次に、本発明に好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態においては、本発明を自動車等における車載用ナビゲーション装置に適用した場合について説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を図1乃至図6に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の車載用ナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る車載用ナビゲーション装置Sは、車両の発進または停止及び前進または後退及び加速または減速時における加速度を検出し加速度データを出力する加速度センサ1と、例えば車両の方向変化の角速度を検出し、単位時間当たりの角速度データ及び相対方位データを出力する変位検出手段の一つとしての角速度センサ2と、例えば車軸の回転に伴い発生する車速パルスを検出し、そのパルス数を単位時間毎にカウントする。そして、車軸一回転当たりの車速パルス数に基づいて単位時間当たりの移動距離を検出し、走行距離データを出力する変位検出手段の一つとしての速度検出手段に相当する走行距離センサ3と、GPS衛星からの電波を受信して車両が存在する緯度、経度、高度、速度等のGPS測位データを出力すると共に、車両の進行方向の絶対方位データを出力する変位検出手段の一つとしてのGPS測位手段に相当するGPS受信機4を備えている。
また、バスライン10を介して上記加速度センサ1、角速度センサ2、走行距離センサ3、及びGPS受信機4から出力される、加速度データ、角速度データ及び相対方位データ、走行距離データ、GPS測位データ及び絶対方位データに基づいて、ナビゲーション装置全体の制御を行うシステムコントローラ5と、ユーザーが各種データを入力するためのリモコン装置等の入力装置11と、地図情報を記憶したDVD−ROM(Digital Video(またはVersatile)Disk-Read Only Memory)ディスクDK1あるいはCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory )ディスクDK2を、それぞれシステムコントローラ5の制御下で再生するDVD−ROMドライブ12aあるいはCD−ROMドライブ12bと、システムコントローラ5の制御下で各種表示データを表示する表示ユニット13と、システムコントローラ5の制御下で各種音声データを再生し、出力する音響再生ユニット18と、VICS(Vehicle Information and Communication System)に基づいて渋滞情報を受信するVICS受信部22を備えている。
システムコントローラ5は、上記各種センサ等とのインターフェース動作を行うインターフェース部6と、システムコントローラ5全体を制御するCPU7と、システムコントローラ5を制御する制御プログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)8と、入力装置11を介してユーザーにより予め設定された経路データ等の読み出し可能な各種データを格納するRAM9を備えており、入力装置11、DVD−ROMドライブ12aあるいはCD−ROMドライブ12b、表示ユニット13及び音響再生ユニット18及びVICS受信部22とは、バスライン10を介して接続されている。また、上記各種センサ等とはインターフェース6及びバスライン10を介して接続されている。
更に、表示ユニット13は、バスライン10を介してCPU7から送られる制御データに基づいて表示ユニット13全体の制御を行うグラフィックスコントローラ14と、VRAM(Video RAM )等のメモリからなる即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ15と、グラフィックスコントローラ14から出力される画像データに基づいて、液晶表示装置やCRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ17を表示制御する表示制御部16を備えて構成されている。
また、音響再生ユニット18は、DVD−ROMドライブ12aあるいはCD−ROMドライブ12b又はRAM9からバスライン10を介して送られる音声ディジタル信号のD/A変換を行うD/Aコンバータ19と、D/Aコンバータ19から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器20と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して出力するスピーカ21を備えて構成されている。
上記構成のナビゲーション装置が起動されると、システムコントローラ5は、まずDVD−ROMディスクDK1あるいはCD−ROMディスクDK2から地図表示情報等をアクセスするための情報と、自車位置マーク等の表示情報等を読み出してRAM9に記憶する。次に、加速度センサ1の出力値を読み取り、読み取った出力値に基づいて後述するように車両の加速度を算出し、算出した加速度から車両の速度及び走行距離を求める。更に、角速度センサ2の出力値を読み取り、読み取った出力値に基づいて相対方位データを算出し上記絶対方位データに累積する。そして、上記走行距離データ及び車両の進行方向の累積絶対方位データに基づいて、自車の現在位置の演算を行い、自車の現在位置の緯度、経度、高度を求める。自車位置に対応する地図データをDVD−ROMディスクDK1あるいはCD−ROMディスクDK2から読み出してグラフィックスコントローラ14に送り、現在地の地図をディスプレイ17に表示する。また、随時GPS受信機4から送出されるGPS測位データの中の自車位置情報である緯度・経度・高度のデータと車両の進行方向の絶対方位データに基づいて算出される速度データ等を用いて上記加速度センサ1及び角速度センサ2の出力値から算出される各種データ等の補正を行う。そして、その情報により自車位置マークの表示位置と方向及び必要に応じて表示する地図の更新処理を行う。
このように、本実施形態のナビゲーション装置は、加速度センサ1の出力値を利用して車両の速度及び走行距離を求めており、加速度センサ1の信頼性を高めるために、他のセンサ等からの情報を用いて加速度センサ1の出力値を補正する処理を行っている。
以下、この補正処理について説明するが、まず、本実施形態における加速度センサ1の出力値に基づいて具体的な車両の加速度及び速度並びに走行距離の算出方法について説明する。なお、以下に説明する処理は、実加速度検出手段、変化量検出手段、及び移動距離算出手段に相当し、システムコントローラ5において行われる。
また、本実施形態においては、加速度センサ1により車両の前後方向(進行方向)の加速度を検出するように、かつ、加速時の加速度センサ1の出力値からオフセット値を差し引いた値が正となるように上記加速度センサ1を車両に設置したものとして説明する。
図2は本実施形態における加速度センサ1からの出力値を処理する手段を示すブロック図である。図2に示すように、入力する加速度Accに対応して加速度センサ本体1aから検出回路1bを通って検出される加速度の電圧を、ローパスフィルタ1cでノイズを除去した後に、12ビットのA/Dコンバータ1dでサンプリング周期T期間にm回のA/D変換を行う。そして、下記(1)式を使用して平均化処理手段1eによりサンプリング周期T期間の平均化処理を行って、サンプリング1T期間毎にサンプリング周期T期間の加速度センサ1の出力値のA/D変換データの平均値a'nを算出する。
なお、ここで「LSB」とは、上記A/Dコンバータ1dの出力値の大きさを示す単位で、例えばnビットのA/Dコンバータの場合、入力電圧レンジを2
n等分して目盛りを打つことから、目盛りの間隔はFS/2n(FSは入力電圧レンジのフルスケール)となる。これは出力のLSB(最下位ビット)に対応する。入力電圧がFS/2
n変化すれば、出力はLSBの1ビット分だけ変化する。即ち、1LSB=FS/2
nという大きさを単位に用いる。
次に、加速度センサ1の出力値には予めオフセット値が設定されているため、この平均値a'nからオフセット値を差し引き、更に所定のゲイン及びゲイン補正係数を乗じることにより、車両の加速度を算出する。例えば、サンプリング時刻nTにおける今回の車両の加速度An[m/s2]は、
An = Cy・Gkn-1・Gn-1・(a'n−aoe) ・・・(2)
Cy :加速度センサの出力極性
(=±1; +1:加速時の加速度センサ1の出力値から オフセット値を差し引いた値が正とな るように設置した場合
−1:加速時の加速度センサ1の出力値から オフセット値を差し引いた値が負とな るように設置した場合
Gkn-1:加減速独立ゲイン補正係数
(加速時と減速時で異なる値を用いる)
Gn-1 :加速度センサゲイン[m/s2/LSB]
(常に一定ではなく、使用状況により変化する)
a'n :加速度センサ出力[LSB]
aoe :オフセット量[LSB]
(温度変化時や装置起動時等により変化する)
により求められる。
ここで、サンプリング周期T期間における車両の走行状態を等加速度直線運動と仮定すると、サンプリング時刻nTにおける今回の車両の速度変化量ΔVn[km/h]は、
ΔVn = (3600/1000)・An・T ・・・(3)
n:サンプリング数(1,2,3,4,5・・・)
T:サンプリング周期
により求められる。従ってサンプリング時刻nTにおける今回の車両の速度Vn[km/h]は、
Vn = ΔVn + Vn-1 ・・・(4)
Vn-1:前回の車両の速度[km/h]
となる。また、サンプリング周期T期間における車両の走行状態を等加速度直線運動と仮定すると、サンプリング時刻nTにおける今回の車両の走行距離の変化量Δdn[m]は、
Δdn=1/2・An・T2+(1000/3600)・Vn-1・T ・・・(5)
となる。従って、サンプリング時刻nTにおける今回の車両の単位時間当たりの累積走行距離Dn[m]は、
以上のような演算を主にCPU7にて行うことにより、加速度センサ1の出力値に基づいて車両の速度及び走行距離を求めることができ、これらを正確に求めるためには、上記(2)式の加速度の算出を正確に行う必要がある。
しかしながら、上記(2)式で示した加速度センサ1の出力値のオフセット値aoeは温度変化時あるいは装置起動時もしくは長時間(長距離)無停止走行時等において変動するため、上記(2)式で示したオフセット値aoeを固定値とすると、上記(2)式で示される今回の車両の加速度Anに誤差を生じ、この誤差が上記(4)式の今回の車両の速度Vn及び上記(6)式の今回の車両の単位時間当たりの累積走行距離Dnにも影響を与え、誤差を生じさせる結果となってしまう。
この問題を解決するためには、車両が停止する度に、その時の加速度センサ1の出力値の平均値a'stopを求め、上記オフセット値aoeをこの停止時の出力値の平均値a'stopで置き換えれば良い。
しかし、上記のような加速度センサ1の出力値のオフセット値aoeの変動が発生すると、車両が停止していても上記(2)式による差分部(a'n−aoe)は「0」にはならず、加速度センサ1の出力値a'nから車両が停止した状態を判定する正確な停止判定方法がなかった。
また、車両の停止判定を行って、上記オフセット値aoeの更新を行う場合でも、次の車両の発進までの間に上記温度変化等の影響により加速度センサ1の出力値のオフセット値aoeが変動すると、上記(2)式による差分部(a'n−aoe)に基づいて上記(4)式及び(6)式により車両の速度及び単位時間当たりの累積走行距離が計算されることになり、車両の発進後において、この単位時間当たりの累積走行距離が積算されるために誤差を取り除くことができなかった。
そこで、本発明は、上記のような加速度センサ1の出力値a'nが変動する状況下においても、正確な車両の停止判定と発進判定を行って、車両の停止が確定した場合には、次に車両の発進が確定されるまでの間、加速度センサ1の出力値a'nから求めた車両の速度及び単位時間当たりの累積走行距離をゼロクリアし続けるようにしたものである。
以下、本発明の実施形態について説明するが、まず本実施形態では、車両の正確な停止判定と発進判定を行う具体例について説明する。
本実施形態では、一定期間の加速度センサ1の出力値あるいは角速度センサ2の出力値が安定している時、またはGPS測位時にGPS速度データが0[km/h]であることを検出した場合に車両が停止していると判定している。一方、車両の停止が確定した後に一定期間の加速度センサ1の出力値あるいは角速度センサ2の出力値の変化量が大きくなった時、またはGPS測位時にGPS速度データが0[km/h]ではないことを検出した場合に車両が発進したと判定するようにした。
