JP3863561B2

JP3863561B2 - 粒子材料の静電噴霧装置

Info

Publication number: JP3863561B2
Application number: JP51148796A
Authority: JP
Inventors: ノークス，テイモテイ，ジエームス; グリーン，マイケル，レスリー; ジエフエリーズ，アンドリユー; プレンダーガスト，モーリス，ジヨセフ
Original assignee: ザプラクターアンドギャムブルカンパニー
Priority date: 1994-10-04
Filing date: 1995-09-19
Publication date: 2006-12-27
Anticipated expiration: 2015-09-19
Also published as: EP0776253A1; SK42197A3; NZ292945A; GR3035212T3; CN1370628A; CN1153628C; ES2152427T3; CZ100397A3; WO1996010459A2; PL179126B1; CA2200181C; AU711793B2; CN1159773A; DE69519435T2; KR970706071A; DE69519435D1; CZ292452B6; EP0776253B1; MX9702493A; PL319482A1

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電噴霧装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
液状材料を噴霧する方法には様々な方法がある。例えば、エアースプレー型噴霧器は広く使用されている。このような噴霧器は、特に、香水、デオドラント又は化粧品等の個人的に用いられる衛生製品の噴霧に便利である。このような製品では、しばしば、有効成分は、噴霧を補助するために適当な液体キャリアに懸濁させられるか又は分散させられた固形材料である。
【０００３】
（発明の概要）
本発明の一つの態様によれば、材料の密集体に高電圧を印加して材料の粒子を帯電させ、それにより前記材料の密集体から粒子を効果的に離れさせることから成る、粒子材料の噴霧方法が提供される。
【０００４】
本発明の第二の態様によれば、材料の密集体に高電圧を印加して、前記密集体の一つ又は複数の表面又は表面付近に存在する材料の粒子を帯電させ、それにより、電場を生じさせて、前記一つ又は複数の表面から粒子を放出させることから成る、粒子材料の噴霧方法が提供される。
【０００５】
本発明の特徴は、粒子材料を懸濁させるための液体溶媒を持たないことにある。また、高電圧は、粒子材料の密集体から粒子材料が放出される前に密集体に印加される。
【０００６】
粒子材料の噴霧に静電場を使用することは公知である。例えば、国際特許公開第94/19042号明細書で開示されているように、吸入可能な物質の呼吸路（ｒｅｓｐｉｒａｔｏｒｙｔｒａｃｔ）内における堆積位置は、吸入可能な物質の粒子の帯電レベルにより影響を受け得ることは公知である。
【０００７】
国際特許公開第94/19042号明細書には、処理すべき物質を吸入可能な粒子(エアゾール液体又は粉末)の形態で、デバイスの口金で画定された通路内に分配し、通路内に設けられた複数の電極を用いて、分配されてきた粒子を帯電させるように構成した装置が開示されている。この方法では、特別な形式の分配手段から分配される粒子に特徴的に付与される静電気は、電極によって確立された帯電領域を粒子が通過する時に、制御された方法で調整され得る。この調整は、粒子の帯電レベルの増加、減少、逆転及び中和を包含している。
【０００８】
このような構成では、粒子が吸入空気流内に分散して電極により展開される電場を通過するので、粒子の帯電レベルを均一に保持するのは困難である。従って、空気流内の異なる位置にある粒子は、異なるレベルで帯電される傾向にあり、その結果、粒子は広い帯域で帯電されることになる。
【０００９】
また、静電噴霧は、プラスチック材料を用いた塗装技術にも使われている。この場合、材料は始めに比較的厚い層を形成するよう製品上に噴霧され、次いで、連続した層を形成するため加熱して固められる。粒子材料は流動化され、その結果、空気を供給することによって流される。そして、粒子材料は流動化された後にコロナ放電電極を横切ることによって帯電させられる。このような塗装技術において使用される粒子材料は、高い抵抗(典型的に10¹⁴Ωｃｍ又はそれ以上)を持つ。このため、もし、材料の密集体に電圧を印加することができなければ、言い換えれば、材料の高い絶縁特性によって印加電圧の伝導や材料の密集体を通る電荷漏れが妨害される場合には、このような粒子材料は噴霧することができない。このような噴霧技術には、通常、比較的粘度の高い接着性を持つ材料の塗装を実現することが要求されるので、電荷の非伝導性は非常に価値がある。そして、電荷の非伝導性(言い換えれば、電荷損失の欠如)は、噴霧工程と、それに続く、堆積した粒子の加熱及び硬化との間の時間で材料がターゲットへ付着することを保障するのに非常に重要な要素である。
【００１０】
対照的に、本発明による方法では、粒子材料は、製品を塗装する方法で用いられる粒子材料に比べて低い抵抗を持ち、粒子は、(コロナ放電によってというよりは)密集体を通る電荷の漏れによって帯電され得る。電気力によって接着するための粒子材料の能力は低くなる傾向にあるが、全体的に堆積させるべき層の厚さは実質的に低い傾向にあり、粒子材料が噴霧される表面の湿気やべとつきが付着力の信頼に繋がる観点から見ると重力が要素になり得る。また、本発明による方法を実施する場合、粒子材料を運ぶために気体流の流れを作る必要はなく、その代わりに、電場が粒子を進ませるのに用いられる。
【００１１】
以上説明したように、本発明を実施する場合、比較的低い抵抗値が用いられるので、電荷漏れ又は電荷消費が発生して電気力による表面への付着力は低下する傾向にある。低下した付着力は、噴霧すべき表面に湿気があったり、粘着力があったりすれば補うことができる。ある場合には、噴霧された粒子材料の保持力は、幾つかの形態の付着力促進物質を噴霧すべき表面及び/又は粒子材料に適用することにより補助され得る。
【００１２】
粒子材料の密集体は、放出出口を有する容器に収容され得る。この場合、粒子材料の密集体の表面は、少なくとも、噴霧中は、前記放出出口の位置で露出される。
【００１３】
