JP3857186B2 - 接続立坑の構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地下深層部に存在する既設のシールドトンネルなどの地下構造物に対して地表面側から連通させている接続立坑の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、地下構造物、例えば下水道管として使用されている大径のトンネルに対して、地表面側から排水管としての立坑を連結、連通させた接続立坑が広く知られているが、地下構造物の上方に建物等の障害物が存在する場合には、この障害物を避けて地表面から地下構造物に立坑を接続させなければならない。
【0003】
そのため、このような立坑の接続構造としては、図7に示すように、障害物Bの位置を避けた地表面から障害物Bの下方の地下構造物Tに向かって斜めに真っ直ぐな傾斜立坑A'を設け、この傾斜立坑A'の下端部と地下構造物Tの一側部とを連絡坑aによって連通させた構造や、図8に示すように、上記直状の傾斜立坑A'に代えて、地表面から地下構造物Tに向かって円弧状に湾曲した曲線立坑A'1 を設け、この曲線立坑A'1 の下端部と地下構造物Tの一側部とを連絡坑aによって連通させた構造、或いは、図9に示すように、地表面から鉛直立坑A'2 を設け、この鉛直立坑A'2 の下端部と地下構造物Tの一側部とを連絡坑aによって連通させた構造が採用されている。
【0004】
一方、上記のような既設の地下構造物Tに対して、地表面側から立坑を掘削する方法としては、PCウェル工法やセグメント圧入工法、リバース工法などがあり、これらの工法のうちPCウェル工法は、立坑掘削周辺部に地上から地中へとグランドアンカーを打設し、このグランドアンカーを反力としてヒューム管を順次、接続しながら地中に圧入する工法であって、掘削は水中掘削として底部掘削面の安定を図っており、図10に示すように、所定深さまでヒューム管Pの圧入が行われると、ヒューム管相互をPC鋼線で緊張してつなぎ合わせている。
【0005】
このヒューム管Pを順次、圧入していくPCウェル工法以外の工法では、推進用掘削機やシールド掘削機等の立坑掘削機Mを用いて施工され、図11に示すように地上に反力構台Dを組み立てて、この構台Dに推進ジャッキEによる立坑掘削機Mの推進時の反力を受止させながら立坑掘削機Mを地下構造物Tに向かって掘進させ、一定長の掘削毎にヒューム管Pを継ぎ足しながら掘進することにより、鉛直立坑を築造している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いずれの場合もグランドアンカーや反力構台Dに立坑の掘削反力を均等に支持させながら垂直下方に掘り下げていく工法であるため、上記図7や図8で示した従来の接続立坑のように、地表面から地下構造物に向かって斜め下方に傾斜した傾斜立坑A'や、円弧状に湾曲した曲線立坑A'1 を築造するには、グランドアンカー等の配置や反力構台Dの構造が複雑となって施工が著しく手間取ると共に工費も高くなるという問題点がある。
【0007】
また、図8に示したように、接続立坑が地表面から地下構造物に向かって円弧状に湾曲した曲線立坑A'1 からなる場合には反力構台Dの設置は容易であるが、地表面から発進直後に曲線施工となるので、この点において反力構台Dの構造を変更する必要があり、また、曲線施工では地下構造物に対する位置合わせが難しいという問題点がある。その上、曲線立坑A'1 と地下構造物Tとを連絡坑aによって接続することなく、該曲線立坑A'1 を直接、地下構造物T接続しようとすると、地下構造物が矩形断面の場合には、この地下構造物の平坦な壁面に対して曲線立坑の掘削機が斜め方向から当接することになり、地下構造物内に曲線立坑を直接、連通させる作業が困難となる。
【0008】
一方、従来例のおいて図9に示すように、地表面から鉛直方向に築造した接続立坑の構造とすれば、上記のような問題点が一応解消し得るが、上記の接続立坑のように地表面から地下構造物に向かって接近する方向に傾斜、或いは湾曲させている立坑接続構造と異なって、地下構造物の上方に存在する障害物Bの一側方に沿って鉛直下方に設けられるものであるから、地下構造物Tに対して障害物Bの横幅が大きい程、この立坑A'2 と地下構造物Tとを接続する連絡坑aの長さが長くなり、工事期間が長期に亘るという問題点がある。
