JP3864931B2 - 焼却処分用の塩素含有プラスチックと、その焼却処分方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、焼却処分時の塩化水素、有機塩素化合物、ダイオキシン類など有毒ガスの発生を低減した焼却処分用の塩素含有プラスチックと、その焼却処分方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリ塩化ビニルなどの塩素含有プラスチックは焼却すると腐食性のガスである大量の塩化水素を発生し、焼却炉を傷めることが問題になっている。焼却炉内で他の廃棄物と混合して焼却した際には塩化水素が有機化合物と反応し、有機塩素化合物やダイオキシン類に変化することが知られている。このため、ポリ塩化ビニルに代表される塩素含有プラスチックは焼却処分が不適格とされ、家庭ごみの焼却処理の際だけでなく、廃プラスチックのサーマルリサイクルの際の問題となっていた。
【0003】
ポリ塩化ビニル(塩ビ)、ポリ塩化ビニリデン、クロロプレンゴムなどに代表される塩素を含有するプラスチック類は使用後、マテリアルリサイクルされるのが理想的である。しかし、用途によっては、他の樹脂との複合品となることや、生ゴミなどが付着することもあるため、塩素を含有しない他のプラスチックと一緒に燃料として燃やされて熱を回収(サーマルリサイクル)されることや、生ゴミなどと一緒に燃えるゴミとして焼却処分されることも多い。塩素を含まないプラスチック類は高炉原料などとしてサーマルリサイクルが進められているが、塩ビはそのままでは高炉原料として使用することができないため、塩ビを脱塩素処理して高炉原料に用いる技術の研究が進められている。産業廃棄物としてまとまった量の塩ビが回収できるときには脱塩素処理して高炉原料とすることで対応できるが、家庭から排出される燃えるゴミの中に少量の塩ビが含まれる場合には脱塩素技術で対応することは非効率的であり、技術的にも困難である。徹底したゴミ分別によって、塩素含有プラスチックスを燃えるゴミに混入しないように指導するべきとの意見もあるが、食品用ラップはポリ塩化ビニリデンによるものがほとんどであり、食品用手袋にもポリ塩化ビニル製のものが多用されている。食品など生ゴミが付着したこれらの食品用ラップ、食品用手袋を燃えないゴミとして処理すると臭気、衛生面で別の問題が発生する。このため、ポリ塩化ビニリデン製食品用ラップ、ポリ塩化ビニル製食品用手袋などは燃えるゴミに出しても大丈夫なように技術的対策を講ずる必要があった。また、プラスチック製消しゴムは可塑剤を添加したポリ塩化ビニル樹脂である。消しゴムの消しカスなどの極めて小さなゴミは塵芥と一緒に燃えるゴミに出されてしまうのが一般的である。塵芥の中から消しゴムの消しカスを燃えないゴミとして分別する作業は非現実的である。このため消しゴムなど消耗品である日用品にも燃えるゴミとして分別して大丈夫なように技術的対策を講ずる必要があった。
【0004】
ゴミ焼却時の塩化水素の発生を低減するために、ポリエチレン製のゴミ袋に炭酸カルシウム粒子を30%程度配合したものが東京都の可燃ゴミの回収で使用されている。これは炭酸カルシウムが焼却炉中で熱分解して酸化カルシウムとなり、その酸化カルシウムが発生した塩化水素と中和反応して塩化カルシウムと変化することを利用するものである。しかし、炭酸カルシウムが酸化カルシウムとなるのに長時間の加熱が必要である上、酸化カルシウムは900℃以上の焼却炉内でも固体の粉末状であるため、気体である塩化水素との効率よい反応は望めなかったという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
現状では、ポリ塩化ビニルに代表される塩素含有プラスチックを100%マテリアルリサイクルすることは非現実的であるため、塩素含有プラスチックが他の廃棄物と一緒に焼却処分された場合でも、焼却炉、地域環境への負荷が生じないように方策を講ずる必要がある。焼却炉の傷みは主に塩化水素によるものであり、地域環境への負荷は塩化水素から派生する有機塩素化合物、ダイオキシン類によるものである。環境負荷を低くするためには、塩化水素を捕集する機能を有する物質をあらかじめ塩素含有プラスチックに含ませておくことが望ましい。しかも、効率よく塩化水素などを捕集するためには、焼却炉内で泡や膜などの形態となって、発生ガスと広い面積で接触することが必要である。これらの課題を解決し、発生する塩化水素を効率よく捕集するためには、焼却炉内で液体となったり、発泡したりして、造膜する形で気体を包み込む形態になることが望ましい。
