JP3862853B2 - グランドパッキンおよびその製造方法 - Google Patents
グランドパッキンおよびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3862853B2 JP3862853B2 JP10010698A JP10010698A JP3862853B2 JP 3862853 B2 JP3862853 B2 JP 3862853B2 JP 10010698 A JP10010698 A JP 10010698A JP 10010698 A JP10010698 A JP 10010698A JP 3862853 B2 JP3862853 B2 JP 3862853B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- expanded graphite
- ring
- tape
- gland packing
- packing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Sealing Devices (AREA)
- Sealing Material Composition (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルブ等の機器のスタフィンボックス内に装填し、バルブステムからの流体の漏れを防止する等の用途に使用されるリング状グランドパッキンの改良とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、バルブステムあるいは回転軸(以下、軸と称する)からの漏れを防止するために使用するパッキンとしては、石綿繊維やカーボン繊維等の耐熱繊維を八編み、袋編みあるいは格子編み等に編組し、潤滑剤等を含浸させるか表面処理を行うかした、いわゆる編組パッキンが多く使用されていた。かかる編組パッキンは、耐熱性・耐薬品性・耐磨耗性等が優れているために現在でも広く使用されているが、近時、環境問題に対する意識の高まり等から微少な漏れも問題とされるようになり、シール性の良い膨張黒鉛を主原料として用いるパッキン(以下、膨張黒鉛系パッキンと称する)が使用されるようになってきた。
【0003】
前記膨張黒鉛系パッキンには種々のタイプがあるが、最も一般的なものは、テープモールド式といわれ、膨張黒鉛製シートを所定の幅にスリットして得たテープ状素材を成形用金型内に渦巻き状または同心円状に配置した後、これを縦方向に加圧成形して得られたリング状グランドパッキンである。
【0004】
また、別の成形方法としては、ラミネート式といわれ、膨張黒鉛製シートをリング状に打ち抜いたリング状素材を成形用金型内に所定枚数積層し、これを縦方向に加圧成形する方法があり、その他にこれらを組み合わせた方法など数多くのリング状膨張黒鉛系パッキンの製造方法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の膨張黒鉛系パッキンのうち、テープモールド式により成形されたリング状グランドパッキンでは、図4に示すように、膨張黒鉛製テープ1の間に形成される微少な隙間(層間)から流体fの浸透漏れが発生するという欠点があり、ラミネート式により成形されたリング状グランドパッキンでは、図5に示すように、パッキンに締め付け荷重を与えたときの径方向への圧力(側圧)が少ないうえに、パッキン自体の径方向への変形が小さく軸に対する密着力が弱いため、グランドパッキンと軸との間に微少な隙間が発生することが避けられず、いずれも完全に流体をシールするまでには至っていない。
【0006】
本発明の目的は、以上の問題点に鑑みてなされたもので、テープモールド式により成形される膨張黒鉛系パッキンの層間からの浸透漏れを有効に防止でき、しかも製造が容易で安価に製造できるリング状グランドパッキンを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明のリング状グランドパッキンは、膨張黒鉛製テープが渦巻き状または同心円状に立てて配置されてなり、その渦巻きまたは同心円を呈する上下面に、膨張黒鉛粒子が配置され、膨張黒鉛製テープの層間に膨張黒鉛粒子が入り込み、膨張黒鉛製テープと膨張黒鉛粒子とが一体化されていることを要旨としている。
【0008】
請求項2の発明のリング状グランドパッキンの製造方法は、成形用金型内に膨張黒鉛粒子を充填し、その上に膨張黒鉛製テープを渦巻き状または同心円状に立てて配置した後、さらにその上に膨張黒鉛粒子を充填して、これを縦方向に加圧成形することを要旨としている。
【0009】
本発明の製造方法は、例えば図3に示すように、成形用金型のポット11内にシート化される以前の膨張黒鉛粒子2′を充填し、その上に例えば厚さ0.38mm、幅16mmの膨張黒鉛製テープ1を渦巻き状に巻回して入れ、さらにその上に膨張黒鉛粒子2を充填して、これを押し型ポンチ12で加圧成形すれば、図1に示すようなリング状グランドパッキンが得られる。
【0010】
図1に示されるリング状グランドパッキンAは、膨張黒鉛製テープ1が渦巻き状または同心円状に配置されてなり、その渦巻きまたは同心円を呈する上下面に膨張黒鉛粒子2,2′が強固に一体化されているのである。
【0011】
本発明に使用する膨張黒鉛粒子2,2′は、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、熱分解黒鉛等高度に結晶構造が発達した黒鉛を濃硫酸と硝酸との混酸または濃硫酸と過マンガン酸カリウムとの混酸など強酸化性の処理液で酸処理して黒鉛層間化合物を生成させ、これを水洗してから急激に加熱して黒鉛結晶のC軸方向に膨張処理して得られる。
【0012】
【作用】