具体的には、まず車両の停止判定処理においては、加速度センサ1の出力値の揺り戻しが検知された時、あるいは加速度センサ1の出力値の標準偏差が所定値σ以下になった時、もしくは角速度センサ2の出力値の標準偏差が所定値s以下になった時、またはGPS測位時にGPS速度データが0[km/h]になった時に、車両が停止したと判定するようにした。
ここで、「揺り戻し」とは、車両の停止直後に車両の進行方向から逆方向に急激に変化する加速度が車両に加わり、その後、加速度が車両の前後方向に減衰振動しながらゼロに収束していく現象を言い、余程緩やかな停止動作を行わない限り、車種や加速度センサの取り付け場所によらずに発生するため、この揺り戻しを検知することにより正確な車両の停止判定を行うことができるものである。
図4に揺り戻し発生の際における車両の加速度及び速度の変化例を示す。図4は横軸が時間[秒]を表し、右側縦軸が速度[km/h]及び左側縦軸が加速度[×10-2m/s2]を表す。また、実線で描かれた折線グラフは車両の加速度の測定値を表し、負の加速度が出力されている時は、減速を行っている(ブレーキを含んでいる状態)時に相当する。更に、点線で描かれた折線グラフは車両の走行速度の測定値(車速パルス数から換算した値)を表す。
また、実験条件については、例えば速度約40[km/h]で定速走行後、ドライバーが日常的に行うのと同程度の強さで減速し、停車させることにした。
この揺り戻しが発生するのは次のようなメカニズムによる。
車両が停止するために減速している時、車両には元の速度で走り続けようとする慣性力が働くので、車両の車輪に対する位置は停止時よりも前(進行方向)側になっている。この慣性力は、車両の速度変化が小さくなるにつれて弱まり、車両を再び車輪に近づけようとするサスペンションの復元力が相対的に強くなってくる。そして、車輪が完全に停止した直後、サスペンションの復元力が車両の慣性力を上回り、車両は一旦停止した後、後ろ向きに急激に動き始める。これが揺り戻しの始まりである(図4のt1以降)。この後は、サスペンションの復元力により、車両は前後方向に減衰振動し、やがて停止する。
そこで、本実施形態では、まず車両が減速したことを検知するために、過去の所定時間の加速度センサ1の出力値の平均値が負であるか否かを判定する。
次に、車両の減速が検知されたら、上記のように車両が「後ろ向きに急激に動き始める」ことを検知するために、加速度センサ1の出力値が上記進行方向とは逆向きに変化し、所定時間内の車両の加速度の変化量が所定値を超えたか否かを判定する。そして、これらの判定の条件の全てが真である場合に揺り戻しが発生したと判定するようにした。
以下、上記揺り戻し検知を含む本実施形態の車両の停止判定処理を図3及び図5のフローチャートに基づいて説明する。この車両の停止判定処理は、上述した車両の加速度等の算出処理と並行して、ナビゲーション装置が起動されている間は常に実行されている。また、図3には示していないが、加速度センサ1、角速度センサ2、GPS受信機4の出力値を所定周期T期間毎に行うサンプリング処理も、上記車両の加速度等の算出処理及び車両の停止判定処理と並行して実行されている。
まず、処理が開始されると、車両の停止確定のフラグが立っているか否かが判定される(ステップS1)。そして、車両の停止が確定したと判定されていない間は、車両の停止確定のフラグが立っていないので(ステップS1;No)、次に、カウンタ1の値が常に所定値uになっているか否か、即ちu個のサンプリングデータが常に存在しているか否かの判定処理に移行する(ステップS2)。そして、カウンタ1の値が所定値uに達していない間は、そのまま車両の停止判定処理を終了する(ステップS2;No)。
一方、カウンタ1の値が所定値uに達している時には(ステップS2;Yes)、まず上述したように、加速度センサ1の出力値の揺り戻しが検知されたか否かを判定する(ステップS3)。
この揺り戻し検知の詳細な処理は図5に示されており、まず、車両の平均加速度が負であるか否かにより車両の減速が行われているか否かを判定する(ステップS20)。この車両の平均加速度とは、上述のようなu個のサンプリングデータの平均値である。そして、車両の減速が行われていなかった場合には(ステップS20;No)、揺り戻し検知処理を終了して図3のステップS4の処理に移行する。
また、車両の減速が行われていた場合には(ステップS20;Yes)、車両の最新加速度が正であるか否かを判定する(ステップS21)。そして、車両の最新加速度が正でない場合には(ステップS21;No)、揺り戻しが始まっていないとして揺り戻し検知処理を終了して図3のステップS4の処理に移行する。
一方、車両の最新加速度が正である場合には(ステップS21;Yes)、車両の最新加速度から前々回の車両の加速度を差し引いた値が所定値以上、例えば1.0[m/s2]以上であるか否かにより、車両の急激な加速度の変化があったか否かを判定する(ステップS22)。そして、上記値が1.0[m/s2]に満たない場合には(ステップS22;No)、揺り戻しが始まっていないとして揺り戻し検知処理を終了して図3のステップS4の処理に移行する。
しかし、上記値が1.0[m/s2]以上である場合には(ステップS22;Yes)、揺り戻しが開始されたと判定して、後述する図3のステップS8以下の車両の停止確定処理に移行する(図3、ステップS3;Yes)。
このように揺り戻しを検知することにより、車種や加速度センサ1の取り付け場所によらず、車両の停止判定を行うことができる。但し、厳密に揺り戻しか否かを判定するためには、減衰振動の有無を確認する必要があるが、実験の結果、上記ステップS20〜S22の条件判定だけでも実用上十分な検知を行うことが可能であることが分かった。
次に、図3のステップS3において、揺り戻しが開始されていないと判定された場合には(ステップS3;No)、図3のステップS2で確認されているu個の加速度センサ1の出力値のサンプリングデータを用いて標準偏差を算出し、この標準偏差が所定値σ以下であるか否かを判定する。そして、標準偏差が所定値σ以下である場合には(ステップS4;Yes)、サンプリング期間における加速度センサ1の出力値が安定しているため車両が停止状態であると判定して後述するステップS8以下の車両の停止確定処理を行う。
一方、標準偏差が所定値σを超える場合には(ステップS4;No)、u個の角速度センサ2の出力値のサンプリングデータを用いて角速度センサ2の標準偏差を算出し、この標準偏差が所定値s以下であるか否かを判定する。そして、標準偏差が所定値s以下である場合には(ステップS5;Yes)、サンプリング期間における角速度センサ2の出力値が安定しているため車両が停止状態にあると判定して後述するステップS8以下の車両の停止確定処理を行う。
また、標準偏差が所定値sを超える場合には(ステップS5;No)、GPSが測位状態であるか否かを判定する(ステップS6)。そして、測位状態ではない場合には(ステップS6;No)、車両の停止判定処理を終了するが、測位状態の場合には(ステップS6;Yes)、GPS速度データがゼロであるか否かを判定する(ステップS7)。そして、GPS速度データがゼロではない場合には(ステップS7;No)、車両の停止判定処理を終了するが、ゼロの場合には(ステップS7;Yes)、車両が停止したと判定して、車両の停止確定のマスク処理を行う(ステップS8)。このマスク処理の結果、車両の停止確定のフラグが立つことになり、このフラグが立っている間は車両の停止判定処理(ステップS2〜S7)は行われない(ステップS1;Yes)。
最後に、後述する車両の発進確定のマスクを解除し(ステップS9)、後述する車両の発進判定処理が行われるように設定する。
本実施形態では、以上のような処理において、例えばサンプリング周期T期間を0.1秒間、σを0.30、sを0.15として車両の停止判定を行った。
以上のように、本発明によれば、加速度センサ1の出力値だけでなく、他のセンサ等の出力値に基づいて車両の停止を判定するので、確実に車両の停止を判定することができる。
そして、以上のようにして車両の停止が確定したと判定した場合には、前回の車両の速度(上記(4)式におけるVn-1)及び現在の車両の速度(上記(4)式におけるVn)をゼロに設定し続ける(ステップS10,S11)。更に、現在までの単位時間当たりの累積走行距離(上記(6)式におけるDn)をゼロにし続ける(ステップS12)。
従って、次に車両が発進するまでの間に加速度センサ1の出力値が温度変化等の影響を受けて変動し、加速度センサ1の出力値からオフセット値を差し引いた値がゼロにならない場合でも、車両の停止確定後のサンプリング時刻nTにおける今回の車両の速度(上記(4)式におけるVn)及び単位時間当たりの累積走行距離(上記(6)式におけるDn)の値をゼロに設定し続けているため、自車位置表示は停止した状態となる。
また、車両の停止判定以前の積分誤差や累積誤差等がキャンセルされるため、誤差が蓄積されず、車両の速度及び走行距離等の精度が向上する。
次に、本実施形態の車両の発進判定処理について図6のフローチャートを用いて説明する。本実施形態では、一定期間の加速度センサ1の出力値あるいは角速度センサ2の出力値の変化量が大きくなる時、またはGPS測位時にGPS速度データが0[km/h]ではないことを検出した場合に車両が発進したと判定するようにした。
具体的には、まず車両の発進判定処理においては、加速度センサ1の出力値の標準偏差が所定値η以上となった時、もしくは角速度センサ2の出力値の標準偏差が所定値τ以上となった時、またはGPS測位時にGPS速度データが0[km/h]ではなくなった時に、車両が発進したと判定するようにした。
以下、図6のフローチャートに基づいて本実施形態の車両の発進判定処理を説明する。この車両の発進判定処理は、上述した車両の加速度等の算出処理及び車両の停止判定処理と並行して、ナビゲーション装置が起動されている間は常に実行されている。また、図6には示していないが、加速度センサ1、角速度センサ2、GPS受信機4の出力値を所定周期T期間毎に行うサンプリング処理も、この車両の発進判定処理と並行して実行されている。
まず、処理が開始されると、車両の発進確定のフラグが立っているか否かが判定される(ステップS30)。そして、車両の発進が確定したと判定されていない間は、車両の発進確定のフラグが立っていないので(ステップS30;No)、次にカウンタ1の値が常に所定値εになっているか否か、即ちε個のサンプリングデータが常に存在しているか否かの判定処理に移行する(ステップS31)。そして、カウンタ1の値が所定値εに達していない間は、そのまま車両の発進判定処理を終了する(ステップS31;No)。一方、カウンタ1の値が所定値εに達している時には(ステップS31;Yes)、まず上述したように、ε個の加速度センサ1の出力値のサンプリングデータを用いて標準偏差を算出し、この標準偏差が所定値η以上であるか否かを判定する。そして、標準偏差が所定値η以上である場合には(ステップS32;Yes)、サンプリング期間における加速度センサ1の出力値の変化量が大きくなったため車両が発進状態であると判定して後述するステップS36以下の車両の発進確定処理を行う。
一方、標準偏差が所定値ηに達していない場合には(ステップS32;No)、ε個の角速度センサ2の出力値のサンプリングデータを用いて角速度センサ2の標準偏差を算出し、この標準偏差が所定値τ以上であるか否かを判定する。そして、標準偏差が所定値τ以上である場合には(ステップS33;Yes)、サンプリング期間における角速度センサ2の出力値の変化量が大きくなったため車両が発進状態にあるとして後述するステップS36以下の車両の発進確定処理を行う。
また、標準偏差が所定値τに達しない場合には(ステップS33;No)、GPSが測位状態であるか否かを判定する(ステップS34)。そして、測位状態ではない場合には(ステップS34;No)、車両の発進判定処理を終了するが、測位状態の場合には(ステップS34;Yes)、GPS速度データがゼロでないか否かを判定する(ステップS35)。そして、GPS速度データがゼロの場合には(ステップS35;No)、車両の発進判定処理を終了するが、ゼロでない場合には(ステップS35;Yes)、車両が発進したと判定して、車両の発進確定のマスク処理を行う(ステップS36)。このマスク処理の結果、車両の発進確定のフラグが立つことになり、このフラグが立っている間は車両の発進判定処理(ステップS31〜S35)は行われない(ステップS30;Yes)。
最後に、前述した車両の停止確定のマスクを解除し(ステップS37)、前述した車両の停止判定処理が行われるように設定する。
本実施形態では、以上のような処理において、例えばサンプリング周期T期間を0.1秒間、ηを4.00、τを2.00として車両の発進判定を行った。
以上のように、本発明によれば、加速度センサ1の出力値だけでなく、他のセンサ等の出力値に基づいて車両の発進を判定するので、確実に車両の発進を判定することができる。