【0006】
本発明の目的は、塩素含有プラスチックを焼却処分した際、効率よく塩化水素を捕集する仕掛けをあらかじめ塩素含有プラスチックに施し、塩化水素の発生を低減することで、焼却炉の傷み、有機塩素化合物、ダイオキシン類の発生による環境汚染を防止する技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本出願に係る第1発明(請求項1に係る発明をいう、以下同じ)の構成は、塩素含有プラスチックの成形加工時に、発泡性水ガラスを乾燥させて得られる無水水ガラスの粉体を重量比で0.002倍から0.7倍混合して内部に分散させてなり、焼却処分時の有毒ガスの発生を低減させることをその要旨とする。なお、粉体は、粒径100マイクロメートル以下の球形粒子としてもよい。また、第2発明(請求項3に係る発明をいう、以下同じ)の構成は、塩素含有プラスチックの成形加工時に、発泡性水ガラスを乾燥させて得られる無水水ガラスの粉体を重量比で0.002倍から0.7倍混合して内部に分散させておき、焼却時に発生する塩化水素を無水水ガラスのアルカリ分により中和し、食塩として焼却残渣のマトリックス上に捕集することをその要旨とする。
【0008】
ここで無水水ガラスとはケイ酸ナトリウムを主成分とする固形物であり、水ガラスを蒸発乾固して得られ、水に溶解することで水ガラスになる物質を言う。
【0009】
塩素含有プラスチックとはポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エピクロロヒドリンゴムなどを言う。
【0010】
ポリ塩化ビニル樹脂とは塩化ビニルの重合体を主成分とする樹脂を言い、可塑剤、酢酸ビニル、セラミックス粉末を含んでも良い。
【0011】
ポリ塩化ビニリデン樹脂とは塩化ビニリデンの重合体を主成分とする樹脂を言い、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリルなどとの共重合体であってよい。
【0012】
クロロプレンゴムとはクロロプレン( 2-クロロ-1,3-ブタジエン)の重合により得られるゴムを言い、他のゴム原料との共重合体であってよく、加硫されていてもよい。
【0013】
クロロスルホン化ポリエチレンとはクロロスルホン化反応により、ポリエチレンの水素の一部をクロロスルホニル基に置換して物を言う。他の水素が別の官能基に置換されていてもよい。
【0014】
塩素化ポリエチレンとはポリエチレンの水素の一部または全部を塩素に置換したものである。
【0015】
エピクロロヒドリンゴムとはエピクロロヒドリン( 1,2-エポキシ-3-クロロプロパン)を原料とするゴムである。
【0016】
発泡性水ガラスとは60℃〜150℃の温度で加熱した際に発泡して発泡スチロール様のガラス発泡体となる水ガラスを言う。発泡性水ガラスは、特許2028203「水性造膜性無機化合物の製造方法」に基づいて製造した水性造膜性無機化合物でもよい。製造方法としては、水酸化ナトリウムを30重量パーセント、フッ化ナトリウムを2重量パーセント含む水溶液中にシリコンを投入し、50℃〜100℃に保持して反応を進行させて得られる発泡性水ガラスでよい。水性造膜性無機化合物は発泡性水ガラスとも称され、化学的にはシロキサン、シラノール塩の混合水溶液である。
【0017】
発泡性水ガラスは、水ガラスに発泡剤を添加したものでもよい。発泡剤は炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムの中から選ばれた1種または2種以上がよい。
【0018】
無水水ガラスは発泡性水ガラスを乾燥させたものがよい。
【0019】
