形成されているフィルタ89に入射する。このフィルタ89は光源9から出射された光を反射し、光源2から出射された光を透過するように形成されているので、複数ビーム形成手段88からフィルタ89に入射した光はほとんど反射されて第2光学部材86から出射される。
【0247】
その後光源9から出射された光は、1/4波長板90に入射する。この1/4波長板90に入射した光は、その偏光方向を直線偏光から楕円偏光に変換されて1/4波長板90から出射される。
【0248】
その後光源9から出射された光は、コリメータレンズがある場合にはコリメータレンズ16を通過して略平行光に変換されてから、無い場合には直接集光レンズ17に入射し、高密度光ディスク18へ収束する。
【0249】
そして低密度光ディスク19で反射されて戻ってきた光は再び1/4波長板90に入射する。この光は、低密度光ディスク19で反射される際に楕円偏光の回転方向が入射時のそれと比べて反対になっているので、1/4波長板90を通過する際には楕円偏光から光源9を出射された往きの光の偏光方向と略直交する直線偏光に変換されることとなる。即ち仮に光源9から出射される際にS偏光で出射された光は、P偏光で光学部材に入射することとなる。
【0250】
1/4波長板90を通過した光は、第2光学部材86に入射し、その第2基板86bの第2の斜面86eに形成してあるフィルタ89でほとんど反射されて、第1の斜面86dに設けられている複数ビーム形成手段88に入射する。この場合は、入射する光の偏光方向が往きの光とは略直交する方向となっているので、入射してきた光はビーム分離部88bにほとんど入射することなく偏光分離膜88aで反射されて、第2基板86bから出射され、第1基板86aに形成されている拡散角変換手段87に入射する。
【0251】
この拡散角変換手段87で拡散光として入射してきた光は、その拡散角を変換されて収束光となって第2光学部材86から出射され、シールド部材85を透過して、第1光学部材72に入射する。
【0252】
そして第1光学部材72の第2の斜面72bに形成されている偏光分離膜76に入射する。この時入射してきた光の偏光方向は出射時のそれと比べると略直交する向きになっているので、光は偏光分離膜76をほとんど透過して、第3の斜面72cに形成されている光路分割手段84に入射する。この光路分割手段84により、入射してきた光は、その略半分が透過され、略半分が反射されることになる。
【0253】
そして光路分割手段84を透過した光は、そのまま第1光学部材72の下方に設けられている受光手段92の所定の位置に形成されている受光部に所定の形状の光束が形成され、目的に応じた信号形成に供することになる。
【0254】
また光路分割手段84で反射された光は、第2の斜面72bに設けられている反射膜82で反射されて受光手段92に設けられている所定の受光部に所定の形状の光束が形成され、目的に応じた信号形成に供することとなる。
【0255】
このように複数の光源を同一のパッケージ内に配置した場合においても実施の形態2と同様に、それぞれの光源から出射された光に発生する波面収差が大きく異なる場合が多く、このためそれぞれ光源2,9の発光点2a,9aとコリメートレンズの間の距離を最適化しているが、考え方は実施の形態1及び実施の形態2と同様なので、ここではその説明を省略する。
【0256】
先程も説明したように本実施の形態においては、この様な光源載置部71の側面部71aに光源2と光源9とを光源載置部71の底面から略同一の高さに配置している。即ち光源2の発光点2aと光源9の発光点9aとを結んだ直線は、記録媒体の表面に対して略垂直となっている。
【0257】
この様な配置にすることにより、光源2から出射された光が第1光学部材72を通過する際に形成する光軸を含む第1の平面と、光源9から出射された光が第1光学部材72を通過する際に形成する光軸を含む第2の平面及び光源9から出射された光が第2光学部材86を通過する際に形成する光軸を含む第3の平面を光の伝搬面として利用することができる。即ち記録媒体の表面に対して垂直な面若しくは平行な面のいずれかの面のみを伝搬面とするのではなく、そのいずれの面も伝搬面として利用することができる。
【0258】
またこの時第1の平面と第2の平面とを略平行な関係とすることにより、本来第1の平面を構成する光軸に係る光の一部が、第2の平面を構成する光軸に係る光が入射すべき光学素子に入射して迷光成分となること、若しくは逆に本来第2の平面を構成する光軸に係る光の一部が、第1の平面を構成する光軸に係る光が入射すべき光学素子に入射して迷光成分となることを防止できるので、この様な構成を有する光ピックアップの光学特性を良好なものとすることができ、高性能な光ピックアップを提供することができる。
【0259】
このような立体的な伝搬面の形成を行うことにより、各光学部材の空間利用効率を向上させることができる。これにより各光学部材の小型化が可能となり、これらの光学部材を搭載した光ピックアップの小型化にも寄与することになる。
【0260】
更にこのような空間の立体的な利用を行う際に、記録媒体に平行な面内方向の利用頻度を記憶媒体に非平行な面内方向の利用頻度に比べて高くすることにより、各光学部材の薄型化が可能となるので、光ピックアップの薄型化を可能にすることができる。このことにより特に携帯型のパソコン等の情報端末に搭載される光ディスクドライブに最適な光ピックアップを提供することができる。
