JP3860514B2 - 回路解析システム及びその解析方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、時間領域でのマクスウェル方程式の直接的な差分法であるFDTD(Finite Difference Time Domain法、以下FDTD法と呼ぶことにする)とSPICE(カリフォルニア大学バークレイ校開発)に代表される回路解析法との融合を行う回路解析システム、及びその解析方法に関し、特に上記混合解析(以下、ハイブリット解析と呼ぶ)を複数台のコンピュータを用いて並列演算を行う回路解析システム、及びその解析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、FDTD法は “FDTD法による電磁界およびアンテナ解析:著者 宇野亨、コロナ社”に紹介されているように電磁界解析の有効な手段として広く用いられるようになった。現在までに、FDTD法を用いた基板上の配線網の過渡シミュレーションや、配線網の電気的特性を抽出する手法についても研究されている。
【0003】
次に、FDTD法について簡単に説明する。FDTD法において、ベクトル量である電界の強さE、及びベクトル量である磁界の強さHは、時間および空間領域でのマックスウェル回転方程式系を解くYeeアルゴリズム(Yee格子)を用いて計算される。
【0004】
図1は、Yee格子を示す図である。
Yee格子は、x方向の長さがΔxであり、y方向の長さがΔyであり、z方向の長さがΔzである直方体である。
Yee格子の辺上に、ベクトル量である電界の強さEのx方向の成分Ex、y方向の成分Ey、およびz方向の成分Ezが配置される。
【0005】
Yee格子の面の中央に、格子面に対して垂直に、ベクトル量である磁界の強さHのx方向の成分Hx、y方向の成分Hy、およびz方向の成分Hzが配置される。Yee格子において、全ての電界成分Ex,Ey、およびEzは、式(1)を基に電界を取り囲む磁界成分Hx,Hy、およびHzにより求めることができるように、配置されている。
【0006】
【数1】
Figure 0003860514
【0007】
また、Yee格子において、全ての磁界成分Hx,HyおよびHzは、式(2)を基に、磁界を取り囲む電界成分Ex,Ey、およびEzにより求めることができるように配置されている。
【0008】
【数2】
Figure 0003860514
【0009】
図2は、2次元FDTD法における、磁界成分Hzの算出を説明する図である。2次元FDTD法において、図2に示すように、磁界成分Hz1は、磁界成分Hz1を囲む電界成分Ey1,Ey2,Ex1、およびEx2により算出される。
【0010】
図3は、2次元FDTD法における、電界成分Eyの算出を説明する図である。2次元FDTD法において、図3に示すように、電界成分Ey2は、電界成分Ey2を挟む磁界成分Hz1およびHz2により算出される。
【0011】
図4は、2次元FDTD法における、電界成分Exの算出を説明する図である。2次元FDTD法において、図4に示すように、電界成分Ex2は、電界成分Ex2を挟む磁界成分Hz1およびHz3により算出される。
【0012】
図5は、FDTD法における、解析における計算上の時間の経過に対応する電界成分および磁界成分を計算する順序を示す図である。
図5に示すように、電界Eが、時刻(n-1)Δtにおいて算出されたとき、磁界Hは、時刻(n-1/2)Δtにおいて算出される。ここで、Δtは、時間刻み幅(刻み時間)である。続いて、電界Eは、時刻nΔtにおいて算出され、さらに、磁界Hは、時刻(n+1/2)Δtにおいて算出される。
【0013】
このように、使用者により指定された解析における計算上の時刻に至るまで、電界Eおよび磁界Hのそれぞれの算出が、時間的に交互に繰り返される。
【0014】
また、FDTD法において、時間刻み幅Δtに対して、式(3)に示す安定条件(Courantの安定条件)が満たされなければならない。
【0015】
【数3】
Figure 0003860514
【0016】
FDTD法において、時間刻み幅Δtに対して、式(3)が満たされないとき、算出された結果が発散してしまうことが一般に知られている。ここで、vは光速である。
【0017】
また、FDTD法において、解析の対象となる領域を仮想的な境界(吸収境界)で閉じることにより、解析の対象の外からの影響(反射)を無視できることが、一般に知られている。
【0018】
現在までに、種々の吸収境界条件の方式が提案されているが、その中でもPML(Perfect Matched Layer)吸収境界条件の利用が多い。PML吸収境界条件において、式(4)に示す、真空中の波動インピーダンスz0と、式(5)に示す、媒質中の波動インピーダンスZとのマッチングを取る(すなわち、z0=Zが成立する)ことにより、式(6)が満たされるとき、反射を減衰させることができる。
【0019】
【数4】
Figure 0003860514
【0020】
【数5】
Figure 0003860514
【0021】
【数6】
Figure 0003860514
【0022】
式(6)が成立するとき、垂直入射の場合、反射波は0となる。ただし、式(5)及び式(6)において、σ*は、磁気伝導率である。
【0023】
吸収境界が無いとき、または、吸収境界が不完全であるとき、境界面において反射が発生し、解析の対象となる領域に反射波が戻り、解析の結果に誤差が含まれることになる。
【0024】
FDTD法による解析において、解析の処理に要する時間が、解析の対象となる領域の大きさに比例して増大するため、大規模な配線基板を解析するとき、莫大な計算時間が必要になるという問題があった。
【0025】
そこで、複数のコンピュータに、FDTD法による解析を実行させ、解析の規模を拡大させるとともに、迅速に結果を求めようとする研究もなされている。
【0026】
例えば、FDTD法は中心差分法に基づいているため、電界と磁界が交互に計算され、配置されるという特徴を有する。従って、過渡解析の離散時間の各ステップにおいて、電界の計算に必要な値は、隣り合う過去の磁界の値のみであり、同時刻の電界の値は、必要とされない。同様に、磁界の計算に必要な値は、隣り合う過去の電界の値のみであり、同時刻の磁界の値は必要とされない。
【0027】
この特性を利用して、高田、安藤、本島、伊藤、上崎,“新たな分散FDTD法アルゴリズム”,電子情報通信学会論文誌C-1,vol.J80,no.2,pp.47-54(1997年2月)(以下、文献1と称する)においては、個々のコンピュータに割り当てる解析領域をオーバーラップさせることで、コンピュータ間のデータ転送回数を半分に減らし、アルゴリズムを効率化することが提案されている。
【0028】
また、文献1においては、二次元FDTD法による例題の解析に対し、データ転送用の通信媒体として、低速なシリアル接続通信、または高速なネットワークを用い、分散型FDTD法の有効性が検証され、2台のパーソナルコンピュータを接続した計算実験においては、約2倍の高速化がなされたと報告されている。
【0029】
ここで文献1において開示されている、分散型FDTD法の解析アルゴリズムを簡単に説明する。
図6は、解析を行う領域の分割状況を示している。
【0030】
図6に示すように、解析の対象となる領域が領域1およびオーバーラップ領域と、領域2およびオーバーラップ領域とに分割される。文献1においては、3次精度の吸収境界条件を用いているため、オーバーラップ領域の形状が若干異なるが、簡単のため、2次精度のHigdonの吸収境界条件を用いる。
【0031】
図7は、従来の分散型FDTD法の解析アルゴリズムを説明する図である。
解析の処理を実行するコンピュータ1−1およびコンピュータ1−2において、初期設定が実行されたのち、コンピュータ1−1は、式(2)を基に、領域1に属する各Yee格子における磁界成分を算出するとともに、これと並列に、コンピュータ1−2は、式(2)により、領域2を基に各Yee格子における磁界成分を算出する。
【0032】
図7中の時間TH1は、コンピュータ1−1が、領域1の磁界成分を算出するために要する時間、またはコンピュータ1−2が、領域2の磁界成分を算出するために要する時間のうち、長い方の時間を示す。
【0033】
次に、コンピュータ1−1は、式(2)を基に、オーバーラップ領域に属する各Yee格子における磁界成分を算出する。図7中の時間TH2は、コンピュータ1−1が、オーバーラップ領域の磁界成分を算出するために要する時間を示す。
【0034】
コンピュータ1−1は、コンピュータ1−2に、オーバーラップ領域の磁界成分を転送する。図7中の時間THCは、コンピュータ1−1からコンピュータ1−2への、オーバーラップ領域の磁界成分の転送に要する時間を示す。
【0035】
次に、コンピュータ1−1は、式(1)を基に、領域1に属する各Yee格子における電界成分を算出するとともに、これと並列に、コンピュータ1−2は、式(1)を基に、領域2に属する各Yee格子における電界成分を算出する。
【0036】
図7中の時間TE1は、コンピュータ1−1が、領域1の電界成分の算出に要する時間、またはコンピュータ1−2が、領域2の電界成分を算出するために要する時間のうち、長い方の時間を示す。
【0037】
次に、コンピュータ1−2は、式(1)を基に、オーバーラップ領域に属する各Yee格子における電界成分を算出する。図7中の時間TE2は、コンピュータ1−2が、オーバーラップ領域の電界成分を算出するために要する時間を示す。
【0038】
コンピュータ1−2は、コンピュータ1−1に、オーバーラップ領域の電界成分を転送する。図7中の時間TECは、コンピュータ1−2からコンピュータ1−1への、オーバーラップ領域の磁界成分の転送に要する時間を示す。
【0039】
コンピュータ1−1及びコンピュータ1−2は、領域1の磁界成分の算出、および領域2の磁界成分の算出処理に戻り、以上の処理が繰り返され、時間の変化に対応する磁界成分および電界成分が算出される。
【0040】
図8は、従来の分散型FDTD法の処理を説明するフローチャートである。
ステップS1において、コンピュータ1−1およびコンピュータ1−2は、誘電率または透磁率、および停止時刻などを初期設定する。
【0041】
ステップS2において、コンピュータ1−1は、式(2)を基に、領域1に属する各Yee格子における磁界の成分を算出し、これに並列に、コンピュータ1−2は、式(2)により、領域2に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する。
【0042】
ステップS3において、コンピュータ1−1は、式(2)を基に、オーバーラップ領域に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する。
【0043】
ステップS4において、コンピュータ1−1は、コンピュータ1−2に、オーバーラップ領域の磁界の成分を転送する。
【0044】
ステップS5において、コンピュータ1−1は、式(1)を基に、領域1に属する各Yee格子における電界の成分を算出し、これと並列に、コンピュータ1−2は、式(1)を基に、領域2に属する各Yee格子における電界の成分を算出する。
【0045】
ステップS6において、コンピュータ1−2は、式(1)を基に、オーバーラップ領域に属する各Yee格子における電界の成分を算出する。
【0046】
ステップS7において、コンピュータ1−1および1−2は、吸収境界条件を計算する。
【0047】
ステップS8において、コンピュータ1−2は、コンピュータ1−1に、オーバーラップ領域の電界成分を転送する。
【0048】
ステップS9において、コンピュータ1−1および1−2は、計算を終了するか否かを判定し、計算を終了しないと判定された場合、ステップS2に戻り、磁界成分および電界成分の演算処理が繰り返される。
ステップS9において、計算を終了すると判定された場合、処理は終了する。
【0049】
このように、従来の分散型FDTD法において、複数のコンピュータにより、電磁気界の解析が実行される。
一方、SPICEに代表される回路解析シミュレータが、過渡状態における電気回路解析用ツールとして一般的に利用されている。そのツールは、非常に複雑な電子装置におけるプロセスをシミュレートする効率的な手段を提供しており、集積回路を含む非常に多くのサブ回路(sub-circuit)をカバーするライブラリが、製造業者、ソフトウェア会社、及び大学関係者等によって構築されている。
【0050】
また、宇野亨著“FDTD法による電磁界およびアンテナ解析”、コロナ社、では、電磁波解析(FDTD法)と回路解析(SPICE)とを融合した数値シミュレーション方法(ハイブリット解析法)が紹介されている。このハイブリット解析法では、電磁波解析で定義される電界や磁界と回路解析で定義される電圧や電流を関連付けながら解析を行う。電磁波解析と回路解析とを融合した数値シミュレーションは、回路素子の特性とその周囲の電磁界現象を統一的に解析できるといった特徴を持っており、回路中を伝搬する高周波信号の解析に非常に有用であることが一般に知られている。
【0051】
また、上記著書ではハイブリット解析を行う方法として、等価電流源法及び等価電圧源法が紹介されている。以下では、等価電流源法について説明する。式(7)で表されるアンペア法則は、チップを含むFDTDセルに対して式(8)のように書き換えられる。
【0052】
【数7】
Figure 0003860514
【0053】
【数8】
Figure 0003860514
【0054】
ここで、Vはチップに印加される電圧、C=εA△xはFDTDセルの静電容量(A=△y・△zはFDTDセルの面積、△xはその高さである)、I(V)(=AJ(E))はチップを流れる電流、Iは全セル電流A・∇xH n+1/2である。即ち、FDTD法とSPICEの結合は、並列に接続されたコンデンサC、定電流源I、チップ回路を備えた等価回路により表される。
【0055】
図9はこのような等価電流源として実現される、FDTD法とSPICEとを結合するリンクを含む等価回路の構成を示す概略回路図である。
図9に示す等価回路において、10は選択されたSPICEなどの回路解析法の電気回路モデルによって記述されたチップなどの等価回路網を示し、Iは等価電流源であってFDTD空間(FDTDセル)と回路網10との相互作用即ちリンクを示し、Cはコンデンサであってセルの静電容量を示している。
【0056】
また、FDTD解析におけるタイムステップ(時間刻み幅)ΔtをΔtemとすると、Δtemはシミュレーションの開始から終了まで一定なのが一般的である。ところが、回路の過渡的な挙動を数値シミュレーションする場合、時間刻み幅ΔtをΔtcsとすると、Δtcsは、状況に応じて増減するのが一般的である。例えば、非線形方程式を解く際に電位差の値が収束しない場合には、時間刻み幅を小さくする必要がある。又、解析対象物のセルサイズを小さくすればするほど、式(3)によりΔtemが小さくなり、それと合わせてΔtcsも小さくする必要がある。そこで、電磁波解析と回路解析との間でのデータの受け渡しを行う場合には、両者の時刻を確実かつ効率的に一致させ、その時刻でデータの受け渡しをする方法が、特許文献である特開平11-153634により提案されている。
【0057】
次に、特開平11-153634により提案されているハイブリット解析における電磁波解析と回路解析との間でのデータの受け渡しのタイミングを説明する。
図10は、従来のシミュレーション装置によるデータの引き渡しタイミングを示す図である。図中、上段にFDTDによる電磁波解析処理を示しており、下段にシミュレーションを示している。なお、以下に示す数式における各記号の右肩の数値は、k×Δtemで表される時刻の「k」の値を示したものである。
【0058】
