JP3856008B2 - 真空断熱材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、真空断熱材の製造方法に関するものである。
真空断熱材は、発泡樹脂や粉末、又は繊維材等を芯材として外被材内に入れ、外被材内部を真空にすることにより、気体の熱伝導率を著しく低下させた断熱材であり、その断熱性能を長期間に渡って維持するために、断熱材内部を真空に保ち続けている。
この真空断熱材を家電製品である電気湯沸かし器の貯水容器外周に設けて断熱し、保温電力を非常に少なくしたものがある。
これは、真空断熱材を構成する積層フィルム中のガスバリヤー層において、高温にさらされる側に金属箔を用い、低温側は蒸着層を用いるもので、高温側では100℃程度の温度において、ガスバリヤー性が良好で真空状態を保持することができ、断熱性が長期間保たれ、低温側では蒸着層を用いることにより、金属箔を伝って流れ込む熱を抑えることができ、真空断熱材全体の断熱性能を向上させたものである(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−8828号公報
しかしながら、上記従来の構成では、低温側では蒸着層を用いることにより金属箔を伝って流れ込む熱を抑えることができるというものの、金属箔を伝わる熱量が大きく真空断熱材の断熱性能を十分に発揮できるものではなかった。
このため、高温側も蒸着層を用いることにより、蒸着層を伝って流れ込む熱を抑えているが、蒸着層は金属箔に比較しガスバリヤー性が低下しているため、蒸着層からのガス侵入量が大きくなる課題があった。
また、従来通り、高温側に金属箔層、低温側に蒸着層を設置した場合においても、低温側からのガス侵入量を更に低減する必要があるとの課題があった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、真空断熱材の外被材からの熱伝導を低減すると共に、高ガスバリヤー性を確保できる真空断熱材の製造方法を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明は、外被材のガスバリヤー層を、融点150℃以上のベースフィルムに、金属、金属酸化物、無機酸化物のいずれかを蒸着して蒸着層を形成し、前記蒸着層の上にポリアクリル酸系樹脂の塗布及び100℃以上の温度での乾燥によるコーティングを施すことにより形成するのである。
融点150℃以上ベースフィルムに金属、金属酸化物、無機酸化物のいずれかの蒸着を行い、その上にポリアクリル酸系樹脂の塗布及び100℃以上の温度での乾燥によるコーティングを施したフィルムのガスバリヤー性は、エチレン・ポリビニルアルコール共重合樹脂フィルムに金属蒸着を行ったフィルムの数倍のガスバリヤー性を有しているため、真空断熱材に侵入するガス量を大幅に低減することができる。
更に、ガスバリヤー層には、金属、金属酸化物、無機酸化物のいずれかの蒸着層とその蒸着層の上にポリアクリル酸系樹脂の塗布及び100℃以上の温度での乾燥によるコーティングを施すことにより形成されたポリアクリル酸系樹脂コーティング層の2層を有しているため、真空断熱材作製時等に生じる熱溶着部近傍の折り曲げにより蒸着層の剥離等が発生しても、その上に屈曲時等に剥離しにくいポリアクリル酸系樹脂コーティング層を有しているため、熱溶着部近傍の折り曲げによるガスバリヤー性の悪化も防止できる効果も得られる。
本発明の真空断熱材は、ガスバリヤー層に、金属、金属酸化物、無機酸化物のいずれかの蒸着層とその蒸着層の上にポリアクリル酸系樹脂の塗布及び100℃以上の温度での乾燥によるコーティングを施すことにより形成されたポリアクリル酸系樹脂コーティング層を有しているので、従来のエチレン・ポリビニルアルコール共重合樹脂層に金属蒸着層を有するガスバリヤーフィルムに比較し、数倍の高いバリヤー性を有しているため、真空断熱材内へのガス侵入量を小さく抑えることができ、長期に渡り高いその断熱特性を維持することができる効果が得られる。
また、蒸着層の上にポリアクリル酸系樹脂の塗布及び100℃以上の温度での乾燥によるコーティングを施すことにより形成されたポリアクリル酸系樹脂コーティング層は、屈曲等において剥離しにくいため、熱溶着部の折り曲げ時において発生する蒸着層等の剥離等によるガスバリヤー性の劣化を防止できる効果が得られる。
また、蒸着層の上にポリアクリル酸系樹脂の塗布及び100℃以上の温度での乾燥によるコーティングを施すことにより形成されたポリアクリル酸系樹脂コーティング層は、耐屈曲性、ガスバリヤー性が良好であるため、金属箔を使用しないピロータイプの袋を作製し、これを用いて真空断熱材を構成できるため、熱溶着部を一辺分少なくすることができ、熱溶着部より侵入するガス量を大幅に低減できる。