発泡性を高めるために無水水ガラスに発泡剤を加えても良い。発泡剤は炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウムの中から選ばれた1種または2種以上であってよい。
【0020】
なお、無水水ガラス粉体を製造する際に、水ガラス、発泡性水ガラスをスプレードライ法により乾燥することができる。
【0021】
ここでスプレードライ法(噴霧乾燥法)とは、液体を微細な霧状にして、熱風中に噴霧し、瞬間的に乾燥させて、粉体を得る方法である。
【0022】
このように塩素含有プラスチックにあらかじめ無水水ガラスを分散しておくことで、焼却時には無水水ガラスは融解し流動性のあるアルカリ性の液体となるため、発生する塩化水素ガスを中和して捕集し、残渣中に食塩として固定することが出来る。発泡性水ガラスを使用した際には、融解した液体が造膜性を有するため焼却炉内でフォーム(発泡体)を形成し、発生する気体と広い面積で接触するため、効率よく塩化水素を中和、捕集することが出来る。発泡剤を混合しておいた場合も同様に、融解した無水水ガラスが焼却炉内でフォーム(発泡体)を形成するので、効率よく塩化水素を中和、捕集することができる。塩化水素は焼却炉内で有機塩素化合物やダイオキシン類の前駆体として働くので、塩化水素の段階で中和、除去することにより、有機塩素化合物、ダイオキシン類の発生を発生源から抑制することができる。
【0023】
塩素含有プラスチックスの内部にあらかじめ無水水ガラスを分散させておく場合には、無水水ガラスの水溶液から効率よく、粒径の小さい粒子を作製する必要がある。また、プラスチックスの成形性や物理的性質に影響を与えないように、分散させる粒子の形状は球形をしている方がよい。スプレードライ法により水溶液を噴霧することで粒径が100マイクロメートル以下の丸い粒子を効率よく作製することが出来る。これらの粒子が焼却時に液化、造膜し塩化水素を効率よく中和、捕集するというメカニズムである。
【0024】
【発明の実施の形態】
JIS K7229塩素樹脂中の塩素の定量方法に準じて、硬質ポリ塩化ビニルのみの焼却時、及び成形加工時にあらかじめ重量比で0.10倍の発泡性水ガラス乾燥パウダーを混合し、内部にパウダーを分散させておいた硬質ポリ塩化ビニルを空気中で焼却したときの塩化水素発生量を測定した。塩化物イオンの定量はチオシアン酸アンモニウム滴定法(JIS K0107 7.2)により行った。図1に発生ガスの吸収液の分析結果から計算したポリ塩化ビニル1グラム当たりからの塩化水素の発生量を示す。実験では、試料を20℃の電気炉に入れて900℃まで30分かけて昇温し、900℃で30分保持した場合と、900℃に保持してある電気炉に試料を挿入し、900℃に30分保持した場合の2種類の加熱パターンを実施した。後者の方が実際の焼却炉での焼却形態に近いと考えられる。図1を見てわかるとおり、両方の加熱パターンとも、塩化水素の発生量が減少していることが確認できた。20℃から昇温させた場合には約20%、あらかじめ900℃に保持しておいた場合には約30%の塩化水素発生量が低減できた。
【0025】
次に、塩化水素発生量だけでなく、有機塩素化合物なども含めて全塩素化合物の発生量の変化を確認する必要があるため、JIS Z7302−6 10.1に準じて、発生ガス中の全塩素量の測定を実施した。図2に全塩素量の測定結果を示す。図1の塩化水素発生量と図2の全塩素量の比較では、塩化水素量が全塩素量を上回っているが、これは全塩素定量のときの気体の捕集方法、定量方法に確度の問題があるためである。図2のデータを見ると、図1と同様に全塩素量も18〜26%減少していることが確認できた。念のため、吸収液中に有機塩素化合物が含まれていないか確認するため、パージトラップ/GC-MSで1,1-ジクロロエチレン、ジクロロメタン、cis-1,2-ジクロロエチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1,1-トリクロロエタン、トリクレン、パークレン、1,2-ジクロロエタン、cis-ジクロロプロペン、trans-ジクロロプロペンなどの定量を行ったが、検出されなかった。定量下限はそれぞれ1ppb である。以上のことから有機塩素化合物の発生はないものと考えてよい。塩化水素の発生は発泡性水ガラスの添加により低減できると結論できる。
