ノートパソコン等の携帯型電子機器においては、装置用の電源として電池が搭載されているが、装置の運用コストや瞬間的に放電可能な電流容量等の関係で、NicdやNiMHやLi+等のような二次電池(充電可能な電池)が搭載されているのが一般的である。また、装置にACアダプタ等を接続するだけで簡単に装置内蔵の二次電池に対して充電ができるようにと充電器を内蔵している例が多い。
このような携帯型電子機器では、装置の電源として通常は内蔵の二次電池を使用するのが普通であるが、机上での動作などにおいては、ACアダプタ等の外部電源より電力の供給を受けて動作させるような運用もある。
装置に接続されるACアダプタから供給できる電力が、装置の使用する最大電力と二次電池の充電に必要な最大電力よりも十分に大きければ、装置の動作と内蔵二次電池への充電動作を同時に行うことが可能である。しかし、ACアダプタの能力がそれよりも小さい場合には、装置の動作と内蔵二次電池への両方への給電は不可能となるため、装置の状態に応じて、いずれか片方を動作させることとなる。実際に装置に使用されるACアダプタでは、コスト・サイズ等の関係で供給電力に制限があり、一般的には両方の動作を同時に行うことは稀である。
通常は、ACアダプタのコストとサイズを最小限にするために、ACアダプタの能力を、内蔵二次電池の充電に必要な最大電力値と、装置の使用する最大電力値の内の大きい方に設定するのが一般的である。また、電池での運用を意図した装置では、装置の最大消費電力よりも内蔵二次電池への充電電力の方が大きいのも一般的である。これが逆転した状態では、電池への充電時間よりも電池での運転時間の方が短くなり、装置として実用的でないからである。
このようなことを背景にして、これまでは、装置に内蔵される充電器は、装置の状態を常に監視して、装置の電源がOFF状態にあるときに二次電池への充電を行い、装置の電源がON状態に入ると二次電池への充電を停止して、装置の電源がOFF状態に戻ると充電を再開するという方法を採っていた。すなわち、装置が非動作状態にあるときに二次電池への充電を行い、装置が動作状態にあるときに二次電池への充電を停止するという構成を採っていたのである。
しかし、これでは、ACアダプタの能力に余裕があるときに、効率的な充電処理を実行できないことから、最近では、装置の使用する最大電力に比してある程度ACアダプタの能力が大きい場合には、装置の電源がON状態にあるときは、二次電池への充電電流値を下げて充電を続け、装置の電源がOFF状態にあるときは、本来の充電電流値で充電を行うという方法を採るようになってきた。すなわち、装置が非動作状態にあるときには大きい充電電流を生成して二次電池への充電を行い、装置が動作状態にあるときには小さい充電電流を生成して二次電池への充電を行うという構成を採るようになってきた。
図13に、この従来構成を図示する。
図中、二次電池は、直列接続の電池セルで構成される充電可能な電池である。DCコネクタは、ACアダプタ等の外部電源で装置を運転するとき、あるいは、ACアダプタ等の外部電源で装置内蔵の二次電池に充電するときに、外部からの電源供給を受け取るためのコネクタである。DC/DCコンバータは、DCコネクタ経由で供給される外部電源又は二次電池から電力の供給を受けて、装置が必要とする電圧を作成するための装置用の電源である。
充電器は、DCコネクタ経由で外部より電力が供給されているとき、二次電池を充電するのに必要な電力を作成するための定電流源である。充電制御部は、DCコネクタからの電力供給や装置の動作状態に応じて、二次電池の充電開始や充電終了を制御するとともに、充電器の生成する充電電流の大きさを制御するための制御機構である。
D1 及びD4 は、ACアダプタにAC電源が供給されていない等の理由により、ACアダプタが非動作状態にあるときに、二次電池から電力が外部に流出するのを防止するための逆流阻止用保護ダイオードである。D2 は、外部より電力が供給されていないときに、DC/DCコンバータに二次電池からの電力を供給するとともに、DCコネクタ経由で外部より電力が供給されているときに、その電圧が二次電池に印加されるのを防止するための保護ダイオードである。
充電器は、PWM制御方式で動作するDCーDC回路であり、ON・OFF制御されるスイッチング用のメイントランジスタTr1 と、チョークコイルL1 と、フライホィールダイオードD3 と、平滑用コンデンサC1 と、電流制御用の抵抗R0,R1,R2,R3,R4 と、定電流制御処理を司るDCーDC制御部とで構成される。この抵抗R0 は、二次電池に充電される電流値を測定するためのセンス抵抗であり、この電流による電圧降下は、抵抗R1 と抵抗R2 とで分圧されるとともに、抵抗R3 と抵抗R4 とで分圧されてDCーDC制御部に入力される。抵抗R5 は、抵抗R0 により測定される充電電流のセンス電位を制御するための分圧抵抗であり、並列接続される抵抗R4 の抵抗値を変化させることで生成される電流値の大きさを切り換えることになる。
この充電器は、抵抗R0,R1,R2,R3,R4 の抵抗値によって一義的に決められる電流値を生成すべく動作して、充電制御部より指示される抵抗R5 の有効・非有効に応じて2つの電流モ−ドで動作することになる。この定電流動作は、スイッチング方式のレギュレータと同じものである。
このように構成されるときにあって、DCコネクタにACアダプタ等が接続されることで外部より電力が供給されているときには、ダイオードD1 を介してその外部電力がDC/DCコンバータに供給され、これに応じてDC/DCコンバータが装置の必要とする電圧を作成する。このとき、その外部電力は、ダイオードD2 に阻止されて二次電池に印加されることはない。
一方、外部より電力が供給されているときに、二次電池に対して電力が供給され充電が行われるのは、充電が指示されていることで、充電器が動作しているときだけである。充電器が停止しているときには、メイントランジスタTr1 により回路が遮断されて二次電池への電力供給は行われない。そして、外部からの電力供給が途絶えると、ダイオードD2 を介して二次電池の電力がDC/DCコンバータに供給され、これに応じてDC/DCコンバータが装置の必要とする電圧を作成する。このとき、その電力は、ダイオードD1,D4 に阻止されて外部に流出することはない。