ステップSS1:電磁波解析側では、時刻tem=(n+1/2)Δtemにおける磁界を計算する。ここで、nは自然数である。磁界の計算は、次に示す式(9)によって行う。
【0059】
【数9】
Figure 0003860514
【0060】
磁界計算後、回路解析との接続用の集中定数素子が結合されているセルにおける電流値Iを算出し、回路解析側へ引き渡す。電流値Iの算出は、次に示す式(10)によって行われる。
【0061】
【数10】
Figure 0003860514
【0062】
ステップSS2:回路解析側では、tcsの値を時間刻み幅Δtcsずつ進めながら回路解析を繰り返し行う。解析中に条件|tcs−tem01|<λ1になると、解析処理を中断し、電磁波解析側からの電流値の引き渡しを待つ。この処理はステップSS1と並列に実行される。
【0063】
ステップSS3:回路解析側では、引き渡された電流源値を用い、時刻tcs=n+1/2における解析を行う。回路解析は、次に示す式(11)によって行う。ここで、Zは、回路のインピーダンス行列である。回路解析側では、tcsの値を時間刻み幅Δtcsずつ進めながら回路解析を繰り返し行う。
【0064】
【数11】
Figure 0003860514
【0065】
ステップSS4:電磁波解析側では、時刻tem02=(n+1)Δtemにおける電界を計算する。電界の計算は、式(12)によって行う。この処理はステップSS3と並列に実行される。計算後、回路解析側からの電界値の引渡しを待つ。
【0066】
【数12】
Figure 0003860514
【0067】
ステップSS5:回路解析側では、条件|tcs−tem02|<λ2となったなら、回路解析によって求め出された電圧値に基づいて、電磁界解析側との接続セルにおける電界値を算出し、電磁界解析側へ引き渡す。電界値は式(13)によって求める。電磁波解析側の接続セルの値は、回路解析側から引き渡された電界値によって上書きされるため、電界計算時にそのセルの計算を省いておいてもよい。
【0068】
【数13】
Figure 0003860514
【0069】
このような手法によれば、電磁波解析から回路解析への電流源値の引き渡しは、電磁波解析側において磁界が計算される時刻tem01と、回路解析側の時刻tcsとが接近した際に行われる。同様に、回路解析側から電磁波解析側への電界値の引き渡しは、電磁波解析において電界が計算される時刻tem02と、回路解析側の時刻tcsとが接近した際に行われる。その結果、電磁波解析側における磁界の計算と電界の計算との時刻のずれに合わせた演算結果の引き渡しが行われる。
【0070】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の回路解析方法では、解析領域はコンピュータの計算資源、例えば、ハードディスク、メモリなどの容量によって制約され、大規模な解析ができないという問題があった。また、計算時間もCPU、メモリの動作速度によりほぼ決まってしまい、高速に解析することができないという問題があった。
【0071】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来のハイブリッド解析法の解析精度を低下させることなく、1台のコンピュータを用いたハイブリッド解析ではできなかった大きな領域の解析を2台以上の複数のコンピュータを用いた並列処理によって効率よく、短時間で行うことができる回路解析システム及びその解析方法を提供することにある。
【0072】
【課題を解決するための手段】
第1発明の回路解析システムは、解析の対象となる領域を少なくても2つの分割領域に分割して並列に処理する複数の情報処理装置を含む回路解析システムであって、上記分割領域について、FDTD法に基づき、電界と磁界の解析を交互に行う、相互にデータ伝送可能な少なくとも2つの電磁界解析用情報処理装置と、上記分割領域について、回路シミュレーションによって回路解析を行う、上記電磁界解析用情報処理装置と相互にデータ転送可能な少なくても2つの回路解析用情報処理装置と、上記電磁界解析用情報処理装置と上記回路解析用情報処理装置の動作を制御する制御用情報処理装置とを有し、上記電磁界解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記制御用情報処理装置から電流情報転送指示を受信すると、磁界成分を基に電流値を算出して当該電流値を上記回路解析用情報処理装置に送信し、上記分割領域のうちのオーバーラップ領域の電界成分を演算し、当該オーバーラップ領域の電界成分を、隣接する分割領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置に送信し、当該オーバーラップ領域の電界成分の送信と並列に、当該オーバーラップ領域を除く分割領域について電界成分を演算し、当該演算が終了すると上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、上記回路解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置から送信された上記電流値を受信すると、上記電磁界解析用情報処理装置の上記電界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の磁界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電界情報転送指示を送信し、上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界情報転送指示を受信すると、電圧値に基づいて電界成分を算出して上記電磁界解析用情報処理装置に送信し、上記電磁界解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界成分を受信すると、隣接する分割領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置からのオーバーラップ領域の電界成分の上記送信と並列に、オーバーラップ領域が除外された分割領域について磁界成分を演算し、隣接する分割領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置から送信されたオーバーラップ領域の電界成分を受信すると、オーバーラップ領域の磁界成分を演算し、当該演算が終了すると上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置の上記磁界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の電界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電流情報転送指示を送信することを反復することを特徴とする。
【0073】
第2発明の回路解析システムは、解析の対象となる領域を少なくても2つの分割領域に分割して並列に処理する複数の情報処理装置を含む回路解析システムであって、上記分割領域について、FDTD法に基づき、電界と磁界の解析を交互に行う、相互にデータ伝送可能な少なくとも2つの電磁界解析用情報処理装置と、上記分割領域について、回路シミュレーションによって回路解析を行う、上記電磁界解析用情報処理装置と相互にデータ転送可能な少なくても2つの回路解析用情報処理装置と、上記電磁界解析用情報処理装置と上記回路解析用情報処理装置の動作を制御する制御用情報処理装置とを有し、上記電磁界解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記制御用情報処理装置から電流情報転送指示を受信すると、磁界成分を基に電流値を算出して当該電流値を上記回路解析用情報処理装置に送信し、上記分割領域のうちのオーバーラップ領域を除く分割領域について電界成分を演算し、上記電磁界解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、当該オーバーラップ領域の電界成分を演算する設定であるときは、隣接する領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置から送信される当該オーバラップ領域の磁界成分を受信し、当該受信された磁界成分を基に、当該オーバラップ領域の電界成分を演算し、当該オーバラップ領域の磁界成分を送信した他の上記電磁界解析用情報処理装置であって当該オーバラップ領域の電界計算を行わないものに当該電界成分を送信するとともに、当該オーバラップ領域の電界計算が終了すると、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、または当該オーバーラップ領域の電界成分を演算しない設定であるときは、当該オーバラップ領域の電界成分を演算することなく、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、上記回路解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置から送信された上記電流値を受信すると、上記電磁界解析用情報処理装置の上記電界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の磁界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電界情報転送指示を送信し、上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界情報転送指示を受信すると、電圧値に基づいて電界成分を算出して上記電磁界解析用情報処理装置に送信し、上記電磁界解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界成分を受信すると、上記分割領域のうちのオーバーラップ領域を除く分割領域について磁界成分を演算し、上記電磁界解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、当該オーバーラップ領域の磁界成分を演算する設定であるときは、隣接する領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置から送信される当該オーバラップ領域の電界成分を受信し、当該受信された電界成分を基に、当該オーバラップ領域の磁界成分を演算し、当該オーバラップ領域の電界成分を送信した他の上記電磁界解析用情報処理装置であって当該オーバラップ領域の磁界計算を行わないものに当該電界成分を送信するとともに、当該オーバラップ領域の磁界計算が終了すると、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、または当該オーバーラップ領域の磁界成分を演算しない設定であるときは、当該オーバラップ領域の磁界成分を演算することなく、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置の上記磁界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の電界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電流情報転送指示を送信することを反復することを特徴とする。
【0074】
第3発明の回路解析システムは、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記回路解析による電流値に基づく電圧値の演算が、可変の時間刻み幅を回路解析の時刻に加算することにより当該回路解析の時刻を更新し、当該更新された回路解析の時刻において、回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を、次の磁界解析または電界解析の時刻を当該回路解析の時刻が越えない範囲で繰り返して行うことであることを特徴とする。
【0075】
第4発明の回路解析システムは、請求項3に記載の発明において、上記可変の時間刻み幅が、回路内の状態変数の時間変化率に応じた時間刻み幅であって、かつ、次の磁界解析または電界解析の時刻を越えない時間刻み幅であることを特徴とする。
【0076】
第5発明の回路解析システムは、請求項4に記載の発明において、上記制御用情報処理装置は、上記解析対象となる領域を、当該領域を解析する各上記情報処理装置の処理能力に応じて分割する領域分割手段を有することを特徴とする。
【0077】
第6発明の回路解析システムは、請求項5記載の発明において、上記制御用情報処理装置は、各上記電磁界解析用情報処理装置と、各上記回路解析用情報処理装置それぞれの演算能力を調査し、それぞれの情報処理装置の演算能力に応じて、上記解析領域を分割して割り当てる領域分割手段を有することを特徴とする。
【0078】
第7発明の回路解析システムは、請求項6に記載の発明において、上記領域分割手段は、あらかじめ作成されたテスト用プログラムを各上記情報処理装置に実行させ、それぞれの情報処理装置が当該テスト用プログラムを実行する演算時間に基づき、各上記情報処理装置の演算能力を推定することを特徴とする。
【0079】
第8発明の回路解析システムは、請求項7に記載の発明において、上記電磁界解析用情報処理装置は、それぞれの情報処理装置の処理能力に対応する数のYee格子が配置された解析対象領域の電界及び磁界を解析することを特徴とする。
【0080】
第9発明の回路解析システムは、請求項8に記載の発明において、上記回路解析用情報処理装置は、それぞれの情報処理装置の処理能力に対応する回路ネットリストによって表記される等価回路網を解析することを特徴とする。
【0081】
第10発明の回路解析方法は、解析の対象となる領域を少なくても2つの分割領域に分割して並列に処理する複数の情報処理装置を含み、当該分割領域について、FDTD法に基づき、電界と磁界の解析を交互に行う、相互にデータ伝送可能な少なくとも2つの電磁界解析用情報処理装置と、当該分割領域について、回路シミュレーションによって回路解析を行う、当該電磁界解析用情報処理装置と相互にデータ転送可能な少なくても2つの回路解析用情報処理装置と、当該電磁界解析用情報処理装置と当該回路解析用情報処理装置の動作を制御する制御用情報処理装置とを有する回路解析システムにおける回路解析方法であって、上記電磁界解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記制御用情報処理装置から電流情報転送指示を受信すると、磁界成分を基に電流値を算出して当該電流値を上記回路解析用情報処理装置に送信し、上記分割領域のうちのオーバーラップ領域の電界成分を演算し、当該オーバーラップ領域の電界成分を、隣接する分割領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置に送信し、当該オーバーラップ領域の電界成分の送信と並列に、当該オーバーラップ領域を除く分割領域について電界成分を演算し、当該演算が終了すると上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、上記回路解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置から送信された上記電流値を受信すると、上記電磁界解析用情報処理装置の上記電界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の磁界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電界情報転送指示を送信するステップと、上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界情報転送指示を受信すると、電圧値に基づいて電界成分を算出して上記電磁界解析用情報処理装置に送信するステップと、上記電磁界解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界成分を受信すると、隣接する分割領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置からのオーバーラップ領域の電界成分の上記送信と並列に、オーバーラップ領域が除外された分割領域について磁界成分を演算し、隣接する分割領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置から送信されたオーバーラップ領域の電界成分を受信すると、オーバーラップ領域の磁界成分を演算し、当該演算が終了すると上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置の上記磁界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の電界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電流情報転送指示を送信するステップとを反復することを特徴とする。