以上説明したように、本発明によれば、正確に車両の停止と発進を判定することができ、車両の停止が確定したと判定した場合には、前回の車両の速度(上記(4)式におけるVn-1)と現在の車両の速度(上記(4)式におけるVn)及び現在までの単位時間当たりの累積走行距離(上記(6)式におけるDn)をゼロに設定し続けるので、次に車両が発進するまでの間に加速度センサ1の出力値からオフセット値を差し引いた値がゼロにならない場合でも、確実に車両の速度と累積走行距離をゼロにし続けて自車位置表示を停止させた状態にすることができる。また、車両の発進後において算出されるサンプリング時刻nTにおける今回の車両の速度(上記(4)式におけるVn)及び単位時間当たりの累積走行距離(上記(6)式におけるDn)は、初速度となる前回の車両の速度(上記(4)式におけるVn-1)及び前回までの単位時間当たりの累積走行距離(上記(6)式におけるDn-1)が共にゼロであるため、誤差を減少させることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図7及び図8に基づいて説明する。なお、本実施形態のナビゲーション装置の概略構成及び加速度センサの構成は図1及び図2に示した第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態との共通箇所には同一符号を付して説明を省略する。
上記第1の実施形態においては、車両の停止確定中は現在の車両の速度Vnと前回の車両の速度Vn-1と現在までの車両の単位時間当たりの累積走行距離Dnをゼロにし続けていたため、車両の発進後に算出されるサンプリング時刻nTにおける今回の車両の速度Vn及び単位時間当たりの累積走行距離Dnは、車両の停止時において加速度センサ1の出力値のオフセット値aoeが変動する場合でも、車両の停止時における積分誤差や累積誤差等の影響を受けることなく正確に算出されることになる。
しかし、加速度センサ1の出力値の上記停止時のオフセット値aoeの変動は、ナビゲーション装置の起動時や車両停止中における温度変化時、あるいは車両停止直後の加速度センサ1の出力値の安定時間のばらつき等によっても発生するため、上記(2)式に示した停止時のオフセット値aoeを固定値とした場合には、上記(2)式により算出される車両の加速度Anは加速度センサ1の出力値のオフセット値aoeの変動に追従せずに誤差を有することになる。
その結果、上記(3)式で求められる車両の速度変化量ΔVn及び上記(5)式で求められる車両の走行距離の変化量Δdnにも誤差が生じることになり、その結果、上記(4)式で求められる車両の速度Vn及び上記(6)式で求められる車両の単位時間当たりの累積走行距離Dnにも誤差が生じることになる。
ここで、上記(2)式において上記停止時のオフセット値aoeを加速度センサ1の出力値a'nから差し引くのは、加速度センサ1の出力値a'nが車両の停止時においてもゼロにならず所定値、即ち上記停止時のオフセット値aoeを示すように、加速度センサ1が設計されているためである。
そこで、本実施形態では、上記停止時のオフセット値aoeを固定値とせずに、上記第1の実施形態で説明したような正確な車両の停止判定処理により停止が確定した場合に、車両の停止確定時の加速度センサ1の出力値a'nの平均値を求め、その平均値により上記停止時のオフセット値aoeを更新することにした。更に、加速度センサ1の出力値a'nがより一層安定した状態にある時に上記平均値を求めるため、車両の停止直後と発進直前の所定期間を平均値算出期間から除くことにした。
これにより、車両の停止時において加速度センサ1の出力値a'nが装置起動時や温度変化時等により変動した場合でも、その変動に追従した上記停止時のオフセット値aoeを設定することができ、車両の発進後において算出される車両の加速度Anの誤差を減少させることができ、その結果、車両の速度変化量ΔVn及び走行距離の変化量Δdnの誤差を減少させ、その結果車両の速度Vn及び単位時間当たりの累積走行距離Dnの誤差を減少させることができる。
以下、図7及び図8を用いて本実施形態における具体的な車両停止時におけるオフセット値aoeの更新方法について説明する。なお、以下に示す処理は主にCPU7にて行われることになる。
図7は停止時におけるオフセット値の更新処理を示すフローチャートであり、当該処理は、第1の実施形態で説明した車両の加速度等の算出処理及び車両の停止判定処理並びに車両の発進判定処理と別に並行して実行されるものである。また、加速度センサ1の出力値のサンプリング期間は、第1の実施形態で説明したサンプリング周期と同様にT期間となっており、当該更新処理はT期間毎に実行されることになる。
この更新処理では、まず、第1の実施形態で説明した車両の停止確定を示すフラグが立っているか否かを判定する(ステップS40)。つまり、第1の実施形態で説明した車両の正確な停止判定により、車両の停止が確定した場合にのみこの更新処理が行われるようになっている。この判定の結果、車両の停止確定フラグが立っていない時は(ステップS40;No)、後述する車両の停止安定期間を計測するためのカウンタ2をゼロクリアし(ステップS41)、更に後述する停止時のオフセット候補値の算出期間及び車両の発進兆候期間を計測するためのカウンタ3及びカウンタ4をゼロクリアして(ステップS42,S43)、更新処理を終了する。
一方、車両の停止確定フラグが立っており、車両の停止が確定している場合には(ステップS40;Yes)、車両の停止安定期間が終了したか否かをカウンタ2の値が所定値αに達したか否かで判定する(ステップS44)。カウンタ2は上述したように車両の停止が確定していない時には常にゼロクリアされるが、車両の停止が確定するとゼロクリアされないため、サンプリング周期T期間毎にインクリメントされる。従って、カウンタ2の値が所定値αに達するのは、車両の停止確定直後からαT期間経過後の時である。つまり、この期間が車両の停止安定期間であり、この期間は加速度センサ1の出力値の平均値の算出は行わない。これは、車両の停止確定直後は車両が若干動いていたり、揺れていたりする場合があるため、加速度センサ1の出力値が安定していない可能性があるためである。
そこで、この車両の停止安定期間が終了していない場合には(ステップS44;No)、カウンタ2の値をインクリメントして、更新処理を終了する。なお、この時カウンタ3及びカウンタ4のゼロクリア処理も行うことになる(ステップS42,S43)。
一方、車両の停止安定期間が終了した場合には(ステップS44;Yes)、加速度センサ1の出力値が安定したか否かを、当該出力値の標準偏差が所定値2σ以下であるかで判定する(ステップS45)。そして、車両の停止安定期間終了後に加速度センサ1の出力値の標準偏差が所定値2σを超える場合には、安定した値でないため、オフセット値を更新することができない。従って、後述する停止時のオフセット候補値の算出期間及び車両の発進兆候期間を計測するためのカウンタ3及びカウンタ4をゼロクリアして(ステップS42,S43)、更新処理を終了する。
しかし、車両の停止安定期間が終了し(ステップS44;Yes)、加速度センサ1の出力値の標準偏差が所定値2σ以下となって安定した場合には(ステップS45;Yes)、停止時のオフセット候補値の算出を行うため、加速度センサ1の出力値のサンプリング処理を行う。サンプリングは本実施形態ではβ個に設定しており、カウンタ3の値が所定値βになるまで(ステップS46;Yes)サンプリングを続ける(ステップS46;No)。カウンタ3は上述したように加速度センサ1の出力値の標準偏差が所定値2σを超える時には常にゼロクリアされるが、所定値2σ以下になるとゼロクリアされないため、サンプリング周期T期間毎にインクリメントされる。従って、カウンタ3の値が所定値βに達するのは、車両の停止確定直後から(α+β)T期間経過後の時である。
そして、カウンタ3の値が所定値βになり、即ち上記標準偏差が所定値2σ以下となってからβT期間経過した時に(ステップS46;Yes)、停止時のオフセット値の第m候補値を算出する(ステップS47)。このmは1から始まる整数であり、最初は第1候補値が算出される。
この候補値の算出は、下記(7)式に基づいてCPU7により行われる。
そして、この第m候補値を図8に示すようなRAM9上に設けられたバッファ9aの最上位アドレス部から記憶される。バッファ9aは、本実施形態ではγ個のサンプリングデータを記憶できる容量を有しており、以上のようにして算出した停止時の各オフセット候補値が順次記憶されるようになっている。
次に、停止時のオフセット候補値の算出と記憶が終了した後は、車両の発進兆候期間が終了したか否かをカウンタ4の値が所定値γに達したか否かで判定する(ステップS48)。カウンタ4は、上記停止時のオフセット候補値算出のためのサンプリング期間が終了していない間はゼロクリアされており、サンプリング期間終了後の停止時のオフセット第m候補値算出後であって車両の発進兆候期間の終了判定後にインクリメントされるので、停止時のオフセット第1候補値算出時にはカウンタ4の値は0、停止時のオフセット第2候補値算出時にはカウンタ4の値は1となる。
この更新処理はサンプリング周期T期間毎に実行されるから、カウンタ4の値が所定値γに達するのは、上記停止時のオフセット候補値算出のためのサンプリング期間終了直後からγT期間経過後の時であり、この期間を車両の発進兆候期間としている。この車両の発進兆候期間は車両の発進確定直前において車両が動き始め、加速度センサ1の出力値が不安定になる可能性があるため、加速度センサ1の出力値の平均値を算出しないようにしているものである。
以上のように、上記停止時のオフセット第1候補値が算出された直後においては、カウンタ4の値は0であり、所定値γに達していないため(ステップS48;No)、カウンタ4の値をインクリメントし(ステップS50)、今回の更新処理を終了する。
そして、次の周期1T期間後にこの更新処理が実行されると、車両は停止状態にあるため(ステップS40;Yes)、車両の停止安定期間の終了判定処理が行われるが(ステップS44)、上述したように既に車両の停止安定期間は終了しているため(ステップS44;Yes)、加速度センサ1の出力値が安定しているか否かが判定され(ステップS45)、安定している場合には(ステップS45;Yes)、サンプリング期間の終了判定処理に移行する(ステップS46)。しかし、この場合でも上述したように既にカウンタ3の値は所定値βに達しているので(ステップS46;Yes)、現在の加速度センサ1の出力値のサンプリングを行い、停止時のオフセット第2候補値算出を行う(ステップS47)。なお、この時には、停止時のオフセット第1候補値の算出のために既にβ個のサンプリングが行われており、今回のサンプリングでβ+1個のサンプリングが行われたことになるが、停止時のオフセット候補値の算出はあくまでもβ個のサンプリングデータに基づいて行われるように設定されており、今回のサンプリングデータから(β−1)個前のデータまでに基づいて上記(7)式により停止時のオフセット第2候補値が算出される(ステップS47)。
この算出された停止時のオフセット第2候補値は、図8に示すバッファ8aの最上位アドレス部に記憶され、その前に前回記憶された停止時のオフセット第1候補値は最上位アドレス部よりも候補値1個分下位のアドレス部にシフトされる。従って、バッファ8a上では停止時のオフセット第2候補値の上に第1候補値が積み上げられることになる。
そして、この停止時のオフセット第2候補値の算出後のカウンタ4の値は、前回の車両の発進兆候期間の終了判定後のインクリメントにより1になっており、まだ所定値γに達していないため(ステップS48;No)、カウンタ4の値をインクリメントして更新処理を終了する。以下同様に、次々に停止時のオフセット候補値の算出が行われる。
また、停止時のオフセット第(γ+1)候補値の算出が行われた時には(ステップS47)、バッファ8aには、最下位アドレスから最上位アドレスに向かって、停止時のオフセット第1候補値から第γ候補値までの所定値γ個の停止時のオフセット候補値が既に記憶されおり、停止時のオフセット第(γ+1)候補値を最上位アドレス部に記憶させると、{(γ+1)−γ}番目、即ち停止時のオフセット第1候補値がバッファ8aから溢れることになる。
更に、この時のカウンタ4の値は、前回のインクリメントにより所定値γになっているため、車両の発進兆候期間が終了したと判定して(ステップS48;Yes)、上述のように溢れた停止時のオフセット第1候補値を停止時のオフセット値として更新し(ステップS49)、今回の更新処理を終了する。
以下、同様に、停止時のオフセット第(γ+2)候補値の算出が行われた時には(ステップS47)、既に車両の発進兆候期間は終了しているので(ステップS48;Yes)、停止時のオフセット第2候補値を停止時のオフセット値として更新され、更に、停止時のオフセット第m候補値が算出された時には、停止時のオフセット第(m−γ)候補値が停止時のオフセット値として更新される。
