JP3861554B2 - インクジェット式記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャリッジに搭載され、印刷データに対応してインク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドと、記録装置の本体側に装填されて前記記録ヘッドに対してインク供給部材を介してインクを供給するインクカートリッジとを備えたインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばオフィス向けまたは業務用に提供されるインクジェット式記録装置においては、比較的大量の印刷に対応させるために、大容量のインクカートリッジを配備する必要が生じ、このために各色のインクをそれぞれ貯留したインクカートリッジを、記録装置の本体側に配置されたカートリッジホルダに装填させるように構成されている。
【0003】
そして、各インクカートリッジからそれぞれインク供給部材としてのチューブを介してキャリッジ上に搭載された記録ヘッドに対して、インクを供給するように構成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の記録装置においては、スループットを向上させるために、記録ヘッドにおいては益々多ノズル化が図られており、また、記録ヘッドよりインク滴を吐出させるための駆動信号の周波数も益々高周波化されている。
【0005】
このために、記録ヘッドにおけるインクの消費量が必然的に多くなり、インクカートリッジからキャリッジに搭載された記録ヘッドに至るインク供給部材としての各チューブにおける動圧(圧力損失)が高まり、記録ヘッドに対するインクの補給量が不十分になるという技術的課題を抱えている。このような課題を解決するためには、インクカートリッジから記録ヘッドに至る各インク供給チューブの内径を大きく設定させる必要が生ずる。
【0006】
一方、昨今においてはこの種の記録装置による記録画像の一層の高画質化が望まれており、このために、カラーインクとしてイエロー、マゼンタ、シアンの基本色以外のカラーインクも同時に利用されるに至り、このためにインクカートリッジからキャリッジに搭載された記録ヘッドに各インクを供給するチューブの本数も増加される趨勢にある。
【0007】
さらに、このような記録装置に用いられる前記したインク供給チューブは、水分やガスの透過作用により、インク特性の変化や品質劣化に影響を及ぼさない素材を用いる必要があり、したがって、オレフィン系の材料、例えばポリエチレンチューブが用いられる。
【0008】
ところで、ポリエチレンチューブは前記したような特質を有しているものの、材料としての剛性が高いために、これを記録ヘッドに接続した場合において、そのチューブの持つ反力を受けて記録ヘッドに高い応力が作用する。しかも、各チューブは前記したとおり、ある程度の大きさの内径を確保する必要があり、また記録ヘッドに各インクを供給するチューブの本数も増加される状況においては、記録ヘッドに作用する応力がより一層増大する。
【0009】
このために、例えば記録装置の製造組み立て時において、キャリッジに対する記録ヘッドの位置調整の作業を困難にするという課題を抱えており、また長期にわたって記録ヘッドに対して機械的な応力が働くことで、印字品質の信頼性を低下させ得るという技術的な課題も抱えている。
【0010】
本発明は、前記したような技術的課題に着目してなされたものであり、インクカートリッジから記録ヘッドにインクを移送するインク供給部材の剛性に基づく記録ヘッドに作用する応力を低減することのできる構成を提供し、キャリッジに対する記録ヘッドの位置調整作業を容易にすると共に、長期にわたって記録ヘッドに働く機械的な応力による悪影響の発生を低減することができるインクジェット式記録装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するためになされた本発明にかかるインクジェット式記録装置は、キャリッジに搭載され、印刷データに対応してインク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドと、記録装置の本体側に装填され、キャリッジに搭載された前記記録ヘッドに対してインク供給部材を介してインクを供給するインクカートリッジとを備えたインクジェット式記録装置であって、前記インク供給部材は、インクカートリッジからキャリッジに至る間で第1のインク供給部材が用いられ、キャリッジから記録ヘッドの間で第2のインク供給部材が用いられると共に、前記第1のインク供給部材に比較して、曲げ弾性率が低い第2のインク供給部材を用いた点に特徴を有する。
