JP3864470B2 - 酸化防止剤組成物及びこれを含有した食品又は飼料 - Google Patents

酸化防止剤組成物及びこれを含有した食品又は飼料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は酸化防止剤組成物及びこれを含有した食品又は飼料に関し、更に詳しくは、抗酸化剤と卵殻膜を含有してなる酸化防止力の向上を目的とした酸化防止剤組成物、及びこれを含有した酸化安定性に優れた食品又は飼料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高度不飽和脂肪酸であるリノール酸、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸等が、疫学的に抗血栓作用や血清コレステロール値を降下させる作用を有することから、多くの食品又は飼料に配合させるようになった。
【0003】
しかしながら、このような高度不飽和脂肪酸を含有した食品又は飼料は、保存状態が悪いとその脂肪酸が経時的に酸化されて、風味の劣化、酸化臭の発生等がおきて商品価値を落とすことが問題となっている。
【0004】
そこで、このような酸化を防止する目的として、従来より、トコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩、アスコルビン酸エステル、種々の蛋白質加水分解物及びこれらを組み合わせた酸化防止剤組成物が使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の酸化防止剤組成物は、その効果は充分でなく、より効果のある酸化防止剤組成物が望まれている。
本発明の目的は、従来の酸化防止剤組成物に比べより酸化防止効果に優れた新規な酸化防止剤組成物及びこれを含有した食品又は飼料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)トコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びアスコルビン酸エステルのうちの1種又は2種以上を組み合わせてなる抗酸化剤と、少なくとも一工程で卵殻膜を酸加水分解して得られる可溶性卵殻膜とを含有してなることを特徴とする酸化防止剤組成物、(2)前記(1)記載の食品用又は飼料用酸化防止剤組成物を含有してなることを特徴とする食品又は飼料、及びトコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びアスコルビン酸エステルのうちの1種又は2種以上を組み合わせてなる抗酸化剤と、少なくとも一工程で卵殻膜を酸加水分解して得られる可溶性卵殻膜とを含有してなることを特徴とする食品又は飼料を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。尚、本発明において「%」はすべて「重量%」を意味する。
本発明に於いて「抗酸化剤」とは、それ自体で抗酸化力を有するもので、例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール又はこれらの混合物のトコフェロール、アスコルビン酸ナトリウム等のアスコルビン酸塩、アスコルビン酸パルミチン酸エステル又はアスコルビン酸ステアリン酸エステル等のアスコルビン酸エステル、アスコルビン酸、エリソルビン酸、卵白又は大豆等の蛋白質加水分解物、没食子酸、没食子酸プロピル等の没食子酸エステル、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸又はリンゴ酸等の多塩基有機酸等があげられる。
これらの抗酸化剤の内、トコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びアスコルビン酸エステルは、卵殻膜と組み合わせることで他の抗酸化剤と比べ、より酸化防止効果を奏し好ましい。