外部より電力が供給されて充電器が動作しているときには、充電器で作成された電力は、ダイオードD4 を介して二次電池に与えられ、これにより二次電池は充電されることになる。このとき、DCコネクタから入力される電圧が充電器の電圧よりも高いことでダイオードD2 が逆バイアス状態にあることから、二次電池の充電電流がDC/DCコンバータ側に漏れることはない。
この充電処理を実行するにあたって、充電制御部は、常にDCコネクタからの電力供給の有無と、装置の電源のON・OFF状態とを監視して、充電器のON・OFF制御と、充電電流の切換制御とを実行する。すなわち、DCコネクタを介して外部から電力が供給されるときに、装置の電源がOFF状態にあることで装置が非動作状態にあるときには、抵抗R5 を制御することで二段階用意される充電電流の内の大きな方を生成して二次電池を充電し、装置の電源がON状態にあることで装置が動作状態にあるときには、抵抗R5 を制御することで二段階用意される充電電流の内の小さな方を生成して二次電池を充電するという制御処理を実行することになる。
このような充電処理にあって、充電の完了を正確に把握して充電を終了させないと、二次電池に悪影響を及ぼし、電池寿命の低下につながる問題がある。例えば充電量が不足であれば、電池としての十分な容量能力を引き出すことが出来ないこととなり、電池での機器の運用時間の低下をもたらす。NicdやNiMHやLi+等のような二次電池では、充電不足は定格容量がでないという問題だけであるが、鉛蓄電池のような二次電池では充電不足は電池の劣化を引き起こすこととなる。また、逆に、電池の容量を十分に引き出すために充電量を増やし過ぎると過充電状態となって、これも電池の劣化の原因となる。
二次電池が適切に充電されたことを知る手段としては、充電開始からの時間経過を使って知る方法や、二次電池の電圧値が最大電圧値に到達したことをもって知る方法や、二次電池の温度が最大温度値に到達したことをもって知る方法や、二次電池の温度変化率が最大温度変化率に到達したことをもって知る方法や、二次電池の電圧が充電完了段階に若干降下するという特性(−ΔV特性)を使って知る方法がある。しかし、充電電流値が容量値に比して小さい値で充電するという長時間充電では、この内の最大電圧制御や、最大温度変化率制御や、−ΔV特性制御は使うことができない。
これから、従来では、通常、時間経過制御や最大温度制御を用いて充電完了を検出する方法を採っているが、この2つの内、特に、充電開始からの時間経過を使って充電完了を検出していくことが広く用いられている。
また、このような充電処理にあって、二次電池の放電電流についても測定したいという要求が出ることがあるが、このような要求に対して、従来では、図14に示すように、二次電池の充電電流を検出するセンス抵抗R0 とは別に、二次電池の放電電流を検出するセンス抵抗Rx を用意する構成を採って、このセンス抵抗Rx を使って二次電池の放電電流を検出するという方法を採っている。
以下、実施の形態に従って本発明を詳細に説明する。
実施の形態の説明に入る前に、本発明に関連する技術について説明する。
図1及び図2に、本発明に関連する技術を実装する電子機器1の構成を図示する。
図1及び図2に図示する電子機器1は、信号処理を実行する負荷回路2と、負荷回路2に電力を供給する二次電池3と、外部電源から与えられる電力を使って二次電池3の充電電流を生成する充電回路4とを備えるものである。
図1に図示する電子機器1は、二次電池3に流入する充電電流を検出する充電電流検出手段10と、負荷回路2の消費する消費電流を検出する消費電流検出手段11と、二次電池3の許容する最大許容充電電流と、充電電流検出手段10の検出する充電電流との差分値を検出する第1の検出手段12と、外部電源の許容する最大供給可能電流と、消費電流検出手段11の検出する消費電流との差分値を検出することで最大使用可能電流を検出する第2の検出手段13と、第2の検出手段13の検出する最大使用可能電流と、充電電流検出手段10の検出する充電電流との差分値を検出する第3の検出手段14と、二次電池3の許容する最大許容印加電圧と、二次電池3に印加される電圧との差分値を検出する第4の検出手段15と、充電回路4の生成する充電電流を制御する制御手段16とを備える。
また、図2(a)に図示する電子機器1は、二次電池3に流入する充電電流を検出する検出手段30と、検出手段30の検出する充電電流を積算する積算手段31と、充電回路4に対して充電終了指示を発行する発行手段32とを備える。
また、図2(b)に図示する電子機器1は、充電回路4と装置電源回路との接続点よりも二次電池3側に、二次電池3に流入する充電電流を検出するためのセンス抵抗40を備えるとともに、センス抵抗40の両端電位を入力として、この2つの入力電位の内のいずれが大きいのかを識別しつつ、この2つの入力電位の差分値に応じた電圧を発生する電流測定手段41を備える。
このように構成される図1に図示する電子機器1では、外部電源から与えられる電力を使って装置を駆動しているときにあって、制御手段16は、第1の検出手段12・第3の検出手段14・第4の検出手段15の検出する差分値に従い、二次電池3に流入する充電電流が最大許容充電電流及び最大使用可能電流を超えず、かつ、二次電池3に印加される電圧が最大許容印加電圧を超えない範囲で、充電回路4が最大の充電電流を生成するようにと制御する。
すなわち、第1の検出手段12・第3の検出手段14・第4の検出手段15の検出する差分値の中に制限値をオーバーするものがあるときには、最も制限値をオーバーする差分値を特定し、制限値をオーバーするものがないときには、最もゼロ値に近い差分値を特定して、その特定した差分値がゼロ値になるようにと充電回路4の生成する充電電流を制御するのである。
この制御手段16の制御処理に従って、図1に図示する電子機器1では、二次電池3及び外部電源の許容される範囲の最大充電電流でもって二次電池3の充電が実行されることから、電子機器1の動作時に、二次電池3を最速に充電できるようになるのである。
また、このように構成される図2(a)に図示する電子機器1では、充電回路4が装置の動作条件に応じて変化する充電電流を生成して二次電池3を充電するときにあって、検出手段30は、二次電池3に流入する充電電流を検出し、この検出結果を受けて、積算手段31は、検出された充電電流を積算し、この積算結果を受けて、発行手段32は、積算された充電電流量と、充電開始時に二次電池3の持つ電流容量との合計値が二次電池3の最大電流容量に到達したのか否かを判断して、到達を判断すると、充電回路4に対して充電終了指示を発行する。