【0012】
この場合、好ましくは前記第1のインク供給部材がキャリッジ上の固定部において固定され、当該固定部から第2のインク供給部材が、前記記録ヘッドに接続された構成とされる。この場合、前記第2のインク供給部材に第1のインク供給部材を圧入して接続した構成が好適に利用される。さらに、好ましくは前記第2のインク供給部材に第1のインク供給部材を圧入して接続した接続部の外側面が、圧接部材により圧接された構成とされる。
【0013】
また、本発明にかかるインクジェット式記録装置の好ましい実施の形態においては、前記記録ヘッドにインクを供給する各インクカートリッジが、前記キャリッジの移動方向における記録装置の両端部にそれぞれ装填されると共に、一方の端部に装填されたインクカートリッジから前記キャリッジに至る第1のインク供給部材が、キャリッジを介した他方の端部側に延出されてU字状の湾曲部を形成し、その折り返し部が前記キャリッジに至る経路を構成し、また他方の端部に装填されたインクカートリッジから前記キャリッジに至る第1のインク供給部材が、キャリッジを介した一方の端部側に延出されてU字状の湾曲部を形成し、その折り返し部が前記キャリッジに至る経路をそれぞれ構成するようになされる。
【0014】
一方、好ましくは前記第2のインク供給部材が、搬送するインクに対して耐侵食性を有する素材により構成される。この場合、前記第2のインク供給部材は、ゴム材料によって構成されていることが望ましい。そして、前記第2のインク供給部材を構成するゴム材料としては、EDPMゴム、ブチルゴムが用いられ、搬送するインクに対して2価の金属の溶出量が10ppm以下となる素材を用いることが望ましい。
【0015】
この場合、第2のインク供給部材を構成するゴム材料として、搬送するインクに対して特に亜鉛(Zn)の溶出量が10ppm以下となる素材を用いることが望ましい。さらに、第2のインク供給部材を構成するゴム材料として、搬送するインクに対して特に錫(Sn)の溶出量が3ppm以下となる素材を用いることが望ましい。さらにこの場合、前記ゴム材料として脂肪酸塩を含まない素材を用いることが望まれる。
【0016】
そして、前記第2のインク供給部材のガスバリア性が、前記第1のインク供給部材のガスバリア性に対して同等以上になされることが好ましく、具体的な構成においては前記第2のインク供給部材のガスバリア性が、前記第1のインク供給部材のガスバリア性に対して同等以上となる肉厚に構成される。
【0017】
以上のように構成されたインクジェット式記録装置によると、インクカートリッジから記録ヘッドに至るインク供給部材が、第1と第2のインク供給部材に分けられ、第1のインク供給部材がインクカートリッジからキャリッジに至る間に配置され、また第2のインク供給部材がキャリッジから記録ヘッドに至る間に配置された構成とされるので、各インクカートリッジからのインクは、それぞれ第1と第2のインク供給部材を経由して記録ヘッドに供給される。
【0018】
そして、前記第1インク供給部材としては、水分やガスの透過作用により、インク特性の変化や品質劣化に影響を及ぼさないオレフィン系の材料、例えばポリエチレンチューブが好適に用いられる。また、第2のインク供給部材としては曲げ弾性率の低い、例えばゴム材料によるチューブを用いることにより、第1インク供給部材としてポリエチレンチューブを用いたことによる材料そのものの持つ剛性により発生する反力は、第2インク供給部材により抑えられ、結果として記録ヘッドに作用する反力を大幅に低減させることが可能となる。
【0019】
したがって、前記したように記録装置の製造組み立て時において、キャリッジに対する記録ヘッドの位置調整作業を容易にすることができ、また長期にわたって記録ヘッドに働く機械的な応力により、印字品質等に悪影響を及ぼすなどの問題の発生度合いを大幅に低減させることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるインクジェット式記録装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。図1は本発明が適用された記録装置の全体構成を示した正面図である。図中符号1は底フレームであり、この底フレーム1の両端部には、底フレーム1に対して右フレーム2および左フレーム3が鉛直方向に取り付けられている。そして、右フレーム2および左フレーム3との間には、キャリッジ案内軸4が取り付けられており、このキャリッジ案内軸4に案内されてキャリッジ5が軸方向に移動可能となるように取り付けられている。
