JP3856552B2 - ケイ素酸化物含有材用の感圧接着シ―ト類 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス、タイルなどのSiO2 を主成分とした無機質材料を被着体とする、ケイ素酸化物含有材用の感圧接着シ―ト類に関する。
【0002】
【従来の技術】
作業の簡便化や安全衛生の向上を目的に、これまでの液状の接着剤から感圧接着テ―プを用いて接着処理することが定着してきている。感圧接着テ―プの使用用途が拡がるにつれ、要求特性も厳しくなつてきた。この要求特性のなかでも、実用的な特性として、耐湿熱性が挙げられる。家電・OA機器用、自動車用いずれの用途においても、温度、湿度の影響は避けられない。なかでも、浴場まわりのような環境では温度よりもむしろ、湿度の影響を強く受ける。しかし、従来、一般に用いられているアクリル系感圧接着剤は、ガラスやタイルなどのSiO2 を主成分とした無機質材料に対して十分な耐湿熱性を有しておらず、高温多湿下で接着性を失い、固定部材の脱落に至るという問題がある。
【0003】
ガラスに対する接着性を改良するため、ガラス表面にあらかじめシランカツプリング剤を処理する方法が一般的に用いられている。また、アクリル系感圧接着剤中にシランカツプリング剤をブレンドする方法(特公昭62−30233号公報)も開示されている。しかし、前者は、高温で乾燥処理する必要があり、設備や時間がかかり、また一度施工したガラス窓に適用することが難しく、後者は、シランカツプリング剤中のアルコキシシランのポツトライフが短いため、保存湿度条件・期間に強く制約を受け、いずれも、実用性に欠ける。
【0004】
また、感圧接着テ―プにおいて、貼着固定した部材に加わる外力や振動を分散緩和したり、部材表面の凹凸への追従性を良くするため、ウレタン、ポリエチレン、アクリルフオ―ムなどの発泡基材を用いることはよく知られている。この種の両面感圧接着シ―トについても、高温多湿下の環境にさらされると、発泡基材中に湿気が浸透し、その水分が感圧接着剤層の背面側からガラス界面へ侵入し、接着力の低下が起こる。耐湿性を改良した感圧接着剤を用いたとしても、発泡基材からの水分の侵入は防げず、同様に接着力の低下が起こる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の技術では、ガラスやタイルなどの無機質材料に対して、耐湿熱性にすぐれた実用的な感圧接着シ―ト類は知られておらず、とくに外力や振動の分散緩和、部材表面の凹凸への追従性を良くするために発泡基材を用いたもので、上記特性にすぐれたものはほとんどみられない。したがつて、本発明は、上記の事情に照らし、シランカツプリング剤を用いなくても、ガラスやタイルなどの無機質材料に対して高い接着性を示し、とくに耐湿熱性にすぐれた実用的な感圧接着シ―ト類を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意検討するにあたり、まず、従来のアクリル系感圧接着剤がガラスに対して接着力が低くなる、とくにこの現象が多湿下で顕著となることについて、以下のように考察した。ガラスの主成分であるSiO2 は表面が酸性であることが知られており、一方、従来のアクリル系感圧接着剤は一般にアクリル系単量体と酸性基を有する単量体との共重合体を主成分としており、接着剤としてやはり酸性である。このため、感圧接着剤とガラスとの間で、酸性基同志の電気的斥力が働き、強い接着力を発揮できない。とくに水が存在すると、酸性基の解離イオンが増大し電気的斥力がより一層働き、同時に吸水による凝集力の低下も起こり、接着力が低下する。
【0007】
そこで、本発明者らは、この考察を踏まえて、感圧接着シ―ト類において、外力や振動の分散緩和、部材表面の凹凸への追従性を良くするために発泡基材を用いるにあたり、この発泡基材から感圧接着剤層への水分の侵入を制御し、かつ感圧接着剤の組成に塩基性セグメントを導入することで、上記問題を解決できないかと考え、さらに検討を続けた。