JP3520735B2 - 光ピックアップ - Google Patents

光ピックアップ

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JP3520735B2
JP3520735B2 JP26849697A JP26849697A JP3520735B2 JP 3520735 B2 JP3520735 B2 JP 3520735B2 JP 26849697 A JP26849697 A JP 26849697A JP 26849697 A JP26849697 A JP 26849697A JP 3520735 B2 JP3520735 B2 JP 3520735B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクの情報
の記録や再生を行う光ピックアップに係り、特に、CD
やCD−ROM等の従来型光ディスクやデジタルビデオ
ディスク(DVD、DVD−ROM、DVD−RAM)
等の高密度光ディスクのようにディスク基板の厚みや記
録密度等の規格の異なる光ディスクの記録や再生が可能
な光ピックアップに関する。
【0002】
【従来の技術】従来型光ディスクとして、音楽ソフトや
コンピュータ用ソフトの媒体としてコンパクトディスク
(CD、CD−ROM)が幅広く普及しているが、近
年、映像ソフトや大容量コンピュータソフトの媒体とし
て、高密度光ディスク(DVD、DVD−ROM)が提
案され実用化されようとしている。高密度光ディスクで
は、光ピックアップの集光手段の開口数を従来型光ディ
スクの0.45から0.60に高めるとともに、半導体
レーザの波長を従来型光ディスクの780nmから65
0nmあるいは635nmに短波長化することにより、
光ディスクの記録面に結像されるスポット径をさらに微
小化し、記録密度を従来型光ディスクの4.2倍程度に
まで高めている。一方、ディスクの傾きにより生じる波
面収差は開口数の3乗とディスク基板の厚みに比例する
ため、高密度光ディスクではディスクの傾きによる波面
収差が増大することを抑制するために、ディスク基板の
厚みを従来型光ディスクの1.2mmに対して半分の
0.6mmに設定している。
【0003】このような背景にあって、高密度光ディス
ク用の光ピックアップ装置は、現在までに出版されたソ
フトの資産を有効に活用できるようにするために、高密
度光ディスクだけでなく従来型光ディスクの再生が可能
であることが要求されている。しかしながら、高密度光
ディスク用に設計された光学系をそのまま従来型光ディ
スクに用いると、ディスク基板の厚みの違いにより大き
な球面収差が発生して、結像スポットがボケて情報の再
生ができないという問題が生じる。
【0004】さらに加えて第3の記録媒体としてCD−
Rと呼ばれている一回だけ書き換え可能な追記型光ディ
スクが存在している。このCD−Rの反射膜は波長依存
性が非常に高いので、規格で定められている780nm
近傍の発振波長を有する光源しか用いることができな
い。
【0005】この問題を解決するための従来の技術につ
いて以下詳細に説明する。図9は従来の光ピックアップ
の断面図で、図9において、200は光源及び受光素子
を搭載した光学ヘッドで、光学ヘッド200には波長6
50nmの光源が搭載されている。また201は同じく
光源及び受光素子を搭載した光学ヘッドで、光学ヘッド
201には波長780nmの光源が搭載されている。光
学ヘッド200から出射された光(実線)は光路分離手
段202を通過してコリメータレンズ203に入射す
る。コリメータレンズ203で略平行光にされ、集光レ
ンズ204で高密度光ディスク18に集光される。そし
てそこで反射された光は集光レンズ204,コリメータ
レンズ203,光路分離手段202を通過して光学ヘッ
ド200の受光手段に集光される。
【0006】また光学ヘッド201から出射された光
(点線)は光路分離手段202で反射され、コリメータ
レンズ203に入射する。コリメータレンズ203で略
平行光にされ、集光レンズ205で高密度光ディスク1
9に集光される。このとき集光レンズ204と集光レン
ズ205とは動作する光学ヘッドに応じて、集光レンズ
切換手段206により切り替えられる。そしてそこで反
射された光は集光レンズ204,コリメータレンズ20
3を通過し、光路分離手段202で反射されて光学ヘッ
ド201の受光手段に集光される。
【0007】これにより課題となっていた再生時の光源
の波長依存性の高い記録媒体であるCD−Rの再生が可
能になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の構成では、光学ヘッド200と光学ヘッド201とが
別々に設けてあるために光ピックアップにそのためのス
ペースを設けなければならず、さらには光学ヘッド20
0から導かれてきた光と、光学ヘッド201から導かれ
てきた光を略同一光軸に導く光路分離手段202も別に
設ける必要があり、光ピックアップが非常に大型化して
しまうとともに光ピックアップを構成する部品点数が増
加して、各部材間の位置合わせ等、組立作業工程が増大
し、生産性の低いピックアップとなっていた。市場の要
請である高い生産性を有する小型で薄型の光ピックアッ
ップの実現が非常に困難なものになっていた。
【0009】このため、2つの光源を1つのパッケージ
内に収納して光学系の共有化を図る光ピックアップの開
発が要求されていた。
【0010】本発明は前記従来の課題を解決するもの
で、2つの光源を1つのパッケージ内に収納して光学系
の共有化を図る小型・薄型の光ピックアップを実現する
ものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、複数の光源と、入射してきた光を所定の位置に導く
光学部材と、複数の光源を収納するとともに光学部材が
設けられている収納部材とを備え、複数の光源から出射
されたそれぞれの光を前記光学部材によって略同一光軸
上に導くようにした。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の第1の発明は、1個の集
光レンズと、第1の波長を有する第1の光を出射する第
1の光源と、第1の波長と異なる第2の波長を有する第
2の光を出射する第2の光源と、記録媒体からの反射光
を受光する受光手段と、第1の光の拡散角を負にする第
1の拡散角変換手段と第2の光の拡散角を負にする第2
の拡散角変換手段とを有し平行平板に形成された第1光
学部材と、内部に複数の斜面を内蔵しそれぞれの斜面に
所定の光学素子を形成して全体として平行平板に形成し
た第2光学部材と、第1の光源と第2の光源と受光手段
とを収納する収納部材とを有し、第2光学部材の第1及
び第2の光源の側に第1光学部材を接合し収納部材の開
口部に第1学部材を配置して、第1の光と第2の光とを
集光レンズに導くと共に記録密度の異なる記録媒体にそ
れぞれ収束させることを特徴とする光ピックアップ、で
ある。
【0013】特に、第1及び第2光学部材と集光レンズ
との間に拡散角を減じるコリメータレンズを配置し、第
1の拡散角変換手段によって第1の光源が見かけ上移動
した位置を第1仮想発光点とし、第2の拡散角変換手段
によって第2の光源が見かけ上移動した位置を第2仮想
発光点としたとき、第1仮想発光点からコリメータレン
ズ間の有効焦点距離をL5、第2仮想発光点からコリメ
ータレンズ間の有効焦点距離をL6とすると、L6/L
5の値が0.50から0.75の間に定めたことを特徴
とする請求項1記載の光ピックアップ、である。本発明
によれば、第1の光の径と第2の光の径とが異なってい
ることにより、集光手段へ入射する光の径を異ならせる
ことができ、それぞれの光源からの光の収束位置を異な
らせることができる。
【0014】本発明の第2の発明は、1個の集光レンズ
と、第1の波長を有する第1の光を出射する第1の第1
の光源と、第1の波長と異なる第2の波長を有する第2
の光を出射する第2の光源と、記録媒体からの反射光を
受光する受光手段と、内部に複数の斜面を内蔵しそれぞ
れの斜面に所定の光学素子を形成した第1光学部材及び
第2光学部材と、第2の光の拡散角を負にする拡散角変
換手段を有し略平行平板に形成された第3光学部材と、
内部に複数の斜面を内蔵しそれぞれの斜面に所定の光学
素子を形成した第4光学部材と、第1の光源と第2の光
源と受光手段と及び第1及び第2の光源に近い側から順
に第1光学部材第2光学部材第3光学部材第4光学部材
を接合した光学部材とを収納する収納部材とを有し、第
1の光と第2の光とを集光レンズに導くと共に記録密度
の異なる記録媒体にそれぞれ収束させることを特徴とす
る光ピックアップ、である。
【0015】特に、第1の光源と第2の光源とを所定に
位置に載置する光源載置部材に配置し、第1の光源と第
2の光源との後方出射光に対して傾斜した反射面を有す
る反射部材を配置したことを特徴とする請求項3記載の
光ピックアップ、である。本発明によれば、光源から出
射される後方出射光を共に所定の方向に良好に反射させ
ることができ、光が散乱されて光学部材や受光手段等に
迷光として入射することを防止することができる。
【0016】本発明の第3の発明は、1個の集光レンズ
と、第1の波長を有する第1の光を出射する第1の第1
の光源と、第1の波長と異なる第2の波長を有する第2
の光を出射する第2の光源と、記録媒体からの反射光を
受光する受光手段と、内部に複数の斜面を内蔵しそれぞ
れの斜面に所定の光学素子を形成した第1光学部材と、
第2の光の拡散角を負にする拡散角変換手段を有し略平
行平板と内部に複数の斜面を内蔵しそれぞれの斜面に所
定の光学素子を形成した平行平面とで形成された第2光
学部材と、第1の光源と第2の光源と受光手段と第2光
学部材とを収納する収納部材とを有し、収納部材の開口
部に第1光学部材を配置して、第1の光と第2の光とを
集光レンズに導くと共に記録密度の異なる記録媒体にそ
れぞれ収束させることを特徴とする光ピックアップ、で
ある。
【0017】特に、開口部は、収納部材の外側から第1
光学部材で塞ぎ、収納部材の内側からシールド部材で塞
ぐように配置したことを特徴とする請求項5記載の光ピ
ックアップ、である。また重ねて、収納部材と集光レン
ズとの間に拡散角を減じるコリメータレンズを配置し、
拡散角変換手段によって第2の光源が見かけ上移動した
位置を仮想発光点としたとき、第1の光源からコリメー
タレンズ間の有効焦点距離をL5、仮想発光点からコリ
メータレンズ間の有効焦点距離をL6とすると、L6/
L5の値が0.50から0.75の間に定めたことを特
徴とする請求項3または請求項5のいずれか1に記載の
光ピックアップ、である。本発明によれば、パッケージ
の内部が正圧であっても負圧であっても、気圧差や接合
不良に起因したリークの発生を減少させることができ
る。さらにまた、第1の光の径と第2の光の径とが異な
っていることにより、集光手段へ入射する光の径を異な
らせることができ、それぞれの光源からの光の収束位置
を異ならせることができる。
【0018】(実施の形態1)以下本発明の実施の形態
1について図面を参照しながら説明する。
【0019】図1は本発明の実施の形態1における集積
化した光学ヘッドの断面図である。図1において、20
はパッケージであり、パッケージ20は、高密度光ディ
スク18用の光を出射する光源2や低密度光ディスク1
9用の光を出射する光源9及び記録媒体で反射されてき
た光を受光する受光手段21等が載置される基板部20
a及びそれらの部材を包含するように設けられている側
壁部20b等により形成されている。これらの基板部2
0aと側壁部20b等は一体で形成しても別体で形成し
ても良い。なお一体で形成した場合には、組立工程の簡
素化を図ることができ、生産性の向上が可能になる。
【0020】パッケージ20を形成する材料としては金
属、セラミック等の材料を用いることが、光源2及び光
源9で発生する熱を良好に放出できるので好ましい。
【0021】そして金属材料の中でも、熱伝導性が高い
Cu,Al,Fe等の金属材料やFeNi合金やFeN
iCo合金等の合金材料を用いることが好ましい。なぜ
ならばこれらの材料は安価で放熱性が高く、かつ、高周
波重畳回路等からの電磁波等のノイズを遮断する電磁シ
ールドとしての効果も有するからである。これらの中で
も特にFe,FeNi合金,FeNiCo合金は熱抵抗
が小さく、放熱性が良好なので、光源2で発生する熱を
効率的に外部に放出することができる。またこれらの材
料は、低コストであるので、光ピックアップ装置を低価
格で提供することが可能になる。
【0022】またパッケージ20はその基板部20a及
び必要に応じて側壁部20bを大きな熱容量を有するキ
ャリッジ(図示せず)に当接させることにより、光源2
及び光源9で発生する熱を外部に逃がしている。従って
キャリッジに接触している基板部20aの面積が大きけ
れば大きいほど放熱性が良好になる。
【0023】さらに基板部20aには光源2及び光源9
に電力を供給したり、受光手段21からの電気信号を演
算回路(図示せず)に伝達する端子20cが設けてあ
る。この端子20cはピンタイプのものであっても良い
し、プリントタイプのものであっても良い。ここで特に
ピンタイプで端子20cを形成した場合について説明す
る。端子20cは、金属材料から構成されている基板部
20aに電気的に接触しないようにしながら、基板部2
0aに設けられている複数の孔(図示せず)に挿入され
ている。この端子20cの材質としてはFeNiCo合
金,FeNi合金,FeCr合金等を用いることが好ま
しい。基板部20aと端子20cの間の電気的な接触を
断つ手段としては、孔において端子20cと基板部20
aと接する部分については絶縁性の皮膜等が設けること
が好ましく、更にこの部分から外気が混入してこないよ
うに密閉しておくことが好ましい。このような要求を満
たすものとしてハーメチックシール等の絶縁及び密閉の
双方を同時に行えるものを用いることが好ましい。ここ
では特に整合封止型若しくは圧縮封止型のハーメチック
シールを用いることが好ましい。なぜならばこれらの部
材は極めて容易に絶縁と密閉の双方を行うことができ、
さらに極めて安価であるので、端子20cの基板部20
aへの取付工程を簡略化でき、さらには光ピックアップ
の製造コストを削減できるからである。また同時に広い
温度範囲にわたって高い気密性及び絶縁性を保つことが
できるので、光ピックアップの信頼性を高くすることが
でき、かつ端子形状も比較的自由に変形することができ
るので、設計の自由度も大きくすることができる。
【0024】光源2としては単色で、干渉性、指向性お
よび集光性が良好なものを用いることが、適当な形状の
ビームスポットを比較的容易に形成でき、ノイズ等の発
生を抑制できるので好ましい。このような条件を満たす
ものとして、固体、ガス及び半導体等の各種レーザ光を
用いることが好ましい。特に半導体レーザはその大きさ
が非常に小さく、光ピックアップの小型化を容易に実現
することができるので、光源2としては最適である。
【0025】そしてこのときの光源2の発振波長は80
0nm以下であることが、光源から出射された光が記録
媒体上に収束する際のビームスポットを容易に記録媒体
に形成されているトラックのピッチ程度の大きさにする
ことができるので好ましい。更に光源2の発振波長が6
50nm以下であれば、非常に高密度で情報が記録され
ている記録媒体をも再生することができる程度に小さな
ビームスポットを形成できるので、大容量の記憶手段を
容易に実現することができ、特に高密度光ディスクの対
する記録再生に供される光源2としては好ましい。
【0026】光源2を半導体レーザで構成した場合、8
00nm程度以下の発振波長を実現できる材料として
は、AlGaInP,AlGaAs,ZnSe,GaN
等があり、これらの中でも特にAlGaAsは、化合物
材料の中でも結晶成長が容易であり、従って半導体レー
ザの製造が容易であるので、歩留まりが高く、高い生産
性を実現することができるので好ましい材料である。ま
た650nm以下の発振波長を実現できる材料として
は、AlGaInP,ZnSe,GaN等がある。これ
らの材料を用いた半導体レーザを光源2として用いるこ
とにより、記録媒体上に形成されるビームスポット径を
より小さくすることができるので、さらなる記録密度の
向上が可能になり、従って高密度光ディスクの再生が可
能になる。
【0027】これらの中でも特にAlGaAsPは長期
間にわたり安定した性能を有しているので、光源2の信
頼性を向上させることができるので好ましい材料であ
る。
【0028】また光源2の出力は、再生専用である場合
には3〜10(mW)程度であることが、再生に必要な
光量を十分に確保しつつエネルギーの消費を最小限に抑
制でき、更には光源2から放出される熱量も抑制できる
ので好ましい。記録再生兼用である場合には、記録の際
に記録層の状態を変化させるために大きなエネルギーを
必要とするので、少なくとも20(mW)以上の出力が
必要となることが多い。但し出力が60mWを超えると
光源2から放出される熱を外部に逃がすことが難しくな
り、光源2及びその周辺部が高温になってしまい、光源
2の寿命が著しく低下し、最悪の場合には光源が破壊さ
れる危険性がある。このため電気回路が誤動作を起こし
たり、光源2自体が波長変動を起こして発振波長がシフ
トしたり、信号にノイズが混入したりして、光ピックア
ップの信頼性が大きく低下してしまうので好ましくな
い。
【0029】光源9の発振波長は800nm以下である
ことが、光源から出射された光が記録媒体上に収束する
際のビームスポットを容易に記録媒体に形成されている
トラックのピッチ程度の大きさにすることができるので
好ましい。特に光源9としては光源2よりも発振波長が
長いものを用いることができ、例えばCDを再生する場
合には780nm程度で十分な大きさのビームスポット
を低密度光ディスク上に形成することができる。
【0030】なお光源2と光源9の組合せはいろいろな
場合が考えられる。例えば650nmと780nmでも
よいし、490nmと650nmでも良いし、400n
mと650nmでも良い、即ち一方の光源の波長が長
く、一方の光源の波長がそれよりも短ければ良いのであ
る。また設ける光源の数は2つでも良いし、3つでも良
い。
【0031】パッケージ20の開口部20dには光学部
材22が接合ガラスや接合樹脂等の接合剤により接合さ
れている。
【0032】このようにパッケージ20と光学部材22
とにより囲まれた空間の内部、即ち光源2,9及び受光
手段21等が配置されている空間は密閉されることが好
ましい。このような構成にすることにより、ゴミや水分
等の不純物のパッケージ内部への進入を防止することが
できるので、光源2,9や受光手段21の性能を維持す
ることができるとともに出射される光の光学特性の劣化
も防止することができる。さらにパッケージ20と光学
部材22とで密閉された空間にはN2ガス、乾燥空気若
しくはArガス等の不活性ガスを封入しておくことが、
パッケージ20の内部に接している光学部材22等の表
