JP2013236616A - 飼育方法及び飼育施設 - Google Patents
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Abstract
【課題】卵、食肉などの製品の品質を向上させるとともに、更に、衛生的な飼育環境を維持しながら、飼料要求率などを改善することが可能な飼育方法を提供する。
【解決手段】家畜の鶏又は豚を飼育する飼育方法であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記家畜に7日間以上継続して摂取させることで、当該家畜の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。又、前記家畜が鶏であれば、当該鶏が生む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせる。更に、前記家畜に、食塩が少量添加された食塩水を電気分解することで得られた殺菌力のある電解水を飲料水として前記期間摂取させる。飼育施設であっても同様である。
【選択図】図1
【解決手段】家畜の鶏又は豚を飼育する飼育方法であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記家畜に7日間以上継続して摂取させることで、当該家畜の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。又、前記家畜が鶏であれば、当該鶏が生む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせる。更に、前記家畜に、食塩が少量添加された食塩水を電気分解することで得られた殺菌力のある電解水を飲料水として前記期間摂取させる。飼育施設であっても同様である。
【選択図】図1
Description
本発明は、飼育方法及び飼育施設に関し、詳しくは、卵、食肉などの製品の品質を向上させるとともに、更に、衛生的な飼育環境を維持しながら、飼料要求率などを改善することが可能な飼育方法及び飼育施設に関する。
従来より、牛、豚、鶏などの家畜を飼育する現場において、その生産性向上や食肉の肉質改善などが様々な観点より取り組まれている。
例えば、特開平7−227219号公報(特許文献1)には、家禽類の飲用水として、酸素を所定量含有した高酸素濃度水を家禽類に供与する飼育方法が開示されている。これにより、高酸素濃度水が機能して、家禽類の腸内菌数を改善し、家禽類の排泄物におけるアンモニア発生を抑制することが出来るとしている。
又、特開平11−221026号公報(特許文献2)には、家禽類の飲用水として、ナトリウム濃度が所定量以下であって、弱酸性である電解水を家禽類に供与する飼育用水が開示されている。これにより、電解水が機能して、飼育用の機器類の腐食が抑制され、家禽類の健康維持と疾病予防を図れるとしている。
更に、特開2004−321033号公報(特許文献3)には、アガリクス及び/又はその処理物を含有してなる動物用飼料が開示されている。これにより、家畜、家禽、養殖魚介などの品質を改善し、当該品質が改善された動物の肉及び卵、並びに該卵を用いて製造された食品及び食品素材に優れた風味、食感を付与出来るとしている。
そして、特開2005−119983号公報(特許文献4)には、ビタミンC、鉄剤及びコラーゲンを含有するコラーゲン産生促進用栄養組成物及びこれを飼料に混合してなることが開示されている。当該飼料をラットなどの動物に経口で摂取させることにより、動物の皮膚や骨等の生体内でのコラーゲン産生を促進させ、肉質改善を図ることが出来るとしている。
又、特開2005−304486号公報(特許文献5)には、家禽類に飼料と共に供与して家禽類を飼育するための飲用水であり、当該飲用水は、水を被電解水とする有隔膜電解にて生成される電解生成アルカリ性水である家禽類の飲用水が開示されている。これにより、家禽類に効率よくタンパク質を蓄積させることが可能となり、低タンパク質の飼料を用いた飼育管理を行うことが出来て、飼料の節約が可能となるとしている。
又、特開2006−94785号公報(特許文献6)には、家畜又は産卵鶏の飼料あるいは飲水に電子チャージ処理を施し、その飼料、飲水を家畜又は産卵鶏に給与する飼育方法が開示されている。これにより、育成中や肥育中の家畜の飼料要求率を改善するとともに、家畜の体重増加率を大きくして、家畜の生産効率を向上させることが出来るとしている。又、産卵鶏の産卵率を向上させるとともに、飼料要求率を低減させて、生産効率に好影響を与えることが出来るとしている。
又、特開2008−99号公報(特許文献7)には、次亜塩素酸の濃度が、残留塩素濃度として50ppm〜200ppmである次亜塩素酸含有水からなる家畜用飲料水が開示されている。これにより、家畜腸内の大腸菌の減少や家畜体内の脂肪を減少させ、家畜の健康を改善・向上することが出来るとしている。
ところで、上述した家畜の食肉や卵に、例えば、特定の栄養分を充実させるために、当該家畜の飼料に特定の栄養分を添加して、当該飼料を家畜に自由摂取させたり毎日所定量だけ摂取させたりする。ここで、家畜の体内では、通常、飼料から必要以上に多量の栄養分を吸収・蓄積することが無いため、当該飼料中の過剰な栄養分は糞として排出される。この糞中の特定の栄養分は破棄されるため、添加した特定の栄養分が効率よく家畜の体内に吸収されずに無駄になるという問題がある。そのため、上述した家畜の飼育現場では、飼料に添加した特定の栄養分を如何に効率よく家畜に吸収・蓄積させて、食肉などの製品に反映させるかが大きな問題となっている。特に、前記家畜のうち、鶏又は豚の食肉としての製品価値を高めるための飼育方法の解明は、大きな問題である。
又、前記家畜が卵を産む鶏である場合、例えば、夏場から秋口に掛けて、当該鶏が産んだ卵の卵殻が柔らかくなることがある。そのような卵を製品として梱包すると、当該卵が梱包中に容易に割れて、卵の歩留まりが低下するという問題がある。
更に、前記家畜は、一般的に、水を自由に摂取する飼育環境に置かれるが、このような飼育環境で、例えば、夏場から秋口に掛けて、当該家畜が水を過剰に摂取する場合がある。この場合、前記排出された糞に多量の水が含まれ、当該糞に容易にウジが湧いたり蝿が集ったりする。すると、前記飼育環境に悪臭が生じたり、家畜が病気になったりして、当該飼育環境が衛生的に悪化するという問題がある。
上述した問題に対して、前記特許文献1〜7に記載の発明では解決することは出来ない。
そこで、本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、卵、食肉などの製品の品質を向上させるとともに、更に、衛生的な飼育環境を維持しながら、飼料要求率などを改善することが可能な飼育方法及び飼育施設を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、飼育方法及び飼育施設として本発明に係る新規な飼育方法及び飼育施設を完成させた。
即ち、本発明に係る飼育方法は、家畜の鶏を飼育する飼育方法であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記鶏に7日間以上継続して摂取させることで、当該鶏が生む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせることを特徴とする。又、本発明に係る飼育方法は、家畜の鶏を飼育する飼育方法であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記鶏に7日間以上継続して摂取させることで、当該鶏の肉のうち、モモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。又、本発明に係る飼育方法は、前記鶏が生む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせるとともに、当該鶏の肉のうち、モモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。
これにより、鶏が雌鳥である場合、当該鶏の卵の歩留まりを向上させるとともに、当該卵の製品価値を向上させることが可能となる。又、前記鶏が食用鶏である場合、当該鶏の食肉の風味、食感を向上させ、その製品価値を向上させることが可能となる。
又、本発明に係る飼育方法は、家畜の豚を飼育する飼育方法であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記豚に7日間以上継続して摂取させることで、当該豚の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。
これにより、前記家畜が豚であっても、上述と同様に、当該豚の食肉の製品価値を向上させることが可能となる。
又、前記コラーゲンの濃度は、0.02重量%〜0.50重量%の範囲内であり、前記ビタミンCの濃度は、0.01重量%〜0.30重量%の範囲内であるよう構成することが出来る。
又、前記コラーゲンの平均分子量は、300〜1000の範囲内であるよう構成することが出来る。
又、前記飼料に、更に、海藻を添加した構成とすることが出来る。
又、本発明に係る飼育方法は、家畜の鶏又は豚を飼育する飼育方法であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記家畜に7日間以上継続して摂取させるとともに、食塩が少量添加された食塩水を電気分解することで得られた殺菌力のある電解水を飲料水として前記家畜に前記期間摂取させることを特徴とする飼育方法である。
又、前記電解水は、電解次亜水であり、前記電解水のpHは、7.5〜8.5の範囲内であり、前記電解水の有効塩素濃度は、10ppm〜500ppmの範囲内であるよう構成することが出来る。
又、本発明は、家畜を飼育する飼育施設として提供することが出来る。即ち、本発明に係る飼育施設は、家畜の鶏を飼育する飼育施設であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記鶏に7日間以上継続して摂取させる飼料供給部を備え、前記鶏が生む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせる又は当該鶏の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。当該構成としても、上述と同様の効果を得ることが可能となる。
又、本発明に係る飼育施設は、家畜の豚を飼育する飼育施設であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記豚に7日間以上継続して摂取させる飼料供給部を備え、前記豚の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。当該構成としても、上述と同様の効果を得ることが可能となる。
