JP3857978B2 - 培地バックを用いた作物植生体とその養液栽培方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、養液栽培法により作物を栽培するのに使用する培地とそれを使用した養液栽培方法に関し、特に固形培地を繰り返し再利用することを可能とした培地バッグとそれを使用して養液栽培法により作物を栽培する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロックウール、レキ(礫)、粒状セラミックス等の固形培地を用いた養液栽培法(以下、「固形培地耕法」と言う。)は、固形培地を使用しないNFT(Nutrient Film Technique、邦訳:薄膜水耕法)方式や湛液方式などの養液栽培に比べて、システムが簡便かつ安価であるため、広く普及している。しかし、固形培地耕法には、固形培地を使用しないNFT方式や湛液方式などには生じないような固形培地耕法特有の課題も多い。
【0003】
解決すべき重要な課題の一つに、根の残渣処理の問題が挙げられる。トマトのイチョウ(萎凋)病やアオガレ病、キュウリのツルワレ病などの土壌伝染性の病害菌は、被害株の残渣で長期間生存し、伝染源となる。このため、養液栽培での土壌病害発生を予防するためには、栽培終了時に根の残渣を完全に取り除いておく必要がある。また、根の残渣をそのままにしておくと、根が腐敗して固形培地の理化学性も変化する。このような理由から、固形培地耕法では、前作の根の残渣が残存したままの固形培地を連用することは好ましくない。
【0004】
固形培地を使用しないNFT耕や湛液耕では、栽培終了時に容易に根のみを片づけることができる。しかし、固形培地耕法では、固形培地中に根が深く浸入してしまうため、栽培終了後に根と固形培地を分離することは難しい。特に、ロックウールのように繊維質の固形培地を用いた場合には、分離は事実上困難である。レキやセラミックスなどの粒状培地を用いた場合は、根と固形培地を分離することも可能であるが、分離に手間がかかり、また、細根までも完全に取り除くことは難しい。
【0005】
このようなことから、固形培地耕法において、土壌病害や培地の理化学性変化等の連作障害の発生を抑えるためには、固形培地を1作ごとに交換することが好ましいと言える。
図3は、従来の固形培地耕法を示す概念図である。栽培用の容器にロックウール、レキ、セラミックス等の固形培地を充てんし、これに作物の苗を定植するか或いは種を蒔き、固形培地に養液を供給しながら作物を成長させ、作物を栽培する。作物の生長に伴い、固形培地にはその周囲や内部に根系が伸張する。作物の栽培終了後は、作物の根と固形培地との分離が困難なため、固形培地ごと作物を廃棄し、栽培用の容器のみ再利用する。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】
しかし、ロックウール、レキ、セラミックス等の固形培地のほとんどは不燃素材や土壌微生物により分解出来ない無機材料である。このため、使用済みの固形培地は、産業廃棄物として処理しなければならない。また、ヤシ殻やスギ皮などの有機材料の可燃性素材を用いた場合であっても、近年では「野焼き」が社会問題化しているため、使用後自家焼却することは難しく、産業廃棄物として処理しなければならない。したがって、固形培地の交換を頻繁に行おうとすると、新培地の購入費とともに、産業廃棄物の増大及び処理費用の増大を招くことになる。
【0007】
固形培地耕法の普及を推進するためには、産業廃棄物としての使用済み固形培地の発生を抑えつつ、土壌病害等の連作障害発生の軽減を図って行かなければならない。このためには、栽培終了後に固形培地と根とを簡便かつ完全に分離できる技術の確立が不可欠である。
【0008】
本発明は、固形培地耕法における前記の課題に鑑みてなされたもので、固形培地耕法で作物を栽培し終わった後、固形培地と根とを容易且つ完全にに分離することができる培地バッグとそれを用いた養液栽培方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、前記の目的を達成するため、固形培地を透水性を有するが伸張する作物の根を通さない透水遮根シートで包んだ培地バッグを使用し、この培地バッグを栽培用の容器に充填した状態で、この容器の内側であって透水遮根シートの外側に作物を植え付け、この作物の根系を培地バッグを充填した容器の内側で前記培地バッグの周囲を取り囲むように伸張させながら養液栽培するようにしたものである。そして、作物の栽培後は、作物の根から培地バッグを分離し、これを消毒したうえ再利用するようにした。
