JP3863393B2 - 光学スクリーン用シート状部材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学スクリーン用、例えばプロジェクションテレビの透過型スクリーン用のシート状部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プロジェクションテレビの透過型スクリーンのような光学スクリーンは、通常、フレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート、フロントパネル等のシート状部材により構成されている。一般的には、フレネルレンズシートとレンチキュラーレンズシートを重ね合わせる構成が採用されており、また、近年、これらレンズシートを保護する目的から、さらにフロントパネルを重ね合わせる構成も採用されている。
【0003】
上記光学スクリーンにおいては、設置環境の温湿度変化により、シート状部材間に「浮き」と呼ばれる現象が発生して、画像の解像度を低下させる等の問題が生じることがある。この問題を解決するため、シート状部材間の密着性を高める目的で、シート状部材に反りを付与する方法が知られており、例えば、特開平11−216773号公報には、湾曲した形状になるようにシート状部材を押出成形した後、湾曲した形状を有する型の上で加熱する方法が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法では、シート状部材に反りを付与する際、寸法変化や表面形状の変形を招くことがあったり、反りの付与が不十分であったりする等、満足できるものではなく、本発明の目的は、これら問題点を解決し、寸法変化や表面形状の変形が抑制された条件で、効率的にシート状部材に反りを付与する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討の結果、シート状部材を特定の温度条件下に特定の時間熱処理することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、樹脂から構成されるシート状部材を、該樹脂の熱変形温度より5〜20℃低い温度Tにて、下記時間t以上、熱処理して、該シート状部材に反りを付与することにより、光学スクリーン用シート状部材を製造する方法に係るものである。
時間t:上記樹脂の緩和弾性率を上記温度Tにて測定したとき、該緩和弾性率が測定開始時の緩和弾性率の1/5となるまでの時間。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法に供されるシート状部材は、樹脂から構成されるものであり、該樹脂としては、通常、透明性の高い熱可塑性樹脂が用いられる。該熱可塑性樹脂としては、例えば、メタクリル酸メチル重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン−ブタジエン共重合体のようなアクリル系樹脂や、ポリカーボネート樹脂等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。これら樹脂はゴム強化されたものであってもよいし、また、光拡散剤、酸化防止剤、可塑剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の各種添加剤が目的により1種または2種以上添加されたものであってもよい。
【0008】
上記シート状部材は、プロジェクションテレビの透過型スクリーンのような光学スクリーンを構成するためのものであり、例えば、フレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート、フロントパネルのようなシート状のスクリーン構成部材や、それらを製造する際に所謂、原板として用いるシート状基材等が挙げられる。
【0009】
フレネルレンズシートとしては、例えば、キャスト成形により得られたものであってもよいし、押出成形等により得たシート状基材にプレス成形によりフレネルレンズ形状を付与したものであってもよいし、シート状基材の表面に紫外線硬化型樹脂をフレネルレンズ形状を形成するように硬化させたものであってもよい。
【0010】
また、レンチキュラーレンズシートとしては、例えば、押出成形やキャスト成形により得られたものであってもよいし、シート状基材にプレス成形によりレンチキュラーレンズ形状を付与したものであってもよいし、その表面に紫外線硬化型樹脂によりレンチキュラーレンズ形状が形成されたフィルムをシート状基材に貼合して得られたものであってもよい。
【0011】
また、フロントパネルとしては、例えば、押出成形やキャスト成形により得られたものであってもよいし、さらにハードコートや低反射コート等の表面処理が施されたものであってもよい。
【0012】
さらに、上記フレネルレンズ用のシート状基材(フレネルレンズ原板)やフロントパネルには、表面マット、プリズム、レンチキュラーレンズ、リニアーフレネルレンズ等の表面加工が施してあってもよい。
【0013】
上記シート状部材を、所望の湾曲形状を有する反り台の上に置く等して、熱処理することにより、該シート状部材に反りを付与することができる。シート状部材を反り台の上に置く場合、必要により複数枚積層してもよく、これにより一度に複数枚のシート状部材を熱処理することができるが、一方で枚数があまり多いと熱伝導性が低下することから、その枚数は適宜調整される。また、熱処理方法としては、例えば、熱風オーブン等の中で熱風をシート状部材に吹き付ける方法や、赤外線ヒーターを用いてシート状部材を加熱する方法等が挙げられる。
【0014】
上記熱処理は、シート状部材を構成する樹脂の熱変形温度より5〜20℃低い温度Tにて、下記時間t以上、行われる。
時間t:シート状部材を構成する樹脂の緩和弾性率を上記温度Tにて測定したとき、該緩和弾性率が測定開始時の緩和弾性率の1/5となるまでの時間。
【0015】