このようにして、図2(a)に図示する電子機器1では、充電回路4の生成する充電電流が動的に変化するようなことがあっても、充電電流を使って、二次電池3の充電完了を正確に検出できるようになるのである。
また、このように構成される図2(b)に図示する電子機器1では、充電回路4は、センス抵抗40の検出する充電電流を使って、二次電池3の充電に使用する定電流モードの充電電流を生成していくことになるが、このセンス抵抗40には、二次電池3の放電電流も流れることになる。これから、このセンス抵抗40に流れる充放電電流を受けて、電流測定手段41は、例えば2つの出力口を持って、センス抵抗40に充電電流が流れるときには、その一方の出力口に、充電電流の大きさに応じた電圧を出力し、反対に、センス抵抗40に放電電流が流れるときには、もう一方の出力口に、放電電流の大きさに応じた電圧を出力する。
このようにして、図2(b)に図示する電子機器1では、充電電流の検出に用いるセンス抵抗と、放電電流の検出に用いるセンス抵抗とを共通化することで、二次電池3の充放電電流を簡略な構成に従って測定できるようになるのである。
図3に、本発明に関連する技術を実装する電子機器1(図1に示したものの詳細な構成)の構成を図示する。
図中、50は二次電池であって、直列接続の電池セルで構成される充電可能な電池、51はDCコネクタであって、ACアダプタで装置を運転するとき、あるいは、ACアダプタで装置内蔵の二次電池50に充電をするときに、外部からの電源供給を受け取るコネクタ、52はDC/DCコンバータであって、DCコネクタ51経由で供給される外部電源又は二次電池50から電力の供給を受けて、装置が必要とする電圧を作成するための装置用の電源、53は充電器であって、DCコネクタ51経由で外部より電力が供給されているときに、二次電池50を充電するのに必要な電力を作成するための定電流源、54は充電器53に展開される制御回路であって、PWM制御方式に従って定電流制御を実行する制御機構、55は電流測定回路であって、二次電池50の充放電電流を測定する測定回路、56はμコントローラであって、充電の開始及び終了を指示する充電制御機構である。
D1 及びD4 は、ACアダプタにAC電源が供給されていない等の理由により、ACアダプタが非動作状態にあるときに、二次電池50から電力が外部に流出するのを防止するための逆流阻止用保護ダイオードである。D2 は、外部より電力が供給されていないときに、DC/DCコンバータ52に二次電池50からの電力を供給するとともに、DCコネクタ51経由で外部より電力が供給されているときに、その電圧が二次電池50に印加されるのを防止するための保護ダイオードである。
Tr1 は、制御回路54からの指示に従ってON・OFF動作するスイッチング用のメイントランジスタ、L1 はチョークコイル、D3 はフライホィールダイオード、C1 は平滑用コンデンサである。
R0 は、二次電池50に流入する充電流値を測定するためのセンス抵抗であり、このセンス抵抗R0 を流れる充電電流により発生される電圧降下は、抵抗R1,R2 で分圧されるとともに、抵抗R3,R4 で分圧されて制御回路54のERR1端子に入力される。R6 は、装置が使用する消費電流値を測定するためのセンス抵抗であり、このセンス抵抗R6 を流れる消費電流による電圧降下は、抵抗R7,R8 で分圧されるとともに、抵抗R9,R10で分圧されて制御回路54のERR2端子に入力される。
制御回路54のACADP端子に与えられる電圧e1 は、ACアダプタの供給可能な最大電流値を制御回路54に通知するためのものであり、電流値に対応した電圧値として与えられる。制御回路54のMAXC端子に与えられるe2 は、二次電池50の許容する最大充電電流値を制御回路54に通知するためのものであり、電流値に対応した電圧値として与えられる。制御回路54のVr 端子に与えられるe3 は、電池の許容する最大印加電圧値を制御回路54に通知するためのものであり、電圧値として与えられる。
Tr2 は、DCコネクタ51より電力が供給されていないときに、制御回路54のグランド側を切り離すことにより、二次電池50の電位が制御回路54に印加されることを防止するとともに、抵抗R1 〜R4 を介して二次電池50から電力が漏れるのを防止するための保護用のスイッチ回路である。R21, R22は、DCコネクタ51より電力が供給されていないときに、それを検出してスイッチ回路Tr2 をOFFさせるための電圧検出抵抗である。
図4に、制御回路54の一例を図示する。
この図に示すように、制御回路54は、6個の誤差増幅器540-i(i=1〜6)と、三角波発振器541と、PWM比較器542と、ドライバ543とから構成される。
この第1の誤差増幅器540-1(ERA1)は、センス抵抗R0 の発生する電圧降下を測定するための増幅器であり、センス抵抗R0 に流れる充電電流値に比例した電圧を出力する。第4の誤差増幅器540-4(ERA4)は、第1の誤差増幅器540-1の出力する充電電流値と、MAXC端子に与えられる二次電池50の許容する最大充電電流値(e2)との差分値を増幅してPWM比較器542に入力する。
第2の誤差増幅器540-2(ERA2)は、センス抵抗R6 の発生する電圧降下を測定するための増幅器であり、センス抵抗R6 に流れる消費電流値に比例した電圧を出力する。第5の誤差増幅器540-5(ERA5)は、第2の誤差増幅器540-2の出力する消費電流値と、ACADP端子に与えられるACアダプタの供給可能な最大供給電流値(e1)との差分値を増幅して最大使用可能電流値として出力する。
第6の誤差増幅器540-6(ERA6)は、第1の誤差増幅器540-1の出力する充電電流値と、第5の誤差増幅器540-5の出力する最大使用可能電流値との差分値を増幅してPWM比較器542に入力する。第3の誤差増幅器540-3(ERA3)は、第1の誤差増幅器540-1に入力される二次電池50への印加電圧と、Vr 端子に与えられる二次電池50の許容する最大印加電圧値(e3)との差分値を増幅してPWM比較器542に入力する。