本発明者らは、テープモールド式により成形された膨張黒鉛製リング状グランドパッキンの膨張黒鉛製テープ間に形成される微少な隙間(層間)を減らすために鋭意検討を行い、まず、はじめに膨張黒鉛製リング状グランドパッキンの成形密度を大きくすることを検討したが、膨張黒鉛製リング状グランドパッキンの上限密度と思われる2.0 g/cm3 まで大きくしても、完全に流体をシールするまでには至らなかった。
【0013】
次に、膨張黒鉛製シートの表面にあらかじめ液状のシール剤を塗布してから従来のテープモールド式により膨張黒鉛製リング状グランドパッキンを成形してみたが、加圧成形の圧力により塗布したシール剤が層間からはみ出し、外観が悪くなるという問題が発生した。さらに、膨張黒鉛製テープにフッ素樹脂製テープを重ね合わせ、これを渦巻き状に巻回した後、成形用金型で縦方向に加圧成形してリング状グランドパッキンを成形したところ、膨張黒鉛製テープの層間にフッ素樹脂製テープが充填され、層間からの漏れがほとんどなくなることが判明した。(特願平9-118724号参照)
ところが、このようなリング状グランドパッキンでは、比較的温度の低い使用条件では効果が発揮されるが、300 ℃を超えるような使用条件下においては、膨張黒鉛製テープの層間を充填していた樹脂が熱により焼失し、目止め効果が減少してしまうため、十分なシール性を維持することができなかった。
【0014】
そこで本発明者らは、さらに鋭意検討を行った結果、まず、成形用金型内に膨張黒鉛粒子を充填し、その上に膨張黒鉛製テープを渦巻き状または同心円状に配置した後、さらにその上に膨張黒鉛粒子を充填してこれを縦方向に加圧成形してリング状グランドパッキンを成形したところ、図2に示すように、膨張黒鉛製テープ1の層間に膨張黒鉛粒子2が入り込み、この状態で加圧成形されているために膨張黒鉛製テープ1と膨張黒鉛粒子2が強固に一体化され、層間からの漏れがほとんどなくなることが判った。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0016】
実施例1
成形用金型内に膨張黒鉛粒子を0.15g充填し、その上に厚さ0.38mm、幅16mmの膨張黒鉛製テープを渦巻き状に巻回して、さらにその上に膨張黒鉛粒子を0.15g充填して、縦方向に加圧成形してリング状(内径26mm、外径42mm、高さ8 mm)のグランドパッキンを得た。
【0017】
実施例2
成形用金型内に膨張黒鉛粒子を0.3 g充填し、その上に厚さ0.38mm、幅16mmの膨張黒鉛製テープを渦巻き状に巻回して、さらにその上に膨張黒鉛粒子を0.3 g充填して、縦方向に加圧成形してリング状(内径26mm、外径42mm、高さ8 mm)のグランドパッキンを得た。
【0018】
比較例1
厚さ0.38mm、幅16mmの膨張黒鉛製テープを渦巻き状に巻回した後、成形用金型で縦方向に加圧成形してリング状(内径26mm、外径42mm、高さ8 mm)のグランドパッキンを得た。
【0019】
上記実施例1、2および比較例1のリング状グランドパッキンPを図6に示す出願人規格の試験機3(ステム径26mm、スタフィンボックス内径42mm、スタフィンボックス深さ150 mm)にそれぞれ4 リング装着して面圧300 kgf/cm2 で締め付け、この試験機3を常温にて7 日間、さらに400 ℃で16時間加熱した後、常温まで放冷するサイクルを7 日間行い、21kg/cm2 Gのヘリウムガスを負荷したときの漏洩量を測定した。常温時および加熱サイクル時における7 日間の平均の漏洩量を表1に示す。
【0020】
なお、図6において、4は軸、5はパッキン押さえ、6は締め付けボルト、7はランタンリング、8はガス加圧口、9はガス出口である。
【0021】
【表1】
【0022】
表1に示す如く、本発明による実施例1、2で得られたリング状グランドパッンは、比較例1の膨張黒鉛製リング状グランドパッキンに比べて常温時および加熱後の漏れが減少していることが確認された。
【0023】
なお、今回の実施例はいずれも表面処理剤などを使わずに使用しているが、使用目的に応じてはリング成形前後に通常パッキンに用いられるタービン油等の鉱油系潤滑剤、シリコーンオイル、フッ素オイル、パラフィンワックス等の潤滑剤や二硫化モリブデン、窒化ホウ素等の固体潤滑剤を処理しても差し支えない。また、膨張黒鉛製テープ間に金属製メッシュ等をはさみ、取り出し性を向上させたものが本発明に含まれることは言うまでもない。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によるリング状グランドパッキンは、従来の膨張黒鉛製リング状グランドパッキンと比較して、上下面にある膨張黒鉛粒子により膨張黒鉛製シートの層間に生じる微少な隙間から生じる漏れがなく、極めて良好なシール性を保持していることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリング状グランドパッキンを半分に裁断したものの斜視図である。
【図2】本発明のリング状グランドパッキンの断面部分拡大図である。
【図3】本発明のリング状グランドパッキンの成形用素材を投入した成形用金型の断面図である。
【図4】従来の膨張黒鉛製リング状グランドパッキンを半分に裁断したものの斜視図である。
【図5】従来の他の膨張黒鉛製リング状グランドパッキンを半分に裁断したものの斜視図である。
【図6】グランドパッキン試験機を示す断面図である。
【符号の説明】
1 膨張黒鉛製テープ
2,2′ 膨張黒鉛粒子
A リング状グランドパッキン
M メタルリング
f 流体
P 供試用リング状グランドパッキン
H ヘリウムガス
3 試験機本体
4 軸
5 パッキン押さえ
6 締め付けボルト
7 ランタンリング
8 ガス加圧口
9 ガス出口
Claims (2)
- 膨張黒鉛製テープが渦巻き状または同心円状に立てて配置されてなり、その渦巻きまたは同心円を呈する上下面に、膨張黒鉛粒子が配置され、膨張黒鉛製テープの層間に膨張黒鉛粒子が入り込み、膨張黒鉛製テープと膨張黒鉛粒子とが一体化されていることを特徴とするリング状グランドパッキン。
