JP3863864B2 - 流体圧シリンダ - Google Patents

流体圧シリンダ Download PDF

Info

Publication number
JP3863864B2
JP3863864B2 JP2003182544A JP2003182544A JP3863864B2 JP 3863864 B2 JP3863864 B2 JP 3863864B2 JP 2003182544 A JP2003182544 A JP 2003182544A JP 2003182544 A JP2003182544 A JP 2003182544A JP 3863864 B2 JP3863864 B2 JP 3863864B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
relief
ring
pressure
cushion
rod
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003182544A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005016631A (ja
Inventor
和憲 吉野
Original Assignee
新キャタピラー三菱株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 新キャタピラー三菱株式会社 filed Critical 新キャタピラー三菱株式会社
Priority to JP2003182544A priority Critical patent/JP3863864B2/ja
Publication of JP2005016631A publication Critical patent/JP2005016631A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3863864B2 publication Critical patent/JP3863864B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Actuator (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ストロークエンド付近でのクッション構造に特徴を有する流体圧シリンダに関する。
【0002】
【従来の技術】
図3により従来例を説明すると、図3(a)に示されるように油圧シリンダのシリンダ本体11の少なくとも一端開口部に作動流体ポート12を有するロッドカバー13が設けられ、このロッドカバー13内に摺動自在に嵌合されたロッド14に、シリンダ本体11内に摺動自在に嵌合されたピストン15が一体的に設けられ、そして、このピストン15の左方への移動におけるストロークエンド付近でスピードを低下させることでストロークエンド停止時のショックを緩和するクッション装置16が設けられている。
【0003】
このクッション装置16は、図3(b)に示されるようにピストン15よりロッドカバー側に隣接する位置でロッド14にクッションリング17が嵌着され、このクッションリング17は、ストロークエンド付近でロッドカバー13内に嵌入されると、ロッドカバー13とピストン15との間にクッション室18を形成する。
【0004】
このクッション室18によりシリンダ停止時のショックを緩和するが、反面、このクッション室18内には高いピーク圧が発生する傾向がある。
【0005】
特に、図2に示されるような大質量、高慣性の自動車解体処理用アタッチメント(以下、このアタッチメントを「大質量アタッチメント」という)Aを取付けた場合、シリンダ停止時に特に高いピーク圧が発生する傾向にあり、このため、シリンダ本体11の膨らみと、それによるシリンダ本体11・ロッドカバー13間に設けられたO−リングシール19のはみ出し現象で油洩れが発生する場合が想定される。
【0006】
このような現象を防止するために、図3に示された従来例では、クッションリング17の右端面に形成された切欠溝21、内径側に設けられた間隙22、左端面に形成された切欠溝23によって、クッションリング17がロッドカバー13内に嵌入された状態でクッション室18内に発生したピーク圧を作動流体ポート12に逃がす圧逃がし通路24を設けている。
【0007】
そして、この圧逃がし通路24を流れる油量を制御するために、クッションリング17の内径側でロッド14の外周面に形成された凹溝25に、図3(c)に示されるようにスリット26の入ったクッションシール27を嵌着し、このクッションシール27のスリット26の幅を、大質量アタッチメントAを取付けた場合は標準のバケットアタッチメントを取付けた場合より大きく調整して、大質量アタッチメントAの停止時のピーク圧を効率良く逃すようにしている。
【0008】
また、この種のクッション装置としては、シリンダ本体のストロークエンド付近に内テーパ面を有する制動スリーブを設け、一方、ピストンには、制動スリーブの内テーパ面に嵌合されるスリットを有するピストンリングを嵌着し、ピストンがストロークエンドに近付くにしたがって、制動スリーブの内テーパ面と嵌合するピストンリングが縮径してそのスリットが狭まり、制動スリーブ内のクッション室からこのスリットを経て排出ポートに排出される作動流体を漸次絞ることで、漸増的に制動を生じさせるようにしたクッション装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