そして、以上のように停止時のオフセット値が次々に更新されている状態で、第1の実施形態で説明した処理により車両の発進が確定すると、車両の停止確定フラグは立っていないため(ステップS40;No)、カウンタ2及びカウンタ3並びにカウンタ4はゼロクリアされ(ステップS41,42,43)、ここまでの段階で更新された停止時の最新オフセット値に基づいて車両の発進後の加速度等の算出が行われることになる。
本実施形態では、例えば具体的に、サンプリング周期T期間を第1の実施形態と同様に0.1秒とし、αを5、βを16、γを5として停止時のオフセット値aoeの更新を行った。
以上のように、本発明によれば、停止時のオフセット候補値算出期間内のサンプリングデータに基づいて得られた平均値により、次々に停止時のオフセット値が更新されることになり、上記装置起動時や温度変化時あるいは加速度センサ1の出力値の安定時間のばらつき等により加速度センサ1の出力値が変動する場合でも、その変動に追従した適切な停止時のオフセット値aoeを設定することができる。
その結果、車両の発進後において、適正な停止時のオフセット値により、誤差の少ない車両の加速度を算出することができ、当該車両の加速度から算出される車両の速度及び走行距離の誤差を減少させることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図9に基づいて説明する。なお、本実施形態のナビゲーション装置の概略構成及び加速度センサ1の構成は図1及び図2に示した第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態との共通箇所には同一符号を付して説明を省略する。
上記第2の実施形態においては、車両の停止確定時における加速度センサ1の出力値の平均値に基づいて停止時のオフセット値の更新を行うことにより、上記装置起動時や温度変化時あるいは加速度センサ1の出力値の安定時間のばらつき等による加速度センサ1の出力値の変動に追従した適切な車両の加速度等の算出を可能とした。
しかしながら、高速道路等での長距離無停止走行のような長時間にわたって無停止走行状態が続く場合には、第2の実施形態のように車両の停止確定時の加速度センサ1の出力値の平均値に基づいて停止時のオフセット値の更新を行うことができない。
その結果、長時間(長距離)無停止走行中に、温度変化等により加速度センサ1の出力値が変動した場合には、この変動に追従した適切な車両走行時のオフセット値の更新を行うことができず、算出される車両の加速度及び速度並びに走行距離に誤差を生じることになる。特に、高速道路等では、車両の走行距離を正確に求めないと、”出口”や”分岐”等の経路案内等をタイミング良く行えない。
そこで、本実施形態では、長時間(長距離)無停止走行状態であって、車両の角速度と速度の変化量が少ない状態であることを検知した場合には、この期間の加速度センサ1の出力値の平均値を求め、車両走行時のオフセット値がこの平均値に近づくように更新することにした。これは、長時間(長距離)無停止走行中であっても、車両の角速度と速度の変化量が少なければ、車両が等速度走行状態に近いと考えられるからである。
以下、図9を用いて本実施形態における具体的な車両走行時におけるオフセット値の更新処理について説明する。なお、以下に示す処理は主にCPU7にて行われることになる。
図9は走行時におけるオフセット値の更新処理を示すフローチャートであり、当該処理は、第1の実施形態で説明した車両の加速度等の算出処理及び車両の停止判定処理並びに車両の発進判定処理と別に並行して実行されるものである。また、加速度センサ1の出力値のサンプリング期間は、第1の実施形態で説明したサンプリング周期と同様にT期間となっており、当該更新処理はT期間毎に実行されることになる。
この更新処理では、まず、第1の実施形態で説明した車両の発進確定を示すフラグが立っているか否かを判定する(ステップS51)。つまり、第1の実施形態で説明した正確な車両の発進判定により、車両の発進が確定した場合にのみこの更新処理が行われるようになっている。この判定の結果、車両の発進確定フラグが立っていない時は(ステップS51;No)、後述する車両の走行時のオフセット値更新判定期間を計測するためのカウンタ5をゼロクリアし(ステップS52)、更新処理を終了する。
一方、車両の発進確定フラグが立っており、車両の発進が確定している場合には(ステップS51;Yes)、上記第1の実施形態で説明した(4)式により、加速度センサ1の出力値に基づいて算出されるサンプリング時刻nTにおける今回の車両の速度Vnが30[km/h]以上であるか否かを判定する(ステップS53)。これは、車両の速度が低すぎる場合には、車両の速度及び加速度が不安定になる傾向にあるため、車両走行時のオフセット値の更新に適した状態であるとは言えないためである。また、これはバック走行をしている場合を除外するためのものでもある。つまり、通常30km/hでバック走行をすることはないため、30km/h以上であれば車両が前進していると推測されるからである。従って、当該車両の速度Vnが30[km/h]未満である場合には(ステップS53;No)、カウンタ5をゼロクリアして(ステップS52)この更新処理を終了する。
しかし、当該車両の速度Vnが30[km/h]以上の場合には(ステップS53;YES)、GPSが測位状態であるか否かを判定する(ステップS54)。そして、GPSが測位状態にあり(ステップS54;Yes)、正確な車両の速度が計測可能な場合には、GPS測位によるGPS速度データが30[km/h]以上であるか否かを判定する(ステップS55)。この理由は加速度センサ1の出力値に基づいて算出されるサンプリング時刻nTにおける今回の車両の速度Vnが30[km/h]以上であるか否かを判定する理由と同様である。
従って、当該GPS速度データが30[km/h]未満である場合には(ステップS55;No)、カウンタ5をゼロクリアして(ステップS52)この更新処理を終了する。
しかし、当該GPS速度データが30[km/h]以上の場合には(ステップS55;YES)、加速度センサ1の出力値に基づいて算出したサンプリング時刻nTにおける今回の車両の加速度Anの絶対値が0.3[m/s2]以下であるか否かを判定する(ステップS56)。これは、加速度センサ1の出力値により算出された速度の変化量(加速度An)が少なく、車両が等速度走行状態にあると言えるか否かを判定するためである。その結果、車両の加速度Anの絶対値が0.3[m/s2]を超える場合には(ステップS56;No)、車両が等速度走行状態にあるとは言えないので、カウンタ5をゼロクリアして(ステップS52)この更新処理を終了する。
一方、車両の加速度Anの絶対値が0.3[m/s2]以下である場合には(ステップS56;Yes)、次に車両の角加速度の絶対値が0.3[deg/s2]以下であるか否かを判定する(ステップS57)。これは、角速度センサ2の出力値により算出された角速度の変化量(角加速度)が少なく、車両が等速度走行状態にあると言えるか否かを判定するためである。その結果、車両の角加速度の絶対値が0.3[deg/s2]を超える場合には(ステップS57;No)、車両が等速度走行状態にあるとは言えないので、カウンタ5をゼロクリアして(ステップS52)この更新処理を終了する。
しかし、車両の角加速度の絶対値が0.3[m/s2]以下である場合には(ステップS57;Yes)、次に、GPS測位によるGPS加速度データの絶対値が0.3[m/s2]以下であるか否かを判定する(ステップS58)。これも、GPS速度データの変化量(GPS加速度データ)が少なく、車両が等速度走行状態にあると言えるか否かを判定するためである。その結果、当該GPS加速度データの絶対値が0.3[m/s2]を超える場合には(ステップS58;No)、車両が等速度走行状態にあるとは言えないので、カウンタ5をゼロクリアして(ステップS52)この更新処理を終了する。
一方、当該GPS加速度データの絶対値が0.3[m/s2]以下である場合には(ステップS58;Yes)、以上のような各条件を満たした車両の等速度走行状態が所定期間継続したか否かをカウンタ5の値により判定する(ステップS59)。そして、カウンタ5の値が所定値λに達して車両の等速度走行状態が継続していると判定した場合には(ステップS59;Yes)、下記(8)式により当該車両の等速度走行状態における加速度センサ1の出力値の平均値に近づくように車両走行時のオフセット値を更新する(ステップS60)。しかし、カウンタ5の値が所定値λに達していない場合には(ステップS59;No)、カウンタ5の値をインクリメントして、この更新処理を終了する。
ここで、可変更新定数δは、上記平均値により車両走行時のオフセット値を補正する割合を定めるものであり、本実施形態においては、例えば装置起動時の加速度センサ1の出力値のドリフトが収束するまでは0.002とし、その他は0.001とした。
そして、以上のような各条件を満たす車両の等速度走行状態にある限りは、上記(8)式により過去λT期間分の加速度センサ1のサンプリングデータの平均値が求められ、車両走行時のオフセット値aoenが次々に上記平均値に近づきながら更新されていく。また、更新速度は可変更新定数δに比例する。
また、GPS測位状態ではない場合でも(ステップS54;No)、加速度センサ1の出力値に基づいて算出した速度の変化量である加速度Anの絶対値が0.2[m/s2]以下であり(ステップS61;Yes)かつ角速度センサ2の出力値に基づいて算出した角速度の変化量である角加速度の絶対値が0.2[deg/s2]以下である場合には(ステップS62;Yes)、車両が等速度走行状態にあると判定して上述のような車両走行時のオフセット値の更新を行う。
しかし、車両の加速度Anの絶対値が0.2[m/s2]を超える場合(ステップS61;No)、あるいは車両の角加速度の絶対値が0.2[deg/s2]を超える場合には(ステップS62;No)、車両が等速度走行状態にあるとは言えないので、カウンタ5をゼロクリアして(ステップS63)この更新処理を終了する。
以上のように、本発明によれば、車両が等速度走行状態にあると判定された期間内の加速度センサ1のサンプリングデータに基づいて得られた平均値により、次々に車両走行時のオフセット値が上記平均値に近づきながら更新されることになり、長時間(長距離)無停止走行時に温度変化等により加速度センサ1の出力値が変動する場合でも、その変動に追従した適切な車両走行時のオフセット値aoeを設定することができる。
その結果、車両走行時において、適正な車両走行時のオフセット値により、誤差の少ない車両の加速度を算出することができ、当該車両の加速度から算出される車両の速度及び走行距離の誤差を減少させることができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図10乃至図15に基づいて説明する。なお、本実施形態のナビゲーション装置の概略構成及び加速度センサ1の構成は図1及び図2に示した第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態との共通箇所には同一符号を付して説明を省略する。
上記第2の実施形態または第3の実施形態においては、車両停止時あるいは走行時における加速度センサ1の出力値の平均値に基づいてオフセット値の更新を行うことにより、上記装置起動時や長時間(長距離)無停止走行時や温度変化時等による加速度センサ1の出力値の変動に追従した適切な車両の加速度等の算出を可能とした。
しかしながら、上記第1の実施形態で説明した(2)式に示すように、車両の加速度AnはゲインGn-1を乗じることにより算出され、従来はこのゲインGn-1を固定値としていたため、ナビゲーション装置の水平及び車両前後方向に対する取り付け角度に対してゲインが変動する場合でも適切に調整ができず、また、装置起動時や温度ドリフト時によるゲイン変動あるいは加減速時の車両本体の傾斜角の変動の相違等によるゲイン変動などに対応できなかった。
従って、上記(2)式により算出される車両の加速度に誤差を生じ、その結果、上記(4)式により算出される車両の速度及び上記(6)式により算出される車両の走行距離に誤差を生じた。
そこで、本実施形態では、第3の実施形態で説明した車両が等速度走行状態と判定される期間において、その期間中の加速度センサ1の出力値に基づいて算出される車両の速度の平均値と、GPS測位によるGPS速度データの平均値との比により、ゲインGn-1の更新を行うことにした。