印加電圧は、正の電圧でも負の電圧でもよいが、好ましくは正の電圧であり得る。また、印加電圧は、典型的には、3〜40kVの範囲の電圧であり、通常は、30kV以下、例えば、3〜25kVの範囲であり得る。本発明の重要な特徴は、コロナ放電を防止するよう又は最小限に抑えるように電圧が選択されることにある。従って、装置を粒子材料が無い状態で動作状態にする場合、選択された電圧は、前記粒子材料の密集体なしで、実質的に装置からのコロナ放電が起こらないような電圧である。従来技術ではコロナ放電は重要であったが、本発明ではコロナ放電を必要としない。
【００１４】
場合によっては、我々の先の出願である欧州特許第468735号明細書、欧州特許第468736号明細書及び国際特許公開第94/13063号明細書に開示されているように、例えば、衝撃を抑えるために、又は、静電的に噴霧するのが困難なターゲット(例えば、髪の毛、特に、乾燥した細い髪)への噴霧を可能にするために、正の電圧及び負の電圧を交互に出力する高電圧発生装置を使用することが望まれ得る。
【００１５】
高電圧発生装置は欧州特許第163390号明細書に開示されている型式であり得る。しかし、この形式の高電圧発生装置の製造にはコストがかかる。また、この形式の高電圧発生装置は、特に、例えば、化粧品、香水、そして目、口及び鼻用の製剤等のような医薬品や医薬部外品、並びに、皮膚治療薬品等の小型であることが必要な静電噴霧装置において使用するには比較的大きい。さらに、電力供給に必要なバッテリーパックをスプレーのハウジング内に収容する必要があり、バッテリーの交換や再充電を行う必要がある。
【００１６】
従って、本発明においては、電圧発生装置は、高電圧を発生するため相互に接続された複数の電圧発生要素から成る一つの大きな配列体から成るものであり得る。
【００１７】
好ましくは、電圧発生装置は、直列接続され一括して高圧出力を発生させる数百または数千もの個々の電圧発生要素から成る固体装置である。
【００１８】
典型的には、電圧発生装置の電流出力は、電圧発生装置の定格電力が100mW又はそれより小さく、より好ましくは、50mW又はそれより小さくなるような値であり得る。例えば、塗装噴霧装置では、電圧は25kVを越え、電流は約1マイクロアンペア(定格電力30mW)のオーダーであり得、室内芳香性スプレーでは、電力は約0.5〜2.0mWのオーダー、典型的には1.2mW(例えば電流100nAと電圧12kV)のオーダーであり得る。
【００１９】
高電圧発生装置は、有利には、少なくとも1kVの出力電圧を発生させるように配置された複数の光電性要素からなる一つの配列体を有する。
【００２０】
好ましくは、複数の光電性要素から成る配列体は少なくとも5kV、より好ましくは9kVより上の出力電圧を発生するように配置される。
【００２１】
高電圧発生装置は、有利には、複数の光電性要素から成る一つの大きな配列体を備えた電気固体装置の形態である。例えば、前記固体装置は、照射する時に上記したようなオーダーの高電圧出力を発生させるような方法で相互に接続された複数の個別の光起電性要素から成る一つの大きな配列体を形成するために、例えば、一般的に半導体装置の製造に用いられるエッチング及び/又はレーザ書き込み技術によって複数の個別領域に適当に分割された光起電性材料(例えば、太陽電池や太陽パネルの製造に使用されているような適当に注入された多結晶質のシリコン)から成り得る。
【００２２】
P型材料の純格子を作るためにホウ素が添加されたシリコンのような光起電性材料から成る電池は、光度と負荷に応じて、照射されると、比較的低い電圧出力(典型的には0.45Vのオーダー)を発生し得る。この電圧出力は、電池の表面積とは関係はない。他方、出力電流は、光度と電池の表面積との両方に関係がある。本発明に関する種類の静電噴霧装置では、電流の需要が非常に低い(マイクロアンペア又はナノアンペア)。従って、確保すべき高電圧(例えば、数kV及びそれ以上)を得ることが可能な複数の低電圧出力光起電性要素から成る充分な大きさの配列体を直列に接続することによって、通常、ソーラーパネルにおいて必要とされる大きな表面積を必要とせずに、静電噴霧に適用するのに充分な高い電圧を得ることが可能になる。
【００２３】
電圧発生要素は、周辺の光によって照射されるように配置された配列体において相互に接続された複数の光起電性要素のような、光反応性の票素によって構成され得る。この場合、前記した光起電性要素の配列体は、周囲環境に露出されるように、高電圧発生装置を備える噴霧装置の外部に配置され得る。この実施例は、例えば、昼間(及び室内照明を点灯させている夜間)に前記配列体に光が当てられている時には高電圧発生装置が作動し、室内照明が消されている暗いときには高電圧発生装置が停止するので、室内芳香用噴霧装置に適用できる。
【００２４】
高出力電圧が必要とされているか否かに応じて、選択的に周囲の光に前記配列体を露出させたり、周囲の光から前記配列体を遮蔽させたりする手段が設けられ得る。例えば、高電圧発生装置や噴霧装置のハウジングには、前記配列体を周囲から隠す位置と、前記配列体を周囲へ露出させる位置との間で移動可能な覆い又は他の遮蔽手段が設けられ得る。このような覆いは、高電圧発生装置又は噴霧装置に装着した時に配列体への照射を防ぎ、外した時には配列体への光の照射を可能にし、それにより、カバーの着脱によりスイッチング作用を生じさせることができる取外し可能なカバーの形態であり得る。
【００２５】
前記覆い又はカバーは、前記配列体の露出範囲を変更し、それにより、例えば、噴霧率を変更するために調整可能であり得る。
【００２６】
噴霧装置が手持ち用に設計される場合、その装置は、例えばハンドグリップ等の手で握るための部分と、装置を使用する時に通常は手で握らない部分とを備え得る。この場合、複数の光起電性要素から成る配列体は、周囲の光に晒されるように手で握らない部分に配置される。
【００２７】
前記配列体が使用時に露出されるように装置の一部分に配置される場合、配列体は、少なくとも、光に対する部分的な透過性を有する材料から成るカバーや保護層によって損傷から保護され得る。
【００２８】
他の実施例では、電圧発生要素は、噴霧装置の光源によって照射されるように配置された配列体内に接続された光感応要素によって構成される。光源は、配列体に対してのみ照射する、または主に配列体に照射する光源でもよく、また、周囲から配列体に照射される光を補うための光源でもよい。例えば、光源は、発光固体素子(例えば発光ダイオード)のような光放出素子でもよく、電流を流すことにより発光するフィラメント(例えば電灯)でもよく、又は蛍光灯であってもよい。この場合、高電圧発生装置のオン・オフの切換えは、光放出素子をオン・オフさせることにより制御することができる。この場合、スイッチング装置は、高電圧出力を制御する低電圧スイッチを必要とするだけである。代わりに、高電圧発生装置のオン・オフの切換えは、配列体を光放出素子に晒したり、配列体を光放出素子からシールドしたりするように作動する切替手段によって行うことができる。前記切替手段は、配列体を光素子に晒す位置と配列体を光素子からシールドする位置との間を使用者によって移動可能に構成され得る。