ここで、制限値を入力とする誤差増幅器540-iは、測定値と制限値とが等しいときには、規定の電圧値を出力し、制限値が測定値よりも大きいときには、その規定電圧値よりも大きな電圧値を出力し、測定値が制限値より大きいときには負の値又は“0”を出力するように動作する。
三角波発振器541は、規定の周期に従う三角波電圧を発生してPWM比較器542に入力する。PWM比較器542は、第4の誤差増幅器540-4・第6の誤差増幅器540-6・第3の誤差増幅器540-3の出力する電圧値と、三角波発振器541の出力する三角波電圧とを入力として、入力電圧に応じたパルス幅を持つパルスを生成する。ドライバ543は、メイントランジスタTr1 を駆動するためのドライブ回路であり、PWM比較器542がハイレベルを出力している間、メイントランジスタTr1 をONさせるとともに、PWM比較器542がローレベルを出力している間、メイントランジスタTr1 をOFFさせる。
図5に、PWM比較器542の一例を図示する。
この図に示すPWM比較器542は、3つの誤差増幅器からの入力電圧対応に設けられて、誤差増幅器の出力電圧と、三角波発振器541の生成する三角波電圧とを比較して、入力三角波電圧の方が小さいときにはハイレベルを出力し、入力三角波電圧の方が大きいときにはローレベルを出力する比較回路と、全比較回路の出力値の論理積値を算出して出力するAND回路とから構成される。これから、比較回路は、誤差増幅器の出力電圧に応じたパルス幅を持つパルスを生成するのであって、測定値が制限値を超える誤差増幅器に対応付けられる比較回路は、誤差増幅器が負の値又は“0”を出力することからパルスを生成しないように動作することになる。
この構成に従って、PWM比較器542の持つ各加算回路は、図6(a)に示すように、誤差増幅器からの入力電圧が制限値の範囲内に入るときには、余裕のある程ハイレベルの長いパルスを発生するとともに、範囲内に入らないときには、パルスを生成しない。そして、PWM比較器542の持つAND回路は、これらの比較回路の出力を受けて、図6(b)に示すように、最もハイレベルの短いものに合わせたパルスを出力する。
すなわち、PWM比較器542は、3つの誤差増幅器からの入力電圧の中に、制限値をオーバーするものがあるときは、パルスを生成しないとともに、制限値をオーバーするものがないときには、最も制限値に近いものを特定して、それに応じた長さを持つハイレベルのパルスを生成するのである。
このPWM比較器542のパルス生成を受けて、ドライバ543は、PWM比較器542がハイレベルを出力している間、メイントランジスタTr1 をONさせるとともに、PWM比較器542がローレベルを出力している間、メイントランジスタTr1 をOFFさせることで、PWM比較器542のパルス生成元となった誤差増幅器の出力電圧がゼロ値になるようにと充電器53の生成する充電電流の大きさを制御する。
この構成の制御回路54に従って、充電器53は、センス抵抗R0 により検出される充電電流(その制限値は、二次電池50の許容する最大充電電流値と、第5の誤差増幅器540-5の出力する最大使用可能電流値とである)と、二次電池50への印加電圧(その制限値は、二次電池50の許容する最大印加電圧値である)の内、最初に制限値に到達したもので制限される充電電流に従って、二次電池50を充電していくのである。
このようにして、二次電池50及びACアダプタの許容される範囲の最大充電電流でもって二次電池50の充電が実行されることから、電子機器1の動作時に、二次電池50を最速に充電できるようになるのである。
図3に示す電子機器1の充電動作について更に説明すると、DCコネクタ51にACアダプタが接続されることで外部より電力が供給されているときには、D1 を介してその外部電力がDC/DCコンバータ52に供給され、これに応じてDC/DCコンバータ52が装置の必要とする電圧を作成する。
このとき、μコントローラ56から制御回路54に対して充電動作の指示があると、制御回路54は、以下の動作に入って充電電流を生成する。
すなわち、センス抵抗R6 によりDC/DCコンバータ52の消費電流が検出されると、その消費電流状態のときに使用可能となるACアダプタの最大使用可能電流値を求めて、センス抵抗R0 により検出される二次電池50の充電電流が、その最大使用可能電流値を超えないように制御するとともに、その充電電流が、二次電池50の許容する最大充電電流値を超えないように制御する。そして、センス抵抗R0 により検出される二次電池50への印加電圧が、二次電池50の許容する最大印加電圧を超えないように制御する。
今、図3に示す電子機器1にあって、二次電池50の許容する最大充電電流値を1000mA、二次電池50の電池容量を1000mAH 、ACアダプタの供給可能な最大電流値を1500mA、装置が動作時に使用する消費電流の最大値を1100mA、装置が動作時に使用する消費電流の平均値を400mA 、装置が動作していないときの消費電流をOmA と仮定するとともに、二次電池50に印加電圧の制限がないことを仮定する。
装置が停止状態にあるときは、ACアダプタから供給される電流は全て二次電池50の充電電流として使用可能であるため、電池が許容する最大電流値1000mAでの充電が可能となる。従って、このときの充電時間は約1時間で終了する。
一方、装置が動作しているとき消費電流は0 〜1100mAの間で動的に変化するが、図3に示す電子機器1では、この動的な変化に合わせて、充電電流値を1000mA〜400mA の間で動的に変化させながら充電を行うことになる。装置の平均的な消費電流値が400mA であることから、この充電電流値も平均的には1000mAとなる。この1000mAの充電電流値は、装置が停止状態のときと変わらない電流値であり、従って、装置が動作していても約1時間で充電できることになる。
このように、図3に示す電子機器1では、装置側の消費電流値を測定する機能を設けて、装置側の消費電流に応じて充電器53の充電電流値を動的に変化させることで、常にACアダプタの最大能力で充電を行う方法を採ることから、二次電池50の充電時間を大幅に短縮することができるようになる。
これに対して従来技術では、動的に変化する装置側の消費電力を動的に検出する構成を採っていないことから、最大消費電力を考慮した設計となる。これから、装置の動作時の最大消費電力が1100mAであり、ACアダプタの供給可能な最大電流値が1500mAであるときには、充電器53の使用できる電流値は400mA となることから、その結果、装置動作時はその消費電流値の如何に関わらず常に400mA で充電を行うこととなって、約3時間の充電時間が必要となる。