【0021】
前記キャリッジ5の下側面には記録ヘッド6が搭載されており、この記録ヘッド6の走査方向に沿って紙案内部材7が配置されている。そして、この紙案内部材7の上面には、前記記録ヘッド6と対向するように記録用紙8が載置されており、この記録用紙8は記録ヘッド6の走査方向と直交する副走査方向(図1の紙面上において垂直方向)に移動されるように構成されている。
【0022】
前記した底フレーム1の左右両端部、すなわちキャリッジの移動方向における記録装置の両端部には、箱形のカートリッジホルダ9B,9C,9M,9Yがそれぞれ配置されており、これらのカートリッジホルダには、前記記録ヘッド6にインクを供給するインクカートリッジ10B,10C,10M,10Yがそれぞれ前方から着脱可能となるように装填されている。なお、この実施の形態においては、記録装置の左端部にブラックインクカートリッジ10Bおよびシアンインクカートリッジ10Cがそれぞれ装填され、また、記録装置の右端部にマゼンタインクカートリッジ10Mおよびイエローインクカートリッジ10Yがそれぞれ装填されている。
【0023】
そして、図中左端部に装填されたブラックおよびシアンインクカートリッジ10B,10Cのカートリッジホルダより、第1のインク供給部材としてのチューブ11B,11Cが、キャリッジ5を介した右端部側に延出され、さらにこれらのチューブはU字状の湾曲部12を形成して折り返され、前記キャリッジ5に至る経路を構成している。同様に、図中右端部に装填されたマゼンタおよびイエローインクカートリッジ10M,10Yのカートリッジホルダより、第1のインク供給部材としてのチューブ11M,11Yが、キャリッジ5を介した左端部側に延出され、さらにこのチューブはU字状の湾曲部12を形成して折り返され、前記キャリッジ5に至る経路を構成している。
【0024】
なお、第1のインク供給部材を構成する各チューブは、前記したように水分やガスの透過作用により、インク特性の変化や品質劣化に影響を及ぼさない素材を用いる必要があり、したがって、オレフィン系の材料、例えばポリエチレンチューブが用いられている。
【0025】
一方、前記各第1のインク供給チューブにおけるキャリッジ側の端部には、後述するように第2のインク供給部材としての各チューブに接続されて、記録ヘッド6にインクを供給するように構成されている。なお、前記したように、記録装置の左右に各カートリッジを分散して装填し、また第1インク供給部材を互いにU字状の湾曲部12を形成して、それぞれ左右対称的な関係を持ってカートリッジからキャリッジに至るように配置したことで、第1インク供給部材の持つそれぞれの剛性に起因してキャリッジに作用する反力を互いに均衡させることができる。
【0026】
図2は図1に示すキャリッジ部分を拡大して示したものであり、また図3は図2に示したキャリッジ部分を上面から視た状態で示しており、それぞれ図1に対応する部分は同一符号で示している。図2および図3に示されたように、前記した各第1のインク供給チューブ11B,11C,11M,11Yのキャリッジ側の端部は、第2インク供給部材としての各チューブ13B,13C,13M,13Yの一端が接続されている。
【0027】
そして、第2のインク供給チューブの各他端部は、ほぼ90度の角度を持って屈曲され、ヘッドケース6aの上部に配置された各ダンパー部材14B,14C,14M,14Yにそれぞれ接続されている。なお、前記各ダンパー部材は第1および第2インク供給チューブ中のインクが、キャリッジの往復動作によって生じる圧力を吸収するように作用する。
【0028】
前記第2のインク供給チューブ13B,13C,13M,13Yは、第1のインク供給チューブ11B,11C,11M,11Yに比較して曲げ弾性率が低い特性を有し、且つ搬送するインクに対して耐侵食性を有すると共に、ガスバリア性の高い、例えばEDPM(エチレン・プロピレン)ゴム、あるいはブチルゴムにより成形されている。そして、図2に示されたように第2のインク供給チューブ13Bの内径部に、第1のインク供給チューブ11Bの外形部を圧入するようにして両者が接続されている。なお、図2にはブラックインクが扱われる第1および第2インク供給チューブ11B,13Bの接続形態が示されているが、他のインクを扱う第1および第2のインク供給チューブの接続形態についても同様に構成されている。
【0029】