又、本発明に係る飼育施設は、家畜の鶏又は豚を飼育する飼育施設であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記家畜に7日間以上継続して摂取させる飼料供給部と、食塩が少量添加された食塩水を電気分解することで得られた殺菌力のある電解水を飲料水として前記家畜に前記期間摂取させる飲料水供給部とを備えることを特徴とする。当該構成としても、上述と同様の効果を得ることが可能となる。
又、本発明は、本発明に係る飼育方法又は飼育施設で飼育された鶏の卵を製造原料として利用した食品又は化粧品として提供することが出来る。
本発明に係る飼育方法及び飼育施設は、卵、食肉などの製品の品質を向上させるとともに、更に、衛生的な飼育環境を維持しながら、飼料要求率などを改善することが可能となる。
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る飼育方法及び飼育施設の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
<飼育方法>
本発明に係る飼育方法は、家畜の鶏を飼育する飼育方法であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記鶏に7日間以上継続して摂取させることで、当該鶏が生む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせることを特徴とする。
ここで、卵殻の内側に存在する繊維質の卵殻膜は、本来、卵内部への細菌の侵入を防ぐ機能を有しており、その構成要素は蛋白質であることから、上述のように、蛋白質であるコラーゲンと、ビタミンCとを飼料を介して鶏に所定期間、摂取させる。前記ビタミンCは、鶏体内で摂取時のコラーゲンを良質のコラーゲンに成熟して当該コラーゲンの吸収・蓄積を促進する。そのため、当該鶏の産む卵の卵殻膜は厚くなり、弾力が出て、卵殻強度が増す。その結果、卵殻を十分に硬くし、卵の梱包時に割れることが殆ど無くなり、当該卵の歩留まりを向上させることが可能となる。又、卵の卵黄に、コラーゲンに起因した蛋白質が十分に含まれるから、美味な卵黄となり、当該卵全体としての製品価値を向上させることが可能となる。更に、卵の卵白にも、コラーゲンに起因した蛋白質が十分に含まれるため、従来の卵の卵白と比較して盛り上がり、美味な卵白となり、当該卵全体としての製品価値を向上させることが可能となる。
そして、本発明に係る飼育方法で育てた鶏の卵を、焼菓子等の食品又は化粧水等の化粧品の製造原料として用いると、当該製造された食品又は化粧品の商品価値を向上させることが可能となる。
又、本発明に係る飼育方法は、家畜の鶏を飼育する飼育方法であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記鶏に7日間以上継続して摂取させることで、当該鶏の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。
コラーゲンとビタミンCとの組み合わせにより、前記鶏に効率よくコラーゲンを蓄積させることが可能となり、当該鶏肉の風味を良くし、適度な弾力のある食感を生じさせて、鳥肉の製品価値を向上させることが可能となる。そして、本発明に係る飼育方法で育てた鶏の肉を、鶏のから揚げ、ローストチキン、照り焼きチキン、鶏もも肉の南蛮、鶏もも肉のステーキ、鶏むね肉のチキンカツ、鶏むね肉の柚子胡椒焼き、鶏ささみのバンバンジー、鶏ささみのフライ、鶏手羽の煮付け、鶏手羽のから揚げ等の食品の製造原料として用いると、風味及び食感の優れた食品を提供することが可能となる。
尚、本発明に係る飼育方法が、産卵鶏(採卵鶏、雌鳥)に採用される場合は、当該鶏が生む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせる。又、本発明に係る飼育方法が、食用鶏(例えば、ブロイラー)に採用される場合は、当該鶏の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させる。一方、産卵鶏であっても、当該産卵鶏が産む卵が経済的に利用出来なくなった場合に、当該産卵鶏を廃鶏として食用鶏に利用することがある。そのような利用形態の鶏に本発明に係る飼育方法が採用される場合は、当該鶏が生む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせるとともに、当該鶏の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることになる。
又、本発明に係る飼育方法は、家畜の豚を飼育する飼育方法であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記豚に7日間以上継続して摂取させることで、当該豚の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。
これにより、コラーゲンとビタミンCとの組み合わせにより、上述と同様に、前記豚に効率よくコラーゲンを蓄積させることが可能となり、当該豚肉の風味を良くし、適度な弾力のある食感を生じさせて、豚肉の製品価値を向上させることが可能となる。
そして、本発明に係る飼育方法で育てた豚の肉を、豚の生姜焼き、豚の角煮、スペアリブ、チャーシュー、酢豚、豚バラ肉の煮込み、豚バラ肉のキムチ炒め、豚こま切れ肉の竜田揚げ、豚こま切れ肉のチンジャオロース、豚薄切れ肉の豚汁、豚薄切れ肉の豚シャブ、豚かたまり肉の炒め煮、豚かたまり肉の蒸し煮等の食品の製造原料として用いると、風味及び食感の優れた食品を提供することが可能となる。
ここで、コラーゲンとは、真皮、靱帯、腱、骨、軟骨などを構成する蛋白質のひとつであり、当該コラーゲンの種類は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはない。前記コラーゲンとして、例えば、牛、豚などの哺乳類または魚類の骨や皮膚などから酸処理またはアルカリ処理によって抽出された抽出物、アミノコラーゲン、ブタコラーゲン、天然コラーゲン、マリンコラーゲン、海洋性コラーゲン、フィッシュコラーゲン、活性2型コラーゲン、豚足、ゼラチン、牛筋、鶏軟骨、鶏皮、魚皮、ふかひれ、えいひれ、又、それらをペプシンやトリプシン、キモトリプシンなどのタンパク質分解酵素などで加水分解されたペプチドなどが採用される。
尚、コラーゲンは、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、1種類のコラーゲンであっても、2種類以上のコラーゲンの混合物であっても構わない。尚、本明細書に記載のコラーゲンは、これら両方の意味を包含する。
又、コラーゲンには、一般的に、I型コラーゲンからVIII型コラーゲンまで存在するが、本発明に係るコラーゲンは、I型又はII型コラーゲン、その組み合わせを採用すると好ましい。ここで、I型コラーゲンは、線維性コラーゲンであり、骨、皮膚の真皮などに多量に含まれ、又、II型コラーゲンは、線維性コラーゲンであり、軟骨などに多量に含まれる。
又、飼料に添加されるコラーゲンの形態(状態)は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定はなく、例えば、採取された生のまま添加されても、適宜裁断して添加されても良いし、抽出物、乾燥物、粉砕物、粉末、ペレットなどの形態で添加されても構わない。
又、ビタミンCは、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム等のアスコルビン酸誘導体、アスコルビン酸を乳化剤などでコーティングしたアスコルビン酸製剤、アセロラ、レモン、みかんなどのビタミンCを含有する天然物、抽出物などが採用される。
又、上述したビタミンCは、本発明の目的を阻害しない限り、1種類のビタミンCであっても、2種類以上のビタミンCの混合物であっても良く、特に限定することはない。
尚、ヒドロキシプロリンは、コラーゲンのみに含まれる特殊なアミノ酸で、コラーゲンを構成する全アミノ酸の約10%を占めることから、家畜の肉に当該ヒドロキシプロリンの量が増加することは、当該肉にコラーゲンの量が増加することに対応する。前記ヒドロキシプロリンの量は、通常、高速液体クロマトグラフィにより測定される。本発明に係る家畜の肉では、少なくとも、モモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量が増加されるが、他の部位の肉、例えば、鶏であれば、ささみ、むね、手羽元、手羽先、砂ギモ、キモ、がら等の肉に含まれるヒドロキシプロリンの量も増加され、豚であれば、肩ロース、ロース、ヒレ、バラ、すね等の肉に含まれるヒドロキシプロリンの量も増加される。
又、飼料に対するコラーゲンの濃度は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはないが、前記コラーゲンの濃度としては、例えば、飼料の全重量に対して0.02重量%以上が好ましく、経済的な観点から、0.02重量%〜0.50重量%の範囲内が更に好ましく、0.02重量%〜0.20重量%の範囲内が最も好ましい。このように構成すると、鶏又は豚により糞として排出されるコラーゲン量を減少させて、効率よく家畜体内にコラーゲンを吸収・蓄積させることが可能となる。尚、前記コラーゲンの濃度を、0.02重量%未満とすると、前記卵殻膜の厚みが厚くならない場合があるとともに、家畜体内でのヒドロキシプロリンの量の増加が見られない場合があり、好ましくない。
又、コラーゲンの平均分子量は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはないが、前記コラーゲンの平均分子量として、例えば、300〜1000の範囲内であれば、家畜体内へのコラーゲンの吸収・蓄積を促進するため、好ましい。一方、コラーゲンの平均分子量が、300未満(例えば、250)又は、1000を越えると、当該コラーゲンの吸収・蓄積が効率よく行われない場合があり、好ましくない。
又、飼料に対するビタミンCの濃度は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、前記コラーゲンの濃度を考慮すると、前記ビタミンCの濃度としては、例えば、飼料の全重量に対して0.01重量%以上が好ましく、経済的な観点から、0.01重量%〜0.30重量%の範囲内が更に好ましく、0.01重量%〜0.30重量%の範囲内が最も好ましい。
又、上述した飼料を家畜の鶏又は豚に摂取させる所定期間は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、前記期間としては、例えば、少なくとも7日以上であると好ましく、14日以上であると更に好ましく、60日以上であると最も好ましい。前記期間は、前記家畜の鶏又は豚が摂取した飼料中のコラーゲンが体内に反映される期間に対応する。尚、前記期間を、7日未満とすると、前記飼料中のコラーゲンが体内に反映されずに、良好な卵や良質な食肉が出来ない場合があり、好ましくない。