このように、図3に示す電子機器1では、外部電源の能力に応じた充電を行うことにより、二次電池50の充電時間を大幅に短縮できるようになるのである。
次に、図3に示す電子機器1で備える電流測定回路55と、μコントローラ56の機能について説明する。
電流測定回路55は、センス抵抗R0 に流れる電流の大きさを測定するために用意されるものである。
このセンス抵抗R0 は、上述したように、充電器53の定電流制御用抵抗として機能し、更に、図3の回路構成から分かるように、二次電池50の放電電流の経路に設けられる。すなわち、二次電池50の充電時には、このセンス抵抗R0 には充電電流が流れ、一方、DCコネクタ51にACアダプタが接続されていないときには、二次電池50の電力がDC/DCコンバータ52に与えられることから、このセンス抵抗R0 には放電電流が流れることになるのである。従って、この電流測定回路55は、二次電池50に流入する充電電流と、二次電池50から流出する放電電流との双方を測定することになる。
図7に、この電流測定回路55の一例を図示する。
この図に示すように、電流測定回路55は、第1の演算増幅器550-1(OP1)と、第2の演算増幅器550-2(OP2)と、第3の演算増幅器550-3(OP3)と、第4の演算増幅器550-4(OP4)とで構成され、この第1の演算増幅器550-1(OP1)は、センス抵抗R0 の一方の電位を+端子に入力するとともに、−端子を抵抗R31を介して第2の演算増幅器550-2の−端子に接続し、第2の演算増幅器550-2は、センス抵抗R0 の他方の電位を+端子に入力するとともに、−端子を抵抗R31を介して第1の演算増幅器550-1の−端子に接続し、第3の演算増幅器550-3は、第1の演算増幅器550-1の出力電圧を抵抗R34を介して−端子に入力するとともに、+端子を抵抗R37を介してグランドに接続し、第4の演算増幅器550-4は、第2の演算増幅器550-2の出力電圧をR41を介して−端子に入力するとともに、+端子を抵抗R44を介してグランドに接続する。
この構成に従って、電流測定回路55は、第1の演算増幅器550-1の+端子に入力される電圧と、第2の演算増幅器550-2の+端子に入力される電圧との差分値を増幅して出力する。
すなわち、第3の演算増幅器550-3は、第1の演算増幅器550-1の+端子の入力電位が第2の演算増幅器550-2の+端子の入力電位よりも高いときに、両者の電位差を増幅して出力することで、センス抵抗R0 を流れる放電電流値に比例した電圧を出力する。また、第4の演算増幅器550-4は、第1の演算増幅器550-1の+端子の入力電位が第2の演算増幅器550-2の+端子の入力電位よりも低いときに、両者の電位差を増幅して出力することで、センス抵抗R0 を流れる充電電流値に比例した電圧を出力する。
このようにして、電流測定回路55は、センス抵抗R0 に流れる充電電流と放電電流の両方を測定対象にして、センス抵抗R0 に流れる電流が充電電流であるのか放電電流であるのかを識別しつつ、その電流値の大きさに応じた電圧値を発生していくのである。
一方、μコントローラ56は、この電流測定回路55の測定結果を受けて、制御回路54を制御することで充電制御処理を行うことになる。
図8に、μコントローラ56の実行する処理フローを図示する。
μコントローラ56は、電源が投入されると、図8の処理フローに示すように、先ず最初に、ステップ1で、ACアダプタが装着されているのか否かを検出する。この検出処理は、図3では省略したが、ACアダプタの出力電圧を監視することで実行されることになる。
このステップ1で、ACアダプタが装着されていることを検出すると、ステップ2に進んで、制御回路54を起動することで二次電池50の充電実行を指示し、続くステップ3で、セーブしておいた二次電池50のバッテリ残量を読み出す。続いて、ステップ4で、電流測定回路55の出力電圧を読み取ることで、センス抵抗R0 を流れる充電電流を読み取って、それを積算していくことで二次電池50のバッテリ残量を更新する。
続いて、ステップ5で、装置停止の指示が発行されたのか否かを検出して、装置停止の指示が発行されていないことを検出するときには、ステップ6に進んで、更新していくバッテリ残量が満充電に到達したのか否かを判断する。この判断で満充電への未到達を判断するときには、ステップ4に戻って、バッテリ残量の更新を続行し、満充電への到達を判断するときには、ステップ7に進んで、制御回路54を停止させ、続くステップ8で、バッテリ残量をセーブして処理を終了する。
そして、ステップ5で、装置停止の指示が発行されたことを検出するときには、直ちにステップ7に進んで、制御回路54を停止させ、続くステップ8で、バッテリ残量をセーブして処理を終了する。
一方、ステップ1で、ACアダプタが装着されていないことを検出するとき、すなわち、二次電池50の電力をDC/DCコンバータ52に供給するときには、ステップ9に進んで、セーブしておいた二次電池50のバッテリ残量を読み出す。続いて、ステップ10で、電流測定回路55の出力電圧を読み取ることで、センス抵抗R0 を流れる放電電流を読み取って、それを積算していくことで二次電池50のバッテリ残量を更新する。続いて、ステップ11で、装置停止の指示が発行されたのか否かを検出して、装置停止の指示が発行されていないことを検出するときには、ステップ10に戻って、バッテリ残量の更新を続行し、装置停止の指示が発行されたことを検出するときには、ステップ8に進んで、バッテリ残量をセーブして処理を終了する。
このようにして、μコントローラ56は、充電器53の生成する充電電流が動的に変化するようなことがあっても、二次電池50の充電完了を正確に検出してその充電を停止していくのである。
図3に示す電子機器1では、ACアダプタの供給可能な最大電流値を予め制御回路54のACADP端子に入力する構成を採ったが、ACアダプタの特性を使うことで、このACアダプタの電力供給能力を自動的に検出する構成を採ることも可能であり、これを使うことで、本発明の電子機器1を実現できることになって、更に実用的なものとすることができる。
