JP3860356B2 - 自動車用ドア構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サッシュ付きの自動車用ドア構造に関し、特に、インナパネル内に予めドアガラス,ウィンドレギュレータ,ドアロック等のドア内装着部品を艤装したドアモジュール構造を用いたドアや、アウタパネルにドアサッシュアウタまで一体形成したプレスドアに用いて好適の、自動車用ドア構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な自動車用ドアは、板金成形されたアウタパネル及びインナパネルを重合させてヘミング加工やスポット溶接等により結合することによりドア本体を組み立て、これをヒンジを用いてボディに組み付け、その後、塗装ラインでボディと共に塗装を施され、艤装ライン(ボディ艤装ライン又はドア艤装ライン等)でドアガラスやウィンドレギュレータ等のドア艤装品を組み付けられていた。また、ドア艤装品は、インナパネルに形成された作業孔を利用してドア本体の内部等に組み付けるのが一般的である。
【0003】
しかし、ウィンドレギュレータやドアガラスなどの大きくて重量もある部品は、取り廻しに負担がかかる上、作業孔を通じた組付作業は容易ではなく、手作業によるこれらの部品の艤装は、負担が大きく時間もかかる作業であり、また、塗完ボディに傷をつける虞もある。さらに、ドア本体の上方(ベルトライン上方)にドアフレーム(アッパサッシュ)をそなえたサッシュ付き自動車用ドアにドアガラスを取り付ける場合、アッパサッシュ内周に、ドアガラスを保持し昇降を安定させるためのホルダー形状部分が装備されるため、取り付けは容易でない。
【0004】
ここで、サッシュ付き自動車用ドアのアッパサッシュの従来構造を説明すると、例えば図9の横断面図に示すように、アッパサッシュ111は、アウタパネル112とインナパネル113とサッシュホルダ114とをそなえ、ほぼ平板状のアウタパネル112の外周縁部112Aは、S字状横断面を有するインナパネル113の外周縁部113Aを挟持するヘミング加工により接合されている。コ字状横断面を有するサッシュホルダ114の外側端縁部114Aはアウタパネル112の内周縁部112Bにスポット溶接等により接合されフランジ部116を形成し、サッシュホルダ114の内側端縁部114Bはインナパネル113の内周縁部113Bにスポット溶接等により接合されフランジ部117を形成しており、これらのフランジ部116,117からホルダー形状が形成される。
【0005】
なお、ホルダー形状(フランジ部)116,117には、内周部にガラスランチャンネルを有するモール115が嵌着されている。また、図9中、1はドアガラス、21はボディパネルアウタ、22はボディパネルインナ、23はボディパネルアウタ21とボディパネルインナ22との結合したフランジ部、24はこのフランジ部に嵌着されたモール、25,26はウェザーストリップである。
【0006】
このようなアッパサッシュでは、ホルダー形状(フランジ部)116,117により、ドアガラス1を車体外方及び車体内方から挟むようにすることによりドアガラス1の車体内外方向への変位を規制し、ガラスの昇降を安定させている。つまり、走行時等の負圧によってドアガラス1が車体外方へ変位しようとすると外側のフランジ部116がこれを規制し、ドアガラス1が外圧を受けて車体内方へ変位しようとすると、内側のフランジ部117がこれを規制するのである。
【0007】
また、図示しないが、ドア本体の内部(ベルトライン下方)に装備されるロアサッシュに関しても、ドアガラス1の車体外方及び車体内方にそれぞれホルダー形状(フランジ部116,117)に相当する部分が設けられ、サッシュの厚み方向の変位を規制するようになっている。なお、ここでは、アッパサッシュとロアサッシュとを総称してドアサッシュという。
【0008】
しかしながら、このようなホルダー形状を設けると、この部分のドア構造が複雑になり部品定数増や組立作業工程の増加を招くほか、ドアガラスを組み付ける場合に、ホルダー形状と干渉するため、車体内方から(図9中の矢印A1参照)の組付は不可能であり、ドアガラスをホルダー形状に差し込むような方向(図9中の矢印A2参照)からの組付しかできず、その組付作業は容易ではなく、熟練を要するものとなっている。
【0009】
上述のような自動車用ドアの組立上の各種の不具合に鑑み、例えば特開平9−169215号公報に開示されているように、ドアガラス,ウィンドレギュレータ,フロント及びリヤのロアサッシュ,ドアロック部品,ハーネス,スピーカ等のドア内装着部品を、塗装不要な非金属で構成されたインナパネルに予め装着することにより、サブアセンブリ(ドアモジュール)とした上で、ボディに組み付けられて塗装を施された板金製のアウタパネルに装着する技術が提案された。
【0010】
また、この公報の技術では、ロアサッシュに関してはドアガラスの車体外方及び車体内方にそれぞれホルダー形状(フランジ部)116,117に相当する構造が記載されているが、このロアサッシュのホルダー形状部分は、塗装ライン前に装着される板金ではなく、塗装ライン後に装着されるドアモジュール側の樹脂製等の部材であり、ドアモジュールの組立時にドアガラスと共に装着されるため、ドアガラスの取付はホルダー形状に邪魔されることなく行なえる。
【0011】
なお、この公報には、アッパサッシュのホルダー形状については特に記載されていないが、ドアモジュールのドア本体(この公報ではアウタパネル)への装着時には、ドア開口部の形状やドアの下降時の姿勢にもよるが、ドアガラスを下降状態としておくことによりアッパサッシュのホルダー形状に緩衝することなくドアモジュールをドア本体に装着することができるものと考えられる。
【0012】
一方、サッシュ付きの自動車用ドア構造の新たな流れとして、ドア部品の削減や、外観向上や空気抵抗低減のためのボディのフラッシュサーフィス化等の要請から、アウタパネルにドアフレーム(アッパサッシュ)を一体にプレス成形したいわゆるフルドアも開発され使用されており、このフルドアに、上述のドアモジュール構造を適用することも考えられる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の特開平9−169215号公報に開示されている技術では、アウタパネルは板金製であるがインナパネルが板金製でないため、ドアの剛性や強度を確保するために、アウタパネルの剛性や強度を高めたり、ドアに何らかの補強材等を追加する必要がある。
【0014】
また、ロアサッシュについてもアッパサッシュについても、サッシュのホルダー形状部分を、ドアの板金製アウタパネルや板金製インナパネル等のドアの構造部材で形成すれば、部品点数も削減されホルダー形状部分の剛性や強度も容易に確保しうる利点がある。この点、上述の特開平9−169215号公報に開示されたロアサッシュは、ドアモジュール側に装備される樹脂製等の部材であるため、部品点数の増加を招きドアガラスの車体内外方への支持剛性も確保し難い。
【0015】
一方、ドアモジュール構造を採用するしないに係わらず、図9に示すA1方向からドアガラスを組み付けることができればドアガラスの組付作業性は大幅に向上する。しかし、この場合には、ホルダー形状の車内側のフランジを削除するなどホルダー形状の変更が必要になり、ドアガラスの車体内外方への支持剛性をいかに確保するかが課題となる。
【0016】
なお、ベルトライン上方にアッパサッシュのないサッシュレスドア(いわゆる、ハードトップタイプの車両のドア)の場合には、当然アッパサッシュ部分のホルダー形状はなく(勿論、ドアガラスの昇降を安定させるためにロアサッシュ及びロアサッシュ内のホルダー形状は設けられる)、ベルトライン上方において、ドアガラスの車体内方への動きはボディ側のドアガラス支持面で支持し、ドアガラスの車体外方への動きはドア本体内のベルトライン付近に装備したガラス支持部材により支持している。
【0017】
このようなドアガラスの支持構造を、サッシュ付きドアにおけるドアガラスの車体内外方への支持剛性の確保に適用することが考えられるが、車両の走行時にはドアガラス外側の負圧によりドアガラスに車外方向への大きな力が作用するため、サッシュレスドアのドアガラス支持構造では、ガラス支持部材の負担が大きく、ガラス支持部材の大型化を招き、ドア重量の増大原因ともなっている。
【0018】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、部品点数の削減,ドアガラスの車体内外方への支持剛性の確保、ドアガラスの組付性の向上を実現することができるようにした、自動車用ドア構造を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の自動車用ドア構造では、いずれも板金製のアウタパネルとインナパネルとが重合してなるドア本体と、該ドア本体の内部及びその上部に設けられたドアサッシュと、該ドアサッシュ内のガラスランチャンネルに案内されて昇降するドアガラスとをそなえ、該ドアガラスは、該ガラスランチャンネルよりも車体内側から外側へ該ドアガラスを移動させ該ガラスランチャンネルに該ドアガラスを当接させて該ガラスランチャンネルを弾性変形させることで該ドアガラスの装着を可能にすべく、該ドアサッシュの該ガラスランチャンネルよりも車体内方を該ドアサッシュの全長に亘って開放する開口部を利用して、該ドア本体及び該ドアサッシュの車内側から該ガラスランチャンネルに当接させるようにして装着することができる。また、該ドアガラスの装着後には、該ドアガラスの車外方向への動きは、該ガラスランチャンネルを通じて該ドアサッシュ内周の該ドアガラスよりも車体外方に形成されたフランジ部により規制し、該ドアガラスの車内方向への動きは、該ガラスランチャンネルにより規制する。
【0020】
請求項2記載の本発明の自動車用ドア構造では、該ドアサッシュに形成された該フランジ部は、該インナパネルの縁部とこの縁部を挟持してヘミング加工された該アウタパネルの縁部とから構成されるので、部品点数が削減され、該フランジ部の剛性や強度が高められる。
請求項3記載の本発明の自動車用ドア構造では、該ガラスランチャンネルに形成された内側リップが、該ドアガラスの内面に対して当接しており、この内側リップが、該ドアガラスの車内側からの装着を容易にし且つ装着後の該ドアガラスの車内側への動きを規制する。
【0021】
請求項4記載の本発明の自動車用ドア構造では、該ガラスランチャンネルに、該ドアガラスの外面に摺接しうる外側リップと、該ドアガラスの内面に摺接しうる内側リップと、上記の外側リップと内側リップとの間に形成され該ドアガラスが嵌入しうる溝部とがそなえられており、ドアガラスを外側リップと内側リップと溝部とで協働して支持する。
請求項5記載の本発明の自動車用ドア構造では、車体側ドア開口のフランジ部に装着されたモールが、該ガラスランチャンネルの近傍まで延びており、該ドアガラスの車内方向への動きを該ガラスランチャンネルと該モールとで協働して規制する。
請求項6記載の本発明の自動車用ドア構造では、該ドア本体の車内側に凹所が形成され、該ドアガラスは少なくともウィンドレギュレータと一体のサブアセンブリとされ、このサブアセンブリは、該ドアガラスを下降させた状態で車内側から該凹所内に装着されるため、ドアの組立作業性が向上する。
請求項7記載の本発明の自動車用ドア構造では、該ドア本体のベルトライン付近に、該ドアガラスを厚み方向に支持するガラス支持部材が設けられており、ドアガラスの車内方向への動きは、ドア本体の内部に設けられたガラス支持部材とガラスランチャンネルの内側リップとで協働して規制する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明すると、図1〜図4は本発明の一実施形態としての自動車用ドア構造を示すものであり、図1はそのドア本体を示す構成図及び断面図、図2はその分解斜視図、図3はそのドア本体の部材構成を示す模式図、図4はその要部横断面図である。
【0023】
図1,図3に示すように、本自動車用ドア構造では、自動車用ドアは、板金製のアウタパネル11と板金製のインナパネル12とが重合してなるドア本体10と、該ドア本体10の内部及びその上部に設けられたドアサッシュ13と、ドアサッシュの内周面に沿うように配設されたガラスランチャンネル14と、ガラスランチャンネル14に案内されドアサッシュ13に沿って昇降するドアガラス1と、その他のドア内装着部品とを有している。
【0024】
ここでは、図2に示すように、ドアガラス1は、ウィンドレギュレータ2,ドアロック部品3,ハーネス及びスピーカ4等のドア内装着部品と共に例えばスケルトン(骨部材)等に予め艤装されたサブアセンブリ(ドアモジュール)5として組み立てられた上で、ドア本体10に取り付けられる。一方、ドア本体10の車室内側には、このようなドアモジュール5を収納するための凹所15が形成されている。
【0025】
ところで、アウタパネル11は、図3(A)に示すように、板金をプレス加工して形成されたもので、ドア本体10を構成する本体部11Aに、ドアサッシュ13のうちのドアベルトラインよりも上部に設けられたアッパサッシュ16を構成するアッパサッシュアウタ部11Bを一体形成された、いわゆるフルドアとして構成されている。
【0026】
