JP3863791B2 - 超音波診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波診断装置に関し、特に動作条件の変更に関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置においては、送受信条件、信号処理条件、表示条件などの各種の条件をユーザー設定することができる。具体的には、そのような条件の例として、例えば、送信周波数、ゲイン(利得)、分解能、フィルタ特性、コントラスト、カラーテーブルなどの各種のパラメータをあげることができる。
【0003】
それらの条件をユーザー設定する場合には、一般に、メインメニュー画面上において、まずパラメータとしての特定のメニュー項目(例えばBモード画質)が選択される。すると、パラメータ値として複数の項目要素(例えば、高分解能モード、通常分解能モード、高感度モード)からなるリストが表示されるので、そのリスト中から特定の項目要素が選択される。その選択に基づいて、送受信条件などの各種の条件が更新される。メニュー項目の中には、その項目要素が数値である場合もある(例えばゲイン)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法によると、項目要素を実際に選択しなければ新しい動作条件の下での超音波画像を表示させることができない。換言すれば、各項目要素の選択前にどのような超音波画像が得られるのかを視覚的に認識することはできない。このため、所望の画質の超音波画像を得るために、項目要素の選択を繰り返さなければならない場合があり、その場合には操作が極めて煩雑となる。更に、そのような操作過程においては、その操作に意識が集中しやすく、生体への超音波探触子の当接状態が不用意に変動してしまうという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、動作条件の変更に際してユーザーの便宜を図ることにある。
【0006】
本発明の他の目的は、所望の動作条件を短時間に設定できるようにすることにある。
【0007】
本発明の他の目的は、複数の動作条件に対応する複数の超音波画像を視覚的に対比観察した上で、良好な動作条件を選択できるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、超音波を送受波し、受信信号を出力する送受波手段と、超音波画像の画質に関係する少なくとも1つのユーザー設定可能な項目について、選択候補として複数の項目要素を特定する選択候補特定手段と、前記受信信号に基づいて、前記選択候補特定手段によって特定された複数の項目要素に対応する複数の部分画像を形成し、それらの部分画像を合成して複合画像を形成する複合画像形成手段と、前記複合画像を表示する表示手段と、を含むことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、項目要素の実際の選択に際して、複数の項目要素に対応した互いに画質の異なる複数の部分画像が合成された複合画像が表示される。ユーザーは、それらの部分画像を視覚的に対比評価した上で、適切な項目要素を選択でき、あるいは、選択すべき項目要素を絞り込むことができる。複合画像は、例えば、二次元断層画像(Bモード画像)、二次元ドプラ画像、三次元画像、Mモード画像などである。実際に超音波の送受波を行って得られた受信信号に基づいて各部分画像が形成されるため、項目要素の選択はより的確なものとなる。
【0010】
ユーザー設定可能な多数の項目の中で、現在、ユーザー設定の対象となっている項目の設定内容だけが互いに異なり、それ以外の項目についての設定内容は同一とするのが望ましい。この構成によれば、評価対象となっている項目について正しい評価を行える。ただし、現在行っているユーザー設定の対象を複数の項目とし、それらを一括設定する場合においても上記構成を採用しうる。
【0011】
なお、設定対象となっている項目について、選択可能な全部の項目要素に対応する部分画像を形成するようにしてもよいし、選択可能な項目要素数が多い場合には(例えば数値設定の場合)、それらの中から幾つかの代表値を選抜し、それらに対応する部分画像を形成するようにしてもよい。後者の場合には、いずれかの代表値の選択後に、同様の手法により、あるいは従来同様の数値選択により、より詳細な設定値が最終的に指定される。
【0012】
望ましくは、前記複数の部分画像は、超音波ビームの走査によって形成される走査面を区分してなる複数の部分エリアに対応する。この場合に、望ましくは、各部分エリアは複数の超音波ビームによって構成される。
【0013】
望ましくは、前記複数の部分画像を参照したユーザーによって操作され、前記複数の項目要素の中から今後有効とする有効項目要素を選択するための選択手段を含み、前記選択手段による有効項目要素の選択の後に、当該有効項目要素に対応する超音波画像が表示される。この構成によれば、項目要素が選択されると、直ちにあるいは所定操作をもって、装置の動作条件が更新される。
【0014】