図9に、ACアダプタの持つ出力電流値と出力電圧値との対応関係の一例を図示する。このACアダプタは、定格出力電圧が16.0V 、定格出力電流値が1500mAであることを示している。
この図に示すように、ACアダプタは、出力電流値が0 〜1500mAといった定格出力電流値内にあるときには、定格出力電圧値の電圧出力を維持するが、定格出力電流値以上の電流値が要求されると、出力電圧値を例えば15.0V まで低下させることで過負荷状態であることを負荷側に知らせ、更に大きな電流値が要求されると、重過負荷状態となって電圧出力を遮断していく機能を有している。
このことは、ACアダプタの出力電圧値が規定の最低許容出力電圧値まで低下するときには、ACアダプタの電力供給能力の限界に到達したことを意味しており、これから、この特性を使って、ACアダプタの出力電圧値が最低許容出力電圧値まで低下したら、充電器53の充電電流を制限していくことで、図3に示す電子機器1で制御回路54に入力要求されたACアダプタの最大供給電流値を省略できることを意味している。
図10に、この方法を用いる本発明の一実施形態例を図示する。
この図10の説明に入る前に、図11に従って、この実施形態例に従う本発明の概要について説明する。
図中、1は本発明を具備する電子機器であって、信号処理を実行する負荷回路2と、負荷回路2に電力を供給する二次電池3と、外部電源から与えられる電力を使って二次電池3の充電電流を生成する充電回路4とを備えるものである。
本発明の電子機器1は、二次電池3に流入する充電電流を検出する充電電流検出手段20と、二次電池3の許容する最大許容充電電流と、充電電流検出手段20の検出する充電電流との差分値を検出する第1の検出手段21と、外部電源の許容する最低許容出力電圧と、外部電源の出力する電圧との差分値を検出する第2の検出手段22と、二次電池3の許容する最大許容印加電圧と、二次電池3に印加される電圧との差分値を検出する第3の検出手段23と、充電回路4の生成する充電電流を制御する制御手段24とを備える。
このように構成される本発明の電子機器1では、負荷回路2の要求する消費電流(電力)が大きくなると、外部電源の供給する電源電圧が低下するという特性を使い、外部電源から与えられる電力を使って負荷を駆動しているときにあって、制御手段24は、第1の検出手段21・第2の検出手段22・第3の検出手段23の検出する差分値に従い、二次電池3に流入する充電電流が最大許容充電電流を超えず、かつ、外部電源の出力する出力電圧が最低許容出力電圧以下に低下せず、かつ、二次電池3に印加される電圧が最大許容印加電圧を超えない範囲で、充電回路4が最大の充電電流を生成するようにと制御する。
すなわち、第1の検出手段21・第2の検出手段22・第3の検出手段23の検出する差分値の中に制限値をオーバーするものがあるときには、最も制限値をオーバーする差分値を特定し、制限値をオーバーするものがないときには、最もゼロ値に近い差分値を特定して、その特定した差分値がゼロ値になるようにと充電回路4の生成する充電電流を制御するのである。
この制御手段24の制御処理に従って、本発明の電子機器1では、二次電池3及び外部電源の許容される範囲の最大充電電流でもって二次電池3の充電が実行されることから、電子機器1の動作時に、二次電池3を最速に充電できるようになる。
このようにして、本発明では、負荷回路2の要求する消費電流(電力)が大きくなると、外部電源の供給する電源電圧が低下するという特性を使い、その低下が現れるぎりぎりのところまで充電電流を大きくすることで、二次電池3を高速に充電するという構成を採っているのである。
次に、図10の説明を行う。ここで、図10中、図3で説明したものと同じものについては同一の記号で示してある。
図3に示す電子機器1と異なっている点は、センス抵抗R6 及び抵抗R7 〜R10を備える代わりに、DCコネクタ51に接続されるACアダプタの出力電圧を監視するための抵抗R11,R12を備える構成を採って、この抵抗R11,R12で分圧されるACアダプタの出力電圧を、制御回路54のERR2−端子に入力する構成を採っている点である。なお、二次電池50の許容する最大充電電流値に対応する電圧値e1 については、制御回路54のERC1端子に入力している。また、図3に示す電子機器1では外部から与えた二次電池50の許容する最大印加電圧値については、制御回路54の内部で発生する構成を採っている。
図12に、図10に示す本発明の電子機器1で用いる制御回路54の一実施形態例を図示する。
この図に示すように、図10に示す本発明の電子機器1で用いる制御回路54は、図3に示す電子機器1で用いる制御回路54(図4に示したもの)の備える6個の誤差増幅器540-iの代わりに、4個の誤差増幅器544-i(i=1〜4)を備える構成を採ることになる。
この第1の誤差増幅器544-1(ERA1)は、センス抵抗R0 の発生する電圧降下を測定するための増幅器であり、センス抵抗R0 に流れる充電電流値に比例した電圧を出力する。第3の誤差増幅器544-3(ERA3)は、第1の誤差増幅器544-1の出力する充電電流値と、ERC1端子に与えられる二次電池50の許容する最大充電電流値(e1)との差分値を増幅してPWM比較器542に入力する。
第2の誤差増幅器544-2(ERA2)は、第1の誤差増幅器544-1に入力される二次電池50への印加電圧と、内蔵電池により与えられる二次電池50の許容する最大印加電圧値との差分値を増幅してPWM比較器542に入力する。第4の誤差増幅器544-4(ERA4)は、抵抗R11,R12により検出されるACアダプタの出力電圧と、内蔵電池により与えられるACアダプタの最低許容出力電圧(例えば15.0V に設定される)との差分値を増幅してPWM比較器542に入力する。
この第3の誤差増幅器544-3・第2の誤差増幅器544-2・第4の誤差増幅器544-4の出力する電圧値と、三角波発振器541の出力する三角波電圧とをを受けて、PWM比較器542は、入力電圧に応じたパルス幅を持つパルスを生成し、このパルスを受けて、ドライバ543は、PWM比較器542がハイレベルを出力している間、メイントランジスタTr1 をONさせるとともに、PWM比較器542がローレベルを出力している間、メイントランジスタTr1 をOFFさせる。