【0010】
すなわち、本発明による培地バッグを用いた作物植生体は、透水性を有するが、伸張する作物の根を通さない透水遮根シートで固形培地を包んでなるものを培地バッグとし、この培地バックを栽培用の容器に充填し、この容器の内側であって培地バッグの透水遮根シートの外側に作物を植え付け、この作物の根系を培地バックを充填した容器の内側で前記培地バッグの周囲を取り囲むように伸張させたものである。
また、この培地バッグを使用した本発明による養液栽培方法は、前記の培地バッグを栽培用の容器に収納し、この容器の内側であって培地バッグの透水遮根シートの外側に作物を植え付け、培地バッグに養液を給液しながら作物の根系を培地バッグを充填した容器の内側で前記培地バッグの周囲を取り囲むように伸張させて栽培し、作物の栽培が終了した後は作物と培地バッグとを分離し、培地バッグを再利用するものである。作物の栽培が終了した後に作物から分離した培地バッグを日光消毒した後、次の作物の養液栽培に再利用する。
【0011】
一般的な農耕形態である地床栽培のように、作物の種苗を、直接地面に播種あるいは定植すると、通常、作物の根系は、株元に近いほど密に、株元から離れるにしたがって粗に分布する傾向が認められる。
しかし、固形培地耕法のように、根の伸長する領域が限定されている場合は、根が培地中を伸長し、根が培地の縁にまで達した後は、それ以上周囲に広がることができないため、培地の縁を取り囲むように根が伸びてマット状の根の塊が形成される。したがって固形培地耕法では、作物の根の大部分が固形培地の周囲にマット状の根の塊となって分布するようになる。このため、固形培地の周囲に大部分の根が分布し、培地の内部に分布した根の量は、比較的小さな割合となっている。
【0012】
このことから、固形培地耕法では、固形培地に供給された養液は、固形培地内部から作物に吸収されるのではなく、そのほとんどが固形培地の周囲から作物に吸収されていると考えられる。言い換えれば、固形培地の内部に根が伸長しなくとも、固形培地周囲に充分に根が伸長できれば、作物の生育には問題が生じない。
【0013】
そこで、本発明では、培地内部に根を伸長させずに、固形培地の周囲にのみ根を伸長させる方法を考えた。具体的には、固形培地耕法で使用される固形培地を、水の透過性はあるが根の透過性がないシートで包んで培地バッグとし、この培地バッグを従来の固形培地の代わりとして使用する。この培地バッグを固形培地の代わりに使用して養液栽培を行うことによって、固形培地の保水性の機能を阻害することなく、固形培地中に一切根を浸入させずに済むことができるため、従来の固形培地耕法と異なり、栽培終了後に簡単に根のみ分別して除去することが可能となる。
また後述するように、固形培地の上に作物を植えた場合に比べて、作物の収量等、作物の生育に関しては、殆ど遜色がない。
さらに、作物の栽培が終了した後は作物と培地バッグとを分離し、培地バッグを再利用することにより、培地バッグを繰り返して利用することが出来、リサイクル型固形培地耕法が実現出来る。作物の栽培が終了した後に作物から分離した培地バッグは、日光消毒により、次の作物の養液栽培に再利用することが出来る。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について、具体的且つ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態による培地バッグを使用した養液栽培法を示す概念図である。
【0015】
まず、栽培用の容器に収納するのに最適な容積のロックウール、レキ、セラミックス等の固形培地を用意し、これを透水性を有するが、伸張する作物の根を通さない透水遮根シートで包んで培地バッグとする。
培地バッグの固形培地を包む透水遮根シートには、水の透過性はあるが根の透過性がない防根透水シート(例えば、東洋紡製)などのポリエステル繊維の高密度織布が適している。なお、不識布や紙製のシートは、根が貫入してしまうことがあるので、このような用途には適さない。