【0082】
第11発明の回路解析方法は、解析の対象となる領域を少なくても2つの分割領域に分割して並列に処理する複数の情報処理装置を含み、当該分割領域について、FDTD法に基づき、電界と磁界の解析を交互に行う、相互にデータ伝送可能な少なくとも2つの電磁界解析用情報処理装置と、当該分割領域について、回路シミュレーションによって回路解析を行う、当該電磁界解析用情報処理装置と相互にデータ転送可能な少なくても2つの回路解析用情報処理装置と、当該電磁界解析用情報処理装置と当該回路解析用情報処理装置の動作を制御する制御用情報処理装置とを有する回路解析システムにおける回路解析方法であって、上記電磁界解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記制御用情報処理装置から電流情報転送指示を受信すると、磁界成分を基に電流値を算出して当該電流値を上記回路解析用情報処理装置に送信し、上記分割領域のうちのオーバーラップ領域を除く分割領域について電界成分を演算するステップと、上記電磁界解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、当該オーバーラップ領域の電界成分を演算する設定であるときは、隣接する領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置から送信される当該オーバラップ領域の磁界成分を受信し、当該受信された磁界成分を基に、当該オーバラップ領域の電界成分を演算し、当該オーバラップ領域の磁界成分を送信した他の上記電磁界解析用情報処理装置であって当該オーバラップ領域の電界計算を行わないものに当該電界成分を送信するとともに、当該オーバラップ領域の電界計算が終了すると、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、または当該オーバーラップ領域の電界成分を演算しない設定であるときは、当該オーバラップ領域の電界成分を演算することなく、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、上記回路解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置から送信された上記電流値を受信すると、上記電磁界解析用情報処理装置の上記電界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の磁界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電界情報転送指示を送信するステップと、上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界情報転送指示を受信すると、電圧値に基づいて電界成分を算出して上記電磁界解析用情報処理装置に送信するステップと、上記電磁界解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界成分を受信すると、上記分割領域のうちのオーバーラップ領域を除く分割領域について磁界成分を演算するステップと、上記電磁界解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、当該オーバーラップ領域の磁界成分を演算する設定であるときは、隣接する領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置から送信される当該オーバラップ領域の電界成分を受信し、当該受信された電界成分を基に、当該オーバラップ領域の磁界成分を演算し、当該オーバラップ領域の電界成分を送信した他の上記電磁界解析用情報処理装置であって当該オーバラップ領域の磁界計算を行わないものに当該電界成分を送信するとともに、当該オーバラップ領域の磁界計算が終了すると、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、または当該オーバーラップ領域の磁界成分を演算しない設定であるときは、当該オーバラップ領域の磁界成分を演算することなく、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置の上記磁界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の電界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電流情報転送指示を送信するステップとを反復することを特徴とする。
【0084】
本発明の回路解析システム及びその解析方法及びコンピュータプログラムによれば、FDTDによる電磁界解析は、複数台の情報処理装置、例えば、コンピュータによって行われる。解析の対象となる領域が分割され、各コンピュータに割り当てられる。また、解析処理のとき、各分割領域に接続されるオーバーラップ領域が設けられ、オーバーラップ領域において算出された電界成分または磁界成分は、非オーバーラップ領域における電界成分または磁界成分の計算中に転送する事で解析時間の短縮化を図る。例えば、オーバーラップ領域の電界成分の転送に要する時間が、非オーバーラップ領域の電界成分の計算時間及び磁界成分の計算時間の和以下の場合、データ転送による計算時間の増加が回避される。
【0085】
また、制御部によって、回路の解析に使用される各々の情報処理装置の計算能力と通信ネットワークの性能を調査し、当該調査結果に応じて解析領域を割り当てる、いわゆる均等負荷分散を行うことにより、ハイブリット解析の並列計算を最も効率良く行うことができる。
また、回路シミュレーションも複数の情報処理装置に分散することにより、ネットリスト毎の解析処理を異なる情報処理装置によって並列に行うので、回路シミュレーションの処理時間が短縮される。
【0086】
【発明の実施の形態】
第1実施形態
図11は、本発明に係る回路解析システムの一実施形態を示す構成図である。図示のように、本実施形態の回路解析システムは、ネットワークを介して接続されている制御部11、スイッチングハブ12、FDTD解析部13、及びシミュレーション解析部14によって構成されている。
制御部11は、本発明の請求項における制御用情報処理装置に対応し、例えば、コンピュータによって構成され、回路解析システム全体の動作を制御する。
FDTD部13は、複数の情報処理装置、例えば、少なくとも2台のコンピュータによって構成され、FDTD解析法に基づき、回路の解析を行う。
シミュレーション解析部14は、複数の情報処理装置、例えば、少なく2台のコンピュータによって構成され、SPICEなどの過渡的な電気解析ツールに基づき、回路の解析を行う。
【0087】
図11に示すように、制御部11、FDTD解析部13及びシミュレーション解析部14は、スイッチングハブ12を介し、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.3aaに規定する規格、及びTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に基づくネットワークにより接続されている。
【0088】
スイッチングハブ12は、制御部11、FDTD解析部13及びシミュレーション解析部14のいずれかから送信されたデータなどが格納されているパケットを、パケットに設定されているアドレスを基に、指定された転送先に送信する。
【0089】
また、制御部11は、FDTD解析部13及びシミュレーション解析部14を構成するコンピュータの処理能力を基に、それぞれのコンピュータに、電界の強さまたは磁界の強さの演算処理を分配すると共に、計算システム全体の処理の同期を制御する。
【0090】
例えば、算出される電界の強さまたは磁界の強さがベクトル量であるとき、電界の強さまたは磁界の強さの演算処理において、x軸方向、y軸方向、またはz軸方向の電界成分または磁界成分が算出される。
【0091】
より詳細に説明すれば、制御部11は、FDTD解析部13及びシミュレーション解析部14を構成するコンピュータそれぞれの所定の単位データの計算に要する時間(以下、計算能力とも称する)、及びこれらのコンピュータ相互間のデータの転送速度を基に、それぞれのコンピュータに実行させる電界成分または磁界成分の演算処理の領域を決定する。
【0092】
制御部11は、FDTD解析部13及びシミュレーション解析部14それぞれが、解析における計算上の時刻における電界、磁界または電流、電圧を計算し、またはデータを転送するとき、解析における計算上の所定の時刻に対応する計算または転送の処理が終了したか否かを判定し、FDTD解析部13及びシミュレーション解析部14のいずれかにおいて、所定の時刻に対応する計算または転送の処理が終了していないとき、FDTD解析部13及びシミュレーション解析部14において、すべてのコンピュータが処理を終了するまで、計算または転送の処理を終了したコンピュータに待機させ、次の時刻に対応する計算または転送の処理を実行させない。
【0093】
制御部11は、FDTD解析部13及びシミュレーション解析部14の全てのコンピュータにおいて、解析における計算上の所定の時刻に対応する、計算または転送の処理が終了したとき、それぞれのコンピュータに、次の時刻に対応する電界、磁界または電圧、電流を計算させ、またはデータを転送させる。
【0094】
FDTD解析部13は、制御部11の制御のもとで、FDTD解析法に基づき、あらかじめ指定された解析領域において電界及び磁界の強さをそれぞれ求める。そして、算出した電界及び磁界の強さをシミュレーション解析部14に引き渡す。
【0095】
シミュレーション解析部14、あらかじめ与えられた等価回路網に関する情報、及びFDTD解析部13から引き渡された情報に基づき、例えば、SPICEなどを用いて回路シミュレーションを行う。なお、上記等価回路網に関する情報は、等価回路網を示すデータ、例えばネットリスト、または等価回路網に含まれる等価回路素子のパラメータなどの情報を含む。
【0096】
次に、本実施形態の回路解析システムの具体的な構成例について説明する。
図12は、本実施形態の回路解析システムの一具体例を示している。図示のように、本例の回路解析システムは、制御部11、FDTD解析部13及びシミュレーション解析部14によって構成されている。なお、図11に比べて、図12では、スイッチングハブ12が省略されている。
【0097】
図12に示すように、制御部11は、コントロール部71、入力部72、主記録部73、データベース部74及び出力部75によって構成されている。
【0098】
コントロール部71は、入力部72から供給された初期条件など、及びFDTD解析部13とシミュレーション解析部14を構成するそれぞれのコンピュータの処理能力を基に、これらのコンピュータそれぞれに、主記録部73を介して、データベース部74から供給された各コンピュータそれぞれの計算領域のデータを送信する。
【0099】
初期条件には、例えば、処理を終了させる、解析における計算上の時刻、または解析における刻み時間Δtなどが含まれる。
【0100】
コントロール部71は、入力部72から供給された初期条件など、及びFDTD解析部13とシミュレーション解析部14を構成するそれぞれのコンピュータの処理能力を基に、コンピュータそれぞれに、コンピュータの相互の論理的な接続に関する情報、例えば、ネットワークトポロジ情報を供給する。
【0101】
ここで、コンピュータの相互の論理的な接続に関する情報とは、例えば、コンピュータが論理的なバスに接続されていることを示す。なお、コンピュータ相互の論理的な接続は、バスに限らず、格子、トリー、またはリングなどいずれのトポロジであってもよい。
【0102】
また、コントロール部71は、FDTD解析部13とシミュレーション解析部14を構成するそれぞれのコンピュータの処理の同期を制御する。
【0103】
さらに、コントロール部71は、FDTD解析部13とシミュレーション解析部14を構成するコンピュータから、それぞれのコンピュータの計算した結果を受信し、これらの受信した結果を主記録部73に供給する。
【0104】
入力部72は、例えば、コンピュータのキーボード若しくはマウスなどのポインティングデバイスからなり、オペレータの操作に対応して初期条件などを取得し、取得した初期条件などをコントロール部71に供給する。また、入力部72は、例えば、主記録部73に記録されている初期条件などを取得し、取得した初期条件などをコントロール部71に供給するようにしてもよい。
【0105】
主記録部73は、コントロール部71から供給された、FDTD解析部13及びシミュレーション解析部14のそれぞれが計算した結果をメモリに記憶するか、またはハードディスクなどの記録装置に記録する。
【0106】
主記録部73は、コントロール部71の制御の基に、計算された結果を出力部75に供給する。また、主記録部73は、データベース部74から供給された、FDTD解析部13及びシミュレーション解析部14のそれぞれに計算させる領域のデータをコントロール部71に供給する。
【0107】
データベース部74は、FDTD解析部13及びシミュレーション解析部14のそれぞれに計算させる領域のデータを記録し、記録している領域のデータを主記録部73に供給する。データベース部74が記録している領域のデータは、例えば、回路解析システムの電磁界の解析対象となる領域に対する、Yee格子を記述するデータ、領域に対するYee格子の配置を示すデータ、または領域の各部分の電気磁気的なパラメータ、すなわち、透磁率若しくは誘電率などを含む。
なお、Yee格子の大きさは、全て同一とは限らない。
【0108】
出力部75は、コントロール部71の制御の基に、主記録部73から供給された計算結果をディスプレイなどの表示装置に表示するか、または所定の方式で記録装置に記録する。
【0109】
上述したように構成された回路解析システムにおいて、制御部11、FDTD解析部13及びシミュレーション解析部14それぞれを構成するコンピュータは、あらかじめ作成されたプログラムを実行することによって、それぞれの処理を行う。即ち、制御部11におけるシステムの制御、FDTD解析部13及びシミュレーション解析部14それぞれの解析処理は、それぞれの目的に作製したプログラムをコンピュータによって実行することで実現される。
【0110】
図13は、FDTD解析の処理対象となる領域を分配する例を説明する図である。
図示のように、解析の対象となる領域の外縁には、吸収境界領域が配置されている。
【0111】
FDTD解析部13において、例えば、2台のコンピュータによって所定の領域を解析させるとき、解析の対象となる領域は、領域1と領域2に分割される。さらに、領域1と領域2の間に、オーバーラップ領域が設けられている。