【0009】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上方に障害物が存在する地中の既設の地下構造物に対して、地表面から立坑を接続させる場合、その施工が正確且つ能率よく行えると共に、地下構造物に対する位置合わせも容易で且つ地下構造物に直接、接続させる場合においても簡単且つ正確に行える接続立坑の構造を提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る接続立坑の構造は、障害物の下方の地盤中に存在する既設の地下構造物に地表面から接続している立坑であって、地表面から上記障害物を避けて該障害物の一側方に沿って垂直に築造している上側鉛直立坑部と、この上側鉛直立坑部から上記地下構造物に接近する方向にS字状に屈曲している中間曲線立坑部と、この中間曲線立坑部の下端から上記地下構造物に連通している下側鉛直立坑部とから構成している。
【0011】
このように構成した接続立坑の構造において、請求項2に係る発明は、下側鉛直立坑部の下端部を連絡坑を介して地下構造物に連通させていることを特徴とし、請求項3に係る発明は、下側鉛直立坑部を地下構造物の真上に築造してその下端開口部を地下構造物に直接連結、連通させていることを特徴としている。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、障害物の下方の地盤中に存在する断面円形の地下構造物に地表面から接続している立坑であって、地表面から上記障害物を避けて該障害物の一側方に沿って築造している上側鉛直立坑部と、この上側鉛直立坑部から上記地下構造物に接近する方向に湾曲した中間曲線立坑部と、この中間曲線立坑部の下端から上記地下構造物の上周側一側部に対して該地下構造物の径方向に直接、連通している下部直状傾斜立坑部とから構成していることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項5に係る発明は、障害物の下方の地盤中に存在する断面円形の地下構造物に地表面から接続している立坑であって、地表面から上記障害物を避けて該障害物の一側方に沿って築造している上側鉛直立坑部と、この上側鉛直立坑部から上記地下構造物に接近する方向に湾曲してその下端を上記地下構造物の上周側一側部に対して該地下構造物の径方向に直接、連通している下部曲線立坑部とから構成していることを特徴とする。
【0014】
【作用】
地下構造物の上方の地中或いは地上に存在している障害物を避けて地表面側から地中に築造している立坑は鉛直立坑部であるから、従来の掘削工法を採用して簡単且つ能率よく築造することができると共に障害物が地中に存在している場合にはその障害物の一側方に沿って該障害物を通過するまで、正確に鉛直状に築造でき、さらに、障害物の一側方に沿って通過した該鉛直立坑部の下端からは、地下構造物に向かってS字状の中間曲線立坑部によって築造しているので、この中間曲線立坑部は障害物の下方の地中に設けられて地下構造物に接近した立坑構造となり、この中間曲線立坑部の下端からは下側鉛直立坑部を築造しているから、地下構造物に対する位置合わせが簡単且つ正確に行える。
【0015】
また、上記下側鉛直立坑部と地下構造物とを連絡坑によって接続した構造においては、下側鉛直立坑部が上記中間曲線立坑部によって地下構造物にできるだけ接近させているので、連絡坑の長さが短くて済むばかりでなく、地下構造物の断面形状が円形であっても矩形状であっても、水平状の連絡坑によって下側鉛直立坑部の下端部と地下構造物との対向壁面を接続する場合には、水平連絡坑の両端を下側鉛直立坑部の周壁面と地下構造物の対向側壁面とに直交させることができるので、連絡坑の施工が容易に能率よく行えるものである。
【0016】
一方、上記S字状に屈曲した中間曲線立坑部の下半部における垂直な下端を地下構造物の上壁部に直接、接続した構造とすることもでき、この場合も、地下構造物の断面形状が円形、或いは矩形状であるにかかわらず、直交させた状態で接続することができてその施工が容易となる。
【0017】