【0016】
培地バッグと同様な効果は、保水性はあるが根が内部に浸入することはない物質、例えば多孔質セラミック塊などを用いても得られると考えられる。しかし、このような場合は、作付する作物の種類や時期に応じて、培地の形状や容積を変更することが難しいため、用途が限定されてしまい、実用的ではないと考えられる。
【0017】
このような培地バッグを栽培用の容器に充てんし、これに作物の苗を定植するか或いは種を蒔く。その後、培地バッグに養液を供給しながら作物を成長させ、作物を栽培する。
養液の供給法は、栽培する作物の種類や栽培用の容器の種類等により一般的な方法を適宜選択することができる。例えば、栽培用の容器の上からの点滴灌水や毛細管現象により養液を容器の底面側から汲み上げる底面給水等の手段が一般的である。何れの場合も、透水遮根シートは養液をその内部の固形培地に浸透するため、固形培地は養液を保水する。
【0018】
作物の生長に伴い、培地バッグを取り囲むように培地バッグの周囲と容器の内面との間に根系が伸張する。しかし、この根系は、培地バッグの透水遮根シートを通ってその中の固形培地には浸入しない。他方、固形培地に保持された養液は、透水遮根シートを通して作物の根に供給される。
【0019】
このように、作物の根系は培地バッグを取り囲むように伸張するが、透水遮根シートを通ってその中の固形培地には浸入しないため、作物の栽培終了後は、作物の根と固形培地とを容易に分離することが出来る。また、培地バッグに作物の細かい根も残らない。このため、培地バッグと作物とを分離した後、作物のみ廃棄し、培地バッグと栽培用の容器の双方を再利用する。
【0020】
なお、培地バッグは、病害菌を除去するため、予め滅菌してから再利用する。滅菌の方法としては、紫外線照射による滅菌法が適用出来る。特に、太陽光を利用した紫外線照射滅菌法が特別な設備を要しないため、手軽である。例えば、透明な気密性のある袋に培地バッグを収納し、これを日光に数日晒して滅菌する。透明な気密性のある袋に培地バッグは、春期の晴れの日であれば、数十℃に加熱され、この太陽熱と紫外線の双方によって殺菌される。
【0021】
図2の左側の図は、図1に示すようにしてロックウール、レキ、セラミックス等の固形培地を、透水性を有するが、伸張する作物の根を通さない透水遮根シートで包んで培地バッグとした例であるが、図2の右側の図は、透水遮根シートを二重にした例である。
【0022】
透水性を有するが伸張する作物の根を通さない透水遮根シートは、時として作物の根を貫入させてしまうことがある。透水遮根シートの遮根性能と透水性能は相反するので、織り目を細かくして作物の遮根性能を高めると、透水性能が低下してしまうので、実用的ではない。
【0023】
しかし、作物の根が透水遮根シートを貫入してしまうと、培地バッグ内部の固形培地に根が伸長しまうので、培地バッグを繰り返し使用することができなくなる。例えば、トマトやキュウリでは、20〜50個に1個程度の割合で透水遮根シートへの根の貫入が見られ、これは透水遮根シートの使用回数が多くなる程頻度が高まりまる。
【0024】
そこで、図2の右図のように、培地バッグの透水遮根シートを二重にすると、根が外側の透水遮根シートを貫入しても、内側の透水遮根シートを貫入することはほとんど見られず、培地バッグの再利用率が飛躍的に高まる。但し、外側の透水遮根シートに作物の根が貫入してしまった場合は、再利用できるのは内側の透水遮根シートとその内部の固形培地だけとなり、外側の透水遮根シートは棄却しなければならない。透水遮根シートの二重化(多層化)は、培地バッグの再利用率を向上させるのに効果的である。
【0025】
図4の上右側の図(B区)は、本発明の他の実施形態による培地バッグを使用した養液栽培法としてロックウールの固形培地を使用した点滴灌水方式の養液栽培法を示す概念図である。キュウリ等の栽培に最適である。
この実施形態では、養液の排出口を有する容器を使用し、透水遮根シートでロックウールを包んだ培地バッグをこの容器の中に入れ、培地バッグの上の一部の透水遮根シートを開き、ここから点滴灌水するものである。
【0026】