面に結露が生じて光学特性が悪化してしまったり、光源
2,9や受光手段21の酸化などによる特性の劣化を防
止することができるのでさらに好ましい。
【0033】光学部材22は光源2および光源9から出
射された光を所定の光路に導くとともに高密度光ディス
ク18もしくは低密度光ディスク19で反射されて戻っ
てきた光を受光手段21に導く働きを有している。光学
部材22は、第1の斜面22a,第2の斜面22bおよ
び第3の斜面22cを有する第1基板22dと、第1基
板22dの光源側の端面に接合された第2基板22eか
ら構成されている。
【0034】光学部材22は全体として平行平面板状に
形成されていることが収差の発生等を防止でき、従って
良好な再生信号形成若しくはフォーカス・トラッキング
信号形成を行うことができるので好ましい。また光学部
材22はその上面及び下面が透過する光の光軸に対して
正確にほぼ垂直となるように取り付けられていること
が、非点収差の発生を防止でき、スポットのぼけによる
再生信号の劣化を防止することができる。
【0035】また光学部材22を形成する材料として
は、ガラスや樹脂などの高い光透過性を有する材料を用
いることが、光量の減少を防止できるとともに光学部材
22を透過した光の光学特性を劣化させないので好まし
い。特にガラスは複屈折が起こらず、従って透過した光
の特性を良好に保持できるので、光学部材22を構成す
る材料として好ましい。更にガラスの中でもBK−7等
の波長分散の小さな、すなわちアッベ数の大きな光学ガ
ラスを用いることが、特に波長変動による球面収差の発
生を抑制できるので好ましい。
【0036】以下光学部材22中に存在する各種光学素
子について説明する。23は拡散角変換手段で、拡散角
変換手段23は第2基板22eの光源側の端面に光源2
から出射される光の光軸に合わせて設けられており、光
源2から入射してきた光の拡散角を小さくする働き、す
なわち光源2の発光点2aから出射された光を見た目上
より遠くから出射されたように光路を変換するもので、
実質的に記録媒体と反対方向にある発光点2bにをずら
し、光源から記録媒体までの光路長を長くする働きを有
している。拡散角変換手段23としては回折格子特にホ
ログラムで形成されていることが、光を高効率で透過さ
せることができるので好ましい。特にホログラムとして
は、4段以上の階段状断面や鋸歯状断面を有するものを
用いることが、特に高効率に光を利用でき、光量の減少
を防止できるので好ましい。
【0037】24は波長選択性のあるフィルタで、フィ
ルタ24は光源2から導かれてきた光をほぼ透過し、光
源9から導かれてきた光をほぼ反射する働きを有してい
る。
【0038】このフィルタ24を第1の斜面22aに形
成したことにより、光源2から出射された光をほとんど
妨げること無しに光源9から導かれてきた光を反射する
ことができるので、光源2および光源9から出射された
光を高い割合で記録媒体まで導くことができる。従って
光源2および光源9から出射される光の量を増加させな
くとも記録媒体への記録もしくは再生が可能になるの
で、光源2および光源9を高出力状態で動作させること
による光源2および光源9の短寿命化を防止できる。更
には光源2および光源9を低出力状態で用いることがで
きるので、光源2および光源9の温度上昇がほとんど起
こらず、従って温度変化に伴う光源2および光源9の発
振波長のシフトがほとんど起こらない。従ってより正確
に焦点形成が行える高性能な光ピックアップを提供する
ことができる。
【0039】25は偏光分離膜で、偏光分離膜25は特
定の偏光方向を有する光を透過し、それ以外の偏光方向
を有する光を反射する働きを有している。ここでは、偏
光分離膜25は、光源2および光源9から出射されるS
偏光成分を透過し、P偏光成分を反射するように形成さ
れている。この偏光分離膜25により、通過する光の量
をほとんど減少させることなく記録媒体へ導くことがで
きるので、光の利用効率を向上させることができ、引い
ては光源2および光源9の長寿命化を実現できるので好
ましい。
【0040】26は1/4波長板で、1/4波長板26
は、直線偏光で入射してきた光を楕円偏光に変換する働
きを有しており、記録媒体で反射されて回転方向が反対
になった楕円偏光は前述した入射の偏光方向と直交する
直線偏光に変換する働きを有している。
【0041】27は拡散角変換手段で、拡散角変換手段
27は第2基板22eの光源側の端面に光源9から出射
される光の光軸に合わせて設けられており、光源9から
入射してきた光の拡散角を負にする働き、すなわち光源
9の発光点9aから出射された光を見た目上より近くか
ら出射されたように光路を変換するもので、実質的に記
録媒体に近づく方向に発光点をずらす。これにより光源
9の発光点は発光点9aから発光点9bに見かけ上移動
し、従って光源9から記録媒体までの光路長を短くする
働きを有している。拡散角変換手段27としては回折格
子特にホログラムで形成されていることが、光を高効率
で透過させることができるので好ましい。特にホログラ
ムとしては、4段以上の階段状断面や鋸歯状断面を有す
るものを用いることが、特に高効率に光を利用でき、光
量の減少を防止できるので好ましい。
【0042】28は複数ビーム形成手段で、複数ビーム
形成手段28は入射してきた光を複数の光束に分離して
反射する働きを有しており、ここでは拡散角変換手段2
7を通過してきた光を3つの光束に分離してフィルタ2
4に向けて反射している。複数ビーム形成手段28は、
回折格子で形成することが、効率よく複数の光束を形成
することができるので好ましい。ここでは回折格子で発
生する0次光および±1次光の3つの光束を主に形成す
るような構成を有している。ここで形成された複数の光
束は低密度光ディスク19のトラックの所定の位置に照
射され、戻ってきた光の光量を比較することにより、低
密度光ディスク19のトラッキングを行う通称3ビーム
法と呼ばれるトラッキング方法に供される。
【0043】29及び30は反射手段で、反射手段29
は偏光分離膜25で反射されてきた光を、反射手段30
は反射手段29で反射されてきた光を所定の方向に反射
する働きを有しており、Ag,Au,Cu等の高反射を
有する金属材料若しくは屈折率の異なる複数の誘電体材
料で形成されていることが好ましい。
【0044】31は拡散角変換手段で、拡散角変換手段
31は第1基板の22dの第3の斜面22cに形成され
ており、反射手段30から反射されてきた光束のうち、
拡散方向にある光、すなわち低密度光ディスク19で反
射された光の拡散角を収束方向に変化させると共に、収
束方向にある光、すなわち高密度光ディスク18で反射
されてきた光束はそのまま反射する働きを有している。
【0045】拡散角変換手段31としては回折格子特に
反射型ホログラムで形成されていることが、光を高効率
で透過させることができるので好ましい。特に反射型ホ
ログラムとしては、4段以上の階段状断面や鋸歯状断面
を有するものを用いることが、特に高効率に光を利用で
き、光量の減少を防止できるので好ましい。
【0046】本実施の形態においては、反射型ホログラ
ム31は、光源2から出射された光が形成する光束の大
部分を0次光として反射すると共に、光源9から出射さ
れた光が形成する光束の大部分を+1次光に回折するよ
うに形成されている。これにより光源9から出射された
光の発光点位置が前方(記録媒体より)に移動したこと
により、受光手段21上で光源9からの光束が発散して
しまい、RF信号の検出やフォーカシング及びトラッキ
ング信号の形成が困難になることを防止できるので、正
確な信号形成を確実に行える高性能な光ピックアップを
実現することができる。
【0047】32は信号形成手段で、信号形成手段32
は第2基板22eの光源側の端面に設けられており、拡
散角変換手段31から導かれてきた光を受光手段21の
所定の位置に導くと共に入射してきた光束に所定の特性
を付与し、フォーカシング及びトラッキング用の信号を
形成することができる様な構成を有している。
【0048】33は受光手段で、受光手段33は、第1
基板22dの側面部にフィルタ24や複数ビーム形成手
段28とほぼ同一の高さで設けられており、光源2から
出射された光のうちフィルタ24を透過せずに反射して
きた光及び光源9から出射された光のうちフィルタ24
で反射されずに透過した光を受光し、その信号を光源2
及び光源9の電源制御回路にフィードバックすることに
より、光源2及び光源9の出力を制御している。
【0049】このように光源2から出射され、記録媒体
に導かれる前方出射光の一部と、光源9から出射され、
記録媒体に導かれる前方出射光の一部とをともに受光手
段33に導くような構成としたことにより、高密度光デ
ィスク18を動作させている場合にも、低密度光ディス
ク19を動作させている場合にも同一の受光手段33を
用いてモニタリングすることになる。即ちモニタリング
用の受光手段が1つで済むようになり、部品点数を削減
することができる。
【0050】また受光手段33を複数の光源2,9及び
受光手段21が集積された光学ヘッドに一体に設けたこ
とにより、受光手段33を設けるスペースを光ピックア
ップから削減することができるので、光ピックアップの
小型化が可能になる。更に受光手段33の光源2,9に
対する位置合わせを容易に、かつ、高精度に行うことが
できるので、光ピックアップの生産性を向上させること
ができるとともにより正確な光源からの出力光量の制御
を行うことができる。
【0051】更にそれぞれの部材間の位置あわせが終了
した光学ヘッドをキャリッジに、あおり及び回転方向の
調整をして取り付けるだけで、光ピックアップ組立時の
位置調工程を大幅に簡略化することができるので、光ピ
ックアップの生産性を大幅に向上させることができる。
【0052】次に光学部材22を第1基板22d及び第
2基板22eに分けて形成した理由について説明する。
第1基板22dは複数の斜面を有しており、それらの斜
面に平行な位置に各種光学素子が配置されている。従っ
て第1基板に設けられている各種光学素子は入射してく
る光の光軸に対して傾斜して配置されていることにな
る。従って角度依存性の高い例えばホログラムの様な光
学素子を第1基板22d中に形成すると、相当高い精度
で位置合わせを行わない限り、角度による公差が大きく
なり、記録媒体に向かう光の特性が劣化してしまう可能
性が非常に大きい。このことは信号特性の劣化につなが
り、結果として光ピックアップ装置の性能を低下させる
要因となるので好ましくない。そこで本実施の形態にお
いては、特に角度依存性が高いと思われる拡散角変換手
段23,27を第1基板22dとは別体に設けられてい
る第2基板22eに形成して、光源2及び光源9から出
射される光の光軸に対して拡散角変換手段23,27が
略垂直になるように配置している。
【0053】このような配置としたことにより、記録媒
体へ導かれる光の特性が劣化してしまうことをほとんど
防止することができ、信号特性の劣化が少ない、高性能
な光ピックアップ装置を提供することができるので好ま
しい。
【0054】また第2基板22eに設けられている各種
光学素子は、第2基板22eの片面にのみ形成されてい
ることが好ましい。
【0055】なぜならばこれらの光学素子は所定の形状
のマスクを介してエッチング等の物理的若しくは化学的
方法により形成されるものであり、片面のみに形成した
方がマスクの枚数を減らすことができ、さらにエッチン
グの回数も減らせるので、工程数の削減も可能である。
加えて基板22eの原盤をひっくり返す必要もないの
で、複数回の位置合わせを省略することができる。従っ
て生産性を大幅に向上させることができると共に、製造
コストも低減することができるからである。
【0056】本実施の形態においては拡散角変換手段2
3,27及び信号形成手段32が第2基板22eの光源
側の端面に形成されている。
【0057】本実施の形態では、光源2および光源9を
第2基板22eに対向するように設けられている。即ち
光源2および光源9から出射された光は、第2基板22
eの面22fに入射し、光学部材22に形成されている
各種光学素子により所定の性質を有する光束に変換され
て記録媒体に導かれる構成を有している。
【0058】このような構成としたことにより、光源2
および光源9は、第2基板22eの光源側の面22fを
基準面として、位置あわせを行うことができる。即ち複
数形成されている光源を1つの面を基準として位置あわ
せを行うことができるので、光学部材22に形成されて
いる各種光学素子に対して光源2,9をより高精度で位
置あわせを行うことが可能になり、光学部材22に設け
られている各種光学素子に対する光源2,9の位置ずれ
が原因で発生する光学特性の劣化を防止することができ
る。また光源2と光源9との相互の位置調整も基準とな
る面が1つであるのでより容易に行うことができる。
【0059】従って光源間の位置ずれおよび光源と光学
素子との間の位置ずれがほとんど存在せず、光学特性の
良好な信頼性の高い光ピックアップを実現することがで
きる。
【0060】また本実施の形態では、第2基板22eの
光源に対向する面22fから光源2および光源9までの
距離を等しくしている。このような関係に光源2および
光源9を配置することによって、光源2および光源9を
例えば同一の平行平面部材に当て決めして固定すること
ができるので、光源2および光源9の高さ精度を容易に
確保することができる。そしてこれにより、高さ精度が
でていないことが原因で発生する光学特性の劣化を抑制
することができるので、良好な記録若しくは再生特性を
有した光ピックアップを実現することができる。
【0061】更に本実施の形態においては、光源載置部
34はその形状が直方体状若しくは板形状で、その上面
若しくは側面には光源2,9が取り付けられている。こ
の光源載置部34は、基板部20a若しくは側壁部20
bに別部材若しくは基板部20a,側壁部20bの一部
として設けられており、光源2,9を載置するととも
に、各光源で発生した熱を逃がす働きを有している。
【0062】光源載置部34を構成する材料は、線膨張
係数が各光源のそれ(約6.5×10-6/℃)に近い材
質が好ましい。具体的には線膨張係数が3〜10×10
-6/℃で、熱伝導率が100W/mK以上である物質、
例えばAlN,SiC,T−cBN,Cu/W,Cu/
Mo,Si等を、特に高出力の光源を用いる場合で熱伝
導率を非常に大きくしなければならないときにはダイア
モンド等を用いることが好ましい。
【0063】光源2及び光源9と光源載置部34の線膨
張係数が同じか近い数値となるようにした場合、光源
2,9と光源載置部34の間の歪みの発生を抑制するこ
とができるので、光源2,9と光源載置部34との取付
部分が外れたり、光源2,9にクラックが入る等の不都
合を防止することができる。
【0064】また光源載置部34の熱伝導率をできるだ
け大きく取ることにより、光源2,9で発生する熱を効
率よく外部に逃がすことができるので、光源2,9の温
度が上昇し、光源2,9から出射される光の波長がシフ
トしてしまい、記録媒体での光の収束位置が微妙に異な
ってしまい、再生信号に多くのノイズ成分が混入してし
まったり、光源2,9の出力が低下してしまい、記録媒
体に対する記録再生動作が正常に行えなくなったり、更
には光源2,9の寿命が短くなったり、最悪の場合には
光源2,9が破壊されてしまう等の不都合の発生を防止
することができる。
【0065】本実施の形態においては、この様な光源載
置部34の側面部34aに光源2と光源9とを光源載置
部34の底面から略同一の高さに配置している。
【0066】このように複数の光源を同一の光源載置部
に設ける構成をしたことにより、予め光源載置部34に
対して決められた位置関係に光源2および光源9を固定
しておくことができるので、光学ヘッドの組立を行う際
に、光学部材22と光源2および光源9との間の位置決
めを簡単にしかも精度良く行うことができるようにな
り、光学ヘッドの生産性を向上させることができる。ま
た光源2および光源9と光学部材22との間の位置ずれ
も発生しにくくなるので、優れた光学特性を有する光ピ
ックアップとすることができる。
【0067】更に光源載置部34の同一面34aに光源
2および光源9を設けることにより、光源2および光源
9の光源載置部34への取付をより容易に行え、更に異
なる面に設けた場合に比べて、光源2および光源9に電
力を供給する電極やアースとの接続に用いられるワイヤ
の光源2および光源9との接続を容易に行えるようにな
る。また光源2および光源9との相対的な位置決めもよ
り簡単かつ正確に行えるようになる。
【0068】また光源を載置する光源載置部の面は非常
に高い精度で面出しを行う必要があるが、複数の光源を
同一面に設けることにより、面出しを行う面が1面で良
くなるので、製造工程の削減でき、これにより生産性を
向上させることができるとともに生産コストも低減でき
る。
【0069】以上示してきたように、同一パッケージ内
に収納された複数の光源からの光を複数の光学素子が形
成された光学部材に入射させて略同一光路に導くような
構成としたことにより、従来それぞれの光源に対して複
数設けられていた光学素子等を1つに集約できるので、
それぞれの光源が分散配置された光ピックアップに比べ
て、光ピックアップ全体の大きさを大幅に小型化するこ
とができるとともにそれぞれの光源に対する各光学部材
間の位置あわせ等も不要になるので生産性が大幅に向上
し、さらには各光学素子の取り付け誤差も最小限度に抑
制することができるので良好な光学特性を実現でき、加
えて各光学素子の取り付け誤差に起因する光の損失を最
小限に抑止できるので光の利用効率の良好な光ピックア
ップを実現することができる。さらに複数の光源それぞ
れに対応した複数の光学系を異なる光学部材を用いて形
成する必要がなくなり、部品点数の削減による生産性の
向上及びそれぞれの構成部材の位置あわせの簡略化を行
うことができる。
【0070】またパッケージ20に接合された光学部材
22中で2つの光源からの光を同一光路に導く構成とし
たことにより、光学ヘッドの外側で1つにする場合に比
べて、光路を1つにするための部材を設ける必要が無く
なるので、部品点数を削減できるとともに、光源とこの
部材との位置合わせに必要であった工程も削減すること
ができるので、生産性の良好な光ピックアップとするこ
とができる。さらに光学部材20から出射される光の光
軸が一つなので、出射光軸が複数存在する場合に比べ
て、光学部材20の光出射面での光量の減少や収差の発
生を防ぐために光出射面に施される表面研削を行う部分
を減らすことができ、研削工程の簡略化と、それに伴う
製造時間の短縮を行うことができる。
【0071】さらに光源2から出射された光と光源9か
ら出射された光の少なくとも一方を光学部材22で複数
回反射して所定の光路に導くことにより、光学部材22
の大きさを小さくすることができるとともに反射なしで
導く場合に比べて光学部材22を出てからの光路長を短
くできるので、光ピックアップの小型化・薄型化を図る