次に、車両の発進が確定している間、加速度センサ1の出力値により算出された加速度の変化量が少ない状態(等加速度走行状態)で走行している場合と、ジャイロ(角速度)センサ2の出力値により算出された角速度の変化量である角加速度の変化量が少ない状態(等角加速度走行状態)で走行している場合と、GPS測位時にのみGPS速度データの変化量であるGPS加速度データの変化量が少ない状態(等加速度走行状態)で走行している場合には、その期間(nT期間)の加速度センサ1の出力値により算出された加速度の平均値とGPS速度データの変化量であるGPS加速度データの平均値を比較しながら、GPS加速度データ平均値に近づくようにゲイン補正係数を車両の加速時と減速時それぞれ独立にゲイン変動に追従する(永久)学習をしながら収束させていくことにした。
以下、図10乃至図15に基づいて本実施形態のゲイン更新処理及び補正係数更新処理について説明する。なお、以下に示す処理は主にCPU7にて行われることになる。
図10は等速度走行状態及び等加速度走行状態におけるゲイン更新処理及びゲイン補正係数更新処理を示すフローチャートであり、当該処理は、第1の実施形態で説明した車両の加速度等の算出処理及び車両の停止判定処理並びに車両の発進判定処理、更には第2の実施形態で説明した車両停止時のオフセット値の更新処理、第3の実施形態で説明した車両走行時のオフセット値の更新処理と別に並行して実行されるものである。また、加速度センサ1の出力値のサンプリング期間は、第1の実施形態で説明したサンプリング周期と同様にT期間となっており、当該更新処理はT期間毎に実行されることになる。
まず、このゲイン更新処理では、第1の実施形態で説明した車両の発進確定を示すフラグが立っているか否かを判定する(ステップS70)。つまり、第1の実施形態で説明した正確な車両の発進判定により、車両の発進が確定した場合にのみこの更新処理が行われるようになっている。この判定の結果、車両の発進確定フラグが立っていない時は(ステップS70;No)、後述する車両の等速度走行時加速度センサゲイン更新判定期間及び車両の等加速度走行時の加減速独立のゲイン補正係数更新判定期間を計測するためのカウンタ6及びカウンタ7をゼロクリアし(ステップS71,84)、更新処理を終了する。
一方、車両の発進確定フラグが立っており、車両の発進が確定している場合には(ステップS70;Yes)、GPSが測位状態であるか否かを判定する(ステップS72)。そして、GPSが測位状態になく(ステップS72;No)、正確なGPS速度データの計測ができない場合にはカウンタ6及びカウンタ7をゼロクリアし(ステップS71,S84)、更新処理を終了する。
しかし、GPSが測位状態にあり(ステップS72;Yes)、正確なGPS速度データが計測可能な場合には、GPS測位によるGPS速度データが30[km/h]以上であるか否かを判定する(ステップS73)。これは、GPS速度データが低すぎる場合には、車両の速度及び加速度が不安定になる傾向にあるため、ゲインの更新に適した状態であるとは言えないためである。
従って、当該GPS速度データが30[km/h]未満である場合には(ステップS73;No)、カウンタ6をゼロクリアし(ステップS78)、この更新処理を終了して、後述する図10のステップS81以下のゲイン補正係数更新処理に移行する。
しかし、当該GPS速度データが30[km/h]以上の場合には(ステップS73;Yes)、上記第1の実施形態で説明した(4)式により、加速度センサ1の出力値に基づいて算出されるサンプリング時刻nTにおける今回の車両の速度Vnが30[km/h]以上であるか否かを判定する(ステップS74)。
当該車両の速度Vnが30[km/h]未満である場合には(ステップS74;No)、カウンタ6をゼロクリアし(ステップS78)、この更新処理を終了して、後述する図10のステップS81以下のゲイン補正係数更新処理に移行する。
しかし、当該車両の速度Vnが30[km/h]以上の場合には(ステップS74;Yes)、加速度センサ1の出力値に基づいて算出したサンプリング時刻nTにおける今回の車両の加速度Anの絶対値が0.3[m/s2]以下であるか否かを判定する(ステップS75)。これは、加速度センサ1の出力値により算出された車両の速度の変化量(加速度An)が少なく、車両が等速度走行状態にあると言えるか否かを判定するためである。その結果、車両の加速度Anの絶対値が0.3[m/s2]を超える場合には(ステップS75;No)、車両が等速度走行状態にあるとは言えないので、カウンタ6をゼロクリアし(ステップS78)、この更新処理を終了して、後述する図10のステップS81以下のゲイン補正係数更新処理に移行する。
一方、車両の加速度Anの絶対値が0.3[m/s2]以下である場合には(ステップS75;Yes)、次に車両の角加速度の絶対値が0.3[deg/s2]以下であるか否かを判定する(ステップS76)。これは、角速度センサ2の出力値により算出された車両の角速度の変化量(角加速度)が少なく、車両が等速度走行状態にあると言えるか否かを判定するためである。従って、車両の角加速度の絶対値が0.3[deg/s2]を超える場合には(ステップS76;No)、車両が等速度走行状態にあるとは言えないので、カウンタ6をゼロクリアし(ステップS78)、この更新処理を終了して、後述する図10のステップS81以下のゲイン補正係数更新処理に移行する。
しかし、車両の角加速度の絶対値が0.3[m/s2]以下である場合には(ステップS76;Yes)、次に、GPS測位によるGPS加速度データの絶対値が0.3[m/s2]以下であるか否かを判定する(ステップS77)。これも、GPS速度データの変化量(GPS加速度データ)が少なく、車両が等速度走行状態にあると言えるか否かを判定するためである。その結果、当該GPS加速度データの絶対値が0.3[m/s2]を超える場合には(ステップS77;No)、車両が等速度走行状態にあるとは言えないので、カウンタ6をゼロクリアし(ステップS78)、この更新処理を終了して、後述する図10のステップS81以下のゲイン補正係数更新処理に移行する。
一方、当該GPS加速度データの絶対値が0.3[m/s2]以下である場合には(ステップS77;Yes)、以上のような各条件を満たした車両の等速度走行状態が所定期間継続したか否かをカウンタ6の値により判定する(ステップS79)。カウンタ6は上記各条件のいずれか一つでも偽である場合にはゼロクリアされるが(ステップS78)、全ての条件が真である場合には(ステップS79;No)、ゼロクリアされず周期T期間の間隔でインクリメントされる。従って、カウンタ6の値が所定値χに達するのは、上記全ての条件が真となった直後からχT期間経過後であり、このχT期間中において車両の等速度走行状態が継続していると判定した場合には(ステップS79;Yes)、下記(9)式によりゲインの更新を行う(ステップS80)。次に、後述する図10のステップS81以下のゲイン補正係数更新処理に移行する。
そして、以上のような各条件を満たす車両が等速度走行状態にある限りは、上記(9−1)式により過去χT期間分の加速度センサ1の出力値に基づいて算出した速度の平均値が求められ、更に上記(9−2)式により過去χT期間分のGPS測位によるGPS速度データの平均値が求められ、そして、上記(9−3,4)式によりゲインG
nが求められ、求めた値によりゲインが更新される。従って、ゲインG
nが装置の水平及び車両前後方向に対する取付角度や、装置起動時及び温度ドリフト時や、加速時と減速時における車両の傾斜角の変動の相違等の要因により、変動する場合においても、その変動に追従した適切な値にゲインG
nを更新することができる。
以上のようなゲインの更新処理を行った後、本実施形態では、前述していた図10のステップS81以下の加減速独立のゲイン補正係数の更新処理を行う。
まず、加速度センサ1の出力値に基づいて算出されるサンプリング時刻nTにおける今回の車両の加速度Anの変化量を求め、その車両の加速度Anの変化量の絶対値が0.3以下であるか否かについて判定し、車両の等加速度走行状態の判定を行う(ステップS81)。当該車両の加速度Anの変化量の絶対値が0.3を超える場合には(ステップS81;No)、車両が等加速度走行状態ではないとしてカウンタ7をゼロクリアして(ステップS84)、加減速独立のゲイン補正係数の更新処理を終了する。
一方、上記車両の加速度Anの変化量の絶対値が0.3以下である場合には(ステップS81;Yes)、角速度センサ2の出力値に基づいて算出される車両の角速度の変化量である角加速度の変化量の絶対値が0.3以下であるか否かについて判定し、車両の等加速度走行状態の判定を行う(ステップS82)。当該車両の角加速度の変化量の絶対値が0.3を超える場合には(ステップS82;No)、車両が等加速度走行状態ではないとしてカウンタ7をゼロクリアして(ステップS84)、加減速独立のゲイン補正処理を終了する。
一方、上記車両の角加速度の変化量の絶対値が0.3以下である場合には(ステップS82;Yes)、GPS測位によるGPS加速度データの変化量の絶対値が0.3以下であるか否かにより、車両の等加速度走行状態の判定を行う(ステップS83)。当該GPS加速度データの変化量の絶対値が0.3を超える場合には(ステップS83;No)、車両の等加速度走行状態ではないとしてカウンタ7をゼロクリアして(ステップS84)、加減速独立のゲイン補正係数の更新処理を終了する。
一方、上記GPS加速度データの変化量が0.3以下である場合には(ステップs83;Yes)、以上のような車両の等加速度走行状態の判定処理をカウンタ7の値が所定値κになるまで継続する(ステップS85)。カウンタ7は上述した車両の各等加速度走行状態の判定条件のいずれか一つでも偽である場合には、ゼロクリアされるが(ステップS84)、全ての車両の等加速度走行状態の判定条件が真であれば、ゼロクリアされないので、カウンタ7の値が所定値κに達するのは、全ての車両の等加速度走行状態の判定条件が真になった直後から、κT期間経過後である。そして、車両の等加速度走行状態がκT期間継続したと判定した場合には(ステップS85:Yes)、下記(10),(11)式により加減速独立にゲイン補正係数の更新処理を行う(ステップS86)。
(加速時)
[1] 0<Aacc
n<Agpsn の場合
Gk
n = Gk
n-1+ φ ・・・(11−1)
[2] 0<Agps
n<Aacc
n の場合
Gk
n = Gk
n-1− φ ・・・(11−2)
(減速時)
[1] Agps
n<Aacc
n<0 の場合
Gk'
n = Gk'
n-1+ φ ・・・(11−3)
[2] Aacc
n<Agps
n<0 の場合
Gk'
n = Gk'
n-1− φ ・・・(11−4)
Gk
n : 今回の加速時ゲイン補正係数
Gk
n-1 : 前回までの加速時ゲイン補正係数
Gk'
n : 今回の減速時ゲイン補正係数
Gk'
n-1 : 前回までの減速時ゲイン補正係数
φ : 可変更新定数(0≦φ≦1)
そして、以上のような各条件を満たす車両が等加速度走行状態にある限りは、上記(11−1)〜(11−4)式により加減速独立にゲイン補正係数が更新される。
従って、加速時と減速時における車両の傾斜角の変動の相違等によるゲイン変動を抑えることができ、算出される車両の加速度及び速度並びに走行距離の誤差を少なくすることができる。
なお、可変更新定数φは、例えば±0.004(±0.4%)、±0.002(±0.2%)、±0.001(±0.1%)等の3種類のものを用いて以下のように随時変更する。この可変更新定数φの変更は、車両の加速度の変化を観察して、ゲインが真値に収束するように行う。以下、本実施形態における加減速独立ゲイン補正係数学習処理について、図11乃至図14のフローチャートに基づいて説明する。なお、この加減速独立ゲイン補正係数学習処理は、上述したゲイン補正係数の更新処理(ステップS86)を行う時に実行されるようになっており、サンプリング期間は、上述したゲイン更新処理及びゲイン補正係数の更新処理と同様にT期間となっている。従って、当該学習処理はT期間毎に実行されることになる。
まず、上述した車両の等加速度走行条件が成立したか否かを判定し(ステップS90)、成立していない場合には(ステップS90;No)、当該学習処理を終了する。しかし、車両の等加速度走行条件が成立している場合には(ステップS90;Yes)、今回の車両が加速中であり、かつ、今回の加速度センサ1の出力値に基づいて算出されるサンプリング時刻nTにおける今回の車両の加速度Anの平均値Aaccnが今回のGPS測位によるGPS加速度データの平均値Agpsnよりも小さい場合(以下、アンダーラン状態とする)であるか否かを判定する(ステップS91)。その結果、今回の車両が加速中であってアンダーラン状態であると判定した場合には(ステップS91;Yes)、前回の車両が加速中であり、かつ、前回の車両の加速度センサ1の出力値に基づいて算出されたサンプリング時刻(n−1)Tにおける前回の車両の加速度An-1の平均値Aaccn-1が前回のGPS測位によるGPS加速度データの平均値Agpsn-1よりも大きい場合(以下、オーバーラン状態とする)であるかを判定する(ステップS92)。
