JP2013221602A - シール部材並びにその製造方法 - Google Patents

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【課題】配管に挟まれた場合でも一定の締付力を確保しやすくすると共に、耐熱性・耐化学薬品・耐溶剤性が高いシール部材であって、薄い平板状のシール部材の製造方法を提供する。
【解決手段】 所定金属材料であって所定線径よりなる金属製細線によって編成された編成体を、パッキン厚さよりも厚い第1の厚みに圧縮する工程(S102)と、第1の厚みの金属細線製編成物に、所定の平均粒径の微細粒子よりなるスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含む流動体を充填させる工程(S104)と、流動体の充填された金属細線製編成物を、パッキン厚さに対応する第2の厚みに圧縮する工程(S106)と、パッキン厚さに圧縮された金属細線製編成物に充填された流動体を固化させる工程(S108)と、を含むことを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、編成された金属製細線を芯材とし、これを微細粒子よりなる無機質鉱物と一体に成形したシール部材並びにその製造方法に関する。さらに詳しくは、自動車用エンジンの排気管に接続される排気管継手のように高温に晒される環境や、半導体製造工場のように腐食性の高いガスや、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書に定められた特定フロン、ハロン、四塩化炭素、その他の代替フロン等を取扱う配管の継手に用いて好適なシール部材並びにその製造方法に関する。
自動車用エンジンには、排気ガスを触媒装置や消音器を通して大気中に放出する排気管が接続されている。この排気管の途中には、エンジンの振動を触媒装置や消音器に直接伝えないようにすべく、継手部が設けられている。この継手部には、シール部材としてのガスケットが組み込まれており、継手部からの排気ガスの漏洩を防止している。このような継手部には、例えば特許文献1に示すように、球状継手部のガスケットとして、SUS304のようなオーステナイト系ステンレス鋼製の細線編成体に無機質の耐熱充填材を充填し、耐熱潤滑材で被覆されたものが提案されている。
他方、オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書(Montreal Protocol on Substances that Deplete the Ozone Layer)により、特定フロン、ハロン、四塩化炭素などは、先進国では1996年までに全廃し、その他の代替フロンも先進国は、2020年までに全廃することが求められている。そして、代替フロンは、冷房装置や冷凍機の冷媒として用いられているので、その漏洩を確実に防止する必要がある。そこで、特許文献2では、金属やセラミックス等の冷媒不透過性材料の繊維なる織物より形成されたコアと、このコアの表面にエラストラマ層とよりなるシール材料を提案している。
また、半導体製造工場のように、フッ素ガスのような腐食性の高いガスや、シランガスのような爆発性ガスを用いている場合にも、配管を接続するガスケットのシール性は重要である。そこで、特許文献3では、エンドレス化した金属コイルスプリングの外周にエラストラマが一体的に積層されたものが提案されている。これにより、一定の締付力を確保しやすくすると共に、耐化学薬品や耐溶剤性を富ましている。
しかしながら、配管の継手に用いられる一般的なシール部材においては、配管内部を流れる流体の漏洩を確実に防止しつつ、薄く平板状の形状であることが望ましい。この点、特許文献1のものはオーステナイト系ステンレス鋼を用いているが、薄い平板状の形状を確保するのに適さないという課題がある。
特許文献3のものも、金属コイルスプリングを用いているため、コイルの直径より薄い平板状の形状を確保することが出来ないという課題がある。更に、特許文献2のものも、冷媒不透過性材料の繊維なる織物より形成されたコアにエラストラマを含浸しているが、金属やセラミックス等の織物は隙間が大きく、この隙間を埋めるエラストラマの耐熱性はゴム材料の耐熱性で制限される。例えば、Oリング用一般ゴム材料の使用流体に応じた使用温度の上限は、例えばJIS B2410、ISO 3601−5に規定されており、ニトリルゴムを用いると作動油中の最高連続運転温度は100℃程度であり、またゴム材料の中では耐熱性が最も大きいフッ素ゴムでも150℃に限られるという課題がある。そこで、配管内部を流れる流体の温度が160℃以上の高温になる場合には、エラストラマ単体では流体の漏洩を確実に防止することが困難であるという課題がある。
特開2002−267019号公報 特開2009−115127号公報 実公平5−34381号公報
本発明は、上記の課題を解決したもので、配管に挟まれた場合でも一定の締付力を確保しやすくすると共に、耐熱性・耐化学薬品・耐溶剤性が高いシール部材であって、薄い平板状のシール部材並びにシール部材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明のシール部材は、上記課題を解決するもので、例えば図1に示すように、編成された金属製細線を芯材とし、当該金属製細線の編成物を微細粒子よりなる無機質鉱物と一体に成形したシール部材であって、無機質鉱物が、スメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含むと共に、無機質鉱物が金属の編成物に充填された状態であることを特徴とする。