又、上述した飼料には、本発明の目的を阻害しない限り、所定の添加物(飼料添加物とする)が添加されていても良い。ここで、前記飼料添加物として、例えば、海藻を添加すると、好ましい。前記海藻には、カルシウム、亜鉛、ヨウ素(ヨード)などのミネラルや、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウムなどの食物繊維や、多糖類のフコイダン・フノラン、アミノペプチドの海苔ペプチド・わかめペプチドなどの栄養素が多く含まれている。そのため、上述したコラーゲンとビタミンCと海藻との組み合わせにより、上述したコラーゲンの体内吸収・蓄積を更に促進させることが可能となるとともに、当該組み合わせの飼料を摂取した鶏の卵は、黄身が濃くなるとともに、粘りが生じ、味わいのある卵となり、好ましい。前記海藻は、どのような種類でも良く、例えば、海で採取される種子植物、海産の水草、褐藻類、紅藻類、緑藻類が挙げられる。又、前記海藻の形態(状態)は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定はなく、上述したコラーゲンと同様に、例えば、採取された生のまま添加されても、適宜裁断して添加されても良いし、抽出物、乾燥物、粉砕物、粉末、ペレットなどの形態で添加されても構わない。
又、前記飼料添加物としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などの脂肪酸、食塩、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、無水ケイ酸などのミネラル類、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビオチン、葉酸、パントテン酸などのビタミン類、リジン、グリシン、メチオニンなどのアミノ酸、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチンなどの乳化剤、乳酸菌などの生菌剤、鉄、亜鉛、マンガン、銅などの微量ミネラル、ハナビラタケ、マイタケ、シイタケ、冬虫夏草等のキノコ又はキノコ成分、酒粕、抗酸化剤、防カビ剤、食物繊維などが採用される。
ここで、前記リジンは、塩基性の必須アミノ酸であるが、上述したビタミンCと同様に、家畜体内で摂取時のコラーゲンを良質のコラーゲンに成熟させ、当該コラーゲンの吸収・蓄積を促進させる。前記リジンは、L−リジン、L−リジン誘導体、L−リジン製剤、L−リジンを含有する天然物、抽出物などが採用され、本発明の目的を阻害しない限り、1種類のリジンであっても、2種類以上のリジンの混合物であっても良く、特に限定することはない。尚、ここで列記した飼料添加物の飼料に対する添加量は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定するものではない。
又、飼料の種類は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、前記飼料として、例えば、とうもろこし、マイロ、コウリャンなどの乾物類、大豆油粕、なたね油粕、ごま油粕、綿実油粕などの油粕類、魚粉、肉骨粉などの動物性飼料原料、澱粉、大豆、小麦等の穀類及びその加工品、ミートミール、チキンミール、ラード、牛脂などの動物性油脂、ナタネ油、パーム油、ヤシ油、大豆油、サフラワー油、コーン油、綿実油などの植物性油脂など、これらの混合物が採用される。
又、前記飼料を家畜に摂取させる方法は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、当該方法として、例えば、前記飼料を毎日所定量だけ家畜に摂取可能に供給する飼料供給部を用いて当該飼料を家畜に毎日所定量だけ摂取させる方法、前記飼料を常に家畜に摂取可能に供給する飼料供給部を用いて当該飼料を家畜に毎日自由に摂取させる方法などが採用される。前記飼料を家畜に毎日所定量だけ摂取させる方法は、当該家畜が鶏の場合、例えば、ゲージ飼いが採用され、前記飼料を家畜に毎日自由に摂取させる方法は、当該家畜が鶏の場合、例えば、平飼いが採用されるが、特に限定は無い。
又、本発明に係る飼育方法で育てた鶏の卵が製造原料として利用される食品は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することは無く、例えば、スポンジケーキ、チーズケーキ、ドーナツ、ワッフル、スコーン、シュークリーム、ビスケット、クッキー、チーズタルト、カステラ、スフレ、食パン、コッペパン、ロールパン、菓子パン、デニッシュ、クロワッサン、フランスパン、プリン、ババロア、アイスクリーム、ハンバーグ、ソーセージ、蒲鉾、マヨネーズ、ドレッシング、クレープ、饅頭、サプリメント等が挙げられる。本発明に係る飼育方法で育てた鶏の卵を利用した食品は、従来の卵を利用した食品と比較して、よりソフトな食感を得ることが可能となる。特に、本発明に係る飼育方法で育てた鶏の卵を利用した食品のうち、スポンジケーキ等の焼き菓子は、よりソフトな食感を得るとともに、全体としてより膨らみを得ることが可能となる。
更に、本発明に係る飼育方法で育てた鶏の卵が利用される食品は、例えば、卵スープ、わかめスープ、即席スープ、お茶漬けのり、ふりかけ、お茶漬けのもと、穀物の加工品、うどんの麺、即席うどんの麺、そばの麺、即席そばの麺、そうめんの麺、即席そうめんの麺、パスタ、スパゲッティの麺、即席スパゲッティの麺等が挙げられる。
尚、本発明に係る飼育方法で育てた鶏の卵が製造原料として食品に利用される場合、利用方法は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することは無く、公知の方法で構わない。又、例えば、本発明に係る飼育方法で育てた鶏の卵が食品に利用される場合、当該食品の種類に応じて当該卵の卵黄、卵白、卵殻膜を選択して利用される。具体的には、前記食品がスポンジケーキであれば、前記卵の卵黄と卵白とが利用され、前記食品がサプリメントであれば、前記卵の卵殻膜が利用される。ここで、前記卵の卵殻膜を利用する場合、当該卵殻膜を所定の装置で細かく裁断したり所定の装置又は酵素で水に溶解させたりした後に、前記食品に利用される。
又、本発明に係る飼育方法で育てた鶏の卵が製造原料として利用される化粧品は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することは無く、例えば、化粧水、スキンケアクリーム、栄養クリーム、ハンドクリーム、コールドクリーム、クリーム、軟膏、栄養乳液、乳液、おしろい、美容液、パック、洗顔料、クレンジング剤、ヘアケア剤、スキンローション、ローション、マスカラ、石鹸、浴用剤、シャンプー、リンス、リップスティック、口紅、クリーミーファンデーション、ファンデーション、紫外線ケア用化粧品等が挙げられる。特に、前記卵のどの部分(卵黄、卵白、卵殻膜等)を利用してもよいが、本発明に係る飼育方法で育てた鶏の卵の卵殻膜は、上述した種類の化粧品に好適に利用される。
尚、本発明に係る飼育方法で育てた鶏の卵が製造原料として化粧品として利用される場合、利用方法は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することは無く、公知の方法で構わない。例えば、本発明に係る飼育方法で育てた鶏の卵が化粧品に利用される場合、当該食品の種類に応じて当該卵の卵黄、卵白、卵殻膜を選択して利用される。具体的には、前記化粧品が化粧水、乳液であれば、前記卵の卵殻膜が利用され、前記化粧品がクリーム、美容液であれば、前記卵の卵黄、卵白、卵殻膜のいずれか又はその組み合わせが利用される。ここで、前記卵の卵殻膜を利用する場合、当該卵殻膜を所定の装置で細かく裁断した後に、アルカリ性溶媒に添加し、所定温度加熱することで、前記卵殻膜を加水分解して、化粧品の成分とする。本発明に係る飼育方法で育てた鶏の卵を利用した化粧品は、従来の卵を利用した化粧品と比較して、コラーゲンが充実しているため、皮膚へのコラーゲン浸透性が高く、皮膚へのコラーゲン生成を促すことが可能となる。
さて、上述した飼料を前記家畜(鶏又は豚)に7日間以上継続して摂取させるとともに、更に、食塩が少量添加された食塩水を電気分解することで得られた殺菌力のある電解水を飲料水として前記家畜に前記期間摂取させると好ましい。
このように構成すると、電解水を摂取した家畜の腸内は、当該電解水に起因する殺菌力により、悪玉菌が減少し、善玉菌が増加するため、前記家畜の抵抗力(免疫力)を向上させることが可能となる。特に、若い家畜(ひよこや子豚)には有効である。
又、前記電解水には、食塩(塩分)が通常の水(例えば、水道水)と比較して多量に含まれているため、前記家畜は、必要以上に電解水を飲水することを避けるようになる。そのため、前記家畜の飲料水の摂取量を著しく低下させる(通常の水の摂取量の2割〜3割程)とともに、当該家畜の飼料の摂取量も低下させる(飼料要求率を低下させる)ことが可能となる。ここで、飲料水及び飼料の摂取量が低下すると、家畜から排出される糞中の水分量や未吸収のコラーゲン量が減少するから、当該糞は、栄養分が殆どない乾燥した固い状態で排出される。又、前記電解水に起因する殺菌力も相俟って、当該糞には、ウジや蝿が湧き難く、悪臭も発生し難くなる。その結果、家畜も病気することが無くなり、衛生的な飼育環境を簡単に形成し、維持することが可能となる。
ここで、食塩水の作成に使用する食塩(塩化ナトリウム、NaCl)の種類は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、当該食塩として、例えば、純度の高い市販の食塩、不純物を含む市販の食塩などが採用される。
又、水に添加する食塩の濃度(量)は、当該食塩水を電気分解することが可能な濃度(微少濃度、少量)であれば、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、前記食塩の濃度として、例えば、水に対して0.005重量%〜0.100重量%の範囲内が好ましい。例えば、水7.5L(7500g)に対してスプーン1杯(2g)の食塩を添加して、当該食塩の濃度を0.027重量%として、上述した食塩水を作成する。尚、通常の水のナトリウム濃度は、0.002重量%(20ppm)以下であり、上述した食塩水は、通常の水よりも食塩が多量に含まれていることになる。
又、食塩を添加する水の種類は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、当該水として、例えば、水道水、地下水、河川水等の水、工業用に生成された純水、イオン交換水などが採用される。
又、食塩水を電気分解する方法は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、当該電気分解する方法として、例えば、(2室式)有隔膜電解槽や(1室式)無隔膜電解槽で電気分解する方法やその他公知の方法が採用される。
