JP3860754B2 - マンホール - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂を利用して成形したマンホールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地中には上水道管やガス管を含む多数の管路が敷設されているが、このような管路の中に雨水や汚水を流通させる下水道管路がある。この下水道管路では、幹線を構成する管路には常に多くの下水が流通するため、比較的径が大きいヒューム管を用いて敷設するのが一般的である。しかし、前記幹線と個々の家庭とを接続する枝管路では、下水の標準的な流量は大きなものではない。このため、最近では、枝管路を合成樹脂管を用いて敷設することがある。
【0003】
上記合成樹脂管を用いて敷設された管路では、適度な間隔を持って或いは予め設定された位置にマンホールが設置される。前記マンホールは直線方向に敷設された合成樹脂管からなる管路や、異なる方向に敷設された合成樹脂管からなる管路を中継し、且つ該管路の保守や点検を行う際に利用される。
【0004】
合成樹脂管からなる管路に利用されるマンホールとして、塩化ビニル(塩ビ)を主たる材料として射出成形法やブロー成形法によって形成したものが提供されている。このようなマンホールでは、底部に配置されるインバート部材と、このインバート部材の上部に接続される円筒状の直壁管部材と、この直壁管部材の更に上部に接続されて路面との間の傾斜や寸法を調整するリング部材と、マンホール蓋を取り付ける蓋受け部材と、を有して構成されるのが一般的である。
【0005】
上記塩ビ製のマンホールでは、塩ビが比較的強度が大きく且つ高い硬度を有するため、肉厚を薄く軽量に構成することが出来る。しかし、塩ビの性質が高い脆性を有するため、ドリルによる穴あけを含む機械加工性が悪く、且つ耐衝撃性が極めて悪い。また、塩ビの強度では、経済性を考慮した一般的な厚さとしたとき、道路を通行する自動車による荷重を受けることが出来ないという問題がある。
【0006】
上記インバート部材は、縦方向に形成された筒状部と、この筒状部の底部に下水の流路が成形されると共に、筒状部の側壁であって前記流路の上流側及び下流側に円筒状の突起部が形成されている。そして、夫々の突起部にシール材を介して上流側の管路,下流側の管路を嵌合することで2方向の管路を中継し得るように構成されている。前記各突起部は縦方向の筒状部に一体的に成形されており、高さや方向の自由度は全くない。
【0007】
しかし、下水道管路を中継する機能を持ったマンホールでは、上流側の管路と下流側の管路とが同一軸心上に敷設されるという限定はなく、地中に於ける深さが異なったり、平面内の方向が異なるのが一般的である。即ち、マンホールに流入する管路かマンホールから流出する管路の何れか一方の管路を基準としたとき、他方の管路はマンホールに於ける高さ方向及び周方向の何処に形成されるかは一義的に設定し得るものではない。
【0008】
このため、インバート部材の側壁或いは直壁管部材の側壁の高さ方向、及び周方向の所望の位置に管路を接続し得るように構成された塩ビ製のマンホールも提供されている。このマンホールは、マンホールの縦方向の壁の外周面か内周面に当接し得る曲面を持ったフランジと、該フランジから突設された円筒部とを設けた接続部材を有し、前記インバート部材の側壁或いは直壁管部材の側壁に接続部材の筒状部の内径と等しい穴を形成すると共にフランジを溶接或いは接着して固定することで、固定した接続部材に上流側の管路を接続して中継し得るように構成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記塩ビ製のマンホールに於いて、インバート部材の側壁或いは直壁管部材の側壁の所望の位置に管路を接続し得るように構成したマンホールでは、肉厚が薄く且つ耐衝撃性に劣るため、これらの側壁に穴を形成することが困難であり、管路を接続するための部材を固定する際に接着か溶接せざるを得ず、作業が煩雑で且つ作業員の技能によって性能が変化してしまうことがあるという問題がある。
【0010】
また塩ビが強度及び耐衝撃性に劣るため、直接路面に配置されてマンホール蓋を支持する受け部材として構成することが出来ないという問題や、マンホールを構成する直壁管部材を受け部材に直接接続した場合、該受け部材に伝達される衝撃力によって直壁管部材が破壊する虞があるため、受け部材との間に緩衝材を設ける必要が生じるという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、径の小さい主として合成樹脂管からなる管路に設置されるマンホールであって、少なくとも一方の管路が如何なる高さで且つ如何なる方向に敷設されていても容易に接続して中継し得るマンホールを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係るマンホールは、地中に敷設された少なくとも2方向の管路を中継するマンホールであって、底部が底部材によって閉塞されると共に側壁の所定位置に前記2方向の管路の一方が接続される接続部が形成され且つ上方が開放された管取付部材と、前記管取付部材の上部に配置されて該管取付部材に連結される直壁部材と、内部に前記2方向の管路の他方の管路の内径と略等しい径を持った貫通孔を形成すると共に一方側の端部から前記管路を嵌合させる非貫通穴を形成し且つ他方の端部を前記管取付部材又は直壁部材の外径と略等しい径を持った曲面状に形成すると共に該他方の端部に複数のボルト孔を形成した固定部を形成したソケット部材と、を有し、前記管取付部材,直壁部材及びソケット部材が樹脂によって形成されたものである。
【0013】
上記マンホールに於いて、管取付部材又は直壁部材の側壁であって他方の管路を接続すべき位置に該管路の内径と略等しい孔を形成し、該孔にソケット部材の貫通孔を対向させ、且つソケット部材と管取付部材又は直壁部材とをボルトを介して固定することが好ましい。
【0014】
上記の如く構成したマンホールでは、管取付部材又は直壁部材の側壁に管路の内径と等しい径の孔を形成し、この孔にソケット部材の貫通孔を対向させてボルトを介して固定したので、管取付部材又は直壁部材の径に対し管路の径が接近した値を有するような場合であっても、該管路を管取付部材又は直壁部材に確実に取り付けることが出来る。
【0015】
ソケット部材を管取付部材又は直壁部材に取り付けるに際し、ボルトを利用することで、作業員の技能に起因する不都合を排除することが出来る。特に、接着剤や溶接を行う必要がなくなり、作業が容易で且つ確実な取付強度を発揮することが出来る。
【0016】
また上記マンホールに於いて、管取付部材と直壁部材の対向する端部に於ける一方側に外周を複数の角度に分割すると共に分割された角度範囲を異なる半径からなる円弧を連続させたフランジ部を形成し、他方側に前記フランジ部の形状と略等しい形状を持った開口部と該開口部に連続して前記フランジ部の最大半径よりも大きい半径部分を有する溝とを形成し、管取付部材の上方に直壁部材を対向させると共にフランジを開口部を経て溝に嵌合させて連結することが好ましい。
【0017】
上記の如く構成したマンホールでは、管取付部材の上方に直壁部材を配置し、一方の端部に形成された溝に、他方の端部に形成されたフランジ部を嵌合した後、これらを相対的に回転させることで、溝とフランジ部の異なる半径部分が互いに当接して抜けることがない。このため、特別な器具を用いることなく、容易に接合することが出来る。
【0018】
更に、管取付部材,直壁部材及びソケット部材に加えて、樹脂によって形成された斜壁部材と調整部材を有し、前記斜壁部材の所定位置には複数のアンカーボルト又はナットが埋設されていることが好ましい。マンホールをこのように構成することによって、路面との間の間隙を調整部材によって調整することが可能であり、該調整部材の上部に蓋を支持する蓋受け部材を配置してアンカーボルト或いはナットを利用して固定することが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、上記マンホールの好ましい実施形態について図を用いて説明する。図1はマンホールの組立状態を説明する図である。図2は管取付部材にソケット部材を取り付けた状態を説明する図である。図3はソケット部材の構成を説明する図である。図4は直壁部材の構成を説明する図である。図5は斜壁部材の構成を説明する図である。図6は調整部材を説明する図である。