このように構成された本発明のシール部材において、金属の編成物は、金属の細線製であるため、シール部材に必要とされる耐熱性・耐化学薬品・耐溶剤性を有すると共に、シール部材を薄い平板状に加工することが容易にできる。無機質鉱物はスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含むので、経年変化が少なく、長期間に渡って優れた止水効果を発揮する。無機質鉱物が金属の編成物に充填された状態であるので、流体の不透過性について高い信頼性を確保できる。
好ましくは、本発明のシール部材において、金属製細線はステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニュウム、アルミニュウム合金の少なくとも一種を含む金属製であり、金属製細線の線径が0.01〜2.0mmであり、好ましくは0.1〜0.5mmであり、特に好ましくは0.2〜0.35mmである。線径が0.012〜0.02mmmm以下の金属製の細線は、金属繊維と呼ばれる区分となり、金属製細線の線径に代えて、糸番手やテックス、デニールのような繊維の単位系が用いられる場合もある。ここで、ステンレス鋼には、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼の組成を有するものが含まれる。銅合金には、黄銅、青銅、白銅、洋白、キュプロニッケル、ベリリウム銅などが含まれ、銅に亜鉛や鉛、錫、アルミ、ニッケルなどを単独もしくは複数組み合わせてある銅合金が含まれる。アルミニュウム合金には、アルミ銅マグネシウム合金、アルミマンガン合金、アルミマグネシウム合金、アルミマグネシウムシリコン合金、アルミ亜鉛マグネシウム合金、アルミリチウム合金等が含まれる。アルミニュウム合金の表示には、数字4桁の国際アルミニウム合金名が用いられる。
ベントナイトは微粒子であって、金属の編成物の隙間に万遍なく充填されるものがよく、例えばベントナイトの平均粒径は、例えば0.2〜20μmであるとよく、又は金属製細線の線径の1/1000乃至1/2の範囲が良い。金属細線製の編成体として、線径を0.01mmより細い繊維状とすると、金属細線製とは異なる金属繊維の範疇となり、金属繊維単体での剛性が大きく低下する。金属繊維では、糸状態での取引もあるが、クロス、ニット、フェルト等の糸を面状に織物加工した状態で取引される場合が多い。線径が2.0mmより太いと、金属製細線の隙間が大きくなり充填材となるスメクタイト又はベントナイト、若しくは樹脂又はゴムとの相互関係が粗くなる。また、スメクタイト又はベントナイトの平均粒径は0.2〜20μmであり、あるいは金属製細線の線径の1/1000乃至1/2の範囲であるため、金属の編成物の隙間に均一な分布状態で分布する状態となる。
本発明のシール部材の製造方法は、例えば図2に示すように、所定金属材料であって所定線径よりなる金属製細線によって編成された編成体を、パッキン厚さよりも厚い第1の厚みに圧縮する工程(S102)と、第1の厚みの金属細線製編成物に、所定の平均粒径の微細粒子よりなるスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含む流動体を充填させる工程(S104)と、流動体の充填された金属細線製編成物を、パッキン厚さに対応する第2の厚みに圧縮する工程(S106)と、パッキン厚さに圧縮された金属細線製編成物に充填された流動体を固化させる工程(S108)と、を含むことを特徴とする。ここで、所定金属材料は、上述のステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニュウム、アルミニュウム合金の少なくとも一種を含む金属材料をいい、所定線径は、上述の0.01〜2.0mmであり、好ましくは0.1〜0.5mmであり、特に好ましくは0.2〜0.35mmをいう。
このように構成された本発明のシール部材の製造方法において、金属製細線を編成体に編成して、パッキン厚さよりも厚い第1の厚みに圧縮することで、金属製細線間の隙間が大きな状態となる。この第1の厚みの金属細線製編成物に、所定の平均粒径の微細粒子よりなるスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含む流動体を充填させると、金属製細線間の隙間が大きいので、万遍なくスメクタイト又はベントナイトが行き渡る。次に、流動体の充填された金属細線製編成物をパッキン厚さに圧縮することで、万遍なくスメクタイト又はベントナイトが行き渡った状態であって、かつパッキン厚さに対応する第2の厚みの金属細線製編成物が得られる。金属細線製編成物に充填された流動体を固化させることで、第2の厚みに圧縮された金属細線製編成物よりなるシール部材が得られる。
好ましくは、本発明のシール部材の製造方法において、流動体は、ベントナイトと水を含んで撹拌されたチクソトロピックな分散液であり、流動体を固化させる工程は、流動体を、チクソトロピー現象により金属細線製編成物の内部及び周囲で固化させて、乾燥加熱処理することを含むとよい。ベントナイトは粘土であるため、乾燥加熱処理によって固化させてシール性を高めると共に、金属細線製編成物で補強することができる。
好ましくは、本発明のシール部材の製造方法において、流動体は、樹脂又はゴムの少なくとも一方を含むと共に、さらにベントナイトと水を含んで撹拌されたチクソトロピックな分散液であり、流動体を固化させる工程は、流動体を、チクソトロピー現象により金属細線製編成物の内部及び周囲で固化させて、乾燥加熱処理すると共に、樹脂又はゴムを固化させることを含むとよい。ベントナイトは粘土であるが、平均粒径が微細であるため、流動体を構成する樹脂又はゴムに均一に分散する。そこで、樹脂又はゴムを固化する場合に、ベントナイトも乾燥加熱処理によって固化させて、ベントナイトを樹脂又はゴムと一体化してシール性を高めると共に、金属細線製編成物で補強することができる。