【００２９】
噴霧装置が、前記したような光源を備えている場合には、光源は、(低電圧バッテリのような)電源が接続可能な端子手段に接続され得る。この場合、噴霧装置のハウジングは、好ましくは、電源を挿入するための仕切室を備え、必要に応じて、光源及び高電圧発生装置は噴霧装置のハウジング内部に収容され得る。高電圧発生装置の作動及び停止は、前記端子手段及び電源を含む電気回路の一部を構成する使用者によって操作されるスイッチによって行われ得る。
【００３０】
例えば、高電圧発生装置のオン・オフのスイッチングを制御するための配列体の露出は、使用者が操作可能なアクチュエータによって制御され得る。噴霧装置の場合、前記アクチュエータは、噴霧装置の出口への材料の供給を制御する働きをもち、そして稼働マスク要素に結合され、噴霧出ロへの材料の供給に応じて、配列体は露光されて高電圧を材料に印加し、それにより帯電材料を噴霧するようにされている。代表的な実施例では、噴霧装置は、使用者が操作可能な作動手段を有する。前記作動手段は、貯蔵容器または容器(例えばピストン・シリンダー装置又は圧縮可能な形式の容器)に収容された静電的に噴霧可能な材料に圧力を加えて噴霧出口に材料を送出する。この場合、前記作動手段は、周囲の光へ、又は光源からの光へ配列体を露出するために、又は配列体の露出量を増やすために配列体に対して(平行に又は回転的に)移動可能なマスキング要素に結合され得る。マスク要素を設ける代わりに、光源を作動装置の動作に応じて作動させ、それにより、噴霧出口へ材料を送出させるための前記作動装置の動作に応じて、配列体を照射させることもできる。
【００３１】
必要に応じて、光源は二つの目的、すなわち光起電性要素を照射する光を発生する目的、及び、噴霧すべき物体すなわちターゲットを照射する光を発生する目的のために使用され得る。さらに、光源は、高電圧発生装置が作動していることを表示するのにも用いられ得る。
【００３２】
欧州特許第468735号明細書及び国際特許公開第94/13063号明細書に開示されているように、ある適用例では、例えば衝撃を抑えたり、噴霧し難いグラスチックスや人毛等のような電気絶縁性材料へ噴霧させる目的で正及び負の高電圧出力が用いられる。
【００３３】
この場合、電圧発生装置は、例えば欧州特許第468735号明細書及び国際特許公開第94/13063号明細書に開示されているような出力周波数をもつ正及び負の高電圧出力を発生するように配列される。例えば高電圧発生装置の高電圧出力は、発生装置と組合さった電気回路によって(使用者が制御可能な)所望の周波数で電子的にスイッチングされて、例えば国際特許公開第94/13063号明細書に開示されているような高電圧スイッチング装置を用いて正及び負の出力を発生するようにすることができる。代わりに、高電圧発生装置は、複数の光起電性要素から成る二つの配列体で構成することもでき、これらの配列体はそれぞれ正及び負の高電圧出力を発生するように構成され、また、これらの配列体を(周囲の光、又は、一つまたは複数の光源で発生させた光の何れかによって)交互に照射する制御手段を設け、これらの配列体からの複合的な出力が、制御手段で決まる周波数で正の値と負の値とを交互に変わるようにすることもできる。
【００３４】
特殊な実施例では、噴霧装置は、国際特許公開第94/13063号明細書に開示されている形式の光応動スイッチング手段を備えた上記の固体装置の形式の二つの高電圧発生装置を備え、これらの高電圧発生装置は、イオンの噴霧または流れが発生されることになる場所または位置に正及び負の電圧を交互に印加するような方法で交互に切り替えられるように配置される。例えば、各高電圧発生装置は、それぞれの光応動スイッチング手段を介して上記場所に結合され、又、各スイッチング手段に関連する光源を制御することにより、予定の周期で交互にスイッチング手段を作動させる制御回路が設けられ得る。
【００３５】
材料は、好ましくは、粒子を固めた密集体のようなバルク状のものであり、高い電気絶縁性を持たず、典型的には約10¹¹Ωｃｍ又はそれ以下の抵抗率を示し、通常は10⁵〜10¹¹Ωｃｍの範囲内の抵抗率のものであり、材料の密集体を通して、材料の密集体の表面の粒子に電圧を印加することが可能なものである。
【００３６】
材料の体積抵抗率は、本質的に、特別な範囲内にある必要はない。重要なことは、密集体状の粒子材料に印加された電圧が、その表面から粒子が噴霧として放出されるように密集体状の粒子材料の表面に伝導されることが保証されるような抵抗率を密集体状の粒子材料が持つべきことである。従って、例えば、10¹¹Ωｃｍを十分に越える体積抵抗率を有する高絶縁性材料のコアから成るが、低抵抗率の材料で被覆されている粒子であって、圧縮することなしに固められて密集体にされた時に、10⁵〜10¹¹Ωｃｍの範囲内のバルク抵抗率を示す粒子を使用することは可能である。ある場合には、粒状材料は、異なる体積抵抗率をもつ複数の材料の混合物から成ってもよい。例えば、一種類の材料を使用して満足な噴霧が得られない場合でも、異なった体積抵抗率をもつ第2の材料を混合すると、同じ電圧条件のもとで混合材料を噴霧することが可能になることもある。
【００３７】
本発明による方法で噴霧可能な粒子は、通常、1〜1000ミクロンの範囲、代表的には400ミクロン以下、好ましくは10〜200ミクロンの範囲の平均粒径をもつ。細長い繊維等はコロナ放電しやすいので、好ましくは、粒子は非糸性のものであり、一般的には球状粒子が好ましい。
【００３８】
本発明の方法の種々の適用例には、例えば、以下の用途に適した粉末状の有効成分の噴霧が含まれる。
消臭剤、制汗剤、化粧品、鼻の穴又は口腔を含む人体に施す医療用薬品及び医薬部外品のような個人用の衛生製品やケア製品、
家庭用洗浄及び表面処理物質(例えばオーブンクリーナー、台所用品、漂白剤、トイレ用パウダー)のような家庭用品、
農薬、殺虫剤、駆除剤、植物栄養剤、並びに、食品添加剤、食品被覆剤、家庭用品用塗布剤(例えばベーキングトレイ被覆剤)。
【００３９】
