JPS5843631B2 - 黒鉛質ガスケット材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は同一製品中で密度の異なる部分を有する黒鉛質
ガスケット材に関する。

内燃機関はシリンダヘッド、シリンダブロックオイルパ
ン等の主要構造物から構成されており、シリンダへラド
ガスケットはシリンダヘッド、シリンダブロックのシー
ル材として使用される。

従来のシリンダへラドガスケットは燃焼室内の高圧燃焼
ガス洩れ、また油穴、水穴の漏洩防止のためにグロメッ
トと呼ばれる金属の薄板を各穴周辺にハト目状に取付け
、締付時に穴周辺を高面圧にして漏洩防止をしていた。

しかし実使用時においては、シリンダヘッドとシリンダ
ブロックに熱膨張差が生ずるためにガスケット材表面で
スベリ現象が生ずる。

金属グロメット付ガスケット材はグロメット上が高面圧
になるため、ここでスベリ現象がおこり大きな剪断力と
して作用し割れ欠は等の異状現象を引き起こし、これが
原因となりガス洩れにつながるといった欠点を有してい
る。

本発明の目的は金属グロメットを用いずに補強芯材部以
外は摺動特性に優れた圧縮復元性を有する黒鉛質ガスケ
ット材を用い燃焼室周辺、水穴、油入周辺を生産性に優
れた方法で高密度とすることより、締付時にこの部分を
高面圧とし洩れを防止するとともに熱膨張差による摺動
の不具合もなく極めて良好な性能を有するガスケット材
を生産性よく提供することにある。

本発明は金網又は突起を有する金属製補強板の高面圧を
必要とする部分にガスケット材と同一の材質のタブレッ
トを配し、次いで金網又は突起を有する金属製補強板の
両側に所定の材料を一体成形してなる部分的に密度差を
もたせた黒鉛質ガスケット材吟関する。

なお本発明においてガスケット材の高面圧を必要とする
部分は燃焼室、水穴、油入周辺等である。

本発明におけるガスケット材の材料としては、天然黒鉛
、キッシュ黒鉛、熱分解黒鉛など高度に結晶構造の発達
した黒鉛を濃硫酸と硝酸の混液、または濃硫酸と過マン
ガン酸カリウムの混液なと強酸化性の処理液で酸処理し
て黒鉛層間化合物を生成させ水洗してから急速加熱して
黒鉛結晶のＣ軸方向に膨張処理をした虫状形で圧縮復元
性を有する黒鉛粒子が使用される。

この黒鉛粒子は冷間加圧することでシート状、リング状
などに成形される。

成形体はまた厚み方向の中央に金網又は突起を有する金
属製補強板を介してこの両側に一体成形することもでき
る。

こうした成形体は圧縮復元性があり、かつ気密漏洩性、
耐クリープ性、耐熱性、摺動性などガスケット材として
極めて優れた性能を有する。

以下本発明の詳細を図面により説明する。

本発明においては先ず第１図に示したような燃焼室、油
入、水穴などの周辺を高密度にする必要のある部分と同
一形状をもつガイドピン２をたてた金型を用意する。

次にこの金型に黒鉛粒子を所定量投入して加圧し、見掛
密度が０．１〜１．５ｆＩ／ｃｒ／Ｌとなるような成形
体５とするか、またはあらかじめ見掛密度が０．５〜１
．５ｆｔ／ｄのシート状に成形したものを成形体５のよ
うな形状に打抜いてから金型に投入する。

次に０．５〜１．５ｆＩ／ｄの見掛密度を有する黒鉛粒
子の成形体または打抜品のタブレット６を高密度にする
部分に設置したのち、その上に所定の形状に打抜き加工
し、両側に突起をもつ金属製補強板７を設置し、さらに
必要に応じてこの上にタブレット６を設置する。

次に黒鉛粒子８を所定量均一に金型に投入し加圧一体成
形するか、成形体５または打抜品を投入し加圧一体成形
することにより第３図に示す部分的に高密度となったガ
スケット成形体が得られる。

このガスケット成形体は高密度部９と基材部１０との間
に密度差を有しこの密度比はタブレット６０条件により
自由に設定できる。

一般的には１．１〜２．０倍程度の密度差が好ましい。

こうして得られたガスケット材を内燃機関にとりつけ所
定のトルクで締め付けると高密度部９は基材部１０に比
し高面圧となり燃焼時の高圧ガス、油水をよくシールす
ることができるとともに摺動部表面が全黒鉛質であるこ
とから摺動抵抗も少なく、金属グロメットガスケットに
発生する割れ欠けなどの不具合もなく良好なガスケット
性能を発揮する。