【0008】
また、本発明に於いて「卵殻膜」とは、鳥卵(代表的には鶏卵)から採取した卵殻膜を乾燥後粉末化又は粉末化後乾燥して得られた粉末状卵殻膜、あるいは卵殻膜を酸、アルカリ、酸化剤、還元剤、酵素等で加水分解し、水に可溶な性状とした可溶性卵殻膜をいう。
【0009】
「抗酸化剤と卵殻膜とを含有してなる」とは、抗酸化剤と卵殻膜とが何らかの状態で含有していれば足りる。例えば、粉末状の抗酸化剤に粉末状卵殻膜あるいは可溶性卵殻膜が混和した状態のもの、又は抗酸化剤の溶解液あるいは乳化液に粉末状卵殻膜が分散した状態のもの、あるいは可溶性卵殻膜が溶解した状態のもの等があげられる。
【0010】
「卵殻膜が少なくとも一工程において酸加水分解して得られる可溶性卵殻膜」とは、卵殻膜を酸加水分解のみ又は酸加水分解とアルカリ加水分解や酵素分解等の他の加水分解とを組み合わせた方法で処理して得られる可溶性卵殻膜である。少なくとも一工程において酸加水分解して得られた可溶性卵殻膜は、加水分解していない粉末状卵殻膜や酸加水分解以外の加水分解で得られた可溶性卵殻膜に比べ、抗酸化剤と組み合わせた場合において、より酸化防止効果を奏し好ましい。酸加水分解に用いる酸剤としては、塩酸、硫酸、硝酸又は酢酸等があるが、一般的に用いられている塩酸を用いた場合は、塩酸濃度が0.5N(規定度)未満では卵殻膜を分解するのに時間を要するため、0.5N(規定度)以上としたほうが生産性の面から望ましい。
【0011】
「酸化防止剤組成物を含有してなる食品又は飼料」とは、食品又は飼料に結果として抗酸化剤と卵殻膜を含んでいる状態をいい、このような状態を得る方法としては、抗酸化剤と卵殻膜を含有した酸化防止剤組成物を食品等に添加する方法及び抗酸化剤と卵殻膜を別々に添加する方法等がある。
【0012】
「食品」とは、例えば、おかき、煎餅、おこし、饅頭、飴等の和菓子、クッキー、ビスケット、クラッカー、パイ、カステラ、ドーナッツ、プリン、スポンジケーキ、ワッフル、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、チョコレート、チョコレート菓子、キャラメル、キャンデー、キューインガム、ゼリー、ホットケーキ、パン、菓子パン等の各種洋菓子、ポテトチップ等のスナック菓子、アイスクリーム、アイスキャンデー、シャーベット等の氷菓、乳酸飲料、乳酸菌飲料、濃厚乳性飲料、果汁飲料、果肉飲料、機能性飲料、炭酸飲料等の清涼飲料水、緑茶、紅茶、コーヒー、ココア等の嗜好品及びこれらの飲料、発酵乳、加工乳、チーズ等の乳製品、豆乳、豆腐等の大豆加工食品、ジャム、果実のシロップ漬、フラワーペースト、ピーナツペースト、フルーツペースト等のペースト類、漬物類、ハム、ソーセージ、ベーコン、ドライソーセイジ、ビーフジャーキー等の畜肉製品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、はんぺん等の魚貝類製品、魚、貝等の干物、鰹、鯖、鰺等の各種節、ウニ、イカ等の塩辛、スルメ、魚等のみりん干、鮭等の燻製品、のり、小魚、貝、山菜、椎茸、昆布等の佃煮、カレー、シチュー等のレトルト食品、みそ、醤油、ソース、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシング、ブイヨン、焼肉のタレ、カレールー、シチューの素、スープの素、だしの素等の各種調味料、米飯類、油脂を含有する各種レンジ及び冷凍食品等、酸化安定性を必要とする食品をいう。
【0013】
「飼料」とは、食用として飼育されている鶏、牛、豚等の餌、犬及び猫等のペット用の餌、金魚、鯉、グッピー等の観賞魚用の餌、ハマチ、鰻等の養殖魚用の餌等をいう。
【0014】
本発明の酸化防止剤組成物が、従来品に比べてより優れた酸化防止効果をなぜ発揮するか、その理由は定かでないが、卵殻膜のアミノ酸組成又は構成アミノ酸の配列により、抗酸化剤と卵殻膜とを組み合わせることで抗酸化剤が有する酸化防止効果を卵殻膜が助長するからではないかと推察される。
