JP3856602B2 - 連結式化粧料容器 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融した化粧料を中皿の後端から前記中皿の内部へ充填し、その中皿の前端を他の中皿の後端に連結可能であると共に筒体内部へ前記中皿を複数連結して装着可能である連結式化粧料容器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、化粧料を充填した段付円筒体の中皿を継ぎ合わせ（連結し）て、成分や色彩の異なる複数種の化粧料を携帯できるようにした連結式化粧料容器がある。
【０００３】
この連結式化粧料容器の中皿６０は、図５に示すように、小径部６１と大径部６２とを有する段付円筒形状に形成されている。小径部６１は、大径部６２側から充填された化粧料Ｍを収納するための小径孔６１ａが設けられている。
【０００４】
大径部６２は、後端部の端面より内方へ別の中皿６０先端部が着脱自在に嵌合しうるに足る大径孔６２ａが設けられている。
連結式化粧料容器の中皿６０はバック充填方式で化粧料Ｍを充填し、成形治具として型７を使用する（図５参照）。型７は化粧料Ｍの先端形状をロケット形に成形する成形孔７ａを備えている。そして、型７の成形孔７ａに中皿６０の先端を挿入し、充填器ノズル６から溶融した化粧料Ｍを成形孔７ａおよび小径孔６１ａに注入する。化粧料Ｍが冷却した後、型７より中皿６０を分離させると、化粧料Ｍの先端部がロケット形に成形される。
【０００５】
かかる連結式化粧料容器は中皿６０の小径部６１より突出した先端部の化粧料Ｍを使用する。また、化粧料Ｍは小径孔６１ａ内面との接触（摩擦力）によって中皿６０と固定している。従って、中皿６０において小径孔６１ａ内面に収納された化粧料Ｍ部分は固定するために必要なのであって、実際の化粧には使用されない。
【０００６】
また、連結式化粧料容器の中皿６０は、図６に示すように、筒体３０内に複数連結して使用する場合が多い。この場合、筒体３０は円筒形状を有し、後端面より筒内方へ中皿６０の大径部６２が着脱自在に嵌合しうるに足る孔部３０ａが設けられている。なお、孔部３０ａの内径は中皿６０の大径部６２の外径とほぼ同じに形成されており、大径部６２の外周面を孔部３０ａに圧入することによって中皿６０は着脱自在に嵌合される。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、連結式の中皿６０を筒体３０内に複数嵌入して使用する場合、従来の技術は、同径の孔部３０ａに大径部６２の外周面を嵌入するものであった。従って、孔部３０ａと大径部６２の外周面の嵌着強度を甘くすると、筒体３０先端から中皿６０が抜け取り易くなる一方で、筆記時の押圧強度や落下時の衝撃などで、簡単に筒体後端より中皿が脱落してしまうといった問題があった。逆に、嵌着強度をきつくした場合、筒体３０先端から中皿６０が抜けづらくなって使いずらい連結式化粧料容器となってしまうといた問題があった。
【０００８】
また、連結式化粧料容器はバック充填方式なので、筆記時に化粧料Ｍを押圧したり、落下などの衝撃を与えると、中皿６０内で化粧料Ｍが回動したり軸方向に移動してしまう虞がある。
【０００９】
以上から本発明は、前記問題点に鑑み創案されたものであり、中皿が筒体先端より抜け取り易くかつ筒体後端より中皿が脱落しにくいと共に、中皿内に収容される化粧料が筒内で移動・回転しないように防止できる連結式化粧料容器を提供することを技術的課題とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために、本発明は以下の手段を採用した。
すなわち、本発明の連結式化粧料容器は、段付筒状を有する中皿の大径側後端から溶融した化粧料を前記中皿の筒内部へ充填して固化させ前記化粧料を前記中皿の小径側前端に収納可能であり、前記収納した化粧料が前記中皿の筒内部で前後方向へあるいは周方向へ滑らないようにした移動防止手段を前記小径側前端の筒内周面に設け、前記小径側前端が他の中皿の前記大径側後端内に連結可能であり、連結した前記中皿を円筒形状の筒体内部へこの筒体の後端側より挿着することを特徴とする。