従って、例えば、ある従来の制汗剤は、噴霧を助ける揮発性の有機液体溶媒に懸濁した粒状のアルミニウム・クロロ水和物(alminium chlorohydrate)のようなアルミニウム化合物のような有効成分物質を基材としている。本発明によれば、制汗剤の有効成分(例えばアルミニウム・クロロ水和物)だけを、粉末状で使用すればよく、揮発性の液体溶媒を使用する必要がない。
【００４０】
本発明のある適用例では、装置は、電界が、例えば粒状材料が噴霧されることになる物体すなわちターゲットに材料の密集体を近付けることにより十分に強められるまで、印加電圧が密集体材料から粒子を放出させるのには十分でないように構成され得る。言い換えれば、装置は、材料の放出される表面が噴霧すべき物体すなわちターゲットから予定の距離内となるまで、粒状材料の噴霧が抑制されるように構成され得る。この距離は、特殊な適用例に従って変わるが、しかし多くの適用例においてはこの予定の距離は代表的には約25cmまたはそれ以下であり得る。ある適用例では、上記予定の距離は約20cmまたはそれ以下であり得る。ある場合、例えば身体への噴霧を伴う化粧品等の場合には、上記予定の距離は約10cmまたはそれ以下であり、正確な直接噴霧を必要とする適用例では約5cmまたはそれ以下であり得る。
【００４１】
本発明の別の特徴によれば、噴霧すべき材料の容器と、粒状材料の密集体に高電圧を印加する電圧発生器と、使用時に帯電粒子を放出する噴霧位置を画定する手段とを有する粒状材料の噴霧装置が提供される。
【００４２】
好ましくは、材料は、可動ガス状流体によって材料を運ぶ必要なしに装置から噴霧され、高電圧は好ましくは、収容容器内に静止したまま材料の密集体に印加される。
【００４３】
装置から噴霧される粒子は帯電されるので、噴霧は、帯電粒子の雲がアースに引かれる性質をもっているので指向性をもつことになる。このようにして、空気中に浮遊した粒子が分散して霧を形成するのは実質的に避けられる。また、粒子が帯電されることにより肺へ吸込まれる傾向は少ない。さらに、粒子の帯電の仕方により、すなわち密集体を通しての電荷の漏れで静止した密集体に高電圧を印加することにより、全ての粒子は帯電される。これは、国際特許公開第94/19042号明細書に開示されたような、従来のコロナ放電技術を利用して流状にされて流れている粒子に帯電させる技術とは全く異なる。
【００４４】
好ましくは、装置は、携帯に適したまたは片手で容易に携帯使用できるハウジングを備えた内蔵型ユニットの形態であり、このハウジングは高圧発生器及びそれに必要な電源(例えばバッテリ電源)を収容している。粒状材料は装置のハウジング内の貯蔵部に入れられるかまたは、装置内に組み込まれるようにされた例えば装置のハウジング内の仕切室内に挿入される容器及び(または)再充填可能な容器によって供給するようにしてもよい。
【００４５】
本発明の一つの実施例では、粒状材料は容器内に入れられ、噴霧中に粒状材料の密集体の表面が露出され、それにより装置の放出口を介してその表面から帯電した粒子が飛び出すように構成される。粒状材料の密集体を(容器内の密集体の変位かまたは容器の変位によって)動かす手段が設けられ、噴霧の結果として密集体の高さが下がるのを補償するようにしている。すなわち粒状材料の量が減少するに従って放出口に対する密集体の位置を調整するようにされている。
【００４６】
好ましくは、使用者が操作可能な作動装置は、噴射される粒子材料が通過する噴射出口の開閉を制御する手段を備えている。また前記作動装置は、高電圧発生装置の動作も制御できるように構成され得、このように構成することにより、作動装置の操作で、噴射出口の開放と高電圧発生装置の動作とを関連付けることができるという利点がある。
【００４７】
作動装置には様々な形式がある。例えば、粒子材料を収容する蓄積部や収容部等は、粉末が出て通過する開口部を有し、作動装置は開口部の開閉を制御する移動可能な要素を有し得る。移動可能な要素はシャッターの形態(例えば、虹彩型のシャッター)であり得る。また、移動可能な要素には一つ又は複数の開口が形成され得、該移動可能な要素の動きに応じて、前記開口が前記開口部の位置と合致する位置と合致しない位置とに移動され得る。例えば、移動可能な要素は、スライド可能であり得、そこに形成された一つ又は複数の開口は、前記開口が前記開口部に合致する位置と、前記開口が前記開口部から外れ、それにより、蓄積部や収容部等をシールして少なくとも粒子材料が漏れるのを防止することが可能な位置との間で前記開口部に対して横方向に移動される。前記移動可能な要素のスライド動作は、装置に対して平行な動き又は装置に対して回転する動きであり得る。有利な装置では、前記移動可能な要素は、装置が手で握られている時に、使用者の親指を移動可能な要素に接触させて該要素を前後にスライドさせることによって、又は開閉を制御する移動可能な要素に結合された作動手段を操作することによって、その開放位置と閉鎖位置の間を移動させることができる。
【００４８】
望ましくは、作動手段は、例えば、ばね負荷等により閉鎖位置の方向に付勢され得る。
【００４９】
本発明の他の実施例では、ある量に分割された粒子材料を噴霧として利用できるように構成され得る。例えば、装置の動作は、粒子材料の密集体から粒子材料の一部を分離することを含み得、このように分離した部分に高電圧を印加し得る。
【００５０】
選択的に、粒子材料は、ある量の密集体に分割されて、例えば、カプセル又はセル内に蓄積され得る。この場合、装置は、噴霧を発生させるために、そのカプセル又はセルの中の粒子材料の密集体に高電圧を印加すると同時に、カプセル又はセルを開口させたり引き裂いたりして、カプセル又はセルの中の粒子材料の密集体を露出させるように動作し得る。この場合、分割された粒子材料の密集体は連続したセル、例えば、相互に結合した帯状片の形態のセルの中にカプセル状に収容され得、粒子材料を収容したセルを噴霧位置に連続的に送る手段が設けられ得、その噴霧位置で各セルが開口され、又は引き裂かれ、かつ、その位置で高電圧がカプセル内の粒子材料の密集体に印加され噴霧が生成される。セルを送るための駆動力は、例えば、使用者が操作可能な作動手段を介して使用者から与えられた力であり得る。前記作動手段は、粒子材料を露出させると同時に、これに連動して高電圧発生器を動作可能にするように構成される。
【００５１】
【発明の実施の形態】
（参考例）
第1図及び第2図を参照すると、図示された粉末拡散装置は水平面に配置するための基礎ユニット10を備え、その基礎ユニットの底壁12は、装置が置かれている表面を介してアースに接続するために利用される。このために、基礎ユニットの底壁12は、導電性の材料又はある程度の伝導率を有する材料から成る板部材13を備えている。基礎ユニット10は、低電圧バッテリ源14を収容しており、このバッテリ源14から、使用者が操作可能なスイッチ18の動作に応じて高電圧発生回路16に電力供給し、典型的には8kV又はそれ以上のオーダで高圧を発生させる。上側ユニット20は基礎ユニット10の上に設けられている。この上側ユニット20は中央筒状部材22を備え、この中央筒状部材22は、開口している上側端部24と、上側ユニット20が筒状部材22の軸線周りで回転できるように基礎ユニットに回転可能に係合する下側端部26とを備えている。筒状部材22は外側ケーシング28内に入れられており、このケーシング28は、中央筒状部材22の上側開口端の周囲に上向きの凸状領域30を形成するよう輪郭が決められている。
【００５２】
基礎ユニット10には固定ロッド32が設けられ、この固定ロッド32は上向きに中央筒状部材22の中まで伸びている。また、この固定ロッド32は、その長手方向に沿って外面にねじが切られており、中央筒状部材22の内部に設けられた円板34に噛合している。前記円板34は粉末収容部36の基部を形成している。円板34には、部材22の内周壁の長手方向キー溝に摺動可能に係合する構造が設けられており、これにより、円板34が部材22に対して回転方向に拘束され、基礎ユニット10に対する上側ユニット20の回転に応答して長手方向に自由に移動できるようになる。この方法では、粉末収容部36内の粉末の量が減るに従って粉末収容部36の深さを変えることができる。図面では、円板34はその移動範囲の中間部分に示されている。
【００５３】
さらに、円板34と共働して、ロッド32が、電圧発生回路16の高圧出力(好ましくは正電圧)と粉末収容部の内部との間に導電性回路(conductive path)を形成し、これにより、スイッチ18が電圧発生回路16の電力供給側に操作された時に、粉末収容部内の粉末に高圧が印加され得る。動作中に、基礎ユニットに対して上側ユニットを適当に調節することにより、粒子材料の露出面が筒状部材22の上側開口端に隣接した位置に維持され得る。粉末収容部36内の粉末に印加される高圧は、粉末の密集体(少なくとも、この高圧の伝導を可能にするある程度の伝導率を有する粉末である)を通して伝導され、その結果、電界が生成され、それにより、露出面にある粒子が電界の影響で粉末の密集体から離れるように促される。部材22の上縁部40はテーパ状の形態を成し電界強度を強める。高圧は、上縁部に帯電させることにより(この場合、筒状部材22は高絶縁材料から成る)、即ち、電圧発生回路16の高圧出力を、例えば、ロッド32、円板34及び筒状部材22に沿って伸びる導電路によって上縁部に電気的に接続することにより上縁部で発生させる。
【００５４】
使用していない時に粉末を装置内に保持するために、上側ユニット20又は筒状部材22には粉末収容部用の密閉部材を備えた取り外し可能なカバー(図示せず)が設けられる。
【００５５】
第3図及び第4図を参照すると、装置は、使用者の操作スイッチ56の操作に応じて高圧発生器54に電力を供給するdcバッテリ52を収容している。アースへの接続は使用者を介して、即ち、使用者の指がスイッチ56を操作するためにボタン57に触れることによって形成され得る。ハウジング50は、下側端部の真下に板材60が設けられた粉末収容部58を有する。前記板材60には環状通路62が形成され、その通路62に粉末が重力によって流れ込み、また、粉末が載る角度が粉末の漏れの原因とならないように設計されている。電圧発生器54の高圧出力は、ロッド64によって、粉末収容部58の内部、即ち、その中に収容された粒子材料に接続される。ロッド64は、板材60をハウジング50に接続するのにも利用され得る。
【００５６】
ハウジングに対する板材60の位置を動かし、又は調整するために、例えば、板材60と粒子材料収容部58の下側端部との間の開口の大きさを変えたり、装置が使用されていない時に粒子材料収容部58から粉末が流れ出るのを防止するために密閉位置に板材60を移動するための手段(図示せず)が設けられ得る。このような手段は、高電圧発生器の動作に応じて動かされ得、粒子材料収容部は粉末に電圧を印加すると同時に開かれる。作動中、粉末が通路62に流れ込み、電圧が材料の密集体の露出面に伝導され、露出面から材料の粒子の推進力が生じるように、高圧が、板材を介して粉末に印加されると噴霧が発生する。粉末収容部58の上端66には一つ又はそれ以上の穴が形成され、この穴により粉末の高さが下がるに従って空気を入り込むことを可能にする。上記した装置は、噴霧すべき適当な目標物の表面に対して横方向及び下方に粒子材料を噴霧することを目的としている。
【００５７】
ここで、第5図及び第6図を参照すると、図示装置は、とりわけ個人用の健康製品及び個人用の衛生製品に適している。装置のハウジング80は、使用者が操作可能なスイッチ86の動作に応じて高電圧発生装置84に電力を供給するdcバッテリ源82を収容している。ハウジング80は、一方の端部に隣接して粉末収容部88を備えており、電圧は、電圧発生装置84の高圧出力に接続された伝導体90を介して粉末収容部88の内部に印加される。粉末収容部88はその上端で開口しているが、使用されない時は、可撓性材料(例えば適当なプラスチック材料)から成る摺動可能な帯状片92によって密閉されている。
【００５８】
帯状片92はハウジング80の側部を下方に向けて伸びている。また、帯状片92には使用者の指を重ねるためのノッチ94が形成されている。指による適当な操作によって、帯状片92は、第6図に示す密閉位置と第5図に示す噴霧位置との間で矢印Aで示される方向に粉末収容部の開口端部に対して移動され得、噴霧位置では、穴96が粉末収容部の開口端部と重なり、粉末が露出される。必要であれば、帯状片は作動中に、例えばばね負荷によって第6図に示した閉鎖位置に向けて付勢され得る。帯状片92は、帯状片92の操作に応じて電圧発生装置84の付勢及び消勢を、粉末収容部の上端の開口及び閉鎖と連動して生じさせることができるように、(線図で示すように)スイッチ86に接続することがでる。従って、例えば、装置は、穴96が完全に粉末収容部の開口端部と重なるまでは電圧発生装置84が電力供給されないように構成され得る。電気回路に対するアース接続が、ノッチに使用者の指が重なった時に形成されるように、導電性の領域98がノッチ94に結合され得る。第5図及び第6図の装置が個人用衛生製品や個人用健康製品用の器具として使用される場合、電圧発生装置に電力を供給し、かつ、穴96を介して粉末を露出させることによって、噴射されるべき粉末の種類に依存して、装置の上端部が噴霧されるべき場所から予め決められた距離の範囲内に入るまで、例えば、約10cm又はそれ以下になるまでは、電界強度が粉末の噴霧を開始するのに十分な強度にならないような電圧で使用されるのが望ましく、例えば、アイシャドウ器具の場合には、器具の噴射出口が噴霧されるべき場所の1cmの範囲内に入るまでは噴霧が抑制されるように構成され得る。