熱処理温度Tが、樹脂の熱変形温度−5℃を越えると、シート状部材の寸法変化やレンズ形状等の表面形状の変形を招きやすく、熱処理温度Tが樹脂の熱変形温度−20℃未満であると、所望の反りを付与するのに長時間を要し、生産性が十分でない。また、熱処理時間がt未満であると、そりの付与が不十分となる。
【0016】
樹脂の熱変形温度は、JIS K7202またはASTM D648に規定された試験方法により測定することができる。また、樹脂の緩和弾性率は、(株)化学同人発行の高分子化学序論(第1版)154〜156頁に記載されているように、種々の温度における緩和弾性率を測定し、時間−温度の重ね合わせにより、ある基準温度での緩和弾性率の合成曲線を作成することにより、求めることができる。
【0017】
以上のようにして製造されるシート状部材は、寸法変化や表面形状変化が抑制された方法により、所望の反りが付与されており、光学スクリーンの構成部材やその基材として好適に用いられる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、アクリル樹脂としては、熱変形温度100℃の耐衝撃アクリル樹脂[住友化学工業(株)製、スミペックスB HT018E]を用いた。
【0019】
(緩和弾性率の測定)
アクリル樹脂を、3本ロールを介したスクリュー径40mmの押出機[田辺プラスチックス機械(株)製]を用い、樹脂温度260℃にて、厚さ2mmの樹脂シートに押出成形した。得られたシートから5mm×45mmのサンプルを切り出し、このサンプルについて、粘弾性測定装置[レオメトリックス社製、RDA−2]を用い、70℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃の各温度にて、初期歪み1%で緩和弾性率を測定した。測定開始時の緩和弾性率は700MPaであった。
【0020】
これらの測定値をもとに、80℃を基準温度とする緩和弾性率の合成曲線を作成した。その結果、各換算時間における緩和弾性率は、0.001秒で700MPa、1000秒で400MPa、10000秒で200MPa、20000秒で140MPa、70000秒で70MPa、であった。また、各温度における移動係数は、70℃で20、80℃(基準温度)で1、85℃で0.2、90℃で0.05、95℃で0.008、100℃で0.0008、であった。したがって、各温度における緩和弾性率が測定開始時の緩和弾性率の1/5となるまでの時間は、70℃で400000秒(20000秒×20)、80℃(基準温度)で20000秒、85℃で4000秒(20000秒×0.2)、90℃で1000秒(20000秒×0.05)、95℃で160秒(20000秒×0.008)、100℃で16秒(20000秒×0.0008)、となる。
【0021】
(シート状部材の作成)
アクリル樹脂を、3本ロールを介したスクリュー径150mmの押出機[日立造船(株)製]を用い、樹脂温度265℃にて、厚さ1.8mm、幅900mm、長さ1200mmの樹脂シートに押出成形した。得られたシートから、75cm(押出成形時の幅方向)×30cm(押出成形時の長さ方向)のサンプルを切り出し、シート状部材を得た。該シート状部材を、長辺が水平になり短辺が垂直になるように、一方の長辺の中心部分を支持して吊り下げ、長辺方向の反り量(反りの最大深さ)を測定したところ約6mmであった。
【0022】
実施例1
上記シート状部材を、図1に示すような、75cm×30cmのベニヤ板からなり、長辺方向の反り量が15mmである凹状の載置面を有する反り台1の上に、該シート状部材の凸面を下に向けて静置し、90℃の熱風乾燥機に30分間入れ、熱処理を行った。室温に冷却後、上記と同様に長辺方向の反り量を測定した結果、該反り量は15mmであり、反り台と同じ反り量を付与することができた。前記緩和弾性率の合成曲線と移動係数から求められる90℃、30分(1800秒)の緩和弾性率は、100MPaであり(実測値と同)、これは測定開始時の緩和弾性率の14%である。
【0023】
比較例1
熱処理を、85℃の熱風乾燥機に15分間入れて行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。長辺方向の反り量は、7mmであり、熱処理による反り量の増加はわずかであった。前記緩和弾性率の合成曲線と移動係数から求められる85℃、15分(900秒)の緩和弾性率は、300MPaであり(実測値と同)、これは測定開始時の緩和弾性率の42%である。
【0024】
比較例2
熱処理を、80℃の熱風乾燥機に60分間入れて行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。長辺方向の反り量は、8.5mmであり、熱処理による反り量の増加はわずかであった。前記緩和弾性率の合成曲線と移動係数から求められる80℃、60分(3600秒)の緩和弾性率は、290MPaであり、これは測定開始時の緩和弾性率の41%である。
【0025】
【発明の効果】
本発明によれば、寸法変化や表面形状の変形が抑制された条件で、所望の反りを有する光学スクリーン用シート状部材を製造することができ、光学スクリーンにおける「浮き」発生による画像解像度の低下等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いた反り台を全体的に示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1・・・反り台
Claims (1)
- 樹脂から構成されるシート状部材を、該樹脂の熱変形温度より5〜20℃低い温度Tにて、下記時間t以上、熱処理して、該シート状部材に反りを付与することを特徴とする光学スクリーン用シート状部材の製造方法。
時間t:上記樹脂の緩和弾性率を上記温度Tにて測定したとき、該緩和弾性率が測定開始時の緩和弾性率の1/5となるまでの時間。
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