JP3857433B2 - 壜開口部の測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、壜開口部の測定装置に関し、さらに詳しくは、壜開口部内側の2箇所の口内径と壜上端面からスカート部のゲージポイントまでの寸法を測定するのに適する壜開口部の測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、壜の口内径とスカート部までの寸法を測定する場合には壜の口部内にノギスを挿入するか又は壜を手に持って斜め上向き、または斜め下向きの姿勢にするか壜を測定台の上に置いたのち、壜開口部からキャリパゲージのV字杆を、設定された寸法だけ壜の内側に挿入してV字杆の各先端部を壜の内面に当接し、その状態で壜を1回転しながら針の振れの最大値と最小値を読み取り、その平均から口内径の平均値を求め、また、上向きの突出杆を備えたキャリパゲージの突出杆を壜と平行に保った状態で突出杆の先端側の円形の接触端子をスカート部のゲージポイントに接触させ、その状態で壜を1回転したときの針の振れの最大値と最小値を読み取り、その平均から壜の開口端からスカート部のゲージポイントまでの平均測定値が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の口内径の測定においては、ノギスの場合には、口内径の最小径部のみしか測定できないこと、又キャリパゲージの場合には、V字杆の先端部を壜の開口端から設定された寸法だけ内側に挿入した位置で壜を安定した状態に保持したり、回転しながら測定値を求めるには経験と技術を要するため、設定された寸法だけ内側の口内径を誤差の少ない状態で能率良く測定することができなかった。
また、スカート部のゲージポイントまでの寸法の測定においては、上向きの突出杆を壜と平行に保ったり、その状態で壜を回転しながら、測定値を求めるにも経験と技術を要するため、壜開口部の上端面からスカート部のゲージポイントまでの測定値を求める場合には、誤差が大きくなり易い上、測定作業を能率良く行なうことができなかった。
【0004】
本発明はこれらの事情に鑑みてなされたもので、壜の上端面から設定された寸法だけ内側の2箇所の口内径とスカート部のゲージポイントまでの寸法とを、安定した測定作業で能率良く、しかも高い測定精度で正確に測定できるようにした壜開口部の測定装置の提供を目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成すべくなされたもので、上板と底板とを備えた計測台は、上板の3つの周辺部に2つの長穴と1つの開口とが、そしてこの開口部の上面側の設定された位置に、壜の位置決め部材がそれぞれ設けられ、計測台の内側に、V方向に突出する一対のV字杆を備えた2つのキャリパゲージと上向きの突出杆を備えた1つのダイヤルゲージとが、回転しない状態で高さ方向に移動可能に保持され、キャリパゲージの各V字杆と突出杆は、上板の各長穴と開口部からそれぞれ設定された高さだけ上側に突出され、一対のV字杆は、それぞれ1つが固定で1つが回動可能に形成されるとともに、それらの先端側にそれぞれ外向きの接触端子が形成され、上向きの突出杆は、その先端側に設定された大きさの円板形状の接触端子が設けられていることを特徴とする壜開口部の測定装置を発明したものである。
【0006】
キャリパゲージを回転しないで上下動させたいときには、V字杆を備えたキャリパゲージは、上板と底板とに保持された案内部材にゲージ本体背面側の摺動部材が嵌合され、ゲージ本体側から下向きに突出されるねじ軸は底板に取り付けられた受け部材に挿入されるとともに、受け部材の上下で2つの調整ナットと螺合されている構成とすればよい。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施例を示す正面図、図2は図1の左側面図、図3は図1の平面図、図4はV字杆を備えたキャリパゲージの零点位置を決める状態を示す要部断面図、図5は壜の口内径の測定時の状態を示す要部断面図、図6は突出杆を備えたダイヤルゲージの零点位置を決める状態を示す要部断面図、そして、図7は壜スカート部のゲージポイントまでの寸法測定時の状態を示す要部断面図である。
【0008】
図1ないし図3において、1は壜開口部の計測台で、この計測台1は水平に保持された方形の上板1Aとこれに平行な同形状の底板1B、および上板1Aと底板1Bとを結合する4本の脚1Cとからなる。
上板1Aの3つの周辺部には、それぞれ周辺部に平行な2つの長穴1a、1bと、1つの円形の開口1cとが、それぞれ設定された位置に設けられている。
【0009】
上板1Aと底板1Bとにより形成されている計測台1の空間部には、2つのキャリパゲージI、IIとダイヤルゲージIII が収納されている。
第1のキャリパゲージIは目盛板と指針とを備えたゲージ本体IAと、このゲージ本体IAの上側周側面から上向きに突出するV字杆IBとからなる。
ゲージ本体IAは背面側と周側面側とをゲージ保持器2により保持され、ゲージ保持器2の上側周側面に形成された切欠き部を通してV字杆IBが突出されている。
キャリパゲージIは、ゲージ保持器2の背面側とゲージ保持器2の下側に設けられた上下方向移動手段により、回転しない状態で上下方向に移動し得る構成となっている。