図4の下の枠に囲まれた図に示すように、容器の上に給液槽を配置し、容器とは別にその下方に配置した養液タンクからポンプPにより給液用の養液を給液槽に組み上げる。この給液槽内の養液を繊維材料等からなる給水ひもの毛細管現象により汲み上げ、培地バッグの上の一部に透水遮根シートを開いた部分から点滴灌水する。容器の下からは前記の排出口から排液槽に養液の排液が排出され、これが養液タンクに戻される。
【0027】
図6は、図4の右側の実施形態において、固形培地に固形肥料を混入して栽培する例である。固形肥料を含んだ培地バッグに水を施用すると、固形肥料の肥料成分が水に溶けて培地バッグの周囲に伸張した作物の根に吸収される。
図7の上中央の図(B区)は、本発明の他の実施形態による培地バッグを使用した養液栽培法として底面給水方式の養液栽培法を示す概念図である。トマト等の栽培に最適である。
【0028】
この実施形態では、図7の下の枠に囲まれた左側の図に示すように、底面に孔を有する容器を使用し、その内面に沿って繊維材料等からなる給水マットを張り、この給水マットの底面部分の一部を前記の孔から下に垂らす給液マットの内側に透水遮根シートを敷いた。他方、図7の下の枠に囲まれた右上の図に示すように、透水遮根シートで淡色黒ボク土を包み、上側のシートを細ひもで結束し、培地バッグとし、この培地バッグを前記の容器に収納する。容器の下に給液槽を配置し、この給液槽の中の養液に前記の容器の孔から下に垂らした給水マットを浸漬する。この給液槽内の養液を前記給水マットの毛細管現象により汲み上げ、この養液を培地バッグのに給水する。この状態で作物を培地バッグの隅に植え付け、栽培する。
前述した2つの実施形態において、作物の根系が伸張する状態、作物の栽培終了後の培地バッグの再利用方法は最初に説明した実施形態と全く同じである。
【0029】
次に、本発明の実施例について、具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図4の右上側に示すB区のように、固形培地としてロックウール細粒綿1.5リットルを使用し、これを防根透水シート(東洋紡)で包んで培地バッグとし、前述した点滴灌水方式によりキュウリを栽培した(B区)。また比較対照として、ロックウール細粒綿を防根透水シートで包まず、そのまま固形培地として用い、前述した点滴灌水方式によりキュウリを栽培した(A区)。
【0030】
養液には大塚A処方2分の1単位液を用い、これを給液槽から培地へポリエステル製の幅広の給水ひもを用いて給液した。給液量が株当たり毎時450ミリリットルとなるように、給水ひもの幅や給液漕の位置を調整した。養液管理はかけ流し方式とぜす、作物に吸収されずに排出された養液を、排液槽を経て養液タンクに回収し、くり返し供給養液として使用する循環方式とした。
【0031】
品種オーシャン(埼玉原種)を平成13年4月17日に播種し、発芽後の4月24日に鉢上げを行い育苗を行った後、5月16日に前述の養液栽培装置に移植した。6月1日に本葉15枚で親づる(主枝)の摘心を行った。子づる(側杖)はすべて2枚を残して摘心した。なお、親づるの第1〜第4本葉及びこれらの部位から発生した子づるはすべて摘除した。
【0032】
収穫調査は、収穫開始の6月9日から、着果したほばすべてのキュウリの収穫が終わった7月6日まで行い、等級別の収量を集計した。その結果を図5に示す。図5に示すように、培地バッグを用いたB区は、ロックウールをそのまま固形培地として用いたA区とほば同程度の収量・品質を得ることができた。
【0033】
(実施例2)
図7の上中央に示すB区のように、固形培地として淡色黒ボク土1リットルを使用し、これを防根透水シートで包んで培地バッグとし、前述した底面給水方式によりトマトを栽培した(B区)。また、比較対照として、淡色黒ボク土1リットルを防根透水シートで包まず、そのまま固形培地として前述した底面給水方式によりトマトを栽培した(A区)。
【0034】
さらに参考として設置したC区は、培地と根との間に養水分のやりとりがまったくない場合の影響を調査するためであり、培地バッグの代わりに水をエアキャップシートで包んだものを使用した。なお、エアキャップシート製のバッグを用いたのは、根とバッグが密着して通気性が失われ、根の周囲が嫌気的条件となるのを防ぐため、突起状の気泡を有するエアキャップシートを使用したものである。突起状の気泡が作物の根に当たるようにして用いる。
【0035】