ことができる。また本実施の形態に示すように、光源2
からの光と光源9からの光がほぼ平行に出射されるよう
な構成では、光学部材20中での反射部材の配置位置と
反射回数を最適化することにより、光源2から光学部材
20の出射面までの距離と光源9から出射面までの距離
とを最も理想的な関係にすることができるので、光源2
と光源9との基板部20aからのそれぞれの高さを大き
く異ならせることなく、このような光ピックアップにお
ける光学特性を良好なものにすることができる。従っ
て、パッケージ20の大きさを小さくすることができ、
光ピックアップの小型化に貢献することができる。
【0072】また光学部材22から出射される光の径
を、光源2からの光束と光源9からの光束とで異ならせ
ることにより、集光レンズ17へ入射する光の径を異な
らせることができるので、光源2からの光の収束位置と
光源9からの光の収束位置とを異ならせることができ
る。すなわち集光レンズに入射する光の径を光源ごとに
異ならせたことによって、1つの集光レンズを用いて、
記録面位置の異なる記録媒体に光を集光し、情報の記録
もしくは再生を行うことが可能になる。なおこのことは
集光レンズに入射する光の拡散角も異ならせることによ
っても同様の効果を得ることができ、入射口径と拡散角
を組み合わせて異ならせることで、さらに顕著な収束位
置の相違を得ることができる。
【0073】以上のような構成を有する光ピックアップ
の動作について説明する。記録媒体が高密度光ディスク
18である場合には、光源2を発光させて記録若しくは
再生を行う。この場合、光源2から出射された光は、拡
散角変換手段23でその拡散角を小さくされる、即ち光
の広がりが小さくなる。
【0074】この拡散角変換手段23により、光源2か
ら出射された光のより多くを高密度光ディスク18に向
けて輸送することができるので、特に記録の際に多く必
要とされる高密度光ディスク18上での盤面光量を十分
に得ることができるようになる。従って記録再生共に良
好に行うことができる光ピックアップを提供することが
できるようになる。
【0075】また、光学部材22の所定の光路以外の部
分に混入してしまう光を減少させることができるので、
光学部材22中の迷光成分が減少し、従って迷光が受光
手段21等に入射して信号成分が劣化してしまうことを
防止することもできる。
【0076】拡散角変換手段23で光の広がりを小さく
された光は、フィルタ24をほとんど透過して、その後
に設けられいる偏光分離膜25もほとんど透過して1/
4波長板26に入射する。
【0077】1/4波長板26を通過する際に、それま
で直線偏光だった光は円偏光に変換されて、コリメータ
レンズ16がある場合にはコリメータレンズ16を通過
して平行光に変換されてから、無い場合には直接集光レ
ンズ17に入射し、高密度光ディスク18へ収束され
る。
【0078】そして高密度光ディスク18で反射されて
戻ってきた光は再び1/4波長板26に入射し、それを
通過する際に円偏光から光源2を出射された時の偏光方
向と直交する直線偏光に変換されて偏光分離膜25に入
射する。ここで行きとは違い、今度は偏光方向が異なっ
ているので、偏光分離膜25で反射され、反射手段2
9,30を介して拡散角変換手段31に入射する。この
拡散角変換手段31で入射してきた光はほとんど回折さ
れることなく反射され、信号形成手段32で受光手段2
1上の所定の位置に所定の形状の光束を形成され、この
受光手段21上に入射する光に基づいてRF信号及びフ
ォーカス・トラッキングの両信号が形成され、情報の再
生を行うと共に光ピックアップの最適な制御を行ってい
る。
【0079】記録媒体が低密度光ディスク19である場
合には、光源9を発光させて記録若しくは再生を行う。
この場合、光源9から出射された光は、拡散角変換手段
27で光の広がりが拡散方向から収束方向に、即ち拡散
光から収束光に変換される。
【0080】拡散角変換手段27で収束光に変換された
光は、複数ビーム形成手段28で複数のビームに分離さ
れて反射され、フィルタ24に入射する。そしてフィル
タ24でほとんど反射され、その後に設けられいる偏光
分離膜25をほとんど透過して1/4波長板26に入射
する。
【0081】1/4波長板26を通過する際に、それま
で直線偏光だった光は円偏光に変換されて、コリメータ
レンズがある場合にはコリメータレンズ16を通過して
拡散角を小さくされてから、無い場合には直接集光レン
ズ17に入射し、低密度光ディスク19へ収束される。
このとき集光レンズ17に入射する光の径は、光源2か
らの光のそれに比べて小さくなっている。
【0082】そして低密度光ディスク19で反射されて
戻ってきた光は再び1/4波長板26に入射し、それを
通過する際に円偏光から光源9を出射された時の偏光方
向と直交する直線偏光に変換されて偏光分離膜25に入
射する。ここで行きとは違い、今度は偏光方向が異なっ
ているので、偏光分離膜25で反射され、反射手段2
9,30を介して拡散角変換手段31に入射する。この
拡散角変換手段31で入射してきた光はほとんど+一次
光に回折されて反射され、入射前に拡散光であった光は
収束光に変換された状態で信号形成手段32に入射す
る。
【0083】信号形成手段32により、受光手段21上
の所定の位置に所定の形状の光束を形成され、この受光
手段21上に入射する光に基づいてRF信号及びフォー
カス・トラッキングの両信号が形成され、情報の再生を
行うと共に光ピックアップの最適な制御を行っている。
【0084】このように複数の光源を同一のパッケージ
内の異なる位置に配置した場合、それぞれの光源から出
射された光に発生する波面収差が大きく異なる場合が多
く、このためそれぞれ光源2,9の発光点2a,9aと
コリメータレンズの間の距離を最適化しているので以下
この点について説明する。
【0085】図2は本発明の実施の形態1における無限
光学系での発光点とコリメータレンズとの関係を示す図
である。図2において、L5はコリメータレンズ16か
ら仮想発光点2b間での有効焦点距離を示しており、L
6はコリメータレンズ16から仮想発光点9bまでの有
効焦点距離を示している。更に図3は本発明の実施の形
態1における対物レンズのシフトの有無による仮想発光
点からの光に発生する波面収差量とL5,L6との関係
を示している。すなわちL5とL6の比を変化させたと
きに集光レンズ入射時に発生している波面収差量を集光
レンズ17がトラッキング方向に500μmシフトして
いる場合(実線)とトラッキング方向のシフトが無い場
合とで比較しているものである。一般に光ディスクを再
生中の集光レンズはトラッキング方向に最大500μm
程度シフトする可能性があり、また集光レンズに入射す
る光を有効に光ディスク上に収束させるために許容され
る波面収差量はRMS値で0.07λ(たたしλは光の
波長を示す)以下程度とされていることを考慮すると、
比較的収差の発生量が多く、集光レンズ17への光の入
射条件がきつくなる発光点9aからの光に対して集光レ
ンズ17のシフト量が最大(500μm)のときの波面
収差量が0.07λ以下であれば、どちらの発光点から
の光も集光レンズ17に入射した光は集光レンズ17の
シフト量に拘わらず光ディスク上に収束されることにな
ると考えられる。この条件を満たす範囲としては、図3
から明らかなように、L5とL6との比(L6÷L5=
H、以下Hで表記する)が0.50<H<0.75であ
ることが好ましいことがわかる。
【0086】更に同じ条件において波面収差量がRMS
値で0.04λ以下であれば、どちらの発光点からの光
も集光レンズ17に入射した光は集光レンズ17のシフ
ト量に拘わらず光ディスク上に非常に正確に収束される
ことになると考えられる。この条件を満たす範囲として
は、図3から明らかなように、L5とL6との比(H)
が0.53<H<0.70であることが、さらに信号特
性を向上させることができるので、好ましいことがわか
る。
【0087】Hの値が上記した範囲に存在するように光
学系の配置を行うことにより、同一光学系中に複数の光
束を有する光ピックアップにおいて、すべての光束にお
ける波面収差を理論限界値以下とすることができるの
で、一つの集光レンズ17を用いることにより、いずれ
の光束も光ディスク上に集光させることができる。
【0088】従って集光レンズ17の数が一つで良いの
で、集光レンズを削減することができるとともに集光レ
ンズの切替手段も設けなくて良くなり、光ピックアップ
の小型化や部品点数の削減による生産性の向上、複雑な
機構を廃することによる光ピックアップの信頼性の向
上、動作スピードの向上等を実現することができる。
【0089】なお本実施の形態はコリメータレンズ16
を用いた無限系の光学系を用いていたが、有限系の光学
系を用いることも考えられる。この場合、無限系に比べ
てコリメータレンズを配置するスペースが不要になるの
で、光ピックアップ全体の大きさを小さくすることがで
きる。
【0090】(実施の形態2)以下本発明の実施の形態
2について図面を参照しながら説明する。図4は本発明
の実施の形態2における集積化された光学ヘッドの断面
図であり、図5は本発明の実施の形態2における光学系
の断面図である。ここで図5においる正断面図は光路を
直線状に描いている。また図4及び図5においては、実
施の形態1と同様の構成を有する部材については同一の
番号を付加している。
【0091】図4及び図5において、40はパッケージ
で、パッケージ40は、高密度光ディスク18用の光を
出射する光源2,低密度光ディスク19用の光を出射す
る光源9,高密度光ディスク18で反射された光を受光
する受光手段58及び低密度光ディスク19で反射され
た光を受光する受光手段59等が載置される基板部40
a及びそれらの部材を包含するように設けられている側
壁部40b等により形成されている。パッケージ40を
構成する基板部40a,側壁部40b,端子40cおよ
び開口部40dについては大きさを除いてほぼパッケー
ジ20の基板部20a,側壁部20b,端子20cおよ
び開口部20dと同様の構成を有している。
【0092】次に光源2及び光源9を載置する光源載置
部42について説明する。光源載置部42はその形状が
直方体状若しくは板形状で、その上面若しくは側面には
光源2,9が取り付けられている。この光源載置部42
は、基板部40a若しくは側壁部40bに別部材若しく
は基板部40a,側壁部40bの一部として設けられて
おり、光源2,9を載置するとともに、光源2,9で発
生した熱を逃がす働きを有している。
【0093】更に光源載置部42を構成する材料は、線
膨張係数が光源2,9のそれ(約6.5×10-6/℃)
に近い材質が好ましい。具体的には線膨張係数が3〜1
0×10-6/℃で、熱伝導率が100W/mK以上であ
る物質、例えばAlN,SiC,T−cBN,Cu/
W,Cu/Mo,Si等を、特に高出力の光源を用いる
場合で熱伝導率を非常に大きくしなければならないとき
にはダイアモンド等を用いることが好ましい。
【0094】光源2及び光源9と光源載置部42の線膨
張係数が同じか近い数値となるようにした場合、光源
2,9と光源載置部42の間の歪みの発生を抑制するこ
とができるので、光源2,9と光源載置部42との取付
部分が外れたり、光源2,9にクラックが入る等の不都
合を防止することができる。
【0095】また光源載置部42の熱伝導率をできるだ
け大きく取ることにより、光源2,9で発生する熱を効
率よく外部に逃がすことができるので、光源2,9の温
度が上昇し、光源2,9から出射される光の波長がシフ
トしてしまい、記録媒体での光の収束位置が微妙に異な
ってしまい、再生信号に多くのノイズ成分が混入してし
まったり、光源2,9の出力が低下してしまい、記録媒
体に対する記録再生動作が正常に行えなくなったり、更
には光源2,9の寿命が短くなったり、最悪の場合には
光源2,9が破壊されてしまう等の不都合の発生を防止
することができる。
【0096】本実施の形態においては、この様な光源載
置部42の側面部42aに光源2と光源9とを光源載置
部42の底面から略同一の高さに配置している。
【0097】次に光源2及び光源9からの後方出射光に
ついて説明する。図6は本発明の実施の形態2における
光源付近の拡大図である。
【0098】本実施の形態では、光源2及び光源9の後
方出射光2h,9hの延在方向に反射部材60及び61
を設けているので、これについて説明する。
【0099】反射部材60及び61は、パッケージ40
の基板部40a上に載置されており、光源2の発光点2
gが存在する端面2iに対向する反射部材60の面60
aが端面2iに対して、光源2側に傾斜して設けられて
いると共に、光源9の発光点9gが存在する端面9iに
対向する反射部材61の面61aが端面9iに対して、
光源9側に傾斜して設けられている。
【0100】ここで反射部材60及び反射部材61を構
成する材料としては、反射率の高い金属材料を用いる
か、反射率の低い安価な材料で反射部材60,61を形
成した後に面60a,61aの全面若しくは一部分に反
射率の高い金属若しくは誘電体等の膜を形成しておくこ
とが好ましい。
【0101】ここで反射部材60と反射部材61とを別
々に設けた理由について説明する。本実施の形態で用い
られている光源2と光源9はそれぞれ異なる記録媒体に
対応するためにその発振波長が異なっている。本実施の
形態では光源2として630から660nmのあいだの
ものを用い、光源9として770から800nmのあい
だのものを用いている。
【0102】一般に光を反射するのに用いられる金属や
誘電体の材料では、入射してくる光に対する反射される
光の割合(反射率)が、入射してくる光の波長に応じて
変化する、即ち反射率の波長依存性が存在することが多
い。従って光源2と光源9からの光を共に同一構成の反
射部材で反射する場合、光源2からの光と光源9からの
光とで反射される割合が異なってしまい、これに伴う散
乱の増加等の不都合が発生してしまう可能性がある。
【0103】そこで本実施の形態においては、反射部材
60と反射部材61とを別体で設け、それぞれを構成す
る材料を異ならせる。即ちに光源2から出射される光の
波長に対して大きな反射率を有する材料で反射部材60
を構成し、光源9から出射される光の波長に対して大き
な反射率を有する材料で反射部材61を構成している。
【0104】この様な構成としたことにより、光源2及
び光源9から出射される後方出射光を共に所定の方向に
良好に反射させることができ、面60a及び面61aで
光が散乱されて光学部材や受光手段等に迷光として入射
することを防止することができるので好ましい。
【0105】また、反射部材60,61は同一の材料で
構成して、それぞれの面60aと60bとに材質若しく
は膜厚等の構成の異なる反射膜を形成しても同様の効果
を得ることができる。
【0106】反射部材60の面60aと反射部材61の
面61aの傾斜角は、光源2及び光源9から出射された
光の拡散角に応じて設定されていることが好ましい。即
ち例えば光源2から出射された光の拡散角の大きさが、
光源9から出射された光の拡散角の大きさよりも小さい
ときには、面60aの傾斜角θ1を面61aの傾斜角θ2
よりも小さく形成しておくことにより、拡散角の小さな
光源9からの光はもちろんのこと、より大きく拡散して
いく光源2からの光すら光学部材41等の所定の光路中
に混入しないようにすることができるので、迷光の発生
を大幅に抑制することができ、信号特性の良好な光ピッ
クアップとすることができる。
【0107】また面60aの傾斜角と面61aの傾斜角
とを共にθ2とすることにより、迷光の発生を大幅に抑
制しつつ、反射部材60と反射部材61の製造過程をほ
ぼ同一にすることができるので、製造工程を簡素化によ
る生産性の向上とコストの低減を図ることができる。
【0108】更に傾斜角は光源2,9から反射面61
a,61bまでの距離も考慮して設定することが好まし
い。
【0109】また反射部材60,61の面60a,61
aは高い反射率を有するように形成されていたが、反射
率を高くする代わりに吸光率を高くしても良い。吸光率
を高くする構成としては、面60a,61aに全面若し
くは一部分に吸光膜を設けることが考えられる。吸光膜
としては、Si膜やTi膜若しくはSi膜+Ti膜を所
定の厚さで用いることが多い。また樹脂部材等を用いて
内部で減衰されることも考えられる。
【0110】さらに吸光膜の膜厚は入射してくる光の波
長に応じて変化させることが好ましい。この様にするこ
とで、波長の異なる光源を用いている場合にも、それぞ
れの光源からの光を確実に吸収することができる。
【0111】また吸光膜を用いる構成では、吸収した光
のエネルギーの多くは熱に変換されることになるので、
吸光膜が形成される反射部材の材料は放熱性の良好な、
熱伝導率の高い材料を用いることが好ましい。この様な
材料を用いることにより、反射部材が高温になることに
より、吸光膜の組成が変化して、所定の吸光作用ができ
なくなるといった不都合の発生を抑制することができ
る。
【0112】この様な構成とすることにより、光源2,
9の発光点2g、9gからの光が、面60a,61aで
ほとんど反射されることなく吸収されるので、発光点2
g,9gからの光が光学部材41に入射して迷光となる
ことがほとんどなくなり、信号特性の良好な光ピックア
ップを実現することができる。
【0113】なお光を反射する例では光源2,9の端面
2i,9iに対して傾斜していた反射部材60,61の
面60a,61aは、この場合には傾斜させなくても良
い。
【0114】また、本実施の形態においては、反射部材
60,61はパッケージ40の基板部40aに設けられ
ていたが、これらは光源載置部42に設けても良いし、
受光手段58,59上に設けても良い。
【0115】更に面60a,61aで反射された光をパ
ッケージ40の側壁部40bに設けられた開口部40d
とは別の開口部からパッケージ40の外部に出射する様
な構成とすることが最も好ましい。この様な構成とする
ことにより、光源2,9からの後方出射光をほとんど完
全にパッケージ40の外部に放出することができるの
で、後方出射光が原因の迷光の発生を大幅に減少させる
ことができる。
【0116】41は第1光学部材で、第1光学部材41
は光源2および光源9から出射された光を所定の光路に
導くとともに光ディスクで反射されて戻ってきた光を所
定の光路に導く働きを有している。第1光学部材41
は、第1の斜面41a,第2の斜面41bを有してお
り、特に光が入射する面と出射される面とは略平行とな
る構成を有しているが好ましい。この様に形成すること
により、入射する光に対する非点収差等の発生を抑制す
ることができるので、透過する光の光学特性の劣化を防
止することができる。さらに第1の斜面41a及び第2
の斜面41bには各種の光学素子が形成されている。
【0117】以下第1光学部材41中に存在する各種光
学素子について説明する。まず第1の斜面41aには、
反射膜43及び反射膜44が形成されている。反射膜4
3は、光源2から出射されてきた光を所定の方向に反射
する働きを有しており、反射膜44は光源9から出射さ
れてきた光を所定の方向に反射する働きを有している。
そして反射膜43及び反射膜44を構成する材料として
は、Ag,Au,Cu等の高反射を有する金属材料若し
くは屈折率の異なる複数の誘電体材料を用いて、それぞ
れの材料を交互に複数層設けることにより形成されてい
ることが好ましい。
【0118】なお本実施の形態においては反射膜43及
び反射膜44とは別々に設けられていたが、1つの大き
な反射膜として第1の斜面41aのほぼ全体に形成して
も良い。この場合マスク用を用いて反射膜を形成するプ
ロセスを省略することができるとともに反射膜を形成す
るためのマスクもなくすことができるので、生産性を向
上させることができるとともに製造コストも低減するこ
とができる。
【0119】そして第2の斜面41bには、偏光分離膜
45,46が形成されている。偏光分離膜46には、光
源9から出射され、反射膜44で反射されてきた光が入
射し、偏光分離膜45には光源2から出射され、反射膜
43で反射されてきた光が入射する。これらの偏光分離
膜45,46は、特定の偏光方向を有する光を透過し、
それ以外の偏光方向を有する光を反射する働きを有して
いる。この様な偏光分離膜45,46は屈折率の異なる
複数の誘電体材料を用い、それぞれの材料を交互に複数
層設けることにより形成されていることがより正確なP
S分離が行えるので好ましい。特にここでは、光源2お
よび光源9から出射されるS偏光成分を透過し、P偏光
成分を反射するように形成されている。
【0120】これらの偏光分離膜45,46により、通
過する光の量をほとんど減少させることなく記録媒体へ
導くことができるので、光の利用効率を向上させること
ができ、ひいては光源2および光源9を小さい出力で所
定の盤面光量を得ることができるので、光源2,9の長
寿命化を実現できるので好ましい。
【0121】なお本実施の形態においては偏光分離膜4
5,46をそれぞれ別々に設けられていたが、1つの大
きな反射膜として第2の斜面41bのほぼ全体に形成し
ても良い。この場合マスク用を用いて偏光分離膜を形成
するプロセスを省略することができるとともに偏光分離
膜を形成するためのマスクもなくすことができるので、
生産性を向上させることができるとともに製造コストも
低減することができる。
【0122】また本実施の形態においては、出射光と戻
り光の分離手段として偏光分離膜を用いていたが、これ
らは必要とされる盤面光量に応じて、ハーフミラー等の
分離手段を用いても良い。
【0123】次に第2光学部材47について説明する。
第2光学部材47は第1光学部材41の上面に設けられ
ているもので、第1光学部材41とは、接着ガラス,紫
外線硬化樹脂,エポキシ樹脂等で接合されている。第2
光学部材47は、それぞれの対向する面が略平行な透光
性のある略平行平板で形成されており、その光源9から
の光が透過する1端面には拡散角変換手段48が形成さ
れている。
【0124】拡散角変換手段48は第2光学部材47の
光源9と反対側の側の端面に、光源9から出射される光
の光軸に合わせて設けられており、光源9から入射して
きた光の拡散角を負にする働き、すなわち光源9の発光
点9aから出射された光を見た目上より近くから出射さ
れたように光路を変換する働きを有しているもので、実
質的に記録媒体に近づく方向に発光点をずらしている。
これにより光源9の発光点は真の発光点9aから見かけ
上の発光点9bに移動し、従って光源9から記録媒体ま
での光路長を見かけ上短くする働きを有している。拡散
角変換手段48としては回折格子特にホログラムで形成
されていることが、光を高効率で透過させることができ
るので好ましい。特にホログラムとしては、4段以上の
階段状断面や鋸歯状断面を有するものを用いることが、
特に高効率に光を利用でき、光量の減少を防止できるの
で好ましい。
【0125】次に第3光学部材49について説明する。
第3光学部材49は、第2光学部材47の上面に設けら
れており、第2光学部材47と第3光学部材49とは接
着ガラス,紫外線硬化樹脂,エポキシ樹脂等の接合材に
より接合されている。
【0126】そして第3光学部材49は、光源2および
光源9から出射され、第1光学部材41及び第2光学部
材47を介して導かれてきた光を略同一の光路に導くと
ともに光ディスクで反射されて戻ってきた光を再度別々
の光路に導く働きを有している。
【0127】さらに第3光学部材49は、第1の斜面4
9a,第2の斜面49bを有しており、特に光が入射す
る面と出射される面とは、光の光軸に対して略垂直で、
かつ、それぞれの面が略平行となるように構成されてい
るが好ましい。この様に形成することにより、入射する
光に対する非点収差等の発生を抑制することができるの
で、透過する光の光学特性の劣化を防止することができ
る。
【0128】また第1の斜面49aと第2の斜面49b
は互いに略平行で、かつ、第1光学部材41及び第2光
学部材47を通過する光の光軸が形成する平面に対して
略垂直な方向に傾斜を有するように形成されている。
【0129】さらに第1の斜面49a及び第2の斜面4
9bには各種の光学素子が形成されている。
【0130】第1の斜面49aには、複数ビーム形成手
段50が設けられている。複数ビーム形成手段50は偏
光方向に合わせて光を反射するかもしくは透過する偏光
分離膜50aと入射してきた光を複数の光束に分離して
反射するビーム分離部50bを有しており、光源9から
出射され、拡散角変換手段48を通過してきた光は偏光
分離膜50aをほとんど透過して、ビーム分離部50b
に入射する。そして入射してきた光をビーム分離部50
bで複数の光束に分離・反射している。
【0131】ここでビーム分離部50bは、回折格子で
形成することが、効率よく複数の光束を形成することが
できるので好ましい。ここでは回折格子で発生する0次
光および±1次光の3つの光束を主に形成するような構
成を有している。
【0132】ここで形成された複数の光束は低密度光デ
ィスク19のトラックの所定の位置に照射され、戻って
きた光の光量を比較することにより、低密度光ディスク
19のトラッキングを行う通称3ビーム法と呼ばれるト
ラッキング方法に供される。
【0133】なおトラッキング方法として3ビーム法を
用いない場合には、複数ビーム形成手段は設けなくて良
い。
【0134】そして第2の斜面49bには波長選択性の
あるフィルタ51が形成されている。フィルタ51は光
源2から導かれてきた光をほぼ80%以上透過し、光源
9から導かれてきた光をほぼ80%以上反射する働きを
有している。
【0135】このフィルタ51を第1の斜面49aに形
成したことにより、光源2から出射された光をほとんど
妨げることなく光源9から導かれてきた光を反射するこ
とができるので、光源2および光源9から出射された光
を高い割合で記録媒体まで導くことができる。従って光
源2および光源9から出射される光の量を増加させなく
とも記録媒体への記録もしくは再生が可能になるので、
光源2および光源9を高出力状態で動作させることによ
る光源2および光源9の短寿命化を防止できる。更には
光源2および光源9を低出力状態で用いることができる
ので、光源2および光源9の温度上昇がほとんど起こら
ず、従って温度変化に伴う光源2および光源9の発振波
長のシフトがほとんど起こらない。従ってより正確に焦
点形成が行える高性能な光ピックアップを提供すること
ができる。
【0136】この第3光学部材49により、光源2から
の光と光源9からの光が略同一の光軸に導かれることに
なる。
【0137】また光源9からの光が第3光学部材49に
入射してきて複数ビーム形成手段50で反射された後に
フィルタ51に入射するまでの光路は第1光学部材41
中を進む光を含む平面に対して略垂直方向に進むように
形成されている。
【0138】52は1/4波長板で、1/4波長板52
は、フィルタ51を透過してきた光源2からの光と、フ
ィルタ51で反射されてきた光源9からの光の双方の偏
光方向を直線偏光から楕円偏光に変換する働きを有して
いる。
【0139】なお1/4波長板52としては、本実施の
形態に示すような所定の厚さを有する板状のものを用い
ても良いし、薄膜で形成しても良い。
【0140】次に第4光学部材53について説明する。
第4光学部材53は、第1光学部材41の底面に接着ガ
ラス,光硬化性樹脂,エポキシ系樹脂等により接合され
ており、記録媒体で反射されてきた戻り光を所定の位置
に導く働きを有している。第4光学部材53は、第1の
斜面53aと第2の斜面53bを有しており、それぞれ
の斜面には目的に応じた光学素子が形成されている。
【0141】本実施の形態においては、第1の斜面53
aには光路分割手段54,55が形成されている。この
光路分割手段54は、光源2から出射されて高密度光デ
ィスク18で反射されて戻ってきた光を透過するか、若
しくは、反射する働きを有しており、光路分割手段55
は、光源9から出射されて低密度光ディスク19で反射
されて戻ってきた光を透過するか、若しくは、反射する
働きを有している。ここでは光路分割手段54及び光路
分割手段55の双方とも透過する光量と反射する光量と
が略同量となるようにハーフミラーを用いることが好ま
しい。
【0142】第2の斜面53bには反射膜56,57が
形成されている。反射膜56は、光路分割手段54で反
射されて入射してきた光を反射して所定の位置に導く働
きを有しており、反射膜57は光路分割手段55で反射
されて入射してきた光を反射して所定の位置に導く働き
を有している。反射膜56,57はともにAg,Au,
Cu等の高反射を有する金属材料若しくは屈折率の異な
る複数の誘電体材料で形成されていることが好ましい。
【0143】58,59はともに受光手段で、受光手段
58は、光路分割手段54を透過してきた光及び光路分
割手段54で反射された後反射膜56で反射されてきた
光を受光し、受光手段59は、光路分割手段55を透過
してきた光及び光路分割手段55で反射された後反射膜
57で反射されてきた光を受光するもので、ともにRF
信号、トラッキング信号及びフォーカシング信号を形成
するのに必要な位置に必要な形状で必要な個数の各種受
光部が形成されている。
【0144】さらに光源2,9や受光手段58,59及
び光学部材41,47,49等は実施の形態1と同様に
密閉された空間に存在していることが好ましい。
【0145】以上示してきたように、同一パッケージ内
に収納された光源2,9からの光を複数の光学素子が形
成された光学部材41,47,49に入射させて略同一
光路に導くような構成としたことにより、それぞれの光
源が別々に配置され、それぞれに対応する光学系が分散
配置された光ピックアップに比べて、光ピックアップ全
体の大きさを大幅に小型化することができるとともにそ
れぞれの光源に対する各光学部材間の位置あわせ等も不
要になるので生産性が大幅に向上し、さらには各光学素
子の取り付け誤差も最小限度に抑制することができるの
で良好な光学特性を実現でき、加えて各光学素子の取り
付け誤差に起因する光の損失を最小限に抑止できるので
光の利用効率の良好な光ピックアップを実現することが
できる。さらに複数の光源それぞれに対応した複数の光
学系を異なる光学部材を用いて形成する必要がなくな
り、部品点数の削減による生産性の向上及びそれぞれの
構成部材の位置あわせの簡略化を行うことができる。
【0146】またパッケージ40内に設けられた第3光
学部材49中で2つの光源2,9からの光を同一光路に
導く構成としたことにより、光学ヘッドの外側で1つに
する場合に比べて、光路を1つにするための部材を設け
る必要が無くなるので、部品点数を削減できるととも
に、光源とこの部材との位置合わせに必要であった工程
も削減することができるので、生産性の良好な光ピック
アップとすることができる。さらに光学部材49から出
射される光の光軸が一つなので、出射光軸が複数存在す
る場合に比べて、光学部材49の光出射面での光量の減
少や収差の発生を防ぐために光出射面に施される表面研
削を行う部分を減らすことができ、研削工程の簡略化
と、それに伴う製造時間の短縮を行うことができる。
【0147】さらに光源2から出射された光と光源9か
ら出射された光の少なくとも一方を光学部材41,4
7,49で複数回反射して所定の光路に導くことによ
り、光学部材41,47,49の大きさをそれぞれ小さ
くすることができるとともに反射なしで導く場合に比べ
て光学部材22を出てからの光路長を短くできるので、
光ピックアップの小型化・薄型化を図ることができる。
このとき光源2からの光と光源9からの光のそれぞれの
光学部材中での反射回数を異ならせることにより、それ
ぞれの光に必要十分な光学特性を最適な反射回数で持た
せることができるので、光学部材の小型化に有効であ
る。特に後述するように、光源2からコリメータレンズ
16までの距離と光源9からコリメータレンズ16まで
の距離が異なっている場合には、反射回数を異ならせて
光源の配置位置の調整を行うことが、パッケージ40の
小型化に大きく貢献する。
【0148】また本実施の形態に示すように、光源2か
らの光と光源9からの光がほぼ平行に出射されるような
構成では、光学部材41,47,49中での反射部材の
配置位置と反射回数を最適化することにより、光源2か
ら光学部材41,47,49の出射面までの距離と光源
9から出射面までの距離とを最も理想的な関係にするこ
とができるので、光源2と光源9との基板部40aから
のそれぞれの高さを大きく異ならせることなく、このよ
うな光ピックアップにおける光学特性を良好なものにす
ることができる。従って、パッケージ40の大きさを小
さくすることができ、光ピックアップの小型化に貢献す
ることができる。
【0149】また本実施の形態においては、光源2から
の光と光源9からの光とをそれぞれの光源から最も遠い
光学部材49で略同一光路に導いている。この様な構成
としたことにより、2つの光源2,9からの光がパッケ
ージ40から出射される直前まで別々の光路を通ること
になるので、それぞれの光に作用する光学素子を形成す
る場所を光学部材中に容易に確保することができ、パッ
ケージ40の外側に配置される光学素子の数を最小限に
抑制することができる。従って光学系にかかる部品の位
置あわせの回数を最小限に抑制でき、従って組み立て作
業が簡単なユーザフレンドリーな光ピックアップとする
ことができる。また光学部材中での空間の利用効率を最
大限に向上させることができるので、光ピックアップの
小型化・薄型化に大きく寄与することができる。
【0150】またそれぞれの光学素子をそれぞれの光源
から出射される光の性質に応じて形成することができる
ので、光源2からの光に対しても光源9からの光に対し
ても正確に所定の作用を及ぼすことができる良好な光学
特性を有する光ピックアップとすることができる。
【0151】さらに本実施の形態に示すように光源2,
9から出射された光を同一の光学部材の同一面に入射さ
せて導くような構成としたことにより、光学部材41,
47,49中に光源2からの光用の入射面と光源9から
の光用の入射面とを別々に設けなくて良くなるので、形
成される入射面の数を少なくすることができるので、生
産性を良好にすることができるとともに、単なる反射部
材等の共通化できるものは入射面の全面に形成すること
で光源2からの光にも光源9からの光にも対応すること
ができるので、別々の入射面に別々に形成する場合に比
べて製造工程数を大幅に低減することができ、光ピック
アップの生産性を良好にすることができる。
【0152】またパッケージ40から出射される光の径
を、光源2からの光束と光源9からの光束とで異ならせ
ることにより、集光レンズ17へ入射する光の径を異な
らせることができるので、光源2からの光の収束位置と
光源9からの光の収束位置とを異ならせることができ
る。すなわち集光レンズ17に入射する光の径を光源ご
とに異ならせたことによって、1つの集光レンズ17を
用いて、記録面位置の異なる記録媒体に光を集光し、情
報の記録もしくは再生を行うことが可能になる。なおこ
のことは集光レンズ17に入射する光の拡散角も異なら
せることによっても同様の効果を得ることができ、入射
口径と拡散角を組み合わせて異ならせることで、さらに
顕著な収束位置の相違を得ることができる。
【0153】なお本実施の形態においては光源2及び光
源9から出射された光は同一の光学部材に入射するよう
な構成を有していたが、同一パッケージ中に別々に設け
られている光学部材に入射するような構成としてもよ
い。この様な構成とすることにより、光源2から出射さ
れた光に対する光学部材と光源9から出射された光に対
する光学部材とに分離することができるので、それぞれ
の光に所定の光学特性を与える光学素子のみをそれぞれ
の光学部材に形成すればよいので、同一斜面上に種類の
異なる光学素子を別々に形成する必要がなくなり、形成
された光学素子の性能を劣化させる要因を除去すること
ができる。更に、例えば光源2から出射された光が光源
9から出射された光用の光学素子に入射した後、再び光
源2から出射された光の光路に混入して迷光成分となる
可能性を減少させることができるので、光学特性の劣化
の少ない優れた光ピックアップを提供することができ
る。
【0154】更に本実施の形態では、光源2および光源
9を第1光学部材41の面41cに対向するように設け
られている。即ち光源2および光源9から出射された光
は、第1光学部材41の面41cに入射し、第1光学部
材41,第2光学部材47,第3光学部材49等に形成
されている各種光学素子により所定の性質を有する光束
に変換されて記録媒体に導かれる構成を有している。
【0155】このような構成としたことにより、光源2
および光源9は、第1光学部材41の光源側の面41c
を基準面として、位置あわせを行うことができる。即ち
複数形成されている光源を1つの面41cを基準として
位置あわせを行うことができるので、各光学部材に形成
されている各種光学素子に対してより高精度で位置あわ
せを行うことが可能になり、各光学部材に設けられてい
る各種光学素子に対する位置ずれが原因で発生する光学
特性の劣化を防止することができる。また光源2と光源
9との相互の位置調整も基準となる面が1つであるので
より容易に行うことができる。
【0156】また第1光学部材41のように、それぞれ
の光源からの光が入射してくる部位に光学素子が形成さ
れていない場合には、入射面となる面41cには、入射
してくる光が散乱されたりしないように面粗度をできる
限り小さくする等の非常に精密な加工を施すことが好ま
しい。
【0157】本実施の形態のように複数の光源からの光
を光学部材の同一面に入射させるようにしたことによ
り、このような精密加工を施さなければならない面の数
を減らすことができるので、精密加工に伴う製造工程を
簡略化でき、光学ヘッドの生産性が向上する。また精密
加工に係る生産コストも低減することができるので、安
価な光学ヘッドとすることができる。
【0158】従って光源間の位置ずれおよび光源と光学
素子との間の位置ずれがほとんど存在せず、光学特性の
良好な信頼性の高い光ピックアップを実現することがで
きる。
【0159】また本実施の形態では、第1光学部材41
の光源に対向する面41cから光源2および光源9まで
の距離を等しくしている。このような関係に光源2およ
び光源9を配置することによって、光源2および光源9
を例えば同一の平行平面部材に当て決めして固定するこ
とができるので、光源2および光源9の高さ精度を容易
に確保することができる。そしてこれにより、高さ精度
がでていないことが原因で発生する光学特性の劣化を抑
制することができるので、良好な記録若しくは再生特性
を有した光ピックアップを実現することができる。
【0160】更に本実施の形態においては、光源2およ
び光源9とを光源載置部42に配置している。このよう
に複数の光源を同一の光源載置部に設ける構成をしたこ
とにより、予め光源載置部42に対して決められた位置
関係に光源2および光源9を固定しておくことができる
ので、光学ヘッドの組立を行う際に、第1光学部材41
と光源2および光源9との間の位置決めを簡単にしかも
精度良く行うことができるようになり、光学ヘッドの生
産性を向上させることができる。また光源2および光源
9と第1光学部材41との間の位置ずれも発生しにくく
なるので、優れた光学特性を有する光ピックアップとす
ることができる。
【0161】更に光源載置部42の同一面42aに光源
2および光源9を設けることにより、光源2および光源
9の光源載置部42への取付をより容易に行え、更に異
なる面に設けた場合に比べて、光源2および光源9に電
力を供給する電極やアースとの接続に用いられるワイヤ
の光源2および光源9との接続を容易に行えるようにな
る。また光源2および光源9との相対的な位置決めもよ
り簡単かつ正確に行えるようになる。
【0162】また光源を載置する光源載置部の面は非常
に高い精度で面出しを行う必要があるが、複数の光源を
同一面に設けることにより、面出しを行う面が1面で良
くなるので、製造工程を削減でき、これにより生産性を
向上させることができるとともに生産コストも低減でき
る。
【0163】以上のような構成を有する光ピックアップ
の動作について説明する。記録媒体が高密度光ディスク
18である場合には、光源2を発光させて記録若しくは
再生を行う。この場合、光源2から出射された光は、ま
ず第1光学部材41の第1の斜面41aに形成された反
射膜43で反射されて、第2の斜面41bに形成されて
いる偏光分離膜45に入射する。この偏光分離膜45は
光源2から出射された直線偏光を反射し、それと直交す
る偏光方向の光を透過する働きを有しているので、光源
2から入射してきた光は反射される。
【0164】その後第1光学部材41から出射された光
は、第2光学部材47を透過して第3光学部材49に入
射する。そして第3光学部材49の第2の斜面49bに
形成されたフィルタ51を透過して第3光学部材49か
ら出射され、1/4波長板52に入射する。この1/4
波長板52に入射した光は、その偏光方向を直線偏光か
ら楕円偏光に変換されて1/4波長板52から出射され
る。
【0165】その後光源2から出射された光は、コリメ
ータレンズがある場合にはコリメータレンズ16を通過
して略平行光に変換されてから、無い場合には直接集光
レンズ17に入射し、高密度光ディスク18へ収束す
る。
【0166】そして高密度光ディスク18で反射されて
戻ってきた光は再び1/4波長板52に入射する。この
光は、高密度光ディスク18で反射される際に楕円偏光
の回転方向が入射時のそれと比べて反対になっているの
で、1/4波長板52を通過する際には楕円偏光から光
源2を出射された時の偏光方向と略直交する直線偏光に
変換されることとなる。即ち仮に光源2から出射される
際にS偏光で出射された光は、P偏光で第3光学部材4
9に入射することとなる。
【0167】第3光学部材49に入射した光は、その第
2の斜面49bに形成してあるフィルタ51をほとんど
透過して、第3光学部材から出射され、第2光学部材4
7を透過して、第1光学部材41に入射する。
【0168】そして第1光学部材41の第2の斜面41
bに形成されている偏光分離膜45に入射する。この時
入射してきた光の偏光方向は出射時のそれと比べると直
交する向きになっているので、光は偏光分離膜45をほ
とんど透過して、第1光学部材41から出射されて、第
4光学部材53に入射する。
【0169】第4光学部材53に入射してきた光は、第
4光学部材53の第1の斜面53aに形成されている光
路分割手段54に入射する。この光路分割手段54によ
り、入射してきた光は、その略半分が透過され、略半分
が反射されることになる。
【0170】そして光路分割手段54を透過した光は、
そのまま第4光学部材53の下面に設けられている受光
手段58の所定の位置に形成されている受光部に所定の
形状の光束が形成され、目的に応じた信号形成に供する
ことになる。
【0171】また光路分割手段54で反射された光は、
第4光学部材53の第2の斜面53bに設けられている
反射膜56で反射されて受光手段58にも受けられてい
る所定の受光部に所定の形状の光束が形成され、目的に
応じた信号形成に供することとなる。
【0172】記録媒体が低密度光ディスク19である場
合には、光源9から出射された光を用いて記録若しくは
再生を行う。この場合、光源9から出射された光は、ま
ず第1光学部材41の第1の斜面41aに形成された反
射膜44で反射されて、第2の斜面41bに形成されて
いる偏光分離膜46に入射する。この偏光分離膜46は
光源9から出射された直線偏光を反射し、それと直交す
る偏光方向の光を透過する働きを有しているので、光源
9から入射してきた光は反射される。
【0173】その後第1光学部材41から出射された光
は、第2光学部材47の端面に形成された拡散角変換手
段48に入射する。この拡散角変換手段48により、光
源9から出射された光は拡散角を変換されて、拡散光だ
った光は収束光となって第2光学部材47から出射さ
れ、第3光学部材49に入射する。
【0174】第3光学部材49に入射した光は、第1の
斜面49aに形成された複数ビーム形成手段50に入射
し、偏光分離膜50aを透過して、ビーム分離部50b
で反射される際に1本のメインビームと2本のサイドビ
ームとに分離されたのち、第2の斜面49bに形成され
ているフィルタ51に入射する。このフィルタ51は光
源9から出射された光を反射し、光源2から出射された
光を透過するように形成されているので、複数ビーム形
成手段からフィルタ51に入射した光はほとんど反射さ
れて第3光学部材49から出射される。
【0175】その後光源9から出射された光は、1/4
波長板52に入射する。この1/4波長板52に入射し
た光は、その偏光方向を直線偏光から楕円偏光に変換さ
れて1/4波長板52から出射される。
【0176】その後光源9から出射された光は、コリメ
ータレンズ16がある場合にはコリメータレンズ16を
通過して略平行光に変換されてから、無い場合には直接
集光レンズ17に入射し、高密度光ディスク18へ収束
する。
【0177】そして低密度光ディスク19で反射されて
戻ってきた光は再び1/4波長板52に入射する。この
光は、低密度光ディスク19で反射される際に楕円偏光
の回転方向が入射時のそれと比べて反対になっているの
で、1/4波長板52を通過する際には楕円偏光から光
源9を出射された時の偏光方向と略直交する直線偏光に
変換されることとなる。即ち仮に光源9から出射される
際にS偏光で出射された光は、P偏光で第3光学部材4
9に入射することとなる。
【0178】第3光学部材49に入射した光は、その第
2の斜面49bに形成してあるフィルタ51でほとんど
反射されて、第1の斜面49aにも受けられている複数
ビーム形成手段50に入射する。この場合は、入射する
光の偏光方向が往きの光とは略直交する方向となってい
るので、入射してきた光はビーム分離部50bにほとん
ど入射することなく偏光分離膜50aで反射されて、第
3光学部材49から出射され、第2光学部材47に形成
されている拡散角変換手段48に入射する。
【0179】この拡散角変換手段48で拡散光として入
射してきた光は、その拡散角を変換されて収束光となっ
て第2光学部材47を透過して、第1光学部材41に入
射する。
【0180】そして第1光学部材41の第2の斜面41
bに形成されている偏光分離膜46に入射する。この時
入射してきた光の偏光方向は出射時のそれと比べると略
直交する向きになっているので、光は偏光分離膜46を
ほとんど透過して、第1光学部材41から出射されて、
第4光学部材53に入射する。
【0181】第4光学部材53に入射してきた光は、第
4光学部材53の第1の斜面53aに形成されている光
路分割手段55に入射する。この光路分割手段55によ
り、入射してきた光は、その略半分が透過され、略半分
が反射されることになる。
【0182】そして光路分割手段55を透過した光は、
そのまま第4光学部材の下面に設けられている受光手段
59の所定の位置に形成されている受光部に所定の形状
の光束が形成され、目的に応じた信号形成に供すること
になる。
【0183】また光路分割手段55で反射された光は、
第4光学部材53の第2の斜面53bに設けられている
反射膜57で反射されて受光手段59に設けられている
所定の受光部に所定の形状の光束が形成され、目的に応
じた信号形成に供することとなる。
【0184】本実施の形態においても、実施の形態1と
同様に、それぞれの光源から出射された光に発生する波
面収差が大きく異なる場合が多く、このためそれぞれ光
源2,9の発光点2a,9aとコリメータレンズの間の
距離を最適化しているが、考え方は実施の形態1と同様
なので、ここではその説明を省略する。
【0185】先程も説明したように本実施の形態におい
ては、光源載置部42の側面部42aに光源2と光源9
とを光源載置部42の底面から略同一の高さに配置して
いる。即ち光源2の発光点2aと光源9の発光点9aと
を結んだ直線は、記録媒体の表面に対して略垂直となっ
ている。
【0186】この様な配置にすることにより、光源2か
ら出射された光が第1光学部材41及び第4光学部材5
3を通過する際に形成する光軸を含む第1の平面と、光
源9から出射された光が第1光学部材41及び第4光学
部材53を通過する際に形成する光軸を含む第2の平面
及び光源9から出射された光が第3光学部材49を通過
する際に形成する光軸を含む第3の平面を光の伝搬面と
して利用することができる。即ち記録媒体の表面に対し
て垂直な面若しくは平行な面のいずれかの面のみを伝搬
面とするのではなく、そのいずれの面も伝搬面として利
用することができる。
【0187】またこの時第1の平面と第2の平面とを略
平行な関係とすることにより、本来第1の平面を構成す
る光軸に係る光の一部が、第2の平面を構成する光軸に
係る光が入射すべき光学素子に入射して迷光成分となる
こと、若しくは逆に本来第2の平面を構成する光軸に係
る光の一部が、第1の平面を構成する光軸に係る光が入
射すべき光学素子に入射して迷光成分となることを防止
できるので、この様な構成を有する光ピックアップの光
学特性を良好なものとすることができ、高性能な光ピッ
クアップを提供することができる。
【0188】このような立体的な伝搬面の形成を行うこ
とにより、各光学部材の空間利用効率を向上させること
ができる。これにより各光学部材の小型化が可能とな
り、これらの光学部材を搭載した光ピックアップの小型
化にも寄与することになる。
【0189】更にこのような空間の立体的な利用を行う
際に、記録媒体に平行な面内方向の利用頻度を記憶媒体
に非平行な面内方向の利用頻度に比べて高くすることに
より、各光学部材の薄型化が可能となるので、光ピック
アップの薄型化を可能にすることができる。このことに
より特に携帯型のパソコン等の情報端末に搭載される光
ディスクドライブに最適な光ピックアップを提供するこ
とができる。
【0190】なお本実施の形態においては光源2と光源
9を記録媒体の表面に対して略垂直に配置していたが、
これらの光源の配置は記録媒体の表面に対して非平行、
即ち記録媒体の表面に垂直な高さ方向に分布を有するよ
うな配置とすることにより、上記した目的を達成するこ
とができる。
【0191】(実施の形態3)以下本発明の実施の形態
3について図面を参照しながら説明する。
【0192】図7は本発明の実施の形態3における集積
化された光学ヘッドの断面図であり、図8は本発明の実
施の形態3における光学系の断面図である。ここで図8
における正断面図は光路を直線状に描いている。
【0193】図7及び図8において、70はパッケージ
で、パッケージ70は、高密度光ディスク18用の光を
出射する光源2,低密度光ディスク19用の光を出射す
る光源9,高密度光ディスク18で反射された光を受光
する受光手段91及び低密度光ディスク19で反射され
た光を受光する受光手段92等が載置される基板部70
a及びそれらの部材を包含するように設けられている側
壁部70b等により形成されている。
【0194】これらの基板部70aと側壁部70b等は
一体で形成しても別体で形成しても良い。なお一体で形
成した場合には、組立工程の簡素化を図ることができ、
生産性の向上が可能になる。
【0195】パッケージ70を形成する材料としては金
属、セラミック等の材料を用いることが、光源2及び光
源9で発生する熱を良好に放出できるので好ましい。
【0196】そして金属材料の中でも、熱伝導性が高い
Cu,Al,Fe等の金属材料やFeNi合金やFeN
iCo合金等の合金材料を用いることが好ましい。なぜ
ならばこれらの材料は安価で放熱性が高く、かつ、高周
波重畳回路等からの電磁波等のノイズを遮断する電磁シ
ールドとしての効果も有するからである。これらの中で
も特にFe,FeNi合金,FeNiCo合金は熱抵抗
が小さく、放熱性が良好なので、光源2及び光源9で発
生する熱を効率的に外部に放出することができる。また
これらの材料は、低コストであるので、光ピックアップ
を低価格で提供することが可能になる。
【0197】またパッケージ70はその基板部70a及
び必要に応じて側壁部70bを大きな熱容量を有するキ
ャリッジ(図示せず)に当接させることにより、光源
2,9で発生する熱を外部に逃がしている。従ってキャ
リッジに接触している基板部70aの面積が大きければ
大きいほど放熱性が良好になる。
【0198】さらに基板部70aには光源2,9に電力
を供給したり、受光手段91,92からの電気信号を演
算回路(図示せず)に伝達する端子70cが設けてあ
る。この端子70cはピンタイプのものであっても良い
し、プリントタイプのものであっても良い。ここで特に
ピンタイプで端子70cを形成した場合について説明す
る。
【0199】端子70cは、金属材料から構成されてい
る基板部70aに電気的に接触しないようにしながら、
基板部70aに設けられている複数の孔(図示せず)に
挿入されている。この端子70cの材質としてはFeN
iCo合金,FeNi合金,FeCr合金等を用いるこ
とが好ましい。基板部70aと端子70cの間の電気的
な接触を断つ手段としては、孔において端子70cと基
板部70aと接する部分については絶縁性の皮膜等が設
けることが好ましく、更にこの部分から外気が混入して
こないように密閉しておくことが好ましい。このような
要求を満たすものとしてハーメチックシール等の絶縁及
び密閉の双方を同時に行えるものを用いることが好まし
い。ここでは特に整合封止型若しくは圧縮封止型のハー
メチックシールを用いることが好ましい。なぜならばこ
れらの部材は極めて容易に絶縁と密閉の双方を行うこと
ができ、さらに極めて安価であるので、端子70cの基
板部70aへの取付工程を簡略化でき、さらには光ピッ
クアップの製造コストを削減できるからである。また同
時に広い温度範囲にわたって高い気密性及び絶縁性を保
つことができるので、光ピックアップの信頼性を高くす
ることができ、かつ端子形状も比較的自由に変形するこ
とができるので、設計の自由度も大きくすることができ
る。
【0200】光源2及び光源9としては単色で、干渉
性、指向性および集光性が良好なものを用いることが、
適当な形状のビームスポットを比較的容易に形成でき、
ノイズ等の発生を抑制できるので好ましい。このような
条件を満たすものとして、固体、ガス及び半導体等の各
種レーザ光を用いることが好ましい。特に半導体レーザ
はその大きさが非常に小さく、光ピックアップの小型化
を容易に実現することができるので、最適である。
【0201】そしてこのときの光源2の発振波長は80
0nm以下であることが、光源から出射された光が記録
媒体上に収束する際のビームスポットを容易に記録媒体
に形成されているトラックのピッチ程度の大きさにする
ことができるので好ましい。更に光源2の発振波長が6
50nm以下であれば、非常に高密度で情報が記録され
ている記録媒体をも再生することができる程度に小さな
ビームスポットを形成できるので、大容量の記憶手段を
容易に実現することができ、特に高密度光ディスクの対
する記録再生に供される光源2としては好ましい。
【0202】光源2を半導体レーザで構成した場合、8
00nm程度以下の発振波長を実現できる材料として
は、AlGaInP,AlGaAs,ZnSe,GaN
等があり、これらの中でも特にAlGaAsは、化合物
材料の中でも結晶成長が容易であり、従って半導体レー
ザの製造が容易であるので、歩留まりが高く、高い生産
性を実現することができるので好ましい材料である。ま
た650nm以下の発振波長を実現できる材料として
は、AlGaInP,ZnSe,GaN等がある。これ
らの材料を用いた半導体レーザを光源2として用いるこ
とにより、記録媒体上に形成されるビームスポット径を
より小さくすることができるので、さらなる記録密度の
向上が可能になり、従って高密度光ディスクの再生が可
能になる。
【0203】これらの中でも特にAlGaAsPは長期
間にわたり安定した性能を有しているので、光源2の信
頼性を向上させることができるので好ましい材料であ
る。
【0204】また光源2の出力は、再生専用である場合
には3〜10(mW)程度であることが、再生に必要な
光量を十分に確保しつつエネルギーの消費を最小限に抑
制でき、更には光源2から放出される熱量も抑制できる
ので好ましい。記録再生兼用である場合には、記録の際
に記録層の状態を変化させるために大きなエネルギーを
必要とするので、少なくとも20(mW)以上の出力が
必要となる。但し出力が60mWを超えると光源2から
放出される熱を外部に逃がすことが難しくなり、光源2
及びその周辺部が高温になってしまい、光源2の寿命が
著しく低下し、最悪の場合には光源が破壊される危険性
がある。このため電気回路が誤動作を起こしたり、光源
2自体が波長変動を起こして発振波長がシフトしたり、
信号にノイズが混入したりして、光ピックアップの信頼
性が大きく低下してしまうので好ましくない。
【0205】光源9の発振波長は800nm以下である
ことが、光源9から出射された光が記録媒体上に収束す
る際のビームスポットを容易に記録媒体に形成されてい
るトラックのピッチ程度の大きさにすることができるの
で好ましい。特に光源9としては光源2よりも発振波長
が長いものを用いることができ、例えばCDを再生する
場合には780nm程度で十分な大きさのビームスポッ
トを低密度光ディスク上に形成することができる。
【0206】なお光源2と光源9の組合せはいろいろな
場合が考えられる。例えば650nmと780nmでも
よいし、490nmと650nmでも良いし、400n
mと650nmでも良い、即ち一方の光源の波長が長
く、一方の光源の波長がそれよりも短ければ良いのであ
る。また設ける光源の数は2つでの良いし、3つでも良
い。
【0207】次に光源2及び光源9を載置する光源載置
部71について説明する。光源載置部71はその形状が
直方体状若しくは板形状で、その上面若しくは側面には
光源2,9が取り付けられている。この光源載置部71
は、基板部70a若しくは側壁部70bに別部材若しく
は基板部70a,側壁部70bの一部として設けられて
おり、光源2,9を載置するとともに、光源2,9で発
生した熱を逃がす働きを有している。
【0208】更に光源載置部71を構成する材料は、線
膨張係数が光源2,9のそれ(約6.5×10-6/℃)
に近い材質が好ましい。具体的には線膨張係数が3〜1
0×10-6/℃で、熱伝導率が100W/mK以上であ
る物質、例えばAlN,SiC,T−cBN,Cu/
W,Cu/Mo,Si等を、特に高出力の光源を用いる
場合で熱伝導率を非常に大きくしなければならないとき
にはダイアモンド等を用いることが好ましい。
【0209】光源2及び光源9と、光源載置部71の線
膨張係数が同じか近い数値となるようにした場合、光源
2,9と光源載置部71の間の歪みの発生を抑制するこ
とができるので、光源2,9と光源載置部71との取付
部分が外れたり、光源2,9にクラックが入る等の不都
合を防止することができる。
【0210】また光源載置部71の熱伝導率をできるだ
け大きく取ることにより、光源2,9で発生する熱を効
率よく外部に逃がすことができるので、光源2,9の温
度が上昇し、光源2,9から出射される光の波長がシフ
トしてしまい、記録媒体での光の収束位置が微妙に異な
ってしまい、再生信号に多くのノイズ成分が混入してし
まったり、光源2,9の出力が低下してしまい、記録媒
体に対する記録再生動作が正常に行えなくなったり、更
には光源2,9の寿命が短くなったり、最悪の場合には
光源2,9が破壊されてしまう等の不都合の発生を防止
することができる。
【0211】本実施の形態においては、この様な光源載
置部71の側面部71aに光源2と光源9とを光源載置
部71の底面から略同一の高さに配置している。
【0212】このように複数の光源を同一の光源載置部
に設ける構成をしたことにより、予め光源載置部71に
対して決められた位置関係に光源2および光源9を固定
しておくことができるので、光学ヘッドの組立を行う際
に、光学部材と光源2および光源9との間の位置決めを
簡単にしかも精度良く行うことができるようになり、光
学ヘッドの生産性を向上させることができる。また光源
2および光源9と光学部材との間の位置ずれも発生しに
くくなるので、優れた光学特性を有する光ピックアップ
とすることができる。
【0213】更に光源載置部71の同一面71aに光源
2および光源9を設けることにより、光源2および光源
9の光源載置部71への取付をより容易に行え、更に異
なる面に設けた場合に比べて、光源2および光源9に電
力を供給する電極やアースとの接続に用いられるワイヤ
の光源2および光源9との接続を容易に行えるようにな
る。また光源2および光源9との相対的な位置決めもよ
り簡単かつ正確に行えるようになる。
【0214】また光源を載置する光源載置部の面は非常
に高い精度で面出しを行う必要があるが、複数の光源を
同一面に設けることにより、面出しを行う面が1面で良
くなるので、製造工程を削減でき、これにより生産性を
向上させることができるとともに生産コストも低減でき
る。
【0215】次に72は第1光学部材で、第1光学部材
72は光源2および光源9から出射された光を所定の光
路に導くとともに光ディスクで反射されて戻ってきた光
を所定の光路に導く働きを有している。
【0216】第1光学部材72は、第1の斜面72a,
第2の斜面72b及び第3の斜面72cを有しており、
特に光が入射する面と出射される面とは略平行で、か
つ、入射若しくは出射される光はこれらの面に略垂直に
入射するような構成を有しているが好ましい。この様に
形成することにより、入射する光に対する非点収差等の
発生を抑制することができるので、透過する光の光学特
性の劣化を防止することができる。
【0217】さらに第1の斜面72a,第2の斜面72
b及び72cには各種の光学素子が形成されている。
【0218】以下第1光学部材72中に存在する各種光
学素子について説明する。まず第1の斜面72aには、
反射膜73及び反射膜74が形成されている。反射膜7
3は、光源2から出射されてきた光を所定の方向に反射
する働きを有しており、反射膜74は光源9から出射さ
れてきた光を所定の方向に反射する働きを有している。
そして反射膜73及び反射膜74を構成する材料として
は、Ag,Au,Cu等の高反射を有する金属材料若し
くは屈折率の異なる複数の誘電体材料を交互に複数層設
けることにより形成されていることが好ましい。
【0219】なお本実施の形態においては反射膜73及
び反射膜74とは別々に設けたが、1つの大きな反射膜
として第1の斜面72aのほぼ全体に形成しても良い。
この場合マスクを用いて反射膜を形成するプロセスを省
略することができるとともに反射膜を形成するためのマ
スクも減らすことができるので、生産性を向上させるこ
とができるとともに製造コストも低減することができ
る。
【0220】そして第2の斜面72bには、偏光分離膜
75,76が形成されている。偏光分離膜75には、光
源2から出射され、反射膜73で反射されてきた光が入
射し、偏光分離膜76には光源9から出射され、反射膜
74で反射されてきた光が入射する。これらの偏光分離
膜75,76は、特定の偏光方向を有する光を透過し、
それ以外の偏光方向を有する光を反射する働きを有して
いる。
【0221】この様な偏光分離膜75,76は屈折率の
異なる複数の誘電体材料を交互に複数層設けることによ
り形成されていることがより正確なPS分離が行えるの
で好ましい。特にここでは、光源2および光源9から出
射されるS偏光成分を透過し、P偏光成分を反射するよ
うに形成されている。
【0222】偏光分離膜75,76の膜厚は、入射して
くる光の波長に応じて設定されることが好ましい。この
様にすることにより、入射してくる光の波長の差による
偏光分離の不完全さを減少させることができ、より正確
なPS分離を行うことができる。
【0223】これらの偏光分離膜75,76により、通
過する光の量をほとんど減少させることなく記録媒体へ
導くことができるので、光の利用効率を向上させること
ができ、ひいては光源2および光源9を小さい出力で所
定の盤面光量を得ることができるので、光源2,9の長
寿命化を実現できるので好ましい。
【0224】なお本実施の形態においては偏光分離膜7
5,76をそれぞれ別々に設けられていたが、入射して
くる光の波長の差が小さい場合には、1つの大きな偏光
分離膜として第2の斜面72bの上部ほぼ全体に形成し
ても良い。この場合マスク用を用いて偏光分離膜を形成
するプロセスを省略することができるとともに偏光分離
膜を形成するためのマスクも減らすことができるので、
生産性を向上させることができるとともに製造コストも
低減することができる。
【0225】また本実施の形態においては、出射光と戻
り光の分離手段として偏光分離膜を用いていたが、これ
らは必要とされる盤面光量に応じて、ハーフミラー等の
分離手段を用いても良い。
【0226】次に第2の斜面72bに設けられている他
の光学部材について説明する。77及び78はモニター
光用のホログラムで、ホログラム77は光源2から出射
され、反射膜73で反射された光のうちの一部を所定の
方向へ反射回折する働きを有している。このホログラム
77で反射回折された光は、第1光学部材72の上面に
設けられている反射部79に導かれ、その後受光手段9
1上に設けられたモニタ光受光部に入射する。そしてモ
ニタ光受光部からの電気信号に基づいて光源2の電源制
御回路を駆動し、光源2に加える電力を調整して、光源
2から出射される光の光量が常に最適値となるように制
御を行う。
【0227】またホログラム78は光源9から出射さ
れ、反射膜74で反射された光のうちの一部を所定の方
向へ反射回折する働きを有している。このホログラム7
8で反射回折された光は、第1光学部材72の上面に設
けられている反射部80に導かれ、その後受光手段92
上に設けられたモニタ光受光部に入射する。そしてモニ
タ光受光部からの電気信号に基づいて光源9の電源駆動
回路を駆動し、光源9に加える電力を調整して、光源9
から出射される光の光量が常に最適値となるように制御
を行う。
【0228】なお本実施の形態においては、モニタ用の
受光部を受光手段91と受光手段92の双方に設けてい
たが、どちらか片方に設けても良い。この場合高密度光
ディスク18を動作させている場合にも、低密度光ディ
スク19を動作させている場合にも同一の受光部を用い
てモニタリングすることになる。即ちモニタリング用の
受光部が1つで済むようになり、部品点数を削減するこ
とができるまた受光手段91,92とは別の受光手段を
受光手段91,92とほぼ同一平面上に設けてそれをモ
ニタ用の受光手段としても良い。
【0229】更に本願実施の形態では、受光手段を受光
手段91と受光手段92とに分けて設けていたが1つの
半導体基板上に全ての受光手段をまとめて設けても良
い。この場合受光手段の部品点数を削減することができ
るとともに、受光手段の位置あわせの回数も減少させる
ことができるので、生産性の良好な光ピックアップとす
ることができる。
【0230】さらに第2の斜面72bの最も光源寄りの
部分には反射膜81,82が設けられている。
【0231】反射膜81は、光路分割手段83で反射さ
れて入射してきた光を反射して所定の位置に導く働きを
有しており、反射膜82は光路分割手段84で反射され
て入射してきた光を反射して所定の位置に導く働きを有
している。反射膜81,82はともにAg,Au,Cu
等の高反射を有する金属材料若しくは屈折率の異なる複
数の誘電体材料で形成されていることが好ましい。
【0232】最後に第3の斜面72cには光路分割手段
83,84が形成されている。光路分割手段83は、光
源2から出射されて高密度光ディスク18で反射されて
戻ってきた光を透過するか、若しくは、反射する働きを
有しており、光路分割手段84は、光源9から出射され
て低密度光ディスク19で反射されて戻ってきた光を透
過するか、若しくは、反射する働きを有している。ここ
では光路分割手段83及び光路分割手段84の双方とも
透過する光量と反射する光量とが略同量となるようにハ
ーフミラー等を用いることが好ましい。
【0233】次に第2光学部材86について説明する。
第2光学部材86はパッケージ70の側壁部70bに設
けられている開口部70dを塞ぐように設けられてお
り、パッケージ70の側壁部70bとは、紫外線硬化樹
脂,エポキシ樹脂及び接着ガラス等で接合されている。
第2光学部材86は、第1基板86a、第2基板86b
を有している。以下これらの基板について順次説明す
る。
【0234】まず第1基板86aは平行平面形状を有す
るガラスや樹脂等の良好な透光性を有する材料から形成
されており、そのシールド部材85側の端面の光源9か
らの光が通る領域には拡散角変換手段87が形成されて
いる。拡散角変換手段87は第1基板86aの光源9側
の端面に、光源9から出射される光の光軸に合わせて設
けられており、光源9から入射してきた光の拡散角を負
にする働き、すなわち光源9の発光点9aから出射され
た光を見た目上より近くから出射されたように光路を変
換する働きを有しているもので、実質的に記録媒体に近
づく方向に発光点をずらしている。これにより光源9の
発光点は真の発光点9aから見かけ上の発光点9bに移
動し、従って光源9から記録媒体までの光路長を見かけ
上短くする働きを有している。拡散角変換手段87とし
ては回折格子特にホログラムで形成されていることが、
光を高効率で透過させることができるので好ましい。特
にホログラムとしては、4段以上の階段状断面や鋸歯状
断面を有するものを用いることが、特に高効率に光を利
用でき、光量の減少を防止できるので好ましい。
【0235】次に第2基板86bは、第1基板86aの
上面に設けられており、第1基板86aとは紫外線硬化
樹脂,エポキシ樹脂及び接合ガラス等の接合材により接
合されており、光源2および光源9から出射され、第1
光学部材72及び第2光学部材86の第1基板86aを
介して導かれてきた光を所定の光路に導くとともに光デ
ィスクで反射されて戻ってきた光を所定の光路に導く働
きを有している。
【0236】ここで第2基板86bにおいて、特に光が
入射する面と出射される面とは、光の光軸に対して略垂
直で、かつ、それぞれの面が略平行となるように構成さ
れているが好ましい。この様に形成することにより、入
射する光に対する非点収差等の発生を抑制することがで
きるので、透過する光の光学特性の劣化を防止すること
ができる。
【0237】さらに第1の斜面86dと第2の斜面86
eは互いに略平行で、かつ、第1光学部材72に形成さ
れている斜面とは異なる方向に傾斜を有するように形成
されている。
【0238】第1の斜面86d及び第2の斜面86eに
は各種の光学素子が形成されている。
【0239】先ず第1の斜面86dには、複数ビーム形
成手段88が設けられている。複数ビーム形成手段88
は偏光方向に合わせて光を反射するかもしくは透過する
偏光分離膜88aと入射してきた光を複数の光束に分離
して反射するビーム分離部88bを有しており、光源9
から出射され、拡散角変換手段87を通過してきた光は
偏光分離膜88aをほとんど透過して、ビーム分離部8
8bに入射する。そして入射してきた光をビーム分離部
88bで複数の光束に分離・反射している。なお、低密
度光ディスク19で反射された帰りの光は、1/4波長
板の働きで偏光方向が変えられるので、ビーム分離部8
8bには入射せず偏光分離膜88aで反射される構成と
なっている。
【0240】ここでビーム分離部88bは、回折格子で
形成することが、効率よく複数の光束を形成することが
できるので好ましい。ここでは回折格子で発生する0次
光および±1次光の3つの光束を主に形成するような構
成を有している。
【0241】ここで形成された複数の光束は低密度光デ
ィスク19のトラックの所定の位置に照射され、戻って
きた光の光量を比較することにより、低密度光ディスク
19のトラッキングを行う通称3ビーム法と呼ばれるト
ラッキング方法に供される。
【0242】なおトラッキング方法として3ビーム法を
用いない場合には、複数ビーム形成手段は設けなくて良
い。
【0243】そして第2の斜面86eには波長選択性の
あるフィルタ89が形成されている。フィルタ89は光
源2から導かれてきた光をほぼ80%以上透過し、光源
9から導かれてきた光をほぼ80%以上反射する働きを
有している。
【0244】このフィルタ89を第2の斜面86eに形
成したことにより、光源2から出射された光をほとんど
妨げることなく光源9から導かれてきた光を反射するこ
とができるので、光源2および光源9から出射された光
を高い割合で記録媒体まで導くことができる。従って光
源2および光源9から出射される光の量を増加させなく
とも記録媒体への記録もしくは再生が可能になるので、
光源2および光源9を高出力状態で動作させることによ
る光源2および光源9の短寿命化を防止できる。更には
光源2および光源9を低出力状態で用いることができる
ので、光源2および光源9の温度上昇がほとんど起こら
ず、従って温度変化に伴う光源2および光源9の発振波
長のシフトがほとんど起こらない。従ってより正確に焦
点形成が行える高性能な光ピックアップを提供すること
ができる。
【0245】この第2基板86bにより、光源2からの
光と光源9からの光が略同一の光軸に導かれることにな
る。
【0246】ここで光源9からの光が第2光学部材に入
射してきて複数ビーム形成手段88で反射された後にフ
ィルタ89に入射するまでの光路は、第1光学部材72
中を進む光の光軸を含む平面に対して略垂直方向に進む
ように形成されている。
【0247】90は1/4波長板で、1/4波長板90
は、フィルタ89を透過してきた光源2からの光と、フ
ィルタ89で反射されてきた光源9からの光の双方の偏
光方向を直線偏光から楕円偏光に変換する働きを有して
いる。
【0248】なお1/4波長板90としては、本実施の
形態に示すような所定の厚さを有する板状のものを用い
ても良いし、薄膜で形成しても良い。
【0249】91,92はともに受光手段で、受光手段
91は、光路分割手段83を透過してきた光及び光路分
割手段83で反射された後反射膜81で反射されてきた
光を受光し、受光手段92は、光路分割手段84を透過
してきた光及び光路分割手段84で反射された後反射膜
82で反射されてきた光を受光するもので、ともにRF
信号、モニタ信号、トラッキング信号及びフォーカシン
グ信号を形成するのに必要な位置に必要な形状で必要な
個数の各種受光部が形成されている。
【0250】ここでは受光手段91と受光手段92とは
パッケージ70の基板部70a上のほぼ同一平面上に配
置されており、更に基板部70aの長手方向と受光手段
91,92の長手方向とが略平行になるように配置され
ている。
【0251】この様に複数の受光手段をほぼ同一平面上
に形成したことにより、異なる位置に形成する場合に比
べて光ピックアップにおいて受光手段を配置するスペー
スを最も小さくすることができ、光ピックアップの小型
化を効率よく行うことができるので好ましい。また複数
の受光手段の配置面をパッケージ内部の同一面としたこ
とにより、精密に平行度を出して面出しする面の数を一
面とすることができるので、面出しの作業を簡略化する
ことができ、生産性の良好な光ピックアップとすること
ができる。
【0252】なお、本実施の形態においては受光手段9
1,92を直接基板部70aに設けていたが、例えば基
板部70a上に受光手段配置板等の部材を介して設けて
も良い。
【0253】以上示してきたように、同一パッケージ内
に収納された光源2,9からの光を複数の光学素子が形
成された光学部材72,86に入射させて略同一光路に
導くような構成としたことにより、それぞれの光源が別
々に配置され、それぞれに対応する光学系が分散配置さ
れた光ピックアップに比べて、光ピックアップ全体の大
きさを大幅に小型化することができるとともにそれぞれ
の光源に対する各光学部材間の位置あわせ等も不要にな
るので生産性が大幅に向上し、さらには各光学素子の取
り付け誤差も最小限度に抑制することができるので良好
な光学特性を実現でき、加えて各光学素子の取り付け誤
差に起因する光の損失を最小限に抑止できるので光の利
用効率の良好な光ピックアップを実現することができ
る。さらに複数の光源それぞれに対応した複数の光学系
を異なる光学部材を用いて形成する必要がなくなり、部
品点数の削減による生産性の向上及びそれぞれの構成部
材の位置あわせの簡略化を行うことができる。
【0254】またパッケージ70に設けられた光学部材
86中で2つの光源2,9からの光を同一光路に導く構
成としたことにより、パッケージ70と一体化されてい
ない部材で1つにする場合に比べて、光路を1つにする
ための部材を別に設ける必要が無くなるので、部品点数
を削減できるとともに、光源とこの部材との位置合わせ
に必要であった工程も削減することができるので、生産
性の良好な光ピックアップとすることができる。さらに
光学部材86から出射される光の光軸が一つなので、出
射光軸が複数存在する場合に比べて、光学部材86の光
出射面での光量の減少や収差の発生を防ぐために光出射
面に施される表面研削を行う部分を減らすことができ、
研削工程の簡略化と、それに伴う製造時間の短縮を行う
ことができる。
【0255】さらに光源2から出射された光と光源9か
ら出射された光の少なくとも一方を光学部材72,86
で複数回反射して所定の光路に導くことにより、光学部
材72,86の大きさをそれぞれ小さくすることができ
るとともに反射なしで導く場合に比べて光学部材22を
出てからの光路長を短くできるので、光ピックアップの
小型化・薄型化を図ることができる。このとき光源2か
らの光と光源9からの光のそれぞれの光学部材72,8
6中での反射回数を異ならせることにより、それぞれの
光に必要十分な光学特性を最適な反射回数で持たせるこ
とができるので、光学部材72,86の小型化に有効で
ある。特に、光源2からコリメータレンズ16までの距
離と光源9からコリメータレンズ16までの距離が異な
っている場合には、反射回数を異ならせて光源の配置位
置の調整を行うことが、パッケージ70の小型化に大き
く貢献する。また本実施の形態に示すように、光源2か
らの光と光源9からの光がほぼ平行に出射されるような
構成では、光学部材72,86中での反射部材の配置位
置と反射回数を最適化することにより、光源2から光学
部材72,86の出射面までの距離と光源9から出射面
までの距離とを最も理想的な関係にすることができるの
で、光源2と光源9との基板部70aからのそれぞれの
高さを大きく異ならせることなく、このような光ピック
アップにおける光学特性を良好なものにすることができ
る。従って、パッケージ70の大きさを小さくすること
ができ、光ピックアップの小型化に貢献することができ
る。
【0256】また本実施の形態においては、光源2から
の光と光源9からの光とをそれぞれの光源から最も遠い
光学部材86で略同一光路に導いている。この様な構成
としたことにより、2つの光源2,9からの光がパッケ
ージ70から出射される直前まで別々の光路を通ること
になるので、それぞれの光に作用する光学素子を形成す
る場所を光学部材中に容易に確保することができ、パッ
ケージ70の外側に配置される光学素子の数を最小限に
抑制することができる。従って光学系にかかる部品の位
置あわせの回数を最小限に抑制でき、従って組み立て作
業が簡単なユーザフレンドリーな光ピックアップとする
ことができる。また光学部材中での空間の利用効率を最
大限に向上させることができるので、光ピックアップの
小型化・薄型化に大きく寄与することができる。
【0257】またそれぞれの光学素子をそれぞれの光源
から出射される光の性質に応じて形成することができる
ので、光源2からの光に対しても光源9からの光に対し
ても正確に所定の作用を及ぼすことができる良好な光学
特性を有する光ピックアップとすることができる。
【0258】さらに本実施の形態に示すように光源2,
9から出射された光を同一の光学部材の同一面に入射さ
せて導くような構成としたことにより、光学部材72,
86中に光源2からの光用の入射面と光源9からの光用
の入射面とを別々に設けなくて良くなるので、形成され
る入射面の数を少なくすることができるので、生産性を
良好にすることができるとともに、単なる反射部材等の
共通化できるものは入射面の全面に形成することで光源
2からの光にも光源9からの光にも対応することができ
るので、別々の入射面に別々に形成する場合に比べて製
造工程数を大幅に低減することができ、光ピックアップ
の生産性を良好にすることができる。
【0259】またパッケージ70から出射される光の径
を、光源2からの光束と光源9からの光束とで異ならせ
ることにより、集光レンズ17へ入射する光の径を異な
らせることができるので、光源2からの光の収束位置と
光源9からの光の収束位置とを異ならせることができ
る。すなわち集光レンズ17に入射する光の径を光源ご
とに異ならせたことによって、1つの集光レンズ17を
用いて、記録面位置の異なる記録媒体に光を集光し、情
報の記録もしくは再生を行うことが可能になる。なおこ
のことは集光レンズ17に入射する光の拡散角も異なら
せることによっても同様の効果を得ることができ、入射
口径と拡散角を組み合わせて異ならせることで、さらに
顕著な収束位置の相違を得ることができる。
【0260】なお本実施の形態においては光源2及び光
源9から出射された光は同一の光学部材に入射するよう
な構成を有していたが、同一パッケージ中に別々に設け
られている光学部材に入射するような構成としてもよ
い。この様な構成とすることにより、光源2から出射さ
れた光に対する光学部材と光源9から出射された光に対
する光学部材とに分離することができるので、それぞれ
の光に所定の光学特性を与える光学素子のみをそれぞれ
の光学部材に形成すればよいので、同一斜面上に種類の
異なる光学素子を別々に形成する必要がなくなり、形成
された光学素子の性能を劣化させる要因を除去すること
ができる。更に、例えば光源2から出射された光が光源
9から出射された光用の光学素子に入射した後、再び光
源2から出射された光の光路に混入して迷光成分となる
可能性を減少させることができるので、光学特性の劣化
の少ない優れた光ピックアップを提供することができ
る。
【0261】更に本実施の形態では、光源2および光源
9を第1光学部材72の面72dに対向するように設け
られている。即ち光源2および光源9から出射された光
は、第1光学部材72の面72dに入射し、第1光学部
材72および第2光学部材86等に形成されている各種
光学素子により所定の性質を有する光束に変換されて記
録媒体に導かれる構成を有している。
【0262】このような構成としたことにより、光源2
および光源9は、第1光学部材72の光源側の面72d
を基準面として、位置あわせを行うことができる。即ち
複数形成されている光源を1つの面72dを基準として
位置あわせを行うことができるので、各光学部材に形成
されている各種光学素子に対してより高精度で位置あわ
せを行うことが可能になり、各光学部材に設けられてい
る各種光学素子に対する位置ずれが原因で発生する光学
特性の劣化を防止することができる。また光源2と光源
9との相互の位置調整も基準となる面が1つであるので
より容易に行うことができる。
【0263】また第1光学部材72のように、それぞれ
の光源からの光が入射してくる部位に光学素子が形成さ
れていない場合には、入射面となる面72dには、入射
してくる光が散乱されたりしないように面粗度をできる
限り小さくする等の非常に精密な加工を施す必要があ
る。
【0264】本実施の形態のように複数の光源からの光
を光学部材の同一面に入射させるようにしたことによ
り、このような精密加工を施さなければならない面の数
を減らすことができるので、精密加工に伴う製造工程を
簡略化でき、光学ヘッドの生産性が向上する。また精密
加工に係る生産コストも低減することができるので、安
価な光学ヘッドとすることができる。
【0265】従って光源間の位置ずれおよび光源と光学
素子との間の位置ずれがほとんど存在せず、光学特性の
良好な信頼性の高い光ピックアップを実現することがで
きる。
【0266】また本実施の形態では、第1光学部材72
の光源に対向する面72dから光源2および光源9まで
の距離を等しくしている。このような関係に光源2およ
び光源9を配置することによって、光源2および光源9
を例えば同一の平行平面部材に当て決めして固定するこ
とができるので、光源2および光源9の高さ精度を容易
に確保することができる。そしてこれにより、高さ精度
がでていないことが原因で発生する光学特性の劣化を抑
制することができるので、良好な記録若しくは再生特性
を有した光ピックアップを実現することができる。
【0267】更に本実施の形態においては、光源2およ
び光源9とを光源載置部71に配置している。このよう
に複数の光源を同一の光源載置部に設ける構成をしたこ
とにより、予め光源載置部71に対して決められた位置
関係に光源2および光源9を固定しておくことができる
ので、光学ヘッドの組立を行う際に、第1光学部材72
と光源2および光源9との間の位置決めを簡単にしかも
精度良く行うことができるようになり、光学ヘッドの生
産性を向上させることができる。また光源2および光源
9と第1光学部材72との間の位置ずれも発生しにくく
なるので、優れた光学特性を有する光ピックアップとす
ることができる。
【0268】更に光源載置部71の同一面71aに光源
2および光源9を設けることにより、光源2および光源
9の光源載置部71への取付をより容易に行え、更に異
なる面に設けた場合に比べて、光源2および光源9と光
源に電力を供給する電極やアースとの接続に用いられる
ワイヤの光源2および光源9との接続を容易に行えるよ
うになる。また光源2および光源9との相対的な位置決
めもより簡単かつ正確に行えるようになる。
【0269】また光源を載置する光源載置部の面は非常
に高い精度で面出しを行う必要があるが、複数の光源を
同一面に設けることにより、面出しを行う面が1面で良
くなるので、製造工程の削減でき、これにより生産性を
向上させることができるとともに生産コストも低減でき
る。
【0270】次にパッケージ70により囲まれた空間の
内部、即ち光源2,9及び受光手段等が配置されている
空間は密閉されることが好ましい。このような構成にす
ることにより、ゴミや水分等の不純物のパッケージ内部
への進入を防止することができるので、光源2,9や受
光手段の性能を維持することができるとともに出射され
る光の光学特性の劣化も防止することができる。
【0271】本実施の形態においては、第2光学部材8
6によりパッケージ70を密閉している。即ち第2光学
部材86の第1基板86aの底面とパッケージ70の側
壁部70bの外側の面とは、パッケージ70に設けられ
ている開口部70dを塞ぐように、接合材により接合さ
れている。ここで用いられる接合材としては、光硬化樹
脂,エポキシ樹脂,接合ガラス等が用いられることが多
い。
【0272】そして密閉された空間にはN2ガス、乾燥
空気若しくはArガス等の不活性ガスを封入しておくこ
とが、パッケージ70の内部に存在する第1光学部材7
2等の表面に結露が生じて光学特性が悪化してしまった
り、光源2,9や受光手段の酸化などによる特性の劣化
を防止することができるのでさらに好ましい。
【0273】この様に第2光学部材とパッケージ70の
側壁部70bとを接合材を用いて接合し、パッケージ7
0を密閉する構成としたことにより、従来必要であった
この部分の封止にのみ設けられていたカバーガラスをな
くすことができるので、光ピックアップの構成を簡略化
でき、部品点数を削減することができる。また従来の光
学部材を位置合わせして接合する工程とパッケージを封
止するカバー部材を接合する工程の合計2工程必要であ
った光ピックアップの製造工程を前者の1工程に減らす
ことができるので、光ピックアップの製造工程を簡略化
することができ、光ピックアップの生産性を向上させる
ことができる。
【0274】また第2光学部材86がパッケージ70の
外側に露出しているので、パッケージ内部に収納する場
合と比較して、パッケージの大きさを小さくすることが
できるとともに、必要な光学素子を1つの光学部材に形
成する場合に比べると、いつの光学部材中に存在する斜
面の数を大幅に減らすことができるので、特に光ピック
アップの幅方向の大きさを大幅に小さくすることができ
るので、光ピックアップの大きさをより小さくすること
ができ、ピックアップの空間利用効率をより高めること
ができる。
【0275】更に光学部材を2つに分離しつつも必要な
光学系のほぼ全てを1つのヘッドに搭載した光ピックア
ップとすることができるので、ピックアップの組立工程
を大幅に簡略化することができるユーザフレンドリーな
光ピックアップとなっている。
【0276】また第2光学部材86において、外側に露
出している部分には光学素子を設けていないので、光学
素子が周囲に存在する外気にふれ、水分等を吸着して所
定の性能を出せなくなったり、光学素子に埃等が付着し
て特性が劣化してしまう等の不都合が発生することを抑
制することができる。
【0277】なお、このときパッケージ70内部の圧力
は負圧になっていることが好ましい。この様にすること
により、パッケージ70の外側からパッケージ70の側
壁部70bに接合される第2光学部材86をパッケージ
70の内側に向かって引き寄せる方向に力が加わるの
で、第2光学部材86とパッケージ70との接合性を良
好にすることができる。
【0278】次にさらに好ましい構成を有する実施の形
態を示す。この場合、パッケージ70を外側から第2光
学部材86のみで密閉するのではなく、シールド部材8
5と第2光学部材86とにより、パッケージ70の開口
部70dを塞ぐように構成されている。即ちシールド部
材85は、パッケージ70の側壁部70bに設けられた
開口部70dをパッケージ70の内側から塞ぐように設
けられており、第2光学部材86は、パッケージ70の
側壁部70bに設けられた開口部70dをパッケージ7
0の外側から塞ぐように設けられており、この2つによ
り、パッケージ70の内部は密閉されている。
【0279】この様な構成にする利点について説明す
る。内側から接合されているシールド部材85は、パッ
ケージ70の内部が正圧である場合には接合材ごと側壁
部70bに押し付けられることになるので、リークが発
生する可能性を低減することができるが、パッケージ7
0の内部が負圧の場合には側壁部70bから離れていく
方向に力が加わることになるので、接合不良を生じてリ
ークが発生してしまう可能性が大きくなってしまう。
【0280】これに対してと外側から接合されている第
2光学部材86は、シールド部材85とは逆に、パッケ
ージ70の内部が負圧である場合には接合材ごと側壁部
70bに押し付けられることになるので、リークが発生
する可能性を低減することができるが、パッケージ70
の内部が正圧の場合には側壁部70bから離れていく方
向に力が加わることになるので、接合不良を生じてリー
クが発生してしまう可能性が大きくなってしまう。
【0281】即ちパッケージ70の側壁部70bを挟み
込むようにシールド部材85と第2光学部材85とを配
置したことにより、パッケージ70の内部が正圧であっ
ても負圧であっても、シールド部材85もしくは第2光
学部材86の少なくとも一方には側壁部70bに押し付
けられる方向に力が働くことになるので、気圧差や接合
不良に起因したリークの発生を減少させることができ
る。
【0282】これにより、パッケージ70内部の気密性
を向上させることができ、パッケージ70内部に配置さ
れる光源,受光手段,光学部材等が空気にに触れたり、
水分を含んだりすることに起因する不都合の発生を抑制
することができるので、非常に信頼性の高い光ピックア
ップとすることができる。
【0283】ここでシールド部材85を構成する材料と
しては、樹脂やガラス等の透光性が良好で、光の利用効
率を低下させない材料を用いることが好ましい。またそ
の厚みは強度の問題が発生しない範囲でより薄く構成す
ることが、光の径が拡大されるのを最小限に抑制するこ
とができるので好ましい。
【0284】またシールド部材85の側壁部70bへの
接合力と第2光学部材86の側壁部70bへの接合力と
は、異ならせるせることが好ましい。特にパッケージ7
0内部に直接面しているシールド部材85の側壁部への
接合力を第2光学部材86の接合力よりも大きくして、
仮に第2光学部材86と側壁部70bの間にリークが発
生したとしてもパッケージ70の内部までにはそのリー
クが届かないようにする。この様にすることにより、パ
ッケージ70内部へのリークの発生する可能性を大幅に
低減することが可能になる。この構成を実現する手段と
して、シールド部材85と側壁部70bとの接合に用い
られる接合材を第2光学部材86と側壁部70bとの接
合に用いられる接合材よりも大きな接合力を有するもの
にすること等が考えられる。
【0285】更にパッケージ70とシールド部材85と
で囲まれた空間Aと、側壁部70b,シールド部材85
及び第2光学部材86とで囲まれた空間Bとの間の圧力
の差はできるだけ小さい方が好ましい。空間Aと空間B
との間に存在するシールド部材85には常に空間Aと空
間Bとの間の圧力差による力が加わった状態にある。こ
の状態で、携帯や車載その他に起因する振動等がシール
ド部材85に入力されると、シールド部材85が大きく
振動したり、撓んでしまい、入射してきた光とシールド
部材85との入射角が微妙に変化してしまう可能性があ
り、これに起因した光学特性の劣化が考えられる。
【0286】また圧力差の存在によりシールド部材85
に反り等が起こり、収差が発生してしまい光学特性が劣
化する可能性もある。
【0287】この様なことを鑑み、空間Aと空間Bとの
間の圧力差(P)はできるだけ小さくすることが好まし
い。ここでは実施の形態1と異なり、開口部に複数の光
路が存在している関係上、開口部が大きく形成されてい
るので、具体的にはPが0.25(atm)以下であるこ
とが好ましい。
【0288】この様にすることにより、空間Aと空間B
の間の圧力差に起因する光学特性の劣化を防止すること
ができる。
【0289】以上のような構成を有する光ピックアップ
の動作について説明する。記録媒体が高密度光ディスク
18である場合には、光源2を発光させて、情報の記録
若しくは再生を行う。この場合、光源2から出射された
光は、まず第1光学部材72の第1の斜面72aに形成
された反射膜73で反射されて、第2の斜面72bに形
成されている偏光分離膜75に入射する。この偏光分離
膜75は光源2から出射された直線偏光を反射し、それ
と直交する偏光方向の光を透過する働きを有しているの
で、光源2から入射してきた光は反射される。
【0290】その後第1光学部材72から出射された光
は、シールド部材85を透過して、第2光学部材86の
第1基板86aを透過した後、第2光学部材86の第2
基板86bの第2の斜面86eに形成されたフィルタ8