その結果、発泡基材の吸水率を特定し、かつアクリル系感圧接着剤中に特定の塩基性セグメントを導入する組み合わせ構成としたときに、ガラスやタイルなどのケイ素酸化物含有材に対して、シランカツプリング剤の処理を施さなくても、すぐれた接着性を得ることができ、とくに高温多湿下でも高い接着性を示す、耐湿熱性にすぐれた感圧接着シ―ト類が得られることを知り、本発明を完成するに至つたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、40℃の温水に24時間浸漬したのちの吸水率が15重量%未満である発泡基材の少なくとも片面に、a)一般式(1):CH2=C(R1 )COOR2(式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数が4〜14個のアルキル基である)で表されるアクリル系単量体60〜94重量%と、b)一般式(2):CH2=C(R3)CONR4R5(式中、R3は水素またはメチル基、R4 はアルキル基、R5はアルキル基であるか、またはR4と結合しこれとN原子とで複素環を構成する有機基である)で表される(メタ)アクリルアミド5〜40重量%と、c)酸性基を含む単量体1〜10重量%との共重合体を主成分とするアクリル系感圧接着剤からなる層を有することを特徴とするケイ素酸化物含有材用の感圧接着シ―ト類に係るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる発泡基材は、40℃の温水に24時間浸漬したのちの吸水率が15重量%未満、好ましくは10重量%未満であればよい。材質は限定されないが、主成分として、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ウレタン、ポリエチレン、アクリル、エピクロルヒドリンゴム、シリコ─ンゴムなどが用いられる。厚さも限定されないが、厚すぎると部材を固定したときに荷重により変形し、部材からはみ出して外観(意匠性)が悪くなり、薄すぎると凹凸への追従性が失われるため、好ましくは0.5〜2mmの範囲とするのがよい。
【0010】
上記の吸水率が15重量%以上となると、発泡基材から感圧接着剤の層への水の移行を抑制できず、耐湿熱性の低下が起こる。発泡基材の上記吸水率を15重量%未満に設定する手段は任意であり、たとえば、基材中に含ませる各種添加剤の種類や量を選択したり、製造条件などを適宜設定することにより、容易に上記吸水率に設定できる。このような吸水率に設定した市販品の入手も可能であり、この市販品をそのまま使用してもよい。
【0011】
本発明に用いられるアクリル系感圧接着剤は、a)一般式(1):CH2=C(R1)COOR2(式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数が4〜14個のアルキル基である)で表されるアクリル系単量体60〜94重量%と、b)一般式(2):CH2=C(R3)CONR4R5(式中、R3は水素またはメチル基、R4 はアルキル基、R5はアルキル基であるか、あるいはR4と結合しこれとN原子とで複素環を構成する有機基である)で表される(メタ)アクリルアミド5〜40重量%と、c)酸性基を含む単量体1〜10重量%との共重合体を主成分とした感圧接着剤である。
【0012】
a成分のアクリル系単量体は、一般式(1)中のR2 がブチル基、イソブチル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基などの炭素数4〜14個のアルキル基からなるアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルである。R2 の炭素数が4個未満となると、感圧接着剤のぬれ性が低下して初期接着性が悪くなり、また14個を超えると、接着力に劣る。このa成分のアクリル系単量体は、単量体全体の60〜94重量%の範囲で、その1種または2種以上が用いられる。60重量%未満となると、アクリル系感圧接着剤としての性能を発揮させにくくなり、94重量%を超えてしまうと、b成分の(メタ)アクリルアミドが不足して、ガラスなどに対する接着性能が不十分となる。
【0013】
b成分の(メタ)アクリルアミドには、一般式(2)で表される、N,N−ジ置換(メタ)アクリルアミドからなる非環状の(メタ)アクリルアミドと、環状の(メタ)アクリルアミドとが含まれる。たとえば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイル−4−ピペリドンなどが挙げられる。このb成分は、単量体全体の5〜40重量%、好ましくは10〜35重量%の範囲で、その1種または2種以上が用いられる。5重量%未満では、ガラスなどに対し接着性能が不十分となり、40重量%を超えると、弾性率が増大して室温下でのぬれ性が低下する。