【0261】
なお本実施の形態においては光源2と光源9を記録媒体の表面に対して略垂直に配置していたが、これらの光源の配置は記録媒体の表面に対して非平行、即ち記録媒体の表面に垂直な高さ方向に分布を有するような配置とすることにより、上記した目的を達成することができる。
【0262】
(実施の形態5)
図12は本発明における光ピックアップモジュールである。図12において、101はディスクで、本実施の形態においてはディスク101として、デジタルビデオディスク(以下DVDと略す)等の高密度ディスク18またはコンパクトディスク(以下CDと略す)等の低密度ディスク19を用いている。ここで高密度ディスク18としては例えば、記録層を有する基板を2つ用意し、その2つの基板を張り合わせた構成のディスク等である。
【0263】
102はディスク101を回転させるスピンドルモータ部で、ディスク101をクランプする機構も有している。スピンドルモータ部102は、ディスク101を回転させるスピンドルモータ及びディスク101を精度良く位置決めするターンテーブル等から形成されている。
【0264】
103はディスク101に対して記録若しくは再生を行う光ピックアップ部で、その光学部分は実施の形態1に示すような構成を有しているとともに集光レンズ17をディスク100に対して動作させるアクチュエータ108を備えている。
【0265】
なお光ピックアップ部としては、実施の形態2〜4に示すものを用いることも可能である。
【0266】
104は光ピックアップ部103をディスク101を内周及び外周に移させるフィード部である。
【0267】
105はスピンドルモータ部及び光ピックアップ部及びフィード部を搭載するモジュールベースである。
【0268】
106、107はスピンドルモータ及び光ピックアップ部に電力を供給するフレキシブル基板である。
【0269】
以上の様な構成を有する光ピックアップモジュールの動作について説明する。スピンドルモータ部102により回転しているディスク101の所定の位置に存在するデータを再生するような命令がCPUから送られてきた場合、まずアクチュエータ108により集光レンズ17を引き込んだ状態でフィード部104を駆動し、光源2若しくは9から光をディスク101に照射してその位置確認しつつ光ピックアップ部103を所定のデータが存在するトラックまで移動させる。
【0270】
所定の位置まで移動してきた後は、光ピックアップ部103に設けられているアクチュエータ108を駆動させて、フォーカシング信号及びトラッキング信号を検出し、微少な位置調整を行った後、所定のトラックの再生信号を光ピックアップ部103に設けられた受光手段により検知して、信号再生を行う。
【0271】
なおピックアップ部103への動力の供給や信号の送受信及びスピンドルモータ部102への動力の供給にはフレキシブル基板106,107を用いている。
【0272】
この様な構成を有する光ピックアップモジュールにおいては、実施の形態1〜4に示した構成を有する光ピックアップ部を用いているので、光ピックアップモジュールの小型化・薄型化を実現することができる。
【0273】
【発明の効果】
以上示してきたように、本願発明は、複数の光源から出射された光を光学部材の同一面に入射させ、光学部材に形成されている各種光学素子により所定の性質を有する光束に変換されて記録媒体に導かれる構成を有している。
【0274】
このような構成としたことにより、複数の光源は、光学部材の光源側の面を基準面として、位置あわせを行うことができる。従って光学部材に形成されている各種光学素子に対してより高精度で位置あわせを行うことが可能になり、各光学部材に設けられている各種光学素子に対する位置ずれが原因で発生する光学特性の劣化を防止することができる。また複数の光源間の相互の位置調整も基準となる面が1つであることにより容易に行うことができる。
【0275】
従って光源間の位置ずれおよび光源と光学素子との間の位置ずれがほとんど存在せず、光学特性の良好な信頼性の高い光ピックアップを実現することができる。
【0276】
更にそれぞれの光源からの光が入射してくる部位に光学素子が形成されていない場合には、入射面となる光学部材の面には、入射してくる光が散乱されたりしないように面粗度をできる限り小さくする等の非常に精密な加工を施す必要がある。本発明のように複数の光源からの光を光学部材の同一面に入射させるようにしたことにより、このような精密加工を施さなければならない面の数を減らすことができるので、精密加工に伴う製造工程を簡略化でき、光学ヘッドの生産性が向上する。また精密加工に係る生産コストも低減することができるので、安価な光学ヘッドとすることができる。
【0277】
また光学部材の光源に対向する面から複数の光源までの距離を等しくすることにより、複数の光源を例えば同一の平行平面部材に当て決めして固定することができるので、複数の光源の高さ精度を容易に確保することができる。そしてこれにより、高さ精度がでていないことが原因で発生する光学特性の劣化を抑制することができるので、良好な記録若しくは再生特性を有した光ピックアップを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による光ピックアップの構成と光路を示す図