望ましくは、前記選択手段は、前記複数の部分画像の中から特定の部分画像をユーザー選択させ、そのユーザー選択された部分画像に対応する項目要素を前記有効項目要素とする。この構成によれば、部分画像選択をもって項目要素の選択を行えるので、簡便で誤りのない選択を行いうる。
【0015】
望ましくは、前記複合画像は動画像又は静止画像として表示される。
【0016】
望ましくは、前記複数の項目要素には、現在有効となっている有効項目要素と、それ以外の1又は複数の項目要素と、が含まれ、前記画質の異なる複数の部分画像には、前記現在有効となっている有効項目要素に対応する現有効部分画像と、前記それ以外の1又は複数の項目要素に対応する1又は複数のサンプル部分画像と、が含まれる。現有効部分画像を表示すれば、更新自体の必要性や更新による画質変化を判断できる。また、現有効画像の部分画像の表示エリアを移動することができるようにしてもよい。
【0017】
望ましくは、前記各部分画像のサイズを前記部分画像の個数によって決定する手段を含む。望ましくは、前記各部分画像間には境界ラインが表示される。
【0018】
(2)また、上記目的を達成するために、本発明は、受信信号に基づいて、異なる複数の動作条件に対応する複数の部分画像を形成し、それらの部分画像をつなぎ合わせて複合画像を形成する複合画像形成手段と、前記複合画像の中から特定の部分画像をユーザー選択するための選択手段と、前記選択手段によって選択された部分画像に対応する動作条件を今後有効な有効動作条件とする動作制御手段と、を含むことを特徴とする。上記の動作条件の概念には、画質に関する条件、画像形式に関する条件などが含まれる。
【0019】
(3)また、上記目的を達成するために、本発明は、異なる複数の動作条件に対応する複数の部分画像を形成し、それらの部分画像をつなぎ合わせて複合画像を形成する複合画像形成手段と、前記複合画像の中から特定の部分画像をユーザー選択するための選択手段と、前記選択手段によって選択された部分画像に対応する動作条件に基づいて当該超音波診断装置の動作制御を行う動作制御手段と、 を含むことを特徴とする。
【0020】
上記構成によれば、実際に動作条件を選択する前に、各動作条件に対応する部分画像が表示されるので、その部分画像の対比評価を行った上で今後有効とする動作条件を選択できる。各部分画像あるいは複合画像は記憶部に画像データとして格納されていてもよいし、実際の受信信号から作成されるようにしてもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1には、本発明に係る超音波診断装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示すブロック図である。
【0023】
図1において、プローブ20は、生体表面上に当接して用いられ、あるいは体腔内に挿入して用いられる超音波探触子である。このプローブ20の内部には、複数の振動素子からなるアレイ振動子が設けられている。このアレイ振動子を用いて超音波ビームが形成され、その超音波ビームが電子走査される。これにより二次元データ取り込み領域である走査面が形成される。送信部22は本実施形態において送信ビームフォーマーとして機能し、この送信部22から所定の遅延関係をもって複数の振動素子に対して複数の駆動信号が供給される。受信部24は受信ビームフォーマーとして機能し、複数の振動素子から出力される受信信号に対して整相加算処理を実行し、これによって整相加算後の受信信号を出力する。
【0024】
画像形成部26は、例えばBモード画像やカラーフローマッピング画像などの超音波画像を形成するための信号処理あるいは所定演算を実行するユニットである。表示処理部28は、例えばデジタルスキャンコンバータとして構成されるものであり、表示部34に表示する表示画像を構成するモジュールである。表示部34には、超音波画像として例えばBモード画像、カラーフローマッピング画像、Mモード画像、ドプラ画像などの各種の超音波画像が表示される。
【0025】
制御部30はコントローラとして機能し、装置内に含まれる各構成の動作制御を行っている。入力部32は操作パネルやキーボードによって構成され、ユーザーはこの入力部32を利用して制御部30に対して各種の指令やデータを与えることができる。記憶部36は制御部30に接続されており、各種の制御あるいは処理において必要なデータがこの記憶部36上に格納される。後に説明するように、パラメータのユーザー設定を行う場合には複数の部分画像をつないで合成した複合画像が表示される。複数の部分画像はそれぞれ異なる動作条件に対応するものであり、選択候補として表示される。複合画像の表示に当たっては、必要に応じて、記憶された画像データを利用するようにしてもよい。記憶部36上には、そのための画像データが格納される。
【0026】