さらに、図3に示された従来例と同様に、ピストンよりロッドカバー側に隣接する位置でロッドにクッションリングが嵌着され、このクッションリングがストロークエンド付近でロッドカバー内に嵌入されたときに、ロッドカバーとピストンとの間にクッション室が形成されるようにし、このクッション室と作動流体ポートとの間にクッション室の作動流体を流量制限して作動流体ポートに排出する絞り孔を有する絞り通路を設け、ストロークエンド近傍でこの絞り通路を経由して作動流体ポートに作動流体を排出することでピストンにクッション作用を付与するクッション装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−294414号公報(第4頁、図1−4)
【0011】
【特許文献2】
特開2001−82415号公報(第4−5頁、図1−6)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
これらの公報に示されたクッション装置および図3に示されたクッション装置16は、急激なシリンダ操作でピストン15がストロークエンドに到達したときにクッション室18内に過大なピーク圧が発生しても、その過大なピーク圧を受けて対応動作する部材がないので、クッションシール27のスリット26の幅を調整して、標準のバケットアタッチメントに対するシリンダクッションフィーリングとピーク圧チューニングを行った流体圧シリンダをユーザに提供しても、そのユーザがシリンダ負荷を、より大質量で高い慣性をもった大質量アタッチメントAに変更した場合は、フルレバー操作で流体圧シリンダを高速作動させて停止した時に、過大なピーク圧が発生し、これにより、シリンダ本体11が変形するなどのトラブルが発生する。
【0013】
一方、シリンダ負荷を大質量アタッチメントAから標準のバケットアタッチメントに取り換えた場合は、高いピーク圧が発生する心配はないが、クッションシール27のスリット26の幅が大きいので、圧逃がし通路24を流れる油に対する抵抗が低くなり、クッション装置16の機能が低下して、シリンダ停止時のショックが大きく感じられるという問題が発生する。
【0014】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、クッション室のピーク圧に対してシリンダ負荷の質量、慣性の大きさによる影響が出ないクッション構造を有する流体圧シリンダを提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明は、シリンダ本体と、シリンダ本体の少なくとも一端開口部に設けられた作動流体ポートを有するロッドカバーと、ロッドカバー内に摺動自在に嵌合されたロッドと、ロッドに一体的に設けられてシリンダ本体内に摺動自在に嵌合されたピストンと、ピストンよりロッドカバー側に隣接する位置でロッドに嵌着されストロークエンド付近でロッドカバー内に嵌入されたときにロッドカバーとピストンとの間にクッション室を形成するクッションリングと、クッションリングがロッドカバー内に嵌入された状態でクッション室内に発生したリリーフ設定圧未満の圧を作動流体ポートに逃がす第1の圧逃がし通路と、クッションリングに摺動自在に嵌合されクッション室内に発生したリリーフ設定圧以上の圧により移動可能のリリーフリングと、クッション室内の圧でリリーフリングが移動する方向とは逆方向にリリーフリングを付勢してリリーフ設定圧を決定するリリーフスプリングと、リリーフリングの移動でクッション室内のリリーフ設定圧以上の圧を作動流体ポートに逃がす第2の圧逃がし通路とを具備した流体圧シリンダであり、クッションリングがロッドカバー内に嵌入された状態でクッション室内に発生した圧が、リリーフ設定圧未満である場合は、その圧を第1の圧逃がし通路により作動流体ポートに逃がすのに対して、クッション室内に発生した圧が、リリーフ設定圧以上である場合は、その圧によってリリーフスプリングに抗してリリーフリングを移動させることで、リリーフ設定圧以上の圧を第2の圧逃がし通路により作動流体ポートに逃がすようにしたので、シリンダ負荷の質量、慣性の大きさによってクッション室のピーク圧に影響が出ることを防止でき、従来のクッションリングでは対応できなかったような大質量、高慣性のシリンダ負荷を装着したときに発生する過大なピーク圧も除去できる。しかも、シリンダ負荷に応じた調整をするために流体圧シリンダを分解したり、あるいは調整済みの他の流体圧シリンダに取換えたりする必要がなく、過大なピーク圧除去を容易に実現できる。
【0016】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の流体圧シリンダにおけるクッションリングが、内径側にリリーフリング嵌合溝を有し、リリーフリングおよびリリーフスプリングは、このリリーフリング嵌合溝の深さ範囲内に収納され、リリーフリングは、リリーフリング嵌合溝の軸方向範囲内で軸方向移動されるものであり、リリーフリングおよびリリーフスプリングは、クッションリングの内径側に設けられたリリーフリング嵌合溝の深さ範囲内に収納され、リリーフリングは、リリーフリング嵌合溝の軸方向範囲内で軸方向移動されるので、リリーフリングおよびリリーフスプリングをクッションリング内にコンパクトに組込むことができる。
【0017】