- 成形用金型内に膨張黒鉛粒子を充填し、その上に膨張黒鉛製テープを渦巻き状または同心円状に立てて配置した後、さらにその上に膨張黒鉛粒子を充填して、これを縦方向に加圧成形することを特徴とするリング状グランドパッキンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10010698A JP3862853B2 (ja) | 1998-03-27 | 1998-03-27 | グランドパッキンおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10010698A JP3862853B2 (ja) | 1998-03-27 | 1998-03-27 | グランドパッキンおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11279532A JPH11279532A (ja) | 1999-10-12 |
JP3862853B2 true JP3862853B2 (ja) | 2006-12-27 |
Family
ID=14265142
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10010698A Expired - Fee Related JP3862853B2 (ja) | 1998-03-27 | 1998-03-27 | グランドパッキンおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3862853B2 (ja) |
-
1998
- 1998-03-27 JP JP10010698A patent/JP3862853B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11279532A (ja) | 1999-10-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4629199A (en) | Vortex gasket with composition for high-temperature and high-pressure application | |
US4826181A (en) | Seal utilizing composites of flexible graphite particles and amorphous carbon | |
JP5031659B2 (ja) | 複合ガスケット | |
US5225379A (en) | Composites of flexible graphite particles and amorphous carbon | |
EP0352608A2 (en) | Fabrication of reinforced PTFE gasketing materials | |
JPH07217745A (ja) | パッキンリングの構造とその製造方法並びにそれを用いたシール装置 | |
CN112876256B (zh) | 干式冷等静压成型法制备薄壁碳化硅管材的工艺及模具 | |
JP3862853B2 (ja) | グランドパッキンおよびその製造方法 | |
JP3862855B2 (ja) | グランドパッキンおよびその製造方法 | |
JP2013221602A (ja) | シール部材並びにその製造方法 | |
JP5714964B2 (ja) | 渦巻形ガスケット | |
CN112219048B (zh) | 用于密封件的层复合材料 | |
JP5335972B2 (ja) | 複合ガスケット | |
EP0334589B1 (en) | Flexible carbon seal ring with an amorphous carbon phase on its sealing | |
JPS5843631B2 (ja) | 黒鉛質ガスケット材 | |
JP2594175B2 (ja) | うず巻形ガスケット | |
JP2000170921A (ja) | リング状グランドパッキン | |
JPH10299903A (ja) | リング状グランドパッキン及びその製造方法 | |
JP3163562B2 (ja) | うず巻形ガスケットの製造方法 | |
RU2186273C1 (ru) | Способ изготовления плоской уплотнительной прокладки | |
JPH08200513A (ja) | 膨張黒鉛製グランドパッキンおよびその製造方法 | |
JPH1122828A (ja) | グランドパッキンおよびその製造方法 | |
JP3732975B2 (ja) | 渦巻形ガスケット | |
Latte et al. | Industrial gaskets | |
EP1375984A1 (en) | Seal |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050603 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050614 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050810 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060926 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060927 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |