JP3865512B2 - 消火ポンプユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消火ポンプユニットに係り、特に消火のための水を供給するポンプと該ポンプを駆動する電動機等を搭載する共通ベース及びその周辺の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
消火ポンプユニットは、火災の発生時に消火のための水を所定の圧力に加圧して消火栓に供給する装置であり、ポンプと電動機及びこれらを制御する制御盤等が一体の共通ベース上に搭載されている。そして、消火ポンプユニットは、極く稀にしか発生しない消火活動時に備えて、ポンプが正常に動作するか否かを点検するためのポンプ性能試験装置を備えている。
【0003】
また、消火ポンプユニットには、呼水槽を備え、呼水槽から呼水をポンプ吐出側からポンプ内に供給し、ポンプ内を満水状態にして、何時でもそのポンプが始動できるようにしておく必要がある。呼水槽には常に他の水源、例えば水道等から水が供給され、一定の水量を常に保持するようにして、これによりポンプ吐出側の配管からポンプ内に呼水を供給することにより、ポンプ内の満水状態を維持している。
【0004】
ところで、この呼水槽は一般に架台に搭載され、その架台がポンプ及びモータを搭載する共通ベースに固定されている。即ち、共通ベース上のポンプ及びモータを覆うように架台が設けられ、その架台上に呼水槽が配置されている。そして架台には同様に制御盤が取付けられ、これによりポンプの運転制御や維持管理等のための制御及び警報の発令等を行っている。
【0005】
火災報知器等の押しボタンの操作により、火災信号が消火ポンプユニットの受信器に入ると、制御盤がその制御動作を開始する。まず、動力配線経由で電動機に電源が印加され、ポンプが始動され、水源よりポンプが水を吸い込み加圧して吐出配管、各種の弁等を経由して火災元の消火栓に加圧水を供給し、消火栓ノズルより散水して消火活動を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図9は、従来の共通ベースの構造を示す。共通ベース11は、一枚の鋼板が折り曲げられ、矩形状の上面11aとL型形状のサイド部11bとから構成されている。サイド部11bは矩形状の上面11aの両側の長辺側にL型形状に折り曲げられて構成されている。サイド部の上面と平行な下面にはアンカボルトで共通ベースを固定するための穴12が各2箇所合計4箇所設けられている。そして、両側のサイド部11bの上面に垂直な面の間には、補強用アングル13が固定されている。この補強用アングル13は、サイド部11bの垂直な面及び上面11aに例えば溶接により固定され、上面の長辺側の両側に設けられたサイド部11b,11b間が開かないように補強材として重要な役割を果たしている。即ち、共通ベース上には、多くの部品が取付けられ、または搭載されているので、各部品の重量が共通ベース11の上面11aに加わる。そのために共通ベース11の上面11aが撓まないように、また歪み等が生じないように上述した補強用アングル13が必要なのである。
【0007】
しかしながら、上述したように消火ポンプユニットは、火災時以外には殆どの場合が停止状態であるが、万一の火災の発生に備えて各種の部品を共通ベース上に搭載する必要がある。一方で、消火ポンプユニットの全体的な小型化、軽量化、低コスト化が必要であり、消火ポンプユニットの共通ベース自体の軽量化、低製造コスト化が要請されている。又、ポンプユニット全体を軽量化することにより、これを設置する基礎自体も軽量化できるために、このような軽量・小型化が要請されている。
【0008】
この補強用アングル13を両サイド部11b,11b間に取付けるためには、共通ベース11を裏返し、一般的にはL型鋼からなるアングル13を溶接にて取付ける必要がある。そしてこのような構造を採用すると、溶接を必要とするだけでなく、アングル材も2本必要となるので、共通ユニット自体の重量にアングル材の重量が加算される。
【0009】