又、食塩水を電気分解することで得られる電解水の種類は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、当該電解水として、例えば、(2室式)有隔膜電解槽を用いて得られる酸性電解水又はアルカリ性電解水、(1室式)無隔膜電解槽を用いて得られる電解次亜水などが採用される。尚、前記酸性電解水には、pHが2.2〜2.7の強酸性電解水、pHが2.7〜5.0の弱酸性電解水、pHが5.0〜6.5の微酸性電解水がそれぞれ存在する。又、前記アルカリ性電解水には、pHが11.0〜11.5の強アルカリ性電解水、pHが8〜10のアルカリイオン水がそれぞれ存在する。又、前記電解次亜水は、pHが7.5〜8.5の電解水である。
尚、食塩水を電気分解することにより得られる電解水には、少なくとも次亜塩素酸(HClO)又は次亜塩素酸イオン(ClO−、次亜塩素酸ナトリウムNaClOに対応)を含有する。当該次亜塩素酸又は次亜塩素酸イオンが特定の殺菌力を発揮することになる。前記電解水中の次亜塩素酸又は次亜塩素酸イオンの存在比率は、pHの大小により変動する。
又、前記電解水の次亜塩素酸又は次亜塩素酸イオンに起因する有効塩素濃度は、食塩水の濃度、電気分解時の条件などに応じて変動するものの、例えば、10ppm(0.001重量%)〜500ppm(0.05重量%)の範囲内である。上述した電解水の有効塩素濃度は、家畜(鶏又は豚)が飲水可能な濃度に対応し、家畜が電解水を飲料水として摂取しても、当該家畜の体調(健康状態)に影響を及ぼさない範囲内の濃度を意味する。そのため、前記電解水の有効塩素濃度が、500ppmを越えると、殺菌力が強くなり、毒性となるため、好ましくない。又、前記電解水の有効塩素濃度が、10ppm未満であると、殺菌力が弱くなり、効果が見られないため、好ましくない。
尚、本明細書に記載の殺菌力のある電解水とは、菌液に電解水を添加した場合に当該菌液の一般生菌数を10分の1以下に減少させることが可能な電解水と定義する。前記菌として、例えば、大腸菌、黄色ブドウ球菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)、サルモレラ、緑膿菌、レンサ球菌、枯草菌、カンジダ、黒コウジカビ、O−157などが挙げられる。
又、電解水は、本発明の目的を阻害しない限り、1種類の電解水であっても、2種類以上の電解水の混合物であっても良く、特に限定されない。尚、本明細書に記載の電解水は、これら両方の意味を包含する。
又、前記電解水には、本発明の目的を阻害しない限り、所定の添加物(飲料水添加物とする)が添加されていても良く、前記飲料水添加物として、例えば、無機塩類、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの各種栄養源、抗生物質その他の薬剤などが採用される。尚、電解水に対する飲料水添加物の添加量は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはない。
又、上述した飲料水を家畜の鶏又は豚に飲水させる所定期間は、上述した飼料を当該家畜に摂取させる期間と重複していれば、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはない。前記飲料水の飲水の期間としては、上述した飼料の摂取の期間と対応するように、例えば、7日以上であると好ましく、14日以上であると更に好ましい。
又、前記電解水を家畜に自由に摂取させる方法は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、当該方法として、例えば、前記電解水を常に家畜に摂取させる方法、前記電解水と通常の水とを所定飲水期間毎に交互に家畜に摂取させる方法などが採用される。ここで、前記飲水期間は、前記電解水、通常の水毎に適宜設計変更しても良い。例えば、前記電解水を第一の飲水期間(例えば、14日間)だけ家畜に摂取させた後に、通常の水を第二の飲水期間(例えば、7日間)だけ当該家畜に摂取させる手順(サイクル)を繰り返すことによって、前記電解水と通常の水とを所定飲水期間毎に交互に家畜に摂取させても構わない。
又、家畜の日齢は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはない。前記日齢として、例えば、産卵鶏であれば、140日齢〜550日齢の範囲内が好ましく、食用鶏(ブロイラー)であれば、50日齢〜60日齢の範囲内が好ましく、食用豚であれば、90日齢〜180日齢の範囲内が好ましいが、特に限定することはない。
ここで、日齢の短い家畜、例えば、若い家畜(ひよこ、子豚など)は、飼育環境に対する抵抗力(免疫力)や飼料、飲料水に対する耐性が弱いため、通常、下痢などの病気になり易いが、(電解水を用いた)本発明に係る飼育方法を、当該若い家畜に適用すると、下痢などの病気になり難くなり、健全に成長させることが出来るため、好ましい。一方、一般的に、家畜を含む動物の体内のコラーゲンの量は、加齢とともに減少することが知られており、例えば、200日齢、300日齢以上の産卵鶏の卵の卵殻強度は著しく低下する。そこで、本発明に係る飼育方法を、例えば、上述した300日齢以上の産卵鶏に適用すると、体内のコラーゲンの量を増やすことが出来るため、加齢とともにコラーゲンの量が減少した産卵鶏であっても、卵殻強度が高く、美味な卵黄を有する卵を産ませることが可能となる。
又、飼育面積に対する家畜の数は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、例えば、家畜が鶏であれば、その数は、1坪(3.3m2)当たりに20匹〜30匹であると好ましい。家畜が豚であれば、その数は、30坪〜50坪当たりに1匹〜5匹であると好ましい。
<飼育施設>
本発明に係る飼育施設1は、家畜の鶏を飼育する飼育施設であって、図1に示すように、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記鶏に7日間以上継続して摂取させる飼料供給部2を備え、前記鶏が生む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせる又は当該鶏の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。これにより、本発明に係る飼育方法と同等の作用効果を得ることが可能となる。
本発明に係る飼育施設1は、家畜の鶏を飼育する飼育施設であって、図1に示すように、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記鶏に7日間以上継続して摂取させる飼料供給部2を備え、前記鶏が生む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせる又は当該鶏の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。これにより、本発明に係る飼育方法と同等の作用効果を得ることが可能となる。
ここで、前記飼料供給部2は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、従来からの飼育施設(例えば、豚舎、鶏舎)の飼料タンクや、図1に示すように、円形の帽子状で周囲から飼料を摂取可能な飼料容器が採用される。尚、前記家畜が豚であっても、同等である。前記飼料供給部2の設計により、前記飼料を家畜に毎日所定量だけ供給したり、毎日自由に供給したりする。
又、前記飼育施設1は、図1に示すように、通常の水道水を飲料水として前記家畜に前記飼料を摂取させる期間摂取させる飲料水供給部3を備えるが、これに代えて、更に、食塩が少量添加された食塩水を電気分解することで得られた殺菌力のある電解水を飲料水として前記家畜に前記期間摂取させる飲料水供給部3を備えても構わない。
ここで、前記飲料水供給部3は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、従来からの飼育施設の飲料水タンクや、図1に示すように、たらい状の飲料水容器が採用される。尚、図1に示す飲料水容器3は、内部に石が置かれて床に固定されている。又、前記飲料水供給部3は、家畜の鶏のくちばしの接触に応じて、内部に充填された電解水を出して、当該鶏に当該電解水を前記期間摂取させる給水口を所定間隔で設けた給水パイプでも構わない。
又、飼育施設の飼育形態は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定することはなく、一の家畜を個別飼育するゲージ飼い、所定の平地で複数の家畜を集めて飼育する平飼い、これらの組み合わせを採用することが出来る。例えば、産卵鶏であれば、ゲージ飼い、食用鶏であれば、図2に示すように、平飼いが採用される。尚、図2には、本発明に係る飼育施設に平飼いが採用された例を示した。
<飼料と飲料水の調製、飼育条件、評価方法、実施例、比較例、評価結果など>
以下に、本発明における飼料と飲料水の調製、飼育条件、評価方法、実施例、比較例、評価結果などを具体的に説明するが、本発明の適用が本実施例などに限定されるものではない。
以下に、本発明における飼料と飲料水の調製、飼育条件、評価方法、実施例、比較例、評価結果などを具体的に説明するが、本発明の適用が本実施例などに限定されるものではない。
(1)飼料と飲料水の調製
本発明に係る飼料については、下記の手順で調製した。先ず、所定の配合飼料(品名:飼育用配合飼料、ロイヤル)996kgに対して市販のコラーゲン粉体(品名:リビングテクノロジー株式会社製ファインコラーゲン、分子量300〜1000、平均分子量800)を2kg添加するとともに、ビタミンC(品名:田辺製薬株式会社製L−アスコルビン酸)を2kg添加して、合計1000kgの飼料を均一に撹拌・混合した。これにより、コラーゲンを0.20重量%、ビタミンCを0.20重量%添加した第一の飼料を調製した。
本発明に係る飼料については、下記の手順で調製した。先ず、所定の配合飼料(品名:飼育用配合飼料、ロイヤル)996kgに対して市販のコラーゲン粉体(品名:リビングテクノロジー株式会社製ファインコラーゲン、分子量300〜1000、平均分子量800)を2kg添加するとともに、ビタミンC(品名:田辺製薬株式会社製L−アスコルビン酸)を2kg添加して、合計1000kgの飼料を均一に撹拌・混合した。これにより、コラーゲンを0.20重量%、ビタミンCを0.20重量%添加した第一の飼料を調製した。
尚、前記配合飼料は、原材料として、穀類51%、植物性油かす類27%、動物質性飼料3%、そうこう類1%を含有し、成分として、粗蛋白質18.0%、粗脂肪3.0%、粗繊維6.0%、粗灰分14.5%、カルシウム2.7%、りん0.4%含有する。