【0015】
本発明の酸化防止剤組成物の代表的な製造方法を以下に説明する。
A.卵殻膜の調製
▲1▼粉末状卵殻膜の調製
卵の殻部から卵殻膜を採取する。採取には、通常卵殻の内側に付いている膜を人手や機械を使用して卵殻から分離する。分離の際に卵殻膜に付着・混入した卵殻が人手や機械では除去しにくいときは、塩酸等の酸で付着卵殻(主に炭酸カルシウムからなる)を溶解後、水洗して除去する。
次に、この水分を含んだ卵殻膜を天日又は乾燥機で乾燥後、ハンマーミル(不二パウダル(株)製)又はニュースピードミル(岡田精工(株)製)等の粉砕機で粉砕し、粉末状卵殻膜を得る。さらに、微粉末を所望する場合は、ニューコスモマイザー(奈良機械製作所(株)製)等の微粉砕機で粉砕する。
【0016】
▲2▼可溶性卵殻膜の調製
卵の殻部から得られる卵殻膜あるいは粉末状卵殻膜を可溶性とするため処理する。すなわち、この処理の方法としては、酸、アルカリ、酸化剤、還元剤あるいは酵素等による加水分解があげられ、これらを単独あるいは2種以上の方法を組み合わせて加水分解してもよい。特に、酸加水分解を単独あるいは他の加水分解法と併用した可溶性卵殻膜は、本発明の酸化防止剤組成物がより酸化防止効果を奏し好ましい。以下に、これらの処理法の一例をあげる。
【0017】
酸加水分解法
卵の殻部から得られる卵殻膜あるいは粉末状卵殻膜の乾物換算1部に対し、5〜40部の0.5〜6N(規定度)の塩酸あるいは0.5〜15N(規定度)の硫酸を添加し、例えば常圧下では50〜100℃で30分〜24時間処理し、中和後、濾過、必要に応じさらに脱塩し、可溶性卵殻膜水溶液を得る。
【0018】
アルカリ加水分解法
卵の殻部から得られる卵殻膜あるいは粉末状卵殻膜の乾物換算1部に対し、5〜40部の0.5〜3N(規定度)の水酸化ナトリウムあるいは30〜70容量%のエタノールを含んだ0.5〜3N(規定度)の水酸化ナトリウムを添加し、例えば常圧下では、40〜100℃で30分〜8時間処理し、中和後、濾過、必要に応じさらに脱塩し、可溶性卵殻膜水溶液を得る。
【0019】
酵素加水分解法
卵の殻部から得られる卵殻膜あるいは粉末状卵殻膜の乾物換算1部に対して、10〜40部の水を加え、蛋白質分解酵素、例えばパパイン、パンクレアチン等を卵殻膜の乾物に対し0.5〜20%となるように添加し、該酵素の至適pH及び温度にて5〜40時間処理し、加熱により酵素を失活後、濾過し可溶性卵殻膜水溶液を得る。
【0020】
酸加水分解法と酵素加水分解法の併用
卵の殻部から得られる卵殻膜あるいは粉末状卵殻膜の乾物換算1部に対し、5〜40部の0.5〜6N(規定度)の塩酸あるいは0.5〜15N(規定度)の硫酸を添加し、例えば常圧下では、50〜100℃で30分〜24時間処理し、次に、蛋白質分解酵素の至適pHに調整後、蛋白質分解酵素を卵殻膜の乾物に対し0.1〜20%となるように加え、酵素の至適温度にて5〜40時間処理し、加熱により酵素を失活後、濾過し可溶性卵殻膜水溶液を得る。
【0021】
各種加水分解法で得られた可溶性卵殻膜水溶液は、所望により凍結乾燥(フリーズドライ)、又は噴霧乾燥(スプレードライ)等の乾燥法で乾燥物としてもよい。
【0022】
B.酸化防止剤組成物の調製
▲1▼溶液状の酸化防止剤組成物の調製
トコフェロール、アスコルビン酸エステル等の油溶性の抗酸化剤を、乳化剤で乳化又は含水エタノールに溶解した液、あるいはアスコルビン酸等の水溶性の抗酸化剤の水溶液に、可溶性卵殻膜又は粉末状卵殻膜を添加し、あるいはこれらの抗酸化剤の溶液の調製の際に添加し、溶液状の酸化防止剤組成物を得る。所望により、キサンタンガム、グアガム等の増粘剤及び/又はその他の添加剤を添加することもできる。
【0023】
▲2▼粉末状の酸化防止剤組成物の調製