その結果、前回の車両が加速中であってオーバーラン状態ではないと判定した場合には(ステップS92;No)、更に前々回の加速度センサ1の出力値に基づいて算出されたサンプリング時刻(n−2)Tにおける前々回の車両の加速度An-2の平均値Aaccn-2が加速中においてオーバーラン状態であったか否かを判定する(ステップS93)。
その結果、前々回がオーバーラン状態ではないと判定した場合には(ステップS93;No)、前々回から今回に至るまでアンダーラン状態が継続しており、加減速独立ゲイン補正係数は発散していると判定し(ステップS94)、可変更新定数φを最大の0.4%にセットする(ステップS95)。
一方、今回はアンダーラン状態であるが(ステップS91;Yes)、前回はオーバーラン状態であった場合には(ステップS92;Yes)、フラグFA1を1とし(ステップS96)、可変更新定数φを0.2%にセットする(ステップS97)。そして、後述するステップS98に移行する。
また、今回と前回がアンダーラン状態であるが(ステップS91;Yes,ステップS92;No)、前々回はオーバーラン状態であった場合には(ステップS93;Yes)、フラグFA1を0とし(ステップS101)、可変更新定数φを0.1%にセットして(ステップS102)、ステップS98に移行する。
ステップS98では、減速時のゲイン補正係数Gk’nが収束しているかどうか、即ち減速時の当該学習処理において、前々回の学習処理にあたる時がオーバーラン状態またはアンダーラン状態の時にセットされるFB1、FB2のフラグのいずれかが1であるかどうかを判定し、どちらかが1であれば、減速時のゲイン補正係数Gk’nは収束していると判定し(ステップS98;Yes)、加速時、減速時両方共にゲイン補正係数(Gkn及びGk’n)が収束している時のフラグを立てる(ステップS99)。この結果はマップマッチング処理に用いられる。
このように可変更新定数φとして0.1%と0.2%のいずれかが選択されるということは、過去にアンダーラン状態からオーバーラン状態、またはオーバーラン状態からアンダーラン状態の切り換えが必ずあった、ということである。これは、目標とするゲイン値を跨いだことを意味し、収束方向に向かっていることが分かる。
一方、FB1、FB2のいずれも1ではない場合には(ステップS98;No)、上記(11−1)式により加速時のゲイン補正係数Gknを更新し(ステップS103)、今回がアンダーラン状態であると判定して(ステップS104)、加速時のゲイン補正係数の学習処理を終了する。
次に、上記ステップS91にて、今回の加速度センサ1の出力値に基づいて算出されるサンプリング時刻nTにおける今回の車両の加速度Anの平均値Aaccnが加速中においてアンダーラン状態ではないと判定された場合には(ステップS91;No)、今回の車両が加速中においてオーバーラン状態であるか否かを判定する(図12,ステップS105)。その結果、加速中であってオーバーラン状態であると判定した時は(ステップS105;Yes)、前回も加速中においてアンダーラン状態であるか否かを判定する(ステップS106)。
そして、前回がアンダーラン状態ではないと判定した場合には(ステップS106;No)、更に前々回の加速度が加速中においてアンダーラン状態であったか否かを判定する(ステップS107)。
その結果、前々回がアンダーラン状態ではないと判定した場合には(ステップS107;No)、前々回から今回に至るまでオーバーラン状態が継続しており、加減速独立ゲイン補正係数は発散していると判定し(ステップS108)、可変更新定数φを最大の0.4%にセットする(ステップS109)。
一方、今回はアンダーラン状態であるが(ステップS105;Yes)、前回はアンダーラン状態であった場合には(ステップS106;Yes)、フラグFA2を1とし(ステップS110)、可変更新定数φを0.2%にセットする(ステップS111)。そして、後述するステップS112に移行する。
また、今回と前回がオーバーラン状態であるが(ステップS105;Yes,ステップS106;No)、前々回はオーバーラン状態であった場合には(ステップS107;Yes)、フラグFA2を0とし(ステップS115)、可変更新定数φを0.1%にセットして(ステップS116)、ステップS112に移行する。
ステップS112では、減速時のゲイン補正係数Gk’nが収束しているかどうか、即ち減速時の当該学習処理において、前々回の学習処理にあたる時がオーバーラン状態またはアンダーラン状態の時にセットされるFB1、FBA2のフラグのいずれかが1であるかどうかを判定し、どららかが1であれば、減速時のゲイン補正係数Gk’nは収束していると判定し(ステップS112;Yes)、加速、減速両方共にゲイン補正係数(Gkn及びGk’n)が収束している時のフラグを立てる(ステップS113)。この結果はマップマッチングの処理に用いられる。
一方、FB1、FBA2のいずれも1ではない場合には(ステップS112;No)、上記(11−2)式によりゲイン補正係数を更新し(ステップS117)、今回がオーバーラン状態であると判定して(ステップS118)、ゲイン補正係数の学習処理を終了する。
次に、上記ステップS105にて、加速中においてオーバーラン状態にはないと判定された場合には(ステップS105;No)、減速中においてアンダーラン状態であるか否かを判定する(図13,ステップS119)。その結果、減速中であってアンダーラン状態であると判定した時は(ステップS119;Yes)、前回は減速中においてオーバーラン状態であるか否かを判定する(ステップS120)。
そして、前回がオーバーラン状態ではないと判定した場合には(ステップS120;No)、更に前々回の加速度センサ1の出力値に基づいて算出されたサンプリング時刻(n−2)Tにおける前々回の車両の加速度An-2の平均値Aaccn-2が減速中においてオーバーラン状態であったか否かを判定する(ステップS121)。
その結果、前々回がオーバーラン状態ではないと判定した場合には(ステップS121;No)、前々回から今回に至るまで減速時におけるアンダーラン状態が継続しており、加減速独立ゲイン補正係数は発散していると判定し(ステップS122)、可変更新定数φを最大の0.4%にセットする(ステップS123)。
一方、今回は減速時のアンダーラン状態であるが(ステップS119;Yes)、前回は減速時のアンダーラン状態であった場合には(ステップS120;Yes)、フラグFB1を1とし(ステップS124)、可変更新定数φを0.2%にセットする(ステップS125)。そして、後述するステップS126に移行する。
また、今回と前回が減速時のアンダーラン状態であるが(ステップS119;Yes,ステップS120;No)、前々回は減速時のオーバーラン状態であった場合には(ステップS121;Yes)、フラグFB1を0とし(ステップS129)、可変更新定数φを0.1%にセットして(ステップS130)、ステップS126に移行する。
ステップS126では、加速時のゲイン補正係数Gknが収束しているかどうか、即ち加速時の当該学習処理において、前々回の学習処理にあたる時がオーバーラン状態またはアンダーラン状態の時にセットされるFA1、FA2のフラグのいずれかが1であるかどうかを判定し、どららかが1であれば、加速時のゲイン補正係数Gknは収束していると判定し(ステップS126;Yes)、加速時、減速時両方共にゲイン補正係数(Gkn及びGk’n)が収束している時にフラグを立てる(ステップS127)。この結果はマップマッチング処理に用いられる。
一方、FA1、FA2のいずれも1ではない場合には(ステップS126;No)、上記(11−3)式により減速時のゲイン補正係数Gk’nを更新し(ステップS131)、今回が減速時のアンダーラン状態であると判定して(ステップS132)、ゲイン補正係数の学習処理を終了する。
次に、上記ステップS119にて、今回の加速度センサ1の出力値に基づいて算出されるサンプリング時刻nTにおける今回の車両の加速度Anの平均値Aaccnが減速中においてアンダーラン状態ではないと判定された場合には(ステップS119;No)、減速中においてオーバーラン状態であるか否かを判定する(図14,ステップS133)。その結果、減速時であってオーバーラン状態であると判定した時は(ステップS133;Yes)、前回も減速中においてアンダーラン状態であるか否かを判定する(ステップS134)。
そして、前回がアンダーラン状態ではないと判定した場合には(ステップS134;No)、更に前々回の加速度センサ1の出力値に基づいて算出されたサンプリング時刻(n−2)Tにおける前々回の車両の加速度An-2の平均値Aaccn-2が加速中においてアンダーラン状態であったか否かを判定する(ステップS135)。
その結果、前々回がアンダーラン状態ではないと判定した場合には(ステップS135;No)、前々回から今回に至るまで減速時のオーバーラン状態が継続しており、加減速独立ゲイン補正係数は発散していると判定し(ステップS136)、可変更新定数φを最大の0.4%にセットする(ステップS137)。
一方、今回は減速時のオーバーラン状態であるが(ステップS133;Yes)、前回は減速時のアンダーラン状態であった場合には(ステップS134;Yes)、フラグFB2を1とし(ステップS138)、可変更新定数φを0.2%にセットする(ステップS139)。そして、後述するステップS140に移行する。
また、今回と前回が減速時のオーバーラン状態であるが(ステップS133;Yes,ステップS134;No)、前々回は減速時のオーバーラン状態であった場合には(ステップS135;Yes)、フラグFB2を0とし(ステップS143)、可変更新定数φを0.1%にセットして(ステップS144)、ステップS140に進む。
ステップS140では、加速時のゲイン補正係数Gknが収束しているかどうか、即ち加速時の当該学習処理において、前々回の学習処理にあたる時がオーバーラン状態またはアンダーラン状態の時にセットされるFA1、FA2のフラグのいずれかが1であるかどうかを判定し、どららかが1であれば、加速時のゲイン補正係数Gknは収束していると判定し(ステップS140;Yes)、加速、減速両方共に補正係数(Gkn及びGk’n)が収束している時にフラグを立てる(ステップS141)。この結果はマップマッチング処理に用いられる。
一方、FA1、FA2のいずれも1ではない場合には(ステップS140;No)、上記(11−4)式により減速時ゲイン補正係数Gk’nを更新し(ステップS145)、今回が減速時のオーバーラン状態であると判定して(ステップS146)、ゲイン補正係数の学習処理を終了する。
また、上記ステップS133による判定の結果がNoになる場合は、加速度センサ1の出力に基づく加速度の平均値AaccnとGPS測位による加速度の平均値Agpsnとが等しく、ゲイン補正係数は収束していると判定する(ステップS147)。
以上のような学習処理により、例えば、加速時のゲイン補正係数Gknは図15に示すように段階的に減少し、時刻t2以降は収束した状態となる。なお、理想的な加速時のゲイン補正係数Gknの収束状況は、最終的に収束すべき値を中心として、加減速独立ゲイン補正係数Gknの変化の方向が正負の方向に交互に反転し続けているような状況を言う。そこで、CPU7はこの加速時のゲイン補正係数Gknの変化が単調増加あるいは単調減少するようになった場合(時刻t3〜)には、ゲインの真値が変化してきたと判定する。そして、再び最も大きい可変更新定数φ(大:0.4%)を選択して、新たに加速時のゲイン補正係数Gknを収束させる動作を継続する。
加速時の収束について説明したが、減速時のゲイン補正係数Gk’nについても全く同様のことが言える。
このようにして、加減速独立ゲイン補正係数Gkn、Gk’nはそれぞれ収束し、最も精度の高い実際のゲイン変動の状況に合致した加減速独立ゲイン補正係数Gkn、Gk’nが得られる。
以上のように、本発明によれば、等速度状態においてゲインの更新を行うため、ナビゲーション装置の取り付け位置に追従した適切なゲイン調整を行うことができ、また、起動時や温度変化によりゲインが変動しても適切に調整することができる。更には、加減速独立のゲイン補正係数の更新を行うので、加速時及び減速時の車両の傾斜角の変動の相違によるゲイン変動が生じても、当該変動に追従した適切なゲイン補正係数を設定することができる。その結果、本発明によれば、加速度及び速度並びに走行距離の誤差を減少させることができ、加速度センサを用いた高精度な非接触のナビゲーション装置を提供することができる。また、上述のようにナビゲーション装置の取り付け位置に応じてゲイン調節が可能なため、当該ナビゲーション装置を車種に限定されることなく取り付けることができる。
なお、本実施形態では、加速時及び減速時の車両の傾斜角の変動の相違によるゲイン変動に対応するために、ゲイン補正係数を加速時と減速時で独立に設定する例について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、ゲイン自体Gn-1またはオフセット値aoe自体を加速時用と減速時用にそれぞれ異なる値のものを容易しておき、加速時と減速時で異なるゲインGn-1またはオフセット値aoeを用いるように構成しても良い。
