JP3864301B2 - 浄水処理装置 - Google Patents

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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Filtration Of Liquid (AREA)
  • Biological Treatment Of Waste Water (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、河川水、湖沼水、池水、地下水等の原水から上水を得るための浄水処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
従来の一般的な浄水処理方法は懸濁物の除去と殺菌が主体であり、原水に塩素を注入した後、凝集沈澱槽において適当な凝集剤を添加することにより凝集物を生成させてこれを沈殿させ、ついで砂を充填した砂ろ過槽に導いてろ過し、さらに再度塩素を注入するというものであった。
【0003】
ところが、このような方法では、処理水量当たりに必要な設備の敷地面積が広大になる上、豊富な経験に基づく微妙な運転条件の維持管理が不可欠である。すなわち、原水の状態の変動に対応して、凝集沈殿やろ過の状態を良好に維持するため、薬注条件等多くの運転パラメータの微妙な調整が必要とされる。
【0004】
さらに、近年、湖沼水、地下水等の水道原水の水質悪化が著しく、異臭味やトリハロメタン生成等の問題が生じているが、従来の一般的な浄水処理方法では、これらの問題に対応できないため、さらに高度な処理技術が要求され、この要求に応えて種々開発されている。このような高度浄水処理方法は、たとえば凝集沈澱槽において原水に適当な凝集剤を添加することにより凝集物を生成させてこれを沈殿させた後オゾンを吹込み、ついで砂を充填した砂ろ過槽に導いてろ過し、ついで再びオゾンを吹込んだ後、粒状活性炭が充填された槽内に上方から流入させて槽内に下降流を形成することにより粒状活性炭に有機物等を吸着させ、さらに塩素を注入するというものであった。
【0005】
しかしながら、このような方法は、従来の一般的な浄水処理方法に比べても非常に複雑な方法となっており、上述した一般的な浄水処理方法の有する問題点(設備の敷地面積が広大となること、および微妙な運転管理技術が必要であること)に加えて、設備建設費および運転経費が大幅に上昇し、得られる上水のコストの大幅な高騰を招くという問題が生じる。
【0006】
そこで、このような問題を解決するために、本出願人は、先に、表面に好気性微生物が付着した活性炭からなる粒状担体を内蔵する処理槽と、処理槽内に配置されたろ過膜ユニットと、処理槽内におけるろ過膜ユニットよりも下方の部分に配置された曝気装置とを備えている浄水処理装置を提案した(特開平10−323683号公報参照)。
【0007】
上記公報記載の装置を用いた浄水処理方法は、処理槽中に、河川水、湖沼水、池水、地下水等の原水を入れ、処理槽内に入れられた原水である槽内水中に曝気しつつ、好気性微生物によりこの有機物を分解し、有機物の分解物およびその他の懸濁物を槽内水中に浸漬したろ過膜ユニットによりろ別するというものである。
【0008】
この方法によれば、トリハロメタン前駆物質や異臭味原因物質である有機物を好気性微生物により分解し、この有機物の分解物を槽内水中に浸漬したろ過膜ユニットによりろ別しているので、トリハロメタンの生成や異臭味の発生を防止できる。しかも、その他の懸濁物もろ過膜ユニットによりろ別しているので、浮遊固形物や細菌も除去される。したがって、高度な上水が得られる。また、処理槽内に槽内水の循環流が形成され、粒状担体もこの循環流にのって循環するので、有機物との接触効率が向上するとともに、好気性微生物への有機物の分解に必要な酸素供給も充分に行われ、その結果有機物の分解効率が優れたものになる。さらに、循環流にのった粒状担体および気泡により膜表面上の付着物が剥離させられるので、膜の目詰まりが防止され、長期間に渡る連続処理が可能になる。
【0009】