【0020】
図に示すマンホールAは比較的小径の管からなる管路B,Cを中継し得るように構成されたものであり、一方側(流出側或いは下流側)の管路Bの深さを基準とし、他方側(流入側或いは上流側)の管路Cの深さ及び方向が管路Bの深さ,方向と異なるような場合であっても該管路Cを深さ及び方向に対し最適な位置に接続し得るように構成されている。
【0021】
即ち、マンホールAに於いて、管路Bを接続するための機能は予め一体的に形成されているものの、管路Cを接続するための機能は一体化されず、該管路Cの管路Bに対する高さや方向に応じた方向に形成し得るように構成されている。このため、マンホールAは管路B,Cを中継する際に、両者の高さの差や方向の変化に対して高い自由度を有することとなり、如何なる管路B,Cにも対応することが可能である。
【0022】
また直接地表に面した位置には鋳鉄或いは鋳鋼からなる蓋が配置され、該蓋を支持する鋳鉄,鋳鋼或いはコンクリート製品からなる受枠が配置される。この蓋及び受枠には路面を走行する自動車等による衝撃力が作用するが、これらが鋳鉄,鋳鋼或いはコンクリート製品であるため、充分な強度を発揮することが可能である。特に、前記コンクリート製品を支持する部位が高い強度を発揮することが可能な充分な厚さを有する樹脂によって形成される。このため、自動車の通行に伴う衝撃的な荷重が作用しても、この衝撃荷重に起因した破壊が生じることがなく、安定した機能を発揮することが可能である。
【0023】
上記樹脂としては、不飽和ポリエステルに炭酸カルシウム或いは下水道汚泥の焼却灰等のフィラーを加えたレジンコンクリート、比較的弾性に富んだポリエチレンに代表される合成樹脂等を利用することが可能である。
【0024】
特に、最近では工場等から梱包資材や養生資材を含む大量の使用済みプラスチックが廃棄(廃棄プラスチック,廃プラ)され、これら廃プラの再利用方法や廃棄処理方法を確立することも問題となっている。この問題を解決するため、本件発明者等は、廃プラの有効な再利用の一方法として該廃プラを利用してマンホールを成形する方法について種々の実験を行った。
【0025】
この結果、工場から廃棄される廃プラとして、例えばポリエチレン(PE)等の単一の材料を安定して得ることが出来ることを確認した。そして前記廃プラを再利用した場合であっても、異質な材料の混入による大幅な強度の劣化を招くことなくマンホールを成形し得ることが判明した。
【0026】
また上記の如き廃プラによってマンホールを成形する場合、射出成形によることなく、マンホールを構成する部材と同一の成形空間を形成した成形型に溶融した廃プラを注入する所謂注型成形法を採用することが出来ることが判明した。更に、注型成形の場合、比較的肉厚の成形品とすることが可能となり、部材の接合をボルトやタッピングネジ等のボルトを利用して行うことが出来ることが判明した。
【0027】
マンホールAは、底部が閉塞された管取付部材1と、管取付部材1の側壁に於ける所望の位置にボルト6によって取り付けられるソケット部材2と、管取付部材1の上方に配置されると共に該管取付部材1に連結される直壁部材3と、直壁部材3の上方に配置されると共に該直壁部材3に連結される斜壁部材4と、斜壁部材4の上方に配置されると共に該斜壁部材4に連結される調整部材5と、調整部材5の上方に配置されると共にボルト7によって斜壁部材4に取り付けられて図示しない蓋を支持する受枠8とを有して構成されている。
【0028】
特に、マンホールAを構成する管取付部材1,ソケット部材2,直壁部材3,斜壁部材4,調整部材5は、廃プラを利用して夫々目的の形状及び寸法に成形されている。廃プラの材料として特に限定するものではないが、PEのような、熱可塑性樹脂で適度な強度と適度な弾性を有するものであることが好ましい。
【0029】
成形品としての廃プラやシート状の廃プラは、そのままの形状で直ちに再利用し得るものではなく、単に適度な大きさに破砕した破片状のものを使用することが可能である。更に、廃プラから、粒状の或いはペレット状の中間材を形成することが好ましい。そして、この中間材を加熱して流動化させることで、マンホールAを構成する各部材1〜5の成形原料として使用することが可能である。
【0030】
次に、各部材1〜5の形状について説明する。先ず、図2,図3により管取付部材1とソケット部材2の構造を説明する。
【0031】
管取付部材1は、円筒状の側壁1aを有しており、該側壁1aの底部が下水の流通を規制する流路1bを形成した底盤1cによって閉塞されている。側壁1aはソケット部材2を取り付けるための壁面として形成されており、予め管路B,Cの高さの差に対応し得る長さ(例えば全長が約500mm,約700mm,約900mm等)を有する管取付部材1が用意される。即ち、予め側壁1aの高さ方向の寸法が異なる複数の管取付部材1が用意されており、これらの中から、目的の管路B,Cを中継するのに最適な寸法を持った管取付部材1が選択される。
【0032】
底盤1cに形成された流路1bは下流側に向けて流下する勾配が形成されており、該流路1bの下流側の端部であって側壁1aには、管路Bを嵌合して接続する接続突起1dが一体的に形成されている。即ち、流路1bの下流端に対向する側壁1aには管路Bの内径と等しい径を持った孔1eが形成されており、該孔1eの軸心と一致した軸心を持って接続突起1dが形成されている。また接続突起1dの自由端側から孔1eを形成した側壁1aに向けてテーパ状の孔1fと孔1gが連続して形成されている。孔1fは側壁1a側に突き当てられており該突当部分の径が管路Bの外径と等しく出口側に向けて径が大きくなるテーパ状に、孔1gはリング状のシール材10を嵌合し得る径を持ったストレート状に形成されている。
【0033】
従って、接続突起1dの自由端側から管路Bを嵌合すると、該管路Bは孔1gからテーパ状の孔1fに至り側壁1aに突き当たって停止する。このとき、管路Bの外周面はシール材10と接触してシールされ、内周は孔1eと連通する。従って、マンホールAに流れ込んだ下水は流路1bによって案内され管路Bから排出される。
【0034】
管取付部材1の側壁1aの上端部分には、直壁部材3の端部に形成されたフランジ部3aを嵌合して連結する溝1hが形成されている。この溝1hはフランジ部3aの突起部3eの径よりも大きい径を有しており、該溝1hの上部に予め設定された角度範囲の円弧状に形成され内径がフランジ部3aの円筒部3dの径よりも小さい径を有する係合片1iが突設されている。
【0035】
尚、直壁部材3のフランジ部3aを連結するための上記溝1h,係合片1iからなる部分は、後述する嵌合部3cの構造と同一であり、側壁1aの径と等しい径を持った直壁部材3であれば、該直壁部材3の長さが異なる場合であっても、全て同様に連結することが可能である。
【0036】
管取付部材1が成形された段階では、側壁1aにソケット部材2は取り付けられず、単に、側壁1aに接続突起1dが突設された状態である。そして、注文に応じて側壁1aの所定位置にソケット2をボルト6によって固定した状態で顧客に提供される。
【0037】
管取付部材1は、側壁1aの肉厚が約30mm程度に設定され、接続突起1dの肉厚も同程度に設定される、また底盤1cは約50mm程度の肉厚を持って形成されている。このような管取付部材1は、該管取付部材1の外形と略等しい形状を持った外型枠と、内形と略等しい形状を持った内型枠とを組み合わせた型枠装置に、溶融した廃プラを注入して固化することで製造される。このように、管取付部材1の側壁1aは充分な肉厚を持って成形されるため、ソケット部材2を取り付ける際に管路Cの内径と等しい孔1jを形成し、或いはボルト6を挿通するボルト孔1kを形成する際に、通常の穴明け工具であるホールソーや、ドリルによって容易に作業を行うことが可能である。