好ましくは、本発明のシール部材の製造方法において、ベントナイトが有機ベントナイトであり、流動体は、樹脂又はゴムの少なくとも一方を含むと共に、さらに当該有機ベントナイトと有機溶媒を含んで撹拌されたチクソトロピックな分散液であり、流動体を固化させる工程は、流動体を、チクソトロピー現象により金属細線製編成物の内部及び周囲で固化させて加熱処理すると共に、樹脂又はゴムを固化させることを含むとよい。ベントナイトが有機ベントナイトであれば有機溶媒に溶けるので、水を用いることなく樹脂又はゴムと一体化してシール性を高めると共に、金属細線製編成物で補強することができる。
本発明のシール部材は、上記課題を解決するもので、例えば図3に示すように、編成された金属製細線を芯材とし、当該金属製細線の編成物が無機質鉱物を含む流体不透過性シート部材(35、36、37、38)で被覆する状態に成形されたシール部材であって、金属の編成物が、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニュウム、アルミニュウム合金の少なくとも一種を含む金属よりなる細線製であり、無機質鉱物が、スメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含むことを特徴とするものである。
このように構成された本発明のシール部材において、金属製細線の編成物が無機質鉱物を含む流体不透過性シート部材で被覆する状態に成形されているので、無機質鉱物を金属の編成物に充填された状態とする場合と比較して、シール部材が軽量化されると共に、金属製細線の編成物の厚み方向の伸縮性が高まる。
本発明のシール部材の製造方法は、例えば図4に示すように、所定金属材料であって所定線径よりなる金属製細線によって編成された編成体を、流体透過性圧縮成形体15の厚さに圧縮する工程(S202)と、流体透過性圧縮成形体の厚みの金属細線製編成物の表面を、所定の平均粒径の微細粒子よりなるスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含む流体不透過性シート部材で覆う工程(S204)と、流体不透過性シート部材で覆われた金属細線製編成物を、流体透過性圧縮成形体15の厚さからパッキン厚さに対応する厚みにすると共に、当該金属細線製編成物と流体不透過性シート部材を一体化させる工程(S206、S208)とを含むことを特徴とする。
このように構成された本発明のシール部材の製造方法において、金属製細線を編成体に編成して、パッキン厚さ又はこれよりも僅かに厚い流体透過性圧縮成形体の厚みに圧縮することで、シール部材の目標とする厚みに近い状態となる。この流体透過性圧縮成形体の厚みの金属細線製編成物の表面を、所定の平均粒径の微細粒子よりなるスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含む流体不透過性シート部材で覆うと、金属細線製編成物の表面が流体不透過性シート部材で覆われて、シール部材の基本性能が獲得される。次に、金属細線製編成物を、流体透過性圧縮成形体15の厚さからパッキン厚さに対応する厚みにすることで、流体不透過性を有するパッキン厚さ相当の金属細線製編成物が得られる。パッキン厚さ相当に圧縮された金属細線製編成物と流体不透過性シート部材を一体化させることで、封止性能を永続的に獲得した状態のシール部材が得られる。
本発明のシール部材の製造方法において、金属製細線を編成体に編成して、次にパッキン厚さよりも厚い第1の厚みに圧縮し、続いてスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含む流動体を充填させているので、金属製細線間の隙間が大きくなり、万遍なくスメクタイト又はベントナイトが行き渡る。次に、流動体の充填された金属細線製編成物をパッキン厚さに圧縮して、金属細線製編成物に充填された流動体を固化させることで、シール部材で必要とする厚みに圧縮された金属細線製編成物よりなるシール部材が得られる。
本発明のシール部材において、金属細線製の編成物を芯材とするため、金属細線製編成物を薄い状態のパッキン厚さに容易に圧縮加工できる。また、スメクタイト又はベントナイトは無機質鉱物であるため、耐熱性・耐化学薬品・耐溶剤性が高いシール部材が得られ、配管内部を流れる流体の漏洩を確実に防止できる。ここで、無機質鉱物が金属の編成物に充填された状態とすることで、流体の不透過性について高い信頼性を確保できる。
本発明のシール部材において、金属製細線の編成物が無機質鉱物を含む流体不透過性シート部材で被覆する状態に成形されている状態とすることで、シール部材が軽量化されると共に、金属製細線の編成物の厚み方向の伸縮性が高まり、配管に挟まれた場合でも一定の締付力を確保しやすくなる。
本発明のシール部材の製造方法において、流体透過性圧縮成形体の厚みの金属細線製編成物の表面を流体不透過性シート部材で覆うので、金属細線製編成物の表面が流体不透過性シート部材で覆われて、シール部材の基本性能が獲得される。また、金属細線製編成物と流体不透過性シート部材を一体化させることで、封止性能を永続的に獲得した状態のシール部材が得られる。
本発明の一実施の形態としての金属線編成物、並びにその製造工程を説明する図である。 本発明の一実施の形態としてのガスケットシールの製造方法を説明する流れ図である。 本発明の第2の実施の形態としての金属線編成物、並びにその製造工程を説明する図である。 本発明の第2の実施の形態としてのガスケットシールの製造方法を説明する流れ図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態としての金属線編成物、並びにその製造工程を説明する図で、(a)は展開した金属細線製の金網端面を巻く状態、(b)は巻きが完了した状態の斜視図、(c)は圧縮加工を説明する断面図、(d)は圧縮加工した状態の斜視図、(e)は荒く圧縮した状態の(d)E−E方向の断面図、(f)は緻密に圧縮した状態の(d)E−E方向の断面図である。