【0112】
オーバーラップ領域は、回路解析処理において、分割される領域1と領域2にそれぞれ結合して解析処理が行われる。ここで、例えば、コンピュータ1とコンピュータ2によって領域1と領域2をそれぞれ解析する場合、コンピュータ1とコンピュータ2両方の計算の対象となるオーバーラップ領域は、同一のYee格子からなる。オーバーラップ領域における、領域1および領域2が接する方向のYee格子の数は1である。
【0113】
具体的には、FDTD解析処理では、コンピュータ1は、領域1およびオーバーラップ領域の電界成分および磁界成分を演算する。コンピュータ2は、領域2およびオーバーラップ領域の電界成分および磁界成分を演算する。一方、回路シミュレーションでは、2台のコンピュータ、即ち、コンピュータ4とコンピュータ5によって行われる。図13に示すように、コンピュータ4は、領域1およびオーバーラップ領域にある電子回路1の回路シミュレーションを行い、コンピュータ5は、領域2およびオーバーラップ領域にある電子回路2の回路シミュレーションを行う。
【0114】
領域1と領域2におけるYee格子の数の配分は、それぞれの領域において解析処理を行うコンピュータの演算能力に比例して設定される。例えば、コンピュータ1の所定の単位データの計算に要する時間と、コンピュータ2の同一の単位データの計算に要する時間との比が、4:5であるとき、コンピュータ1が計算を実行する領域1およびオーバーラップ領域のYee格子の数と、コンピュータ2が計算を実行する領域2およびオーバーラップ領域のYee格子の数との比は、5:4とされる。
なお、上述した演算能力の他に、それぞれのコンピュータによるオーバーラップ領域の電界成分または磁界成分のデータを送受信する能力を考慮して、各々のコンピュータの演算負荷を配分することもできる。
【0115】
このように、本実施形態の回路解析システムにおいて、例えば、解析対象となる領域を分割して、複数のコンピュータによって分割されたそれぞれの領域を並列に解析する場合、それぞれのコンピュータによって分割された領域及び領域間のオーバーラップ領域において電界及び磁界の解析処理が行われる。この場合、各コンピュータの処理能力を基に、分割される領域の大きさを配分することによって、各分割領域に対する解析の処理時間はほぼ等しくなるので、回路解析システム全体として、もっとも効率がよい。
【0116】
なお、以上FDTD解析部13を例に、複数のコンピュータによって並列に解析処理を行う場合の処理負担の配分について説明したが、シミュレーション解析部14についても、同様な配分方法が適用可能である。即ち、解析領域を複数の回路網に分割して、それぞれの回路網を別々のコンピュータを用いて解析する場合、それぞれのコンピュータの処理能力に基づき、回路網の分割を行うことによって、各コンピュータの解析処理時間がほぼ等しくなるので、システム全体の効率を高く維持できる。
【0117】
図14は、本実施形態の回路解析システムの初期化処理を示すフローチャートである。ここで、例えば、FDTD解析部13では、コンピュータ1とコンピュータ2によって並列処理を行い、電界と磁界の解析処理を行い、シミュレーション解析部14では、コンピュータ4とコンピュータ5によって並列処理を行い、回路シミュレーションを行うとする。また、制御部11では、コンピュータ3によってシステム全体の動作を制御する。
【0118】
回路解析システムの初期化処理において、FDTD解析部13では、解析の処理を実行するコンピュータ1及びコンピュータ2において、解析の対象となる領域の設定、または透磁率若しくは誘電率などの設定などの初期設定が実行される。また、シミュレーション解析部14では、回路網をあらかじめ設定し、回路網における各回路素子のパラメータの初期化が実行される。
以下、図14を参照しつつ、本実施形態の回路解析システムの初期化処理をステップごとに説明する。
【0119】
ステップS1001において、制御部11を構成するコンピュータ3は、キーボードまたはポインティングデバイスなどから供給された信号を基に、プログラムの記録媒体、例えば、ハードディスクに記録されている計算コントロールプログラムを起動させる。
【0120】
ステップS2001において、FDTD解析部13にあるコンピュータ1とコンピュータ2は、それぞれのキーボードまたはポインティングデバイスなどから供給された信号、またはネットワークを介して、制御部11のコンピュータ3から供給されたデータを基に、例えば、コンピュータ1及びコンピュータ2のハードディスクに記録されているFDTD計算用サーバプログラムを起動させる。
【0121】
ステップS3001において、シミュレーション解析部14にあるコンピュータ4とコンピュータ5は、それぞれのキーボードまたはポインティングデバイスなどから供給された信号、またはネットワークを介して、制御部11のコンピュータ3から供給されたデータを基に、例えば、コンピュータ4及びコンピュータ5のハードディスクに記録されているSPICEなどの回路シミュレーション計算用サーバプログラムを起動させる。
【0122】
ステップS1002において、コンピュータ3は、ネットワークを介して、コンピュータ1、2及びコンピュータ4、5に、ネットワーク上のアドレスを要求する。より具体的には、例えば、コンピュータ3は、コンピュータ1と2宛てに、ネットワーク上のアドレスを要求するパケットを送信し、また、コンピュータ4と5宛てに、ネットワーク上のアドレスを要求するパケットを送信する。
【0123】
ステップS2002において、コンピュータ1と2は、コンピュータ3から送信されたアドレスの要求を受信する。
また、ステップS3002において、コンピュータ4と5は、コンピュータ3から送信されたアドレスの要求を受信する。
【0124】
ステップS2003において、コンピュータ1と2は、ネットワークを介して、コンピュータ3宛てに、例えば、コンピュータ1と2のIP(Internet Protocol)アドレスを送信する。
ステップS3003において、コンピュータ4と5は、ネットワークを介して、コンピュータ3宛てに、例えば、コンピュータ4と5のIP(Internet Protocol)アドレスを送信する。
【0125】
ステップS1003において、コンピュータ3は、ネットワークを介して送信されてきたコンピュータ1と2のアドレスを受信する。
また、ステップS1004において、コンピュータ3は、ネットワークを介して送信されてきたコンピュータ4と5のアドレスを受信する。
【0126】
ステップS1005において、コンピュータ3は、ネットワークを介して、コンピュータ1と2およびコンピュータ4と5にサンプルデータを送信する。サンプルデータは、コンピュータ1と2およびコンピュータ4と5の計算時間を測定し、それぞれのコンピュータの計算能力を明らかにするためのデータである。
【0127】
ステップS2004において、コンピュータ1と2は、コンピュータ3から送信されたサンプルデータを受信する。
【0128】
ステップS2005において、コンピュータ1と2は、それぞれ受信したサンプルデータを記録媒体、例えば、メモリまたはハードディスクに記録し、記録されているサンプルデータを基に、計算を実行する。例えば、コンピュータ1と2は、サンプルデータを基に、FDTD法により電界成分または磁界成分を算出する。
【0129】
ステップS2006において、コンピュータ1と2は、ステップS2005の処理における、計算に要した時間(例えば、現実の処理時間またはCPUの占有時間など)を、ネットワークを介してコンピュータ3に送信する。
【0130】
一方、ステップS3004において、コンピュータ4と5は、コンピュータ3から送信されたサンプルデータを受信する。
【0131】
ステップS3005において、コンピュータ4と5は、それぞれ受信したサンプルデータを記録媒体、例えば、メモリまたはハードディスクに記録し、記録されているサンプルデータを基に、計算を実行する。例えば、コンピュータ4と5は、サンプルデータを基に、SPICE法により回路シミュレーションを実行する。
【0132】
ステップS3006において、コンピュータ4と5は、ステップS3005の処理における、計算に要した時間(例えば、現実の処理時間またはCPUの占有時間など)を、ネットワークを介してコンピュータ3に送信する。
【0133】
ステップS1006において、コンピュータ3は、コンピュータ1と2から送信された、サンプルデータの計算に要した時間を受信する。コンピュータ3は、受信したサンプルデータの計算に要した時間を基に、コンピュータ1と2それぞれの計算能力を知ることができる。
【0134】
ステップS1007において、コンピュータ3は、コンピュータ4と5から送信された、サンプルデータの計算に要した時間を受信する。コンピュータ3は、受信したサンプルデータの計算に要した時間を基に、コンピュータ4と5それぞれの計算能力を知ることができる。
【0135】
さらに、サンプルデータを送信した時刻、サンプルデータの計算に要した時間を受信した時刻、及びサンプルデータの計算に要した時間を基に、コンピュータ3は、コンピュータ1と2及びコンピュータ4と5それぞれに対して行われる通信に要する時間を知ることができる。
【0136】
ステップS1008において、コンピュ−タ3は、コンピュータ1と2から送信された、サンプルデータの計算に要した時間、及びコンピュータ4と5から送信された、サンプルデータの計算に要した時間を基に、計算の割り当て、すなわち計算の対象となる領域の配分を決定する。例えば、コンピュータ3は、コンピュータ1と2から送信されたサンプルデータの計算に要した時間、及びコンピュータ4と5から送信されたサンプルデータの計算に要した時間を基に、コンピュータ1と2にそれぞれに処理を実行させるYee格子の数、及びコンピュータ4と5それぞれに処理を実行させるシミュレーション回路網の大きさを決定する。
【0137】
ステップS1009において、コンピュータ3は、ネットワークを介して、コンピュータ1と2及びコンピュータ4と5それぞれに、決定された計算の割り当てを送信する。
ステップS2007において、コンピュータ1と2は、コンピュータ3から送信された、計算の割り当てを受信する。
また、ステップS3007において、コンピュータ4と5は、コンピュータ3から送信された、計算の割り当てを受信する。
【0138】
ステップS1010において、コンピュータ3は、主記憶部73を介して、データベース部74から、例えば、計算システムの電磁界の解析の対象となる領域に対する、Yee格子を記述するデータ、領域に対するYee格子の配置を示すデータ、または領域の各部分の電気磁気的なパラメータ、すなわち、透磁率若しくは誘電率などからなる領域のデータを取得すると共に、入力部72から、解析の処理を終了させる時刻、または刻み時間Δtなどを取得し、これらを初期値として、ネットワークを介して、コンピュータ1と2に送信する。
また、制御部11は、主記憶部73を介して、データベース部74から、例えば、計算システムの解析対象領域において回路シミュレーションを行うための等価回路網のデータ、または等価回路網を構成する回路素子のパラメータ、例えば、等価電流源、コンデンサ、抵抗などの回路素子のパラメータを取得するとともに、入力部72から、解析の処理を終了させる時刻、または回路シミュレーション演算の刻み時間Δtなどを取得し、これらを初期値として、ネットワークを介して、コンピュータ4と5に送信する。
【0139】
ステップS2008において、コンピュータ1と2は、コンピュータ3から送信されたデータを受信する。コンピュータ1と2は、それぞれの副記録部に、受信した初期値に含まれる、電磁界の解析の対象となる領域に対する、Yee格子を記述するデータ、領域に対するYee格子の配置を示すデータ、または領域の各部分の電気磁気的なパラメータを記録させる。
【0140】
ステップS3008において、コンピュータ4と5は、コンピュータ3から送信されたデータを受信する。コンピュータ4と5は、それぞれの副記録部に、受信した初期値に含まれる、等価回路網を示すデータ、例えばネットリスト、または等価回路網を構成する回路素子のパラメータを記録させる。
【0141】
上述した初期化処理によって、それぞれのコンピュータの演算能力に応じて、解析対象となる領域が各コンピュータに割り当てられる。また、それぞれの解析領域において、電界及び磁界の解析を行うための初期条件、そして、回路シミュレーションを行うための等価回路網、等価回路素子などのパラメータがそれぞれ設定される。次に、この初期化処理によって設定された初期条件に基づき、解析処理が行われる。
【0142】
図15は、本実施形態の回路解析システムの一動作例を示す図である。図示のように、本実施形態の回路解析システムは、例えば、5台のコンピュータによって構成されているとする。コンピュータ1とコンピュータ2は、図11に示すFDTD解析部13を構成し、それぞれ領域1と領域2において電磁界の解析を行う。コンピュータ4とコンピュータ5は、シミュレーション解析部14を構成し、例えば、SPICEを用いて電子回路1及び電子回路2において、回路シミュレーションを行う。コンピュータ3は、制御部11を構成し、回路解析システム全体の処理を制御する。
【0143】
解析処理に先立って、図14に示す初期化処理が実行される。これによって、制御部11を構成するコンピュータ3は、それぞれのコンピュータの処理能力に基づき解析対象となる領域の割り当てを行う。また、領域1において、回路シミュレーションの対象となる電子回路1の等価回路を示すネットリストが初期化され、同様に、領域2において、回路シミュレーションの対象となる電子回路2の等価回路を示すネットリストが初期化される。
【0144】
図15に示すように、コンピュータ3によって開始メッセージが各コンピュータに送信される。これを受けて、コンピュータ1とコンピュータ2は、初期化処理によって設定した初期値を用いて、式(1)を基に、それぞれオーバーラップ領域の各Yee格子における電界成分を計算する。
なお、図15中の時間TE1は、コンピュータ1が、オーバーラップ領域の電界成分の算出に要する時間、またはコンピュータ2が、オーバーラップ領域の電界成分の算出に要する時間のうち、長い方の時間を示す。
【0145】
コンピュータ1は、コンピュータ2に、オーバーラップ領域の電界成分を転送する。コンピュータ2は、コンピュータ1に、オーバーラップ領域の電界成分を転送する。
図15において、時間TECは、コンピュータ1からコンピュータ2に、オーバーラップ領域の電界成分を転送する時間、または、コンピュータ2からコンピュータ1に、オーバーラップ領域の電界成分を転送する時間のうち、長い方の時間を示す。
【0146】
コンピュータ1は、式(1)を基に、オーバーラップ領域を除いた領域1に属する各Yee格子における電界成分を算出する。コンピュータ2は、式(1)を基に、オーバーラップ領域を除いた領域2に属する各Yee格子における電界の成分を算出する。コンピュータ1とコンピュータ2は、それぞれの演算を終了したとき、コンピュータ3に停止メッセージを送信し、コンピュータ3または他のコンピュータからの指示または送信データを待つ待機状態に入る。
【0147】
オーバーラップ領域の電界成分の計算及び領域1と領域2の電界成分の計算と並列に、コンピュータ4は、電子回路1のネットリスト及び初期化処理によって設定されたパラメータなどの初期値に基づき、電子回路1をシミュレーションする。同時に、コンピュータ5は、電子回路2のネットリスト及び初期化処理によって設定されたパラメータなどの初期値に基づき、電子回路2をシミュレーションする。