給液は、すべて給水マット(商品名:ジャムガード、東洋紡製)を用いた底面給液により行った。したがって、本実験では、根ヘの液肥の供給は、培地の外側からのみとなる。なお前述のように、給液マットの内側に透水遮根シートを敷いたのは、栽培用の容器の外に作物の根が伸び出すのを防ぐためである。
【0036】
トマト品種IK9O8(仮称)の種子(茨城経済連製)を平成12年8月21日に播種し、発芽後の9月4日に鉢上げを行い育苗を行った後、10月15日に前述した養液栽培装置に移植した。整枝、剪定は、栽培期間を通じ2週間に1度の割合で適宜行った。着果のためのホルモン処理として、週に1度の割合でトマトランの花房散布を、第1花房開花期の10月10日から、平成13年6月11日まで行った。販売可能な果実の月別の収量により収穫調査を行い、これを収穫開始の12月22日から平成13年7月30日まで行つた。
【0037】
その結果を図8に示す。この図8に示すように、培地から根への養液の供給がまったくなく、周囲の透水遮根シートのみか養液の供給がなされるC区では、比較対照のA区の72%の収量しか得られなかった。一方、固形培地から根への養液の供給が可能な培地バッグを用いたB区では、A区の90%の収量を得ることができた。このことから、培地の周囲からのみ給液される底面給液栽培であっても、培地バッグは有用であると言える。
【0038】
【発明の効果】
以上説明した通り本発明による培地バッグを用いた養液栽培装置と方法では、培地バッグの使用により、固形培地に作物の根を伸張させなくとも、その収量は固形培地に作物の根を伸張させ、固形培地の再利用が不可能な従来のものと遜色はない。またこれにより、栽培が終わった後の培地バッグから作物分離して再利用することも出来るので、従来は使い捨ててあった固形培地を、培地バッグの使用によりくり返し使用できるリサイクル型固形培地耕法を可能にするものである。従って、作物の収量を確保しながら、環境保全型農業の推進が求められている現代農業の技術的要請に適合することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の培地バッグを用いた養液栽培装置と方法の一実施形態を示す概念図である。
【図2】図1に示した培地バッグの変形例を示す概念図である。
【図3】固形培地を用いた養液栽培装置と方法の従来例を示す概念図である。
【図4】本発明の培地バッグを用いた養液栽培装置と方法の他の実施形態を示す概念図である。
【図5】図4に示す養液栽培装置と方法の他の実施形態によるキュウリの栽培試験の等級別収量を比較対照例と共に示したグラフである。
【図6】図4に示した培地バッグの変形例を示す概念図である。
【図7】本発明の培地バッグを用いた養液栽培装置と方法の他の実施形態を示す概念図である。
【図8】図7に示す養液栽培装置と方法の他の実施形態によるトマトの栽培試験の販売可能な果実の月別収量を比較対照例と共に示したグラフである。

Claims (4)

  1. 養液栽培法により作物を栽培する培地であって、透水性を有するが、伸張する作物の根を通さない透水遮根シートで固形培地を包んでなるものを培地バッグとし、この培地バッグを栽培用の容器に充填し、この容器の内側であって培地バッグの透水遮根シートの外側に作物を植え付け、この作物の根系を培地バッグを充填した容器の内側で前記培地バッグの周囲を取り囲むように伸張させたことを特徴とする培地バッグを用いた作物植生体。
  2. 養液栽培法により作物を栽培する養液栽培方法であって、透水性を有するが、伸張する作物の根を通さない透水遮根シートで固形培地を包んでなる培地バッグを栽培用の容器に収納し、この容器の内側であって培地バッグの透水遮根シートの外側に作物を植え付け、培地バッグに養液を給液しながら作物の根系を培地バッグを充填した容器の内側で前記培地バッグの周囲を取り囲むように伸張させて栽培することを特徴とする培地バッグを用いた養液栽培方法。
  3. 作物の栽培が終了した後は作物と培地バッグとを分離し、培地バッグを次の作物の養液栽培に再利用することを特徴とする請求項2に記載の培地バッグを用いた養液栽培方法。
  4. 作物の栽培が終了した後に作物から分離した培地バッグを日光消毒した後、次の作物の養液栽培に再利用することを特徴とする請求項3に記載の培地バッグを用いた養液栽培方法。
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