図10は、従来の共通ベースに呼水槽架台を取付ける構造を示す。図示するように呼水槽架台14は、共通ベース11の上面11aに架台の脚部14をそれぞれ架台取付ボルト15で取付けていた。又、この従来例の共通ベース11は、サイド部11cを内側にL型形状に折り曲げることにより構成している。このため、共通ベースの基礎への取付けのためのアンカボルトの穴12を、上下2箇所ずつ合計4箇所、又呼水槽架台の取付用のボルトの穴17を少なくとも4箇所空ける必要があった。このようにアンカボルト16を共通ベース11に取付けるために基礎コンクリート18に埋込むと、基礎コンクリート18への埋め込み深さが小さくなり、このために基礎ボルトを標準と異なる長さのものを用いる必要があるなどの問題点を生じていた。
【0010】
本発明は上述した事情に鑑みて為されたもので、共通ベースを軽量且つ強固な構造として、全体としての軽量化を図るとともに、ポンプ、電動機、呼水槽等の各種構成部品を安定に且つ経済的に取付けることのできる共通ユニットを備えた消火ポンプユニットを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
発明は、ポンプと該ポンプを駆動する電動機とが一体の共通ベース上に搭載された消火ポンプユニットにおいて、前記共通ベースは前記ポンプ及び電動機を取付ける矩形状の上面と、該上面に設けられた該上面を支持するL型形状のサイド部とを備え、該サイド部は前記上面と平行な下面を有し、該下面にはアンカボルト取付用の穴が設けられ、前記上面の短辺側の少なくとも一辺に補強部を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
上述した本発明によれば、上面の短辺側に補強部を備えたことから、従来必要であった補強用アングルが必要なくなる。これによりアングル材の重量分だけ共通ベースの重量を低減する事が可能となり、又、アングル材を溶接することが必要なくなるので、製造工程が簡略化され、製造コストが低減する。又、前記補強部を、前記上面の短辺側の少なくともいずれか一辺に設けたことにより、搭載物の内容などに応じて、適宜共通ベースの補強を行うことができる。
【0015】
また、本発明は、L型形状のサイド部は前記上面と平行な下面を有し、該下面にはアンカボルト取付用の穴が設けられ、前記サイド部のL型形状部に、前記ポンプに呼水を供給する呼水槽を支持する呼水槽架台が固定されたことを特徴とするものである。これにより、呼水槽等の重量物を支持する呼水槽架台を安定に共通ベースに固定することができる。そして、アンカボルト取付用の穴が上面と平行な共通ベースのサイド部の下面に設けられているので、通常のアンカボルトを用いて固定することが可能である。従って、従来技術に述べたような、標準と異なる長さのアンカボルトを用いる必要がなくなる。なお、この場合において、前記上面の短辺側の少なくとも一辺にI型形状に折り曲げられた補強部を設けてもよい。
【0017】
また、本発明は、ポンプと該ポンプを駆動する電動機とが一体の共通ベース上に搭載された消火ポンプユニットにおいて、前記共通ベースは前記ポンプ及び電動機を取付ける矩形状の上面と、該上面に設けられた該上面を支持するL型形状のサイド部とを備え、前記矩形状の上面には、前記ポンプと該ポンプを駆動する電動機とを固定する取付穴又はネジ穴が長手方向に沿ってポンプと電動機とが一列に配列するように設けられ、該取付穴又はネジ穴は、異種寸法の複数組のポンプと電動機が取付可能に、前記矩形状の上面の右側と左側の両側に設けられたことを特徴とするものである。これにより、異種寸法のポンプ及びモータを共通ベースに固定する際に、異種寸法に対応した取付穴又はネジ穴が設けられているので、どちらの寸法のポンプ及びモータを搭載するにしても、そのまま共通ベースに固定することができる。従って、経済的に消火ポンプユニットを組み立てることができる。
【0018】
また、本発明は、前記ポンプと電動機の固定用の取付穴又はネジ穴は、電動機が内側に位置するように配置され、該ポンプと反対側に呼水槽が配置され、該呼水槽と該呼水槽に接続した呼水配管及び水温上昇防止用逃がし配管と、ポンプ性能試験用配管とを共通部品とし、前記異種寸法の複数組のポンプに対して、それぞれ対応するフランジ部が一致する位置になるように、前記取付穴又はネジ穴が位置決めされたことを特徴とするものである。これにより、共通ベースの矩形状上面に設けられた右側又は左側のポンプ及び電動機固定用の取付穴又はネジ穴を用いることによって、共通の構造の呼水槽及びその呼水槽に取付られた呼水配管及び水温上昇防止用逃がし配管のフランジに、異種寸法のポンプ側に接続されたそれぞれに対応するフランジを容易に固定することができる。従って、ポンプ及び電動機以外を共通部品とした消火ポンプユニットを容易に且つ経済的に組み立てることができる。