又、上述と同様の方法により、コラーゲンを0.50重量%、ビタミンCを0.30重量%添加した第二の飼料と、コラーゲンを1.00重量%、ビタミンCを1.00重量%添加した第三の飼料と、コラーゲンを0.02重量%、ビタミンCを0.01重量%添加した第四の飼料と、コラーゲンを0.01重量%、ビタミンCを0.005重量%添加した第五の飼料とを調整した。又、上述と同様の方法により、海から採取して粉砕した乾燥状態の海藻を2kg添加することで、コラーゲンを0.20重量%、ビタミンCを0.20重量%、海藻を0.20重量%添加した第六の飼料を調整した。一方、比較例の飼料には、コラーゲンとビタミンCとを添加していない前記配合飼料そのままを使用した。尚、本発明に係る飼料は、各家畜の飼育状況に応じて適宜追加調製した。
又、本発明に係る飲料水については、下記の手順で調製した。先ず、水道水7.5L(7500g)に対して市販の食塩を2g添加して、食塩が0.026重量%の食塩水を調製し、当該食塩水を市販の無隔膜電解槽に投入して電気分解し、それにより得られた電解次亜水を殺菌力のある第一の電解水とした。ここで、前記第一の電解水は、pHが7.5〜8.5の範囲内であり、有効塩素濃度が300ppmであり、ナトリウム濃度が250ppmであった。前記電解水を家畜の飲料水とした。
又、上述した食塩水を市販の2室式有隔膜電解槽に投入して電気分解し、それにより得られた酸性電解水を殺菌力のある第二の電解水とした。尚、比較例の飲料水には、水道水そのままを使用した。
(2)飼育条件
飼育条件として、飼育対象家畜が鶏の場合、最初の日齢が285日齢の雌の鶏を採用した。又、飼育対象家畜の数は、各実施例、比較例に対して前記鶏を50匹用意した。更に、飼育施設の飼育形態は、平飼いとし、図1、図2に示すように、当該飼育施設1内の飼料容器2と飲料水容器3とに、実施例、比較例に対応する所定の飼料と所定の飲料水とをそれぞれ充填した。これにより、前記飼育対象家畜が飼料を所定量だけ摂取するとともに飲料水を自由に摂取することが出来るようにした。
飼育条件として、飼育対象家畜が鶏の場合、最初の日齢が285日齢の雌の鶏を採用した。又、飼育対象家畜の数は、各実施例、比較例に対して前記鶏を50匹用意した。更に、飼育施設の飼育形態は、平飼いとし、図1、図2に示すように、当該飼育施設1内の飼料容器2と飲料水容器3とに、実施例、比較例に対応する所定の飼料と所定の飲料水とをそれぞれ充填した。これにより、前記飼育対象家畜が飼料を所定量だけ摂取するとともに飲料水を自由に摂取することが出来るようにした。
又、飼育対象家畜が豚の場合、最初の日齢が120日齢の雌の豚を採用した。更に、飼育対象家畜の数は、各実施例、比較例に対して家畜を5匹用意した。飼育施設の飼育形態は、図1に示すような鶏の飼育形態と同様である。
(3)評価方法
効果を確認するための評価方法は、下記に示す評価項目に従って行った。
効果を確認するための評価方法は、下記に示す評価項目に従って行った。
(3−1)卵重
家畜が鶏である場合に、飼育期間経過後の当該鶏が生んだ鶏卵を無作為で所定数(5つ)採取して、当該採取した鶏卵を洗浄し、市販の天秤(イシダ製)で卵重(g)を測定し、全ての平均値を算出した。
家畜が鶏である場合に、飼育期間経過後の当該鶏が生んだ鶏卵を無作為で所定数(5つ)採取して、当該採取した鶏卵を洗浄し、市販の天秤(イシダ製)で卵重(g)を測定し、全ての平均値を算出した。
(3−2)卵殻強度
前記(3−1)で卵重を測定した鶏卵を市販の卵殻強度計(冨平工業製)で卵殻強度(固さ)(kg)を測定し、全ての平均値を算出した。
前記(3−1)で卵重を測定した鶏卵を市販の卵殻強度計(冨平工業製)で卵殻強度(固さ)(kg)を測定し、全ての平均値を算出した。
(3−3)卵黄の濃さ
前記(3−2)で卵殻強度を測定した卵の卵黄(黄身)の色(濃さ)を、所定範囲内の卵黄の色を15種類で段階的に区分した色見本のカラーファンを用いて確認し、卵黄のカラーファンが通常の卵黄のカラーファン(9〜10)よりも高いか否かを総合的に評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:殆どの卵黄のカラーファンは、9〜10よりも高かった。
△:約半数の卵黄のカラーファンは、9〜10よりも高かった。
×:殆どの卵黄のカラーファンは、9〜10であった。
前記(3−2)で卵殻強度を測定した卵の卵黄(黄身)の色(濃さ)を、所定範囲内の卵黄の色を15種類で段階的に区分した色見本のカラーファンを用いて確認し、卵黄のカラーファンが通常の卵黄のカラーファン(9〜10)よりも高いか否かを総合的に評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:殆どの卵黄のカラーファンは、9〜10よりも高かった。
△:約半数の卵黄のカラーファンは、9〜10よりも高かった。
×:殆どの卵黄のカラーファンは、9〜10であった。
(3−4)卵白の盛り上がり
前記(3−2)で卵殻強度を測定した卵の卵白の盛り上がり(膨らみ)を、従来の卵の卵白の盛り上がりと比較して、当該卵の側面から目視で確認し、卵白が従来(通常)の卵白よりも盛り上がっているか否かを総合的に評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:殆どの卵白の盛り上がりは、従来の卵の卵白の盛り上がりよりも高かった。
△:約半数の卵白の盛り上がりは、従来の卵の卵白の盛り上がりよりも高かった。
×:殆どの卵白の盛り上がりは、従来の卵の卵白の盛り上がりと同等であった。
前記(3−2)で卵殻強度を測定した卵の卵白の盛り上がり(膨らみ)を、従来の卵の卵白の盛り上がりと比較して、当該卵の側面から目視で確認し、卵白が従来(通常)の卵白よりも盛り上がっているか否かを総合的に評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:殆どの卵白の盛り上がりは、従来の卵の卵白の盛り上がりよりも高かった。
△:約半数の卵白の盛り上がりは、従来の卵の卵白の盛り上がりよりも高かった。
×:殆どの卵白の盛り上がりは、従来の卵の卵白の盛り上がりと同等であった。
(3−5)相対卵殻膜厚さ
家畜が鶏である場合に、飼育期間経過後の当該鶏が産んだ鶏卵を無作為で所定数(5つ)採取して、当該採取した鶏卵を洗浄し、割って、卵殻の卵殻膜を採取した。採取した卵殻膜のうち、鶏卵の先端側、中側、鈍側の厚み(mm)をそれぞれ市販の厚み測定計で測定し、全ての卵殻膜厚さの平均値を算出した。
家畜が鶏である場合に、飼育期間経過後の当該鶏が産んだ鶏卵を無作為で所定数(5つ)採取して、当該採取した鶏卵を洗浄し、割って、卵殻の卵殻膜を採取した。採取した卵殻膜のうち、鶏卵の先端側、中側、鈍側の厚み(mm)をそれぞれ市販の厚み測定計で測定し、全ての卵殻膜厚さの平均値を算出した。
本発明では、後述する通常の配合飼料と通常の水道水とを摂取させる比較例1で算出した卵殻膜厚さ(mm)を基準卵殻膜厚さとして、飼育対象家畜が鶏である各実施例、比較例毎に算出される卵殻膜厚さから前記基準卵殻膜厚さを除算した相対卵殻膜厚さ(倍)を算出した。尚、前記比較例1における相対卵殻膜厚さは、当然に、1.0(倍)である。
(3−6)スポンジケーキの外形
家畜が鶏である場合に、飼育期間経過後の当該鶏が産んだ卵を製造原料として利用してスポンジケーキを作製した。前記スポンジケーキの作製方法は、例えば、以下の公知の方法である。先ず、所定量(100g)の卵をミキサーに入れて均一にほぐしてから所定量(100g)の砂糖を添加し、湯煎にかけて混合物が所定温度(例えば、32℃〜35℃)になるまでミキサーで泡立てた。その後、湯煎から下ろし、ミキサーで更に泡立ててから、所定量(100g)の薄力粉を添加して混合した。更に、当該混合物に、加熱融解した所定量(38g)の溶かしバターを加えて、全体を混合し、スポンジケーキ生地を作製した。そして、当該生地を所定の金型に流し込んで、所定の焼成条件(170℃、30分間)で焼成して、スポンジケーキを作製した。このように作製したスポンジケーキの外形を、従来の卵を利用して作製したスポンジケーキの外形と比較して、当該スポンジケーキの側面から目視で確認し、スポンジケーキの外形が従来のスポンジケーキの外形よりも膨らんでいるか否かを総合的に評価した。当該評価は、以下に示す2段階で行った。
○:スポンジケーキの外形が従来のスポンジケーキの外形よりも盛り上がっていた。
×:スポンジケーキの外形が従来のスポンジケーキの外形と同等であった。
家畜が鶏である場合に、飼育期間経過後の当該鶏が産んだ卵を製造原料として利用してスポンジケーキを作製した。前記スポンジケーキの作製方法は、例えば、以下の公知の方法である。先ず、所定量(100g)の卵をミキサーに入れて均一にほぐしてから所定量(100g)の砂糖を添加し、湯煎にかけて混合物が所定温度(例えば、32℃〜35℃)になるまでミキサーで泡立てた。その後、湯煎から下ろし、ミキサーで更に泡立ててから、所定量(100g)の薄力粉を添加して混合した。更に、当該混合物に、加熱融解した所定量(38g)の溶かしバターを加えて、全体を混合し、スポンジケーキ生地を作製した。そして、当該生地を所定の金型に流し込んで、所定の焼成条件(170℃、30分間)で焼成して、スポンジケーキを作製した。このように作製したスポンジケーキの外形を、従来の卵を利用して作製したスポンジケーキの外形と比較して、当該スポンジケーキの側面から目視で確認し、スポンジケーキの外形が従来のスポンジケーキの外形よりも膨らんでいるか否かを総合的に評価した。当該評価は、以下に示す2段階で行った。
○:スポンジケーキの外形が従来のスポンジケーキの外形よりも盛り上がっていた。
×:スポンジケーキの外形が従来のスポンジケーキの外形と同等であった。
(3−7)スポンジケーキの食感
前記(3−6)で作製したスポンジケーキの食感について、所定数(例えば、5人)の試食者に試食させ、ソフトな食感があるか否かのアンケートを取り、官能試験で総合的に評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:殆どの試食者は、ソフトな食感があると回答した。
△:約半数の試食者は、ソフトな食感があると回答した。
×:殆どの試食者は、ソフトな食感がないと回答した。
前記(3−6)で作製したスポンジケーキの食感について、所定数(例えば、5人)の試食者に試食させ、ソフトな食感があるか否かのアンケートを取り、官能試験で総合的に評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:殆どの試食者は、ソフトな食感があると回答した。
△:約半数の試食者は、ソフトな食感があると回答した。
×:殆どの試食者は、ソフトな食感がないと回答した。
(3−8)化粧水の浸透性
家畜が鶏である場合に、飼育期間経過後の当該鶏が産んだ卵を製造原料として利用して化粧水を作製した。前記化粧水の作製方法は、例えば、以下の公知の方法である。先ず、卵の卵殻を破砕した後に、水中へ入れて、破砕後の卵殻から卵殻膜を分離し、当該分離後の卵殻膜を、例えば、アルカリ性の有機溶剤へ入れる。ここで、アルカリ性の有機溶剤は、例えば、水に、水酸化ナトリウムの濃度が0.5Nで、有機溶剤のメタノールの濃度が50重量%であるアルカリ性含水有機溶剤である。そして、前記卵殻膜が添加されたアルカリ性有機溶剤を70度で、4時間ほど加熱して、当該卵殻膜を加水分解して化粧品の成分とし、当該成分を1重量%とした水溶液を調整し、化粧水を作製した。このように作製した化粧水の皮膚への浸透性について、所定数(例えば、5人)の試験者の顔に化粧水を馴染ませて、従来の卵を利用して作製した化粧水と比較して、皮膚への浸透性があるか否かのアンケートを取り、官能試験で総合的に評価した。当該評価は、以下に示す2段階で行った。