上述の溶液状の酸化防止剤組成物にあるいは調製の際に、カゼイン等の蛋白質及び/又は乳糖、デキストリン等の糖類等のような粉末化に使用する賦形剤を添加後、凍結乾燥あるいは噴霧乾燥を行い粉末状の酸化防止剤組成物を得る。
【0024】
以上、本発明の酸化防止剤組成物の代表例を説明したが、本発明はこれらの製造方法に限るものではないことは勿論のことである。
【0025】
次に本発明を実施例・試験例に基づき、さらに詳細に説明する。
【実施例】
実施例1
▲1▼卵殻膜の調製
殻付き鶏卵を割卵して卵液を除去した後、得られた卵殻膜付きの卵殻を粉砕した。粉砕物を清水中に入れて攪拌し、卵殻から分離し浮上してきた卵殻膜を採取した。次に、熱風乾燥し、乾燥卵殻膜を得た。この乾燥卵殻膜10kgに1.5N(規定度)塩酸溶液を100L(リットル)加え、90℃で8時間処理した。次に、4N(規定度)水酸化ナトリウム水溶液で中和後、濾過し、電気透析で脱塩し、得られた溶液を噴霧乾燥して粉末状の可溶性卵殻膜を得た。
▲2▼酸化防止剤組成物の調製
上記の粉末状の可溶性卵殻膜50gとデカグリセリンモノオレエート(理研ビタミン(株)製、商品名「ポエムJ−91F」)40gを、清水800gに溶解し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製、商品名「T.K.ホモミクサー」)を用い10000rpmで30分間攪拌しながらトコフェロール(吉原製油(株)製、商品名「ゴールデントコフェロール70」)を60g徐々に添加え、乳化状の酸化防止剤組成物を得た。
【0026】
実施例2
実施例1の乾燥卵殻膜5kgに2N(規定度)水酸化ナトリウム100L(リットル)を加え、70℃で3時間処理した。3N(規定度)塩酸で中和した後、電気透析で脱塩し、凍結乾燥して粉末状の可溶性卵殻膜を得た。次に、実施例1の酸化防止剤組成物の製造と同様な方法で乳化状の酸化防止剤組成物を得た。
【0027】
実施例3
実施例1の粉末状の可溶性卵殻膜50g、デカグリセリンステアレート(理研ビタミン(株)製、商品名「ポエムJ−0081H」)40g及びデキストリン(松谷化学工業(株)製、商品名「パインデックス1」)100gを清水740gに溶解し、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製、商品名「T.K.ホモミクサー」)を用い10000rpmで30分間攪拌しながらトコフェロール(吉原製油(株)製、商品名「ゴールデントコフェロール70」)を60g徐々に添加し、乳化する。この乳化物を噴霧乾燥して粉末状の酸化防止剤組成物を得た。
【0028】
実施例4
実施例1の粉末状の可溶性卵殻膜100gと粉末状トコフェロール(理研ビタミン(株)製、商品名「理研ドライEミックス−20」)20gとを均一に混合し、粉末状の酸化防止剤組成物を得た。
【0029】
実施例5
実施例1及び実施例2で得られた乳化状の酸化防止剤組成物を、それぞれ1%添加した0.1%の食塩水に、丸干しシシャモを15分間浸漬後、水切りし、酸化防止剤組成物で被覆された丸干しシシャモを得た。尚、対照には、可溶性卵殻膜を添加せずに実施例1の酸化防止剤組成物の調製と同様な方法で得られたトコフェロール製剤を用いた。
得られた丸干しシシャモを−20℃で5ヵ月間保存後、焼き、試食した。
その結果、実施例1及び実施例2の可溶性卵殻膜を含有した酸化防止剤組成物で被覆されたたシシャモは、保存後も良好な風味を保っていたのに対し、対照のトコフェロール製剤を用いたほうは、若干酸化臭を有していた。特に、実施例1の酸化防止剤組成物を用いたほうは、保存前と同等の良好な風味を保っていた。
【0030】
実施例6
豚挽肉500gに食塩9.6g、砂糖2g及び砕氷80gを加え塩漬後、実施例3で得られた酸化防止剤組成物を1g添加し、よく混和し羊腸に充填後、加熱殺菌してソーセージを得た。尚、対照には、可溶性卵殻膜を添加せずに実施例3の酸化防止剤組成物の調製と同様な方法で得られたトコフェロール製剤を使用した。