しかしながら、上記公報記載の装置を用いた方法において、次のような問題が生じることが判明した。すなわち、上記装置を長期間運転していると、槽内水中における有機物の分解物、難分解不溶性有機物、および無機物等の懸濁物の濃度が増大し、ろ過時の膜差圧の上昇や、膜の目詰まりを起こし、浄水処理効率が低下する。そこで、このような浄水処理効率の低下を防止する目的で、上記公報記載の装置では、処理槽の下部が下方に向かって細くなったホッパ状となされるとともにその下端に開口が形成され、この開口が図示しない適当な手段により開閉自在となされている。また、処理槽のホッパ状部の下端開口に懸濁物を含む槽内水を排出する排水路が接続されている。そして、運転開始後一定時間が経過して槽内水中の懸濁物の量が増大して処理効率が低下すると、ホッパ状部の下端開口から槽内水とともに懸濁物を排出するようになっている。排出された懸濁物は排水路を通って懸濁物貯槽に送られ、その後脱水機に送られて脱水助剤の存在下に脱水された後廃棄されるる。ところが、この場合、微生物付着粒状担体も槽内水と一緒に流出するので、処理槽内に新たに微生物付着粒状担体を投入する必要があって、そのランニングコストが高くなるという問題がある。
【0010】
この発明の目的は、上記問題を解決し、微生物付着粒状担体を流出させることなく、懸濁物を含む槽内水だけを排出することのできる浄水処理装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段と発明の効果】
請求項1の発明による浄水処理装置は、表面に好気性微生物が付着した微生物付着粒状担体を内蔵している処理槽と、処理槽内に配置されたろ過膜ユニットと、処理槽内におけるろ過膜ユニットよりも下方の部分に配置された曝気装置とを備えており、かつ河川水、湖沼水、池水、地下水等の原水から上水を得るための浄水処理装置において、処理槽の周壁に排水口が形成され、処理層の外側に、処理槽内の懸濁物を含む槽内水を通過させるとともに、微生物付着粒状担体を分離する粒状担体分離フィルタが、排水口を覆うように配置されており、処理槽の周壁に形成された排水口を閉鎖する蓋が開閉自在に設けられ、粒状担体分離フィルタが着脱自在となされているものである。
【0012】
請求項1の発明の浄水処理装置によれば、運転開始後一定期間経過し、処理槽内の懸濁物を排出する必要が生じた場合、排水口から懸濁物を含む槽内水が排出させられるが、槽内水中の微生物付着粒状担体が、粒状担体分離フィルタによりろ別分離されるので、粒状担体の処理槽外への流出が防止される。したがって、新たな微生物付着粒状担体を投入するためのランニングコストが削減される。さらに、粒状担体分離フィルタは、処理槽の周壁に形成された排水口に配置されているので、曝気により発生する処理槽内の槽内水の流れおよびこの流れに乗った粒状担体がフィルタ表面を擦ることになり、フィルタの目詰まりが抑制されて排水口を通っての懸濁物を含む槽内水の排出が支障なく行われる
【0013】
また、粒状担体分離フィルタの目詰まりが発生すると、蓋により排水口を閉鎖するとともにフィルタを取り外し、ブラシ等を用いてフィルタを洗浄することができる。したがって、からみついた懸濁物によるフィルタの目詰まりを確実に防止することができ、その結果懸濁物を含む槽内水の排出を、処理槽内を空にすることなく、長期間にわたって支障なく行うことができる
【0014】
【発明の実施形態】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、全図面を通じて同一物および同一部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
図1〜図3はこの発明による浄水処理装置の第1実施形態を示す。
【0016】
図1に示すように、浄水処理装置は、好気性微生物が付着した微生物付着粒状担体(2)を内蔵する処理槽(1)と、処理槽(1)内に配置されたろ過膜ユニット(3)と、処理槽(1)内におけるろ過膜ユニット(3)よりも下方の部分に配置された曝気装置(4)と、曝気装置(4)に空気を送り込むブロワ(5)と、処理槽(1)内に送り込まれた原水である槽内水の液面を検出するレベルセンサ(6)と、処理槽(1)の前流側に配置されかつ原水中の粗大物を分離させるスクリーン(図示略)と、スクリーンを通過した原水を一次貯留する原水槽(原水槽)と、原水槽からのびかつ処理槽(1)の上部内に臨む原水供給管(7)と、原水を原水供給管(7)を通して原水槽から処理槽(1)内に送り込むポンプ(図示略)と、得られた上水を溜める貯水槽(8)とを備えている。レベルセンサ(6)およびポンプは図示しない制御器に接続されており、レベルセンサ(6)、ポンプおよび制御器によって、処理槽(1)内の水位がろ過膜ユニット(3)の上端より常に上方にあるように原水の供給が制御される。