そして、このアウタパネル11の外縁部とアッパサッシュアウタ部11Bの内縁部には、インナパネル12の縁部を抱き込むようにしてヘミング加工を施すための加工しろ〔図3(A)中、一点鎖線よりも端縁側〕18A,19Aが確保されている。また、アウタパネル11には、ドア把手取付用穴部11Cが形成され、さらに、アウタパネル11の内側面には、サイドインパクトビーム31,32が装着される。
【0027】
一方、インナパネル12は、図3(B)に示すように、ドア本体10を構成する2つの本体部12A,12Cと、アッパサッシュ16を構成するアッパサッシュインナ部12Bとの3部品よりなり、本体部12A,12Cはアウタパネル11の本体部11Aの外周縁部に、アッパサッシュインナ部12Bはアウタパネル11のアッパサッシュアウタ部11Bにそれぞれ結合される。また、本体部12A,12Cの一部(内側部分)はドアサッシュ13のうちのドアベルトラインよりも下部に設けられたロアサッシュ17を構成する。
【0028】
このような各パネル部品12A,12B,12Cは、図1に示すように、外周部及び内周部にフランジ部18B,19Bを備えたハット型横断面を有するように形成されており、各フランジ部18B,19Bがアウタパネル11の加工しろ18A,19A部分により挟持されヘミング加工されることにより、アウタパネル11とインナパネル12とが結合されドア本体10が形成される。なお、インナパネル12のフランジ部19Bのうちアウタパネル11の端縁部以外と接合する部分〔図1(D)中のA部参照〕は、接着等により結合される。
【0029】
インナパネル12をこのような環状に構成しているのは、インナパネル12の内周壁面12Iとアウタパネル11の内面11Iとからドアモジュール5を収納するための凹所15を形成するとともに、後述するようなドアサッシュ13を構成するためである。また、インナパネル12を各パネル部材12A〜12Cにより分割して構成しているのは、プレス成形を容易にするためであり、加工性に支障がなければ、このような形状のインナパネル12を一体ものにしてもよい。
【0030】
ここで、ドアサッシュ13に着目すると、アッパサッシュ16は、図1(B),(C)に示すように、アウタパネル11の内周縁(加工しろ)19Aとインナパネル12の内周側のフランジ部19Bとでヘミング加工により形成されたフランジ部19をそなえており、このフランジ部19と、フランジ部19に連なるインナパネル12の内周壁面12Iとで形成された断面がほぼL字状の内周面に、ガラスランチャンネル14が装着される。
【0031】
ロアサッシュ17は、図1(D)に示すように、アウタパネル11の内面11Iとインナパネル12の内周側のフランジ部19Bとが結合した部分に形成されており、フランジ部19Bと、フランジ部19Bに連なるインナパネル12の内周壁12Iとで形成された断面がほぼL字状の内周面に、ガラスランチャンネル14が装着される。
【0032】
ガラスランチャンネル14は、アッパサッシュ16からロアサッシュ17にわたって装備されるが、このガラスランチャンネル14の内周には、図1(B)〜(D)に示すように、ドアガラス1の外面に摺接しうる外側リップ14Aと、ドアガラス1の内面に摺接しうる内側リップ14Bと、これらの外側リップ14Aと内側リップ14Bとの間に形成されドアガラス1が嵌入しうる溝部14Cとがそなえられる。
【0033】
また、図4に示すように、ガラスランチャンネル14は、ランチャンネルホルダー41を介してアッパサッシュ16又はロアサッシュ17に取り付けられる。なお、ランチャンネルホルダー41は、アッパサッシュ16又はロアサッシュ17の内周に溶着又はビス止め等により固定され、その両縁部の爪部41A,41Bによりガラスランチャンネル14の側縁部を把持するように構成されている。
【0034】
ところで、上述のように、アッパサッシュ16及びロアサッシュ17のいずれのドアサッシュ13も、断面がほぼL字状の内周面を有しており、車外側には、フランジ部19又は19Bといったドアガラス1を車体外側から支持する壁部をそなえるが、車内側には、このフランジ部19又は19Bに相当するようなドアガラス1を車体内側から支持する壁部は設けられず、車体内方に開放した開口部13Aとして構成されている。
【0035】