請求項3に記載された発明は、請求項2記載の流体圧シリンダにおいて、第1の圧逃がし通路を形成するロッドとリリーフリングとの間隙中に位置するクッションシールを備え、このクッションシールは、一部を切欠いて形成したスリットを有するものであり、第1の圧逃がし通路を形成するロッドとリリーフリングとの間隙中に、スリットを有するクッションシールを位置させるので、従来のクッションシールをそのまま用いることができ、かつ、外径および軸方向の寸法が従来のクッションリングと同じであって組立て互換性のあるクッションリングと、リリーフリングおよびリリーフスプリングとを、従来のクッションリングと交換するだけで、過大なピーク圧による問題を解決できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1および図2に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図2は、油圧ショベルのベースマシンを用いて構成された自動車解体仕様の作業機械を示し、下部走行体31に旋回軸受部32を介して上部旋回体33が旋回可能に設けられ、この上部旋回体33に、動力装置34、キャブ35などとともに自動車解体処理用の作業装置36が搭載されている。
【0020】
この作業装置36は、上部旋回体33にブーム37が上下方向回動自在に軸支され、このブーム37にアーム38が回動自在に軸支され、このアーム38に大質量、高慣性の自動車解体処理用アタッチメント(以下、このアタッチメントを「大質量アタッチメント」という)Aが回動自在に軸支されている。ブーム37はブームシリンダ41により、アーム38はアームシリンダ42により、大質量アタッチメントAは、バケットシリンダ43により、それぞれ回動される。
【0021】
大質量アタッチメントAは、アーム38に連結されたブラケット部44に対しアタッチメント本体部45が油圧モータ46により回転可能に設けられ、アタッチメント本体部45に対し破砕カッタ47が油圧シリンダ(図示せず)により開閉可能に設けられている。
【0022】
さらに、下部走行体31のセンタフレームには、自動車押え用のフォーク48が上下方向回動自在に軸支され、油圧シリンダ49により回動される。
【0023】
次に、図1(a)は、図2に示された大質量アタッチメントAのような大質量、高慣性のシリンダ負荷を動かすブームシリンダ41、アームシリンダ42またはバケットシリンダ43のような流体圧シリンダとしての油圧シリンダを示す。
【0024】
51は、円筒形のシリンダ本体であり、このシリンダ本体51の少なくとも一端開口部には、一方の作動流体ポート52を有するロッドカバー53が、O−リングシール54を介して嵌着され、ボルト55により固定されている。また、シリンダ本体51の他端部には、他方の作動流体ポート56を有するヘッド部57が一体的に設けられている。
【0025】
ロッドカバー53の内周面のうち作動流体ポート52よりロッド突出側には円環状のシール部材58が複数嵌着され、これらのシール部材58を介して、ロッドカバー53内にロッド59が摺動自在に液密嵌合されている。
【0026】
一方、ロッドカバー53の内周面のうち作動流体ポート52よりシリンダ本体51側の内径はロッド59の外径より十分大径に形成されていて、このロッドカバー53の内径部に、シリンダ本体51内を作動流体ポート52に連通する環状通路60が形成されている。
【0027】
ロッド59の内奥端側には、シリンダ本体51内に摺動自在に嵌合された円環状のピストン61が嵌着され、一体化されている。このピストン61よりロッドカバー53側に隣接する位置でロッド59に円筒形のクッションリング62が嵌着されている。
【0028】
図1(b)に示されるように、このクッションリング62は、ストロークエンド付近でロッドカバー53の環状通路60内に嵌入されたときに、ロッドカバー53とピストン61との間にクッション室63を形成する。
【0029】
このクッション室63は、完全に密閉された室ではなく、クッションリング62の外径部とロッドカバー53の内径部間の僅かな隙間や、第1の圧逃がし通路(後述する)などを経て、クッション室63内の作動流体を作動流体ポート52に徐々に排出することができる。
【0030】
クッションリング62には、従来のクッションリング17と同一の肉厚を有する作動流体ポート52側の厚肉部64に対して、ピストン61側の内径側にリリーフリング嵌合溝65を形成することで薄肉部66が形成されている。この薄肉部66において厚肉部64と隣接する部分には、内径をより拡大させた内周溝67が形成されている。
【0031】
この内周溝67は、厚肉部64の軸方向に穿設された貫通穴68および厚肉部64の外端面に形成された切欠溝69を経て、ロッドカバー53の作動流体ポート52に連通されている。また、薄肉部66の外端面にも切欠溝71が形成されている。
【0032】
クッションリング62の薄肉部66の内周面には、円筒形のリリーフリング72が摺動自在に嵌合されている。このリリーフリング72の内径は、厚肉部64の内径よりやや大径に形成されている。
【0033】
図1(c)に示されるように、リリーフリング72の右端面には複数の切欠溝73が形成され、これらの切欠溝73は、外径面の軸方向に形成された複数の軸方向溝74に連通され、これらの軸方向溝74は、外径面の円周方向に形成された外周溝75に連通されている。
【0034】
さらに、図1(b)に示されるように、ロッド59の外周面とリリーフリング72の内周面との間には環状の間隙76が形成され、この間隙76に臨むロッド59の外周面には凹溝77が形成され、この凹溝77に、環状の間隙76中に位置する環状のクッションシール78が嵌着されている。
【0035】
図1(c)に示されるように、このクッションシール78は、複数箇所に切欠溝79を有するとともに、環の一部を切欠いて形成したスリット80を有する。このクッションシール78のスリット80の幅は、標準のバケットアタッチメントを取付けた場合にクッション室63内のピーク圧が適切な圧となるように調整される。