上記地下構造物が断面円形である場合においては、上記のような下側鉛直立坑部を築造することなく、上側鉛直立坑部の下端に地下構造物に向かって中間曲線立坑部を設け、この中間曲線立坑部から中心を上記地下構造物の径方向に合致させた下部直状傾斜立坑部を延設してこの下部直状傾斜立坑部の下端を直接、地下構造物の連通させた接続立坑の構造としてもよい。この接続立坑においても、上述したように、地下構造物の上方に存在している障害物を避けて地表面側から地中に築造している立坑は鉛直立坑部であるから、従来の掘削工法を採用して簡単且つ能率よく築造することができると共に中間曲線立坑部によって障害物の下方の地盤を通じて地下構造物に接近した立坑構造となり、その上、下部直状傾斜立坑部を地下構造物に直交させた状態で接続することができてその施工が容易となる。
【0018】
また、この接続立坑の構造において、下部直状傾斜立坑部を採用することなく、上側鉛直立坑部の下端に連設した下部曲線立坑部を、その中心が地下構造物の直径線上に合致するように地下構造物の接続した構造としてもよく、この場合も、上記同様な作用効果を奏することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1は大深度の地中に施工されている既設の地下構造物Tの上方に障害物Bが存在している場合において、この障害物Bの一側方の地表面Gから上記地下構造物Tに連通させている接続立坑Aの構造の実施の形態1を示すもので、この接続立坑Aは、地中に存在している上記障害物Bの一側方における地盤中に、該障害物Bに沿って地表面Gから障害物Bの底面の一側方に達する深さまで築造されている上側鉛直立坑部1と、この上側鉛直立坑部1の下端から上記障害物Bと地下構造物T間の地中Cに向かってS字状に屈曲した上下開口端部が鉛直端部2a、2bに形成している中間曲線立坑部2と、この中間曲線立坑部2の下端から上記地下構造物Tに連通した下側鉛直立坑部3とから構成している。なお、接続立坑Aを構成しているこれらの上下鉛直立坑部1、3と中間曲線立坑部2とは同一径に形成されている。
【0020】
上記中間曲線立坑部2は、その上端鉛直端部2aを上側鉛直立坑部1の下端に連結、連通させていると共にその上半部2Aを上記障害物Bの下方の地中Cに向かって円弧状に湾曲させてあり、さらに、下半部2Bを下方に向かって上記上半部2Aとは逆向きの円弧状に湾曲させ、その下端鉛直端部2bを上記下側鉛直立坑部3の上端に連通させている。
【0021】
この下側鉛直立坑部3は、上記中間曲線立坑部2によって上側鉛直立坑部1よりも上記地下構造物T側に接近した位置に築造されてあり、図1においては、地下構造物Tの一側方に沿って該地下構造物Tの底部側方の深さに達する部分まで築造されている。
【0022】
さらに、この下側鉛直立坑部3の下端部と地下構造物Tとの対向側壁面間を水平連絡坑4によって連結、連通させている。この水平連絡坑4は、地下構造物Tが断面矩形状である場合には、その垂直な側壁面の任意の壁面部を貫通させて該側壁面に上記水平連絡坑4を直角に接続させることができが、地下構造物Tが断面円形である場合には、この地下構造物Tの中心を通る水平方向の直線上、即ち、直径方向にその中心(坑軸)を合致させた状態で築造されている。従って、地下構造物Tが断面矩形状であっても断面円形であってもその築造作業が容易に且つ正確に行うことができる。
【0023】
なお、上記障害物Bとしては、建物の地下階層であっても地上の建物等の建築物であってもよく、要するに地下構造物Tがこの障害物Bの下方の地中に存在している場合において、この地下構造物Tに地表側から接続立坑Aを連通するように築造されるものである。例えば、地下構造物Tは既設の大径下水道管であり、この下水道管に地上や地下の建物(障害物B)を避けた道路際等から上記接続立坑Aを築造して集中豪雨等が発生した場合における地上側の雨水を滞留させることなくこの接続立坑Aを排水管として下水道管に円滑に排水する構造物として使用することができる。
【0024】
図2は本発明の実施の形態2を示すもので、上記実施の形態1においては、下部鉛直立坑部3の下端部を地下構造物Tに水平連絡坑4を介して連通させているが、この実施の形態2の接続立坑A1においては、下部鉛直立坑部3を地下構造物Tの真上の地中に埋設された状態となるように築造して、該下側鉛直立坑部3の下端開口部を連絡坑によることなく地下構造物Tの上周壁面を貫通させて該地下構造物T内に直接、連通させた構造しているものである。その他の構成、即ち、上側鉛直立坑部1やこの上側鉛直立坑部1と下側鉛直立坑部3間に連結、連通している上下端部が鉛直で且つS字状に屈曲した中間曲線立坑部2の構造等については上記実施の形態1と同様であるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0025】