制御部30は、上述したように装置の動作制御を行っているが、その動作条件については各種のものが存在する。また、その動作条件のなかにはユーザー設定可能なものが多く含まれている。例えば送受信条件、信号処理条件、表示条件などの各種の条件であり、具体的には、送信周波数、ゲイン(利得)、分解能、フィルタ特性、コントラスト、カラーテーブルなどの各種のパラメータ値を選択することができる。この場合において、従来の超音波診断装置においては、メインメニューから順次項目をたどって行き、必要な項目要素の選択をキーボードなどを利用して行っていた。したがって、そのような選択にあたっては選択後における超音波画像の画質あるいは状態といったものを事前に認識することはできなかった。
【0027】
これに対して本実施形態の装置においては、制御部30の制御により、項目要素の選択にあたっては、複数の選択候補に対応する複数の部分画像をつなげた複合画像が表示され(メニュー画面の表示に相当)、各部分画像の対比評価を行った上で、動作条件の選択を行える。なお、各部分画像は制御部30が各構成を動作制御することによって作成されるものである。
【0028】
図2には、複合画像の一例が示されている。図2に示す例では複合画像10は電子リニア走査によって形成されたBモード画像である。この図2において、符号12は、現在有効な設定値により形成された部分画像としての現有効部分画像を表している。また、符号14、16、18は、それぞれ選択候補としての項目要素を選択した場合に表れる超音波画像の一部に相当するサンプル部分画像を表している。そして、それらの部分画像12,14,16,18が図示のように横方向につなぎ合成され、複合画像10として表示される。各部分画像12,14,16,18は、同一形式の画像ではあるが、同一部位の画像ではない。しかし、隣接部位の画像であるために、画像比較による画質の対比を十分に行いうる。なお、複合画像10は、動画像又は静止画像として表示される。
【0029】
具体例をもって説明すると、例えばカラーマッピングテーブルについてパターンA〜パターンDまでの4つのパターンが存在している場合において、現在、パターンAが選択されている場合には、それに従って形成される部分画像が現有効部分画像12である。その一方、今後、パターンB〜パターンDを選択した場合に得られる超音波画像の一部に相当するのがサンプル部分画像14〜18である。本実施形態では、それらの4つの部分画像が一度に表示される。したがって、ユーザーは、画像の直接比較によってカラーマッピングテーブルのパターンを選択することができるので、直接的でしかも誤りのない迅速な選択を行いうる。これは、他のユーザー設定可能なメニュー項目についても同様であり、例えばBモードイメージの分解能についてみれば、高分解能モード、通常分解能モード、低分解能モード、高感度モードといった4つのモードが存在している場合において、現在選択されているモードに対応する部分画像およびそれ以外の3つのモードに対応する3つの部分画像が同時表示される。
【0030】
図2において、符号12A,14A,16A,18Aは、各部分画像に対応する動作条件(項目要素、パラメータ値)をテキストデータとして表示したものである。ユーザーはそのような部分画像およびテキストデータの両方を把握し、対比の上最適なパラメータ選択を行える。なお、各部分画像間には、境界ライン40が表示される。これによって各部分画像間の境界が明瞭となる。
【0031】
図3には、他のタイプの複合画像10が示されている。図2に示した構成と同様の構成には同一符号が付してある。この図3に示す複合画像10は、電子セクタ走査によって形成されたBモード画像である。図2の例では各部分領域が矩形であったが、この図3の例では各部分領域がセクタ形状をなす。
【0032】
図2および図3に示したように、複合画像が表示されると、ユーザーはトラックボールあるいはキーボードなどを利用していずれかの部分画像を選択する。すると、その選択された部分画像に対応するパラメータ値(つまり項目要素)が動作条件として設定されることになる。したがって、その意味においてもユーザーの便宜を図れるという利点がある。
【0033】
図4には、項目要素の選択における動作例がフローチャートとして示されている。まずS100においては、例えばメインメニューが表示され、その中から特定のメニュー項目がユーザーにより選択される。S101では、選択されたメニュー項目について、選択項目となるn個の項目要素が自動的にあるいはユーザー選択により特定される。例えば上記カラーマッピングテーブルの例で言えば、パターンA〜パターンDまでの4つの項目要素が特定される。また、選択候補が非常に多いゲイン値などの場合においては、その代表をなすいくつかの数値を選択候補としてもよい。S102では、nに基づいて表示レイアウトが決定される。つまり、走査面全体がn分割され、各分割領域(エリア)ごとに異なる項目要素が適用されつつ、超音波の送受波及び信号処理がなされる。
【0034】
S103では今まで行われていた通常の表示が終了し、n個の項目要素に対応するn個の部分画像からなる複合画像が例えば動画像としてリアルタイム表示される。
【0035】
次に、S104では、ユーザーによっていずれかの部分画像が選択される。この場合においては現有効部分画像自体も選択候補になり得る。もちろん一定時間内に部分画像選択を行わない場合には自動的に現在の設定をそのまま維持するものとみなしてもよい。