【0038】
ソケット部材2は、管取付部材1の側壁1aの所望の位置に取り付けられてjAに管路Cを接続する機能を有するものである。このソケット部材2は、一方側の端部が軸心に対して垂直な面2aが形成され、他方側の端部が管取付部材1の側壁1aの外径と略等しい曲面からなる当接面2bが形成された円筒状の部材として構成されている。
【0039】
ソケット部材2の内部には、管路Cの内径と略等しい貫通孔2cが形成されると共に面2a側から所定長さで非貫通孔となるテーパ状の孔2dと孔2eが連続して形成されている。前記孔2cは当接面2b側に突き当てられ、該突当部分の径が管路Cの外径と等しく且つ面2a側に向けて径が大きくなるテーパ状に、孔2eはリング状のシール材10を嵌合し得る径を持ったストレート状に形成されている。
【0040】
ソケット部材2の当接面2b側には、該ソケット部材2の外周面から複数の取付片2fが突設されており、該取付片2fに形成したボルト孔2gにボルト6を挿通し得るように構成されている。前記取付片1fの位置や数は特に限定するものではないが、本実施例では3個の取付片2fを等角度に分割した位置に設けている。
【0041】
上記ソケット部材2は、目的の管路B,Cの高さの差や方向に対応させて予め設定された管取付部材1の側壁1aに対する位置に取り付けられる。即ち、管取付部材1の側壁1aに於ける予め設定された位置には、管路Cの内径と略等しい径を持った孔1jが形成され、且つ孔1jの周囲に複数のボルト孔1kが形成される。
【0042】
そしてソケット部材2の当接面2bに図示しないシール材を取り付けた後、貫通孔2cを孔1jに一致させると共に取付片2fのボルト孔2gをボルト孔1kに一致させ、前記各ボルト孔2g,1kにボルト6を挿通してナットを締結することで、ソケット部材2を管取付部材1に於ける予め設定された位置に取り付けることが可能である。
【0043】
上記本実施例では、ソケット部材2を管取付部材1の側壁1aに取り付けるに際し、該側壁1aにボルト孔1kを形成してボルト6とナットを利用して固定しているが、必ずしもこの構成である必要はなく、タッピングネジ6を利用することが可能である。即ち、本実施例では、管取付部材1の側壁1aは肉厚が約30mmであり、タッピングネジ6を螺合してソケット部材2を保持するのに充分な厚さを有している。
【0044】
このため、側壁1aに管路Cの内径と略等しい孔1jを形成した後、該孔1jの周囲にボルト孔1kを形成することなく、ソケット部材2の貫通孔2cを一致させて保持し、この状態で取付片2fに形成したボルト孔2gにタッピングネジ6を挿通して螺合することで、ソケット部材2を取り付けることが可能である。特に、管取付部材1をPEのような適度な弾力性を持った材料を用いて成形することによって、タッピングネジ6を良好に螺合することが可能である。
【0045】
上記ソケット部材2は、該ソケット部材2の外形形状に略等しい形状を持った外型枠と、内形と略等しい形状を持った内型枠とを組み合わせた型枠装置に、溶融した廃プラを注入して固化することで製造される。
【0046】
次に、直壁部材3の構成について図4により説明する。直壁部材3は、管取付部材1の側壁1aの上端部分に連結されてマンホールAの高さ寸法を保持するものであり、円筒状の部材として形成されている。このため、直壁部材3は全長の異なる複数種類のもの(例えば300mm,600mm,900mm等)が提供され、目的のマンホールAの設置深さに応じて適度な長さを持ったものが選択的に使用される。
【0047】
直壁部材3の一方側の端部にはフランジ部3aが形成され、他方側の端部には斜壁部材4のフランジ部4aを嵌合する溝3bを有する嵌合部3cが形成されている。前記フランジ部3aは斜壁部材4のフランジ部4aと同一の構造を持ち且つ両者の太さが同じ場合、同一の寸法を持って形成される。また前記嵌合部3cは管取付部材1の側壁1aの上端部分に形成された溝1h,係合片1iからなる部分と同一の構造を持ち且つ両者の太さが同じ場合、同一の寸法を持って形成される。
【0048】
直壁部材3のフランジ部3aは、円筒部3dと突起部3eからなり、これらの円筒部3d,突起部3eが夫々等角度範囲に形成されている。特に、突起部3eは直壁部材3の端部が円筒部3dの直径よりも大きい径を持って該円筒部3dから張り出すように形成されており、この突起部3eが形成されることで、円筒部3dの外周であって突起部3eに対応する部位には溝3fが形成される。
【0049】
フランジ部3aを構成する円筒部3dと突起部3eの分割数は特に限定するものではなく、等角度で分割されていることが必要である。本実施例では、フランジ部3aは90度毎に4分割され、対向する部位に円筒部3d及び突起部3eが形成されている。
【0050】
連結部3cは、直壁部材3のフランジ3aと同一の寸法と形状を持って形成された斜壁部材4のフランジ部4aを嵌合して連結する機能を有するものである。尚、この連結部3cの構造は、前述した管取付部材1の側壁1aの上端部分に形成した
【0051】
このため、連結部3cは、フランジ部3aの突起部3eの径よりも大きい径を有する溝3bを有しており、該溝3bの上部に予め設定された角度範囲の円弧状に形成され内径がフランジ部3aの円筒部3dの径よりも小さい径を有する係合片3gが突設されている。
【0052】
従って、連結部3cの溝3b(管取付部材1の側壁1aに形成した溝1h)にフランジ部3aの突起部3eを対向させて嵌合させ、その後、相対的に90度回動させることで、フランジ部3aの突起部3eと連結部3cの係合片3g(側壁1に形成した係合片1i)を対向させることが可能となり、直壁部材3を引き上げたとき対応する部材(管取付部材1)と係合して離脱することがなく、互いに連結することが可能である。
【0053】
特に、予め溝3b,1hに防水充填剤を充填しておくか、或いは溝3b,1hにフランジ部3aの突起部3eを嵌合させた後、防水充填剤を充填することによって、管取付部材1と直壁部材3(同様に直壁部材3と斜壁部材4)を連結させると共に連結部の防水施工を行うことが可能である。
【0054】
上記直壁部材3は、該直壁部材3の外形形状に略等しい形状を持った外型枠と、内形と略等しい形状を持った内型枠とを組み合わせた型枠装置に、溶融した廃プラを注入して固化することで製造される。
【0055】
次に、斜壁部材4の構成について図5により説明する。斜壁部材4は直壁部材3の上端に連結され、上部に配置される蓋の受枠8を載置して固定する機能を有するものである。特に、受枠8は外径が直壁部材3の内径と略等しいか大きく形成され且つ鉄系金属によって形成された蓋を支持するものである。このため、受枠8の外径は直壁部材3の外径よりも大きい。
【0056】
このため、斜壁部材4は、下端側に形成され直壁部材3の嵌合部3cに嵌合して連結し且つフランジ部3aと同一の構造を持ったフランジ部4aと、フランジ部4aに連続して形成された斜壁部4bと、該斜壁部4bの上部に形成された載置部4cと、を有して構成されている。
【0057】
フランジ部4aは、円筒部4dと突起部4eからなり、これらの円筒部4d,突起部4eが夫々等角度範囲に形成されている。突起部4eは円筒部4dの直径よりも大きい径を持って張り出すように形成されており、この突起部4eが形成されることで、円筒部4dの外周であって突起部4eに対応する部位には溝4fが形成される。
【0058】
載置部4cは外径が受枠8のフランジの外径と等しい値を有しており、この値はフランジ部4aの径よりも大きい。このため、斜壁部4bは、載置部4cの径とフランジ部4aの径の差に応じた傾斜を有しており、この傾斜によって両者を連結するものである。
【0059】
