JP3860322B2 - クロス目地のシール構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁パネル間に形成された縦目地と横目地とからなるクロス目地のシール構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
壁パネルを外壁として建築物躯体(例えば、鉄骨梁等)へ止め金具で固定する場合、上下に隣接する壁パネル間に横目地が形成され、左右に隣接する壁パネル間に縦目地が形成される。そして、横目地と縦目地とでクロス目地が構成される。図6は、上記クロス目地における縦目地部分から見た横目地部分の側断面図である。この図に示すように、上下に隣接する下側壁パネル1aと上側パネル1bとの間に形成される横目地3は、下側壁パネル1aの上端面に形成された凸条5と、上側壁パネル1bの下端面に形成された溝7とを嵌合させた構成になっている。この横目地3内における凸条5の室内側下段には、横目地3の延設方向に沿って環状ガスケット9が挟入され、凸条5の上段には防水パッキング材11が挟入されている。また、横目地3内における凸条5の室外側下段にはバックアップ材13が挟入され、その前面にはシーリング材15が充填されている。
【0003】
そして、ここでの図示は省略したが、上記縦目地は壁パネルにおける平坦な側端面間で形成される。そして、この縦目地には、バックアップ材が挟入され、その前面にシーリング材が充填されている。
以上のように横目地及び縦目地をシーリング材によってシールすることで、これらの目地部から建築物躯体側への雨水の浸入を阻止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成のクロス目地のシール構造には以下のような課題があった。
すなわち、上記シール構造では、経年劣化等によりリーシング材と壁パネルとの間に剥離等が生じると、雨水が躯体側へ浸入してしまう。この際、縦目地のシーリング材の劣化によって縦目地内に浸入した水分は、図6に示したように縦目地に当接する横目地3のガスケット9配置部から横目地3の延設方向に向かって浸入して広範囲に拡散される。そして、横目地3から室内側にこの水分が浸入してしまう。
そこで本発明は、縦目地内から横目地内を通って室内側に水分が浸入することを防止できるクロス目地のシール構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は壁パネル間に形成された縦目地と横目地とからなるクロス目地のシール構造であり、下側壁パネルの上端面に形成された凸条と上側壁パネルの下端面に形成された溝とを嵌合させてなる横目地を有するものにおいて、クロス目地内に挟入されたバックアップ材と、その前面に充填されたシーリング材と、横目地内に挟入された断面Z型の目地塞ぎゴムとを有している。上記目地塞ぎゴムは断面Z型であり、横目地内におけるバックアップ材の背面側でかつ凸条の上段から室内側下段に掛けて、縦目地に隣接させた状態で設けられている。また、目地塞ぎゴムの一主面側の中央部には、窪みが設けられている。
【0006】
上記構成のシール構造では、横目地の凸条の上段から室内側下段に掛けては、目地塞ぎゴムによって縦目地に対して横目地内が塞がれた状態になっている。このため、シーリング材に欠陥が生じて縦目地内に水分が侵入した場合、横目地の凸条の上段から室内側下段に掛けての部分からの横目地側への水分の浸入が、上記目地塞ぎゴムによって阻止される。しかも、目地塞ぎゴムの一主面側の中央部に窪みが設けられていることによって、この目地塞ぎゴムは横目地内に挟入された状態で容易に圧縮変形される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のクロス目地のシール構造を適用した実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を適用したクロス目地のシール構造の一例を示す側面図であり、縦目地側から見た横目地部分の側断面図である。また、図2は上記横目地部分の要部斜視図である。そして、図3は縦目地部分の水平断面図であり、図4はこの縦目地のシールに用いるガスケットの断面図である。さらに、図5はこのシール構造に用いる壁パネルの斜視図である。
【0008】
図5に示すように、壁パネル21は、外壁23と内壁25との間に横桟27を設けてなる中空壁パネルであり、壁パネル21の対向する側周面に貫通する複数の中空部29を有している。また、壁パネル21において、横桟27と略平行な一方の周端面には壁パネル21の側周に沿って凸条31が形成されており、他方の周端面には壁パネル21の側周に沿って溝33が形成されている。このような構成の壁パネル21は、例えば押し出し成形によって形成されたものである。
【0009】