更に、蒸着層の上にポリアクリル酸系樹脂の塗布及び100℃以上の温度での乾燥によるコーティングを施すことにより形成されたポリアクリル酸系樹脂コーティング層は、上記したように耐屈曲性に優れるため、真空断熱材に溝を形成し、その溝をベースに折り曲げた折り曲げ真空断熱材に適用しても、溝・折り曲げ部からの、ガス侵入量の増大を防止できる効果が得られる。
請求項に記載の真空断熱材の製造方法の発明は、2枚の外被材を向かい合わせて芯材を覆い、内部を減圧し熱溶着により封止する真空断熱材の製造方法であって、前記2枚の外被材の少なくとも一方の外被材のガスバリヤー層を、融点150℃以上のベースフィルムに、金属、金属酸化物、無機酸化物のいずれかを蒸着して蒸着層を形成し、前記蒸着層の上にポリアクリル酸系樹脂の塗布及び100℃以上の温度での乾燥によるコーティングを施すことにより形成するものであり、このガスバリヤー層のガスバリヤー性は、エチレン・ポリビニルアルコールの共重合樹脂層に金属蒸着を行ったフィルムの数倍のガスバリヤー性を有しているため、真空断熱材に侵入するガス量を低減することができる効果が得られる。また、真空断熱材作製時等に生じる熱溶着部近傍の折り曲げにより蒸着層の剥離が発生しても、その蒸着層の上に屈曲時等に剥離しにくいポリアクリル酸系樹脂コーティング層を有しているため、熱溶着部近傍の折り曲げによるガスバリヤー性の悪化も防止できる効果も得られる。
請求項に記載の真空断熱材の製造方法の発明は、1枚の外被材の一辺とその対辺を熱溶着によりシールし、前記熱溶着部の隣辺を熱溶着によりシールして芯材を減圧密封する真空断熱材の製造方法であって、前記外被材のガスバリヤー層を、融点150℃以上のベースフィルムに、金属、金属酸化物、無機酸化物のいずれかを蒸着して蒸着層を形成し、前記蒸着層の上にポリアクリル酸系樹脂の塗布及び100℃以上の温度での乾燥によるコーティングを施すことにより形成するものであり、請求項記載の発明の効果に加え、熱溶着部を端面に位置させた構成では、2枚の外被材を向かい合わせて4辺を熱溶着して作製した真空断熱材に比較して、一辺分熱溶着部が少なくなるため、熱溶着層を介して侵入する空気量を低減することができる効果が得られる。また、熱溶着部を端面以外に位置させた構成では、熱溶着部の熱溶着幅を真空断熱材の幅の大きさに近くない限り真空断熱材の寸法は広がることがないため、熱溶着幅を大きくし、熱溶着層からのガス侵入を大幅に低減できる効果も得られる。
請求項に記載の真空断熱材の製造方法の発明は、請求項または記載の発明における、ベースフィルムに蒸着層とポリアクリル酸系樹脂コーティング層を有する外被材の熱溶着層を、前記ポリアクリル酸系樹脂コーティング層側に設けるものである。
これにより、請求項または記載の発明の効果に加えて、熱溶着層を、ガスバリヤー層であるポリアクリル酸系樹脂コーティング層側に設けるため、真空断熱材端面からのガス侵入量を低減できる効果が得られる。また、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層は硬いが柔軟性を有しているため、芯材からの突刺に対して有効な効果が得られる。
また、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層と蒸着層が、ベースフィルムの内側(芯材側)にあるため、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層と蒸着層の、真空断熱材の外側からの擦れ等によるピンホールは小さくなり、真空断熱材の外側からの擦れ等によるガスバリヤー性の低下を小さくできる。
請求項に記載の真空断熱材の製造方法の発明は、請求項記載の発明における、ベースフィルムに保護層を設けるものである。
これにより、請求項記載の発明の効果に加え、ベースフィルム側に保護層を設けているため、真空断熱材の外側からの突刺、摩擦等によるピンホールの発生を防止し、真空断熱材の真空ブレークを防止できる効果が得られる。
請求項に記載の真空断熱材の製造方法の発明は、請求項または記載の発明における、ベースフィルムに蒸着層とポリアクリル酸系樹脂コーティング層を有する外被材の熱溶着層を、前記ベースフィルム側に設け、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層側に保護層を設けるものである。
これにより、請求項または記載の発明の効果に加え、ベースフィルム側に熱溶着層を設けるため、真空断熱材の芯材からの突刺に対しベースフィルムがこの突刺を緩衝し、更にその先に蒸着層、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層を有しており、これらが芯材からの突刺に対し抵抗となると共に、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層は硬いが柔軟性を有しているため、芯材からの突刺に対して有効な効果が得られる。また、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層側に保護層を設けるため、芯材側からの突刺に対しても更に有効であると共に、真空断熱材の外側からの突刺、摩擦等によるピンホールの発生を防止し真空断熱材の真空ブレークを防止できる効果も得られる。