本発明の一実施形態にかかる金属線編成物としての圧縮成形体12は、図1(d)に示すように、全体として略環状の形状を有する。金属線編成物の金属としては、例えばSUS304のようなオーステナイト系ステンレス鋼が好ましく、自動車排ガス用ではニッケルを含有しないクロム−アルミニウム系のフェライト系ステンレス鋼でもよく、化学プラントや半導体製造工場の配管継手用のガスケットではクロム系のフェライト系ステンレス鋼がでもよい。また、図1(a)に示すように、金属線編成体には、撓み性と裁断容易性とをもつ金属製細線を用いることで、シール部材の装着される所望の寸法・形状を有する圧縮成形体への加工が容易になる。金属線編成体は、これを圧縮加工して金属線編成物とする。
なお、金属線編成物としては、筒状に編成された丸編み物を圧縮した平板状体が良い。丸編み物を圧縮した平板状体とは、筒状の編み物を一方または、対向する面から、圧縮して1枚の平板状にしたものである。この平板状体は、多層構造であってもよい。この平板状体を多層構造とする製造方法としては、次のものがある。
(i)一枚の平板状体をロール状に巻き取り、筒状の多層構造とする方法。
(ii)一枚の平板状体を一定長さにプリーツ状に折り曲げて積層させた多層構造とする方法。
(iii)一枚の平板状体を一定の長さに裁断し、複数枚を重ねて多層構造とする方法。
(iv)圧縮前の丸編み物を、筒の径が小さい物を内側、大きい物を外側に積み重ねてから平板状体に圧縮して多層構造とする方法。
次に、本発明の一実施形態にかかる圧縮成形体12の製造方法について説明する。圧縮成形体12は、例えば金属線からなる平面網状体10や塊状体から製造される。金属線からなる平面網状体10には、金属線を平面的に編んだ構成のものが使用できる。金属線の編み方は特に限定されるものではなく、種々の編み方により筒状に編まれた平面網状体が適用できる。たとえば、いわゆる「メリヤス編み」により編まれた網状体が好適に適用できる。いわゆる「メリヤス編み」により編まれた平面網状体は、その端部において金属線の端切れが生じにくい。そこで、本発明の一実施形態にかかる圧縮成形体12から、金属線の端切れが分離して異物となることを防止できる。さらに、圧縮成形体12が他の部材などに触れる場合であっても、当該他の部材などにキズが付くことを防止または抑制できる。
平面網状体10から圧縮成形体12を製造する場合には、まず、図1(a)に示すように、平面網状体10を、その一端から、その外側に重ねていくように巻き上げる。そうすると、図1(b)に示すように、金属線からなる隙間が非常に多く、見掛けの密度の低い環状体11が得られる。環状体11は、具体的には、ドーナツのような形状を有する構造物である。一方、塊状体から製造される場合には、たとえば粘土細工のようにして、塊状体11を略環状に成形する。環状体11の見掛け密度は0.1g/cmから0.6g/cmの範囲が良い。環状体11の見掛け密度が0.1g/cm以下だと、金属製細線の量が不足するため、環状体11の形状保持が困難となり、圧縮加工の加工性が低下する。0.6g/cm以上だと、金属製細線の量が多く、粗圧縮成形体13との差異が小さくなる。
次に、環状体11の圧縮加圧を説明する。環状体11の圧縮加圧は、たとえば図1(c)に示すように、雌型22と雄型21とからなる成形型20を用いるとよい。圧縮成形体12は、粗圧縮成形体13、充填材充填工程、密圧縮成形体14の3工程で製造する。まず、粗圧縮成形体13は、たとえば図1(e)に示すもので、環状体11を雌型22に形成される凹部に挿入し、挿入した環状体11に雄型21を押し付けて、パッキン厚さよりも厚い第1の厚みtに圧縮して形成する。次に、充填材充填工程では、第1の厚みtの金属細線製編成物に、所定の平均粒径の微細粒子よりなるスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含む流動体を充填させる。そして、密圧縮成形体14は、たとえば図1(f)に示すもので、流動体の充填された粗圧縮成形体13を雌型22の凹部に挿入し、挿入した粗圧縮成形体13に、雄型21を押し付けて、パッキン厚さに対応する第2の厚みtに圧縮して形成する。パッキン厚さに対応する第2の厚みtとは、密圧縮成形体14を第2の厚みtとし、密圧縮成形体14と一体化して固化したスメクタイト又はベントナイト、若しくは樹脂又はゴムを含めたシール部材としての厚さが、パッキン厚さに相当する状態をいう。
圧縮成形体12は、雌型22と雄型21とにより圧縮されて塑性変形し、雌型22と雄型21との間に形成される空間の寸法および形状となる。したがって、雌型および雄型の寸法および形状を適宜設定することによって、種々の寸法および形状を有する金属線成形体が製造される。すなわち、単純な略円形の凹部が成形された雌型と、これに係合可能な雄型とを用いると、図1(d)に示すような、本発明の一実施形態にかかる圧縮成形体12が製造される。また、金型の寸法および形状を適宜設定することにより、図1(d)に示す形状に限らず、種々の寸法および形状の金属線成形体を製造することができる。
なお、圧縮時に圧縮成形体12に加える圧力は、圧縮成形体12の塑性変形の程度に応じて定めるもので、金属線の径や圧縮成形体12に持たせる機能に応じて、適宜設定される。