上記構成の壁パネル21は、外壁23が室外側に配置され、かつ凸条31が形成された周端面が上になるようにして建築物躯体に取り付けられる。そして、図1の側断面図に示すように、上下で隣接する壁パネル21同士は、凸条31と溝33とを嵌合させて配置され、これらの壁パネル21間に横目地35が形成されることになる。また、図3に示すように、左右で隣接する壁パネル21同士は、中空部29の開口端を対向させた状態になり、これらの壁パネル間21間に縦目地37が形成されることになる。そして、上記縦目地37と横目地35とでクロス目地が構成される。
【0010】
本実施形態のクロス目地の横目地部分のシール構造は、図1の側断面図及び図2の要部斜視図に示したように、横目地35内に、室内側(すなわち建築物躯体側)から順に、目地塞ぎゴム39、バックアップ材41及びシーリング材43を挟み込んだ構成になっている。また、上記横目地35内における凸条31の上段には、目地塞ぎゴム39に隣接させて環状ガスケット45または防水パッキングが挟入されている。図面においては環状ガスケット45が挟入されている場合を示し、以下環状ガスケットまたは防水パッキングを代表して環状ガスケットと記す。さらに、ここでは図示を省略したが、横目地35内における凸条31の室内側下段には、目地塞ぎゴム39に隣接させて環状ガスケットや防水パッキングを挟入しても良く、また空目地の状態にしても良い。
【0011】
上記目地塞ぎゴム39は、垂直断面Z型に形成されており、横目地35の凸条31の上段から室内側下段に掛けてを塞ぐ状態で、縦目地に隣接させて設けられている。この目地塞ぎゴム39は、例えばシリコーン系の樹脂等からなるものであり、横目地35に沿って50mm程度の幅Wを有しており、その厚みは上下の壁パネル21間に設けられる隙間の設計値に対して多少厚めに設定(例えば7mm〜12mm)されている。また、目地塞ぎゴム39の一主面側(図面においては上面側)における幅W方向の中央部分には、横目地35に挟入した目地塞ぎゴム39の変形容易性を確保するための窪み44が設けられている。さらに、目地塞ぎゴム39における環状ガスケット45と隣接する面には、環状ガスケット45の配置位置を規制する突片39aが設けられている。
【0012】
また、上記バックアップ材41は、ウレタン系の樹脂等からなる一連のものであり、横目地35における凸条31の室外側下段に、横目地35の延設方向に沿って挟入されている。
さらに、上記シーリング材43は、バックアップ材41の前面(すなわち室外側面)の横目地35内に充填されている。このシーリング材43は、シリコーン系やポリサルファイド系の樹脂からなるものであり、上下の壁パネル21間が隙間無く塞がれるように充填されている。
そして、上記環状ガスケット45は、例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM)のような材料からなり、横目地35の延設方向に沿って挟入されている。
【0013】
上記のように横目地35をシールする場合には、下側の壁パネル21の凸条31上に、目地塞ぎゴム39及び環状ガスケット45を接着固定した後、この壁パネル21の凸条31にもう一枚の壁パネル(すなわち、上側の壁パネル)の溝(33)を嵌合させるようにして2枚の壁パネル21を上下に隣接させて設ける。次に、2枚の壁パネル21間に形成された横目地35内に、室外側からバックアップ材41を挟入した後、その前面にシーリング材43を充填する。
【0014】
また、本実施形態のクロス目地の縦目地部分のシール構造は、図3に示すように、縦目地37内に、室内側(すなわち建築物躯体側)から順に、ガスケット47、充填材49、バックアップ材41及びシーリング材43を挟み込んだ構成になっている。
【0015】
上記ガスケット47は、例えばシリコーン系の樹脂等からなる一連のチューブ状ものであり、縦目地37内における最も室内側に縦目地37の延設方向に沿って挟入されている。図4は、ガスケット47の長さ方向に対する垂直断面図である。この図に示すように、このガスケット47は、例えば3つの通路が内設された一連のチューブ状であり、その側周壁には長手方向に沿った一連のヒレ47aが複数枚備えられている。各ヒレ47aは、適度な可撓性を有するものであり、ヒレ47aの先端部まで含めたガスケット47の径は、縦目地37の幅よりも大きく設定されていることとする。そして、図3に示したように、このような構成のガスケット47を室外側から縦目地37内に挟入することによって、ヒレ47aが縦目地37の内壁に沿って室外側に撓んだ状態になる。この結果、ヒレ47aと縦目地37の内壁とで、縦目地37の延設方向に沿った複数の通路が形成される。
【0016】
また、上記充填材49は、ロックウールやセラミックウール等からなるものであり、ガスケット47の前面(すなわち室外側面)における縦目地37内に詰め込まれている。