この場合、第2のインク供給チューブ13Bの内径は2.1mmに構成されており、またその肉厚は1.5mmに構成されている。一方、前記第1のインク供給チューブ11Bは、その外形が3mmに構成されている。この結果、肉厚換算で0.45/1.5×100=30%の圧入代が形成されており、前記した両者の接続形態においては、内部のインクを確実にシールするために、この程度の圧入代を確保することが好ましい。
【0030】
そして、前記したキャリッジ5の上部には、図3に示されたようにキャリッジ5の走査方向に沿って、一対の板状部材15が互いに平行状態となるように配置されており、この板状部材15のそれぞれの両面には、図2に示されたように上下方向に離間するように、一対の圧接部材としてのリブ15aが一体に形成されている。そして、前記一対のリブ15aの間に、第2のインク供給チューブに第1のインク供給チューブを圧入して接続した接続部の外側面が、前記一対のリブ15aの間に密接するようにして嵌め込まれており、この構成により永久歪みによる両者間のシール特性が低下するのを抑制するようになされている。
【0031】
また、前記一対のリブ15aは固定部を兼ねており、第1のインク供給チューブ11Bがキャリッジ上の固定部(同じく符合15aで示す)において固定され、当該固定部から第2のインク供給チューブ13Bが、前記記録ヘッドに接続されている。この構成は、ブラックインクを扱う第1および第2のインク供給チューブ以外においても同様になされ、両者の接続部は一対のリブにより構成される固定部15aにおいてキャリッジ上で固定されている。
【0032】
また、前記したように第2のインク供給チューブが、第1のインク供給チューブに比較して曲げ弾性率が低い特性の素材により構成することで、第1のインク供給部材として例えばポリエチレンチューブを用いたことによる材料そのものの持つ剛性により発生する反力は、第2のインク供給チューブにより抑えられ、結果として記録ヘッド6に作用する反力を大幅に低減させることが可能となる。
【0033】
なお、前記した記録ヘッドに作用する反力の低減度合いについて検証したところ、次のような結果が得られた。すなわち、曲げ弾性率が4600Kg/cm2 で、内径が直径2mm、外形が直径3mmのポリエチレン製のチューブを3本構成としてキャリッジ上のダンパー部材に直接接続した場合、800gfの反力が発生した。これに対して、前記したポリエチレン製のチューブに、硬度50度の第2インク供給チューブを接続し、第2インク供給チューブを介してキャリッジ上のダンパー部材に接続した場合、250gfの反力にとどめることができた。
【0034】
なお、図4は第2のインク供給チューブ13に第1のインク供給チューブ11を圧入して接続した接続部のシール性を確保するための、他の形態を断面拡大図によって示したものである。すなわち図4に示されたように、両者の接続部の外側面には、例えばピアノ線等の弾性金属素材を円環状に成形した圧接部材としての締め付け部材21が、その外周を取り巻くようにして嵌め込まれており、このような形態を採用することによっても、永久歪みによる両者間のシール性が低下するのを効果的に抑制することができる。
【0035】
次に、前記第2のインク供給チューブを構成するゴム材料としては、前記したとおりガスバリア性の高いEDPMゴム、ブチルゴムを用いるのが好ましい。これに加えて、ゴム素材からの2価の金属の溶出量が10ppm以下となる素材を用いることが肝要である。2価の金属としての例えば亜鉛、錫、カルシウム、マグネシウム等がゴム素材からインク中に溶出した場合、これらがインク中の染料と反応して不溶化な塩を生成するという問題が発生する。
【0036】
また、顔料系のインクにおいては、前記2価の金属はインク溶媒に対する顔料分散の状態を不安定にし、異物の発生を起こす問題が発生する。しかしながら、前記したように2価の金属の溶出量が10ppm以下となる素材を用いることで、実用上において、これらの問題の発生度合いを大幅に軽減できることが判明した。
【0037】
図5は、その検証結果を示しており、特に2価の金属として亜鉛(Zn)に注目したブチルゴムのメーカー別溶出金属量と記録ヘッドの目詰まり試験結果を示すものである。その試験方法は、各メーカーのブチルゴム試料(各メーカーのロット1,2で示される6種類)を用意し、この試料をインクに浸漬し、水分の蒸発を防止した形態で、60℃の環境で5日間放置した。その結果のインクを採取して濾過し、インクカートリッジに充填した。この時、インク中の2価の金属の溶出量を定量分析した結果が、図5に示されている。(図5には亜鉛(Zn)と錫(Sn)の溶出量が示されている。)
【0038】