オフセット値aoeについても、加速時と減速時で異なるものを用いるのは、車両の構造上、加速時と減速時で車両本体の傾斜角が異なると、加速度センサ1に働く重力も異なることになり、この重力の影響は加速度センサ1のオフセット値に現れるためである。従って、加速時と減速時で異なるオフセット値を用い、また、ゲインそのものを減速時と加速度で変えることにより、ゲイン補正係数を加速時と減速時でそれぞれ設定する場合と同様の効果が得られるのである。
つまり、加速度及び速度並びに走行距離の誤差を減少させることができ、加速度センサを用いた高精度な非接触のナビゲーション装置を提供することができる。また、上述のようにナビゲーション装置の取り付け位置に応じてゲイン調節が可能なため、当該ナビゲーション装置を車種に限定されることなく取り付けることができる。
なお、加速時と減速時の判断は、速度の増減あるいは加速度センサの出力極性に基づいて行うようにすれば良い。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態を図16及び図17に基づいて説明する。なお、本実施形態のナビゲーション装置の概略構成及び加速度センサ1の構成は図1及び図2に示した第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態との共通箇所には同一符号を付して説明を省略する。
上述した各実施形態においては、車両の正確な停止判定及び発進判定、または当該判定に基づく積分誤差や累積誤差の発生防止、更にはオフセット値またはゲインあるいはゲイン補正係数の更新を行うことにより、正確な車両の加速度の算出を可能とし、当該加速度に基づいて正確な速度と走行距離の算出を行うことができた。しかし、本実施形態は、これらの処理に加え、加速度センサ1の出力値に基づいて算出された速度を、信頼性の高いGPS速度データあるいは走行距離センサ3による速度データを用いて校正することにより、より一層正確な速度を算出しようとするものである。
本実施形態では、次のような計算を行うことにより、GPS受信機4または走行距離センサ3等により検出された車両の速度Vrefを使用して前回の車両の速度Vn-1を任意の間隔で適宜、校正(リセット)し、車両の初速度V0を算出する。
V0 = Vn-1+ SPn・(Vref−Vn-1) ・・・(12)
上記(12)式において、SPnは速度係数であり、次のように算出する。
SPn = Vref/30 (Vref≦30km/h)
= 1.0 (Vref>30km/h) ・・・(13)
ここで、速度係数SPnは、車両の速度に比例する変数であり、図16に示すように、Vrefが30.0[km/h]以下の場合では所定の割合で変化し、Vrefが30.0[km/h]に達すると1になり、更に車両停止すると0になるように設定する。
つまり、速度が30.0[km/h]を超える場合には、信頼性の高いGPS測位等による速度データを用いるが、30.0[km/h]以下の場合には、所定の割合でGPS測位等による速度データを加算し、加速度センサ1の出力値に基づく速度データの校正を行うものである。
以下、図17のフローチャートに基づいて本実施形態の速度リセット処理を説明する。なお、当該処理は、第1の実施形態で説明した加速度等の算出処理及び停止判定処理並びに発進判定処理、更には第2の実施形態で説明した停止中のオフセット値の更新処理、第3の実施形態で説明した走行中のオフセット値の更新処理、及び第4の実施形態で説明したゲイン更新処理並びにゲイン補正係数の更新処理とは別個に並行して実行されるものである。また、サンプリング期間は、各実施形態と同様にT期間となっており、当該更新処理はT期間毎に実行されることになる。
また、図17に示した例は、GPS測位により得られる速度データに基づいて当該リセット処理を行うものである。
まず、第1の実施形態で説明した上記(2)式により今回の車両の加速度Anを算出する(ステップS150)。次に、車両の発進が確定したか否かを判定し(ステップS151)、車両の発進が確定していない場合には(ステップS151;No)、速度リセット処理を終了する。しかし、発進が確定している場合には(ステップS151;Yes)、第1の実施形態で説明した上記(3)式により今回の車両の速度変化量ΔVnを算出する(ステップS152)。そして、GPSデータを更新し、GPSが測位状態にあるか否かを判定する(ステップS153)。
その結果、GPS測位状態ではない場合には(ステップS153;No)、速度のリセットが行えないため、第1の実施形態で説明した上記(4)式により今回の車両の速度Vnを算出し(ステップS155)、同様に第1の実施形態で説明した上記(5)式により今回の車両の走行距離変化量Δdnを算出し、更に第1の実施形態で説明した(6)式により、今回の車両の単位時間当たりの累積走行距離Dnを算出する(ステップS157)。
一方、GPS測位状態にある場合には(ステップS153;Yes)、GPS速度データが0[km/h]であるか否かを判定する(ステップS154)。そして、GPS速度データが0[km/h]である場合には(ステップS154;Yes)、上述と同様に速度のリセットは行わずに今回の車両の速度Vn、走行距離変化量Δdn、及び累積走行距離Dnを算出する(ステップS155〜S157)。
しかし、GPS速度データが0[km/h]ではない場合には、GPS速度データを上記Vrefとし、更に上記(12)式に基づいて、速度係数SPnを決定する。つまり、GPS速度データが30[km/h]を超える場合には、速度係数SPnを1.0に設定し、GPS速度データが30[km/h]以下の場合には、Vrefを30で除算することにより求める。そして、上記(13)式により、速度Vn-1のリセットを行う(ステップS158)。
その後、上述と同様に、リセットした速度Vn-1を用いて、上述した(4)式により今回の車両の速度Vnを算出し(ステップS159)、(5)式により今回の車両の走行距離変化量Δdnを算出し(ステップS160)、更に(6)式により、今回の車両の累積走行距離Dnを算出する(ステップS161)。
以上のように、本実施形態によれば、加速度センサ1の出力により算出された車両の速度Vnを信頼性の高い速度データで校正するので、当該速度Vn及び走行距離Dnの積分誤差及び累積誤差を減少させることができ、より一層正確な速度及び走行距離を求めることができる。
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態を図18及び図19に基づいて説明する。なお、本実施形態のナビゲーション装置の概略構成及び加速度センサ1の構成は図1及び図2に示した第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態との共通箇所には同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態は、第1の実施形態で説明した停止判定及び発進判定処理と、第2の実施形態で説明した車両の停止時におけるオフセット値の更新処理と、第3の実施形態で説明した車両の走行中におけるオフセット値の更新処理と、第4の実施形態で説明した加減速独立ゲイン補正処理と、第5の実施形態で説明した速度リセット処理とを全て組み合わせ、より正確な車両の速度と走行距離を算出しようとするものである。
図18は、本実施形態における各センサ等が接続されたシステムコントローラ5を機能面から説明するためのブロック図である。
図18に示すように、加速度センサ1の出力値は、A/D変換部30を介して第1停止判定処理部31に入力される。この第1停止判定処理部31は、図3のステップS3に示した揺り戻し検知による車両停止判定処理を行う。次に、この第1停止判定処理部31を通過した加速度センサ1の出力値は第2停止判定処理部32に入力される。この第2停止判定処理部32は、図3のステップS4に示した加速度センサ1の出力値に基づいて標準偏差σを算出し、標準偏差σが所定値以下である場合に停止判定処理を行う。
一方、角速度センサ2の出力値は、A/D変換部33を介して第3停止判定処理部34に入力される。この第3停止判定処理部34は、図3のステップS5に示した角速度センサ2の出力値に基づいて標準偏差uを算出し、標準偏差uが所定値以下である場合に停止判定処理を行う。
更に、GPS受信機4の出力は、第4停止判定処理部35に入力される。この第4停止判定処理部35は、図3のステップS6及びS7のGPS速度データに基づく停止判定処理を行う。
以上のような各停止判定処理部による判定結果、及び各停止判定処理部を通過した加速度センサ1の出力値は、加速度センサ停止オフセット補正部36に入力される。この加速度センサ停止オフセット補正部36は、第2の実施形態で説明した図7に示す車両の停止時オフセット値の更新を行う。
また、上記各停止判定処理部による判定結果、及び各停止判定処理部を通過した加速度センサ1の出力値は、角速度センサ停止オフセット補正部37に入力される。この角速度センサ停止オフセット補正部36は、角速度センサ2のオフセット値の更新を行う。この処理は、上述の各実施形態においては説明されていないが、加速度センサのオフセット値の更新と同様の処理である。つまり、角速度センサ2の出力値についても、加速度センサ1の場合と同様にオフセットが生じるため当該オフセット値を補正する必要があるため、停止確定時にて、角速度センサ2の出力の所定サンプリング数における平均値を求め、この平均値を角速度センサ出力のオフセット値として更新するのである。
次に、上記加速度センサ停止オフセット補正部36を通過した加速度センサ1の出力は第1発進判定処理部38に入力される。この第1発進判定処理部38は、図6のステップS32に示した加速度センサ1の出力値についての標準偏差の判定処理を行う。
一方、上記角速度センサ停止オフセット補正部37を通過した角速度センサ2の出力は、第2発進判定処理部39に入力される。この第2発進判定処理部39は、図6のステップS33に示した角速度センサ出力についての標準偏差の判定処理を行う。
更に、第4停止判定処理部35を通過したGPS受信機4の出力は、第3発進判定処理部40に入力される。この第3発進判定処理部40は、図6のステップS34及びS35のGPS速度データに基づく発進判定処理を行う。
次に、上記各発進判定処理部の判定結果及び第1発進判定処理部38を通過した加速度センサ1の出力値は、加速度演算部41に入力される。加速度演算部41は、加速度センサ1の出力値に基づいて加速度及び速度を算出し、当該加速度を第1等速度判定部44に出力する。第1等速度判定部44は、図9に示したステップS53の速度判定処理及びステップS56,S61の加速度に基づく等速度判定処理を行う。
一方、上記各発進判定処理部の判定結果、及び第2発進判定処理部39を通過した角速度センサ2の出力値は、角速度演算部42に入力される。角速度演算部42は角速度センサ2の出力値に基づいて角加速度を演算し、第2等速度判定部45に出力する。第2等速度判定部45は、図9に示すステップS57の角加速度に基づく等速度判定処理を行う。
また、上記各発進判定処理部の判定結果、及び第3発進判定処理部40を通過したGPS速度データは、GPS速度データ演算部43に入力される。GPS速度データ演算部43は、GPS速度データに基づいて加速度を算出し、当該加速度及びGPS速度データは、第3等速度判定部46に入力される。第3等速度判定部46は、図9に示したステップS54,S55のGPS速度データに基づく等速度判定処理、及びステップS58に示したGPS加速度に基づく等速度判定処理を行う。
次に、上記各等速度判定部の判定結果、及び第1等速度判定処理部44を通過した加速度センサ1の出力値は、加速度センサ走行オフセット補正部47に入力され、加速度センサ走行オフセット補正部47は、図9のステップS60に示した走行中のオフセット値の更新処理を行う。
また、上記各等速度判定部の判定結果、及び第2等速度判定処理部45を通過した角速度センサ2の出力は、角速度センサ走行オフセット補正部48に入力され、角速度センサ出力のオフセット値の更新が行われる。この更新処理については上述した各実施形態において説明されていないが、加速度センサ1の場合と同様に、等速度直進状態において角速度センサ2の出力値の平均を求め、所定の割合でオフセット値を更新する処理である。
次に、上記加速度センサ走行オフセット補正部47を通過した加速度センサ1の出力、及び加速度演算部41により算出された加速度センサ1の出力値に基づく速度、更には加速度変化量は、第1等加速度判定部49に入力される。第1等加速度判定部49は、図10に示すステップS74の加速度センサ速度に基づく等速度判定処理、ステップS75の加速度に基づく等加速度判定処理、ステップS81に示す加速度変化量に基づく等加速度判定処理を行う。