この実施の形態2の接続立坑A1においても、地下構造物Tが矩形状である場合にはその下側鉛直立坑部3を該地下構造物Tの水平な上壁面の任意の壁面部を貫通させた状態にして該上壁面に接続させることができるが、地下構造物Tが断面円形である場合には、この地下構造物Tの中心を通る垂直方向の直線上にその中心(坑軸)を合致させた状態で築造されている。従って、地下構造物Tが断面矩形状であっても断面円形であってもその築造作業が容易に且つ正確に行うことができる。
【0026】
図3、図4はそれぞれ本発明の実施の形態3、4を示すもので、上記地下構造物Tが断面円形であってこの地下構造物Tに連絡坑を介することなく接続立坑A2、A3を直接、連通させた構造としているものである。
【0027】
即ち、図3に示す実施の形態3の接続立坑A2においては、障害物Bの下方の地盤中に存在する断面円形の地下構造物Tに地表面Gから障害物Bを避けながら接続立坑A2を築造している構造であって、障害物Bの一側方に沿って築造した上側鉛直立坑部1と、この上側鉛直立坑部1の下端に連通して該下端から上記地下構造物Tに接近する方向に下向き円弧状に湾曲した中間曲線立坑部2'と、この中間曲線立坑部2'の下端を上記地下構造物Tの上周側の一側部を通じてこの地下構造物T内に連通させている下部直状傾斜立坑部5とから構成している。
【0028】
この接続立坑A2における下部直状傾斜立坑部5は、その中心(坑軸)を地下構造物Tにおける中心を通る線上に合致させてあり、従って、断面円形の地下構造物Tに該下部直状傾斜立坑部5の下傾端を接続させる作業が容易に且つ正確に行うことができる。
【0029】
図4に示す実施の形態4の接続立坑A3においては、上記実施の形態3の接続立坑A1において、下部直状傾斜立坑部5を設けることなく、障害物Bの一側方に沿って築造している上側鉛直立坑部1の下端に地下構造物Tに向かって円弧状に湾曲している下部曲線立坑部6とからなり、この下部曲線立坑部6の下端開口部を、その開口部中心を地下構造物Tにおける中心を通る線上に合致させた状態で地下構造物Tの上周側一側部に直接、連通させた構造としているものである。
【0030】
上記実施の形態1〜4に示した接続立坑A〜A3の築造方法としては、例えば、上述した図11で示すように、地表面Gに反力構台Dを組み立てて固定し、この反力構台Dの上端下面に複数本の推進ジャッキEを装着し、これらの推進ジャッキEのロッド先端に取付けている反力リング7を介して立坑掘削機Mを垂直下方に推進させ、一定長の立坑の掘削毎に該立坑掘削機Mに一定径と一定長を有するヒューム管Pを順次継ぎ足しながら、立坑を築造していくものである。
【0031】
例えば、実施の形態1で示した接続立坑Aを築造するには、上記反力構台Dを使用して推進ジャッキEの伸長により立坑掘削機Mを障害物Bを避けた地表面の適所から地中に垂直下方に掘進させ、立坑掘削機Mがヒューム管Pの長さに略等しい掘進長に達すると、推進ジャッキEを収縮させて反力リング7と立坑掘削機Mとの間にヒューム管Pを介在させたのち、再び、推進ジャッキEを伸長させてヒューム管Pを介して立坑掘削機Mを掘進させる。そして、立坑掘削機Mが一定長、掘進する毎にヒューム管Pを継ぎ足す作業を繰り返し行って障害物Bの一側方に沿って上記上側鉛直立坑部1を築造する。
【0032】
次いで、立坑掘削機Mの掘進方向を制御しながら上記推進ジャッキEの推進力によって該立坑掘削機Mを掘進させ且つ一定長の掘進毎に反力構台D側でヒューム管Pを継ぎ足しながら実施の形態1〜3においては障害物Bの下方の地中から地下構造物Tに向かう中間曲線立坑部2、2'を、実施の形態4においては断面円形の地下構造物Tに直接、連通した下部曲線立坑部6を築造する。さらに、実施の形態1、2においては、上記中間曲線立坑部2の築造後、立坑掘削機Mの掘進方向を垂直下方に向けて該立坑掘削機Mを掘進させ且つ一定長の掘進毎にヒューム管Pを継ぎ足しながら下側鉛直立坑部3を築造し、実施の形態3においては、上記中間曲線立坑部2'の築造後、立坑掘削機Mの機軸を断面円形の地下構造物Tの中心に向けた状態を保持しながら地下構造物Tに連通する下側鉛直立坑部2'を築造するものである。
【0033】