そして、上記バックアップ材41は、上記横目地(35)内に挟入されたと同様のウレタン系の樹脂等からなる一連のものであり、縦目地37の延設方向に沿って挟入されている。
さらに、上記シーリング材43は、横目地(35)内に充填されたと同様のシリコーン系やポリサルファイド系の樹脂からなるものであり、バックアップ材41の前面の縦目地37内に充填されている。
【0017】
上記のように縦目地をシールする場合には、左右に隣接する壁パネル21間の縦目地37内に、室外側からガスケット47、充填材49、バックアップ材41を順次挟入した後、その前面にシーリング材43を充填する。
【0018】
上記構成のクロス目地のシール構造では、図1に示したように、横目地35の凸条31の上段から室内側下段に掛けてが、目地塞ぎゴム39によって縦目地(37)に対して塞がれた状態になっている。このため、縦目地(37)のシーリング材43に欠陥が生じて縦目地(37)内に水分が侵入しても、上記目地塞ぎゴム39によって、横目地35の凸条31の上段から室内側下段に掛けての部分から横目地35側にこの水分が浸入し、横目地35に沿ってこの水分が拡散されることが阻止される。したがって、縦目地(37)内から横目地(35)内を通って室内側に水分が浸入することを防止できる。また、横目地35のシーリング材43に欠陥が生じて横目地35内に浸入した水分は、凸条31とその上段の環状ガスケット45とによって、室内側への浸入が阻止される。しかも、目地塞ぎゴム39の一主面側の中央部に窪み44を設けたことによって、この目地塞ぎゴム39は横目地35内に挟入された状態で容易に圧縮変形される。このため、窪み44が設けられていない場合と比較して、小さな圧縮力で目地調整を行うことができ、目地調整を容易にすることが可能になる。
【0019】
また、図3に示したように、縦目地37内に挟入されたガスケット47のヒレ47aと縦目地37の内壁とによって、縦目地37の延設方向に沿った通路が形成されるため、縦目地37内に浸入した水分はこの通路を伝わって縦目地37の下端から排出される。さらに、上記ヒレ47aによって、縦目地37における気密性が確保される。
しかも、上記シール構造では、各目地内に部材を挟入するかあるいは充填すれば良く、外側から目地を塞ぐような煩雑な作業を行ったり、そのための特別な部材を用いる必要もなく、施工性を悪化させたり部材コストを増加させることもない。
【0020】
尚、本発明のクロス目地のシール構造における縦目地部分のシール構造は上記図3及び図4を用いて説明した構成に限定されることはなく、縦目地部分のシール構造が上記構成と異なる場合であっても、横目地35内に挟入した目地塞ぎゴム39によって、縦目地37から横目地35の室内側への水分の浸入を防止することができる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のクロス目地のシール構造によれば、横目地内における室内側に縦目地と当接させた状態で目地塞ぎゴムを設けたことで、縦目地内から横目地内の室内側への水分の浸入を防止することが可能になる。したがって、縦目地内から横目地内を通って室内側に水分が浸入することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクロス目地のシール構造において縦目地側から見た横目地部分の側断面図である。
【図2】クロス目地における横目地部分のシール構造を説明するための要部斜視図である。
【図3】クロス目地における縦目地部分の水平断面図である。
【図4】クロス目地における縦目地部分のシールに用いるガスケットの水平断面図である。
【図5】クロス目地を構成する壁パネルの斜視図である。
【図6】従来のクロス目地のシール構造における横目地部分の側断面図である。
【符号の説明】
21…壁パネル、31…凸条、33…溝、35…横目地、37…縦目地、39…目地塞ぎゴム、41…バックアップ材、43…シーリング材
Claims (1)
- 壁パネル間に形成された縦目地と横目地とからなるクロス目地のシール構造であって、下側壁パネルの上端面に当該下側壁パネルの側周に沿って形成された凸条と上側壁パネルの下端面に当該下側壁パネルの側周に沿って形成された溝とを嵌合させてなる横目地を有するものにおいて、
前記縦目地内及び前記横目地内にこれらの目地に沿って挟入されたバックアップ材と、
前記縦目地内及び前記横目地内における前記バックアップ材の前面に充填されたシーリング材と、
前記縦目地に隣接させた状態で前記横目地内における前記バックアップ材の背面側でかつ前記凸条の上段から室内側の当該凸条の下段に掛けて挟入され、一主面側の中央部に窪みが設けてなる断面Z型の目地塞ぎゴムと、
を備えたこと特徴とするクロス目地のシール構造。
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