【００５９】
（本発明の実施形態）
第1図〜第6図の参考例では、粉末は、装置内の容器又は粉末収容部に収容されている。第7図及び第8図には、噴霧されるべき粉末がカプセルの形態で収容された本発明の実施例が示されている。前記カプセルは噴霧が必要な時に粉末を露出させるために破られる。先の参考例のように、ハウジング110(部分的にしか図示せず)は、使用者が操作可能なスイッチ116の動作に応じて高電圧発生装置114に電力を供給するdcバッテリ源112を収容している。ハウジング110は、粉末のカプセル120を縦に一列に間隔を開けて備えた帯状片118を収容している。この帯状片118は箔のような材料からなる上層122及び下層124を備え、それらの層122及び124の間には、ある量に分割された粒子材料がカプセル状に包み込まれている。少なくとも上層122は簡単に引き裂くことのできる材料で構成される。また、下層は、高圧を各カプセル内の粉末に印加できるように、少なくとも導電性又は半導電性のある材料で構成され、又は、部分的にその材料を含む。図示実施例では、下層124は各カプセル120に重なる位置に導電性部分126を含む。
【００６０】
図示していないが、各カプセル120が、開口を段階的に通過して順番に開口128に重なるように帯状片118を動作させる手段が設けられる。開口128の一直線上にプランジャ130があり、このプランジャ130は電圧発生装置114の高圧出力に接続された導電性材料から成る中心コア132を有する。また、前記プランジャ130は、その頂部に、コアに接続された導電性端末部分134を有し、その結果、高圧が端末部分134に電導される。プランジャ130が開口128に向けて、又は開口128から離れる方向に可動であり(矢印B)、帯状片118の軌道(第8図における横向きの矢印)はプランジャの頂部と開口128との間を通り、カプセル120が開口と重なった時に、プランジャ130が移動して端末部分134を導電性部分126に接触させ、カプセルを上方に押し上げ、その結果、上層の材料が引き裂かれ、それにより、第8図に示すように粉末が露出される。スイッチ116に接続された作動装置の動作に応じて電圧発生装置114に電力供給をすることで、帯状片120とプランジャ130とを適当に連動させて動かすことによって、開口128の付近で粉末が露出すると同時に、コア132、端末部分134、及びカプセル部分126を介して粉末に高圧が印加され、結果として、粉末の噴霧が行われる。
【００６１】
第9図及び第10図を参照すると、この実施例では、装置内に蓄積された粉末から、ある量の粉末に分割され、分割された粉末に高圧が印加される。概略的に示すように、蓄積された粉末はハウジング142と結合したホッパ状の粉末収容部140に収容されている。上述した実施例におけるように、ハウジングはdcバッテリ源を収容し、このバッテリ源は、使用者が操作可能なスイッチ(図示せず)の動作に応じて高圧発生器に電力を供給する。ピストン144はホッパ状の粉末収容部140の基部にある開口を貫通して伸び、戻り位置(第9図)と伸長位置(第10図)との間で移動するためにハウジング内に摺動可能に設けられている。作動装置の働きに応じてピストンを、その伸長位置まで移動する手段(図不せず)が設けられ、また、前記作動装置は電圧発生装置の動作を制御するスイッチに接続されている。このような手段はピストンの後退を制御することもでき、また、選択的に、高電圧発生装置の動作を制御し得る作動装置を使用者が離した時(即ち、高電圧発生装置への電力供給を停止するように使用者が作動装置を動かした時)、例えば、バネ負荷のような適当な付勢手段によって自動的にピストンが後退するように構成され得る。
【００６２】
ピストン144の上端にはキャップ146が設けられ、それにより、ピストンがその戻り位置から伸長位置に移動するに従って第10図に示すように粉末収容部に収容された粉末から、ある量の粉末が分離される。電圧発生装置の高圧出力は、ピストン144内のリード線148及び導電性コア150を介してキャップ146内に収容された粉末に接続される。
【００６３】
ピストンが、ある量の粉末を粉末収容部に収容された粉末から分離させて、高電圧を印加することにより分離した粉末を噴霧する位置まで伸長した時に、高圧発生装置が付勢されるように、各部材の動作が連動される。装置が使用されない時にホッパ状の粉末収容部内の粉末を密閉するためにカバー(図示せず)が設けられる。
【００６４】
第11図、第12図、及び第13図に示す実施例は、第9図及び第10図の実施例の変形例であり、この実施例では、第9図及び第10図の実施例における粉末を貫通しキャップ146にある量の粉末を収集するピストンの代わりに、ピストン160が蓄積された粉末166に連通する横方向開口164が形成された孔162の内部を移動するように構成されている。
【００６５】
装置が使用されていない時は、ピストンは開口164と重なり(第11図参照)、それにより、孔162内に粉末が流れ込むことが防止される。装置を作動させる時は、使用者により操作可能な駆動機構(図示せず)を作動させ、初めにピストンを引っ込め(第12図参照)、その結果、粉末がピストンの先端部にあるキャップ168に入り、その後ピストンを伸長位置まで前進させる(第13図参照)。ピストンが後者の位置、即ち、伸長位置にある時、噴霧を有効にするために(ピストンを貫通する導電性部材167を介して)キャップの内容物に高圧が印加される。高電圧発生装置は駆動機構と適当に連動して作動する。噴霧が終了すると、ピストンは第11図に示す位置まで戻される。
【００６６】