コンピュータ4と5における回路シミュレーションは、可変な時間刻みで行う。例えば、等価回路内の状態変数(電圧、電流)の時間変化率が高い場合には、回路解析の安定化のために、より細かい時間刻み幅で解析を行う。逆に、回路内の状態変数の時間変化率が低い場合には、FDTD法の次の磁界解析の時刻を越えない範囲でより大きな時間刻み幅を設定して回路解析を行う。
コンピュータ4とコンピュータ5は、それぞれ計算上次の磁界解析の時刻に達したとき、解析処理を中止し、コンピュータ3に停止メッセージを送信し、待機状態に入る。
【0148】
コンピュータ3は、回路解析処理を行うすべてのコンピュータから終了の通知を受信したとき、コンピュータ4とコンピュータ5に、電界成分の情報の転送指示を送信する。これを受けたコンピュータ4は、電子回路1において解析処理によって求めた電圧値に基づき、式(13)を用いて電界の成分を算出し、コンピュータ1に転送する。同様に、コンピュータ5は、電子回路2において解析処理によって求めた電圧値に基づき、式(13)を用いて電界の成分を算出し、コンピュータ2に転送する。
【0149】
図15中の時間TE2は、コンピュータ1が、オーバーラップ領域を除いた領域1の電界成分の算出に要する時間、またはコンピュータ2が、オーバーラップ領域を除いた領域2の電界成分の算出に要する時間のうち、長い方の時間を示す。
【0150】
コンピュータ1がコンピュータ4から電界成分の受信を完了し、かつ、コンピュータ2がコンピュータ5から電界成分の受信を完了すると、コンピュータ1とコンピュータ2が、それぞれ領域1及び領域2の磁界成分の解析を開始する。また、コンピュータ1とコンピュータ2は、コンピュータ3から磁界計算開始メッセージを受信すると、それぞれ領域1及び領域2の磁界成分の解析を開始する。そして、コンピュータ4とコンピュータ5は、それぞれ電子回路1と電子回路2において、シミュレーションによる回路解析を再開する。
【0151】
コンピュータ1は、式(2)を基に、オーバーラップ領域を除いた領域1に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する。コンピュータ2は、式(2)を基に、オーバーラップ領域を除いた領域2に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する。
【0152】
図15中の時間TH2は、コンピュータ1が、オーバーラップ領域を除いた領域1の磁界成分の算出に要する時間、またはコンピュータ2が、オーバーラップ領域を除いた領域2の磁界成分の算出に要する時間のうち、長い方の時間を示す。
【0153】
オーバーラップ領域を除いた領域1に属する各Yee格子における電界の成分を算出する処理、およびオーバーラップ領域を除いた領域1に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する処理は、オーバーラップ領域を除いた領域2に属する各Yee格子における電界の成分を算出する処理、およびオーバーラップ領域を除いた領域2に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する処理と並列に実行される。
【0154】
コンピュータ1から、コンピュータ2に、オーバーラップ領域の電界成分を転送する処理は、コンピュータ2から、コンピュータ1に、オーバーラップ領域の電界成分を転送する処理と並列に実行される。
【0155】
また、コンピュータ1から、コンピュータ2に、オーバーラップ領域の電界成分を転送する処理、及びコンピュータ2から、コンピュータ1に、オーバーラップ領域の電界成分を転送する処理は、オーバーラップ領域を除いた領域1に属する各Yee格子における電界の成分を算出する処理、及びオーバーラップ領域を除いた領域1に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する処理、並びにオーバーラップ領域を除いた領域2に属する各Yee格子における電界の成分を算出する処理、及びオーバーラップ領域を除いた領域2に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する処理と並列に実行される。
【0156】
コンピュータ1からコンピュータ2に、オーバーラップ領域の電界成分を転送する処理、コンピュータ2からコンピュータ1に、オーバーラップ領域の電界成分を転送する処理、オーバーラップ領域を除いた領域1の電界成分を算出する処理およびオーバーラップ領域を除いた領域1の磁界成分を算出する処理、並びにオーバーラップ領域を除いた領域2の電界成分を算出する処理およびオーバーラップ領域を除いた領域2の磁界成分を算出する処理の全ての処理が終了したとき、次の処理が実行される。
【0157】
次に、コンピュータ1は、コンピュータ2から送信されたオーバーラップ領域の電界成分を基に、オーバーラップ領域の、各Yee格子における磁界の成分を算出する。これと並列に、コンピュータ2は、コンピュータ1から送信されたオーバーラップ領域の電界成分を基に、オーバーラップ領域の、各Yee格子における磁界の成分を算出する。
【0158】
コンピュータ1はオーバーラップ領域の磁界成分の演算が終了したとき、コンピュータ3に停止メッセージを送信し、待機状態に入る。同様に、コンピュータ2はオーバーラップ領域の磁界成分の演算が終了したとき、コンピュータ3に停止メッセージを送信し、待機状態に入る。
【0159】
図15中の時間TH1は、コンピュータ1が、オーバーラップ領域の磁界成分の算出に要する時間、またはコンピュータ2が、オーバーラップ領域の磁界成分の算出に要する時間のうち、長い方の時間を示す。
【0160】
コンピュータ3は、コンピュータ1及びコンピュータ2から停止メッセージを受信したとき、コンピュータ1及びコンピュータ2に電流メッセージの転送指示を送信する。これを受けて、コンピュータ1は、算出した領域1の磁界成分に基づき、式(10)を用いて、電子回路1における等価電流源の電流値を算出し、コンピュータ4に送信する。また、コンピュータ2は、算出した領域2の磁界成分に基づき、式(10)を用いて、電子回路2における等価電流源の電流値を算出し、コンピュータ5に送信する。
【0161】
コンピュータ4は、コンピュータ1から電流値を受信すると、電子回路1において回路シミュレーション処理を再開する。同様に、コンピュータ5は、コンピュータ2から電流値を受信すると、電子回路2において、回路シミュレーション処理を再開する。
【0162】
次に、コンピュータ1は、コンピュータ2から送信されたオーバーラップ領域の電界成分を基に、オーバーラップ領域の、各Yee格子における磁界の成分を算出するとともに、これに並列に、コンピュータ2は、コンピュータ1から送信されたオーバーラップ領域の電界成分を基に、オーバーラップ領域の、各Yee格子における磁界の成分を算出する。
【0163】
コンピュータ1及びコンピュータ2は、オーバーラップ領域の電界成分の演算処理から、以上の処理が繰り返すことによって、領域1及び領域2における時間の変化に対応する電界成分及び磁界成分をそれぞれ算出することができる。
コンピュータ4及びコンピュータ5は、以上の処理を繰り返すことによって、コンピュータ1及びコンピュータ2からの電流情報を基に、電子回路1及び電子回路2に対して、それぞれ回路シミュレーションを行い、算出した電圧値に基づき、電界値を算出してコンピュータ1及びコンピュータ2に提供する。
【0164】
このようにすることで、オーバーラップ領域の電界成分の転送に要する時間が、時間TE2と時間TH2との和に比較して短いとき、全体の処理時間に対するオーバーラップ領域の電界成分の転送に要する時間の影響を無視することができる。すなわち、オーバーラップ領域の電界成分の転送速度が低速であっても、より迅速に、電磁界の解析の処理を実行することができる。
【0165】
また、電磁界成分の解析処理と並列に、等価回路における回路シミュレーションが実行される。磁界成分の解析結果に基づいた電流値情報がシミュレーションを解析するコンピュータに転送され、シミュレーションによって求めた電圧値に基づいた電界値情報が、電磁界解析を行うコンピュータに転送されるので、所定の領域において、シミュレーションを行うことで、FDTD解析処理とシミュレーションの両方の利点を併せ持つ回路解析システムを実現できる。
即ち、線形処理を得意とするFDTD法による電磁界の解析と、非線形処理を得意とする回路シミュレーション両方を組み合わせることによって、複雑な回路の解析処理をより高速に実行することができる。
【0166】
図16及び図17は、本実施形態の回路解析システムにおける解析処理を示すフローチャートである。以下、図16及び図17を参照して、コンピュータ1とコンピュータ2における電磁界解析処理、コンピュータ4とコンピュータ5における回路シミュレーション処理、並びにコンピュータ3における制御についてそれぞれ説明する。
【0167】
図16及び図17において、ステップS101―S113は、制御部11を構成するコンピュータ3の処理を示し、ステップS201―S222は、FDTD解析部13を構成するコンピュータ1とコンピュータ2の処理を示し、ステップS301―S315は、シミュレーション解析部14を構成するコンピュータ4とコンピュータ5の処理を示す。
なお、図16に示す処理の前に、すでに図14に示す初期化処理が完了したとする。
【0168】
ステップS101において、コンピュータ3はネットワークを介して、開始メッセージをコンピュータ1とコンピュータ2、及びコンピュータ4とコンピュータ5にそれぞれ送信する。
ステップS201において、コンピュータ1とコンピュータ2は、コンピュータ3から送信された開始メッセージを受信する。
ステップS301において、コンピュータ4とコンピュータ5は、コンピュータ3から送信された開始メッセージを受信する。
【0169】
ステップS201において、コンピュータ1とコンピュータ2は開始メッセージを受信する。ステップS202において、開始メッセージを受信したコンピュータ1とコンピュータ2は、初期化処理によって設定された初期値を基に、式(1)を用いて、オーバーラップ領域に属する各Yee格子の電界成分を計算する。
【0170】
そして、ステップS203において、コンピュータ1は、算出したオーバーラップ領域の電界成分をコンピュータ2に送信し、また、コンピュータ2は、算出したオーバーラップ領域の電界成分をコンピュータ1に送信する。
【0171】
続いて、ステップS204において、コンピュータ1とコンピュータ2は、それぞれ領域1及び領域2における電界成分を計算する。
ここで、コンピュータ1は、式(1)を用いて、領域1における各Yee格子の電界成分を演算する。また、コンピュータ1の演算処理と並列に、コンピュータ2は、式(1)を用いて、領域2における各Yee格子の電界成分を演算する。
【0172】
ステップS205において、コンピュータ1は、領域1の電界成分の演算を終了したとき、コンピュータ3に停止メッセージを送信し、待機状態になる。同じく、コンピュータ2は、領域2の電界成分の演算を終了したとき、コンピュータ3に停止メッセージを送信し、待機状態になる。
【0173】
ステップS201の処理と並列して、ステップS301において、コンピュータ4とコンピュータ5は、開始メッセージを受信する。
ステップS302において、開始メッセージを受信したコンピュータ4とコンピュータ5は、ステップS202から、ステップS204までの処理と並列して、ステップS302において、初期化処理によって設定された初期データを基に、電子回路1と電子回路2において、回路シミュレーションを行う。
そして、コンピュータ4は、所定の計算時刻における回路シミュレーションを終了したとき、コンピュータ3に停止メッセージを送信し、待機状態になる。同様に、コンピュータ5は、所定の計算時刻における回路シミュレーションを終了したとき、コンピュータ3に停止メッセージを送信し、待機状態になる。
【0174】
ステップS102及びS103において、コンピュータ3は、それぞれコンピュータ1と2及びコンピュータ4と5からの停止メッセージを受信する。そして、回路解析処理を行うすべてのコンピュータから停止メッセージを受信したとき、コンピュータ3は、ステップS104において、コンピュータ4とコンピュータ5に、電界成分の情報をコンピュータ1とコンピュータ2に転送する指示を送信する。
【0175】
ステップS304において、コンピュータ4は、コンピュータ3からの転送指示を受けて、電子回路1のシミュレーションの結果における電圧を基に、式(13)を用いて電界値を算出し、ステップS305においてコンピュータ1に送信する。同様に、コンピュータ5は、コンピュータ3からの転送指示を受けて、電子回路2のシミュレーションの結果における電圧を基に、式(13)を用いて電界値を算出し、ステップS305においてコンピュータ2に送信する。
【0176】
電界成分の情報をコンピュータ1及びコンピュータ2に送信したあと、ステップS305において、コンピュータ4とコンピュータ5は、それぞれ所定の時間刻み幅で、電子回路1及び電子回路2において、回路シミュレーションを行う。この解析処理は、計算上所定の時刻に到達するまで繰り返して行われる。
ステップS307において、所定の計算時刻に達したとき、コンピュータ4及びコンピュータ5は、それぞれコンピュータ3に停止メッセージを送信する。
【0177】
ステップS206において、コンピュータ1は、コンピュータ4から電子回路1に対応する領域の電界情報を受信し、また、コンピュータ2は、コンピュータ5から電子回路2に対応する領域の電界情報を受信する。
【0178】
ステップS207において、コンピュータ1は、式(2)を基に、オーバーラップ領域を除いた領域1に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する。コンピュータ2は、式(2)を基に、オーバーラップ領域を除いた領域2に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する。
【0179】
コンピュータ1は、上述した領域1における電界成分の計算及び磁界成分の計算をしながら、コンピュータ2から送信されたオーバーラップ領域の電界成分を受信する。そして、ステップS208において、領域1における磁界成分の演算が終了したとき、コンピュータ2からのオーバーラップ領域の電界成分の受信が完了するまで待機する。
ステップS209において、上記受信が完了したとき、コンピュータ1は、領域1における解析処理の結果及び受信したオーバーラップ領域の電界成分の情報に基づき、式(2)を用いて、オーバーラップ領域に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する。
【0180】
計算器1の処理と並列に、コンピュータ2は、上述した領域2における電界成分の計算及び磁界成分の計算をしながら、コンピュータ1から送信されたオーバーラップ領域の電界成分を受信する。そして、ステップS208において、領域2における磁界成分の演算が終了したとき、コンピュータ1からのオーバーラップ領域の電界成分の受信が完了するまで待機する。
ステップS209において、上記受信が完了したとき、コンピュータ2は、領域2における解析処理の結果及び受信したオーバーラップ領域の電界成分の情報に基づき、式(2)を基に、オーバーラップ領域に属する各Yee格子における磁界成分を算出する。
【0181】
ステップS210において、コンピュータ1及びコンピュータ2は、オーバーラップ領域における磁界成分の演算を終了したとき、コンピュータ3にそれぞれ停止メッセージを送信する。
【0182】
ステップS105及びS106において、コンピュータ3は、それぞれコンピュータ1と2及びコンピュータ4と5からの停止メッセージを受信する。そして、回路解析処理を行うすべてのコンピュータから停止メッセージを受信したとき、コンピュータ3は、ステップS107において、コンピュータ1とコンピュータ2に、電流情報をコンピュータ4とコンピュータ5に転送する指示を送信する。