載置部4cは、直接或いは調整部材5を介して載置された受枠8を固定する機能を有する。このため、載置部4cには、複数のアンカー11が埋設されている。このアンカー11としては、アンカーボルト,アンカーナットの何れであっても良く、また埋設数は受枠8を強固に一体化しておくのに必要な数であれば良い。本実施例では、アンカー11としてアンカーナットを用い、3本のアンカーナット11をインサート成形することで載置部4cに配置している。
【0060】
上記斜壁部材4は、該斜壁部材4の外形形状に略等しい形状を持った外型枠と、内形と略等しい形状を持った内型枠とを組み合わせた型枠装置に、溶融した廃プラを注入して固化することで製造される。
【0061】
調整部材5はマンホールAを設置する際に、管路Bの敷設深さと管取付部材1,直壁部材3,斜壁部材4,受枠8を加えた高さとの差を解消するために利用されるものであり、予め設定された厚さの異なる複数の調整部材5が用意される。そして実際のマンホールAに応じて適宜選択した調整部材5を用いることで蓋のレベルを地表と一致させるようにしている。
【0062】
このため、調整部材5は、図6に示すように、所定の厚さを持ったリング状の部材として構成されており、斜壁部材4に設けたアンカーナット11に対応する位置に夫々ボルト穴5aが形成されている。調整部材5の厚さは特に限定するものではないが、本実施例では、100mm,50mm,10mmに設定されており、これらの中から、目的のマンホールAに対応させて調整部材5の厚さ及び数を選択することで、地表から管路Bまでの深さに対応させることが可能なように構成されている。
【0063】
上記調整部材5は、該調整部材5の外形形状に略等しい形状を持った外型枠と、内形と略等しい形状を持った内型枠とを組み合わせた型枠装置に、溶融した廃プラを注入して固化することで製造される。
【0064】
受枠8は、図示しない蓋を支持するものであり、一部が直接地表に露出して自動車等の走行に伴う衝撃を受ける。このため、受枠8は、前記衝撃に耐え得る材料、例えば鋳鉄や鋳鋼或いはコンクリート製品として構成されている。
【0065】
また受枠8には、上端に蓋を受け入れる受け部8aを形成したボス部8bと、該ボス部8bの下端側に形成されたフランジ部8cを有して構成されている。そしてフランジ部8cには斜壁部材4に埋設されたアンカーナット11の位置に対応して夫々ボルト穴が形成され、該ボルト穴にボルト7を挿通してアンカーナット11に螺合させることで、受枠8を斜壁部材4に固定することが可能である。
【0066】
次に、上記各部材によってマンホールAを設置する際の手順を説明する。本実施例に於いて、マンホールAは管路B,Cの敷設深さを基準として各部材の高さ方向の寸法が設定される。即ち、管路Bと管路Cの敷設深さが設定されたとき、両者のレベル差に応じた最適な長さの側壁1aを持った管取付部材1を選択する。そして選択された管取付部材1の側壁1aに於ける管路B,Cのレベル差に応じた部位にソケット部材2を取り付ける。
【0067】
管路Bの敷設深さと管取付部材1の側壁1aの長さが設定された後、最適な長さの直壁部材3を選択し、選択された管取付部材1,直壁部材3,斜壁部材4,受枠8の高さ寸法と管路Bの敷設深さが一致しない場合、この差に応じた調整部材5を選択することで調整し、これにより、目的の中継点に於ける最適なマンホールAを設定することが可能である。
【0068】
マンホールAの組み立ては、予め高さ方向を組み立てておき、現場で管路B,Cのつなぎ込みをしても良く、各部材を個別に持ち込んで、マンホールAの組み立て自体を現場で行っても良い。何れにしても、マンホールAを構成する各部材が廃プラを原料として成形したものであるため、大きな重量を持つものではなく、容易な作業で簡単に構成することが可能である。
【0069】
尚、上記実施例では、管路Cを嵌合したソケット部材2を管取付部材1の側壁1aに取り付けることで、該管取付部材1に接続した管路Bとの中継をはかるように構成しているが、必ずしもこの構成に限定するものではなく、ソケット部材2を直壁部材3の側壁に接続しても良いことは当然である。
【0070】
またマンホールAを成形する原料として、工場等から梱包資材や養生資材を含む廃プラを利用することによって、今後、大量に発生することが推測される廃プラの再利用方法の確立をはかることが可能となる。従って、資源の再利用を実現して産業廃棄物の削減をはかることが可能である。
【0071】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明に係るマンホールでは、マンホールの主要部を構成する部材を夫々樹脂を利用して成形したので、軽量で高い強度を発揮することが出来るマンホールを構成することが出来る。特に、樹脂として廃プラを利用した場合には、廃プラの有効な再利用をはかることで資源の活用と産業廃棄物の削減をはかることが出来る。
【0072】
また管取付部材の側壁に他方の管路を接続する孔を形成し、該孔に貫通孔を対向させてソケット部材を固定することで、管路の径がマンホールの内径に近い値を有する場合であっても、確実に管取付部材に取り付けることが出来る。特に、ソケット部材を管取付部材,直壁部材に取り付けるに際し、ボルトを利用することで、作業員の技能に起因する不都合を排除することが出来、接着剤や溶接を行う必要がなくなり、作業が容易で且つ確実な取付強度を発揮することが出来る。
【0073】
また管取付部材と直壁部材の対向する端部に、互いに嵌合させて係合させるフランジ部と嵌合部を設けることで、両者を嵌合させたとき、互いに抜けることがない。このため、特別な器具を用いることなく、容易に連結することが出来る。
【0074】
更に、管取付部材,直壁部材及びソケット部材に加えて、樹脂によって形成された斜壁部材と所定位置に複数のアンカーを設けた調整部材を有することで、路面との間の間隙を調整部材によって調整することが可能であり、該調整部材の上部に蓋を支持する蓋受け部材を配置してアンカーを利用して固定することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】マンホールの組立状態を説明する図である。
【図2】管取付部材にソケット部材を取り付けた状態を説明する図である。
【図3】ソケット部材の構成を説明する図である。
【図4】直壁部材の構成を説明する図である。
【図5】斜壁部材の構成を説明する図である。
【図6】調整部材を説明する図である。
【符号の説明】
A マンホール
B,C 管路
1 管取付部材
1a 側壁
1b 流路
1c 底盤
1d 接続突起
1e〜1g,1j 孔
1h 溝
1i 係合片
1k ボルト孔
2 ソケット部材
2a 面
2b 当接面
2c 貫通孔
2d,2e 孔
2f 取付片
2g ボルト孔
3 直壁部材
3a フランジ部
3b 溝
3c 嵌合部
3d 円筒部
3e 突起部
3f 溝
4 斜壁部材
4a フランジ部
4b 斜壁部
4c 載置部
4d 円筒部
4e 突起部
4f 溝
5 調整部材
5a ボルト
6,7 ボルト
8 受枠
8a 受け部
8b ボス部
8c フランジ部
10 シール材
11 アンカー
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂を利用して成形したマンホールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
地中には上水道管やガス管を含む多数の管路が敷設されているが、このような管路の中に雨水や汚水を流通させる下水道管路がある。この下水道管路では、幹線を構成する管路には常に多くの下水が流通するため、比較的径が大きいヒューム管を用いて敷設するのが一般的である。しかし、前記幹線と個々の家庭とを接続する枝管路では、下水の標準的な流量は大きなものではない。このため、最近では、枝管路を合成樹脂管を用いて敷設することがある。
【0003】
上記合成樹脂管を用いて敷設された管路では、適度な間隔を持って或いは予め設定された位置にマンホールが設置される。前記マンホールは直線方向に敷設された合成樹脂管からなる管路や、異なる方向に敷設された合成樹脂管からなる管路を中継し、且つ該管路の保守や点検を行う際に利用される。