これにより、図4に矢印A1で示すように、ドアガラス1を車体内側から外側へ移動させるようにしてガラスランチャンネル14内に装着することができるようになっている。なお、ランチャンネルホルダー41の車体内側の縁部に設けられたガラスランチャンネル14把持用の爪部41Bは、このような方向から装着されるドアガラス1と干渉しない程度に低く形成されている。また、このような方向からドアガラス1を装着するには、ガラスランチャンネル14の弾性を利用して行なう。つまり、ドアガラス1をガラスランチャンネル14に当接させてガラスランチャンネル14を変形させながらドアガラス1を装着する。
【0036】
また、図示しないが、ドア本体10のベルトライン付近には、ドアガラス1をその厚み方向(車体内外方向)に支持するガラス支持部材がそなえられており、ドアガラス1が装着されると、ドアガラス1の車外方向への動きは、ドアサッシュ13の内周面に沿うように配設されたガラスランチャンネル14のリップ14Aを通じてドアサッシュ13内周のフランジ部19,19Bにより規制し、ドアガラス1の車内方向への動きは、上記のドア本体10の内部に設けられたガラス支持部材とガラスランチャンネル14のリップ14Bとで協働して規制するようになっている。
【0037】
また、図1(B)に示す符号のうち、21はボディパネルアウタ、22はボディパネルインナ、23はボディパネルアウタ21とボディパネルインナ22との結合したフランジ部、24はこのフランジ部23に嵌着されたモール、25,26はボディ側とドア側との間に介装されたウェザーストリップであり、これらは従来と同様に構成されている。
【0038】
本発明の一実施形態としての自動車用ドア構造は、上述のように構成されているので、自動車用ドアの組立にあたっては、まず、板金成形されたアウタパネル11に板金成形されたインナパネル12の各部材12A〜12Cを重合させてヘミング加工や接着やスポット溶接等により結合することによりドア本体10を組み立て、このドア本体10をヒンジ20(図3参照)を用いてボディに組み付け、その後、塗装ラインでボディと共に塗装する。その後、ボディ艤装ラインやドア艤装ライン等の艤装ラインで、予め組み立てられたドアモジュール5を組み付ける。
【0039】
本構造では、ドアサッシュ13の車内側はドアガラス1を車体内側から支持する壁部は設けられておらず、車体内方に開放した開口部13Aとして構成されているので、ドアモジュール5の組付時には、ドアガラス1を図4に矢印A1で示すように、車体内側から外側へ移動させるようにしてガラスランチャンネル14内に進入させることができる。
【0040】
このドアガラス1の組付は、ガラスランチャンネル14のリップ14Bを変形させながら行なうことになるが、この組付時にドアガラス1を下降させておけば、少なくとも上方の(例えばアッパサッシュ16内の)ガラスランチャンネル14については干渉することなく組付を行なえ組付性が向上するようになるため、好ましい。
【0041】
もちろん、この場合も、一般には、ロアサッシュ17側のガラスランチャンネル14の一部のリップ14Bについては変形させなければならないが、ドアガラス1を巧みに移動操作すれば、ガラスランチャンネル14のリップ14Bを変形させることなく、したがって、ドアガラス1をリップ14Bに単に当接又は摺接させるだけで、ドアガラス1の装着を行なうことも可能である。
【0042】
なお、ドアガラス1の装着後には、ドアガラス1の車外方向への動きは、ドアサッシュ13の内周面に沿うように配設されたガラスランチャンネル14のリップ14Aを通じてドアサッシュ13内周のフランジ部19,19Bにより規制され、ドアガラス1の車内方向への動きは、上記のドア本体10の内部に設けられたガラス支持部材とガラスランチャンネル14のリップ14Bとで協働して規制され、ドアガラス1は確実に支持される。
【0043】
また、本構造では、ドア本体10をいずれも板金製のアウタパネル11とインナパネル12とを重合させた構成なので、ドアの剛性や強度を確保する上でも有利になり、しかも、アッパサッシュ16のみならずロアサッシュ17についてもアウタパネル11とインナパネル12とを利用しているので、これらのサッシュ13の剛性や強度を確保しやすく、部品点数削減にも寄与する。
【0044】
さらに、本実施形態では、アウタパネル11が、ドア本体10を構成する本体部11Aに、アッパサッシュ16を構成するアッパサッシュアウタ部11Bとを一体形成された、いわゆるフルドアとなっているので、この点でも、剛性や強度を確保しやすく、部品点数削減にも寄与し、空気抵抗低減のためやデザイン性向上のためのフラッシュサーフィス化にも有利になる。
【0045】