第14図は、呼吸器官内に医薬品又は医薬部外品を粉末の形態で噴霧する装置を示している。噴霧されるべき粉末はカプセルの形態で蓄積され、噴霧を必要とする時に粉末を露出するためにカプセルは引き裂かれる。ハウジング210は、その先端部211が、(それが鼻用の器具として使用されるか、口用の器具として使用されるかに依存して)鼻孔又は口に入れるために適当に寸法決めされたノズル部分を形成するように設計されている。ハウジングには、使用者が吸入した時に、空気をハウジング内の開口228に向けて吸引するための開口234が設けられている。ハウジング210(部分的に図示する)は、dcバッテリ源212を収容し、このバッテリ源212は、使用者により操作可能なスイッチ216の動作に応じて高電圧発生装置214に電力を供給する。ハウジング210は帯状片218を収容し、この帯状片は、箔のような材料から成る上層及び下層を備え、それらの間にはある量に分けられた粒子材料がカプセル状に収容されている。上層は少なくとも簡単に引き裂くことのできる材料で構成される。下層は導電性又は「半導電性」の材料から成り、又は、少なくとも一部にその材料を含み、その結果、各カプセル内の粉末に高圧が印加できるようになる。図示実施例では、下層は各カプセル220に重なる部分に導電性部分を含んでいる。
【００６７】
各カプセル220が順番に開口228に重なるように、段階的に開口を通過させるよう帯状体218を作動させる手段(図示せず)が設けられる。(例えば、第7図及び第8図に示すように、)開口228とカプセルとが一直線上に並んだ時に、各カプセルを引き裂くための機構が設けられる。(スイッチ216に接続された作動装置の動作に応じて作動させるようにして)高電圧発生装置214、帯状片218、及び引き裂き機構の動きを適当に連動させることにより、開口228の付近で粉末が露出すると同時に、粉末に高圧が印加され、結果として、使用者が吸引すると同時に、ある量に分けられた粉末が使用者の鼻孔や口と繋がる通路に噴霧される。変形例では、装置は、使用者の吸引によって発生する空気流を検出する手段を含むことができ、また、このような手段は使用者の吸引に応答して初めに前記した働きをするために作動され得る。
【００６８】
通常、噴霧出口は、使用者の吸引によって引き起こされる空気噴流の方向でノズル部分の前端部の上流に配置される。ノズル部分の内部で噴霧が発生すると、ノズル部分が使用者の鼻や唇と接触した時に低電位になるので、帯電した粒子の少なくとも一部がノズル部分に堆積する傾向にある。ノズル部分への粒子の堆積を、ノズル部分を良好な絶縁材料で構成することによって良好に減少させることができ、その結果、噴霧中のノズル表面上の帯電を強めることができる。それにより、ノズル部分の表面に帯電した粒子が堆積することは防止され得る。
【００６９】
上記した各実施例では、電圧発生装置は低電圧源によって電力が供給され、低電圧を低電流、高圧出力に変換するために利用される。各実施例において、高電圧発生装置の代わりに、別個の電源から電力を供給する必要のない固体電圧発生装置を用いることができる。例えば、電圧発生装置は、分割した複数の電圧発生要素からなる一つの大きな配列体、例えば、光起電性要素を有することができ、これらの要素は、光又は赤外線のような電磁放射の照射に応じて高圧出力を発生させるために直列に接続される。前記配列体は、例えば、(第1図の参考例に符号20で示される)装置の外面に配置することによって、又は装置のハウジングに形成された開口又は窓部に隣接してハウジングの内部に設けることによって、周囲の光にさらされるように配置される。この場合、図示された各装置には移動可能なカバーが設けられ、このカバーは、所定の位置にある時に配列体を遮蔽し、また、遮蔽位置から取り外された時に配列体を露出させて電圧発生を可能にする。
【００７０】
第15図は、図示された各実施例に適用可能な別の構成が示されている。この構成では、電圧発生装置328を形成する配列体への照射は、低電圧回路の一部を構成する発光ダイオード(LED)340のような光発生装置によって行われる。前記低電圧回路は、使用者が操作可能なスイッチ344及び低電圧源341、例えば、一つ又は複数の(充電可能な)低電圧バッテリを備えている。低電圧回路及び電圧発生装置328は装置ハウジング314の壁312を介してアースに接続される。アース接続は、壁を装置が配置されるアースされた表面に接触させることによって、又は使用者の手に接触させることによって得られる。スイッチ344の閉成及び開成によりLED340が付勢及び消勢され、それにより、電圧発生装置328の光起電性要素の照射が制御される。従って、スイッチを閉成することにより、電圧発生装置が照射され、低電流及び典型的には5〜15kVのオーダの高圧出力が発生し、使用時に、この電圧がリード線316を介して粒子材料の密集体に印加され、粒子の静電噴霧が行われる。必要であれば、レンズのような光学装置がLED340と関連して使用され得、光が電圧発生要素から成る配列体全体に亘って一様に照射されるようにすることができる。
【００７１】
図面を参照して説明された各実施例において、装置が噴霧されるべきターゲットの近くにくるまで噴霧が抑制されるように構成され得ることは理解されるべきである。適当な接近距離は個々の適用物によって異なる。ここで、接近距離とは、装置が噴霧すべき位置までターゲットへ接近した時の装置とターゲットとの間の距離を意味する。例えば、装置が化粧用器具に使用することを目的としている場合の適当な接近距離は、家庭用清浄材に適用する装置の接近距離より短い。接近距離の制御は、例えば、粉末を噴霧する領域を囲み、電圧を印加する、円筒形覆い部材（又は、他の電位勾配減少手段（potential gradient attenuating means）によって行い、少なくとも装置が噴霧すべきターゲットの近くにくるまで、電位勾配を局部的に減少させることができる。このとき、低電位のターゲットに近づくことで粉末の密集体の露出面に対する電界が局部的に強められ、噴霧を開始できるようになる。覆い部材上の電圧は、高電位によって発生する遊離コロナ放電により生成され、また、その電圧を、何らかの従来の手段で覆い部材を高電圧発生装置に接続することによって印加することができる。上記接近距離の制御を、粉末への印加電圧を適切に選択することにより、すなわち、装置が低電位のターゲットに近づくまで十分な噴霧とならないような電圧を選択することにより、さらに実現することができる。
【００７２】
接近距離を制御することが有利となる適用の一つに殺虫剤の噴霧がある。このような適用では、装置は、通常は噴霧が抑制されているが、蝿などの虫が噴霧を行う場所の近くを通過した場合に噴霧が開始するように構成され得る。この場合、虫の存在が電界を強めることに利用され、その結果、虫を引きつける粉末を放出する。装置には、虫を引きつけるための手段が設けられる。例えば、粉末が、殺虫剤として作用することに加えて、虫を引きつける香りや臭いを発生してもよい。また、装置は、例えば、暗闇の中で虫を引きつける光を照射するように構成され得る。
【００７３】