【0004】
合成樹脂管からなる管路に利用されるマンホールとして、塩化ビニル(塩ビ)を主たる材料として射出成形法やブロー成形法によって形成したものが提供されている。このようなマンホールでは、底部に配置されるインバート部材と、このインバート部材の上部に接続される円筒状の直壁管部材と、この直壁管部材の更に上部に接続されて路面との間の傾斜や寸法を調整するリング部材と、マンホール蓋を取り付ける蓋受け部材と、を有して構成されるのが一般的である。
【0005】
上記塩ビ製のマンホールでは、塩ビが比較的強度が大きく且つ高い硬度を有するため、肉厚を薄く軽量に構成することが出来る。しかし、塩ビの性質が高い脆性を有するため、ドリルによる穴あけを含む機械加工性が悪く、且つ耐衝撃性が極めて悪い。また、塩ビの強度では、経済性を考慮した一般的な厚さとしたとき、道路を通行する自動車による荷重を受けることが出来ないという問題がある。
【0006】
上記インバート部材は、縦方向に形成された筒状部と、この筒状部の底部に下水の流路が成形されると共に、筒状部の側壁であって前記流路の上流側及び下流側に円筒状の突起部が形成されている。そして、夫々の突起部にシール材を介して上流側の管路,下流側の管路を嵌合することで2方向の管路を中継し得るように構成されている。前記各突起部は縦方向の筒状部に一体的に成形されており、高さや方向の自由度は全くない。
【0007】
しかし、下水道管路を中継する機能を持ったマンホールでは、上流側の管路と下流側の管路とが同一軸心上に敷設されるという限定はなく、地中に於ける深さが異なったり、平面内の方向が異なるのが一般的である。即ち、マンホールに流入する管路かマンホールから流出する管路の何れか一方の管路を基準としたとき、他方の管路はマンホールに於ける高さ方向及び周方向の何処に形成されるかは一義的に設定し得るものではない。
【0008】
このため、インバート部材の側壁或いは直壁管部材の側壁の高さ方向、及び周方向の所望の位置に管路を接続し得るように構成された塩ビ製のマンホールも提供されている。このマンホールは、マンホールの縦方向の壁の外周面か内周面に当接し得る曲面を持ったフランジと、該フランジから突設された円筒部とを設けた接続部材を有し、前記インバート部材の側壁或いは直壁管部材の側壁に接続部材の筒状部の内径と等しい穴を形成すると共にフランジを溶接或いは接着して固定することで、固定した接続部材に上流側の管路を接続して中継し得るように構成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記塩ビ製のマンホールに於いて、インバート部材の側壁或いは直壁管部材の側壁の所望の位置に管路を接続し得るように構成したマンホールでは、肉厚が薄く且つ耐衝撃性に劣るため、これらの側壁に穴を形成することが困難であり、管路を接続するための部材を固定する際に接着か溶接せざるを得ず、作業が煩雑で且つ作業員の技能によって性能が変化してしまうことがあるという問題がある。
【0010】
また塩ビが強度及び耐衝撃性に劣るため、直接路面に配置されてマンホール蓋を支持する受け部材として構成することが出来ないという問題や、マンホールを構成する直壁管部材を受け部材に直接接続した場合、該受け部材に伝達される衝撃力によって直壁管部材が破壊する虞があるため、受け部材との間に緩衝材を設ける必要が生じるという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、径の小さい主として合成樹脂管からなる管路に設置されるマンホールであって、少なくとも一方の管路が如何なる高さで且つ如何なる方向に敷設されていても容易に接続して中継し得るマンホールを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係るマンホールは、地中に敷設された少なくとも2方向の管路を中継するマンホールであって、底部が底部材によって閉塞されると共に側壁の所定位置に前記2方向の管路の一方が接続される接続部が形成され且つ上方が開放された管取付部材と、前記管取付部材の上部に配置されて該管取付部材に連結される直壁部材と、内部に前記2方向の管路の他方の管路の内径と略等しい径を持った貫通孔を形成すると共に一方側の端部から前記管路を嵌合させる非貫通穴を形成し且つ他方の端部を前記管取付部材又は直壁部材の外径と略等しい径を持った曲面状に形成すると共に該他方の端部に複数のボルト孔を形成した固定部を形成したソケット部材と、を有し、前記管取付部材,直壁部材及びソケット部材が樹脂によって形成されたものである。
【0013】
上記マンホールに於いて、管取付部材又は直壁部材の側壁であって他方の管路を接続すべき位置に該管路の内径と略等しい孔を形成し、該孔にソケット部材の貫通孔を対向させ、且つソケット部材と管取付部材又は直壁部材とをボルトを介して固定することが好ましい。
【0014】
上記の如く構成したマンホールでは、管取付部材又は直壁部材の側壁に管路の内径と等しい径の孔を形成し、この孔にソケット部材の貫通孔を対向させてボルトを介して固定したので、管取付部材又は直壁部材の径に対し管路の径が接近した値を有するような場合であっても、該管路を管取付部材又は直壁部材に確実に取り付けることが出来る。
【0015】
ソケット部材を管取付部材又は直壁部材に取り付けるに際し、ボルトを利用することで、作業員の技能に起因する不都合を排除することが出来る。特に、接着剤や溶接を行う必要がなくなり、作業が容易で且つ確実な取付強度を発揮することが出来る。
【0016】
また上記マンホールに於いて、管取付部材と直壁部材の対向する端部に於ける一方側に外周を複数の角度に分割すると共に分割された角度範囲を異なる半径からなる円弧を連続させたフランジ部を形成し、他方側に前記フランジ部の形状と略等しい形状を持った開口部と該開口部に連続して前記フランジ部の最大半径よりも大きい半径部分を有する溝とを形成し、管取付部材の上方に直壁部材を対向させると共にフランジを開口部を経て溝に嵌合させて連結することが好ましい。
【0017】
上記の如く構成したマンホールでは、管取付部材の上方に直壁部材を配置し、一方の端部に形成された溝に、他方の端部に形成されたフランジ部を嵌合した後、これらを相対的に回転させることで、溝とフランジ部の異なる半径部分が互いに当接して抜けることがない。このため、特別な器具を用いることなく、容易に接合することが出来る。
【0018】
更に、管取付部材,直壁部材及びソケット部材に加えて、樹脂によって形成された斜壁部材と調整部材を有し、前記斜壁部材の所定位置には複数のアンカーボルト又はナットが埋設されていることが好ましい。マンホールをこのように構成することによって、路面との間の間隙を調整部材によって調整することが可能であり、該調整部材の上部に蓋を支持する蓋受け部材を配置してアンカーボルト或いはナットを利用して固定することが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、上記マンホールの好ましい実施形態について図を用いて説明する。図1はマンホールの組立状態を説明する図である。図2は管取付部材にソケット部材を取り付けた状態を説明する図である。図3はソケット部材の構成を説明する図である。図4は直壁部材の構成を説明する図である。図5は斜壁部材の構成を説明する図である。図6は調整部材を説明する図である。
【0020】
図に示すマンホールAは比較的小径の管からなる管路B,Cを中継し得るように構成されたものであり、一方側(流出側或いは下流側)の管路Bの深さを基準とし、他方側(流入側或いは上流側)の管路Cの深さ及び方向が管路Bの深さ,方向と異なるような場合であっても該管路Cを深さ及び方向に対し最適な位置に接続し得るように構成されている。
【0021】