得られたソーセージを4℃で20日間保存後、基準油脂分析試験法に則り過酸化物価(POV)を測定した。
その結果、対照のトコフェロール製剤を添加したほうの過酸化物価は、保存前が8.6meq/kgで保存後が24.8meq/kgであったのに対し、酸化防止剤組成物を添加したほうは、保存前が8.3meq/kgで保存後が9.6meq/kgと過酸化物価の上昇が抑えられていた。
【0031】
実施例7
実施例4で得られた酸化防止剤組成物を含め下記配合にて原料を混合し、10℃で1時間冷却後、整形し、180℃で14分間焙焼してクッキーを製造した。尚、対照として、粉末状トコフェロール(理研ビタミン(株)製、商品名「理研ドライEミックス−20」)を使用した。
得られたクッキーをポリエチレン袋に入れ、35℃で1ヵ月間保存後、試食した。
その結果、可溶性卵殻膜を含有した酸化防止剤組成物を用いたほうは、保存後も良好な風味を有していたのに対し、対照の粉末状トコフェロールを用いたほうは、若干酸化臭を有していた。
バター 140 g
ショートニング 140 g
ブラウンシュガー 100 g
グラニュー糖 70 g
全卵 120 g
薄力粉 310 g
炭酸水素ナトリウム 2.2g
食塩 2.5g
酸化防止剤組成物 2 g
【0032】
実施例8
▲1▼卵殻膜の調製
殻付き鶏卵を割卵して卵液を除去した後、得られた卵殻膜付きの卵殻を粉砕した。粉砕物を清水中に入れて攪拌し、卵殻から分離し浮上してきた卵殻膜を採取した。次に、遠心式脱水機で脱水し固形分21重量%の浸潤した卵殻膜を得た。この浸潤した卵殻膜20kgに、1N(規定度)塩酸溶液を50L(リットル)加え、90℃で15時間処理した。次に、4N(規定度)水酸化ナトリウム水溶液でpH5.5に調整後、蛋白質分解酵素(ノボ ノルディックスバイオインダストリー社製、商品名「フレーバーザイムMG」)40gを添加し55℃で4時間処理後、4N(規定度)水酸化ナトリウム水溶液でpH7に調整し、さらに、フレーバーザイムMGを40g添加し、50℃で4時間処理した。次に、この酵素処理液を90℃で30分間加熱処理を行い酵素を失活させ、活性炭2kgで脱色後、濾過し、得られた水溶液を電気透析で脱塩し凍結乾燥して、粉末状の可溶性卵殻膜を得た。
▲2▼食品の製造
上記の可溶性卵殻膜を含め下記配合にて原料を混合し、180℃で20分間焼き、スポンジケーキを製造した。尚、対照には可溶性卵殻膜を配合しなかった。
得られたスポンジケーキを−20℃で6ヵ月間保存後、試食した。
その結果、可溶性卵殻膜を配合したほうは、保存後も良好な風味を有していたのに対し、対照は、若干酸化臭を有していた。
全卵 180 g
グラニュー糖 200 g
薄力粉 190 g
レモン汁 30 g
バター 50 g
可溶性卵殻膜 1 g
(レモン汁中のアスコビン酸の含有量は、13.3mgである)
【0033】
実施例9
実施例4で得られた酸化防止剤組成物を含め下記配合にて原料を混合し、鶏用の飼料を調製した。尚、対照には、粉末状トコフェロール(理研ビタミン(株)製、商品名「理研ドライEミックス−20」)を使用した。
得られた飼料を35℃で1ヵ月間保存後、風味試験を行った。
その結果、酸化防止剤組成物を配合したほうは、保存前後で風味に殆ど差がみられなかったのに対し、対照は酸化臭を有していた。
トウモロコシ 730 g
ルーサンミール 30 g
大豆ミール 130 g
魚粉 60 g
炭酸カルシウム 70 g
食塩 2 g
酸化防止剤組成物 1 g
【0034】
【試験例】
試験例1
試験方法
▲1▼測定試料の調製
50mL(ミリリットル)容サンプル瓶に、56mg/mL濃度のリノール酸のエタノール溶液2.5mL、表1に示す量の卵殻膜及び/又は抗酸化剤とpH7の0.1M(モル濃度)クエン酸−0.1Mリン酸緩衝液及びエタノール濃度が20容量%となるようにエタノールを加えて、全量25mLの測定試料を調製した。尚、卵殻膜は実施例1の卵殻膜の調製で得られた可溶性卵殻膜を用いた。▲2▼上記の各測定試料を35℃で保存し、経時的にロダン鉄法にて過酸化物価(POV)測定した。