【0010】
上下方向移動手段は、ゲージ保持器2の背面側に固定される摺動部材3と、これに嵌合されてその上下両端部を保持部材4、4により上板1Aと底板1Bとに保持される垂直方向の案内部材5と、ゲージ保持器2の下部に取り付けのジョイントブラケット6に螺合される垂直下向きのねじ軸7と、底板1Bに固定された逆U字形の受け部材8に挿通され、受け部材8の上下でねじ軸7の下端部に螺合される2つの調整ナット9、10とからなる。
また、キャリパゲージIのV字杆IBは、ゲージ本体IAに固定される固定アームIb1 とゲージ本体IAの中心に対して回動可能で、固定アームIb1 から離れる方向に付勢されている可動アームIb2 とからなっている。
固定アームIb1 と可動アームIb2 の先端側には、それぞれ外向きの接触端子Ic1 、Ic2 が形成されている。
【0011】
第2のキャリパゲージIIとそれの上下方向移動手段は、いずれも第1のキャリパゲージIについて説明したのと同様の構成であるが、それらの構成のうち、第2のキャリパゲージIIについては、ゲージ本体をIIA 、V字杆をIIB 、固定アームをIIb1、そして可動アームをIIb2なる符号で示しているが、上下方向移動手段については、第1のキャリパゲージIの場合と同じ符号を用いて同じ構成部材を示している。
【0012】
第3のダイヤルゲージIII は、ゲージ本体IIIA、その周側面から上向きおよび下向きに突出する突出杆IIIB、IIICとから主として構成されている。
突出杆IIIBはゲージ本体IIIAに固定される固定案内管IIIb0 と、この固定案内管IIIb0 の中を上下方向に移動し得る下向きに付勢された可動軸部材IIIb1 とからなる。可動軸部材IIIb1 の先端側には、設定された寸法の円板の接触端子IIIb2 が取り付けられている。接触端子IIIb2 の円板はそれが取り付けられている部材から設定された寸法L(図7例えば0.8mm )だけ突出し、ゲージポイントに接触し得る構成となっている。
これに対し、下向きの突出杆IIICはゲージ本体IIIAに固定される固定保護管IIIC0 と、この固定保護管IIIC0 に対して回転し、接触端子IIIb2 を上下方向に移動する操作つまみIIIC1 とからなっており、上向きに突出している可動軸部材IIIb1 は、ゲージ本体IIIAに対する下向きの付勢力に抗して上向きに移動される。11は開口1cに対して設定された位置に取り付けられた位置決め部材で、この位置決め部材11は接触端子IIIb2 の取り付け部材とともにスカート部に接触し、倒立された壜を安定した状態に保持して測定を容易にする。
【0013】
次に、装置の使用について説明する。
A 壜の口内径を測定する場合(図4、5参照)
(1)第1、第2のキャリパゲージI、IIの固定側の接触端子IC1 、IIC1の上板1Aからの突出高さH1 、H2 を上下方向移動手段により、設定された寸法、例えば1mmと2mmにセットする。
(2)第1、第2のキャリパゲージI、IIの測定時における零点位置をセットする。
このセットは内径寸法が正確にわかっているボールベアリングのようなリングゲージaを使って行なわれる。各接触端子(IC1 、IC2 )、(IIC1、IIC2)を測定しようとする口内径に近いリングゲージaの内径面に接触させ、そのときの指針の位置に、各ゲージ目盛板の零点位置を一致させた後各目盛板を固定すればよい。
(3)各V字杆IB、IIB を上板1A上に倒立させた壜の開口部内に挿入して内径面に接触させる。その状態で壜を1回転させたときの零点位置からの指針の振れにより、口内径の最大値を示す目盛りを読み取る。
(4)零点位置のゲージ寸法に口内径の最大値を示す目盛りを代数的に加えると、壜開口部端面からそれぞれ設定された寸法だけ内側の2箇所の口内径を、第1、第2のキャリパゲージI、IIから求めることができる。
B スカート部のゲージポイントまでの高さを測定する場合(図6、7参照)。
(1)ダイヤルゲージIII の測定時における零点位置をセットする。
このセットは操作つまみIIIc1 によって上動させた接触端子IIIb2 の下側に、スカート部のゲージポイントまでの高さに近いブロックゲージbを挿入し、接触端子IIIb2 の下面をブロックゲージbの上面に接触させる。そのときの指針の位置にゲージ目盛板の零点位置を一致させ、その状態でゲージ目盛板を固定して行なわれる。
(2)倒立させた状態の壜を上板1A上に載置し、壜のスカート部を位置決め部材11と接触端子IIIb2 が取り付けられている部材と接触端子IIIb2 の先端部とに接触させる。するとスカート部との接触点から長さLだけ突出している接触端子IIIb2 はスカート部のゲージポイントに接触する。その状態で壜を1回転させたときの零点位置からの指針の振れにより、スカート部のゲージポイントまでの最大値を示す目盛りを読み取る。
(3)零点位置のゲージ寸法にスカート部のゲージポイントまでの最大値を示す目盛りを代数的に加えると、壜の開口部端面からスカート部のゲージポイントまでの寸法が求められる。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、次に記載するすぐれた効果が得られる。
【0015】