【0183】
ステップS211において、コンピュータ1とコンピュータ2は、コンピュータ3からの転送指示を受信すると、それぞれ電流情報を計算し、コンピュータ4とコンピュータ5に送信する。ここで、コンピュータ1は、上述した解析処理によって求めた領域1における電子回路1に対応する領域の磁界成分を基に、式(10)を用いて電流値を求める。そして、算出した電流値をコンピュータ4に送信する。これと並列に、コンピュータ2は、上述した解析処理によって求めた領域2における電子回路2に対応する領域の磁界成分を基に、式(10)を用いて電流値を求める。そして、算出した電流値をコンピュータ5に送信する。
【0184】
ステップS308において、コンピュータ4及びコンピュータ5は、コンピュータ1及びコンピュータ2によって送信された電流値をそれぞれ受信する。
そして、ステップS309において、コンピュータ4は、所定の時間刻み幅で、電子回路1において回路シミュレーションを行う。また、これと並列に、コンピュータ5は、所定の時間刻み幅で、電子回路2において回路シミュレーションを行う。
【0185】
ステップS310において、コンピュータ4とコンピュータ5は、計算上所定の時刻に達するまで、回路シミュレーションを繰り返して行う。そして、計算上所定の時刻に達したとき、回路シミュレーションを中断し、コンピュータ3に停止メッセージを送信し、待機状態になる。
【0186】
上述したコンピュータ4とコンピュータ5の処理と並列に、コンピュータ1及びコンピュータ2は、それぞれオーバーラップ領域及びオーバーラップ領域以外の領域における電界成分の解析を行う。
ステップS212において、コンピュータ1とコンピュータ2は、それぞれ式(1)を用いて、オーバーラップ領域に属する各Yee格子の電界成分を計算する。
ステップS213において、コンピュータ1は、算出したオーバーラップ領域の電界成分をコンピュータ2に送信する。同様に、コンピュータ2は、算出したオーバーラップ領域の電界成分をコンピュータ1に送信する。
【0187】
ステップS214において、コンピュータ1とコンピュータ2は、それぞれ領域1と領域2における電界成分を計算する。ここで、コンピュータ1は、式(1)を用いて領域1に属する各Yee格子における電界の成分を計算する。また、コンピュータ1の処理と並列に、コンピュータ2は、式(1)を用いて領域2に属する各Yee格子の電界の成分を計算する。
【0188】
ステップS215において、コンピュータ1とコンピュータ2は、それぞれの領域1及び領域2における電界成分の演算を終了したとき、コンピュータ3に停止メッセージを送信し、待機状態になる。
【0189】
ステップS108とS109において、コンピュータ3は、コンピュータ1とコンピュータ2、及びコンピュータ4とコンピュータ5からそれぞれ停止メッセージを受信する。
そして、ステップS110において、コンピュータ3は、コンピュータ4とコンピュータ5に電界成分の情報をコンピュータ1とコンピュータ2に転送する指示を送信する。
【0190】
ステップS311において、コンピュータ4とコンピュータ5は、コンピュータ3からの転送指示を受信する。
ステップS312において、コンピュータ4とコンピュータ5は、それぞれ電界情報を算出し、コンピュータ1とコンピュータ2に送信する。ここで、コンピュータ4は、回路シミュレーションによって算出した電圧を基に、式(13)を用いて、電子回路1に対応する領域1の所定の領域における電界の成分を算出し、コンピュータ1に送信する。コンピュータ4の処理と並列に、コンピュータ5は、回路シミュレーションによって算出した電圧を基に、式(13)を用いて、電子回路2に対応する領域2の所定の領域における電界の成分を算出し、コンピュータ2に送信する。
【0191】
そして、ステップS103において、コンピュータ4とコンピュータ5は、それぞれの所定の時間刻み幅で、電子回路1及び電子回路2において回路シミュレーションを行う。
ステップS104において、コンピュータ4とコンピュータ5は、それぞれ計算上所定の時刻に達したとき、コンピュータ4及びコンピュータ5は、それぞれコンピュータ3に停止メッセージを送信する。
【0192】
ステップS216において、コンピュータ1とコンピュータ2は、それぞれコンピュータ4とコンピュータ5から電界成分の情報を受信する。
そして、ステップS217において、コンピュータ1とコンピュータ2は、それぞれ領域1と領域2における磁界の成分を演算する。ここで、コンピュータ1は、式(2)を基に、オーバーラップ領域を除いた領域1に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する。コンピュータ1と並列に、コンピュータ2は、式(2)を基に、オーバーラップ領域を除いた領域2に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する。
【0193】
コンピュータ1は、上述した解析処理を行いながら、コンピュータ2から送信されるオーバーラップ領域の電界成分の情報を受信する。同様に、コンピュータ2は、上述した解析処理を行いながら、コンピュータ2から送信されるオーバーラップ領域の電界成分の情報を受信する。そして、ステップS218において、コンピュータ1及びコンピュータ2は、オーバーラップ領域における電界成分の情報の受信が完了するまで待機する。
【0194】
ステップS219において、コンピュータ1とコンピュータ2は、オーバーラップ領域における磁界の成分を計算する。ここで、コンピュータ1は、コンピュータ2から受信したオーバーラップ領域の電界成分を基に、式(2)を用いて、オーバーラップ領域に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する。コンピュータ1の処理と並列に、コンピュータ2は、コンピュータ1から受信したオーバーラップ領域の電界成分を基に、式(2)を用いて、オーバーラップ領域に属する各Yee格子における磁界の成分を算出する。
【0195】
ステップS220において、コンピュータ1とコンピュータ2は、オーバーラップ領域の磁界成分の演算を完了したとき、コンピュータ3に停止メッセージを送信し、待機状態になる。
【0196】
ステップS111とS112において、コンピュータ3は、コンピュータ1とコンピュータ2、及びコンピュータ4とコンピュータ5からの停止メッセージを受信する。
そして、ステップS113において、コンピュータ3は、コンピュータ1とコンピュータ2に、電流情報をコンピュータ4とコンピュータ5に転送する指示を送信する。
【0197】
ステップS221において、コンピュータ1とコンピュータ2は、コンピュータ3からの電流情報転送指示を受信する。
ステップS222において、コンピュータ1は、上述した解析処理によって求めた電子回路1に対応する領域1の所定のYee格子における磁界の成分を基に、式(13)を用いて電流値を演算し、算出した電流値の情報をコンピュータ4に送信する。また、コンピュータ1の処理と並列に、コンピュータ2は、上述した解析処理によって求めた電子回路2に対応する領域2の所定のYee格子における磁界の成分を基に、式(13)を用いて電流値を演算し、算出した電流値の情報をコンピュータ5に送信する。
【0198】
ステップS315において、コンピュータ4とコンピュータ5は、それぞれコンピュータ1とコンピュータ2からの電流情報を受信する。
【0199】
上述した電磁界の解析の処理は、予め設定した解析における計算上の時間が経過したとき、終了する。例えば、制御部11(コンピュータ3)は、初期化処理によって設定された初期条件に含まれる、使用者が所望する解析における計算上の終了時刻、および開始メッセージの送信の処理と対応する終了メッセージの受信の処理との回数を基に、電磁界の解析の処理の停止を判定し、計算器1及び計算器2に処理を終了させる。同様に、コンピュータ1とコンピュータ2に並列して電子回路のシミュレーションを行うコンピュータ4とコンピュータ5も、上述した利用者の所望の計算上の終了時刻に達するまで解析処理を繰り返して行い、コンピュータ3からの終了メッセージを受信したとき、処理を終了させる。
【0200】
一例として、例えば、解析処理の刻み時間Δtを0.1p秒とし、計算上の終了時刻を5n秒とすることができる。初期化処理において、この解析処理の条件がコンピュータ3に入力される。そして、コンピュータ3は、この条件に基づきコンピュータ1とコンピュータ2、並びにコンピュータ4とコンピュータ5それぞれの解析処理を制御し、上記終了時刻に達するまでに所望の刻み時間Δtごとに領域1、領域2並びにオーバーラップ領域それぞれに属するすべてのYee格子における電界及び磁界の成分を算出する。
【0201】
このようにすることで、オーバーラップ領域の電界成分の転送、およびオーパラップ領域の磁界成分の転送が比較的低速であっても、より迅速に、FDTD法により、電磁界を解析することができるようになる。さらに、FDTD法による電磁界の解析と並列に、回路シミュレーション、例えば、SPICE法による回路解析が行われるので、FDTD法による電磁界解析及びSPICEによる回路シミュレーションの両方の利点を生かした回路解析を実現できる。
【0202】
図18及び図19は、1台のコンピュータで電磁界の解析の処理に要した時間、従来の分散型FDTD法により2台のコンピュータで電磁界の解析の処理に要した時間、および本発明に係る方法により4台のコンピュータで電磁界の解析及び回路シミュレーションを並列に行う処理に要した時間の例を示す図である。
【0203】
ここで、解析の対象となる領域のYee格子の数が25×100×100であるとき、1台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行した場合、処理に要する時間は、5.178秒であり、従来の分散型FDTD法により2台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行した場合、処理に要する時間は、5.8848秒であり、本発明に係る方法により2台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行し、同時に2台のコンピュータで回路シミュレーションを行う場合、処理に要する時間は、5.0438秒であった。
【0204】
一方、Yee格子の数が25×150×150であるとき、1台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行した場合、処理に要する時間は、10.796秒であり、従来の分散型FDTD法により2台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行した場合、処理に要する時間は、10.7152秒であり、本発明に係る方法により2台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行し、同時に2台のコンピュータで回路シミュレーションを行う場合、処理に要する時間は、9.676秒であった。
【0205】
そして、Yee格子の数が25×200×200であるとき、1台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行した場合、処理に要する時間は、18.637秒であり、従来の分散型FDTD法により2台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行した場合、処理に要する時間は、16.1408秒であり、本発明に係る方法により2台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行し、同時に2台のコンピュータで回路シミュレーションを行う場合、処理に要する時間は、14.2606秒であった。
【0206】
Yee格子の数が25×250×250であるとき、1台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行した場合、処理に要する時間は、28.882秒であり、従来の分散型FDTD法により2台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行した場合、処理に要する時間は、23.744秒であり、本発明に係る方法により2台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行し、同時に2台のコンピュータで回路シミュレーションを行う場合、処理に要する時間は、21.3908秒であった。
【0207】
さらに、Yee格子の数が25×300×300であるとき、1台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行した場合、処理に要する時間は、39.457秒であり、従来の分散型FDTD法により2台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行した場合、処理に要する時間は、32.2002秒であり、本発明に係る方法により、2台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行し、同時に2台のコンピュータで回路シミュレーションを行う場合、処理に要する時間は、28.4252秒であった。
【0208】
Yee格子の数が25×350×350であるとき、1台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行した場合、処理に要する時間は、71.443秒であり、従来の分散型FDTD法により2台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行した場合、処理に要する時間は、41.778秒であり、本発明に係る方法により2台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行し、同時に2台のコンピュータで回路シミュレーションを行う場合、処理に要する時間は、38.1948秒であった。
【0209】
Yee格子の数が25×400×400であるとき、1台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行した場合、処理に要する時間は、115.777秒であり、従来の分散型FDTD法により2台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行した場合、処理に要する時間は、54.0614秒であり、本発明に係る方法により2台のコンピュータで電磁界の解析の処理を実行し、同時に2台のコンピュータで回路シミュレーションを行う場合、処理に要する時間は、47.7446秒であった。
【0210】
以上の結果から、本発明に係る計算システムは、解析の対象となる領域に属するYee格子の数が多いほど、従来に比較して、より迅速に、電磁界の解析の処理を実行できることがわかる。
【0211】
さらに、本発明に係る回路解析システムは、オーバーラップ領域に属するYee格子の数が多いほど、従来の分散型FDTD法に比較して、より迅速に、電磁界の解析の処理を実行できることがわかる。
【0212】
図20は、本実施形態の回路解析システムの他の処理を示す図である。本例の回路解析システムは、図15示す処理例とほぼ同じように、コンピュータ1とコンピュータ2によって、処理対象となる領域において、FDTD法によって電磁界の解析処理が行われる。また、コンピュータ4とコンピュータ5によって、領域1と領域2に属する所定のYee格子に対応する等価回路網において、例えば、SPICEによって回路シミュレーションが行われる。また、コンピュータ3は、回路の解析処理を行うすべてのコンピュータの動作を制御する。