なお、本実施形態では、ガラスランチャンネル14をランチャンネルホルダー41により固定しているが、図5に示すように、ガラスランチャンネル14をクリップ42により固定してもよい。
また、上述のように、組付時にドアガラス1を下降させておけば、上方の(例えばアッパサッシュ16内の)ガラスランチャンネル14に干渉することなく組付を行なえるので、図6に示すように、サッシュ13(アッパサッシュ16及びロアサッシュ17)のうちの組付時にドアガラス1と干渉しない部分のランチャンネルホルダー43の車内側には、ガラスランチャンネル14の把持用爪部43Bを大きく突出させて、ガラス支持部材と、ガラスランチャンネル14のリップ14Bと、この把持用爪部43Bとを協働させてドアガラス1の車内方向への動きを規制するようにしてもよい。
【0046】
また、ガラスランチャンネル14のリップ14Bを、より剛性の高い材料で形成しても、ドアガラス1の車内方向への動きを規制するために有効である。
さらに、このようにガラスランチャンネル14の剛性を高めた上で、このリップ14Bを、図7に示すように、ドアガラス1の内面に対して小角度に配向すれば、ドアガラス1が車内側から装着されるときにはリップ14Bの車内側の面がドアガラス1に滑らかに摺接することになり抵抗になりにくく、且つ、装着後には、リップ14Bの車内側の面がドアガラス1の内面を押圧してドアガラス1の車内側への動きを確実に規制するようにでき、効果的である。
【0047】
また、図8に示すように、車体側ドア開口のフランジ部23に装備するモール24をガラスランチャンネル14の近傍にまで達するように配設して、ガラス支持部材とガラスランチャンネル14とこのモール24とで協働させてドアガラス1の車内方向への動きを規制するようにしてもよい。なお、図8に示す例では、車体側のフランジ部23を、開口部13Aに進入しない程度に延長して、このフランジ部23にモール24を装着しており、ドアガラス1の車内方向への動きの規制には、フランジ部23の高い剛性も直接寄与している。モール24のみを、その先端がガラスランチャンネル14の近傍にまで達するように構成しても一定のドアガラス支持効果は期待できる。
【0048】
なお、本発明は、上述のような本実施形態やその変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して適用することができる。
例えば、図6の変形例のように組付時にドアガラス1と干渉しない部分のランチャンネルホルダー43の車内側に把持用爪部43Bを大きく突出させた構造や、図8に示すように、車体側ドア開口のフランジ部23に装備するモール24をガラスランチャンネル14の近傍にまで達するように配設した場合には、これらの構造がドアガラス1の車内側への動きを確実に規制するので、ドアガラス1の車内側への支持を、ドア本体10内のガラス支持部材に頼らなくてもよくなり、上記のようなガラス支持部材も不要になる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の自動車用ドア構造によれば、ドアガラスを車内側から容易にドアに装着することができるようになり、ドアガラスの取付作業性が大幅に向上し、しかも、ドアガラスの車外方向への動きも車内方向への動きも規制できるようになる利点がある。
【0050】
請求項2記載の本発明の自動車用ドア構造によれば、上記の効果に加えて、ドアの剛性を確保しながらドア構造を簡素化しうるようになり、部品点数の削減やコスト低減を促進することができる利点がある。
請求項3〜5記載の本発明の自動車用ドア構造によれば、上記の効果に加えて、ドアガラスの車内方向への動きをより確実に規制できる利点がある。
【0051】
請求項6記載の本発明の自動車用ドア構造によれば、上記の効果に加えて、ドアの組立を容易に行なえるようになる利点がある。
請求項7記載の本発明の自動車用ドア構造によれば、上記の効果に加えて、ドアガラスの車内方向への動きは、ドア本体の内部に設けられたガラス支持部材とガラスランチャンネルの内側リップとで協働して規制するので、ドアガラスの車内方向への動きをより確実に規制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての自動車用ドア構造の要部を示す構成図であり、(A)はそのドア本体の斜視図、(B)は(A)のB−B矢視断面図、(C)は(A)のC−C矢視断面図、(D)は(A)のD−D矢視断面図である。