以下本発明の詳細な説明する。

実施例 １ 固定炭素分９７％で４８メツシユにピークを有するソ連
産黒鉛天然鱗片状黒鉛１００ｒを９５％硫酸３００ｔと
６２％硝酸１００Ｓ’の混酸中にて２時間処理した後水
洗し、約８００℃の炉中で２分間加熱膨張処理を行ない
圧縮復元性を有する黒鉛粒子（膨張黒鉛）を得た。

次に直径１０１００ｉφ）の燃焼室２コを有する第１図
に示すような金型外枠１、ガイドピン２、金型下板３お
よび金型押型４を有するディーゼルエンジン用ガスケッ
トの金型を作成した。

第１図における下部成形体５は前記黒鉛粒子を金型に投
入し均一にならしたあと面圧約５０に９／ｃＩＩＬをか
げ密度約１．０ｆ／ｆｆｌ厚み約０．９ ｍｍの成形体
とした。

次に黒鉛粒子を密度１．０５’／ｃｒ／ｌ厚みＱ、２５
ｍｍに成形したシートから外径１１０ｍｍφ）、内径ｔ
ｏｏｉｍ（φ）のリング状の打抜き品を作成し、高密度
付与タブレット６とした。

これを燃焼室ガイドピン２を中心として下部成形体５に
設置した。

次に厚板０．２ｍｍのＳＰＣ鋼板を２．５間間隔で直径
ＬＯｍｉφ）の割り穴を上下交互にあけ爪の高さが約１
．８山になるようにした金属製補強板７を設置した。

次に前記タブレット６を金属製補強板Ｔ上に置いてから
下部成形体５と同重量の黒鉛粒子８を金型に投入し約２
５ Ｑｋｙ／ｉの面圧で全体厚みが１．５間になるよう
に一体成形した。

こうして得られた成形体は高密度部９が密度１．７７
ｆ／ＣＩ！、基材部１０は１．３８ ？／ｃｒｌの密度
となり、このガスケット材を締付け、全体の厚みが１．
４皿になった場合、高密度部の面圧は３５０ｋｇ／ｃＩ
／１１基材部は１２０ｋｇ／ｃｒＡとなることが実験的
な裏付げにより確認された。

また感圧紙を用い実際に締付は面圧を確認したところほ
ぼ前記面圧になることを確認した。

また本ガスケット材を実機エンジンに取付は負荷４／４
で１００時間耐久試験を行なったところ、漏れの発生も
なく良好なガスケット性能を示した。

本発明になるガスケット材は粒子からの成形方法、シー
ト打抜き品を用いる方法、または両者の組み合わせによ
る方法によっても製造でき、生産数量、形状など目的に
応じた成形方法をとることができる。

本発明になる黒鉛質ガスケット材は、従来金属グロメッ
トを用いていた高面圧を要する部分をガスケット基材部
と同材質の膨張黒鉛のタブレットを用いて高密度化した
ので燃焼時の高圧ガス等の漏洩防止を十分にし、摺動部
表面が全黒鉛質であることから摺動抵抗も少なく上記高
面圧を要する部分の割れ欠は等の不具合を生じない。

また粉末成形法であれば燃焼室形状の大きいもの、燃焼
室数の多いものなどは、その部分の材料が不要となるた
め大幅な材料の節約が可能になるといった利点を有する
。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明になる黒鉛質ガスケット材の製法を示す
略図、第２図は金属製補強板上に高密度にするためのタ
ブレットを設置した状態図および第３図は本発明になる
黒鉛質ガスケット材の断面図を示す。 符号の説明、１・・・・・・金型外枠、２・・・・・・
ガイドピン、３・・・・・・金型下板、４・・・・・・
金型押型、５・・・・・・成形体、６・・・・・・タブ
レット、７・・・・・・金属製補強板、８・・・・・・
黒鉛粒子、９・・・・・・高密度部、１０・・・・・・
基材部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金網又は突起を有する金属製補強板の高面圧を必要
   とする部分にガスケット材と同一の材質のタブレットを
   配し、次いで金網又は突起を有する金属製補強板の両側
   に所定の材料を一体成形してなる部分的に密度差をもた
   せた黒鉛質ガスケット材。