なお、上述した図15に示す処理例では、オーバーラップ領域における電磁界の解析処理は、コンピュータ1とコンピュータ2両方によって行われるが、本例では、オーバーラップ領域における電磁界の解析処理は、コンピュータ1とコンピュータ2によって交互に行われる。
【0213】
まず、図20に示す処理に先立って、図14に示す初期化処理が実施されたこととする。そして、コンピュータ3は、コンピュータ1とコンピュータ2に電界の計算を開始する開始メッセージを送信し、また、コンピュータ4とコンピュータ5に回路解析を開始する開始メッセージを送信する。
【0214】
コンピュータ1とコンピュータ2において、コンピュータ3からの開始メッセージを受信すると、処理の対象となる領域において、初期化処理によって設定された初期化データに基づき、電界成分の解析を行う。ここで、コンピュータ1は、初期化処理によって設定された初期化データをもとに、式(1)を用いて、領域1に属する各Yee格子における電界の成分を計算する。また、コンピュータ1の処理と並列に、コンピュータ2は、初期化データをもとに、式(1)を用いて領域2に属する各Yee格子における電界の成分を計算する。
【0215】
図20において、時間TE1は、コンピュータ1が領域1の電界成分の算出に要する時間、またはコンピュータ2が、領域2の電界成分を算出するために要する時間のうち、長い方の時間を示す。
【0216】
領域1と領域2における電界成分の解析が完了したとき、コンピュータ1は、式(1)を用いて、オーバーラップ領域に属する各Yee格子における電界成分の解析を行う。なお、このとき、コンピュータ2は待機状態にある。
【0217】
コンピュータ1は、オーバーラップ領域の電界成分の解析を完了したとき、コンピュータ2にオーバーラップ領域の電界成分の情報を送信する。
図20において、時間TE2は、コンピュータ1がオーバーラップ領域の電界成分の算出に要する時間を示す。
【0218】
上述したコンピュータ1及びコンピュータ2の解析処理に並列に、コンピュータ4とコンピュータ5は、それぞれ回路シミュレーションを行う。ここで、コンピュータ3からの開始メッセージを受信したコンピュータ4は、初期化処理によって設定された初期化データ、例えば、電子回路1の等価回路のネットリスト、等価回路素子のパラメータなどをもとに、所定の時間刻み幅で、電子回路1における回路シミュレーションを行う。これと並列に、コンピュータ5は、初期化処理によって設定された初期化データをもとに、所定の時間刻み幅で、電子回路2における回路シミュレーションを行う。
【0219】
そして、コンピュータ4とコンピュータ5によって、電子回路1と電子回路2における回路シミュレーションで算出した電圧に基づき、式(13)を用いて、電子回路1及び電子回路2にそれぞれ対応する領域の電界成分を計算する。コンピュータ4とコンピュータ5は、こうして算出した電界成分をそれぞれコンピュータ1とコンピュータ2に送信する。
【0220】
コンピュータ1とコンピュータ2は、コンピュータ4とコンピュータ5から送信された電界成分を受信し、領域1と領域2における磁界の解析を行う。ここで、コンピュータ1は、コンピュータ4から送信された電界成分を受けて、上述した処理によって算出した領域1における電界成分と合わせて、式(2)を用いて、領域1に属する各Yee格子の磁界成分を計算する。また、コンピュータ1の処理と並列に、コンピュータ2は、コンピュータ5から送信された電界成分を受けて、上述した処理によって算出した領域2における電界成分と合わせて、式(2)を用いて領域2に属する各Yee格子の磁界成分を計算する。
【0221】
図20において、時間TH2は、コンピュータ1が領域1の磁界成分の算出に要する時間、またはコンピュータ2が、領域2の磁界成分を算出するために要する時間のうち、長い方の時間を示す。さらに、時間TECは、コンピュータ1からコンピュータ2にオーバーラップ領域の電界成分を送信する時間を示す。
コンピュータ1とコンピュータ2は、オーバーラップ領域の電界成分の解析を完了してから、時間TH2と時間TECの内、長い方の時間を経過したとき、オーバーラップ領域の磁界成分の解析を開始する。
【0222】
そして、コンピュータ1からコンピュータ2にオーバーラップ領域の電界成分の転送が完了したとき、コンピュータ2は、コンピュータ1から送信されてきたオーバーラップ領域の電界成分を基に、式(2)を用いて、オーバーラップ領域に属する各Yee格子の磁界成分を計算する。図20において、時間TH2は、コンピュータ2がオーバーラップ領域における磁界成分の計算時間を示す。
【0223】
上述したコンピュータ1とコンピュータ2の磁界成分の演算処理に並列して、コンピュータ4とコンピュータ5は、それぞれ電子回路1及び電子回路2において、所定の時間刻み幅で回路シミュレーションを行う。
【0224】
コンピュータ1とコンピュータ2は、算出した領域1及び領域2の磁界成分を基に、式(10)を用いて、電子回路1及び電子回路2における等価電流源の電流値を計算する。そして、コンピュータ1は、算出した電流値をコンピュータ4に送信し、コンピュータ2は、算出した電流値をコンピュータ5に送信する。
【0225】
コンピュータ4とコンピュータ5は、コンピュータ1とコンピュータ2から送信された電流値を受信し、この電流値に基づき、所定の時間刻み幅で電子回路1及び電子回路2における回路シミュレーションを行う。
【0226】
コンピュータ1及びコンピュータ2、並びにコンピュータ4及びコンピュータ5は、上述した領域1及び領域2における電界成分の解析から、オーバーラップ領域の磁界成分の解析処理までの処理を繰り返して行う。そして、あらかじめ設定された所定の時間分の解析処理をすべて完了したとき、解析処理を終了させる。
【0227】
以上説明したように、本実施形態の回路解析システムによれば、解析の対象となる領域において、FDTD法による電磁界の解析と並列に、所定の等価回路において、例えば、SPICE法による回路シミュレーションを行う。また、FDTD法による電磁界の解析において、解析の対象となる領域を複数の領域及び及びこれらの領域間のオーバーラップ領域に分割し、分割した領域は、それぞれ複数のコンピュータに割り当てる。同様に、回路シミュレーションにおいて、上記電磁界の解析において分割された領域にそれぞれ対応する等価回路網を複数のコンピュータに割り当てる。それぞれのコンピュータは、割り当てられた領域または電子回路に対して、それぞれ解析処理を行うので、高速な回路解析処理を実現できる。
【0228】
または、本実施形態の回路解析システムにおいて、解析処理に使用される各コンピュータの演算能力に基づき、それぞれのコンピュータに割り当てる領域または等価回路網を決めることによって、各コンピュータの処理負荷がほぼ均等に分散されるので、ハイブリッド解析の並列演算をもっとも効率よく実行することができ、回路解析システム全体の処理時間を短縮できる。
【0229】
さらに、本実施形態の回路解析システムによれば、FDTD法による電磁界の解析処理において、オーバーラップ領域の電界または磁界成分の転送は、当該オーバーラップ領域以外の領域の電界または磁界成分の演算処理中に行うことによって、解析時間の短縮化を図ることができる。
【0230】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の回路解析システムによれば、FDTD法による電磁界の解析の対象となる領域をそれぞれ複数の領域及びこれらの領域間のオーバーラップ領域に分割し、分割された各領域をそれぞれ複数の情報処理装置、例えば、コンピュータに割り当て、回路の解析処理において、複数のコンピュータがそれぞれ並列に割り当てられた領域における電磁界の解析処理を実行することによって、処理の高速化を実現できる。
また、上記分割された領域にそれぞれに対応する複数の等価回路網における回路シミュレーションを複数のコンピュータに割り当て、これらのコンピュータによって、それぞれ割り当てられた等価回路網における回路シミュレーションを並列に行うことによって、回路シミュレーションの高速化を実現できる。
また、本発明によれば、FDTDによる電磁界の解析処理と回路シミュレーションが並列に行うことによって、さらに処理の高速化を実現できる。
さらに、解析処理に使用される各コンピュータの演算能力及び通信ネットワークの情報転送能力に基づき、それぞれのコンピュータに割り当てる領域または等価回路網を決めることによって、各コンピュータの処理負荷がほぼ均等に分散されるので、ハイブリッド解析の並列演算をもっとも効率よく実行することができ、回路解析システム全体の処理時間を短縮できる。
さらに、本発明によれば、FDTD法による電磁界の解析処理において、オーバーラップ領域の電界または磁界成分の転送は、当該オーバーラップ領域以外の領域の電界または磁界成分の計算中に行うことによって、低速な通信ネットワークを用いて情報の転送を行っても、解析時間の短縮化を図ることができる。例えば、電界または磁界のオーバーラップ領域の転送完了時間が、電界の非オーバーラップ領域の計算時間と磁界の非オーバーラップ領域の計算時間との和以下の場合、オーバーラップ領域の電界または磁界の情報の転送処理が、非オーバーラップ領域の計算時間中に完了できるので、オー場ラップ領域の電界または磁界成分の転送処理による計算時間の増加を回避できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】FDTD法による電磁界の解析におけるYee格子を示す図である。
【図2】2次元FDTD法における、磁界成分Hzの計算を説明する図である
【図3】2次元FDTD法における、電界成分Eyの計算を説明する図である
【図4】2次元FDTD法における、電界成分Exの計算を説明する図である。
【図5】FDTD法における、時間の経過に対応する、電界成分および磁界成分の計算の順序を示す図である。
【図6】解析の対象となる領域の分割を示す図である。
【図7】従来の分散型FDTD法の解析アルゴリズムを説明する図である。
【図8】従来の分散型FDTD法の処理を説明するフローチャートである。
【図9】SPICEによる回路解析の対象となる等価回路を示す回路図である。
【図10】従来の回路シミュレーションによるデータの引き渡しタイミングを示す図である。
【図11】本発明に係る回路解析システムの一実施形態を示す構成図である。
【図12】本実施形態の回路解析システムの一具体例を示す構成図である。
【図13】FDTD解析の処理対象となる領域を分配する例を説明する図である。
【図14】本実施形態の回路解析システムの初期化処理を示すフローチャートである。
【図15】本実施形態の回路解析システムの一動作例を示す図である。
【図16】本実施形態の回路解析システムにおける解析処理を示すフローチャートである。
【図17】本実施形態の回路解析システムにおける解析処理を示すフローチャートである(図16の続き)。
【図18】従来の電磁界の解析の処理に要した時間、及び電磁界と回路シミュレーションを並列に行う処理に要する時間を示す表である。
【図19】従来の電磁界の解析の処理に要した時間、及び電磁界と回路シミュレーションを並列に行う処理に要する時間を示すグラフである。
【図20】本実施形態の回路解析システムの他の処理を示す図である。
【符号の説明】
11…制御部、12…スイッチングハブ、13…FDTD解析部、14…シミュレーション解析部、72…入力部、73…主記録部、74…データベース部、75…出力部、81−1,…,81−N…計算部、82−1,…,82−N…副記録部、91−1,…,91−N…計算部、91−1,…,91−N…副記録部。

Claims (11)

  1. 解析の対象となる領域を少なくても2つの分割領域に分割して並列に処理する複数の情報処理装置を含む回路解析システムであって、
    上記分割領域について、FDTD法に基づき、電界と磁界の解析を交互に行う、相互にデータ伝送可能な少なくとも2つの電磁界解析用情報処理装置と、
    上記分割領域について、回路シミュレーションによって回路解析を行う、上記電磁界解析用情報処理装置と相互にデータ転送可能な少なくても2つの回路解析用情報処理装置と、
    上記電磁界解析用情報処理装置と上記回路解析用情報処理装置の動作を制御する制御用情報処理装置と
    を有し、
    上記電磁界解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記制御用情報処理装置から電流情報転送指示を受信すると、磁界成分を基に電流値を算出して当該電流値を上記回路解析用情報処理装置に送信し、上記分割領域のうちのオーバーラップ領域の電界成分を演算し、当該オーバーラップ領域の電界成分を、隣接する分割領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置に送信し、当該オーバーラップ領域の電界成分の送信と並列に、当該オーバーラップ領域を除く分割領域について電界成分を演算し、当該演算が終了すると上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、
    上記回路解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置から送信された上記電流値を受信すると、上記電磁界解析用情報処理装置の上記電界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の磁界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、
    上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電界情報転送指示を送信し、
    上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界情報転送指示を受信すると、電圧値に基づいて電界成分を算出して上記電磁界解析用情報処理装置に送信し、
    上記電磁界解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界成分を受信すると、隣接する分割領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置からのオーバーラップ領域の電界成分の上記送信と並列に、オーバーラップ領域が除外された分割領域について磁界成分を演算し、隣接する分割領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置から送信されたオーバーラップ領域の電界成分を受信すると、オーバーラップ領域の磁界成分を演算し、当該演算が終了すると上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、
    上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置の上記磁界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の電界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、
    上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電流情報転送指示を送信する
    ことを反復することを特徴とする回路解析システム。
  2. 解析の対象となる領域を少なくても2つの分割領域に分割して並列に処理する複数の情報処理装置を含む回路解析システムであって、
    上記分割領域について、FDTD法に基づき、電界と磁界の解析を交互に行う、相互にデータ伝送可能な少なくとも2つの電磁界解析用情報処理装置と、