また、本発明は、前記共通ベースは一枚の鋼板から構成され、前記L型形状のサイド部は、前記上面の長辺側に折り曲げて設けられていることを特徴とするものである。
また、本発明は、I型形状の補強部は、更に折り曲げ部を含み、該折り曲げ部が前記L型形状のサイド部の前記上面に垂直な面に固定されたことを特徴とするものである。
この場合において、前記固定は、ボルトとナット又は溶接による固定であってもよい。これにより、補強部をサイド部の上面に垂直な面にボルトとナット又は溶接により固定することから、共通ベースの構造をより強固なものとすることができる。即ち、ポンプ及び電動機の重量の大きな物を共通ベースの上面に搭載しても、共通ベース上に撓み等が生じない。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図1乃至図8を参照して説明する。尚、各図中同一符号は、同一又は相当部分を示す。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態の消火ポンプユニットを示す。共通ベース11上にポンプPとそのポンプを駆動する電動機Mとが搭載されている。そしてポンプの吐出側は、フレキシブルパイプ21、主逆止弁22、主止水弁23等を介して図示しない揚水管に接続され、更に同様に図示しない消火栓に加圧水を供給するようになっている。ポンプの吐出側には分岐部を備え、その分岐部から試験配管がポンプ性能試験装置25を経てポンプ吸込側が接続された水源に加圧水を環流するように接続されている。ポンプ性能試験装置25は、仕切弁、流量計、流量調整弁等から構成されている。又、共通ベース11上に設けられたユニット架台14には、呼水槽26が備えられ、常にポンプに呼水を供給して、何時でもポンプを始動可能な状態とするようになっている。又、この消火ポンプユニットは、制御盤27を備え、7セグメント等のデジタル形式の表示装置28を有している。制御盤27は、共通ベース11に固定された呼水槽架台14に取付けられている。制御盤27は、消火時の消火栓への加圧水の供給のための運転制御、及び消火時以外のポンプ運転試験等の制御を行うようになっている。
【0021】
共通ベース11は厚さ2mm程度の鋼板から構成され、ポンプ及び電動機を固定した短形状の上面と、その上面に折り曲げられて設けられたL型形状のサイド部とを備えている。ここでL型形状のサイド部の上面に垂直な面はポンプ及び電動機等が搭載された上面を支持する役割を果たしている。又、L型形状のサイド部の上面と平行な下面は、図示しないがアンカボルトにより、設置床面に固定されている。そして矩形状の上面の短辺側に、I型形状に折り曲げられた補強部19を備えている。又、呼水槽等を呼水槽架台14の脚部は、図示するように共通ベースのL型形状のサイド部に直接固定されている。これにより、重量の大きな呼水槽26を支持する脚部14を安定に且つ堅固に共通ベース11に固定することができる。
【0022】
上述したように、呼水槽架台14がサイド部のL型形状部に直接固定されているので、これが共通ベースの補強部材としての役割を果たす。これにより、上述のI型形状に折り曲げた補強部を備えなくても、脚部14が存在する側においては、十分な強度を共通ベースに与えることが可能となる。
【0023】
図2は、消火ポンプユニットの構成を示す図である。ポンプPの吸込側は、吸込配管31及びフート弁32を介して水源33に接続されている。ポンプPの吐出側は、吐出配管34、フレキシブルパイプ21、主逆止弁22、主止水弁23、及び揚水管29及び横配水管30を介して1個の消火栓35に接続される。揚水管29は、更に他の図示しない消火栓に接続され、ポンプPにより加圧された水を供給する。ポンプPの吸込側には吸込圧力を検出する圧力計36が備えられ、同様にポンプの吐出側にも吐出圧力を検出する圧力計37が備えられている。ポンプの吐出側には分岐部を備え、その分岐部から試験配管38が接続され、ポンプ性能試験装置25を介して水源33にポンプの加圧水が環流するようになっている。ポンプの性能試験装置25は、仕切弁25A、流量計25B、流量調整弁25C等を備えている。同様にポンプ吐出側には、呼水槽26が接続され、呼水槽26からは仕切弁39、逆止弁40を介して呼水がポンプPの吐出側に常に供給されるようになっている。