9を透過して第2光学部材86から出射され、1/4波
長板90に入射する。この1/4波長板90に入射した
光は、その偏光方向を直線偏光から楕円偏光に変換され
て1/4波長板90から出射される。
【0291】その後光源2から出射された光は、コリメ
ータレンズがある場合にはコリメータレンズ16を通過
して略平行光に変換されてから、無い場合には直接集光
レンズ17に入射し、高密度光ディスク18へ収束す
る。
【0292】そして高密度光ディスク18で反射されて
戻ってきた光は再び1/4波長板90に入射する。この
光は、高密度光ディスク18で反射される際に楕円偏光
の回転方向が入射時のそれと比べて反対になっているの
で、1/4波長板90を通過する際には楕円偏光から光
源2から出射された往きの光の偏光方向と略直交する直
線偏光に変換されることとなる。即ち仮に光源2から出
射される際にS偏光で出射された光は、P偏光で光学部
材に入射することとなる。
【0293】1/4波長板90を通過した光は、第2光
学部材86に入射し、第2基板86bの第2の斜面86
eに形成してあるフィルタ89をほとんど透過して、第
2光学部材86から出射され、シールド部材85を透過
して、第1光学部材72に入射する。
【0294】そして第1光学部材72の第2の斜面72
bに形成されている偏光分離膜75に入射する。この時
入射してきた光の偏光方向は出射時のそれと比べると直
交する向きになっているので、光は偏光分離膜75をほ
とんど透過して、第1光学部材72の第3の斜面72c
に形成されている光路分割手段83に入射する。この光
路分割手段83により、入射してきた光は、その略半分
が透過され、略半分が反射されることになる。
【0295】そして光路分割手段83を透過した光は、
そのまま第1光学部材72の下に設けられている受光手
段91の所定の位置に形成されている受光部に所定の形
状の光束が形成され、目的に応じた信号形成に供するこ
とになる。
【0296】また光路分割手段83で反射された光は、
第1光学部材72の第2の斜面72bに設けられている
反射膜81で反射されて受光手段91にも受けられてい
る所定の受光部に所定の形状の光束が形成され、目的に
応じた信号形成に供することとなる。
【0297】記録媒体が低密度光ディスク19である場
合には、光源9を発光させて情報の記録若しくは再生を
行う。この場合、光源9から出射された光は、まず第1
光学部材72の第1の斜面72aに形成された反射膜7
4で反射されて、第2の斜面72bに形成されている偏
光分離膜76に入射する。この偏光分離膜76は光源9
から出射された直線偏光を反射し、それと直交する偏光
方向の光を透過する働きを有しているので、光源9から
入射してきた光は反射される。
【0298】その後第1光学部材72から出射された光
は、第2光学部材86の第1基板86aの下端面に形成
された拡散角変換手段87に入射する。この拡散角変換
手段87により、光源9から出射された光は拡散角を変
換されて、拡散光だった光は収束光となって第2基板8
6bから出射され、第2光学部材86の第2基板86b
の第1の斜面86dに形成された複数ビーム形成手段8
8に入射し、偏光分離膜88aを透過して、ビーム分離
部88bで反射される際に1本のメインビームと2本の
サイドビームとに分離されたのち、第2の斜面86eに
形成されているフィルタ89に入射する。このフィルタ
89は光源9から出射された光を反射し、光源2から出
射された光を透過するように形成されているので、複数
ビーム形成手段88からフィルタ89に入射した光はほ
とんど反射されて第2光学部材86から出射される。
【0299】その後光源9から出射された光は、1/4
波長板90に入射する。この1/4波長板90に入射し
た光は、その偏光方向を直線偏光から楕円偏光に変換さ
れて1/4波長板90から出射される。
【0300】その後光源9から出射された光は、コリメ
ータレンズがある場合にはコリメータレンズ16を通過
して拡散角のより小さな光に変換されてから、無い場合
には直接集光レンズ17に入射し、高密度光ディスク1
8へ収束する。
【0301】そして低密度光ディスク19で反射されて
戻ってきた光は再び1/4波長板90に入射する。この
光は、低密度光ディスク19で反射される際に楕円偏光
の回転方向が入射時のそれと比べて反対になっているの
で、1/4波長板90を通過する際には楕円偏光から光
源9を出射された往きの光の偏光方向と略直交する直線
偏光に変換されることとなる。即ち仮に光源9から出射
される際にS偏光で出射された光は、P偏光で光学部材
に入射することとなる。
【0302】1/4波長板90を通過した光は、第2光
学部材86に入射し、その第2基板86bの第2の斜面
86eに形成してあるフィルタ89でほとんど反射され
て、第1の斜面86dに設けられている複数ビーム形成
手段88に入射する。この場合は、入射する光の偏光方
向が往きの光とは略直交する方向となっているので、入
射してきた光はビーム分離部88bにほとんど入射する
ことなく偏光分離膜88aで反射されて、第2基板86
bから出射され、第1基板86aに形成されている拡散
角変換手段87に入射する。
【0303】この拡散角変換手段87で拡散光として入
射してきた光は、その拡散角を変換されて収束光となっ
て第2光学部材86から出射され、シールド部材85を
透過して、第1光学部材72に入射する。
【0304】そして第1光学部材72の第2の斜面72
bに形成されている偏光分離膜76に入射する。この時
入射してきた光の偏光方向は出射時のそれと比べると略
直交する向きになっているので、光は偏光分離膜76を
ほとんど透過して、第3の斜面72cに形成されている
光路分割手段84に入射する。この光路分割手段84に
より、入射してきた光は、その略半分が透過され、略半
分が反射されることになる。
【0305】そして光路分割手段84を透過した光は、
そのまま第4光学部材の下部に設けられている受光手段
92の所定の位置に形成されている受光部に所定の形状
の光束が形成され、目的に応じた信号形成に供すること
になる。
【0306】また光路分割手段84で反射された光は、
第2の斜面72bに設けられている反射膜82で反射さ
れて受光手段92に設けられている所定の受光部に所定
の形状の光束が形成され、目的に応じた信号形成に供す
ることとなる。
【0307】このように複数の光源を同一のパッケージ
内に配置した場合においても実施の形態1と同様に、そ
れぞれの光源から出射された光に発生する波面収差が大
きく異なる場合が多く、このためそれぞれ光源2,9の
発光点2a,9aとコリメータレンズの間の距離を最適
化しているが、考え方は実施の形態1と同様なので、こ
こではその説明を省略する。
【0308】本実施の形態においては、この様な光源載
置部71の側面部71aに光源2と光源9とを光源載置
部71の底面から略同一の高さに配置している。即ち光
源2の発光点2aと光源9の発光点9aとを結んだ直線
は、記録媒体の表面に対して略垂直となっている。
【0309】この様な配置にすることにより、光源2か
ら出射された光が第1光学部材72を通過する際に形成
する光軸を含む第1の平面と、光源9から出射された光
が第1光学部材72を通過する際に形成する光軸を含む
第2の平面及び光源9から出射された光が第2光学部材
86を通過する際に形成する光軸を含む第3の平面を光
の伝搬面として利用することができる。即ち記録媒体の
表面に対して垂直な面若しくは平行な面のいずれかの面
のみを伝搬面とするのではなく、そのいずれの面も伝搬
面として利用することができる。
【0310】またこの時第1の平面と第2の平面とを略
平行な関係とすることにより、本来第1の平面を構成す
る光軸に係る光の一部が、第2の平面を構成する光軸に
係る光が入射すべき光学素子に入射して迷光成分となる
こと、若しくは逆に本来第2の平面を構成する光軸に係
る光の一部が、第1の平面を構成する光軸に係る光が入
射すべき光学素子に入射して迷光成分となることを防止
できるので、この様な構成を有する光ピックアップの光
学特性を良好なものとすることができ、高性能な光ピッ
クアップを提供することができる。
【0311】このような立体的な伝搬面の形成を行うこ
とにより、各光学部材の空間利用効率を向上させること
ができる。これにより各光学部材の小型化が可能とな
り、これらの光学部材を搭載した光ピックアップの小型
化にも寄与することになる。
【0312】更にこのような空間の立体的な利用を行う
際に、記録媒体に平行な面内方向の利用頻度を記憶媒体
に非平行な面内方向の利用頻度に比べて高くすることに
より、各光学部材の薄型化が可能となるので、光ピック
アップの薄型化を可能にすることができる。このことに
より特に携帯型のパソコン等の情報端末に搭載される光
ディスクドライブに最適な光ピックアップを提供するこ
とができる。
【0313】なお本実施の形態においては光源2と光源
9を記録媒体の表面に対して略垂直に配置していたが、
これらの光源の配置は記録媒体の表面に対して非平行、
即ち記録媒体の表面に垂直な高さ方向に分布を有するよ
うな配置とすることにより、上記した目的を達成するこ
とができる。
【0314】
【発明の効果】以上示してきたように、本発明は、同一
パッケージ内に収納された複数の光源からの光を複数の
光学素子が形成された光学部材に入射させて略同一光路
に導くような構成としたことにより、それぞれの光源が
別々に配置され、それぞれに対応する光学系が分散配置
された光ピックアップに比べて、光ピックアップ全体の
大きさを大幅に小型化することができるとともにそれぞ
れの光源に対する各光学部材間の位置あわせ等も不要に
なるので生産性が大幅に向上し、さらには各光学素子の
取り付け誤差も最小限度に抑制することができるので良
好な光学特性を実現でき、加えて各光学素子の取り付け
誤差に起因する光の損失を最小限に抑止できるので光の
利用効率の良好な光ピックアップを実現することができ
る。さらに複数の光源それぞれに対応した複数の光学系
を異なる光学部材を用いて形成する必要がなくなり、部
品点数の削減による生産性の向上及びそれぞれの構成部
材の位置あわせの簡略化を行うことができる。
【0315】さらに複数の光源から出射された光の少な
くとも一方を光学部材で複数回反射して所定の光路に導
く際の反射回数を異ならせたことにより、それぞれの光
に必要十分な光学特性を最適な反射回数で持たせること
ができるので、光学部材の小型化に有効であり、光ピッ
クアップの小型化・薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における集積化した光学
ヘッドの断面図
【図2】本発明の実施の形態1における無限光学系での
発光点とコリメータレンズとの関係を示す図
【図3】本発明の実施の形態1における対物レンズのシ
フトの有無による波面収差量とL5,L6との関係を示
した図
【図4】本発明の実施の形態2における集積化された光
学ヘッドの断面図
【図5】本発明の実施の形態2における光学系の断面図
【図6】本発明の実施の形態2における光源付近の拡大
【図7】本発明の実施の形態3における集積化された光
学ヘッドの断面図
【図8】本発明の実施の形態3における光学系の断面図
【図9】従来の光ピックアップの断面図
【符号の説明】
16 コリメータレンズ 17 集光レンズ 18 高密度光ディスク 19 低密度光ディスク 20 パッケージ 20a 基板部 20b 側壁部 20c 端子 21 受光手段 21a,21b,21c,21d 受光部 22 光学部材 22a 第1の斜面 22b 第2の斜面 22c 第3の斜面 22d 第1基板 22e 第2基板 23 拡散角変換手段 24 フィルタ 25 偏光分離膜 26 1/4波長板 27 拡散角変換手段 28 複数ビーム形成手段 29 反射手段 30 反射手段 31 拡散角変換手段 32 信号形成手段 33 受光手段 34 光源載置部 40 パッケージ 40a 基板部 40b 側壁部 40c 端子 40d 開口部 41 第1光学部材 41a 第1の斜面 41b 第2の斜面 41c 面 42 光源載置部 42a 面 43,44 反射膜 45,46 偏光分離膜 47 第2光学部材 48 拡散角変換手段 49 第3光学部材 49a 第1の斜面 49b 第2の斜面 50 複数ビーム形成手段 50a 偏光分離膜 50b ビーム分離部 51 フィルタ 52 1/4波長板 53 第4光学部材 53a 第1の斜面 53b 第2の斜面 54,55 光路分割手段 56,57 反射膜 58,59 受光手段 60,61 反射部材 60a 面 61a 面 70 パッケージ 70a 基板部 70b 側壁部 70c 端子 70d 開口部 71 光源載置部 71a 端面 71b 底面 71c 上面 72 第1光学部材 72a 第1の斜面 72b 第2の斜面 72c 第3の斜面 72d 面 73,74 反射膜 75,76 偏光分離膜 77,78 ホログラム 79,80 反射部 81,82 反射膜 83,84 光路分割手段 85 シールド部材 86 第2光学部材 86a 第1基板 86b 第2基板 86d 第1の斜面 86e 第2の斜面 87 拡散角変換手段 88 複数ビーム形成手段 88a 偏光分離膜 88b ビーム分離部 89 フィルタ 90 1/4波長板 91 受光手段 92 受光手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 泰一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−55363(JP,A) 特開 昭61−26947(JP,A) 特開 平6−259804(JP,A) 特開 平11−110786(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/12 - 7/22 G22B 5/00 - 5/18

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1個の集光レンズと、 第1の波長を有する第1の光を出射する 第1の光源と、前記第1の波長と異なる第2の波長を有する第2の光を
    出射する 第2の光源と、記録媒体からの反射光を受光する受光手段と、 前記第1の光の拡散角を負にする第1の拡散角変換手段
    と前記第2の光の拡散角を負にする第2の拡散角変換手
    段とを有し平行平板に形成された第1 光学部材と、 内部に複数の斜面を内蔵しそれぞれの斜面に所定の光学
    素子を形成して全体として平行平板に形成した第2光学
    部材と、 前記第1の光源と前記第2の光源と、前記受光手段と
    を収納する収納部材とを有し、 前記第2光学部材の前記第1及び前記第2の光源の側に
    前記第1光学部材を接合し、前記収納部材の開口部に前
    記第1学部材を配置して、 前記第1の光と前記第2の光とを前記集光レンズに導く
    と共に記録密度の異なる記録媒体にそれぞれ収束させる
    ことを特徴とする光ピックアップ。
  2. 【請求項2】 前記第1及び第2光学部材と前記集光レ
    ンズとの間に拡散角を減じるコリメータレンズを配置
    し、 前記第1の拡散角変換手段によって前記第1の光源が見
    かけ上移動した位置を第1仮想発光点とし、前記第2の
    拡散角変換手段によって前記第2の光源が見かけ上移動
    した位置を第2仮想発光点としたとき、前記第1仮想発
    光点から前記コリメータレンズ間の有効焦点距離をL
    5、前記第2仮想発光点から前記コリメータレンズ間の
    有効焦点距離をL6とすると、L6/L5の値が0.5
    0から0.75の間に定めたことを特徴とする請求項1
    記載の 光ピックアップ。
  3. 【請求項3】 1個の集光レンズと、 第1の波長を有する第1の光を出射する第1の 第1の光
    源と、前記第1の波長と異なる第2の波長を有する第2の光を
    出射する 第2の光源と、記録媒体からの反射光を受光する受光手段と、 内部に複数の斜面を内蔵しそれぞれの斜面に所定の光学
    素子を形成した第1 光学部材及び第2光学部材と、 前記第2の光の拡散角を負にする拡散角変換手段を有し
    略平行平板に形成された第3光学部材と、 内部に複数の斜面を内蔵しそれぞれの斜面に所定の光学
    素子を形成した第4光学部材と、 前記第1の光源と、前記第2の光源と、前記受光手段
    と、及び前記第1及び第2の光源に近い側から順に前記
    第1 光学部材、第2光学部材、第3光学部材、第4光学
    部材を接合した光学部材とを収納する収納部材とを有
    し、 前記第1の光と前記第2の光とを前記集光レンズに導く
    と共に記録密度の異なる記録媒体にそれぞれ収束させる
    ことを特徴とする光ピックアップ。
  4. 【請求項4】 前記第1の光源と前記第2の光源とを所
    定に位置に載置する光源載置部材に配置し、前記第1の
    光源と前記第2の光源との後方出射光に対して傾斜した
    反射面を有する反射部材を配置したことを特徴とする請
    求項3記載の光ピックアップ。
  5. 【請求項5】 1個の集光レンズと、 第1の波長を有する第1の光を出射する第1の 第1の光
    源と、前記第1の波長と異なる第2の波長を有する第2の光を
    出射する 第2の光源と、記録媒体からの反射光を受光する受光手段と、 内部に複数の斜面を内蔵しそれぞれの斜面に所定の光学
    素子を形成した第1 光学部材と、 前記第2の光の拡散角を負にする拡散角変換手段を有し
    略平行平板と、内部に複数の斜面を内蔵しそれぞれの斜
    面に所定の光学素子を形成した平行平面とで形成された
    第2光学部材と、 前記第1の光源と、前記第2の光源と、前記受光手段
    と、前記第2光学部材とを収納する収納部材とを有し、 前記収納部材の開口部に前記第1光学部材を配置して、
    前記第1の光と前記第2の光とを前記集光レンズに導く
    と共に記録密度の異なる記録媒体にそれぞれ収束させる
    ことを特徴とする光ピックアップ。
  6. 【請求項6】 前記開口部は、前記収納部材の外側から
    前記第1光学部材で塞 ぎ、前記収納部材の内側からシー
    ルド部材で塞ぐように配置したことを特徴とする請求項
    5記載の光ピックアップ。
  7. 【請求項7】 前記収納部材と前記集光レンズとの間に
    拡散角を減じるコリメータレンズを配置し、 前記拡散角変換手段によって前記第2の光源が見かけ上
    移動した位置を仮想発光点としたとき、前記前記第1の
    光源から前記コリメータレンズ間の有効焦点距離をL
    5、前記仮想発光点から前記コリメータレンズ間の有効
    焦点距離をL6とすると、L6/L5の値が0.50か
    ら0.75の間に定めたことを特徴とする請求項3また
    は請求項5のいずれか1に記載の 光ピックアップ。
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