【図2】本発明の一実施形態としての自動車用ドア構造を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態としての自動車用ドア構造にかかる部材を示す模式図であり、(A)はアウタパネルの内側正面図、(B)はインナパネルの各構成要素の正面図である。
【図4】本発明の一実施形態としての自動車用ドア構造のドアサッシュ部分を示す横断面図である。
【図5】本発明の一実施形態としての自動車用ドア構造のドアサッシュ部分の第1変形例を示す横断面図である。
【図6】本発明の一実施形態としての自動車用ドア構造のドアサッシュ部分の第2変形例を示す横断面図である。
【図7】本発明の一実施形態としての自動車用ドア構造のドアサッシュ部分の第3変形例を示す横断面図である。
【図8】本発明の一実施形態としての自動車用ドア構造のドアサッシュ部分の第4変形例を示す横断面図である。
【図9】従来の自動車用ドア構造のドアサッシュ部分の一例を示す横断面図である。
【符号の説明】
1 ドアガラス
5 サブアセンブリ(ドアモジュール)
10 ドア本体
11 アウタパネル
12 インナパネル
13 ドアサッシュ
13A 開口部
14 ガラスランチャンネル
14B ガラスランチャンネル14のリップ
15 凹所
16 ドアサッシュ(アッパサッシュ)
17 ドアサッシュ(ロアサッシュ)
19,19B フランジ部
23 車体側ドア開口のフランジ部
24 モール
41 ランチャンネルホルダー
Claims (7)
- 板金製のアウタパネルとインナパネルとが重合してなるドア本体及び該ドア本体に設けられたドアサッシュと、該ドアサッシュに沿って昇降するドアガラスとを有する自動車用ドア構造において、
該ドアサッシュの内周面に沿うように配設され該ドアガラスを案内するガラスランチャンネルと、
該ガラスランチャンネルよりも車体外方の該ドアサッシュに形成されたフランジ部と、
該ガラスランチャンネルよりも車体内側から外側へ該ドアガラスを移動させ該ガラスランチャンネルに該ドアガラスを当接させて該ガラスランチャンネルを弾性変形させることで該ドアガラスの装着を可能にすべく、該ドアサッシュの該ガラスランチャンネルよりも車体内方を該ドアサッシュの全長に亘って開放する開口部とをそなえ、
該ドアガラスの車外方向への動きは該フランジ部により規制し、該ドアガラスの車内方向への動きは該ガラスランチャンネルにより規制する
ことを特徴とする、自動車用ドア構造。 - 該ドアサッシュに形成された該フランジ部は、該インナパネルの縁部と該インナパネルの縁部を挟持してヘミング加工された該アウタパネルの縁部とから構成されていることを特徴とする、請求項1記載の自動車用ドア構造。
- 該ガラスランチャンネルに、該ドアガラスの車内側からの装着を容易にし且つ装着後の該ドアガラスの車内側への動きを規制するように該ドアガラスの内面に対して当接する内側リップが形成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の自動車用ドア構造。
- 該ガラスランチャンネルに、該ドアガラスの外面に摺接しうる外側リップと、該ドアガラスの内面に摺接しうる内側リップと、上記の外側リップと内側リップとの間に形成され該ドアガラスが嵌入しうる溝部とがそなえられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載の自動車用ドア構造。
- 車体側ドア開口のフランジ部に、該ガラスランチャンネルの近傍まで延びるモールが装着され、該ドアガラスの車内方向への動きを該ガラスランチャンネルと該モールとで協働して規制することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の自動車用ドア構造。
- 該ドア本体の車内側に凹所が形成されるとともに、該ドアガラスは少なくともウィンドレギュレータと一体のサブアセンブリとされ、該サブアセンブリは該ドアガラスを下降させた状態で車内側から該凹所内に装着されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項に記載の自動車用ドア構造。
- 該ドア本体のベルトライン付近に、該ドアガラスを厚み方向に支持するガラス支持部材が設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項に記載の自動車用ドア構造。
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