また、上記角速度センサ走行オフセット補正部48を通過した角速度センサ2の出力、及び角速度演算部42により算出された角速度センサ2の出力に基づく角加速度は、第2等加速度判定部50に入力される。第2等加速度判定部50は、図10のステップS76の角加速度に基づく等加速度判定処理、ステップS82の角加速度変化量に基づく等加速度判定処理を行う。
更に、上記第3等速度判定部46を通過したGPS速度データ、及びGPS速度演算部43で算出されたGPS加速度、並びにGPS加速度変化量は、第3等加速度判定部51に入力される。第3等加速度判定部51は、図10に示すステップS72,S73のGPS速度データに基づく等速度判定処理、ステップS77のGPS加速度に基づく等速度判定処理、更にはステップS83のGPS加速度変化量に基づく等加速度判定処理を行う。
次に、上記等加速度判定部49を通過した加速度センサ1の出力値は、加速度センサゲイン補正部52に入力される。加速度センサゲイン補正部52は、図10のステップS80のゲインの更新処理、及びステップS86の加減速独立ゲイン補正処理を行う。
そして、上述した加速度センサ停止オフセット補正部36と加速度センサ走行オフセット補正部47により更新されたオフセット値と、加速度センサゲイン補正部52により更新されたゲイン及びゲイン補正係数は、加速度演算部53に入力される。加速度演算部53は、上記オフセット値とゲインとゲイン補正係数に基づいて上記(1)式により加速度を算出し、更に上記(3)式により当該加速度を積分して速度を算出する。更にこの速度は、速度積分器54に入力され、速度積分器54は当該速度を積分して走行距離を算出する。
一方、第3等加速度判定部51を通過したGPS速度データ、及び加速度演算部41で算出された速度変化量は、加速度センサの速度校正部55に入力される。加速度センサ1の速度校正部55は、図17のステップS158の速度リセット処理の他、ステップS159の当該リセットした速度に基づく速度の算出、ステップS160の走行距離変化量の算出、ステップS161の累積走行距離の算出を行う。
本実施形態は、以上のような機能を有するシステムコントローラ5により、以下のような自車位置検出処理を行うものである。以下、図19に基づいて本実施形態における自車位置検出処理について説明する。なお、サンプリング周期はT周期であり、各処理はT周期毎に実行される。
まず、電源が投入されると本実施形態のナビゲーション装置が起動し、当該処理がスタートする(ステップS200)。そして、ナビゲーション装置と各機器との接続状況の確認と、初期数値設定等が行われ(ステップS201)、加速度センサ1の出力値に基づく加速度、速度の算出が行われる(ステップS202)。次に、GPSによる位置、方位の算出が行われ(ステップS203)、更に、角速度センサ2の出力値から方位を算出する(ステップS204)。そして、これらの算出値に基づいて走行距離が算出され(ステップS205)、自車位置をGPS受信機及び各種センサの出力値に基づいて求める。
その後、角速度センサ2の出力に基づく停止判定処理及び発進判定処理と(ステップS206)、あるいは、角速度センサ2の出力に基づく角速度センサの停止時または走行中のオフセット値の更新処理が行われる(ステップS207)。
更に、加速度センサ1の出力値に基づく停止判定処理及び発進判定処理(ステップS208)、あるいは加速度センサ1の出力に基づく停止時または走行中のオフセット値の更新処理が行われる(ステップS209)。なお、このステップS208の停止判定処理が図3に示した処理に相当するものであり、発進判定処理が図6に示した処理に相当するものである。更に、ステップS209のオフセット値の更新処理は、図7及び図9に示した処理に相当するものである。
次に、GPSデータによる加速度センサ1の速度リセット処理が行われ(ステップS210)、更にGPSデータによる加速度センサゲイン補正が行われる(ステップS211)。このステップS210の速度リセット処理は、図17に示した処理に相当するものであり、ステップS211のゲイン補正処理は、図10に示した処理に相当するものである。
以下、ステップS202からの処理が繰り返して行われる。また、上述した各実施形態で説明した各カウンタもこのループの中でインクリメントされるようになっている。
以上のような、本実施形態によれば、正確に車両の停止と発進を判定することができ、停止が確定したと判定した場合には、前回の車両の速度と現在の車両の速度及び現在までの累積走行距離をゼロに設定するので、停止中における累積誤差を減少させることができ、確実に速度と走行距離をゼロにして自車位置表示を停止させた状態にすることができる。また、発進後において算出される速度及び走行距離は、初速度となる前回の車両の速度及び現在までの累積走行距離が共にゼロであるため、その後の誤差を減少させることができる。
また、停止中の温度変化、または起動時、あるいは停止直後の安定時間のばらつき等により加速度センサ1の出力が変動する場合でも、その変動に追従した適切なオフセット値を設定することができ、発進後において、適正なオフセット値により、誤差の少ない加速度を算出し、当該加速度から算出される速度及び走行距離の誤差を減少させることができる。
また、長時間無停止走行時等に温度変化等により加速度センサ1の出力が変動する場合でも、その変動に追従した適切なオフセット値を設定することができ、走行中において、適正なオフセット値により、誤差の少ない加速度を算出し、当該加速度から算出される速度及び走行距離の誤差を減少させることができる。
更に、ナビゲーション装置の取り付け位置に追従した適切なゲイン調整を行うことができ、また、起動時や温度変化によりゲインが変動しても適切に調整することができる。そして、加速時及び減速時の車両の傾斜角の変動の相違によるゲイン変動が生じても、当該変動に追従した適切なゲイン補正係数を設定することができ、加速度及び速度並びに走行距離の誤差を減少させ、加速度センサを用いた高精度な非接触のナビゲーション装置を提供することができる。また、上述のようにナビゲーション装置の取り付け位置に応じてゲイン調節が可能なため、当該ナビゲーション装置を車種に限定されることなく取り付けることができる。
また、以上のように低誤差で算出される速度を、信頼性の高い速度データにより補正することにより、速度及び走行距離の積分誤差及び累積誤差を減少させることができ、より一層正確な速度及び走行距離を求めることができる。
以上のように、本実施形態によれば、自立型測位を行うセンサとして、外部機器等との電気的接続が不要な加速度センサを用いたハイブリッド型の車載用ナビゲーション装置であって、いかなる状況においても、精度の高い走行位置表示を行うことができる装置を提供することができる。
すなわち、加速度センサ1により検出された実加速度及び角速度センサ2或いはGPS受信機4からの出力データに基づいて車両の変位状態を検出し、車両がその移動中における所定状態にある際の加速度センサ1又は角速度センサ2或いはGPS受信機4の少なくともいずれか一方の出力データに基づいて車両の実加速度を算出する演算のパラメータの値の更新を行うようにしたので、上記パラメータが環境変化等により変動する場合でも、当該パラメータに基づいて算出される実加速度、及び車両の位置変化または方向変化に関する変化量データ、並びに車両の移動距離の誤差を減少させることができる。
また、加速度データに乗ずるゲイン、またはゲイン補正係数、もしくは加速度データから差し引くオフセット値の少なくともいずれか一つを上述のように更新するので、温度変化または車両の傾斜角の変動の相違等により上記ゲインが変動する場合、あるいは温度変化等により上記オフセット値が変動する場合であっても、これらのゲイン、ゲイン補正係数、またはオフセット値を上述のように適正に更新することができ、上記実加速度、変化量データ、及び移動距離の誤差を減少させることができる。
更に、上記車両が安定状態の上記加速度センサ1または上記角速度センサ2或いはGPS受信機4の少なくともいずれか一方の上記出力データに基づいて上記更新が行われるため、適切な値のパラメータにより上記演算が行われ、誤差の少ない実加速度を得ることができる。その結果、当該誤差の少ない実加速度により算出される上記変化量データ、及び当該変化量データに基づいて算出される移動距離の誤差を減少させることができる。
更にまた、上記実加速度を算出する演算として上記加速度データからオフセット値を差し引く演算を行い、上記実加速度及び上記角速度センサ2或いはGPS受信機4からの出力データに基づいて上記車両の停止状態を検出し、上記車両が停止状態にある際に、加速度センサ1のオフセット値を更新するようにしたので、オフセット値が温度変化等により変動する場合であっても、安定した値の上記出力データによって上記オフセット値を更新することができ、上記実加速度、変化量データ、及び移動距離の誤差を減少させることができる。
また、上記実加速度を算出する演算として上記加速度データからオフセット値を差し引く演算を行い、上記実加速度並びに上記角速度センサ2或いはGPS受信機4からの出力データに基づいて上記車両の等速度移動状態を検出し、上記車両が等速度移動状態にある際に、上記加速度センサのオフセット値を更新するようにしたので、長時間停止しない状態でオフセット値が温度変化等により変動する場合であっても、安定した値の上記出力データによって上記オフセット値を更新することができ、上記実加速度、変化量データ、及び移動距離の誤差を減少させることができる。
更に、上記加速度データの平均値を算出し、当該平均値により上記加速度センサのオフセット値を更新するようにしたので、オフセット値を安定したデータにより更新することができ、上記実加速度、変化量データ、及び移動距離の誤差を減少させることができる。
更にまた、上記実加速度を算出する演算としてゲインを乗ずる演算を行い、上記実加速度及び上記角速度センサ2或いはGPS受信機4からの出力データに基づいて上記車両の等速度移動状態を検出し、上記車両が等速度移動状態にある際に、上記システムコントローラ5により上記実加速度に基づいて算出した速度データと上記角速度センサ2或いはGPS受信機4からの出力データに基づいて算出した速度データとの比に応じて、上記ゲインの値を更新するようにしたので、上記ゲインが変動する場合でも上記ゲインを適正な値に更新することができ、上記実加速度、変化量データ、及び移動距離の誤差を減少させることができる。
また、上記システムコントローラ5により算出した加速度データに基づく速度データの平均値と上記角速度センサ2或いはGPS受信機4からの出力データに基づく速度データの平均値との比に応じて、上記ゲインの値を更新するようにしたので、上記ゲインが変動する場合でも上記ゲインを適正な値に更新することができ、上記実加速度、変化量データ、及び移動距離の誤差を減少させることができる。
更に、上記実加速度を算出する演算としてゲインとゲイン補正係数とを乗ずる演算を行い、上記システムコントローラ5により上記実加速度及び上記角速度センサ2或いはGPS受信機4からの出力データに基づいて算出した加速度変化量から、等加速度移動状態を検出し、上記車両が等加速度移動状態にある際に、減速時と加速時とで独立に上記ゲイン補正係数の値を更新するようにしたので、減速時と加速時で上記車両の傾斜角の変動が相違する場合でも、適正な値に更新されたゲイン補正係数により適正な値の実加速度を算出することができ、変化量データ、及び移動距離の誤差を減少させることができる。
更にまた、少なくとも、GPS衛星からの電波に基づいて車両位置を算出するGPS受信機4、車両の方向変化に伴い角速度データを出力する角速度センサ2、あるいは車両の移動速度を検出する走行距離センサ3のいずれか一つにより、上記車両の位置変化または方向変化に対応して所定のデータを得るので、加速度センサ1により出力される加速度データに比して精度の高いデータに基づいて上述のような更新を行うことができ、実加速度、変化量データ、及び移動距離の誤差を減少させることができる。
また、実加速度及び角速度センサ2或いはGPS受信機4からの出力データに基づいて車両の変位状態を検出し、減速時と加速時で上記車両の傾斜角の変動に応じて、それぞれ異なるパラメータにより実加速度を算出するので、誤差の少ない実加速度を得ることができる。その結果、誤差の少ない実加速度に基づいて算出される変化量データ、及び当該変化量データに基づいて算出される移動距離の誤差を減少させることができる。
更に、減速時と加速時で上記車両の傾斜角の変動が相違する場合でも、その変動に応じたゲインまたはオフセット値を用いて上記演算を行うので、誤差の少ない実加速度を得ることができ、その結果、誤差の少ない実加速度に基づいて算出される変化量データ、及び当該変化量データに基づいて算出される移動距離の誤差を減少させることができる。