【0036】
また、図1(b)に示されるように、クッションリング62の内周溝67内には、厚肉部64の内端面と、リリーフリング72の対向する端面との間に位置するリリーフ設定圧決定用のリリーフスプリング81が設けられ、このリリーフスプリング81により、リリーフリング72がピストン61側に付勢されている。
【0037】
このリリーフスプリング81は、複数の皿ばねにより形成され、クッション室63内に発生したピーク圧を受けてリリーフリング72が移動する方向とは逆方向にリリーフリング72を付勢してリリーフ設定圧を決定する。
【0038】
これらのリリーフリング72およびリリーフスプリング81は、クッションリング62のリリーフリング嵌合溝65の深さ範囲内に収納され、また、リリーフリング72は、リリーフリング嵌合溝65の軸方向範囲内で軸方向移動される。
【0039】
また、図1(b)に示されるようにクッションリング62がロッドカバー53の環状通路60内に嵌入された状態でクッション室63内に発生したリリーフ設定圧未満の圧を作動流体ポート52に逃がす第1の圧逃がし通路82が設けられている。
【0040】
この第1の圧逃がし通路82は、クッションリング62およびリリーフリング72の右端面に設けられた各切欠溝71,73と、ロッド59の外周面とリリーフリング72の内周面との間に形成された環状の間隙76と、クッションシール78のスリット80と、クッションリング62の内周溝67と、貫通穴68と、切欠溝69とによって形成されている。
【0041】
さらに、リリーフリング72は、クッション室63内に発生したリリーフ設定圧以上の圧により、リリーフスプリング81に抗して図1(b)の左方へ移動するが、このリリーフリング72の移動でクッション室63内のリリーフ設定圧以上の圧を作動流体ポート52に逃がす第2の圧逃がし通路83が設けられている。
【0042】
この第2の圧逃がし通路83は、クッションリング62およびリリーフリング72の右端面に設けられた各切欠溝71,73と、リリーフリング72の軸方向溝74および外周溝75と、リリーフリング72の移動によってリリーフリング72の外周溝75とオーバラップしたクッションリング62の内周溝67と、貫通穴68と、切欠溝69とによって形成されている。
【0043】
このように、本流体圧シリンダは、従来のクッションシール27と同一のクッションシール78をそのまま使用し、クッションリング62の外径と軸方向長さもそのまま維持して、従来のクッションリング17と、本流体圧シリンダのクッションリング62、リリーフリング72およびリリーフスプリング81との新・旧の互換性をもたせる。
【0044】
そのために、クッションリング62の内径側を部分的に拡径し、このクッションリング62の拡径面とロッド59の外径面との間にリリーフリング72を軸方向摺動自在に嵌込むとともに、リリーフスプリング81を組込む。
【0045】
前記リリーフリング72は、端面に切欠溝73を設け、外径面に1箇所以上の軸方向溝74と1箇所の外周溝75とを設ける。一方、クッションリング62の内径側には、リリーフリング72の移動によってリリーフリング72の外周溝75とオーバラップして連通する内周溝67を設ける。
【0046】
前記リリーフスプリング81は、リリーフリング72のリリーフ設定圧すなわち開弁圧を決定する皿ばねなどのスプリングであり、リリーフリング72の切欠溝73のある側と反対側の端面に当接されるように、クッションリング62の内周溝67に組込まれている。
【0047】
次に、図示された実施の形態の作用を説明する。
【0048】
標準のバケットアタッチメント装着時には、従来通り、クッションリング62の外径部とロッドカバー53の内径部間の隙間と、第1の圧逃がし通路82中に位置するクッションシール78のスリット80の幅とを、最適クッション効果が出て、かつ異常に高いピーク圧が立たないように調整し、これらのロッドカバー内径部の隙間および第1の圧逃がし通路82を通して適度な流体移動がなされるようにする。
【0049】
上記の調整状態のままで、バケットアタッチメントを大質量アタッチメントA(図2)に装着換えして、ブームシリンダ41、アームシリンダ42、バケットシリンダ43などの流体圧シリンダを伸張動作させると、ロッドカバー53の内径部(環状通路60)にクッションリング62の外径部が突入して、高いピーク圧が発生しようとする時、その圧力はクッションリング62の内径側に組まれたリリーフリング72の右端面に作用する。
【0050】
この高いピーク圧と、リリーフリング72の右端面の受圧面積とを乗じた推力が、あらかじめ与圧されて組込まれたリリーフスプリング81の取付荷重を超えると、リリーフリング72は、左方へ移動する。
【0051】
この移動により、リリーフリング72の外周の軸方向溝74よりピーク圧が伝わっている外周溝75と、クッションリング62の内周溝67とがオーバラップして開口すると、第2の圧逃がし通路83が連通し、クッション室63内の高いピーク圧は、クッションリング62およびリリーフリング72の右端面に設けられた各切欠溝71,73、リリーフリング72の軸方向溝74および外周溝75、クッションリング62の内周溝67、軸方向の貫通穴68、切欠溝69を経て、作動流体ポート52に開放される。
【0052】
したがって、従来のように、過大なピーク圧でシリンダ本体51が変形して、油漏れを起こす問題が解決される。また、標準質量のバケットアタッチメントでいったん調整した後は、大質量アタッチメントAに装着換えが行われても、再度調整する必要はない。