○:半分以上の試験者が、化粧水の皮膚への良好な浸透性があると回答した。
×:半分以上の試験者が、化粧水の皮膚への良好な浸透性がないと回答した。
家畜が鶏である場合に、飼育期間経過後の当該鶏が産んだ卵を製造原料として利用して化粧水を作製した。前記化粧水の作製方法は、例えば、以下の公知の方法である。先ず、卵の卵殻を破砕した後に、水中へ入れて、破砕後の卵殻から卵殻膜を分離し、当該分離後の卵殻膜を、例えば、アルカリ性の有機溶剤へ入れる。ここで、アルカリ性の有機溶剤は、例えば、水に、水酸化ナトリウムの濃度が0.5Nで、有機溶剤のメタノールの濃度が50重量%であるアルカリ性含水有機溶剤である。そして、前記卵殻膜が添加されたアルカリ性有機溶剤を70度で、4時間ほど加熱して、当該卵殻膜を加水分解して化粧品の成分とし、当該成分を1重量%とした水溶液を調整し、化粧水を作製した。このように作製した化粧水の皮膚への浸透性について、所定数(例えば、5人)の試験者の顔に化粧水を馴染ませて、従来の卵を利用して作製した化粧水と比較して、皮膚への浸透性があるか否かのアンケートを取り、官能試験で総合的に評価した。当該評価は、以下に示す2段階で行った。
○:半分以上の試験者が、化粧水の皮膚への良好な浸透性があると回答した。
×:半分以上の試験者が、化粧水の皮膚への良好な浸透性がないと回答した。
(3−9)相対ヒドロキシプロリン量
家畜が鶏又は豚である場合に、飼育期間経過後の当該家畜のモモ肉を所定の食品分析施設(財団法人 日本食品分析センター)に依頼して、高速液体クロマトグラフィによりヒドロキシプロリン量(g/100g)を測定した。
家畜が鶏又は豚である場合に、飼育期間経過後の当該家畜のモモ肉を所定の食品分析施設(財団法人 日本食品分析センター)に依頼して、高速液体クロマトグラフィによりヒドロキシプロリン量(g/100g)を測定した。
本発明では、飼育対象家畜が鶏である比較例1で測定したヒドロキシプロリン量(g/100g)を基準ヒドロキシプロリン量(g/100g)として、飼育対象家畜が鶏である各実施例、比較例毎に測定されるヒドロキシプロリン量(g/100g)から前記基準ヒドロキシプロリン量(g/100g)を除算した相対ヒドロキシプロリン量(倍)を算出した。又、前記飼育対象家畜が豚である場合は、比較例3のヒドロキシプロリン量(g/100g)を基準ヒドロキシプロリン量(g/100g)として、上述と同様に、相対ヒドロキシプロリン量(倍)を算出した。尚、前記比較例1、2における相対ヒドロキシプロリン量は、当然に、1.0(倍)である。
尚、通常の飼育方法で飼育された鶏の(皮付き)モモ肉のうち、標準的なヒドロキシプロリンの量(g/100g)は、以下の手順で算出される。当該モモ肉100gに含まれる蛋白質の量が16.2gであり、当該蛋白質のうち、ヒドロキシプロリンの量が180mgであるため、通常の鶏のモモ肉のヒドロキシプロリンの量は、180mg×16.2g/100g=29.16mg/100g=0.029g/100gとなる。
(3−10)食肉の風味
家畜が鶏又は豚である場合に、飼育期間経過後の当該家畜のモモ肉をオーブンで焼いて調理し、これらの食肉の風味について、所定数(例えば、5人)の試食者に試食させ、風味があって美味しいか否かのアンケートを取り、官能試験で評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:殆どの試食者は、風味があって美味しいと回答した。
△:約半数の試食者は、風味があって美味しいと回答した。
×:殆どの試食者は、臭みがある(美味しくない)と回答した。
家畜が鶏又は豚である場合に、飼育期間経過後の当該家畜のモモ肉をオーブンで焼いて調理し、これらの食肉の風味について、所定数(例えば、5人)の試食者に試食させ、風味があって美味しいか否かのアンケートを取り、官能試験で評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:殆どの試食者は、風味があって美味しいと回答した。
△:約半数の試食者は、風味があって美味しいと回答した。
×:殆どの試食者は、臭みがある(美味しくない)と回答した。
(3−11)食肉の食感
前記(3−9)と同様に、飼育期間経過後の前記家畜のモモ肉をオーブンで焼いて調理し、これらの食肉の食感について、所定数(例えば、5人)の試食者に試食させ、適度な弾力があるか否かのアンケートを取り、官能試験で評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:殆どの試食者は、食肉に適度な弾力があって美味しいと回答した。
△:約半数の試食者は、食肉に適度な弾力があって美味しいと回答した。
×:殆どの試食者は、食肉に弾力が無くパサパサする(美味しくない)と回答した。
前記(3−9)と同様に、飼育期間経過後の前記家畜のモモ肉をオーブンで焼いて調理し、これらの食肉の食感について、所定数(例えば、5人)の試食者に試食させ、適度な弾力があるか否かのアンケートを取り、官能試験で評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:殆どの試食者は、食肉に適度な弾力があって美味しいと回答した。
△:約半数の試食者は、食肉に適度な弾力があって美味しいと回答した。
×:殆どの試食者は、食肉に弾力が無くパサパサする(美味しくない)と回答した。
(3−12)相対飼料要求率
一般に、飼料要求率とは、一定の期間内における単位家畜当たりの増体1kgに要した飼料総消費量(kg)であり、飼料総消費量(kg)と、飼育完了時の単位家畜当たりの体重(kg)から飼育最初の単位家畜当たりの体重(kg)を減算した増体重(kg)と計測することにより算出される。
一般に、飼料要求率とは、一定の期間内における単位家畜当たりの増体1kgに要した飼料総消費量(kg)であり、飼料総消費量(kg)と、飼育完了時の単位家畜当たりの体重(kg)から飼育最初の単位家畜当たりの体重(kg)を減算した増体重(kg)と計測することにより算出される。
本発明では、比較例1に要した単位家畜当たりの飼料総消費量(kg)を基準飼料総消費量(kg)として、飼育対象家畜が鶏である各実施例、比較例毎に計測される飼料総消費量(kg)から前記基準飼料総消費量(kg)を除算した相対飼料要求率(%)を算出した。又、前記飼育対象家畜が豚である場合は、比較例3の飼料総消費量(kg)を基準飼料総消費量(kg)として、上述と同様に、相対飼料要求率(%)を算出した。尚、前記比較例1、3における相対飼料要求率は、当然に、100%である。
(3−13)相対飲水要求率
一般に、飲水要求率という用語は無いが、本発明では、飲水要求率を、一定の期間内における単位家畜当たりの増体1kgに要した飲料水総消費量(kg=L)と定義した。そして、比較例1に要した単位家畜当たりの飲料水総消費量(kg=L)を基準飲料水総消費量として、飼育対象家畜が鶏である各実施例、比較例毎に計測される飲料水総消費量(kg=L)から前記基準飲料水総消費量(kg=L)を除算した相対飲料水要求率(%)を算出した。又、前記飼育対象家畜が豚である場合は、比較例3の飲料水総消費量(kg=L)を基準飲料水総消費量(kg=L)として、上述と同様に、相対飲料水要求率(%)を算出した。尚、前記比較例1、3における相対飲料水要求率は、当然に、100%である。
一般に、飲水要求率という用語は無いが、本発明では、飲水要求率を、一定の期間内における単位家畜当たりの増体1kgに要した飲料水総消費量(kg=L)と定義した。そして、比較例1に要した単位家畜当たりの飲料水総消費量(kg=L)を基準飲料水総消費量として、飼育対象家畜が鶏である各実施例、比較例毎に計測される飲料水総消費量(kg=L)から前記基準飲料水総消費量(kg=L)を除算した相対飲料水要求率(%)を算出した。又、前記飼育対象家畜が豚である場合は、比較例3の飲料水総消費量(kg=L)を基準飲料水総消費量(kg=L)として、上述と同様に、相対飲料水要求率(%)を算出した。尚、前記比較例1、3における相対飲料水要求率は、当然に、100%である。
(3−14)家畜の体調
家畜の体調は、以下の手順で評価した。飼育期間中に無作為に家畜を所定数(例えば、5匹)抽出して、当該抽出した家畜の体調、特に、下痢か否か、家畜の肌の色や良いか、家畜が鶏の場合、鶏足(もみじ)の色、くちばしの艶、鶏冠の色、羽の艶は良いかを総合的に評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:全ての家畜は、健康状態を維持していた。
△:約半数の家畜は、健康状態を維持していた。
×:殆どの家畜は、健康を害して、下痢や肌の色が悪かった。
家畜の体調は、以下の手順で評価した。飼育期間中に無作為に家畜を所定数(例えば、5匹)抽出して、当該抽出した家畜の体調、特に、下痢か否か、家畜の肌の色や良いか、家畜が鶏の場合、鶏足(もみじ)の色、くちばしの艶、鶏冠の色、羽の艶は良いかを総合的に評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:全ての家畜は、健康状態を維持していた。
△:約半数の家畜は、健康状態を維持していた。
×:殆どの家畜は、健康を害して、下痢や肌の色が悪かった。
(3−15)糞の固さ
糞の固さは、以下の手順で評価した。飼育期間中に無作為に家畜の糞を所定数(例えば、5個)採取して、当該採取した家畜の糞が固いか否か、水分量が多いか否かを総合的に評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:全ての糞は、固く、乾燥していた。
△:約半数の糞は、固く、乾燥しているものの、柔らかい糞や液化した糞も見られた。
×:殆どの糞は、柔らかい水気のある糞であった。
糞の固さは、以下の手順で評価した。飼育期間中に無作為に家畜の糞を所定数(例えば、5個)採取して、当該採取した家畜の糞が固いか否か、水分量が多いか否かを総合的に評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:全ての糞は、固く、乾燥していた。
△:約半数の糞は、固く、乾燥しているものの、柔らかい糞や液化した糞も見られた。
×:殆どの糞は、柔らかい水気のある糞であった。
(3−16)悪臭の有無
悪臭の有無は、以下の手順で評価した。飼育期間中に飼育者が飼育施設内に入り、当該飼育施設内に気になる悪臭がするか否かを総合的に評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:飼育施設内には、家畜特有の臭いのみがした。