【0036】
S105では選択された部分画像に対応する項目要素が特定され、それが今後有効となる。すなわちパラメータ値の更新がなされる。S106では、今まで行われた通常の表示が再開される。以後は有効に設定されたパラメータ値を利用して動作条件が規定されることになる。
【0037】
したがって、以上の実施形態によれば、部分画像の実際の比較によりパラメータ値の選択あるいは動作条件の設定を行うことができるので、迅速かつ適切なユーザー設定が実現される。特にユーザーの負担が軽減されるので、極めて実用的価値の高い超音波診断装置を構成することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、動作条件の変更に際してユーザーの便宜を図ることができる。また、動作条件の設定を短時間に行うことができ、また適切な動作条件の設定を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超音波診断装置の実施形態を示すブロック図である。
【図2】 複数の超音波画像からなるメニュー画面の一例を示す図である。
【図3】 複数の超音波画像からなるメニュー画面の他の例を示す図である。
【図4】 装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
12 現有効画像、14,16,18 サンプル画像、20 プローブ、22送信部、24 受信部、26 画像形成部、28 表示処理部、30 制御部、34 表示部。
Claims (10)
- 超音波を送受波し、受信信号を出力する送受波手段と、
超音波画像の画質に関係する少なくとも1つのユーザー設定可能な項目について、選択候補として複数の項目要素を特定する選択候補特定手段と、
前記受信信号に基づいて、前記選択候補特定手段によって特定された複数の項目要素に対応する複数の部分画像を形成し、それらの部分画像を合成して複合画像を形成する複合画像形成手段と、
前記複合画像を表示する表示手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記複数の部分画像は、超音波ビームの走査によって形成される走査面を区分してなる複数の部分エリアに対応することを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記複数の部分画像を参照したユーザーによって操作され、前記複数の項目要素の中から今後有効とする有効項目要素を選択するための選択手段を含み、
前記選択手段による有効項目要素の選択の後に、当該有効項目要素に対応する超音波画像が表示されることを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項3記載の装置において、
前記選択手段は、前記複数の部分画像の中から特定の部分画像をユーザー選択させ、そのユーザー選択された部分画像に対応する項目要素を前記有効項目要素とすることを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記複合画像は動画像又は静止画像として表示されることを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記複数の項目要素には、現在有効となっている有効項目要素と、それ以外の1又は複数の項目要素と、が含まれ、
前記画質の異なる複数の部分画像には、前記現在有効となっている有効項目要素に対応する現有効部分画像と、前記それ以外の1又は複数の項目要素に対応する1又は複数のサンプル部分画像と、が含まれることを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記各部分画像のサイズを前記部分画像の個数によって決定する手段を含むことを特徴とする超音波診断装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記各部分画像間には境界ラインが表示されることを特徴とする超音波診断装置。 - 受信信号に基づいて、異なる複数の動作条件に対応する複数の部分画像を形成し、それらの部分画像をつなぎ合わせて複合画像を形成する複合画像形成手段と、
前記複合画像の中から特定の部分画像をユーザー選択するための選択手段と、前記選択手段によって選択された部分画像に対応する動作条件を今後有効な有効動作条件とする動作制御手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。 - 異なる複数の動作条件に対応する複数の部分画像を形成し、それらの部分画像をつなぎ合わせて複合画像を形成する複合画像形成手段と、前記複合画像の中から特定の部分画像をユーザー選択するための選択手段と、前記選択手段によって選択された部分画像に対応する動作条件に基づいて動作制御を行う動作制御手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
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