【0024】
消火栓箱35には、受信器41、消火ポンプ始動表示灯、消火栓表示灯42、警報用のベル43等を備えている。ポンプPは電動機Mにより駆動され、電動機Mは制御盤27に動力配線を介して接続され、制御盤27から供給される電力により電動機Mが回転駆動され、これによりポンプPが加圧水を吐出側に供給する。制御盤27は消火栓始動リレー箱44及び受信器45に接続され、消火栓表示灯42及びベル43等の信号と連動して、受信器44及び消火栓始動リレー45が作動し、制御盤27の動作により消火活動時にはポンプPを起動して消火栓35等に給水する。
【0025】
又、呼水槽26には他の水源より水が供給され、この水の供給はボールタップ26Aを用いて一定の水量に制御される。又、水位検知のため電極棒26Bを備えている。又、水温上昇防止用逃がし配管47を備え、ポンプPの締切り運転時には加圧水を呼水槽26を介して水源33に逃がすようになっている。配管47に設けられた仕切弁46A及びオリフィス46Bは主配管側との接続の開閉及び流量調整のためのものである。又、呼水槽26にはオーバフロー槽26Cを備え、水温上昇防止用の加圧水が流入する場合には、オーバフローした水を水源33に還流するように構成されている。ポンプの運転停止中は、呼水槽より呼水配管の仕切弁39、逆止弁40を介して吐出管34より呼水槽の水がポンプP内に流れ、フート弁53が正常であればポンプP内は常に満水状態である。
【0026】
消火活動時のポンプの運転動作は次の通りである。まず例えば消火栓箱35の受信器部の押しボタン42の操作により、火災信号が受信器44、消火栓始動リレー箱45経由で制御盤27に入力される。制御盤27では火災信号を受信して、動力配線48経由で電動機Mに電源を印加し、電動機Mが回転を開始し、これによりポンプPが始動する。そして水源33のフート弁32より水源の水を吸込配管31を介してポンプPへ吸込み、ここで加圧し、吐出配管34、フレキシブルパイプ21、主逆止弁22、主止水弁23、揚水管29経由で消火栓箱35等に送水し、図示しない消火栓用ノズルに送水する。消火活動は、消火栓用ノズルを火災現場に持ち込み、消火活動に必要な水を散水する。尚、ポンプPの始動は、直接、制御盤27から行うようにしてもよい。
【0027】
このような火災発生時以外は、殆どの場合がポンプは停止状態にある。このため、消火ポンプユニットの維持管理が必要になり、法令においても維持管理に必要な機器を消火ポンプユニットに組み込むことが義務づけられている。そのうちの一つがポンプ性能試験装置25であり、流量計と開閉弁と流量調整弁とで構成され、ポンプの性能検査時にポンプを運転して、開閉弁を全開にして流量調整弁で流量をポンプの定格水量に調整し、その時の水量と圧力計36,37でそれぞれポンプの吐出圧力及び吸込圧力を読みとる。これにより、ポンプの性能として必要なポンプの全揚程を算出し、ポンプの定格流量に対して全揚程が満足されているかどうかを検査する。
【0028】
又、ポンプが締切り運転された場合は、ポンプの軸動力がポンプケーシング内で消費されるので、ポンプ内の水温が異常に上昇する。このような問題を防止するために、吐出配管34部分から水温上昇防止用逃がし配管47を分岐させて、仕切弁46Aとオリフィス46Bにより水量を制限して呼水槽26へ送水することで、ポンプの異常温度上昇を防止する。又、常時ポンプ内を満水にしておくために呼水槽26が設けられているが、この呼水槽自体を常に満水状態にするために他の水源よりボールタップ26A経由で給水できるようにしておく。そして呼水槽内には水位検知用の電極棒26Bを備え、他の水源よりの給水がない場合とか、ボールタップ26Aの故障時等で呼水槽26の水位が低下する場合には、その電極棒26Bにより異常が検知され、制御盤27に伝達し、未然に呼水槽の故障を防止することができる。このように消火ポンプユニットの維持管理については、定期的なポンプの性能維持試験の実施、呼水槽の水量の維持によるポンプの満水状態の維持等の管理が必要である。