このPWM比較器542は、図5で説明したように、3つの誤差増幅器からの入力電圧対応に設けられて、誤差増幅器の出力電圧と、三角波発振器541の生成する三角波電圧とを比較して、入力三角波電圧の方が小さいときにはハイレベルを出力し、入力三角波電圧の方が大きいときにはローレベルを出力する比較回路と、全比較回路の出力値の論理積値を算出して出力するAND回路とから構成される。これから、比較回路は、誤差増幅器の出力電圧に応じたパルス幅を持つパルスを生成するのであって、測定値が制限値を超える誤差増幅器に対応付けられる比較回路は、誤差増幅器が負の値又は“0”を出力することからパルスを生成しないように動作することになる。
この構成に従って、PWM比較器542の持つ各加算回路は、図6(a)に示したように、誤差増幅器からの入力電圧が制限値の範囲内に入るときには、余裕のある程ハイレベルの長いパルスを発生するとともに、範囲内に入らないときには、パルスを生成しない。そして、PWM比較器542の持つAND回路は、これらの比較回路の出力を受けて、図6(b)に示したように、最もハイレベルの短いものに合わせたパルスを出力する。
すなわち、PWM比較器542は、3つの誤差増幅器からの入力電圧の中に、制限値をオーバーするものがあるときは、パルスを生成しないとともに、制限値をオーバーするものがないときには、最も制限値に近いものを特定して、それに応じた長さを持つハイレベルのパルスを生成するのである。
このPWM比較器542のパルス生成を受けて、ドライバ543は、PWM比較器542がハイレベルを出力している間、メイントランジスタTr1 をONさせるとともに、PWM比較器542がローレベルを出力している間、メイントランジスタTr1 をOFFさせることで、PWM比較器542のパルス生成元となった誤差増幅器の出力電圧がゼロ値になるようにと充電器53の生成する充電電流の大きさを制御する。
この構成の制御回路54に従って、充電器53は、センス抵抗R0 により検出される充電電流(その制限値は、二次電池50の許容する最大充電電流値である)と、二次電池50への印加電圧(その制限値は、二次電池50の許容する最大印加電圧値である)と、抵抗R11,R12により検出されるACアダプタの出力電圧(その制限値は、ACアダプタの最低許容出力電圧値である)の内、最初に制限値に到達したもので制限される充電電流に従って、二次電池50を充電していくのである。つまり、ACアダプタの許容する最大出力電流値までは、充電器53の生成する充電電流を制限しない。
このようにして、二次電池50及びACアダプタの許容される範囲の最大充電電流でもって二次電池50の充電が実行されることから、電子機器1の動作時に、二次電池50を最速に充電できるようになるのである。
今、図10に示す本発明の電子機器1にあって、二次電池50の許容する最大充電電流値を1000mA、二次電池50の電池容量を1000mAH 、ACアダプタの供給可能な最大電流値を1500mA、装置が動作時に使用する消費電流の最大値を1100mA、装置が動作時に使用する消費電流の平均値を400mA 、装置が動作していないときの消費電流をOmA と仮定するとともに、二次電池50に印加電圧の制限がないことを仮定する。
装置が停止状態にあるときは、ACアダプタから供給される電流は全て二次電池50の充電電流として使用可能であるため、電池が許容する最大電流値1000mAでの充電が可能となる。従って、このときの充電時間は約1時間で終了する。
一方、装置が動作しているとき消費電流は0 〜1100mAの間で動的に変化するが、いま装置の消費電流が1000mAであると仮定する。充電器53は、二次電池50の最大許容充電電流値が1000mAであるため、1000mAを出力するように動作する。しかし、充電器53の生成する充電電流が500mA に達すると、ACアダプタの負荷電流値が1500mAとなり、この1500mAを超える時点から、ACアダプタの出力電圧が垂下し始める。制御回路54は、上述したように、このACアダプタの出力電圧を監視して出力電圧が低下し始める点で、充電器53の出力を制限するように動作し、その結果、充電器53の生成する充電電流は、500mA の値に制限される。
装置の消費電流値が増加して1100mAになると、この消費電流値の増加に伴ってACアダプタの電圧垂下が起こるため、充電器53は、制御回路54の指示に従って生成する充電電流値を更に減少させて400mA まで減少させる。続いて、装置の消費電流値が減少して800mA になると、ACアダプタの出力電圧は定格電圧に復活する。その結果、ACアダプタの出力電圧値による制限がフリーとなることから、充電器53は、制御回路54の指示に従って生成する充電電流を増加させていって、700mA まで増加させた時点でACアダプタの電圧垂下時点に遭遇し、そこで電流制限を受ける。
このようにして、本発明では、ACアダプタの容量に応じ、装置の消費電流値の動的な変化に合わせて充電電流値を1000mA〜400mA の間で動的に変化させながら充電を行うことになる。装置の平均的な消費電流値が400mA であることから、この充電電流値も平均的には1000mAとなる。この1000mAの充電電流値は、装置が停止状態のときと変わらない電流値であり、従って、装置が動作していても約1時間で充電できることになる。
このように、本発明では、ACアダプタの出力電圧を監視することで装置側の消費電流値を測定する機能を設けて、装置側の消費電流に応じて充電器53の充電電流値を動的に変化させることで、常にACアダプタの最大能力で充電を行う方法を採ることから、二次電池50の充電時間を大幅に短縮することができるようになる。
これに対して従来技術では、動的に変化する装置側の消費電力を動的に検出する構成を採っていないことから、最大消費電力を考慮した設計となる。これから、装置の動作時の最大消費電力が1100mAであり、ACアダプタの供給可能な最大電流値が1500mAであるときには、充電器53の使用できる電流値は400mA となることから、その結果、装置動作時はその消費電流値の如何に関わらず常に400mA で充電を行うこととなって、約3時間の充電時間が必要となる。
このように、本発明では、ACアダプタの能力に応じた充電を行うことにより、二次電池50の充電時間を大幅に短縮できるようになるのである。
図示実施例に従って本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、実施例では、印加電圧の制限される二次電池50を使って本発明を開示したが、印加電圧の制限されない二次電池50を使うことも可能であって、この場合には、この印加電圧により充電電流を制限していく構成を採る必要はない。