前記した各インクが充填されたインクカートリッジを記録装置に装填し、それぞれ印字動作を実行したところ、まずは正常に印字できることが確認された。しかしながら、これを40℃の環境下で数週間放置し、再度印字テストを実行したところ、亜鉛の溶出量が50ppmを超えるインクを用いた場合、記録ヘッドからのインク滴の吐出に障害が発生し、ドット抜けが発生することが判明した。図5に示した試験結果から理解できるように、特に2価の金属のうち亜鉛の溶出量が10ppm以下である場合には、前記環境下で放置されても、印字障害は発生しないことが判明した。
【0039】
また、図6は特に2価の金属として錫(Sn)に注目し、目詰まり試験を行なった結果であり、この試験についてはインクに対する錫の添加量を変えた試料を作成し、前記と同様に40℃の環境下で数週間放置し、印字テストを実行した場合の試験結果である。この試験結果から理解できるように、特に2価の金属のうち錫の溶出量が3ppm以下である場合には、前記環境下で放置されても、印字障害は発生せず、錫の溶出量が概ね5ppmを超えると印字障害が発生することが確認された。
【0040】
また、前記した第2のインク供給チューブを構成するゴム材料としては、脂肪酸塩を含まない素材を用いることが望ましい。この脂肪酸塩がインク中に溶出した場合には、再結晶化してインク中に異物を発生させるという問題が発生し得るが、ゴム材料として、脂肪酸塩を含まない素材を用いることにより、前記した問題の発生を効果的に回避することができる。これは、インクとの接液試験により検証することができる。すなわち、ゴム素材の試料をインクに浸漬し、水分の蒸発を防止した形態で60℃の環境下で5日間放置し、常温に戻した状態でフィルターに通してフィルター上に異物を捕集することで、異物の発生度合いを検証した。
【0041】
この検証結果によると、一般にゴムを成形する際に使用するステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸を含むゴム素材においては、インクとの接液試験では多量の再結晶化した異物が発生することが確かめられた。また前記脂肪酸塩を使用しないブチルゴムあるいはEDPMゴムでは、前記した異物の発生はなく、したがって第2のインク供給チューブにおいては、特に前記した素材を選択することが望ましい。
【0042】
さらにまた、前記第2のインク供給チューブのガスバリア性、特に水蒸気の透過を抑える性能が、第1のインク供給チューブのガスバリア性に対して同等以上になされていることが望ましい。この場合、好ましくは第2のインク供給チューブのガスバリア性が、第1のインク供給チューブのガスバリア性に対して同等以上となるような肉厚に構成させることで実現することができる。
【0043】
肉厚が同一の場合における例えばポリエチレン性の第1のインク供給チューブに対して、ブチルゴム性の第2のインク供給チューブは、約1/3倍のガスバリア性を有している。したがって、第1のインク供給チューブの肉厚に対して、第2のインク供給チューブの肉厚を3倍以上である1.5mm以上とすることで、第2のインク供給チューブのガスバリア性を、第1のインク供給チューブのそれと同等以上にすることができる。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明にかかるインクジェット式記録装置によると、インクカートリッジからキャリッジに至る間で第1のインク供給部材が用いられ、キャリッジから記録ヘッドの間で第2のインク供給部材が用いられる構成としたので、第2のインク供給部材に曲げ弾性率が低い素材を用いることにより、第1のインク供給部材の剛性に基づく記録ヘッドに作用する応力を低減させることができる。したがって、例えばキャリッジに対する記録ヘッドの位置調整作業を容易にすると共に、長期にわたって記録ヘッドに働く機械的な応力による悪影響の発生度合いを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された記録装置の全体構成を示した正面図である。
【図2】図1に示す記録装置におけるキャリッジ部分を拡大して示した正面図である。
【図3】図2に示したキャリッジ部分を上面から視た状態の平面図である。
【図4】第2のインク供給チューブに第1のインク供給チューブを圧入して接続した接続部分のシール性を確保するための一形態を示す拡大断面図である。
【図5】第2のインク供給チューブの好ましい素材を検証した第1の試験結果を示す図である。
【図6】第2のインク供給チューブの好ましい素材を検証した第2の試験結果を示す図である。