【0014】
c成分の酸性基を含む単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有単量体や、その他、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフエ―ト、2−ヒドロキシプロピルアクリロイルホスフエ―トなどのリン酸基含有単量体などが用いられる。このc成分の単量体は、単量体全体の1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%の範囲で、その1種または2種以上が用いられる。1重量%未満では、凝集力が不足し耐熱保持性が低下し、10重量%を超えると、酸成分が増えガラスなどに対する接着性能が悪くなり、室温付近における接着力が低下しやすい。
【0015】
共重合体は、上記のa成分、b成分およびc成分からなる単量体混合物を、常法により、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法などの方法により共重合させることにより、得ることができ、塊状重合法では、紫外線照射による重合方式が好ましい。共重合に際し、ベンゾイルパ―オキサイド、ラウロイルパ―オキサイド、クメンパ―オキサイドなどの有機過酸化物、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ系化合物、2,2´−ジメトキシ−2−フエニルアセトフエノン、2,2´−ジエトキシアセトフエノンなどのアセトフエノン系化合物、ベンゾインエチルエ―テル、ベンゾインイソプロピルエ―テルなどのベンゾインエ―テル系化合物、ベンゾフエノン、ベンゾイル安息香酸などのベンゾフエノン系化合物などの熱重合開始剤や光重合開始剤が用いられる。
【0016】
本発明のアクリル系感圧接着剤は、このような共重合体を主成分とし、これに通常は適宜の架橋剤を含ませて架橋処理し、耐熱保持性にすぐれた感圧接着剤とされる。架橋剤としては、ポリイソシアネ―ト化合物、ポリエポキシ化合物、アジリジン化合物などの公知の各種の多官能性化合物が用いられるが、これらの中でも、ポリイソシアネ―ト化合物が好ましい。
【0017】
ポリイソシアネ―ト化合物としては、エチレンジイソシアネ―ト、ブチレンジイソシアネ―ト、ヘキサメチレンジイソシアネ―トなどの脂肪族ポリイソシアネ―ト類、シクロペンチレンジイソシアネ―ト、シクロヘキシレンジイソシアネ―ト、イソホロンジイソシアネ―トなどの脂環族ポリイソシアネ―ト類、2,4−トリレンジイソシアネ―ト、4,4´ジフエニルメタンジイソシアネ―ト、キシリレンジイソシアネ―トなどの芳香族ポリイソシアネ―ト類などや、トリメチロ―ルプロパンのトリレンジイソシアネ―ト付加物などが挙げられる。
【0018】
また、上記の架橋剤に代えて、前記の共重合に際し、内部架橋剤を含ませて上記同様の耐熱保持性にすぐれた感圧接着剤とすることもできる。このような内部架橋剤としては、たとえば、トリメチロ―ルプロパントリ(メタ)アクリレ―ト、ペンタエリスリト―ルテトラ(メタ)アクリレ―ト、1,2−エチレングリコ―ルジ(メタ)アクリレ―ト、1,6−ヘキサンジオ―ルジ(メタ)アクリレ―ト、1,12−ドデカンジオ―ルジ(メタ)アクリレ―トなどの多官能(メタ)アクリレ―トを挙げることができる。
【0019】
本発明のアクリル系感圧接着剤には、上記成分のほかに、さらに必要により、粘着付与樹脂、老化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、充填剤、難燃剤、帯電防止剤などの公知の各種の添加剤を加えることができる。これらの添加剤と前記の架橋剤などは、その種類に応じた通常の使用量で用いられる。
【0020】
本発明においては、前記特定吸水率の発泡基材の少なくとも片面に、上記構成の特定のアクリル系感圧接着剤からなる層を設けて、シ―ト状やテ―プ状などの感圧接着シ―ト類とする。上記層の厚さは、とくに限定されないが、通常は片面で約5〜200μmとすればよい。上記層を片面にのみ設ける場合、他方の面に上記基材との投錨性にすぐれる他の一般の感圧接着剤、たとえば、ゴム系、アクリル系、シリコ─ン系などの感圧接着剤からなる層を設けてもよい。
【0021】