即ち、マンホールAに於いて、管路Bを接続するための機能は予め一体的に形成されているものの、管路Cを接続するための機能は一体化されず、該管路Cの管路Bに対する高さや方向に応じた方向に形成し得るように構成されている。このため、マンホールAは管路B,Cを中継する際に、両者の高さの差や方向の変化に対して高い自由度を有することとなり、如何なる管路B,Cにも対応することが可能である。
【0022】
また直接地表に面した位置には鋳鉄或いは鋳鋼からなる蓋が配置され、該蓋を支持する鋳鉄,鋳鋼或いはコンクリート製品からなる受枠が配置される。この蓋及び受枠には路面を走行する自動車等による衝撃力が作用するが、これらが鋳鉄,鋳鋼或いはコンクリート製品であるため、充分な強度を発揮することが可能である。特に、前記コンクリート製品を支持する部位が高い強度を発揮することが可能な充分な厚さを有する樹脂によって形成される。このため、自動車の通行に伴う衝撃的な荷重が作用しても、この衝撃荷重に起因した破壊が生じることがなく、安定した機能を発揮することが可能である。
【0023】
上記樹脂としては、不飽和ポリエステルに炭酸カルシウム或いは下水道汚泥の焼却灰等のフィラーを加えたレジンコンクリート、比較的弾性に富んだポリエチレンに代表される合成樹脂等を利用することが可能である。
【0024】
特に、最近では工場等から梱包資材や養生資材を含む大量の使用済みプラスチックが廃棄(廃棄プラスチック,廃プラ)され、これら廃プラの再利用方法や廃棄処理方法を確立することも問題となっている。この問題を解決するため、本件発明者等は、廃プラの有効な再利用の一方法として該廃プラを利用してマンホールを成形する方法について種々の実験を行った。
【0025】
この結果、工場から廃棄される廃プラとして、例えばポリエチレン(PE)等の単一の材料を安定して得ることが出来ることを確認した。そして前記廃プラを再利用した場合であっても、異質な材料の混入による大幅な強度の劣化を招くことなくマンホールを成形し得ることが判明した。
【0026】
また上記の如き廃プラによってマンホールを成形する場合、射出成形によることなく、マンホールを構成する部材と同一の成形空間を形成した成形型に溶融した廃プラを注入する所謂注型成形法を採用することが出来ることが判明した。更に、注型成形の場合、比較的肉厚の成形品とすることが可能となり、部材の接合をボルトやタッピングネジ等のボルトを利用して行うことが出来ることが判明した。
【0027】
マンホールAは、底部が閉塞された管取付部材1と、管取付部材1の側壁に於ける所望の位置にボルト6によって取り付けられるソケット部材2と、管取付部材1の上方に配置されると共に該管取付部材1に連結される直壁部材3と、直壁部材3の上方に配置されると共に該直壁部材3に連結される斜壁部材4と、斜壁部材4の上方に配置されると共に該斜壁部材4に連結される調整部材5と、調整部材5の上方に配置されると共にボルト7によって斜壁部材4に取り付けられて図示しない蓋を支持する受枠8とを有して構成されている。
【0028】
特に、マンホールAを構成する管取付部材1,ソケット部材2,直壁部材3,斜壁部材4,調整部材5は、廃プラを利用して夫々目的の形状及び寸法に成形されている。廃プラの材料として特に限定するものではないが、PEのような、熱可塑性樹脂で適度な強度と適度な弾性を有するものであることが好ましい。
【0029】
成形品としての廃プラやシート状の廃プラは、そのままの形状で直ちに再利用し得るものではなく、単に適度な大きさに破砕した破片状のものを使用することが可能である。更に、廃プラから、粒状の或いはペレット状の中間材を形成することが好ましい。そして、この中間材を加熱して流動化させることで、マンホールAを構成する各部材1〜5の成形原料として使用することが可能である。
【0030】
次に、各部材1〜5の形状について説明する。先ず、図2,図3により管取付部材1とソケット部材2の構造を説明する。
【0031】
管取付部材1は、円筒状の側壁1aを有しており、該側壁1aの底部が下水の流通を規制する流路1bを形成した底盤1cによって閉塞されている。側壁1aはソケット部材2を取り付けるための壁面として形成されており、予め管路B,Cの高さの差に対応し得る長さ(例えば全長が約500mm,約700mm,約900mm等)を有する管取付部材1が用意される。即ち、予め側壁1aの高さ方向の寸法が異なる複数の管取付部材1が用意されており、これらの中から、目的の管路B,Cを中継するのに最適な寸法を持った管取付部材1が選択される。
【0032】
底盤1cに形成された流路1bは下流側に向けて流下する勾配が形成されており、該流路1bの下流側の端部であって側壁1aには、管路Bを嵌合して接続する接続突起1dが一体的に形成されている。即ち、流路1bの下流端に対向する側壁1aには管路Bの内径と等しい径を持った孔1eが形成されており、該孔1eの軸心と一致した軸心を持って接続突起1dが形成されている。また接続突起1dの自由端側から孔1eを形成した側壁1aに向けてテーパ状の孔1fと孔1gが連続して形成されている。孔1fは側壁1a側に突き当てられており該突当部分の径が管路Bの外径と等しく出口側に向けて径が大きくなるテーパ状に、孔1gはリング状のシール材10を嵌合し得る径を持ったストレート状に形成されている。
【0033】
従って、接続突起1dの自由端側から管路Bを嵌合すると、該管路Bは孔1gからテーパ状の孔1fに至り側壁1aに突き当たって停止する。このとき、管路Bの外周面はシール材10と接触してシールされ、内周は孔1eと連通する。従って、マンホールAに流れ込んだ下水は流路1bによって案内され管路Bから排出される。
【0034】
管取付部材1の側壁1aの上端部分には、直壁部材3の端部に形成されたフランジ部3aを嵌合して連結する溝1hが形成されている。この溝1hはフランジ部3aの突起部3eの径よりも大きい径を有しており、該溝1hの上部に予め設定された角度範囲の円弧状に形成され内径がフランジ部3aの円筒部3dの径よりも小さい径を有する係合片1iが突設されている。
【0035】
尚、直壁部材3のフランジ部3aを連結するための上記溝1h,係合片1iからなる部分は、後述する嵌合部3cの構造と同一であり、側壁1aの径と等しい径を持った直壁部材3であれば、該直壁部材3の長さが異なる場合であっても、全て同様に連結することが可能である。
【0036】
管取付部材1が成形された段階では、側壁1aにソケット部材2は取り付けられず、単に、側壁1aに接続突起1dが突設された状態である。そして、注文に応じて側壁1aの所定位置にソケット2をボルト6によって固定した状態で顧客に提供される。
【0037】
管取付部材1は、側壁1aの肉厚が約30mm程度に設定され、接続突起1dの肉厚も同程度に設定される、また底盤1cは約50mm程度の肉厚を持って形成されている。このような管取付部材1は、該管取付部材1の外形と略等しい形状を持った外型枠と、内形と略等しい形状を持った内型枠とを組み合わせた型枠装置に、溶融した廃プラを注入して固化することで製造される。このように、管取付部材1の側壁1aは充分な肉厚を持って成形されるため、ソケット部材2を取り付ける際に管路Cの内径と等しい孔1jを形成し、或いはボルト6を挿通するボルト孔1kを形成する際に、通常の穴明け工具であるホールソーや、ドリルによって容易に作業を行うことが可能である。
【0038】
ソケット部材2は、管取付部材1の側壁1aの所望の位置に取り付けられてjAに管路Cを接続する機能を有するものである。このソケット部材2は、一方側の端部が軸心に対して垂直な面2aが形成され、他方側の端部が管取付部材1の側壁1aの外径と略等しい曲面からなる当接面2bが形成された円筒状の部材として構成されている。
【0039】
ソケット部材2の内部には、管路Cの内径と略等しい貫通孔2cが形成されると共に面2a側から所定長さで非貫通孔となるテーパ状の孔2dと孔2eが連続して形成されている。前記孔2cは当接面2b側に突き当てられ、該突当部分の径が管路Cの外径と等しく且つ面2a側に向けて径が大きくなるテーパ状に、孔2eはリング状のシール材10を嵌合し得る径を持ったストレート状に形成されている。
【0040】