なお、上記実施の形態2〜4に示すように、下側鉛直立坑部3や下側直状傾斜立坑部5、或いは下部曲線立坑部6は、円形の地下構造物Tに対してその坑軸を地下構造物Tの中心線を通る直線上に合致させた状態で連通させるものであるから、まず、立坑掘削機Mのカッタヘッドの中心部を地下構造物Tの外周壁面に切り込みませたのち、該カッタヘッドをその外周端に向かって徐々に均一に当接ささせながら周壁部を円形状に破砕、切除することができ、地下構造物Tに対する立坑の接続作業が確実に且つ能率良く行える。なお、接続立坑を築造したのち、立坑掘削機Mは解体、撤去される。
【0034】
一方、実施の形態1に示すように、下側鉛直立坑部3の下端部から地下構造物Tに向かって連絡坑4を築造するには、上記立坑掘削機Mの撤去後、下側鉛直立坑部3内に地下構造物Tに向けて新たな掘削機を設置し、この掘削機によって地下構造物Tに連通する水平連絡坑4を築造すればよい。なお、立坑掘削機がその掘削方向を直角に変更し得る構造となっている場合には、そのまま使用すればよい。
【0035】
図5、図6は上記立坑掘削機Mの構造を示すもので、円筒形状の胴体10の先端部(下端部)に隔壁11を設けてこの隔壁11に開口端に配設しているカッタヘッド12の中心を回転自在に軸支させていると共に、上記隔壁11の背面側に駆動モータ13を装着してこの駆動モータ13によって噛合歯車機構等を介して上記カッタヘッド12を回転、駆動するように構成している。さらに、上記隔壁11とカッタカッド12との間の空間部を土砂取込室14に形成してあり、この土砂取込室14に排土管15を連通させて該排土管15により掘削土砂を地上側に排出させるようにしている。この場合、土砂取込室14に泥水供給管(図示せず)を連通させて土砂取込室14内を一定の圧力に保持しながら泥水と共に上記排土管15を通じて掘削土砂を排出するように構成している。
【0036】
また、この立坑掘削機Mの上記胴体10の後端(上端)に短管16を介してヒューム管Pを後続させるようにしてあり、この短管16と胴体10間を周方向に一定間隔毎に配設した複数本の方向修正ジャッキ17によって連結し、この修正ジャッキ17によって立坑掘削機Mの方向を所定方向に向けながら上述した接続立坑を築造するものである。なお、18はその先端をこの立坑掘削機Mの適所に結着している懸垂ワイヤで、地上に設置した巻取ドラム等に巻回して立坑掘削機Mを吊支しながら掘進させるものである。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に係る接続立坑の構造は、障害物の下方の地盤中に存在する既設の地下構造物に地表面から接続している立坑であって、地表面から上記障害物を避けて該障害物の一側方に沿って垂直に築造している上側鉛直立坑部と、この上側鉛直立坑部の下端に連通して該下端から上記地下構造物に接近する方向にS字状に湾曲している中間曲線立坑部と、この中間曲線立坑部の下端から上記地下構造物に連通している下側鉛直立坑部とから構成しているので、地表面側から障害物を避けて該障害物の下方部分まで築造している立坑は鉛直立坑部であるから、従来の掘削工法を採用して簡単且つ能率よく築造することができると共に、障害物から一側方に所定間隔を存した地盤中に正確に鉛直状に築造できる。
【0038】
さらに、この鉛直立坑部の下端から地下構造物に向かってS字状の中間曲線立坑部を築造しているから、この中間曲線立坑部の下端部を障害物の下方の地中に設けられている地下構造物に接近させた構造とすることができ、その上、該中間曲線立坑部の下端からは再び鉛直な立坑部を築造しているから、地下構造物に対する該下側鉛直立坑部の位置合わせが簡単且つ正確に行うことができ、この立坑の地下構造物に対する接続作業が能率よく行えるものである。
【0039】
上記接続立坑の構造において、請求項2に係る発明は、下側鉛直立坑部の下端部を連絡坑を介して地下構造物に連通させた構造であり、該下側鉛直立坑部を上記中間曲線立坑部によって地下構造物にできるだけ接近させているので、この下側鉛直立坑部から地下構造物に至るまでの連絡坑の長さが短くて済むばかりでなく、地下構造物の断面形状が円形であっても矩形状であっても、水平状の連絡坑の両端開口部を下側鉛直立坑部の下端部と地下構造物との対向壁面とに直交状態にして接続させることができるので、連絡坑の施工が容易に且つ能率よく行え、接続立坑の施工期間の短縮を図ることができるものである。
【0040】
一方、請求項3に係る発明によれば、下側鉛直立坑部を地下構造物の真上に築造してその下端開口部を地下構造物に直接連通させているので、この場合も、地下構造物の断面形状が円形、或いは矩形状であるにかかわらず、該下側鉛直立坑部の下端を地下構造物の上壁面に対して直交させた状態で接続することができてその施工が容易となる。