【0053】
次に、図示された実施の形態の効果を説明する。
【0054】
クッションリング62がロッドカバー53内に嵌入された状態でクッション室63内に発生した圧が、リリーフ設定圧未満である場合は、その圧をロッドカバー53の内径部の隙間および第1の圧逃がし通路82により作動流体ポート52に逃がすのに対して、クッション室63内に発生した圧が、リリーフ設定圧以上である場合は、その圧によってリリーフスプリング81に抗してリリーフリング72を移動させることで、リリーフ設定圧以上の圧を第2の圧逃がし通路83により作動流体ポート52に逃がすようにしたので、シリンダ負荷の質量、慣性の大きさによってクッション室63のピーク圧に影響が出ることを防止でき、例えば従来のクッションリング17とクッションシール27の組合せでは対応できなかったような大質量、高慣性の大質量アタッチメントAを装着したときに発生する過大なピーク圧も除去できる。しかも、クッションシール78のスリット80の幅を調整するために流体圧シリンダを分解したり、あるいはスリット80の幅の異なるクッションシール78をあらかじめ組み込んだ流体圧シリンダに取換えたりする必要がなく、過大なピーク圧除去を容易に実現できる。
【0055】
また、リリーフリング72およびリリーフスプリング81は、クッションリング62の内径側に設けられたリリーフリング嵌合溝65の深さ範囲内に収納され、リリーフリング72は、リリーフリング嵌合溝65の軸方向範囲内で軸方向移動されるので、リリーフリング72およびリリーフスプリング81をクッションリング62内にコンパクトに組込むことができる。
【0056】
そして、第1の圧逃がし通路82を形成するロッド59とリリーフリング72との間隙76中に、スリット80を有するクッションシール78を位置させるので、従来のクッションシール27と全く同一のクッションシール78をそのまま用いることができ、かつ、外径および軸方向の寸法が従来のクッションリング17と同じであって組立て互換性のあるクッションリング62と、リリーフリング72およびリリーフスプリング81とを、従来のクッションリング17と交換するだけで、過大なピーク圧による問題を解決できる。
【0057】
なお、本流体圧シリンダは、自動車解体仕様の作業機械に用途を限定されるものではなく、他の建設機械、産業機械のシリンダ負荷を作動する場合にも適用できる。
【0058】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、クッションリングがロッドカバー内に嵌入された状態でクッション室内に発生した圧が、リリーフ設定圧未満である場合は、その圧を第1の圧逃がし通路により作動流体ポートに逃がすのに対して、クッション室内に発生した圧が、リリーフ設定圧以上である場合は、その圧によってリリーフスプリングに抗してリリーフリングを移動させることで、リリーフ設定圧以上の圧を第2の圧逃がし通路により作動流体ポートに逃がすようにしたので、クッションリングがロッドカバー内に嵌入された状態でクッション室内に発生したリリーフ設定圧未満の圧を作動流体ポートに逃がす第1の圧逃がし通路に対して、クッション室内に発生したリリーフ設定圧以上の圧によってリリーフスプリングに抗して移動可能のリリーフリングの移動でリリーフ設定圧以上の圧を作動流体ポートに逃がす第2の圧逃がし通路を設けたので、シリンダ負荷の質量、慣性の大きさによってクッション室のピーク圧に影響が出ることを防止でき、従来のクッションリングでは対応できなかったような大質量、高慣性のシリンダ負荷を装着したときに発生する過大なピーク圧も除去できる。しかも、シリンダ負荷に応じた調整をするために流体圧シリンダを分解したり、あるいは調整済みの他の流体圧シリンダに取換えたりする必要がなく、過大なピーク圧除去を容易に実現できる。
【0059】
請求項2記載の発明によれば、リリーフリングおよびリリーフスプリングは、クッションリングの内径側に設けられたリリーフリング嵌合溝の深さ範囲内に収納され、リリーフリングは、リリーフリング嵌合溝の軸方向範囲内で軸方向移動されるので、リリーフリングおよびリリーフスプリングをクッションリング内にコンパクトに組込むことができる。
【0060】
請求項3記載の発明によれば、第1の圧逃がし通路を形成するロッドとリリーフリングとの間隙中に、スリットを有するクッションシールを位置させるので、従来のクッションシールをそのまま用いることができ、かつ、外径および軸方向の寸法が従来のクッションリングと同じであって組立て互換性のあるクッションリングと、リリーフリングおよびリリーフスプリングとを、従来のクッションリングと交換するだけで、過大なピーク圧による問題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る流体圧シリンダの一実施の形態を示す断面図、(b)はその要部を拡大した断面図、(c)はそのリリーフリングおよびクッションシールを示す斜視図である。
【図2】同上流体圧シリンダの適用に適する大質量アタッチメントを装着した自動車解体仕様の作業機械を示す斜視図である。
【図3】(a)は従来の流体圧シリンダを示す断面図、(b)はその一部を拡大した断面図、(c)はそのクッションシールを示す斜視図である。
【符号の説明】
51 シリンダ本体
52 作動流体ポート
53 ロッドカバー
59 ロッド
61 ピストン
62 クッションリング
63 クッション室
65 リリーフリング嵌合溝
72 リリーフリング
76 間隙
78 クッションシール
80 スリット
81 リリーフスプリング
82 第1の圧逃がし通路
83 第2の圧逃がし通路