【0017】
処理槽(1)の周壁には、有機物の分解物、難分解不溶性有機物、および無機物等の懸濁物を含む槽内水を処理槽(1)から排出する排水口(9)が形成され、この排水口(9)を覆うように、処理槽(1)の外側に粒状担体分離フィルタ(10)が配置されている。処理槽 (1) の周壁の外側に、排水口 (9) を閉鎖する蓋 (30) が開閉自在に設けられている。また、粒状担体分離フィルタ (10) が処理槽 (1) の外側から着脱自在となされている。また、粒状担体分離フィルタ(10)を介して排水管(11)が排水口(9)に接続されている。排水管(11)の途中には開閉弁(12)が設けられている。懸濁物を含む槽内水は、排水管(11)を通って懸濁物貯槽(図示略)に送られ、その後脱水機(図示略)に送られて脱水助剤の存在下に脱水された後廃棄される。
【0018】
微生物付着粒状担体(2)としては、ポリビニルアルコール等の高分子物質のゲルや、活性炭からなるものが用いられる。粒状担体(2)の粒度は、0.1〜5mmの範囲にあるものが好ましく、0.2〜2mmの範囲内が最適である。なお、活性炭としては、石炭原料の破砕炭または椰子殻原料の破砕炭が最適であるが、造粒活性炭であっても可能である。粒状担体分離フィルタ(10)の目の大きさは、粒状担体の粒径がたとえば0.2〜2mmの場合、0.1以上でかつ2mm未満とされる。
【0019】
ろ過膜ユニット(3)は、図2に示すように、複数の中空状平膜モジュール(13)を備えている。各平膜モジュール(13)は、図3に示すように、対向状に配置された2枚の平膜(14)と、両平膜(14)の周縁部間に配置された額縁状スペーサ(15)とよりなる。各平膜モジュール(13)に、その中空部内と連通するように吸引管(16)が接続されている。各吸引管(16)は貯水槽(8)からのびた1つのろ過水管(17)にまとめて接続されている。ろ過水管(17)の途中には吸引ポンプ(18)が設けられており、この吸引ポンプ(18)により槽内水が平膜(14)を通過して平膜モジュール(13)内に吸引されるようになっている。平膜モジュール(13)の平膜(14)としては、限外ろ過膜や精密ろ過膜が用いられるが、その中でも比較的吸引抵抗が小さく、コストの安い精密ろ過膜を用いることが好ましい。なお、ろ過膜ユニット(3)には、平膜(14)を用いた平膜モジュール(13)に代えて、中空糸状膜を用いたキャピラリーモジュールを適用することができる。
【0020】
次に、上記装置を用いた浄水処理方法について説明する。
【0021】
予め、トリハロメタン前駆物質や異臭味原因物質を含む河川水、湖沼水、池水、地下水等の原水中の粗大物をスクリーンで分離した後、この原水を原水槽内に貯留しておく。そして、原水槽内の原水を、ポンプにより処理槽(1)内に供給する。このとき、処理槽(1)内の水位がろ過膜ユニット(3)の上端より常に上方にあるように原水の供給が制御される。
【0022】
そして、ブロワ(5)で曝気装置(4)に空気を送り込むことによりろ過膜ユニット(3)の下方から槽内水中に曝気しつつ、吸引ポンプ(18)で吸引する。すると、槽内水中の有機物が粒状担体(2)に付着している好気性微生物により分解され、有機物の分解物、難分解不溶性有機物、無機物、細菌等の懸濁物がろ過膜ユニット(3)の平膜モジュール(13)の平膜(14)によりろ別され、平膜(14)を通過したろ過水が吸引管(16)およびろ過水管(17)を通って貯水槽(8)に送られる。なお、原水中にはウィルスが含まれていることがあり、平膜(14)がウイルス除去機能を持たないことと、配水過程での微生物汚染を避けるため、貯水槽(8)に送る前に、ろ過水管(17)内を流れているろ過水に適量の塩素注入を行い、上水として貯水槽(8)に貯める。
【0023】
