JP3864220B2 - スピネル型窒化ゲルマニウムの分離、精製法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、ごく最近、その存在と合成法が本発明者らにより発明された高圧相スピネル型窒化ゲルマニウム粉末の分離、精製に関し、詳しくは、従来知られている種々の圧縮法を用いて低圧相窒化ゲルマニウムを立方晶スピネル型窒化ケルマニウムに変換させる所謂高圧合成法により得られるスピネル型窒化ゲルマニウムの分離、精製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高圧相スピネル型窒化ゲルマニウムの存在や合成法はごく最近、本発明者らが報告(Journal of Applied Physics,Vol.90,No.9,pp4403-4406,1 November 2001)したばかりであり、その分離、精製法は従来全く知られていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、衝撃波によって低圧相窒化ゲルマニウム(α−Ge3N4,β−Ge3N4,またはアモルファスGe3N4)を加圧し高圧相のスピネル型窒化ゲルマニウムを合成する方法において、低圧相粉末と金属粉との混合物の加圧成形体を金属容器に入れて圧力20GPa以上、加圧時間5マイクロ秒以下の衝撃波による瞬間的加圧を行うことによりスピネル型窒化ゲルマニウム粉末を製造する方法に関する発明を特許出願した(特願2001−050675号)。
この衝撃波を利用した合成法では、どうしてもスピネル型窒化ゲルマニウムと一緒に未反応物質である低圧相窒化ゲルマニウムが残存して混在し、また反応生成物として組成がGe3N4の非晶質物質が混在する。
そこで、この混在する物質を分離し、スピネル型窒化ゲルマニウムのみを精製する技術が不可欠であった。
本発明の目的は、上記のように低圧相窒化ゲルマニウム(α型やβ型、化学式Ge3N4)を高温高圧処理し製造される、高圧相のスピネル型窒化ゲルマニウムに混在する低圧相物質や非晶質物質を効率良く分離、精製する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、衝撃処理により得られたスピネル型窒化ゲルマニウムを含む試料からスピネル型窒化ゲルマニウムのみを分離、精製する技術を見出した。
【0005】
すなわち、本発明は、低圧相窒化ゲルマニウム(α型やβ型、化学式Ge3N4)を高温高圧処理し製造される、高圧相のスピネル型窒化ゲルマニウム(化学式Ge3N4)を低圧相窒化ゲルマニウムの未反応物質及び生成したGe3N4組成の非晶質物質から分離、精製する方法において、フッ化水素酸で未反応物質と非晶質物質の溶解処理を行うことを特徴とするスピネル型窒化ゲルマニウムの粉末の分離、精製法である。
また、本発明は、硝酸又は硫酸を10〜20重量%混合したフッ化水素酸を用いることを特徴とする上記のスピネル型窒化ゲルマニウムの粉末の分離、精製法である。
【0006】
本発明の方法によれば、精製された窒化ゲルマニウムの大量合成も可能になる。本発明のスピネル型窒化ゲルマニウムの分離、精製法において、前記スピネル型窒化ゲルマニウムと非晶質物質の両者は粉末であって、それぞれの粒子径は10μm以下のものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態の詳細は、以下の通りである。
高圧相のスピネル型窒化ゲルマニウムは、具体的には、低圧相窒化ゲルマニウムからなる試料を衝撃波の破壊から保護するための回収容器内に入れ、ネジ蓋で該試料背後から押さえた後、大型の円形収納体に埋め込み、ターゲットとする。一方、衝撃波を高速の飛翔体の衝突で発生させるために、火薬銃で加速する。衝撃圧を高めるために、飛翔体はサーボの前面に金属製の飛翔板が付いている。
【0008】
例えば、5重量%β型窒化ゲルマニウム粉末と95重量銅粉との混合粉末の加圧成形体に一段式火薬銃での飛翔体の衝突で約50GPaの衝撃圧縮処理を行い、瞬間的な発生する高温高圧状態を利用して物質合成を行うと、未反応物質と反応生成物の非晶質物質が混在したスピネル型窒化ゲルマニウム粉末試料が得られる。この方法では、10μm以下の混合粉末試料が生成する。
【0009】
次に、得られたスピネル型窒化ゲルマニウム試料中に含まれる未反応物質の分離、精製法について説明する。分離、精製の対象とするスピネル型窒化ゲルマニウムと未反応物質との混合粉末は、微粉末、具体的には粒子径が10μm以下の粉末であることが好ましく、1μm以下の粉末であることが更に好ましい。しかも、それらの粒子径の分布が出来るだけ均一であることが望ましい。10μmを越えるような大きな粒子が存在したり、粒子径が不揃いであると、スピネル型窒化ゲルマニウムに覆われた未反応物質や非晶質物質が残存したり、溶解に時間がかかったりして効率が悪くなる。未反応物質中に含まれるGe3N4はフッ化水素酸と次のように反応する。
【0010】