【0041】
また、請求項4に係る発明は、断面円形の地下構造物に連通している接続立坑であって、地表面から障害物を避けて該障害物の一側方に沿って築造している上側鉛直立坑部と、この上側鉛直立坑部の下端に連通して該下端から上記地下構造物に接近する方向に湾曲した中間曲線立坑部と、この中間曲線立坑部の下端から上記地下構造物の上周側一側部に対して該地下構造物の径方向に直接、連通している下部直状傾斜立坑部とから構成しているので、この接続立坑においても、上記請求項1〜3に記載した発明と同様に、地下構造物の上方に存在している障害物を避けて地表面側から地中に築造している立坑は鉛直立坑部であるから、従来の掘削工法を採用して簡単且つ能率よく築造することができると共に、中間曲線立坑部によって下部直状傾斜立坑部を地下構造物に向かって接近させながら、該下部直状傾斜立坑部を地下構造物に直交させた状態で接続させているので、その施工が容易となり、工期の短縮を図ることができる。
【0042】
さらに、請求項5に係る発明によれば、上記請求項4に記載の接続立坑の構造において、下部直状傾斜立坑部を採用することなく、上側鉛直立坑部の下端に連設した曲線立坑部を、その中心が地下構造物の直径線上に合致するように地下構造物の接続した構造としているので、この場合も、上記同様な作用効果を奏することができると共に接続立坑の構造も簡素化することができて経済的に施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接続立坑の実施の形態1を示す簡略縦断正面図、
【図2】本発明の接続立坑の実施の形態2を示す簡略縦断正面図、
【図3】本発明の接続立坑の実施の形態3を示す簡略縦断正面図、
【図4】本発明の接続立坑の実施の形態4を示す簡略縦断正面図、
【図5】立坑掘削機の簡略縦断正面図、
【図6】そのカッタヘッドの平面図、
【図7】従来の接続立坑の1例を示す簡略縦断正面図、
【図8】従来の接続立坑の別な例を示す簡略縦断正面図、
【図9】従来の接続立坑のさらに別な例を示す簡略縦断正面図、
【図10】PCウェル工法によって築造した接続立坑の簡略縦断正面図、
【図11】立坑を築造している状態の簡略縦断正面図。
【符号の説明】
1 上側鉛直立坑部
2 中間曲線立坑部
3 下側鉛直立坑部
4 水平連絡坑
5 下部直状傾斜立坑部
7 下部曲線立坑部
A 接続立坑
T 地下構造物
B 障害物
M 立坑掘削機

Claims (5)

  1. 障害物の下方の地盤中に存在する既設の地下構造物に地表面から接続している立坑であって、地表面から上記障害物を避けて該障害物の一側方に沿って垂直に築造している上側鉛直立坑部と、この上側鉛直立坑部の下端に連通して該下端から上記地下構造物に接近する方向にS字状に湾曲している中間曲線立坑部と、この中間曲線立坑部の下端から上記地下構造物に連通している下側鉛直立坑部とから構成していることを特徴とする接続立坑の構造。
  2. 下側鉛直立坑部の下端部を連絡坑を介して地下構造物に連通させていることを特徴とする請求項1に記載の接続立坑の構造。
  3. 下側鉛直立坑部を地下構造物の真上に築造してその下端開口部を地下構造物に直接連通させていることを特徴とする請求項1に記載の接続立坑の構造。
  4. 障害物の下方の地盤中に存在する断面円形の地下構造物に地表面から接続している立坑であって、地表面から上記障害物を避けて該障害物の一側方に沿って築造している上側鉛直立坑部と、この上側鉛直立坑部の下端に連通して該下端から上記地下構造物に接近する方向に湾曲した中間曲線立坑部と、この中間曲線立坑部の下端から上記地下構造物の上周側一側部に対して該地下構造物の径方向に直接、連通している下部直状傾斜立坑部とから構成していることを特徴とする接続立坑の構造。
  5. 障害物の下方の地盤中に存在する断面円形の地下構造物に地表面から接続している立坑であって、地表面から上記障害物を避けて該障害物の一側方に沿って築造している上側鉛直立坑部と、この上側鉛直立坑部の下端に連通して該下端から上記地下構造物に接近する方向に湾曲し、その下端を上記地下構造物の上周側一側部に対して該地下構造物の径方向に直接、連通している下部曲線立坑部とから構成していることを特徴とする接続立坑の構造。
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