【0029】
図3は、共通ベースの詳細な構造を示す。図示するように共通ベースの矩形状の上面より鋼板材を張り出し、その張り出した部材を折り曲げて、L型形状のサイド部11bを構成している。このように鋼板材を張り出し、下方向に折り曲げることでユニットベース上面に搭載されるポンプ及び電動機等の搭載物の重量に対応する。そして矩形状の上面11aの短辺側も同様に鋼板材を張り出し、その張り出した部分を折り曲げてI型の補強部19を構成している。このように本発明の共通ベース11は、一枚の鋼板を折り曲げる製造工程により製造できるので、従来の共通ベースのアングル材等の補強材の余分な部材を必要とせず、又溶接等の加工を必要としない。
【0030】
図4は、図3に示す共通ベースの変形例を示す図である。更に共通ベース上面に加わる重量が大きい場合に耐えられるように、I型形状の補強部19に折り曲げ部19aを含み、その折り曲げ部19aがL型形状のサイド部11bの上面に垂直な面に固定するようにしている。即ち、I型形状の補強部である折り曲げ部19の更にその両側に折り曲げ部19aを設け、その折り曲げ部をL型形状のサイド部11bの上面に垂直な面に固定することで、剛性を更に向上させることができる。このI型形状の補強部19の両側の折り曲げ部19aをL型形状のサイド部11bに固定するのは、図5に示すようにボルトとナット50を用いても良く、又は隅肉溶接51で固定することも可能である。
【0031】
図6は、呼水槽架台の脚部の共通ベースへの取付構造を示す。呼水槽架台の脚部14はサイド部のL型形状部11bにボルト53を用いて固定されている。そして呼水槽架台14の上部に呼水槽26が搭載されているので、この呼び水槽架台14と共通ベース11で、全体が矩形による剛性構造になっている。このため、共通ベースのサイド部11bは、呼水槽架台の脚部が断面L型形状を為しており、
呼水槽架台の脚部14により構造的に補強されるので、強度が著しく増大する。このため、上述したI型形状の補強部19は、矩形状上面11aのうち呼水槽を設けない側の短辺側の一辺のみに設けるようにしても良い。
【0032】
これにより更なる軽量化とコストの低減が可能である。又、上述したように設置床に設けられたアンカボルトは、共通ベースのサイド部の下面及び呼水槽架台の脚部の下面の両板体を貫通した穴に挿入され、ナットにより堅固に設置床に固定されている。このようにサイド部の下面及び架台脚部の下面の穴12aを利用するので、アンカボルトは標準の長さのボルト16bを使用することができ、設置床の基礎コンクリート18へ確実に共通ベース11を固定することができる。
【0033】
図7(a)は、本発明の共通ベースの矩形状上面へのポンプと電動機を固定する取付穴又はネジ穴の配置を示す。この実施例の場合、4個の白丸60はポンプAの取付穴を示し、2個の白丸61はこのポンプを駆動する電動機の取付穴を示している。同様に4個の黒丸62は白丸のポンプと比較して寸法の異なるポンプBの取付穴を示し、2個の黒丸63は、そのポンプを駆動するための電動機の取付穴を示している。この電動機の寸法も駆動するポンプの寸法が異なるため、白丸の電動機の寸法とは異なった相対的な位置に配置されている。いずれの場合にしても、ポンプの取付穴の中心線と電動機の取付穴の中心線とは同一線上に位置し、ポンプに対して電動機が矩形状上面の長手方向に沿って一列に配置される。従って、この共通ベースには、白丸の取付穴位置を有するポンプA及び電動機と、黒丸の取付穴位置を有するポンプB及び電動機との双方のサイズのポンプ及びモータの組が搭載可能である。
【0034】
消火ポンプの吐出水量は、消火栓の種類により、70,140,150,300 Lit/min であるが、ポンプに必要な揚程は吐出側の消火栓までの高さと末端に必要な水圧とで決まる。このように、所要水量が4種類有り、吐出圧力は高さと末端までの配管抵抗と末端における必要圧力とを考慮すると、20mAq〜140mAqが必要となり、多種類の揚程・流量特性を持ったがポンプが必要となる。しかしながら、これらに対応する各種特性のポンプ及び呼水糟や配管等の部品を全て用意することは不経済であり、ポンプとこれに組み合わせて用いられる電動機はともかくとして、その他の部品はなるべく共通化することで、部品在庫を少なくし、生産性を向上する必要がある。