【図2】本発明の実施の形態1における無限光学系での発光点とコリメートレンズとの関係を示す図
【図3】本発明の実施の形態1における波面収差量とL3,L4との関係を示した図
【図4】本発明の実施の形態1における有限光学系での発光点と集光レンズとの関係を示す図
【図5】本発明の実施の形態2における集積化した光学ヘッドの断面図
【図6】本発明の実施の形態2における無限光学系での発光点とコリメートレンズとの関係を示す図
【図7】本発明の実施の形態2における対物レンズのシフトの有無による波面収差量とL5,L6との関係を示した図
【図8】本発明の実施の形態3における集積化された光学ヘッドの断面図
【図9】本発明の実施の形態3における光学部分の詳細な断面図
【図10】本発明の実施の形態4における集積化された光学ヘッドの断面図
【図11】本発明の実施の形態4における光学部分の詳細な断面図
【図12】本発明の実施の形態5における光ピックアップモジュールの正面図
【図13】従来の光ピックアップの光学系を示す図
【符号の説明】
1 第1のパッケージ
1a 基板部
1b 側壁部
1c 端子
1d 出射部
2 光源
3 受光素子
5 第1光学部材
5a 第1の斜面
5b 第2の斜面
6 光路分割手段
7 反射手段
8 第2のパッケージ
8a 基板部
8b 側壁部
8c 端子
8d 出射部
9 光源
10 受光素子
11 第2光学部材
11a 第1の斜面
11b 第2の斜面
12 光路分割手段
13 反射手段
14 1/4波長板
15 光路分割手段
16 コリメータレンズ
17 集光レンズ
18 高密度光ディスク
19 低密度光ディスク
20 パッケージ
20a 基板部
20b 側壁部
20c 端子
21 受光素子
22 光学部材
22a 第1の斜面
22b 第2の斜面
22c 第3の斜面
22d 第1基板
22e 第2基板
23 拡散角変換ホログラム
24 フィルタ
25 偏光分離膜
26 1/4波長板
27 拡散角変換手段
28 複数ビーム形成手段
29 反射手段
30 反射手段
31 拡散角変換手段
32 信号形成手段
33 受光素子
34 光源載置部
34a 面
40 パッケージ
40a 基板部
40b 側壁部
40c 端子
40d 開口部
41 第1光学部材
41a 第1の斜面
41b 第2の斜面
41c 面
42 光源載置部
42a 面
43,44 反射膜
45,46 偏光分離膜
47 第2光学部材
48 拡散角変換手段
49 第3光学部材
49a 第1の斜面
49b 第2の斜面
50 複数ビーム形成手段
50a 偏光分離膜
50b ビーム分離部
51 フィルタ
52 1/4波長板
53 第4光学部材
53a 第1の斜面
53b 第2の斜面
54,55 光路分割手段
56,57 反射膜
58,59 受光手段
70 パッケージ
70a 基板部
70b 側壁部
70c 端子
70d 開口部
71 光源載置部
71a 面
72 第1光学部材
72a 第1の斜面
72b 第2の斜面
72c 第3の斜面
72d 面
73,74 反射膜
75,76 偏光分離膜
77,78 ホログラム
79,80 反射部
81,82 反射膜
83,84 光路分割手段
85 シールド部材
86 第2光学部材
86a 第1基板
86b 第2基板
86d 第1の斜面
86e 第2の斜面
87 拡散角変換手段
88 複数ビーム形成手段
88a 偏光分離膜
88b ビーム分離部
89 フィルタ
90 1/4波長板
91 受光手段
92 受光手段
101 ディスク
102 スピンドルモータ部
103 光ピックアップ部
104 フィード部
105 モジュールベース
106,107 フレキシブル基板
108 アクチュエータ
Claims (3)
- 第1の光源と、前記第1の光源と異なる波長を有する第2の光源と、前記第1の光源と前記第2の光源に対向し、前記第1の光源および前記第2の光源から出射された光を光ディスクに透過または反射させつつ前記光ディスクから反射された戻り光を前記第1の光源および前記第2の光源に向かわないように反射または透過させる分離手段を有する光学部材とを備え、前記第1の光源と前記第2の光源とが、前記光学部材と対向する同一の面に配置されるとともに、前記第1の光源が対向する前記光学部材の面と前記第2の光源が対向する前記光学部材の面とが同一であって、前記第1の光源から前記光学部材の同一面までの距離と前記第2の光源から前記光学部材の同一面までの距離とがほぼ同一であり、前記第1の光源および前記第2の光源から出射された各々の直線光は、前記第1の光源および前記第2の光源が対向する光学部材の前記同一面にその光路を変えることなく入光し、且つ、前記光学部材は、前記分離手段を設ける斜面を有することを特徴とする光ピックアップ。
- 第1の光源と、第2の光源と、光学部材とを1つの光学ヘッドに設け、前記光学ヘッドから出射されてきた光を所定の位置に集光する集光手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の光ピックアップ。
- 第1の光源からの光が光学ヘッドから出射されるまでの光路長と、第2の光源からの光が光学ヘッドから出射されるまでの光路長とが異なっていることを特徴とする請求項2記載の光ピックアップ。
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