ろ過膜ユニット(3)の下方から曝気装置(4)により槽内水中に曝気すると、エアリフト効果により、処理槽(1)内に図1に矢印で示すような槽内水の循環流が形成される。すなわち、ろ過膜ユニット(3)の隣接する平膜モジュール(13)間を槽内水、粒状担体(2)および気泡が上昇し、気泡は水面に達すると大気中に放出され、槽内水および粒状粒状担体(2)はろ過膜ユニット(3)と処理槽(1)の周壁との間を通って下方に流れてろ過膜ユニット(3)との下側に至り、再度気泡とともにろ過膜ユニット(3)の隣接する平膜モジュール(13)間を上昇する。このとき、ろ過膜ユニット(3)の下方から槽内水中への曝気により、ろ過膜ユニット(3)の隣接する平膜モジュール(13)間を上昇する流れにタービュレンスが与えられる。
【0024】
粒状担体(2)もこの循環流にのって循環するので、原水中に存在する好ましくない有機物との接触効率が向上し、粒状担体(2)への有機物吸着率も向上する。また、原水中の濃度のままでは効率よく生物処理され難い有機物も、粒状担体(2)表面上に濃縮された状態では、粒状担体(2)表面上に付着している微生物によって容易に効率よく分解される。粒状担体(2)に吸着された有機物は、順次付着微生物によって分解されるので、飽和吸着による粒状担体(2)の性能低下が防止される。また、好気性微生物への有機物の分解に必要な酸素供給も効率良く行われる。
【0025】
また、ろ過膜ユニット(3)の隣接する平膜モジュール(13)間を上昇する気泡および粒状担体(2)が平膜(14)を擦ることにより、平膜(14)表面上の付着物が剥離させられるので、平膜(14)の目詰まりが防止され、長期間に渡る連続処理が可能になる。
【0026】
運転開始後長期間が経過して処理槽(1)の槽内水中の懸濁物の量が所定量以上に増大し、浄水処理効率が低下すると、開閉弁(12)を開き、排水口(9)から懸濁物を含む槽内水を排出する。懸濁物を含む槽内水は、排水口(9)から排水管(11)を通って排出される。槽内水中の微生物付着粒状担体(2)は、粒状担体分離フィルタ(9)によりろ別分離され、これにより粒状担体(2)の排水口(9)を通っての流出が防止される。その結果、新たな微生物付着粒状担体(2)の処理槽(1)内への追加投入が不要になり、そのためのランニングコストが削減される。また、粒状担体分離フィルタ(10)は、処理槽(1)の周壁に形成された排水口(9)に配置されているので、槽内水の流れおよびこの流れに乗った粒状担体(2)がフィルタ(10)表面を擦ることになり、フィルタ(10)の目詰まりが抑制され、その結果懸濁物を含む槽内水の排出を支障なく行うことができる
【0027】
そして、天候による原水の性状変化や、長期間の運転により、懸濁物を含む槽内水の排出時に懸濁物がフィルタ(10)にからみつき、粒状担体分離フィルタ(10)が目詰まりして懸濁物を含む槽内水を効率良く排出することができなくなった場合、排水管(11)の開閉弁(12)を閉じるとともに、蓋(30)により排水口(9)を閉鎖し、粒状担体分離フィルタ(10)を取り外す。ついで、ブラシ等を用いてフィルタ(10)を洗浄することにより、フィルタ(10)の目詰まりを解消した後、再度フィルタ(10)を取り付ける。すると、懸濁物を含む槽内水の排出を長期間にわたって支障なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による浄水処理装置の実施形態を示す構成図である。
【図2】 図1の装置のろ過膜ユニットを示す斜視図である。
【図3】 図2のろ過膜ユニットに組込まれた平膜モジュールを示す分解斜視図である
【符号の説明】
(1):処理槽
(2):微生物付着粒状担体
(3):ろ過膜ユニット
(4):曝気装置
(9):排水口
(10):粒状担体分離フィルタ
(11):排水管
(12):開閉弁
(14):平
(30):蓋

Claims (1)

  1. 表面に好気性微生物が付着した微生物付着粒状担体を内蔵している処理槽と、処理槽内に配置されたろ過膜ユニットと、処理槽内におけるろ過膜ユニットよりも下方の部分に配置された曝気装置とを備えており、かつ河川水、湖沼水、池水、地下水等の原水から上水を得るための浄水処理装置において、処理槽の周壁に排水口が形成され、処理層の外側に、処理槽内の懸濁物を含む槽内水を通過させるとともに、微生物付着粒状担体を分離する粒状担体分離フィルタが、排水口を覆うように配置されており、処理槽の周壁に形成された排水口を閉鎖する蓋が開閉自在に設けられ、粒状担体分離フィルタが着脱自在となされている浄水処理装置。
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