    上記分割領域について、回路シミュレーションによって回路解析を行う、上記電磁界解析用情報処理装置と相互にデータ転送可能な少なくても2つの回路解析用情報処理装置と、
    上記電磁界解析用情報処理装置と上記回路解析用情報処理装置の動作を制御する制御用情報処理装置と
    を有し、
    上記電磁界解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記制御用情報処理装置から電流情報転送指示を受信すると、磁界成分を基に電流値を算出して当該電流値を上記回路解析用情報処理装置に送信し、上記分割領域のうちのオーバーラップ領域を除く分割領域について電界成分を演算し、
    上記電磁界解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、当該オーバーラップ領域の電界成分を演算する設定であるときは、隣接する領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置から送信される当該オーバラップ領域の磁界成分を受信し、当該受信された磁界成分を基に、当該オーバラップ領域の電界成分を演算し、当該オーバラップ領域の磁界成分を送信した他の上記電磁界解析用情報処理装置であって当該オーバラップ領域の電界計算を行わないものに当該電界成分を送信するとともに、当該オーバラップ領域の電界計算が終了すると、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、または当該オーバーラップ領域の電界成分を演算しない設定であるときは、当該オーバラップ領域の電界成分を演算することなく、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、
    上記回路解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置から送信された上記電流値を受信すると、上記電磁界解析用情報処理装置の上記電界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の磁界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、
    上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電界情報転送指示を送信し、
    上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界情報転送指示を受信すると、電圧値に基づいて電界成分を算出して上記電磁界解析用情報処理装置に送信し、
    上記電磁界解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界成分を受信すると、上記分割領域のうちのオーバーラップ領域を除く分割領域について磁界成分を演算し、
    上記電磁界解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、当該オーバーラップ領域の磁界成分を演算する設定であるときは、隣接する領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置から送信される当該オーバラップ領域の電界成分を受信し、当該受信された電界成分を基に、当該オーバラップ領域の磁界成分を演算し、当該オーバラップ領域の電界成分を送信した他の上記電磁界解析用情報処理装置であって当該オーバラップ領域の磁界計算を行わないものに当該電界成分を送信するとともに、当該オーバラップ領域の磁界計算が終了すると、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、または当該オーバーラップ領域の磁界成分を演算しない設定であるときは、当該オーバラップ領域の磁界成分を演算することなく、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、
    上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置の上記磁界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の電界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、
    上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電流情報転送指示を送信する
    ことを反復することを特徴とする回路解析システム。
  3. 上記回路解析による電流値に基づく電圧値の演算が、可変の時間刻み幅を回路解析の時刻に加算することにより当該回路解析の時刻を更新し、当該更新された回路解析の時刻において、回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を、次の磁界解析または電界解析の時刻を当該回路解析の時刻が越えない範囲で繰り返して行うことである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の回路解析システム。
  4. 上記可変の時間刻み幅が、回路内の状態変数の時間変化率に応じた時間刻み幅であって、かつ、次の磁界解析または電界解析の時刻を越えない時間刻み幅である
    ことを特徴とする請求項3記載の回路解析システム。
  5. 上記制御用情報処理装置は、上記解析対象となる領域を、当該領域を解析する各上記情報処理装置の処理能力に応じて分割する領域分割手段
    を有することを特徴とする請求項記載の回路解析システム。
  6. 上記制御用情報処理装置は、上記電磁界解析用情報処理装置と、上記回路解析用情報処理装置それぞれの演算能力を調査し、それぞれの情報処理装置の演算能力に応じて、上記解析領域を分割して割り当てる領域分割手段
    を有することを特徴とする請求項記載の回路解析システム。
  7. 上記領域分割手段は、あらかじめ作成されたテスト用プログラムを各上記情報処理装置に実行させ、それぞれの情報処理装置が当該テスト用プログラムを実行する演算時間に基づき、各上記情報処理装置の演算能力を推定する
    ことを特徴とする請求項記載の回路解析システム。
  8. 上記電磁界解析用情報処理装置は、それぞれの情報処理装置の処理能力に対応する数のYee格子が配置された解析対象領域の電界及び磁界を解析する
    ことを特徴とする請求項に記載の回路解析システム。
  9. 上記回路解析用情報処理装置は、それぞれの情報処理装置の処理能力に対応する回路ネットリストによって表記される等価回路網を解析する
    ことを特徴とする請求項記載の回路解析システム。
  10. 解析の対象となる領域を少なくても2つの分割領域に分割して並列に処理する複数の情報処理装置を含み、当該分割領域について、FDTD法に基づき、電界と磁界の解析を交互に行う、相互にデータ伝送可能な少なくとも2つの電磁界解析用情報処理装置と、当該分割領域について、回路シミュレーションによって回路解析を行う、当該電磁界解析用情報処理装置と相互にデータ転送可能な少なくても2つの回路解析用情報処理装置と、当該電磁界解析用情報処理装置と当該回路解析用情報処理装置の動作を制御する制御用情報処理装置とを有する回路解析システムにおける回路解析方法であって、
    上記電磁界解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記制御用情報処理装置から電流情報転送指示を受信すると、磁界成分を基に電流値を算出して当該電流値を上記回路解析用情報処理装置に送信し、上記分割領域のうちのオーバーラップ領域の電界成分を演算し、当該オーバーラップ領域の電界成分を、隣接する分割領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置に送信し、当該オーバーラップ領域の電界成分の送信と並列に、当該オーバーラップ領域を除く分割領域について電界成分を演算し、当該演算が終了すると上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、
    上記回路解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置から送信された上記電流値を受信すると、上記電磁界解析用情報処理装置の上記電界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の磁界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、
    上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電界情報転送指示を送信するステップと、
    上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界情報転送指示を受信すると、電圧値に基づいて電界成分を算出して上記電磁界解析用情報処理装置に送信するステップと、
    上記電磁界解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界成分を受信すると、隣接する分割領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置からのオーバーラップ領域の電界成分の上記送信と並列に、オーバーラップ領域が除外された分割領域について磁界成分を演算し、隣接する分割領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置から送信されたオーバーラップ領域の電界成分を受信すると、オーバーラップ領域の磁界成分を演算し、当該演算が終了すると上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、
    上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置の上記磁界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の電界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、
    上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電流情報転送指示を送信するステップと
    を反復することを特徴とする回路解析方法。
  11. 解析の対象となる領域を少なくても2つの分割領域に分割して並列に処理する複数の情報処理装置を含み、当該分割領域について、FDTD法に基づき、電界と磁界の解析を交互に行う、相互にデータ伝送可能な少なくとも2つの電磁界解析用情報処理装置と、当該分割領域について、回路シミュレーションによって回路解析を行う、当該電磁界解析用情報処理装置と相互にデータ転送可能な少なくても2つの回路解析用情報処理装置と、当該電磁界解析用情報処理装置と当該回路解析用情報処理装置の動作を制御する制御用情報処理装置とを有する回路解析システムにおける回路解析方法であって、
    上記電磁界解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記制御用情報処理装置から電流情報転送指示を受信すると、磁界成分を基に電流値を算出して当該電流値を上記回路解析用情報処理装置に送信し、上記分割領域のうちのオーバーラップ領域を除く分割領域について電界成分を演算するステップと、
    上記電磁界解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、当該オーバーラップ領域の電界成分を演算する設定であるときは、隣接する領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置から送信される当該オーバラップ領域の磁界成分を受信し、当該受信された磁界成分を基に、当該オーバラップ領域の電界成分を演算し、当該オーバラップ領域の磁界成分を送信した他の上記電磁界解析用情報処理装置であって当該オーバラップ領域の電界計算を行わないものに当該電界成分を送信するとともに、当該オーバラップ領域の電界計算が終了すると、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、または当該オーバーラップ領域の電界成分を演算しない設定であるときは、当該オーバラップ領域の電界成分を演算することなく、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、
    上記回路解析用情報処理装置は、電界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置から送信された上記電流値を受信すると、上記電磁界解析用情報処理装置の上記電界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の磁界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、
    上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電界情報転送指示を送信するステップと、
    上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界情報転送指示を受信すると、電圧値に基づいて電界成分を算出して上記電磁界解析用情報処理装置に送信するステップと、
    上記電磁界解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電界成分を受信すると、上記分割領域のうちのオーバーラップ領域を除く分割領域について磁界成分を演算するステップと、
    上記電磁界解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、当該オーバーラップ領域の磁界成分を演算する設定であるときは、隣接する領域を解析する他の上記電磁界解析用情報処理装置から送信される当該オーバラップ領域の電界成分を受信し、当該受信された電界成分を基に、当該オーバラップ領域の磁界成分を演算し、当該オーバラップ領域の電界成分を送信した他の上記電磁界解析用情報処理装置であって当該オーバラップ領域の磁界計算を行わないものに当該電界成分を送信するとともに、当該オーバラップ領域の磁界計算が終了すると、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信し、または当該オーバーラップ領域の磁界成分を演算しない設定であるときは、当該オーバラップ領域の磁界成分を演算することなく、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、
    上記回路解析用情報処理装置は、磁界解析の時間帯において、上記電磁界解析用情報処理装置の上記磁界解析と並列に、上記分割領域について回路解析による電流値に基づく電圧値の演算を行い、回路解析の時刻が次の電界解析の時刻に達すると停止し、上記制御用情報処理装置に停止メッセージを送信するステップと、
    上記制御用情報処理装置は、全ての上記電磁界解析用情報処理装置からの上記停止メッセージと、全ての上記回路解析用情報処理装置からの上記停止メッセージとを受信すると、全ての上記回路解析用情報処理装置に対して電流情報転送指示を送信するステップと
    を反復することを特徴とする回路解析方法。
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