次に、図2を参照して、シール部材としてのガスケットシールの製造方法を説明する。まず、金属製細線を編成体に編成する(S100)。この形成には、金属線からなる平面網状体10を用いて、見掛けの密度の低い環状体11を形成する。金属製細線には、例えばS304のようなオーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。
次に、編成体11に編成された金属製細線を、パッキン厚さよりも厚い第1の厚みに圧縮する(S102)。第1の厚みtは、例えば仕上がりとなるパッキン厚さの1.5倍から3倍程度に選定する。ここでは、環状体11を圧縮して平板状体の圧縮成形体12とし、粗圧縮成形体13を形成する。粗圧縮成形体13の形成には、図1(c)に示すように、雌型22と雄型21とからなる成形型20を用いることができる。
次に、第1の厚みの金属細線製編成物としての粗圧縮成形体13に、所定の平均粒径の微細粒子よりなるスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含む流動体を充填させる(S104)。粗圧縮成形体13は第1の厚みなので、パッキン厚さよりも厚いため、金属製細線間の隙間が大きな状態となる。スメクタイト又はベントナイトの平均粒径は、鉱物資源の採掘場所にも依拠するが、0.2〜20μmがよい。平均粒径が大きすぎると、金属製細線間の隙間に入ることが困難になる。平均粒径が小さすぎると、空気を含んで凝集しやすくなり、水等の溶媒にスメクタイト又はベントナイトを均一に混和する作業に時間がかかる。
この第1の厚みの金属細線製編成物に、所定の平均粒径の微細粒子よりなるスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含む流動体を充填させると、金属製細線間の隙間が大きいので、万遍なくスメクタイト又はベントナイトが行き渡る。充填処理には、例えば真空含浸を用いる。真空含浸により、粗圧縮成形体13の空気を抜くと共に、金属製細線間の水分を蒸発させる。含浸剤であるスメクタイト又はベントナイトについては、後で説明する。
次に、流動体の充填された金属細線製編成物としての粗圧縮成形体13を、パッキン厚さに対応する第2の厚みに圧縮して、密圧縮成形体14を得る(S106)。流動体の充填された粗圧縮成形体13をパッキン厚さに対応する第2の厚みに圧縮することで、万遍なくスメクタイト又はベントナイトが行き渡った状態であって、かつパッキン厚さに対応する第2の厚みの密圧縮成形体14が得られる。
続いて、密圧縮成形体14に充填された流動体を固化させる(S108)。ここで、密圧縮成形体14は、第2の厚みに圧縮された金属細線製編成物である。密圧縮成形体14に充填された流動体を固化させることで、第2の厚みに圧縮された密圧縮成形体14よりなるシール部材が得られる。そして、シール部材の固化した流動体表面を平滑にすることで(S110)、パッキン厚さとして、ガスケットシールの形状寸法に仕上げる(S112)。
ここで、流動体は、ベントナイトと水を含んで撹拌されたチクソトロピックな分散液であり、流動体を固化させる工程は、流動体を、チクソトロピー現象により金属細線製編成物の内部及び周囲で固化させて、乾燥加熱処理することを含むとよい。ベントナイトは粘土であるため、乾燥加熱処理によって固化させてシール性を高めると共に、金属細線製編成物で補強することができる。チクソトロピー(thixotropy)とは、粘度が時間経過とともに変化することをいい、具体的には、せん断応力を受け続けると粘度が次第に低下し液状になり、静止すると粘度が次第に上昇し最終的に固体状になることをいう。
上記の流動体は、樹脂又はゴムの少なくとも一方を含むと共に、さらにベントナイトと水を含んで撹拌されたチクソトロピックな分散液であってもよい。この場合、流動体を固化させる工程は、流動体を、チクソトロピー現象により金属細線製編成物の内部及び周囲で固化させて、乾燥加熱処理すると共に、樹脂又はゴムを固化させる。ベントナイトは粘土であるが、平均粒径が微細であるため、流動体を構成する樹脂又はゴムに均一に分散する。そこで、樹脂又はゴムを固化する場合に、ベントナイトも乾燥加熱処理によって固化させて、ベントナイトを樹脂又はゴムと一体化してシール性を高めると共に、金属細線製編成物で補強することができる。
本発明のシール部材の製造方法の別の実施形態において、ベントナイトが有機ベントナイトであり、流動体は、樹脂又はゴムの少なくとも一方を含むと共に、さらに当該有機ベントナイトと有機溶媒を含んで撹拌されたチクソトロピックな分散液であるとよい。そして、流動体を固化させる工程は、流動体を、チクソトロピー現象により金属細線製編成物の内部及び周囲で固化させて加熱処理すると共に、樹脂又はゴムを固化させることを含むとよい。ベントナイトが有機ベントナイトであれば有機溶媒に溶けるので、水を用いることなく樹脂又はゴムと一体化してシール性を高めると共に、金属細線製編成物で補強することができる。
有機ベントナイトは、例えば、モンモリロナイトを出発原料として、様々な有機化合物を複合して、各種有機複合モンモリロナイトとして製造されるもので、具体的には長鎖アルキル基を有する4級アンモニウムイオンをイオン交換によって層間にインターカレート(Intercalation)して複合体が製造される。有機ベントナイトは、強い親油性を示し、有機溶剤中で膨潤、分散、増粘する。より具体的に説明すると次のようになる。