本発明の感圧接着シ―ト類は、ガラス、タイルなどのSiO2 を主成分とした無機質材料からなる被着体に対し、上記特定のアクリル系感圧接着剤からなる層を接着界面とすることにより、すぐれた接着性が得られ、とくに高温多湿下の環境でも高い接着性を維持する、すぐれた耐湿熱性が得られることから、ケイ素酸化物含有材用の感圧接着シ―ト類として非常に適している。
【0022】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。以下、部とあるのは、重量部を意味するものとする。
【0023】
参考例1
冷却管、窒素導入管、温度計、紫外線照射装置および攪拌装置を備えた反応容器に、イソノニルアクリレ―ト79部、アクリロイルモルホリン14部、アクリル酸7部、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フエニルアセトフエノン0.07部を入れて、光重合し、重合率15重量%のポリマ―・モノマ―混合物を得た。さらに、この混合物の固形分100部に対し、トリメチロ―ルプロパントリアクリレ―ト0.1部を加えて、シロツプとした。このシロツプを、厚さが25μmの剥離処理したポリエステルフイルム上に、硬化後の厚さが50μmとなるように塗布したのち、紫外線を照射して硬化させることにより、アクリル系感圧接着剤からなる層を形成した。
【0024】
参考例2
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌装置を備えた反応容器に、2−エチルヘキシルアクリレ―ト85部、アクリル酸15部、重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.14部と、これらの混合物100部に対し、酢酸エチル100部を入れて、60℃で12時間反応させてポリマ―溶液を得た。さらに、この混合物の固形分100部に対し、トリメチロ―ルプロパンのトリレンジイソシアネ―ト付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネ―トL」〕1部を加えて、感圧接着剤溶液とした。この感圧接着剤溶液を、厚さが25μmの剥離処理したポリエステルフイルム上に、乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布したのち、乾燥し、アクリル系感圧接着剤からなる層を形成した。
【0025】
参考例3
エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエ―テル三元共重合体〔ダイソ―(株)製のエピクロマ―CG〕100部、炭酸カルシウム30部、カ―ボンブラツク30部、2−メルカプトイミダゾリン0.7部、尿素系発泡助剤3部、N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン3部、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合体3部、ステアリン酸1部からなる配合組成物を調製した。これをミキシングロ―ルで混練したのち、0.6mmの厚さに圧延してシ―トを成形した。ついで、このシ―トを160℃で10分間加熱し、加硫、発泡させて、厚さが0.8mmの発泡基材を得た。
【0026】
このようにして得られた発泡基材は、40℃の温水に24時間浸漬したのちの吸水率が10重量%であつた。なお、上記の吸水率は、100mm角の発泡基材を40℃の温水に24時間浸漬し、浸漬前後の重量を測定して、吸水率(重量%)=〔浸漬後の重量(g)/浸漬前の重量(g)〕×100として、算出した。以下の吸水率も、これと同様にして、測定、算出した。
【0027】
参考例4
配合組成物中、カ―ボンブラツク30部に代えて、ホワイトカ―ボン30部を使用するようにした以外は、参考例3と同様にシ―ト成形し、加熱、発泡して、厚さが0.8mmの発泡基材を得た。この発泡基材の40℃の温水に24時間浸漬したのちの吸水率は、35重量%であつた。
【0028】
実施例1
参考例3で得た厚さが0.8mm、40℃の温水に24時間浸漬したのちの吸水率が10重量%である発泡基材の片面に、参考例1で得たアクリル系感圧接着剤からなる層を貼り合わせて、感圧接着シ―トを作製した。
【0029】
実施例2
厚さが0.8mm、40℃の温水に24時間浸漬したのちの吸水率が5重量%である市販のポリエチレンフオ―ムからなる発泡基材の片面に、参考例1で得たアクリル系感圧接着剤からなる層を貼り合わせて、感圧接着シ―トを作製した。