請求項に記載の真空断熱材の製造方法の発明は、請求項からのいずれか一項記載の発明における、熱溶着層が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリルニトリルフィルム、エチレン・ポリビニルアルコール共重合樹脂フィルムのいずれかであるものであり、熱溶着層にこれらのフィルムを使用することにより、ガスバリヤー性、耐熱性の向上を図ることができる。
請求項に記載の真空断熱材の製造方法の発明は、請求項からのいずれか一項記載の発明における、熱溶着層を無延伸ポリプロピレンフィルムとしたものである。
無延伸ポリプロピレンフィルムは、高密度ポリエチレンフィルムや低密度ポリエチレンフィルムよりも融点が高いため、真空断熱材をより高い温度まで使用できる効果が得られる。
請求項に記載の真空断熱材の製造方法の発明は、請求項または記載の発明における、保護層が、ナイロン、ポエチレンテレフタレート、ポエチレンナフタレート、ポリプロピレンフィルムのいずれかあるいはその複層フィルムからなるものであり、保護層にこれらのフィルムを適用することにより、耐ピンホール性、耐摩擦性の向上を図ることができる。
請求項に記載の真空断熱材の製造方法の発明は、請求項からのいずれか一項記載の発明において、ベースフィルムに蒸着層とポリアクリル酸系樹脂コーティング層を有する層を備えた外被材側に折り曲げ用の溝を設け、前記溝を内側にして所定角度谷折りしたものである。
これにより、請求項からのいずれか一項記載の発明の効果に加え、溝を設けて折り曲げを行う真空断熱材の外被材のガスバリヤー層は、屈曲等による剥離に強いポリアクリル酸系樹脂コーティング層と、金属、金属酸化物、シリカのいずれかの蒸着層とを有するため、真空断熱材の溝形成及び熱溶着部近傍の折り曲げ等により蒸着層が剥離しても、耐屈曲性が良好なポリアクリル酸系樹脂コーティング層が残存しているため、真空断熱材の折り曲げによるガスバリヤー性の悪化も防止でき、ガス侵入量の増大を抑えることができる効果が得られる。
以下、本発明による実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図、図2は、同実施の形態1における外被材の構成図、図3は、同実施の形態1におけるガスバリヤー層の一例の構成図、図4は、同実施の形態1におけるガスバリヤー層の別の例の構成図、図5は、同実施の形態1における比較例のガスバリヤー層の構成図、図6は、同実施の形態1における真空断熱材の一例の平面図である。
本実施の形態の真空断熱材1は2枚の外被材2を向かい合わせて芯材3を覆い、内部を真空まで減圧して周囲を熱溶着により封止したものである。
外被材2は、2種類のラミネートフィルム2a,2bを組み合わせて用い、芯材側からそれぞれ熱溶着層4a,4b、ガスバリヤー層5a,5b、第一の保護層6a,6b、及び第二の保護層7a,7bの各4層により構成している。
ラミネートフィルム2aは、熱溶着層4aに直鎖型低密度ポリエチレンフィルムまたは高密度ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムまたはポエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートまたはポリアクリルニトリルフィルムまたはエチレン・ポリビニルアルコール共重合樹脂フィルムのいずれか一つを用い、ガスバリヤー層5aにはアルミ箔、第1の保護層6a及び第2の保護層7aはナイロンフィルムまたはポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレンナフタレートフィルムまたはポリプロピレンフィルムまたはその複層フィルムとした。
また、ラミネートフィルム2bは、熱溶着層4bにラミネートフィルム2aと同じ直鎖型低密度ポリエチレンフィルムまたは高密度ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムまたはポエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートまたはポリアクリルニトリルフィルムまたはエチレン・ポリビニルアルコール共重合樹脂フィルムのいずれか一つを用いた。
また、ガスバリヤー層5bは、融点が150℃以上である例えばポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレンナフタレートフィルムまたはナイロンフィルムまたはポリプロピレンフィルムのベースフィルム8に金属、金属酸化物、シリカのいずれかの蒸着層9を形成し、その上にポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を形成したものを用いた。