Ge3N4+12HF=4NH3+3GeF4,
この反応式から、1モルのGe3N4の成分に対して12モルのフッ化水素が反応する。従って、1回で処理可能な試料量は、未反応物質中に含まれるGe3N4の割合、およびフッ化水素量で規定される。上記反応を効率良く右に進めて溶解させるためには、定量以上のフッ化水素を使用する必要がある。この量はモル比で20〜200倍が望ましい。このモル比が20倍未満では、反応を促進させる効果が少なく、200倍を越えても反応促進の効果がそれ以上望めず、かえって未反応のフッ化水素が残存して好ましくない。
生成物に混在する非晶質物質の割合は衝撃条件にもよるが、せいぜい10重量%までであり、この非晶質物質についても上記と同様な反応により溶解除去できる。
【0011】
フッ化水素酸に少量の硝酸または硫酸を触媒として加えることで反応速度を増大させることができる。硝酸や硫酸の混合割合は、フッ化水素酸量の10〜20重量%程度でよい。
【0012】
分離、精製は高温で所定時間かけて未反応物質及び非晶質物質を溶解処理することで行われる。粒子径が1μm以下の場合には、温度100℃で2時間程度が望ましい。温度が低い場合には、時間を余計に要し、高い場合には、短時間で処理できる。粒子径が大きいものでは時間をかける必要がある。使用する容器の内側は、高温度でもフッ化水素酸と反応しないポリテトラフロロエチレンやポリエチレン製のもので、外側は金属で覆われた市販の密閉容器を使う。
【0013】
100mgを加圧分解容器中に秤量し、濃度46重量%のフッ化水素酸4mlと硝酸1ml加えて温度100℃に1時間放置後、室温に冷やし、その容器中を調べると、僅かな不溶物質が認められた。同様に、100℃に2時間放置後には、原料粉末は完全に溶解していた。
【0014】
【実施例】
実施例1
衝撃圧縮処理装置を用いて、低圧相β型とα型との混合物である窒化ゲルマニウム原料粉末(混合比4:1)5重量%と銅粉95重量%との混合粉末の加圧成形体に一段式火薬銃での飛翔体の衝突により約50GPaの衝撃圧縮処理を行い、瞬間的な発生する高温高圧状態を利用して未反応物質及び非晶質物質を含むスピネル型窒化ゲルマニウム粉末試料を得た。
【0015】
この試料粉末の約100mgを加圧分解容器中に秤量し、濃度46重量%のフッ化水素酸4mlと硝酸1mlとを加えて温度100℃に1時間放置後、ろ紙(No.5C)でろ過し、ろ紙上の不溶微粉末を多量の水で洗浄し乾燥した。この粉末試料を粉末X線回折法で同定した。その結果を図1に示した。
【0016】
図1において、No.1は、本発明の方法を実施するための衝撃処理で回収された試料で、スピネル型窒化ゲルマニウムと未反応窒化ゲルマニウムからなる試料、No.2は、その試料についてフッ化水素酸と硝酸との混合酸による溶解処理後の残留粉末試料の粉末X線回折図を例示したものである。
【0017】
この結果、試料No.1で見えた回折線のうち低圧相に対応する回折線が試料No.2では完全に消失し、スピネル構造に由来するピークのみが現れ、未反応物質及び非晶質物質が完全に除去されていることが明らかになった。従って、2時間の化学的処理で未反応物質及び非晶質物質が完全にフッ化水素酸と反応し、スピネル型窒化ゲルマニウムは僅かに反応するものの、大部分は反応せず、固体のままである。よって、この固体を採取することでスピネル型窒化ゲルマニウムを分離、精製することが出来た。
【0018】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のスピネル型窒化ゲルマニウムの分離、精製方法によれば、スピネル型窒化ゲルマニウム中に含まれる未反応物質や非晶質物質を効率良く分離、溶解し、スピネル型窒化ゲルマニウムの分離、精製を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の窒化ゲルマニウム粉末(No.1は処理前、No.2は処理後)の粉末X線回折結果を示すグラフである。
Claims (2)
- 低圧相窒化ゲルマニウム(α型やβ型、化学式Ge3N4)を高温高圧処理し製造される、高圧相のスピネル型窒化ゲルマニウム(化学式Ge3N4)を低圧相窒化ゲルマニウムの未反応物質及び生成したGe3N4組成の非晶質物質から分離、精製する方法において、フッ化水素酸で未反応物質と非晶質物質の溶解処理を行うことを特徴とするスピネル型窒化ゲルマニウムの粉末の分離、精製法。
- 硝酸又は硫酸を10〜20重量%混合したフッ化水素酸を用いることを特徴とする請求項1記載のスピネル型窒化ゲルマニウムの粉末の分離、精製法。
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JP2002230117A JP3864220B2 (ja) | 2002-08-07 | 2002-08-07 | スピネル型窒化ゲルマニウムの分離、精製法 |
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