有機ベントナイトは、有機溶剤中において、結晶層表面に吸着している第4級アンモニウムイオンの持つ長鎖アルキル基やベンゼン環に有機溶剤が溶媒和することによって、層間に有機溶剤がインターカレートし、層間が5nm以上に広がり膨潤する。そして、更に物理的な分散処理や化学的な分散処理を行うことにより、有機ベントナイトの層状構造はばらばらとなり、結晶片が有機溶剤中で剥離、分散する。この物理的な分散処理には、高い剪断力による分散や60℃〜70℃程度に分散液を加温することが含まれ、化学的な分散処理には、有機ベントナイトの分散剤としてアルコールや酸を有機ベントナイトに対して一定量添加することが含まれる。有機溶剤中で剥離、分散した有機ベントナイトの結晶片は、水やメタノール、アセトン、プロピレンカーボネートを少量、有機ベントナイト分散液に添加することにより、それらが、結晶端面に存在する水酸基同士の水素結合による結晶の端面-端面同士の会合剤として作用するため、チキソトロピー性が向上する。
上記のシール部材の製造方法においては、ベントナイトを用いる場合を説明しているが、スメクタイトでもよい。スメクタイトには、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどの粘土鉱物がある。スメクタイト系粘土鉱物において一枚の粘土層は、Si4+を4個の酸素原子が取り囲んだSiO四面体が二次元的に並んだ四面体シートと、Al3+またはMg2+を6個の酸素(あるいは水酸基)が取り囲んだ八面体が二次元的に連結した八面体シートが、四面体シート−八面体シート−四面体シートと並んでいるケイ酸塩層を有するものある。この粘土鉱物の表面は帯電している。なお、ベントナイトとは、粘土鉱物モンモリロナイトを主成分とし、珪酸鉱物を副成分として、珪酸塩鉱物、炭酸塩鉱物や硫酸塩鉱物、硫化鉱物を随伴する弱アルカリ性粘土岩の名称である。珪酸鉱物には、石英、α−クリストバライト、オパールなどが含まれる。また、珪酸塩鉱物には、長石、マイカ、ゼオライトなどが含まれ、炭酸塩鉱物や硫酸塩鉱物には、カルサイト、ドロマイト、ジプサムなどが含まれ、硫化鉱物には、パイライトなどが含まれる。
上記のシール部材の製造方法においては、第1の厚みの金属細線製編成物としての粗圧縮成形体13に、所定の平均粒径の微細粒子よりなるスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含む流動体を含浸させる工程を示したが、要するにシール部材として必要な密封特性を有する封止材が、併せて金属細線製編成物の隙間に充填されるような流動性を製造過程の途中で有していればよい。そこで、流動体の充填処理として、含浸処理に代えて、圧力プレスやディッピング成形を用いてもよい。
圧力プレスの場合には、封止材として熱硬化樹脂を含む材料を用い、融点以下で加熱して圧力を加えて、金属細線製編成物と封止材を一体化させるもので、成形材料である熱硬化樹脂を加熱した金型の凹部(キャビティ)に入れて圧縮成形機でプレスして硬化させる方法である。すなわち、シール部材の金型凹部に第1の厚みの粗圧縮成形体13を装着する。次に、シール部材の金型を加熱して、圧縮成形機でプレスして、粗圧縮成形体13の隙間に封止材となる流動体を充填すると共に、粗圧縮成形体13を圧縮して密圧縮成形体14に相当する第2の厚みに加工する。流動体には、フェノール樹脂のような熱硬化性の樹脂とスメクタイト又はベントナイトの混合流体を用いる。次に、密圧縮成形体14を加熱し、その後冷却して、金型より密圧縮成形体14を取り外す。その後、密圧縮成形体14に付着した熱硬化樹脂を含む封止部材の余分な部分をカットする等の必要な加工を行う。
ディッピング成形の場合には、シール部材の金型に第1の厚みの粗圧縮成形体13を装着する。次に、シール部材の金型を余熱して、流動体の中に浸して、その金型に流動体を付着させる。流動体には、PVCのような熱可塑性の樹脂とスメクタイト又はベントナイトの混合流体を用いる。次に、この状態で、粗圧縮成形体13を圧縮して、密圧縮成形体14に相当する第2の厚みに加工する。そして、流動体の付着した密圧縮成形体14を加熱し、その後冷却して、金型より密圧縮成形体14を取り外す。その後、密圧縮成形体14に付着した封止部材の余分な部分をカットする等の必要な加工を行う。
圧力プレスの場合には、熱硬化性の樹脂とスメクタイト又はベントナイトの混合流体を用いる場合を示したが、圧力プレスの途中で流動性を獲得する条件を持たせてもよい。例えば、樹脂又はゴムとスメクタイト又はベントナイトの混合シートを、粗圧縮成形体13の両面に装着し、次に、加熱した金型の凹部(キャビティ)に入れて圧縮成形機でプレスする。このプレスの際に、加熱条件と圧力条件を、当該混合シートが流動性を獲得して、当該混合シートの流動性を獲得した流動体を粗圧縮成形体13の隙間に充填すると共に、粗圧縮成形体13を圧縮して密圧縮成形体14に相当する第2の厚みに加工できるように定める。
上記のシール部材においては、封止する流体の対象に応じて、適宜な樹脂又はゴムをスメクタイト又はベントナイトに混和する。例えば、半導体製造に用いる製造原料ガスの封止に対しては、例えばフッ素樹脂のようなハロゲン系の樹脂を用いる。耐熱性の要求される用途の封止では、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂にスメクタイト又はベントナイトを混和したものを用いる。さらに、振動が大きく緩衝機能が重視される場合には、天然ゴムや合成ゴムにスメクタイト又はベントナイトを混和したものを用いる。
続いて、本発明の第2の実施の形態を説明する。図3は、第2の実施形態としての金属線編成物、並びにその製造工程を説明する図で、(a)は金属線編成物を圧縮した状態の断面図で、流体透過性圧縮成形体である。図3(b)は流体透過性圧縮成形体の周囲に流体不透過性シート部材を配置した状態の断面図、(c)は流体透過性圧縮成形体の周囲に流体不透過性シート部材を覆う状態に配置した断面図、(d)は流体透過性圧縮成形体と流体不透過性シート部材が一体化した状態の断面図である。