また、第1の保護層6b及び第2の保護層7bには、ナイロンフィルムまたはポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレンナフタレートフィルムまたはポリプロピレンフィルムまたはその複層フィルムとした。
上記ポリアクリル酸系樹脂コーティング層は、上記蒸着層の上に、ポリビニルアルコールと、ポリ(メタ)アクリル酸またはポリ(メタ)アクリル酸の部分中和物とを、重量比95:5〜10:90の範囲内で含有する混合物を塗布し、100℃以上の温度で乾燥し作製したものである。この時、上記混合物は蒸着層への塗布及び100℃以上の温度で乾燥時において、蒸着層と化学結合が行われ強固なガスバリヤー層が形成されることになる。
真空断熱材1の作製にあたっては、ラミネートフィルム2a,2bを向かい合わせにして三辺を熱溶着し、芯材3を挿入するための袋を作製する。次に、この芯材3を吸着剤等と共に外被材2の袋内に挿入し、内部を10Paまで減圧して残りの一辺を熱溶着により封止して真空断熱材1を作製した。
これとの比較用として、ラミネートフィルム2bに芯材3側から順に、直鎖型低密度ポリエチレンフィルムまたは高密度ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムまたはポエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートまたはポリアクリルニトリルフィルムまたはエチレン・ポリビニルアルコール共重合樹脂フィルムのいずれか一つからなる熱溶着層4、金属を蒸着したエチレン・ポリビニルアルコール共重合樹脂フィルム12、金属を蒸着したポエチレンテレフタレートフィルム13、最外層としてナイロンフィルムまたはポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレンナフタレートフィルムまたはポリプロピレンフィルムのうちいずれか一つのフィルム14よりなるラミネートフィルムを適用し、真空断熱材1を作製した。
これらの真空断熱材1の初期の熱伝導率を測定したところ、0.0025W/mKであった。また、これらの真空断熱材1を30℃の雰囲気に10年間放置したと見込まれる加速試験を行った後の熱伝導率を測定した。
ガスバリヤー層5bにポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を使用したものとエチレン・ポリビニルアルコール共重合樹脂12を使用したものでは、それぞれ0.0050W/mK、0.0100W/mKであり、ガスバリヤー層5bにポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を使用した真空断熱材1の方が熱伝導率変化が小さく良好であった。
これは、ポリエチレンテレフタレート等のベースフィルム8に金属、金属酸化物、シリカのいずれかの蒸着層9を有し、その上にポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を有したものであり、特にポリアクリル酸系樹脂コーティング層10はガスバリヤー性に優れるため、蒸着層9の効果との相乗効果により上記の様に非常に良好なガスバリヤー性が得られたものである。
この結果、真空断熱材1に侵入するガス量を大幅に低減することができることにより、真空断熱材1のその優れた断熱効果を長期に渡り保持できる効果が得られる。また、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10は熱溶着層4側にあるため真空断熱材1の端面より侵入するガス量も低減できる効果が得られる。
更に、ガスバリヤー層5bは金属、金属酸化物、シリカのいずれかの蒸着層9とポリアクリル酸系樹脂コーティング層10の2層を有しているため、真空断熱材1の作製時等に生じる熱溶着部15近傍の折り曲げによる蒸着層9の剥離が発生しても、その上に屈曲時に剥離しにくいポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を有しているため、熱溶着部4b近傍の折り曲げによるガスバリヤー性の悪化も防止できる効果も得られる。
また、真空断熱材1のガスバリヤー層5bより外気側に位置するナイロンフィルムまたはポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレンナフタレートフィルムまたはポリプロピレンフィルムまたはその複層フィルムよりなる第1、第2の保護層6b,7bを有しているため、ガスバリヤー層5bを真空断熱材1の外気側からの擦れ等によるピンホールから保護することができると共に、真空断熱材1の芯材3による真空断熱材1内部からの突き刺しによるピンホールに対しても保護することができる。