【００１１】
この構成によれば、中皿筒内部に移動防止手段を設けたことにより、中皿筒内部と化粧料の接触面積が少なくても軸内での前後移動・周回転が防止できる。結果として、中皿軸内部に充填される化粧料が少なくて済み、化粧料の無駄を少なくすることができる。
【００１２】
この連結式化粧料容器は、前記筒体の内径が前記後端側に向け徐々に径が小さくなるテーパを形成する構成にしたものも例示できる。
この例示によれば、使用時中皿を筒体前端から抜け取り易くするため、嵌着強度を比較的弱めに設定できる。また、後方は中皿が筒体内径から抜けでないように、筒体と中皿との嵌着強度を比較的強く設定できる。従って、筆記時の押圧強度や落下時の衝撃などで、筒体内径から中皿が抜け出ることによって分解したりしない。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態に係る連結式化粧料容器を図１〜図４に基づいて詳細に説明する。なお、化粧料としてリップライナーを充填収納する連結式化粧料容器として説明する。
【００１４】
連結式化粧料容器１は、図１に示すように、化粧料Ｍを充填した中皿２と、この中皿２を複数連結して挿嵌可能な筒体３と、この筒体３の先端を覆うキャップ４とを備えている。
【００１５】
中皿２は、図２（ａ）に示すように、小径部２１と大径部２２とを有する段付円筒形状に形成されている。大径部２２の外周面には、軸方向に沿って周上等間隔に３本の凸条２２ｂが設けられている（図２（ｃ）参照）。
【００１６】
小径部２１は、図２（ｂ）に示すように、大径部２２側から充填された化粧料Ｍを収納するための小径孔２１ａが設けられている。小径孔２１ａ内には、内周面の周方向に沿って突条（移動防止手段に相当）２３が４箇所設けられ、内周面の前後方向に沿って突条（第１の回転防止手段に相当）２４が４箇所設けられている（図２（ｃ）参照）。
【００１７】
大径部２２は、図２（ｂ）に示すように、後端面より内方へ別の中皿２の前端（即ち、小径部２１の外周面）が着脱自在に嵌合しうるに足る大径孔２２ａが設けられている。
【００１８】
筒体３は、図３に示すように、円筒形状を有し、後端側より筒内方へ中皿２の大径部２２が着脱自在に嵌合しうるに足る孔部３ａが設けられている。また、この孔部３ａは前端内径Ｄ₁と後端内径Ｄ₂が後端側に向け徐々に径が小さくなる（Ｄ₁＞Ｄ₂）テーパを形成している。なお、孔部３ａの前端内径Ｄ₁ は中皿２の大径部２２の外周面に設けられた３本の凸条２２ｂとの嵌着強度を比較的弱めに設定している。また、後端内径Ｄ₂ は中皿２の大径部２２の外周面に設けられた３本の凸条２２ｂとの嵌着強度を比較的強く設定している。
【００１９】
また、筒体３の先頭側外周面には円周方向に沿って環状凸部３ｂが設けられている。
キャップ４は、図１に示すように、有底円筒形状を有し、開口側の筒内壁４ａには円周方向に沿って環状凹部４ｂが設けられ、先端側の筒内壁４ａには軸方向に沿って複数本の補強用リブ４ｃが設けられている。そして、キャップ４は、開口側から筒体３の先端部分を挿入すると環状凹部４ｂに環状凸部３ｂが嵌入して装着され、筒体３を後方へ引くと環状凹部４ｂから環状凸部３ｂが離脱して外れる。
【００２０】
次に、この実施の形態の連結式化粧料容器１に化粧料Ｍを充填する手順を図４に基づき説明する。
連結式化粧料容器１はバック充填方式で化粧料Ｍを充填するが、その際、成形治具として型７を使用する。型７は化粧料Ｍの先端形状をロケット形に成形する成形孔７ａを備えている。
【００２１】
そして、型７の成形孔７ａに中皿２の先端を挿入し、充填器ノズル６から溶融した化粧料Ｍを成形孔７ａおよび小径孔２１ａに注入する。