本実施形態にかかる金属線編成物としての圧縮成形体12は、図3(a)に示すような流体透過性圧縮成形体15で、流体透過性圧縮成形体15の厚さtはパッキン厚さに対応する値か、パッキン厚さよりも5%〜30%程度大きな値とする。流体不透過性シート部材は、所定の平均粒径の微細粒子よりなるスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含むもので、シート状やテープ状への成形を容易にするために、樹脂を混和してあってもよい。
図3(b)に示すように、流体不透過性シート部材は、流体透過性圧縮成形体15の上面を覆う上面の流体不透過性シート部材31と、下面を覆う流体不透過性シート部材32と、外周面を覆う流体不透過性シート部材33と、内周面を覆う流体不透過性シート部材34とで構成される。流体透過性圧縮成形体15の上面と下面の形状がリング状であるため、上面と下面の流体不透過性シート部材31、32の形状は、流体透過性圧縮成形体15の上面と下面の形状に対応したリング状の形状とする。上面と下面の流体不透過性シート部材31、32は平板状のシート部材を切り抜いたり、打ち抜いたりして製造する。外周面と内周面の流体不透過性シート部材33、34は、流体透過性圧縮成形体15の外周面と内周面の形状に対応したテープ状の形状とする。外周面と内周面の流体不透過性シート部材33、34の幅は、流体透過性圧縮成形体15の厚みtを基準に定める。流体不透過性シート部材33、34の幅は、流体透過性圧縮成形体15を流体不透過性圧縮成形体16に圧縮する場合には、流体透過性圧縮成形体15の厚みtと流体不透過性圧縮成形体16の厚みtとの中間に定めてもよい。
続いて、図3(c)に示すように、流体透過性圧縮成形体15の表面に、流体不透過性シート部材31、32、33、34を覆う状態に配置する。この場合、シール部材の用途が、流体透過性圧縮成形体15の全ての表面にシール機能を必要とする場合には、流体透過性圧縮成形体15の上面、下面、外周面、及び内周面の全表面に、流体不透過性シート部材31、32、33、34を覆う状態に配置する。また、シール部材の用途が、流体透過性圧縮成形体15の上面と下面の方向にシール機能を必要とする場合には、流体透過性圧縮成形体15の上面と下面の表面に、流体不透過性シート部材31、32を覆う状態に配置する。そして、シール部材の用途が、流体透過性圧縮成形体15の外周面と内周面にシール機能を必要とする場合には、流体透過性圧縮成形体15の外周面と内周面の表面に、流体不透過性シート部材33、34を覆う状態に配置する。さらに、シール部材の用途が、流体透過性圧縮成形体15の上面、下面、外周面、又は内周面の何れか一つの表面にシール機能を必要とする場合には、対応する流体不透過性シート部材を、流体透過性圧縮成形体15の対応する表面を覆う状態に配置する。
そして、図3(d)に示すように、流体透過性圧縮成形体15を圧縮して流体不透過性圧縮成形体16とすると共に、流体透過性圧縮成形体15と流体不透過性シート部材35、36、37、38を一体化させて、両者が剥がれないようにする。流体不透過性シート部材を流体不透過性圧縮成形体16と一体化させるには、圧着を用いてもよいし、接着剤を用いた接着でもよい。圧着の場合には、圧力を加えて流体透過性圧縮成形体15と流体不透過性シート部材とを一体化する際に、流体透過性圧縮成形体15の厚みtを流体不透過性圧縮成形体16の厚みtに圧縮加工するとよい。接着の場合には、流体透過性圧縮成形体15の接着面に接着剤を塗布して、流体不透過性シート部材を流体透過性圧縮成形体15と一体化させて、流体不透過性圧縮成形体16とする。
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施の形態としての、シール部材としてのガスケットシールの製造方法を説明する。まず、金属製細線を編成体に編成する(S200)。この形成には、金属線からなる平面網状体10を用いて、見掛けの密度の低い環状体11を形成する。金属製細線には、例えばS304のようなオーステナイト系ステンレス鋼が好ましい。次に、編成体11に編成された金属製細線を、流体透過性圧縮成形体15の厚さtに圧縮する(S202)。流体透過性圧縮成形体15の厚さは、パッキン厚さに対応する値か、これよりも僅かに大きな値とする。
次に、流体透過性圧縮成形体の厚みの金属細線製編成物の表面を、所定の平均粒径の微細粒子よりなるスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含む流体不透過性シート部材で覆う(S204)。流体不透過性シート部材で覆う面は、金属細線製編成物の表面のうち、シール特性を必要な面とする。次に、流体不透過性シート部材で覆われた金属細線製編成物を、流体透過性圧縮成形体15の厚さから、パッキン厚さに対応する厚みにする(S206)。流体透過性圧縮成形体15の厚さがパッキン厚さに対応する厚みよりも厚い場合には、流体透過性圧縮成形体15を圧縮して、パッキン厚さに対応する流体不透過性圧縮成形体16の厚さにする。流体透過性圧縮成形体15の厚さがパッキン厚さに対応する厚みの場合は、流体透過性圧縮成形体15は、シール特性が必要な面に流体不透過性シート部材を装着した状態の流体不透過性圧縮成形体16で、パッキン厚さに対応する厚さとなっている。
次に、当該金属細線製編成物と流体不透過性シート部材を一体化させる(S208)。この一体化した状態で、シール特性が必要な面に流体不透過性シート部材を装着した流体不透過性圧縮成形体16が、パッキン厚さに対応する厚みとなる。パッキン厚さへの調整が可能なように、流体不透過性シート部材は可塑性を有し、圧力や熱を受けることで、金属細線製編成物の網目に食い込む状態となって、機械的な一体化が進行する。流体不透過性シート部材を流体不透過性圧縮成形体16と一体化させる手法には、圧着を用いてもよいし、接着剤を用いた接着でもよい。そして、シール部材の流体不透過性シート部材の表面や流体不透過性圧縮成形体16の表面を平滑にすることで(S210)、パッキン厚さとして、ガスケットシールの形状寸法に仕上げる(S212)。