ソケット部材2の当接面2b側には、該ソケット部材2の外周面から複数の取付片2fが突設されており、該取付片2fに形成したボルト孔2gにボルト6を挿通し得るように構成されている。前記取付片1fの位置や数は特に限定するものではないが、本実施例では3個の取付片2fを等角度に分割した位置に設けている。
【0041】
上記ソケット部材2は、目的の管路B,Cの高さの差や方向に対応させて予め設定された管取付部材1の側壁1aに対する位置に取り付けられる。即ち、管取付部材1の側壁1aに於ける予め設定された位置には、管路Cの内径と略等しい径を持った孔1jが形成され、且つ孔1jの周囲に複数のボルト孔1kが形成される。
【0042】
そしてソケット部材2の当接面2bに図示しないシール材を取り付けた後、貫通孔2cを孔1jに一致させると共に取付片2fのボルト孔2gをボルト孔1kに一致させ、前記各ボルト孔2g,1kにボルト6を挿通してナットを締結することで、ソケット部材2を管取付部材1に於ける予め設定された位置に取り付けることが可能である。
【0043】
上記本実施例では、ソケット部材2を管取付部材1の側壁1aに取り付けるに際し、該側壁1aにボルト孔1kを形成してボルト6とナットを利用して固定しているが、必ずしもこの構成である必要はなく、タッピングネジ6を利用することが可能である。即ち、本実施例では、管取付部材1の側壁1aは肉厚が約30mmであり、タッピングネジ6を螺合してソケット部材2を保持するのに充分な厚さを有している。
【0044】
このため、側壁1aに管路Cの内径と略等しい孔1jを形成した後、該孔1jの周囲にボルト孔1kを形成することなく、ソケット部材2の貫通孔2cを一致させて保持し、この状態で取付片2fに形成したボルト孔2gにタッピングネジ6を挿通して螺合することで、ソケット部材2を取り付けることが可能である。特に、管取付部材1をPEのような適度な弾力性を持った材料を用いて成形することによって、タッピングネジ6を良好に螺合することが可能である。
【0045】
上記ソケット部材2は、該ソケット部材2の外形形状に略等しい形状を持った外型枠と、内形と略等しい形状を持った内型枠とを組み合わせた型枠装置に、溶融した廃プラを注入して固化することで製造される。
【0046】
次に、直壁部材3の構成について図4により説明する。直壁部材3は、管取付部材1の側壁1aの上端部分に連結されてマンホールAの高さ寸法を保持するものであり、円筒状の部材として形成されている。このため、直壁部材3は全長の異なる複数種類のもの(例えば300mm,600mm,900mm等)が提供され、目的のマンホールAの設置深さに応じて適度な長さを持ったものが選択的に使用される。
【0047】
直壁部材3の一方側の端部にはフランジ部3aが形成され、他方側の端部には斜壁部材4のフランジ部4aを嵌合する溝3bを有する嵌合部3cが形成されている。前記フランジ部3aは斜壁部材4のフランジ部4aと同一の構造を持ち且つ両者の太さが同じ場合、同一の寸法を持って形成される。また前記嵌合部3cは管取付部材1の側壁1aの上端部分に形成された溝1h,係合片1iからなる部分と同一の構造を持ち且つ両者の太さが同じ場合、同一の寸法を持って形成される。
【0048】
直壁部材3のフランジ部3aは、円筒部3dと突起部3eからなり、これらの円筒部3d,突起部3eが夫々等角度範囲に形成されている。特に、突起部3eは直壁部材3の端部が円筒部3dの直径よりも大きい径を持って該円筒部3dから張り出すように形成されており、この突起部3eが形成されることで、円筒部3dの外周であって突起部3eに対応する部位には溝3fが形成される。
【0049】
フランジ部3aを構成する円筒部3dと突起部3eの分割数は特に限定するものではなく、等角度で分割されていることが必要である。本実施例では、フランジ部3aは90度毎に4分割され、対向する部位に円筒部3d及び突起部3eが形成されている。
【0050】
連結部3cは、直壁部材3のフランジ3aと同一の寸法と形状を持って形成された斜壁部材4のフランジ部4aを嵌合して連結する機能を有するものである。尚、この連結部3cの構造は、前述した管取付部材1の側壁1aの上端部分に形成した
【0051】
このため、連結部3cは、フランジ部3aの突起部3eの径よりも大きい径を有する溝3bを有しており、該溝3bの上部に予め設定された角度範囲の円弧状に形成され内径がフランジ部3aの円筒部3dの径よりも小さい径を有する係合片3gが突設されている。
【0052】
従って、連結部3cの溝3b(管取付部材1の側壁1aに形成した溝1h)にフランジ部3aの突起部3eを対向させて嵌合させ、その後、相対的に90度回動させることで、フランジ部3aの突起部3eと連結部3cの係合片3g(側壁1に形成した係合片1i)を対向させることが可能となり、直壁部材3を引き上げたとき対応する部材(管取付部材1)と係合して離脱することがなく、互いに連結することが可能である。
【0053】
特に、予め溝3b,1hに防水充填剤を充填しておくか、或いは溝3b,1hにフランジ部3aの突起部3eを嵌合させた後、防水充填剤を充填することによって、管取付部材1と直壁部材3(同様に直壁部材3と斜壁部材4)を連結させると共に連結部の防水施工を行うことが可能である。
【0054】
上記直壁部材3は、該直壁部材3の外形形状に略等しい形状を持った外型枠と、内形と略等しい形状を持った内型枠とを組み合わせた型枠装置に、溶融した廃プラを注入して固化することで製造される。
【0055】
次に、斜壁部材4の構成について図5により説明する。斜壁部材4は直壁部材3の上端に連結され、上部に配置される蓋の受枠8を載置して固定する機能を有するものである。特に、受枠8は外径が直壁部材3の内径と略等しいか大きく形成され且つ鉄系金属によって形成された蓋を支持するものである。このため、受枠8の外径は直壁部材3の外径よりも大きい。
【0056】
このため、斜壁部材4は、下端側に形成され直壁部材3の嵌合部3cに嵌合して連結し且つフランジ部3aと同一の構造を持ったフランジ部4aと、フランジ部4aに連続して形成された斜壁部4bと、該斜壁部4bの上部に形成された載置部4cと、を有して構成されている。
【0057】
フランジ部4aは、円筒部4dと突起部4eからなり、これらの円筒部4d,突起部4eが夫々等角度範囲に形成されている。突起部4eは円筒部4dの直径よりも大きい径を持って張り出すように形成されており、この突起部4eが形成されることで、円筒部4dの外周であって突起部4eに対応する部位には溝4fが形成される。
【0058】
載置部4cは外径が受枠8のフランジの外径と等しい値を有しており、この値はフランジ部4aの径よりも大きい。このため、斜壁部4bは、載置部4cの径とフランジ部4aの径の差に応じた傾斜を有しており、この傾斜によって両者を連結するものである。
【0059】
載置部4cは、直接或いは調整部材5を介して載置された受枠8を固定する機能を有する。このため、載置部4cには、複数のアンカー11が埋設されている。このアンカー11としては、アンカーボルト,アンカーナットの何れであっても良く、また埋設数は受枠8を強固に一体化しておくのに必要な数であれば良い。本実施例では、アンカー11としてアンカーナットを用い、3本のアンカーナット11をインサート成形することで載置部4cに配置している。
【0060】
上記斜壁部材4は、該斜壁部材4の外形形状に略等しい形状を持った外型枠と、内形と略等しい形状を持った内型枠とを組み合わせた型枠装置に、溶融した廃プラを注入して固化することで製造される。
【0061】
調整部材5はマンホールAを設置する際に、管路Bの敷設深さと管取付部材1,直壁部材3,斜壁部材4,受枠8を加えた高さとの差を解消するために利用されるものであり、予め設定された厚さの異なる複数の調整部材5が用意される。そして実際のマンホールAに応じて適宜選択した調整部材5を用いることで蓋のレベルを地表と一致させるようにしている。
【0062】