化粧料Ｍが冷却固化した後、型７より中皿２を分離させると、化粧料Ｍの先端部がロケット形に成形される。
【００２２】
次に、この実施の形態に係る連結式化粧料容器１の作用を説明する。
小径孔２１ａに充填固化された化粧料Ｍは、内周面接触の摩擦力に加えて突条（移動防止手段）２３によって軸方向の移動が阻止される。また、小径孔２１ａ内の化粧料Ｍは、内周面接触の摩擦力に加えて突条（移動防止手段）２４によって回転方向の移動が阻止される。従って、小径孔２１ａ内に収容される化粧料Ｍが少なくて内周面接触が少なくても、小径孔２１ａ内での化粧料Ｍの移動・回転が防止できる。結果として、実際の化粧では使用されない小径孔２１ａ内の化粧料Ｍが少なくて済み、化粧料Ｍの無駄を少なくすることができる。
【００２３】
また、この実施の形態によれば、使用時中皿２を筒体３前端から抜け取り易くするため、嵌着強度を比較的弱めに設定できる。また、後方は中皿２が筒体３内径から抜けでないように、筒体３と中皿２との嵌着強度を比較的強く設定できる。従って、筆記時の押圧強度や落下時の衝撃などで、筒体３内径から抜け出ることによって分解したりしない。
【００２４】
【発明の効果】
以上本発明によれば、中皿筒内部に移動防止手段を設けたことにより、中皿筒内部と化粧料の接触面積が少なくても軸内での前後移動・周回転が防止できる。結果として、中皿軸内部に充填される化粧料が少なくて済み、化粧料の無駄を少なくすることができる。
【００２５】
また、この発明によれば、使用時中皿を筒体前端から抜け取り易くするため、嵌着強度を比較的弱めに設定できる。また、後方は中皿が筒体内径から抜けでないように、筒体と中皿との嵌着強度を比較的強く設定できる。従って、筆記時の押圧強度や落下時の衝撃などで、筒体内径から抜け出ることによって分解したりしない。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態である連結式化粧料容器の側面断面図である。
【図２】図２（ａ）は中皿の外観図であり、図２（ｂ）は中皿の側面断面図であり、図２（ｃ）は中皿の背面図である。
【図３】本発明の筒体の側面断面図である。
【図４】本発明の中皿に溶融した化粧料を充填する場合の説明図である。
【図５】従来の中皿に溶融した化粧料を充填する場合の説明図である。
【図６】従来の連結式化粧料容器の側面断面図である。
【符号の説明】
１…連結式化粧料容器
２…中皿
３…筒体
３ａ…孔部
３ｂ…環状凸部
４…キャップ
６…充填器ノズル
７…型
７ａ…成形孔
２１…小径部
２１ａ…小径孔
２２…大径部
２２ａ…大径孔
２２ｂ…凸条
２３…突条（移動防止手段）
２４…突条（移動防止手段）
Ｍ…化粧料

Claims (1)

1. 先端側である小径部と後端側である大径部とからなる段付筒状を有する複数の中皿と、前記中皿を連結して挿嵌する筒体とを備え、前記中皿の前記大径部側後端から溶融した化粧料を充填することにより固化した前記化粧料を前記中皿の小径部側前端に収容し、前記中皿のうち一の中皿の前記小径部を他の中皿の前記大径部内に連結した状態として、前記筒体の後端から内部に挿嵌してなる連結式化粧料容器であって、
   前記小径部側前端の前記筒体内周面に、収容した前記化粧料が前記中皿が前記筒体内部で前後方向あるいは周方向へ滑らないようにした移動防止手段を有しており、
   前記大径部の外周面には、軸方向に沿って形成された凸条が周方向に適宜間隔を空けて複数設けられており、
   前記筒体は、その内部に、前記凸条との嵌着強度を、中皿がその先端から抜け取り易くなる程度とする先端内径から、中皿がその後端から筆記時の押圧力や落下時の衝撃等により抜け出ない程度とする後端内径に向けて徐々に径が小さくなるテーパを一体として有していることを特徴とする連結式化粧料容器。

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