Claims (3)

  1. シリンダ本体と、
    シリンダ本体の少なくとも一端開口部に設けられた作動流体ポートを有するロッドカバーと、
    ロッドカバー内に摺動自在に嵌合されたロッドと、
    ロッドに一体的に設けられてシリンダ本体内に摺動自在に嵌合されたピストンと、
    ピストンよりロッドカバー側に隣接する位置でロッドに嵌着されストロークエンド付近でロッドカバー内に嵌入されたときにロッドカバーとピストンとの間にクッション室を形成するクッションリングと、
    クッションリングがロッドカバー内に嵌入された状態でクッション室内に発生したリリーフ設定圧未満の圧を作動流体ポートに逃がす第1の圧逃がし通路と、
    クッションリングに摺動自在に嵌合されクッション室内に発生したリリーフ設定圧以上の圧により移動可能のリリーフリングと、
    クッション室内の圧でリリーフリングが移動する方向とは逆方向にリリーフリングを付勢してリリーフ設定圧を決定するリリーフスプリングと、
    リリーフリングの移動でクッション室内のリリーフ設定圧以上の圧を作動流体ポートに逃がす第2の圧逃がし通路と
    を具備したことを特徴とする流体圧シリンダ。
  2. クッションリングは、内径側にリリーフリング嵌合溝を有し、
    リリーフリングおよびリリーフスプリングは、このリリーフリング嵌合溝の深さ範囲内に収納され、
    リリーフリングは、リリーフリング嵌合溝の軸方向範囲内で軸方向移動される
    ことを特徴とする請求項1記載の流体圧シリンダ。
  3. 第1の圧逃がし通路を形成するロッドとリリーフリングとの間隙中に位置するクッションシールを備え、
    このクッションシールは、一部を切欠いて形成したスリットを有する
    ことを特徴とする請求項2記載の流体圧シリンダ。
JP2003182544A 2003-06-26 2003-06-26 流体圧シリンダ Expired - Lifetime JP3863864B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003182544A JP3863864B2 (ja) 2003-06-26 2003-06-26 流体圧シリンダ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003182544A JP3863864B2 (ja) 2003-06-26 2003-06-26 流体圧シリンダ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005016631A JP2005016631A (ja) 2005-01-20
JP3863864B2 true JP3863864B2 (ja) 2006-12-27