【0030】
比較例1
参考例1で得たアクリル系感圧接着剤からなる層に代えて、参考例2で得たアクリル系感圧接着剤からなる層を貼り合わせるようにした以外は、実施例1と同様にして、感圧接着シ―トを作製した。
【0031】
比較例2
参考例1で得たアクリル系感圧接着剤からなる層に代えて、参考例2で得たアクリル系感圧接着剤からなる層を貼り合わせるようにした以外は、実施例2と同様にして、感圧接着シ―トを作製した。
【0032】
比較例3
参考例4で得た厚さが0.8mm、40℃の温水に24時間浸漬したのちの吸水率が35重量%である発泡基材の片面に、参考例1で得たアクリル系感圧接着剤からなる層を貼り合わせて、感圧接着シ―トを作製した。
【0033】
比較例4
厚さが0.8mm、40℃の温水に24時間浸漬したのちの吸水率が30重量%である市販のウレタンフオ―ムからなる発泡基材の片面に、参考例1で得たアクリル系感圧接着剤からなる層を貼り合わせて、感圧接着シ―トを作製した。
【0034】
比較例5
厚さが0.8mm、40℃の温水に24時間浸漬したのちの吸水率が25重量%である市販のアクリルフオ―ムからなる発泡基材の片面に、参考例1で得たアクリル系感圧接着剤からなる層を貼り合わせて、感圧接着シ―トを作製した。
【0035】
上記の実施例1,2および比較例1〜5の各感圧接着シ―トについて、下記の方法により、初期接着力、高温放置後(40℃で7日間放置後)の接着力および高温多湿放置後(40℃,92%RH下で7日間放置後)の接着力を測定した。これらの結果は、後記の表1に示されるとおりであつた。
【0036】
<接着力の測定>
感圧接着シ―トを幅20mm,長さ100mmの大きさに裁断し、市販のポリエチレンテレフタレ―トフイルムを基材とした感圧接着テ―プで裏打ちしたのち、ガラス板に対して2kgロ―ラを往復させる方法で圧着して、試験片を作製した。この試験片を、下記(1)〜(3)の条件で放置後、万能引張試験機により速度50mm/分で180度剥離接着力を測定した。
(1)23℃,65%RH雰囲気下で20分間放置後(初期接着力)
(2)(1)の後、40℃の乾燥機に7日投入したのち、取り出して23℃,65%RH雰囲気下で20分間放置後(高温放置後の接着力)
(3)(1)の後、40℃,92%RHの加熱加湿機に7日間投入したのち、取り出して23℃,65%RH雰囲気下で20分間放置後(高温多湿放置後の接着力)
【0037】
【0038】
上記の表1より明らかなように、本発明の実施例1,2の感圧接着シ―トは、ガラス板に対し、初期および高温放置後の接着力が大きく、かつ高温多湿放置後でも非常に高い接着力を維持しており、耐湿熱性にすぐれていることがわかる。これに対し、比較例1〜5の感圧接着シ―トは、初期の接着力が不足する場合がある以外に、高温多湿放置後に接着力の急激な低下がみられる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、特定吸水率の発泡基材の少なくとも片面に特定のアクリル系感圧接着剤からなる層を設ける構成としたことにより、ガラスやタイルなどのケイ素酸化物含有材に対して、シランカツプリング剤の処理を施さなくても、すぐれた接着性を示す、とくに高温多湿下でも高い接着性を示す、耐湿熱性にすぐれた感圧接着シ―ト類を提供することができる。
Claims (1)
- 40℃の温水に24時間浸漬したのちの吸水率が15重量%未満である発泡基材の少なくとも片面に、a)一般式(1):CH2 =C(R1)COOR2(式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数が4〜14個のアルキル基である)で表されるアクリル系単量体60〜94重量%と、b)一般式(2):CH2 =C(R3)CONR4R5 (式中、R3は水素またはメチル基、R4 はアルキル基、R5はアルキル基であるか、あるいはR4と結合しこれとN原子とで複素環を構成する有機基である)で表される(メタ)アクリルアミド5〜40重量%と、c)酸性基を含む単量体1〜10重量%との共重合体を主成分とするアクリル系感圧接着剤からなる層を有することを特徴とするケイ素酸化物含有材用の感圧接着シ―ト類。
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