△:家畜特有の臭いの他に、糞からアンモニア臭や腐臭がした。
×:鼻を突く腐臭がした。
悪臭の有無は、以下の手順で評価した。飼育期間中に飼育者が飼育施設内に入り、当該飼育施設内に気になる悪臭がするか否かを総合的に評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:飼育施設内には、家畜特有の臭いのみがした。
△:家畜特有の臭いの他に、糞からアンモニア臭や腐臭がした。
×:鼻を突く腐臭がした。
(3−17)虫の有無
虫の有無は、以下の手順で評価した。飼育期間中に無作為に家畜の糞を所定数(例えば、5個)採取して、当該採取した家畜の糞にウジが湧いているか、蝿が集っていたかを総合的に評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:ウジや蝿の存在を確認することが出来なかった。
△:少しだけウジや蝿が生じていた。
×:殆どの糞にウジや蝿が生じていた。
虫の有無は、以下の手順で評価した。飼育期間中に無作為に家畜の糞を所定数(例えば、5個)採取して、当該採取した家畜の糞にウジが湧いているか、蝿が集っていたかを総合的に評価した。当該評価は、以下に示す3段階で行った。
○:ウジや蝿の存在を確認することが出来なかった。
△:少しだけウジや蝿が生じていた。
×:殆どの糞にウジや蝿が生じていた。
(4)実施例、比較例
(4−1)実施例1
飼育対象家畜を、鶏とし、飼料を、前記(1)で調製したコラーゲンとビタミンCとを0.20重量%ずつ添加した本発明に係る第一の飼料とし、飲料水を、通常の水道水とし、飼育期間を7日として、家畜を飼育した。
(4−1)実施例1
飼育対象家畜を、鶏とし、飼料を、前記(1)で調製したコラーゲンとビタミンCとを0.20重量%ずつ添加した本発明に係る第一の飼料とし、飲料水を、通常の水道水とし、飼育期間を7日として、家畜を飼育した。
(4−2)実施例2
実施例1における飼料を、第二の飼料(コラーゲンが0.50重量%、ビタミンCが0.30重量%)に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
実施例1における飼料を、第二の飼料(コラーゲンが0.50重量%、ビタミンCが0.30重量%)に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
(4−3)実施例3
実施例1における飼料を、第三の飼料(コラーゲンが1.00重量%、ビタミンCが1.00重量%)に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
実施例1における飼料を、第三の飼料(コラーゲンが1.00重量%、ビタミンCが1.00重量%)に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
(4−4)実施例4
実施例1における飼料を、第四の飼料(コラーゲンが0.02重量%、ビタミンCが0.01重量%)に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
実施例1における飼料を、第四の飼料(コラーゲンが0.02重量%、ビタミンCが0.01重量%)に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
(4−5)実施例5
実施例1における飼料を、第五の飼料(コラーゲンが0.01重量%、ビタミンCが0.005重量%)に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
実施例1における飼料を、第五の飼料(コラーゲンが0.01重量%、ビタミンCが0.005重量%)に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
(4−6)実施例6
実施例1における飼育期間を、14日に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
実施例1における飼育期間を、14日に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
(4−7)実施例7
実施例1における飼料を、第六の飼料(コラーゲン、ビタミンC、海藻がそれぞれ0.20重量%)に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
実施例1における飼料を、第六の飼料(コラーゲン、ビタミンC、海藻がそれぞれ0.20重量%)に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
(4−8)実施例8
実施例1における飲料水を、前記(1)で調製した本発明に係る第一の電解水に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
実施例1における飲料水を、前記(1)で調製した本発明に係る第一の電解水に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
(4−9)実施例9
実施例1における飲料水を、前記(1)で調製した本発明に係る第二の電解水に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
実施例1における飲料水を、前記(1)で調製した本発明に係る第二の電解水に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
(4−10)実施例10
実施例1における飼育対象家畜を、豚に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
実施例1における飼育対象家畜を、豚に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。
(4−11)実施例11
実施例8における飼育対象家畜を、豚に変更する以外は、実施例7と同様にして家畜を飼育した。
実施例8における飼育対象家畜を、豚に変更する以外は、実施例7と同様にして家畜を飼育した。
(4−12)比較例1
実施例1における飼料を、コラーゲンとビタミンCとを添加していない配合飼料に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。尚、比較例1は、従来技術に対応する。
実施例1における飼料を、コラーゲンとビタミンCとを添加していない配合飼料に変更する以外は、実施例1と同様にして家畜を飼育した。尚、比較例1は、従来技術に対応する。
(4−13)比較例2
実施例8における飼料を、コラーゲンとビタミンCとを添加していない配合飼料に変更する以外は、実施例8と同様にして家畜を飼育した。
実施例8における飼料を、コラーゲンとビタミンCとを添加していない配合飼料に変更する以外は、実施例8と同様にして家畜を飼育した。
(4−14)比較例3
実施例10における飼料を、コラーゲンとビタミンCとを添加していない配合飼料に変更する以外は、実施例10と同様にして家畜を飼育した。尚、比較例3は、従来技術に対応する。
実施例10における飼料を、コラーゲンとビタミンCとを添加していない配合飼料に変更する以外は、実施例10と同様にして家畜を飼育した。尚、比較例3は、従来技術に対応する。
(4−15)比較例4
実施例11における飼料を、コラーゲンとビタミンCとを添加していない配合飼料に変更する以外は、実施例11と同様にして家畜を飼育した。
実施例11における飼料を、コラーゲンとビタミンCとを添加していない配合飼料に変更する以外は、実施例11と同様にして家畜を飼育した。
(5)評価結果
図3は、本発明に係る実施例、比較例と評価項目と評価結果の表の一例を示す図である。
図3は、本発明に係る実施例、比較例と評価項目と評価結果の表の一例を示す図である。
家畜が鶏の場合、図3に示すように、実施例1〜9の卵重は、比較例1、2と比較すると殆ど変化ないものの、実施例1〜9の卵殻強度は向上し、卵黄が濃くなり、卵白の盛り上がりが高くなり、卵殻膜の厚さが1.2倍以上厚くなっている。特に、実施例1〜3、6〜9の卵殻強度は5.0kg以上であり、その卵殻膜の厚さは、比較例1の卵殻膜の厚さの1.3倍以上と厚くなっている。尚、実施例1の卵殻膜の厚さは、0.0213mmであり、実施例6、8の卵殻膜の厚さは、0.0268mmであり、比較例1の卵殻膜の厚さは、0.0169mmであった。そのため、実施例1の相対卵殻膜厚さは、0.0213/0.0169=1.3倍、実施例6、8の相対卵殻膜厚さは、0.0268/0.0169=1.6倍であった。又、実施例7の卵は、卵黄(黄身)が濃くなるとともに、粘りが有り、味わい深い卵であった。又、例えば、実施例1の卵白の盛り上がりは、図4に示すように、大きく盛り上がって略二段に見えるのに対して、比較例1の卵白の盛り上がりは、図5に示すように、殆ど盛り上がらず略一段に見えた。更に、実施例1〜9の卵を利用して作製したスポンジケーキの外形及び食感は、比較例1、2と比較すると、盛り上がって作製されるとともに、よりソフトな食感となり、良好な結果が得られている。そして、実施例1〜9の卵を利用して作製した化粧品は、比較例1、2と比較すると、試験者に対して良好な浸透性が感じられている。これにより、実施例1〜9は、製品としての卵の歩留まり改善と当該卵の品質向上とを実現出来ることが理解される。
又、実施例1、比較例1において、飼育開始の日齢が285日齢の鶏を、7日間飼育した後に、同様の条件で、更に、当該鶏の日齢が550日齢となるまで継続的に飼育した場合の卵重と卵殻強度の日齢変化を調査した。その結果、図6に示すように、実施例1の卵重は、比較例1と比較して殆ど変化ないものの、実施例1の卵殻強度は、比較例1と比較して、日齢の変化と関係なく、一定の強度(約5kg)を維持していることが理解される。一方、比較例1の卵殻強度は、日齢が増加するに従って、4.5kgから4.0kgまで著しく低下していくことが理解される。ここで、一般的に、鶏の体内のコラーゲン量は、加齢とともに減少するため、300日齢以上に生じた卵は、卵殻強度が弱いことから、通常、商品として用いることが出来ない。しかしながら、本発明では、加齢の鶏に適用すると、当該鶏の卵の卵殻強度を高く維持することが出来るため、当該加齢の鶏が産む卵でも商品として用いることが出来る。
又、実施例1〜9のヒドロキシプロリン量は、比較例1、2と比較すると、1.5倍〜21.7倍増加しており、それに対応して、食肉の風味及び食肉の食感も良好な結果が得られている。尚、実施例1のヒドロキシプロリン量は、0.32g/100gであり、実施例6、8のヒドロキシプロリン量は、0.63g/100gであり、比較例1のヒドロキシプロリン量は、0.03g/100gであった。そのため、実施例1の相対ヒドロキシプロリン量は、0.32/0.03=10.7倍、実施例6、8の相対ヒドロキシプロリン量は、0.63/0.03=21.7倍であり、飛躍的にヒドロキシプロリン量が増加した結果であった。これにより、実施例1〜9は、食肉の品質向上を実現出来ることが理解される。尚、実施例1、比較例1における鶏については、肉のうち、ささみ、手羽先のヒドロキシプロリン量も確認したが、今回のモモ肉と同様に、ヒドロイシプロリン量は飛躍的に増加していた。