このため、調整部材5は、図6に示すように、所定の厚さを持ったリング状の部材として構成されており、斜壁部材4に設けたアンカーナット11に対応する位置に夫々ボルト穴5aが形成されている。調整部材5の厚さは特に限定するものではないが、本実施例では、100mm,50mm,10mmに設定されており、これらの中から、目的のマンホールAに対応させて調整部材5の厚さ及び数を選択することで、地表から管路Bまでの深さに対応させることが可能なように構成されている。
【0063】
上記調整部材5は、該調整部材5の外形形状に略等しい形状を持った外型枠と、内形と略等しい形状を持った内型枠とを組み合わせた型枠装置に、溶融した廃プラを注入して固化することで製造される。
【0064】
受枠8は、図示しない蓋を支持するものであり、一部が直接地表に露出して自動車等の走行に伴う衝撃を受ける。このため、受枠8は、前記衝撃に耐え得る材料、例えば鋳鉄や鋳鋼或いはコンクリート製品として構成されている。
【0065】
また受枠8には、上端に蓋を受け入れる受け部8aを形成したボス部8bと、該ボス部8bの下端側に形成されたフランジ部8cを有して構成されている。そしてフランジ部8cには斜壁部材4に埋設されたアンカーナット11の位置に対応して夫々ボルト穴が形成され、該ボルト穴にボルト7を挿通してアンカーナット11に螺合させることで、受枠8を斜壁部材4に固定することが可能である。
【0066】
次に、上記各部材によってマンホールAを設置する際の手順を説明する。本実施例に於いて、マンホールAは管路B,Cの敷設深さを基準として各部材の高さ方向の寸法が設定される。即ち、管路Bと管路Cの敷設深さが設定されたとき、両者のレベル差に応じた最適な長さの側壁1aを持った管取付部材1を選択する。そして選択された管取付部材1の側壁1aに於ける管路B,Cのレベル差に応じた部位にソケット部材2を取り付ける。
【0067】
管路Bの敷設深さと管取付部材1の側壁1aの長さが設定された後、最適な長さの直壁部材3を選択し、選択された管取付部材1,直壁部材3,斜壁部材4,受枠8の高さ寸法と管路Bの敷設深さが一致しない場合、この差に応じた調整部材5を選択することで調整し、これにより、目的の中継点に於ける最適なマンホールAを設定することが可能である。
【0068】
マンホールAの組み立ては、予め高さ方向を組み立てておき、現場で管路B,Cのつなぎ込みをしても良く、各部材を個別に持ち込んで、マンホールAの組み立て自体を現場で行っても良い。何れにしても、マンホールAを構成する各部材が廃プラを原料として成形したものであるため、大きな重量を持つものではなく、容易な作業で簡単に構成することが可能である。
【0069】
尚、上記実施例では、管路Cを嵌合したソケット部材2を管取付部材1の側壁1aに取り付けることで、該管取付部材1に接続した管路Bとの中継をはかるように構成しているが、必ずしもこの構成に限定するものではなく、ソケット部材2を直壁部材3の側壁に接続しても良いことは当然である。
【0070】
またマンホールAを成形する原料として、工場等から梱包資材や養生資材を含む廃プラを利用することによって、今後、大量に発生することが推測される廃プラの再利用方法の確立をはかることが可能となる。従って、資源の再利用を実現して産業廃棄物の削減をはかることが可能である。
【0071】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明に係るマンホールでは、マンホールの主要部を構成する部材を夫々樹脂を利用して成形したので、軽量で高い強度を発揮することが出来るマンホールを構成することが出来る。特に、樹脂として廃プラを利用した場合には、廃プラの有効な再利用をはかることで資源の活用と産業廃棄物の削減をはかることが出来る。
【0072】
また管取付部材の側壁に他方の管路を接続する孔を形成し、該孔に貫通孔を対向させてソケット部材を固定することで、管路の径がマンホールの内径に近い値を有する場合であっても、確実に管取付部材に取り付けることが出来る。特に、ソケット部材を管取付部材,直壁部材に取り付けるに際し、ボルトを利用することで、作業員の技能に起因する不都合を排除することが出来、接着剤や溶接を行う必要がなくなり、作業が容易で且つ確実な取付強度を発揮することが出来る。
【0073】
また管取付部材と直壁部材の対向する端部に、互いに嵌合させて係合させるフランジ部と嵌合部を設けることで、両者を嵌合させたとき、互いに抜けることがない。このため、特別な器具を用いることなく、容易に連結することが出来る。
【0074】
更に、管取付部材,直壁部材及びソケット部材に加えて、樹脂によって形成された斜壁部材と所定位置に複数のアンカーを設けた調整部材を有することで、路面との間の間隙を調整部材によって調整することが可能であり、該調整部材の上部に蓋を支持する蓋受け部材を配置してアンカーを利用して固定することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】マンホールの組立状態を説明する図である。
【図2】管取付部材にソケット部材を取り付けた状態を説明する図である。
【図3】ソケット部材の構成を説明する図である。
【図4】直壁部材の構成を説明する図である。
【図5】斜壁部材の構成を説明する図である。
【図6】調整部材を説明する図である。
【符号の説明】
A マンホール
B,C 管路
1 管取付部材
1a 側壁
1b 流路
1c 底盤
1d 接続突起
1e〜1g,1j 孔
1h 溝
1i 係合片
1k ボルト孔
2 ソケット部材
2a 面
2b 当接面
2c 貫通孔
2d,2e 孔
2f 取付片
2g ボルト孔
3 直壁部材
3a フランジ部
3b 溝
3c 嵌合部
3d 円筒部
3e 突起部
3f 溝
4 斜壁部材
4a フランジ部
4b 斜壁部
4c 載置部
4d 円筒部
4e 突起部
4f 溝
5 調整部材
5a ボルト
6,7 ボルト
8 受枠
8a 受け部
8b ボス部
8c フランジ部
10 シール材
11 アンカー
Claims (4)
- 地中に敷設された少なくとも2方向の管路を中継するマンホールであって、底部が底部材によって閉塞されると共に側壁の所定位置に前記2方向の管路の一方が接続される接続部が形成され且つ上方が開放された管取付部材と、前記管取付部材の上部に配置されて該管取付部材に連結される直壁部材と、内部に前記2方向の管路の他方の管路の内径と略等しい径を持った貫通孔を形成すると共に一方側の端部から前記管路を嵌合させる非貫通穴を形成し且つ他方の端部を前記管取付部材又は直壁部材の外径と略等しい径を持った曲面状に形成すると共に該他方の端部に複数のボルト孔を形成した固定部を形成したソケット部材と、を有し、前記管取付部材,直壁部材及びソケット部材が樹脂によって形成されたものであることを特徴とするマンホール。
- 前記管取付部材又は直壁部材の側壁であって他方の管路を接続すべき位置に該管路の内径と略等しい孔を形成し、該孔にソケット部材の貫通孔を対向させ、且つソケット部材と管取付部材又は直壁部材とをボルトを介して固定したことを特徴とする請求項1に記載したマンホール。
- 前記管取付部材と直壁部材の対向する端部に於ける一方側に外周を複数の角度に分割すると共に分割された角度範囲を異なる半径からなる円弧を連続させたフランジ部を形成し、他方側に前記フランジ部の形状と略等しい形状を持った開口部と該開口部に連続して前記フランジ部の最大半径よりも大きい半径部分を有する溝とを形成し、管取付部材の上方に直壁部材を対向させると共にフランジを開口部を経て溝に嵌合させて連結することを特徴とする請求項1又は2に記載したマンホール。
- 前記管取付部材,直壁部材及びソケット部材に加えて、樹脂によって形成された斜壁部材と調整部材を有し、前記斜壁部材の所定位置には複数のアンカーボルト又はナットが埋設されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載したマンホール。
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