Family

ID=34182897

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003182544A Expired - Lifetime JP3863864B2 (ja) 2003-06-26 2003-06-26 流体圧シリンダ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3863864B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101010713B1 (ko) 2008-12-03 2011-01-24 동양기전 주식회사 쿠션링 조립구조가 개선된 유압 실린더
CN101936318A (zh) * 2010-10-20 2011-01-05 小冶精通(天津)液压机械有限公司 改进缓冲效果的液压油缸
KR101373717B1 (ko) 2012-07-04 2014-03-13 동양기전 주식회사 헤드 커버 측 쿠션 형성 구조가 향상된 유압 실린더 장치
DE202020004533U1 (de) * 2020-10-28 2022-02-04 Bümach Engineering International B.V. Endlagengedämpfter Arbeitszylinder

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005016631A (ja) 2005-01-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4401568B2 (ja) 油圧ロックを有するロッカ・ブレーキ・アセンブリ
JP3718080B2 (ja) ブレーキ装置を有する液圧モータ
JP3863864B2 (ja) 流体圧シリンダ
JP4761445B2 (ja) バルブ構造
JP5184149B2 (ja) 油圧モータのブレーキ機構
JP2882109B2 (ja) 油圧式回転減速装置
WO2020149417A1 (ja) ディスクブレーキ装置
JP3911211B2 (ja) 液圧モータ
JP4562877B2 (ja) 斜板式ピストンモータ
JP4384996B2 (ja) 車両のブレーキ装置
JP4762714B2 (ja) 斜板式ピストンモータ
JP4656509B2 (ja) 変速機のクラッチ構造
JP3666584B2 (ja) 建設機械のアタッチメント用旋回装置
JP5211270B1 (ja) 作業用車両及びそのブレーキ装置
JP2003291799A (ja) ブレーキ用マスターシリンダ装置
JP4164252B2 (ja) 油圧モータのブレーキ装置
KR100579746B1 (ko) 자동차의 디스크브레이크 구조
WO2019187928A1 (ja) 作業車両用の摩擦係合装置、及び、作業車両
KR100350886B1 (ko) 트럭의 캐빈 진동흡수구조
KR100444460B1 (ko) 자동차의 디스크브레이크구조
JP5523980B2 (ja) スリップ抑制および起動効率向上機能を備えた油圧モータ
JP2021160431A (ja) 車高調整装置および緩衝器
JP4078011B2 (ja) 衝撃緩和構造
JP4275816B2 (ja) 可変容量型ポンプ
JP4750571B2 (ja) ロータリダンパ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050913

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060825

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060906

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060929

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121006

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121006

Year of fee payment: 6

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121006

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121006

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350