一方、実施例1〜9の相対飼料要求率、相対飲水要求率、家畜の体調、糞の固さ、悪臭の有無、虫の有無は、比較例1、2と比較すると殆ど変化ないものの、実施例1〜9の家畜の体調は、比較的良好であった。例えば、実施例1の鶏の鶏足(もみじ)は、図7に示すように、肌色からこげ茶色であったのに対して、比較例1の鶏の鶏足は、図8に示すように、真っ白であった。ここで、鶏足は、十分にコラーゲンが蓄積される部分であることから、図7に示すように、実施例1では、鶏に十分にコラーゲンが吸収・蓄積され、体調が良好になり、当該鶏の鶏足に健康的な色が反映されたと考えられる。
尚、家畜が豚の場合の実施例10は、比較例3と比較して、上述した鶏の結果と同様の結果が得られた。
又、実施例8、9は、本発明に係る飼料と、本発明に係る電解水(飲料水)とを組み合わせることにより、比較例1、2と比較して、相対飼料要求率、相対飲水要求率、家畜の体調、糞の固さ、悪臭の有無、虫の有無のいずれの結果も、良好な結果を得ている。例えば、実施例8の飼料総消費量は、10.35kgであり、その飲料水総消費量は、12.4kg(L)であり、比較例1の飼料総消費量は、11.50kgであり、その飲料水総消費量は、17.8kg(L)であった。そのため、実施例8の相対飼料要求率は、10.35/11.50=90%、相対飲水要求率は、12.4/17.8=70%であった。尚、上述した実施例8、比較例1の気温は、約16度であったが、例えば、夏場など気温が約32度である場合に、実施例8、比較例1を実施すると、実施例8の飲料水総消費量は、34.8kg(L)であり、比較例1の飲料水総消費量は、49.6kg(L)であり、実施例8の相対飲水要求率は、34.8/49.6=70%であった。同様の効果を得ることが出来る。又、実施例8の糞の固さは、図9に示すように、乾燥状態であるのに対して、比較例1の糞の固さは、図10に示すように、水分が含まれている状態であった。これにより、実施例8、9は、本発明に係る飼料と電解水とを組み合わすことで、品質向上だけでなく、飼料要求率などの生産性の改善と、衛生的な飼育環境の維持とを実現出来ることが理解される。このような良好な結果について、本発明者は、本発明に係る飼料中のコラーゲンと電解水の働きとの相乗作用により、従来と比較して顕著な効果を得ることが出来たと推察している。尚、実施例1〜9、比較例1、2では、産卵鶏が生む卵の数は、殆ど同等であった。
又、家畜が豚の場合の実施例11は、比較例3、4と比較して、上述した鶏の結果と同様の結果が得られた。
このように、本発明では、家畜の鶏を飼育する飼育方法であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記鶏に7日間以上継続して摂取させることで、当該鶏が生む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせることを特徴とする。又、本発明に係る飼育方法は、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記鶏に7日間以上継続して摂取させることで、当該鶏の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。これにより、鶏の卵の歩留まりを向上させるとともに、当該卵の製品価値を向上させることが可能となる。
又、本発明は、家畜の豚を飼育する飼育方法であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記豚に7日間以上継続して摂取させることで、当該豚の肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。これにより、食肉の製品価値を向上させることが可能となる。
更に、本発明は、家畜の鶏又は豚を飼育する飼育方法であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記家畜に7日間継続して摂取させるとともに、食塩が少量添加された食塩水を電気分解することで得られた殺菌力のある電解水を飲料水として前記家畜に前記期間摂取させることを特徴とする。これにより、卵、食肉などの製品の品質向上と、衛生的な飼育環境の維持と、飼料要求率などの生産性の改善を図ることが可能となる。
尚、本発明の実施例では、無隔膜電解槽による電解次亜水、有隔膜電解槽による酸性電解水であったが、有隔膜電解槽によるアルカリ性電解水であっても構わない。
又、本発明では、家畜を飼育する飼育施設に採用することが出来る。即ち、当該飼育施設は、家畜の鶏を飼育する飼育施設であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記鶏に7日間以上継続して摂取させる飼料供給部を備え、前記鶏が生む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせる又は当該鶏の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。又、当該飼育施設は、家畜の豚を飼育する飼育施設であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記豚に7日間以上継続して摂取させる飼料供給部を備え、前記豚の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする。更に、当該飼育施設は、家畜の鶏又は豚を飼育する飼育施設であって、コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記家畜に7日間以上継続して摂取させる飼料供給部と、食塩が少量添加された食塩水を電気分解することで得られた殺菌力のある電解水を飲料水として前記家畜に前記期間摂取させる飲料水供給部とを備えることを特徴とする。このような構成であっても、上述と同様の作用効果を得ることが可能となる。
以上のように、本発明に係る飼育方法及び飼育施設は、鶏、豚の家畜に有用であり、卵、食肉などの製品の品質を向上させるとともに、更に、衛生的な飼育環境を維持しながら、飼料要求率などを改善することが可能な飼育方法及び飼育施設として有効である。
1 飼育施設
2 飼料供給部
3 飲料水供給部
2 飼料供給部
3 飲料水供給部
Claims (13)
- 家畜の鶏を飼育する飼育方法であって、
コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記鶏に7日間以上継続して摂取させることで、当該鶏が産む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせることを特徴とする飼育方法。 - 家畜の鶏を飼育する飼育方法であって、
コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記鶏に7日間以上継続して摂取させることで、当該鶏の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする飼育方法。 - 家畜の鶏を飼育する飼育方法であって、
コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記鶏に7日間以上継続して摂取させることで、当該鶏が産む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせるとともに、当該鶏の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする飼育方法。 - 家畜の豚を飼育する飼育方法であって、
コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記豚に7日間以上継続して摂取させることで、当該豚の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする飼育方法。 - 前記コラーゲンの濃度は、0.02重量%〜0.50重量%の範囲内であり、
前記ビタミンCの濃度は、0.01重量%〜0.30重量%の範囲内である
請求項1〜4のいずれか一項に記載の飼育方法。 - 前記コラーゲンの平均分子量は、300〜1000の範囲内である
請求項1〜5のいずれか一項に記載の飼育方法。 - 前記飼料に、更に、海藻を添加した
請求項1〜6のいずれか一項に記載の飼育方法。 - 家畜の鶏又は豚を飼育する飼育方法であって、
コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記家畜に7日間以上継続して摂取させるとともに、食塩が少量添加された食塩水を電気分解することで得られた殺菌力のある電解水を飲料水として前記家畜に前記期間摂取させることを特徴とする飼育方法。 - 前記電解水は、電解次亜水であり、
前記電解水のpHは、7.5〜8.5の範囲内であり、
前記電解水の有効塩素濃度は、10ppm〜500ppmの範囲内である
請求項7に記載の飼育方法。 - 家畜の鶏を飼育する飼育施設であって、
コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記鶏に7日間以上継続して摂取させる飼料供給部を備え、
前記鶏が生む卵の卵殻膜の厚みを厚くさせる又は当該鶏の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする飼育施設。 - 家畜の豚を飼育する飼育施設であって、
コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記豚に7日間以上継続して摂取させる飼料供給部を備え、
前記豚の肉のうち、少なくともモモ肉に含まれるヒドロキシプロリンの量を増加させることを特徴とする飼育施設。 - 家畜の鶏又は豚を飼育する飼育施設であって、
コラーゲンとビタミンCとを添加した飼料を前記家畜に7日間以上継続して摂取させる飼料供給部と、
食塩が少量添加された食塩水を電気分解することで得られた殺菌力のある電解水を飲料水として前記家畜に前記期間摂取させる飲料水供給部と
を備えることを特徴とする飼育施設。 - 請求項1に記載の飼育方法又は請求項10に記載の飼育施設で飼育された鶏の卵を製造原料として利用した食品又は化粧品。
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---|---|---|---|
JP2013007944A JP2013236616A (ja) | 2012-04-17 | 2013-01-19 | 飼育方法及び飼育施設 |
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