【0035】
しかしながら、ポンプが変わってくると、これに対応するポンプの取付穴の位置等が変わってくる場合もあり、共通ベースに搭載可能なポンプの取付穴の位置としては、少なくとも2種類程度は用意する必要がある。そこで、図7(a)に示す共通ベースは、異種寸法の2種類のポンプと電動機が取り付けられるように、矩形状の上面の右側と左側の両側に、それぞれのサイズに対応した取付穴のセットを備えている。これにより、消火ポンプユニットがサイズAのポンプと電動機の組を必要とする場合には、図の右側の白丸の取付穴60,61を使用すれば良く、又サイズBのポンプと電動機の組を必要とする場合には、左側の黒丸の取付穴62,63を使用すればよい。いずれの場合においてもポンプと電動機とは、矩形状上面の長手方向に沿って一列に配置し、電動機はポンプに対して内側に位置し、更にポンプが配置された反対側に架台が配置され、この架台上に呼水槽が搭載される。
【0036】
図8は、ポンプの吐出短管と、呼水槽に接続される呼水槽配管と、水温上昇防止用逃がし配管との接続の状態を示す。又、消火ポンプの運転試験のためのポンプ性能試験装置25の配管と吐出短管34との接続を示す。ポンプの吐出側に接続された吐出配管34にフランジを介して、呼水配管の逆止弁40、仕切弁39が接続され、その取付フランジ47Aが呼水槽の対応するフランジに接続される。そして吐出短管34と呼水配管の取付フランジ47A迄の距離を寸法Dとする。又、吐出短管34は仕切弁46A、及びオリフィス46Bを備えた水温上昇防止用逃がし配管が接続される。この場合の吐出短管と取付フランジ46の距離を寸法Cとする。従って、呼水槽の大きさ、更には呼水配管の取付位置及び水温上昇防止用逃がし配管の取付位置を水量及び所要揚程に関わらず、寸法C及び寸歩Dを共通化することにより、共通に搭載可能な共通部品とすることができる。尚、呼水槽に接続する配管フランジの高さを合わせることが必要であるが、呼水槽架台の高さを変えることで調整が可能である。
【0037】
図7(b)は比較例を示すもので、共通ベースの矩形状上面11aに一対のポンプA及び電動機の組と、異種寸法の一対のポンプBと電動機の組の取付穴60,61,62,63をそれぞれの穴が重複しないように配置したものである。このようにすると、呼水槽及び各種配管を共通にする場合には、呼水槽側に接続された配管のフランジと、ポンプ側のフランジとの位置が合わず、この間に接続のための調整部材を装着することが必要となり、よけいな手間がかかる。同様に、図7(c)は、呼水槽及び各種配管を共通にする場合に、これに適合するように一対のポンプAと電動機の組の取付穴60,61と、一対のポンプBと電動機の組の取付穴62,63とがそれぞれ適合するような位置に取付穴を配置しなければならない。このように異種寸法のポンプと電動機の組を共通の呼水槽に接続するためには、白丸で示す部分60,61と黒丸で示す部分62,63とが部分的に重複することになる。このように取付穴が重複すると、ポンプの取付穴の加工が困難になる等の問題がある。特に、ネジ穴を設ける場合には、加工が不可能である。
【0038】
尚、両側に2組の取付穴を配置した後で、第3の組の取付穴を図7(c)に示すような取付穴の重複が生じない範囲で、且つ共通配管に接続できるように設けるようにしても良い。これにより、3種類のポンプと電動機の組を共通の呼水槽に無調整で接続することが可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、共通ベースの表面の短辺側に、I型形状に折り曲げられた補強部を設けることにより、共通ベースをその重量を増加すること無く、又、溶接等の余分な手間をかけることなく、十分な強度を持たせることができる。これにより、消火ポンプユニットの全体的な重量を少しでも低減でき、全体として強固且つ安定にポンプや電動機等の構成部品を搭載することができる。
【0040】
又、呼水槽架台の脚部を共通ベースのL型形状のサイド部に直接固定することにより、重量のある呼水槽を搭載した呼水槽架台を安定且つ堅固に共通ベースに固定することができる。
【0041】