【0026】
さらに、減少した塩素はどこに留まっているのかを調べるため、焼却残渣の分析を行ったところ、塩化水素が食塩となって、酸化ケイ素のマトリックス上に捕集されている様子が確認できた。図3に走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す。エネルギー分散型X線分析装置(EDX)で図3中の▲1▼の場所、▲2▼の場所の元素組成を分析した結果がそれぞれ図4、図5である。▲1▼の場所の主成分はケイ素と酸素であり、▲2▼の場所の主成分はナトリウムと塩素であった。これは酸化ケイ素からなる下地に塩化ナトリウムが載る形で付着していることを示している。すなわち、塩化水素が無水水ガラスのアルカリ分により中和されて、塩化ナトリウムとなり、中和された塩化ナトリウムは酸化ケイ素を主成分とするマトリックス上に捕捉されているといえる。図6にSEM像とそれに対応する元素のマッピング(ナトリウム、ケイ素、塩素、酸素)を示す。図6から酸化ケイ素のベースの上に塩化ナトリウムが付着していることが明らかである。
【0027】
EDX分析により、ポリ塩化ビニル焼却残渣試料中の様々な部分において、半定量分析を実施した。その結果が図7である。元素濃度を示す数字から明らかなように、塩素は塩化ナトリウムとして残渣内に捕捉されているといえる。
【0028】
以上の発明の実施形態はポリ塩化ビニルに対して重量比で0.10倍の発泡性水ガラス乾燥パウダーを混合して行ったものである。
【0029】
次に、発泡性水ガラス乾燥パウダーのポリ塩化ビニルに対する重量比を0.001倍から1.5倍の範囲で変化させて、塩化水素発生量の比較を行った。あらかじめ900℃にしておいた炉に入れて焼却する条件で実施した。ポリ塩化ビニルに対する重量比で0.7倍までは成形体の強度に問題はないが、0.7倍を上回るとポリ塩化ビニルの強度が低下する傾向が見られた。混合比0.001倍〜0.7倍の実験結果を図8に示す。塩化水素削減率は混合比の増加に従って単調に増加した。これは発泡性水ガラス表面で効率よく塩化水素を中和捕集していることを示している。混合比が0.002倍未満の場合の効果は誤差の範囲内だったので、0.002倍以上混合したときに塩化水素の効率よい捕集が可能と考えられる。
【0030】
以上の結果は、ポリ塩化ビニル内部に無水水ガラス微粒子を分散させることにより、無水水ガラスとポリ塩化ビニルからの発生ガスとの接触面積が増加し、効率よく塩化水素を中和捕集できることを示している。
【0031】
ポリ塩化ビニル10グラム、フタル酸ジオクチル12グラムに対して、発泡性水ガラスをスプレードライ法により乾燥した平均粒径40マイクロメートルの粉末2グラムを混入して、加熱することにより、プラスチック消しゴムを作製した。これは一般にプラスチック消しゴムとして市販されているものと同等品である。消しゴム全体に対する発泡性水ガラス乾燥パウダーの含有率は8.3重量パーセントである。
【0032】
発泡性水ガラスを含有させた消しゴムと、含有させていない消しゴムを900℃の電気炉内で30分焼成したときの塩化水素ガス発生量を測定した。塩化物イオンの定量はチオシアン酸アンモニウム滴定法(JIS K0107 7.2)により、吸収液の分析結果から計算した。消しゴム1グラム当たりからの塩化水素の発生量は、発泡性水ガラスを含まない場合0.181グラム、含む場合0.143グラムとなった。硬質塩化ビニルの場合と同様、塩化水素は約20%低減され、塩化水素を捕捉する効果が確認できた。
【0033】
フェノール0.2グラムと塩化第一銅0.1グラムを上記の発泡性水ガラスを含有させた消しゴム100グラム、及び含有させていない消しゴム100グラムに混合し、400℃の空気中で加熱し、排気ガス中のダイオキシン類発生量をJIS K0311に基づいて測定した。フェノールと塩化第一銅はダイオキシン類の生成を促進して比較するために添加したものである。その結果、ダイオキシン類の発生量は、発泡性水ガラスを含まない場合283マイクログラム、含む場合90マイクログラムとなった。ダイオキシン類の生成は、原料であり触媒であるフェノールと塩化第一銅により、大きく促進されたと考えられるが、発生量が約30%に低減されたのはプラスチック消しゴムに含有させておいた発泡性水ガラスの効果によるものと考えられる。