【符号の説明】
4 キャリッジ案内軸
5 キャリッジ
6 記録ヘッド
7 紙案内部材
8 記録用紙
9B,9C,9M,9Y カートリッジホルダ
10B,10C,10M,10Y インクカートリッジ
11B,11C,11M,11Y 第1インク供給部材(供給チューブ)
12 U字状湾曲部
13B,13C,13M,13Y 第2インク供給部材(供給チューブ)
14B,14C,14M,14Y ダンパー部材
15 板状部材
15a リブ(圧接部材、固定部)
21 締め付け部材(圧接部材)

Claims (13)

  1. キャリッジに搭載され、印刷データに対応してインク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドと、記録装置の本体側に装填され、キャリッジに搭載された前記記録ヘッドに対してインク供給部材を介してインクを供給するインクカートリッジとを備えたインクジェット式記録装置であって、
    前記インク供給部材は、インクカートリッジからキャリッジに至る間で第1のインク供給部材が用いられ、キャリッジから記録ヘッドの間で第2のインク供給部材が用いられると共に、前記第1のインク供給部材に比較して、曲げ弾性率が低い第2のインク供給部材を用いたことを特徴とするインクジェット式記録装置。
  2. 前記第1のインク供給部材がキャリッジ上の固定部において固定され、当該固定部から第2のインク供給部材が、前記記録ヘッドに接続されてなる請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
  3. 前記第2のインク供給部材に第1のインク供給部材を圧入して接続してなる請求項1または請求項2に記載のインクジェット式記録装置。
  4. 前記第2のインク供給部材に第1のインク供給部材を圧入して接続した接続部の外側面が、圧接部材により圧接されてなる請求項3に記載のインクジェット式記録装置。
  5. 前記記録ヘッドにインクを供給する各インクカートリッジが、前記キャリッジの移動方向における記録装置の両端部にそれぞれ装填されると共に、一方の端部に装填されたインクカートリッジから前記キャリッジに至る第1のインク供給部材が、キャリッジを介した他方の端部側に延出されてU字状の湾曲部を形成し、その折り返し部が前記キャリッジに至る経路を構成し、また他方の端部に装填されたインクカートリッジから前記キャリッジに至る第1のインク供給部材が、キャリッジを介した一方の端部側に延出されてU字状の湾曲部を形成し、その折り返し部が前記キャリッジに至る経路をそれぞれ構成した請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインクジェット式記録装置。
  6. 前記第2のインク供給部材が、搬送するインクに対して耐侵食性を有する素材により構成された請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインクジェット式記録装置。
  7. 前記第2のインク供給部材は、ゴム材料によって構成されてなる請求項6に記載のインクジェット式記録装置。
  8. 前記第2のインク供給部材を構成するゴム材料として、EDPMゴム、ブチルゴムが用いられ、搬送するインクに対して2価の金属の溶出量が10ppm以下となる素材を用いてなる請求項7に記載のインクジェット式記録装置。
  9. 前記第2のインク供給部材を構成するゴム材料として、搬送するインクに対して亜鉛(Zn)の溶出量が10ppm以下となる素材を用いてなる請求項8に記載のインクジェット式記録装置。
  10. 前記第2のインク供給部材を構成するゴム材料として、搬送するインクに対して錫(Sn)の溶出量が3ppm以下となる素材を用いてなる請求項8に記載のインクジェット式記録装置。
  11. 前記ゴム材料として脂肪酸塩を含まない素材を用いた請求項6または請求項7に記載のインクジェット式記録装置。
  12. 前記第2のインク供給部材のガスバリア性が、前記第1のインク供給部材のガスバリア性に対して同等以上になされた請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のインクジェット式記録装置。
  13. 前記第2のインク供給部材のガスバリア性が、前記第1のインク供給部材のガスバリア性に対して同等以上となる肉厚に構成されてなる請求項12に記載のインクジェット式記録装置。
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