(付記1)外部電源から与えられる電力を使って装置を駆動するとともに、該外部電力を入力として充電電流を生成する充電回路を備えて、該充電回路の生成する充電電流を使って装置の持つ二次電池を充電する構成を採る電子機器において、二次電池の許容する最大許容充電電流と、該二次電池に流入する充電電流との差分値を検出する第1の検出手段と、外部電源の許容する最大供給可能電流と、装置の消費電流との差分値を検出することで最大使用可能電流を検出する第2の検出手段と、上記最大使用可能電流と、二次電池に流入する充電電流との差分値を検出する第3の検出手段と、上記第1及び第3の検出手段の検出する差分値に従い、二次電池に流入する充電電流が上記最大許容充電電流及び上記最大使用可能電流を超えない範囲で、充電回路が最大の充電電流を生成するようにと制御する制御手段とを備えることを、特徴とする充電制御方式。
(付記2)付記1記載の充電制御方式において、二次電池の許容する最大許容印加電圧と、該二次電池に印加される電圧との差分値を検出する第4の検出手段を備え、制御手段は、第1、第3及び第4の検出手段の検出する差分値に従い、二次電池に流入する充電電流が最大許容充電電流及び最大使用可能電流を超えず、かつ、二次電池に印加される電圧が上記最大許容印加電圧を超えない範囲で、充電回路が最大の充電電流を生成するようにと制御するよう処理することを、特徴とする充電制御方式。
(付記3)外部電源から与えられる電力を使って装置を駆動するとともに、該外部電力を入力として充電電流を生成する充電回路を備えて、該充電回路の生成する充電電流を使って装置の持つ二次電池を充電する構成を採る電子機器において、二次電池の許容する最大許容充電電流と、該二次電池に流入する充電電流との差分値を検出する第1の検出手段と、外部電源の許容する最低許容出力電圧と、該外部電源の出力する出力電圧との差分値を検出する第2の検出手段と、上記第1及び第2の検出手段の検出する差分値に従い、二次電池に流入する充電電流が上記最大許容充電電流を超えず、かつ、外部電源の出力する出力電圧が上記最低許容出力電圧以下に低下しない範囲で、充電回路が最大の充電電流を生成するようにと制御する制御手段とを備えることを、特徴とする充電制御方式。
(付記4)付記3記載の充電制御方式において、二次電池の許容する最大許容印加電圧と、該二次電池に印加される電圧との差分値を検出する第3の検出手段を備え、制御手段は、第1、第2及び第3の検出手段の検出する差分値に従い、二次電池に流入する充電電流が最大許容充電電流を超えず、かつ、外部電源の出力する出力電圧が最低許容出力電圧以下に低下せず、かつ、二次電池に印加される電圧が上記最大許容印加電圧を超えない範囲で、充電回路が最大の充電電流を生成するようにと制御するよう処理することを、特徴とする充電制御方式。
(付記5)付記1、2、3又は4記載の充電制御方式において、制御手段は、検出手段の検出する差分値の中に制限値をオーバーするものがあるときには、最も制限値をオーバーする差分値を特定し、制限値をオーバーするものがないときには、最もゼロ値に近い差分値を特定して、その特定した差分値がゼロ値になるようにと充電回路の生成する充電電流を制御するよう処理することを、特徴とする充電制御方式。
(付記6)装置の動作条件に応じて変化する充電電流を生成する充電回路を備えて、該充電回路の生成する充電電流を使って装置の持つ二次電池を充電する構成を採る電子機器において、二次電池に流入する充電電流を検出する検出手段と、上記検出手段の検出する充電電流を積算する積算手段と、上記積算手段の積算する充電電流量と、充電開始時に二次電池の持つ電流容量との合計値が二次電池の最大電流容量に到達したのか否かを判断して、到達を判断するときに、充電回路に対して充電終了指示を発行する発行手段とを備えることを、特徴とする充電制御方式。
(付記7)装置電源回路へ電力を供給する二次電池と、該二次電池の充電に使用する定電流を生成する充電回路とを備える電子機器において、二次電池に流入する充電電流を検出するためのセンス抵抗を、装置電源回路と充電回路との接続点よりも二次電池側に設けることで、該センス抵抗を使って、該二次電池からの放電電流を測定可能にする構成を採るとともに、上記センス抵抗の両端電位を入力として、この2つの入力電位の内のいずれが大きいのかを識別しつつ、この2つの入力電位の差分値に応じた電圧を発生することで充電電流及び放電電流を検出する電流測定手段を備えることを、特徴とする電子機器。
(付記A)外部電源から与えられる電力を使って負荷を駆動するとともに、該外部電力を入力として充電電流を生成する充電回路を備えて、該充電電流を使って二次電池を充電する構成を採る電子機器で用いられる充電制御装置であって、二次電池の許容する最大許容充電電流と、該二次電池に流入する充電電流との差分値を検出する手段と、外部電源の許容する最低許容出力電圧と、該外部電源の出力する出力電圧との差分値を検出する手段と、前記2つの差分値に従い、二次電池に流入する充電電流が前記最大許容充電電流を超えず、かつ、外部電源の出力する出力電圧が前記最低許容出力電圧以下に低下しない範囲で、充電回路が最大の充電電流を生成するようにと制御する手段とを備えることを、特徴とする充電制御装置。
(付記B)付記A記載の充電制御装置において、二次電池の許容する最大許容印加電圧と、該二次電池に印加される電圧との差分値を検出する手段を備え、前記制御する手段は、前記3つの差分値に従い、二次電池に流入する充電電流が前記最大許容充電電流を超えず、かつ、外部電源の出力する出力電圧が前記最低許容出力電圧以下に低下せず、かつ、二次電池に印加される電圧が前記最大許容印加電圧を超えない範囲で、充電回路が最大の充電電流を生成するようにと制御するよう処理することを、特徴とする充電制御装置。
(付記C)付記A又はB記載の充電制御装置において、前記制御する手段は、前記差分値の中に制限値をオーバーするものがあるときには、最も制限値をオーバーする差分値を特定し、制限値をオーバーするものがないときには、最もゼロ値に近い差分値を特定して、その特定した差分値がゼロ値になるようにと充電回路の生成する充電電流を制御するよう処理することを、特徴とする充電制御装置。