すなわち、測定液0.1mLに75%含水エタノール4.7mL、30%ロダンアンモニウム0.1mL及び0.02M塩化第一鉄/3.5%塩酸0.1mLを加え、正確に3分後、500nmの吸光度を測定し、測定液の代わりに精製水を用いた時の吸光度をブランクとして、その差が0.3以上となるまでの日数を誘導期間として、各測定試料の酸化防止力を比較した。
【0035】
【表1】
Figure 0003864470
【0036】
表1より、卵殻膜と抗酸化剤を同時に配合した(試料No.4、5、6、8、10、12及び14)場合は、抗酸化剤単独よりも何れも酸化防止力が増しており、特に、卵殻膜とトコフェロール(試料No.4、5及び6)又はアスコルビン酸類(試料No.8及び10)の場合は、他の抗酸化剤より誘導日数が著しく増加し、酸化防止力が増強されていることが理解される。
【0037】
試験例2
試験方法
▲1▼測定試料の調製
ラードにトコフェロールを0.02%及び可溶性卵殻膜を含め蛋白質加水分解物を1%添加し均一にした。
▲2▼測定試料3.5gをランシマット(メトローム社製)にセットし、測定温度:120℃、空気量:20L/hの条件で、誘導時間を測定し、各測定試料の酸化防止力を比較した。
【0038】
【表2】
Figure 0003864470
【0039】
表2より、他の蛋白質加水分解物よりも可溶性卵殻膜を使用した酸化防止剤組成物(試料No.15〜18)のほうが、誘導時間が長く、酸化防止力が優れていることが理解される。また、可溶性卵殻膜のうち、少なくとも一工程で酸加水分解して得られた可溶性卵殻膜を使用した酸化防止剤組成物は、さらに誘導時間が長くなり、酸化防止力が優れていることが理解される。
【0040】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により抗酸化剤と卵殻膜を利用した酸化防止に優れた新規な酸化防止剤組成物及びこの酸化防止剤組成物を含有した酸化安定性に優れた食品又は飼料が提供され、卵殻膜の用途を拡大するものである。

Claims (6)

  1. トコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びアスコルビン酸エステルのうちの1種又は2種以上を組み合わせてなる抗酸化剤と、少なくとも一工程で卵殻膜を酸加水分解して得られる可溶性卵殻膜とを含有してなることを特徴とする食品用酸化防止剤組成物。
  2. 請求項1記載の食品用酸化防止剤組成物を含有してなることを特徴とする食品。
  3. トコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びアスコルビン酸エステルのうちの1種又は2種以上を組み合わせてなる抗酸化剤と、少なくとも一工程で卵殻膜を酸加水分解して得られる可溶性卵殻膜とを含有してなることを特徴とする食品。
  4. トコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びアスコルビン酸エステルのうちの1種又は2種以上を組み合わせてなる抗酸化剤と、少なくとも一工程で卵殻膜を酸加水分解して得られる可溶性卵殻膜とを含有してなることを特徴とする飼料用酸化防止剤組成物。
  5. 請求項4記載の飼料用酸化防止剤組成物を含有してなることを特徴とする飼料。
  6. トコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩及びアスコルビン酸エステルのうちの1種又は2種以上を組み合わせてなる抗酸化剤と、少なくとも一工程で卵殻膜を酸加水分解して得られる可溶性卵殻膜とを含有してなることを特徴とする飼料。
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