実験に基づいて、出願人は、シリカ・ゲル結晶、アルミニウム・クロロ水化物粒子(aluminium chlorohydrate particles)、黒糖及び白糖のような種類の材料が十分に噴霧できることを発見した。特に、0.015〜0.04mm(製品番号No.15111)、0.04〜0.063mm(製品番号No.9385)、0.063〜0.2mm(製品番号No.7734)、0.2〜0.5mm(製品番号No.7733)の大きさのメルク社のシリカ・ゲル60(Merck Silica Gel 60)を使用することにより、十分な噴霧が達成される。また、米国、ニュージャージー州、07922、スナイダーアベニュー、バークレーハイツ235のReheis社によって提供されるマクロスフェリカル・95 アルミニウム・クロロ水化物(製品名)(Macrospherical 95 aluminium chlorohydrate)を使用することにより十分な噴霧が達成される。
【００７４】
接近距離を確認するための実験では、デルリン(Delrin)(高さ58mm,内径38mm,外径44mm)で構成される円筒形キャップの基部を電極に装着し、また、キャップの長手方向軸線が垂直になるよう配置し、さらに、その開口部を上方に向けた。電極は、ケーブルによって高電圧発生装置(印加電圧[Kv]KS 30/26P)の出力に接続した。その後、キャップに種々のシリカ・ゲル粒子のサンプルを充填し、高圧を電極に印加した。粉末の噴霧は、電圧を調整することにより成功した。その後、電圧は、その値が、バックライトによってキャップから推進された粒子が観測されるしきい値以下になる状態が得られるまで調整される。
【００７５】
対象物がキャップの開口部の近くまで持ってこられ、それが十分に近ければ、(低電位の対象物が近づくことによって電界が強められ)対象物によって噴霧は効果的に発生する。
【００７６】
また、実験では、それだけで使用すると有効に噴霧することができない粒子が、良好な噴霧が得られる粉末と混合することより効果的に噴霧され得ることが示された。従って、例えば、第16図を参照して以下に説明する方法で測定される約1.3×10⁶ohm.cmの抵抗率を有する純粋なアルミニウム・クロロ水化物(Reheis社製)は、アースの近くにあると噴霧状態が悪くなり、大きな密集体となって噴霧される傾向にある。しかし、シリカ・ゲル粉末(15〜40ミクロンの範囲の大きさ)と混合すると、例えば、w/w率が75%のアルミニウム・クロロ水化物と25%のシリカゲルとの混合物は良好な噴霧を生成する。混合物の抵抗率は以下の方法を使用して2.4×10⁷ohm.cmと測定された。
【００７７】
既に説明したように、本発明の上記記載を参照すると抵抗率は、材料の本質的な体積抵抗率とは異なり、収容された粒子材料の抵抗率、言い換えれば、バルク粒子抵抗率に関係がある。バルク粒子抵抗率は、第16図に示した粒子を収容する容器を使用する以下の方法で測定され得る。容器本体２００は全体的に円筒形であり、その両端が電極２０２、２０４により閉鎖され、粉末が充填された容器は、イギリス国、ウエストサセックス州、ボクナーレジス、ダーバンロード、ファメルインストゥルメンツから得られるWayne-Kerr Automatic Precision Bridge B905のような交流ブリッジに前記電極により接続され得る。容器への粉末の充填は、一方の電極を外し、容器本体に粉末を緩く充填した後、粉末の表面を繰り返し軽くたたき、粉末を重力によって固めることにより行われる。粉末の収納が終わると、容器本体内の粉末の密集体は、粉末収容部分が僅かに盛り上がるまで満たされており、(例えば、ドクターブレードのような一枚の紙を使用することにより)余りが除去され、容器は電極を戻すことにより閉鎖される。電極間に収容された粉末の抵抗率は、交流ブリッジを用いて測定され、測定値は標準的な下記の公式を使用してバルク粉末抵抗率Ppに変換される。
【００７８】
Pp=R・l/A
【００７９】
ここで、記号Rは測定した抵抗(ohms)であり、記号lは容器内に収容された粉末の密集体の軸線方向長さ(cm)であり、記号Aは収容された粉末の密集体の断面積(cm²)である。
【図面の簡単な説明】
【図１】主に上方に粉末材を静電噴霧する装置の第1実施例の概略図である。
【図２】図１の装置の縦断面図である。
【図３】主に下方に粉末材を噴霧するよう設計された装置の第2実施例の概略図である。
【図４】図３の装置の縦断面図である。
【図５】粉状にされた個人的に用いられる衛星製品や健康製品に適用して使用するための噴霧装置の概略図である。
【図６】図５の装置の縦断面図である。
【図７】本発明によるさらに別の実施例の動作原理を説明する概略図である。
【図８】噴霧するための粒子材料の露出について説明する詳細図である。
【図９】本発明に係る噴霧装置の別の実施例の動作を説明する概略図である。
【図１０】本発明に係る噴霧装置の別の実施例の動作を説明する概略図である。
【図１１】本発明に係る噴霧装置のさらに別の実施例の動作を説明する概略図である。
【図１２】本発明に係る噴霧装置のさらに別の実施例の動作を説明する概略図である。
【図１３】本発明に係る噴霧装置のさらに別の実施例の動作を説明する概略図である。
【図１４】呼吸器官内に抑制材を噴霧するのに適した装置の概略図である。
【図１５】図１〜図１４に示した各実施例に適用できる変形を図式的に説明している。
【図１６】粉末のバルク抵抗率を測定するために使用するセルの概略図である。

Claims

底部に開口を有する噴霧すべき粒子材料用の収容容器と、
前記収容容器が頂部に形成されたハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置された電圧発生装置と
を備えた粒子材料の静電噴霧装置において、
前記開口を介して、少なくとも一部が前記収容容器内に設けられたピストンであって、該ピストンの一方端が、前記収容容器内の前記開口付近である第１の位置と、前記開口から最も離れた位置である第２の位置との間を摺動可能であるピストンと、前記ピストンの一方端に設けられたキャップとを有し、前記キャップが前記第１の位置から前記第２の位置まで移動するように前記ピストンを移動させることにより、前記収容容器内に収容された粒子材料の密集体から粒子材料の一部を分離する手段と、
前記分離された粒子材料に前記電圧発生装置からの高電圧を印加する手段と
を備えていることを特徴とする粒子材料の静電噴霧装置。
前記印加電圧の値が、粒子材料なしに前記電圧発生装置が作動した時に、実質的にコロナ放電を生じさせない値であることを特徴とする請求項１に記載の静電噴霧装置。
前記印加電圧が、２５ｋＶ未満であることを特徴とする請求項１に記載の静電噴霧装置。