【0034】
従来のプラスチック消しゴムには炭酸カルシウムなどが顔料を兼ねて混合されていたが、近年、多孔質セラミックパウダーを混合して微細な空気を導入し、消し味を滑らかにしたものが市販されている。上記発泡性水ガラスは多孔質セラミックパウダーの一種であり、中空の微細なガラス球を含有している。これを混合した結果、紙との接触が滑らかになり、消しやすくなるなどの効果が見られ、消しゴムとしての性能も向上した。これは消しゴムに関しても飛躍的な技術革新ということが出来る。
【0035】
固形分を約40%含有する発泡性水ガラスをスプレードライ法により、160℃の熱風、12メガパスカルの噴霧圧力で乾燥したところ、図9に示すようにきれいな球形をもつ、平均粒径31.7マイクロメートルの粒子が得られた。みかけ比重は1.28であった。熱風温度は160℃〜200℃がよく、噴霧圧力は8〜12メガパスカルがよい。球形をした無水水ガラス粒子の調製は本技術により可能となった。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本出願の第1、第2発明によれば、塩素含有プラスチックに無水水ガラスを含有させておくことにより、これらを燃焼させたときに発生する塩化水素などの有毒ガスを低減することが出来る。発泡性水ガラスを乾燥させて得られる無水水ガラスは、従来使用されていた炭酸カルシウムなどに比較して、高温で造膜、発泡するという特徴的な性質を有しており、発生する有毒ガスとの接触面積が大きくなることから、効率よく気体を中和、捕集することが出来る。
【0037】
また、無水水ガラス水溶液、中でも発泡性水ガラスをスプレードライ法により乾燥させることで球状粒子とすることに成功した。これによりプラスチックなどに容易に混合でき、混合しても物理的性質に変化を与えない無水水ガラスの調製が可能になった。消しゴムへの適用においては従来品よりもよい性能が出るなど副次的な効果も見られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ポリ塩化ビニル1グラム当たりからの塩化水素発生量
【図2】 ポリ塩化ビニル1グラム当たりからの全塩素発生量
【図3】 塩ビと発泡性水ガラスを900℃で焼成した際の残渣の走査型電子顕微鏡像
【図4】 図3の▲1▼の場所における元素分析の結果(蛍光X線スペクトル)
【図5】 図3の▲2▼の場所における元素分析の結果(蛍光X線スペクトル)
【図6】 塩ビと発泡性水ガラスを900℃で焼成した際の残渣の走査型電子顕微鏡像と元素マッピング図(ケイ素、ナトリウム、塩素)
【図7】 EDXによる塩ビと発泡性水ガラスを900℃で焼成した際の残渣の様々な領域における各元素の半定量分析結果
【図8】 ポリ塩化ビニルに対する発泡性水ガラス乾燥パウダー混合比と塩化水素発生削減率
【図9】 スプレードライ法で調製した発泡性水ガラス粒子の光学顕微鏡写真
Claims (3)
- 塩素含有プラスチックの成形加工時に、発泡性水ガラスを乾燥させて得られる無水水ガラスの粉体を重量比で0.002倍から0.7倍混合して内部に分散させてなり、焼却処分時の有毒ガスの発生を低減させることを特徴とする焼却処分用の塩素含有プラスチック。
- 前記粉体は、粒径100マイクロメートル以下の球形粒子であることを特徴とする請求項1記載の焼却処分用の塩素含有プラスチック。
- 塩素含有プラスチックの成形加工時に、発泡性水ガラスを乾燥させて得られる無水水ガラスの粉体を重量比で0.002倍から0.7倍混合して内部に分散させておき、焼却時に発生する塩化水素を無水水ガラスのアルカリ分により中和し、食塩として焼却残渣のマトリックス上に捕集することを特徴とする塩素含有プラスチックの焼却処分方法。
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