又、異種寸法の複数組のポンプと電動機が取付可能に、取付穴を設けることにより、異種寸法のポンプ及びモータを共通部品を備えた共通ベースに固定することができる。従って、経済的に消火ポンプユニットを組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の消火ポンプユニットの(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図2】図1に示すポンプ消火ユニットの全体的な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の共通ベースの(a)、(c)は短辺側の側面図であり、(b)は上面図であり、(d)は長辺側の側面図である。
【図4】本発明の変形例の共通ベースの(a)、(c)は短辺側の側面図であり、(b)は上面図であり、(d)は長辺側の側面図である。
【図5】図4におけるI型形状の補強部の折り曲げ部の固定方法を示す図である。
【図6】呼水槽架台の脚部の共通ベースへの取付構造を示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は長辺側の断面図である。
【図7】(a)は本発明の共通ベースのポンプ及び電動機の取付穴又はネジ穴の配置を示す図であり、(b)及び(c)は比較例としてのポンプ及び電動機の取付穴又はネジ穴の配置を示す図である。
【図8】ポンプの吐出短管に接続された呼水配管、水温上昇防止用逃がし配管、及びポンプ性能試験装置配管を示す図であり、上面から見た図である。
【図9】従来の共通ベースの(a)、(c)は短辺側の側面図であり、(b)は上面図であり、(d)は長辺側の側面図である。
【図10】従来の呼水槽架台の脚部の共通ベースへの取付構造を示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は長辺側の断面図である。
【符号の説明】
P ポンプ
M 電動機
11 共通ベース
11a 共通ベース上面
11b 共通ベースサイド部
12 アンカボルト用穴
14 呼水槽架台(脚部)
16 アンカボルト
18 設置床(コンクリート基礎)
19 I型形状補強部

Claims (5)

  1. ポンプと該ポンプを駆動する電動機とが一体の共通ベース上に搭載された消火ポンプユニットにおいて、
    前記共通ベースは前記ポンプ及び電動機を取付ける矩形状の上面と、該上面に設けられた該上面を支持するL型形状のサイド部とを備え、
    前記矩形状の上面には、前記ポンプと該ポンプを駆動する電動機とを固定する取付穴又はネジ穴が長手方向に沿ってポンプと電動機とが一列に配列するように設けられ、該取付穴又はネジ穴は、異種寸法の複数組のポンプと電動機が取付可能に、前記矩形状の上面の右側と左側の両側に設けられ
    前記ポンプと電動機の固定用の取付穴又はネジ穴は、電動機が内側に位置するように配置され、該ポンプと反対側に呼水槽が配置され、該呼水槽と該呼水槽に接続した呼水配管及び水温上昇防止用逃がし配管と、ポンプ性能試験用配管とを共通部品とし、前記異種寸法の複数組のポンプに対して、それぞれ対応するフランジ部が一致する位置になるように、前記取付穴又はネジ穴が位置決めされたことを特徴とする消火ポンプユニット。
  2. 前記L型形状のサイド部は前記上面と平行な下面を有し、該下面にはアンカボルト取付用の穴が設けられ、前記上面の短辺側の少なくとも一辺にI型形状の補強部を備えたことを特徴とする請求項1記載の消火ポンプユニット。
  3. 前記L型形状のサイド部は前記上面と平行な下面を有し、該下面にはアンカボルト取付用の穴が設けられ、前記サイド部のL型形状部に、前記ポンプに呼水を供給する呼水槽を支持する呼水槽架台が固定されたことを特徴とする請求項1記載の消火ポンプユニット。
  4. 前記共通ベースは一枚の鋼板から構成され、前記L型形状のサイド部は、前記上面の長辺側に折り曲げて設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の消化ポンプユニット。
  5. 前記I型形状の補強部は、更に折り曲げ部を含み、該折り曲げ部が前記L型形状のサイド部の前記上面に垂直な面に固定されたことを特徴とする請求項記載の消火ポンプユニット。
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