請求項1に記載の壜開口部の測定装置においては、上板の3つの周辺部に設けられた2つの長穴と1つの開口から、第1、第2のキャリパゲージのV字杆と第3のダイヤルゲージの突出杆がそれぞれ設定された高さだけ上側に突出されているため、上板上に載置された倒立状態の壜を安定した状態に保持して、設定された寸法だけ内側の2箇所の口内径とスカート部のゲージポイントまでの高さを誤作の少ない状態で、能率良く測定することができる。
また、2つのキャリパゲージとダイヤルゲージは、いずれも回転しない状態で高さ方向に移動可能に保持されているため、各キャリパゲージの目盛板を計測台の外側に向けることができ、測定時における指針の振れの読み取りを容易にし、測定値の精度を向上することができる。
また、2つのキャリパゲージにおいて、それぞれV字杆の1つが固定されているため、固定された側の接触端子を設定された高さ位置にセットする場合の作業能率が良くなるだけでなく、セット時の寸法精度もよくすることができる。
また、突出杆の先端部には、設定された大きさの円板形状の接触端子が設けられているため、接触端子が取り付けられている部材の外周面をスカート部に接触させるだけで、円板の先端をスカート部の外径から設定された寸法だけ内側のゲージポイントに正確に接触させることができる。
その上、上板に設けられた開口に対して上面側の設定された位置に壜の位置決め部材が設けられているため、スカート部のゲージポイントまでの高さ寸法を測定する場合に、倒立された壜の安定性を著しく良くし、測定値の精度を向上することができる。
【0016】
請求項2に記載の壜開口部の測定装置においては、受け部材の下側に位置する調整ナットを受け部材から離した状態で、上側の調整ナットを締める方向に回転すると、上側の調整ナットは受け部材上面に接触して下側に移動することができないため、調整ナットと螺合しているねじ軸側がV字杆を備えたキャリパゲージとともに上側に移動される。
しかし、キャリパゲージは背面側の摺動部材で垂直方向の案内部材と嵌合されていて回転することができないため、V字杆を備えたキャリパゲージは回転することなく上動される。
このため、V字杆を形成している固定アーム側の接触端子が所定の高さ位置まで移動された所で上動をストップし、下側の調整ナットを受け部材の下面と接触する位置まで上動させると、高さ調整中のキャリパゲージを簡単な操作によって設定された高さ位置に能率良くセットすることができる。
また、V字杆の接触端子を下側に移動したいときには、上側の調整ナットを受け部材から離し、その状態で受け部材の下面に接触している調整ナットを上動する方向に回転させるとよい。
固定アーム側の接触端子が所定位置まで下がった所で上側の調整ナットを受け部材の上面と接触する位置まで移動させると、V字杆を備えたキャリパゲージを設定された下動位置にセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す正面図である。
【図2】 図1の左側面図である。
【図3】 図1の平面図である。
【図4】 V字杆を備えたキャリパゲージの零点位置を決める状態を示す要部断面図である。
【図5】 壜の口内径の測定時の状態を示す要部断面図である。
【図6】 突出杆を備えたダイヤルゲージの零点位置を決める状態を示す要部断面図である。
【図7】 壜スカート部のゲージポイントまでの寸法測定時の状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 計測台
1A 上板(1a、1b:長穴、1c:開口)
1B 底板
3 摺動部材
5 案内部材
7 ねじ軸
8 受け部材
9 調整ナット
10 調整ナット
11 位置決め部材
I 、II キャリパゲージ
III ダイヤルゲージ
IA、IIA 、IIIA ゲージ本体
IB、IIB V字杆
Ib1 、IIb1 固定アーム
Ib2 、IIb2 可動アーム
Ic1 、Ic2 (外向きの)接触端子
IIIB (上向きの)突出杆
IIIb2 (円板形状の)接触端子
Claims (2)
- 上板と底板とを備えた計測台は、上板の3つの周辺部に2つの長穴と1つの開口とが、そしてこの開口部の上面側の設定された位置に、壜の位置決め部材がそれぞれ設けられ、計測台の内側に、V方向に突出する一対のV字杆を備えた2つのキャリパゲージと上向きの突出杆を備えた1つのダイヤルゲージとが、回転しない状態で高さ方向に移動可能に保持され、キャリパゲージ及びダイヤルゲージの各V字杆と突出杆は、上板の各長穴と開口部からそれぞれ設定された高さだけ上側に突出され、一対のV字杆は、それぞれ1つが固定で1つが回動可能に形成されるとともに、それらの先端側にそれぞれ外向きの接触端子が形成され、上向きの突出杆は、その先端側に設定された大きさの円板形状の接触端子が設けられていることを特徴とする壜開口部の測定装置。
- V字杆を備えたキャリパゲージは、上板と底板との保持された案内部材にゲージ本体背面側の摺動部材が嵌合され、ゲージ本体側から下向きに突出されるねじ軸は底板に取り付けられた受け部材に挿入されるとともに、受け部材の上下で2つの調整ナットと螺合されている請求項1に記載の壜開口部の測定装置。
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