なお、上記のシール部材においては、所定金属材料であって所定線径よりなる金属製細線によって編成された編成体を用いる場合を示したが、当業者において自明な範囲で、金属製細線を適宜の素材に代替することもできる。そして、このような当業者において自明な範囲での本発明の構成要素の代替は、本発明の技術的範囲に属する。
本発明のシール部材の製造方法は、金属製細線間の隙間に万遍なくスメクタイト又はベントナイトが行き渡ると共に、シール部材で必要とする厚みに圧縮された金属細線製編成物よりなるシール部材が得られる為、配管に挟まれた場合でも一定の締付力を確保しやすくすると共に、耐熱性・耐化学薬品・耐溶剤性が高いシール部材であって、薄い平板状のシール部材の製造方法を提供できる。
10 平面網状体
11 環状体
12 圧縮成形体
13 粗圧縮成形体
14 密圧縮成形体
15 流体透過性圧縮成形体
16 流体不透過性圧縮成形体
20 成形型
31、35 上面の流体不透過性シート部材
32、36 下面の流体不透過性シート部材
33、37 外周面の流体不透過性シート部材
34、38 内周面の流体不透過性シート部材
第1の厚み
t パッキン厚さ、第2の厚み

Claims (8)

  1. 所定金属材料であって所定線径よりなる金属製細線によって編成された編成体を、パッキン厚さよりも厚い第1の厚みに圧縮する工程と、
    前記第1の厚みの金属細線製編成物に、所定の平均粒径の微細粒子よりなるスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含む流動体を充填させる工程と、
    前記流動体の充填された前記金属細線製編成物を、前記パッキン厚さに対応する第2の厚みに圧縮する工程と、
    前記パッキン厚さに圧縮された金属細線製編成物に充填された前記流動体を固化させる工程と、
    を含むシール部材の製造方法。
  2. 前記流動体は、前記ベントナイトと水を含んで撹拌されたチクソトロピックな分散液であり、
    前記流動体を固化させる工程は、前記流動体を、チクソトロピー現象により前記金属細線製編成物の内部及び周囲で固化させて、乾燥加熱処理すること、
    を含む請求項1に記載のシール部材の製造方法。
  3. 前記流動体は、樹脂又はゴムの少なくとも一方を含むと共に、さらに前記ベントナイトと水を含んで撹拌されたチクソトロピックな分散液であり、
    前記流動体を固化させる工程は、前記流動体を、チクソトロピー現象により前記金属細線製編成物の内部及び周囲で固化させて、乾燥加熱処理すると共に、前記樹脂又はゴムを固化させること、
    を含む請求項1に記載のシール部材の製造方法。
  4. 前記ベントナイトが有機ベントナイトであり、
    前記流動体は、樹脂又はゴムの少なくとも一方を含むと共に、さらに当該有機ベントナイトと有機溶媒を含んで撹拌されたチクソトロピックな分散液であり、
    前記流動体を固化させる工程は、前記流動体を、チクソトロピー現象により前記金属細線製編成物の内部及び周囲で固化させて加熱処理すると共に、前記樹脂又はゴムを固化させること、
    を含む請求項1に記載のシール部材の製造方法。
  5. 編成された金属製細線を芯材とし、当該金属製細線の編成物を微細粒子よりなる無機質鉱物と一体に成形したシール部材であって、
    前記無機質鉱物が、スメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含むと共に、前記無機質鉱物が前記編成物に充填された状態であることを特徴とするシール部材。
  6. 前記金属製細線はステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニュウム、アルミニュウム合金の少なくとも一種を含む金属製であって、前記金属製細線の線径が0.01〜2.0mmであり、
    前記スメクタイト又はベントナイトの平均粒径は0.2〜20μm、又は前記金属製細線の線径の1/1000乃至1/2の範囲であることを特徴とする請求項5に記載のシール部材。
  7. 所定金属材料であって所定線径よりなる金属製細線によって編成された編成体を、流体透過性圧縮成形体の厚さに圧縮する工程と、
    前記流体透過性圧縮成形体の厚さの金属細線製編成物の表面を、所定の平均粒径の微細粒子よりなるスメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含む流体不透過性シート部材で覆う工程と、
    前記流体不透過性シート部材で覆われた前記金属細線製編成物を、前記流体透過性圧縮成形体の厚さから前記パッキン厚さに対応する厚みにすると共に、当該金属細線製編成物と前記流体不透過性シート部材を一体化させる工程と、
    を含むシール部材の製造方法。
  8. 編成された金属製細線を芯材とし、当該金属製細線の編成物が無機質鉱物を含む流体不透過性シート部材で被覆する状態に成形されたシール部材であって、
    前記金属の編成物が、ステンレス鋼、銅、銅合金、アルミニュウム、アルミニュウム合金の少なくとも一種を含む金属よりなる細線製であり、
    前記無機質鉱物が、スメクタイト又はベントナイトの少なくとも一種類を含むことを特徴とするシール部材。
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