また、ガスバリヤー層5bのポリアクリル酸系樹脂コーティング層10側が熱溶着層4b側に配置された構成では、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10の外気側にベースフィルム8があるため、真空断熱材1の外側からの摩擦、擦れ等による外側からのピンホールを防止することができる効果が得られる。
また、真空断熱材1の芯材3からの突刺に対しベースフィルム8がこの突刺を緩衝し、更に、その先に蒸着層9、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を有しておりこれらが芯材3からの突刺に対し抵抗となると共に、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10は硬いが柔軟性を有しているため、芯材3からの突刺に対して耐ピンホールについて有効な効果が得られる。
また、ガスバリヤー層5bのベースフィルム8が熱溶着層4b側に配置された構成では、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10、蒸着層9がポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレンナフタレートフィルムまたはナイロンフィルムまたはポリプロピレンフィルムのベースフィルム8の外気側にあるため、ガスバリヤー層5は芯材3側からの突刺に対し、まずはベースフィルム8があるためそこが抵抗となる。
更に、その次の蒸着層9、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10と構成されることになるが、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10は硬いが柔軟性を有しているため、芯材3側からの突刺に対し抵抗となり、ピンホール発生の低減を図ることができる。
また、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10は硬いが柔軟性を有しているため、最外層として適用可能である。ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10の外層として、一層または二層の保護層6,7をラミネートした場合には、真空断熱材1の外側からの摩擦、突刺等及び芯材3側からの突刺に対し保護でき、真空断熱材1の耐久性は更に向上する効果が得られる。
芯材3は、無機及び有機の粉末材料、無機及び有機の繊維材料などが利用でき、特に指定するものではないが、例えば、粉末材料としては凝集シリカ粉末、発泡パーライト粉砕粉末、珪藻土粉末、珪酸カルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、クレー及びタルクなどの無機粉末が使用でき、繊維材料としてはグラスウール、セラミックファイバーなどの無機繊維が好ましい。
また、金属蒸着の材料は、アルミニウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、銀、或いはそれらの混合物等が使用でき、無機酸化物蒸着の材料は、前述したシリカの他にアルミナ等が使用できる。
以上説明したように本実施の形態の真空断熱材1は、融点150℃以上のプラスチックフィルムからなるベースフィルム8に、金属、金属酸化物、シリカのいずれかの蒸着層9を有し、この蒸着層9の上にポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を有したプラスチックラミネートフィルムからなる外被材2bにより、芯材3の一方の伝熱面を覆ったものである。
融点150℃以上のプラスチックフィルムに金属、金属酸化物、シリカのいずれかの蒸着を行い、その上にポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を有したフィルムのガスバリヤー性は、エチレン・ポリビニルアルコールの共重合樹脂層に金属蒸着を行ったフィルムの数倍のガスバリヤー性を有しているため、真空断熱材1に侵入するガス量を低減することができる効果が得られる。
更に、金属、金属酸化物、シリカのいずれかの蒸着層9に加えて、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を有するため、真空断熱材1作製時等に生じる熱溶着部近傍の折り曲げにより蒸着層9の剥離が発生しても、その蒸着層9の上に屈曲時等に剥離しにくいポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を有しているため、熱溶着部近傍の折り曲げによるガスバリヤー性の悪化も防止できる効果も得られる。
また、本実施の形態は、蒸着層9にポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を反応させている。これにより、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10に使用しているポリアクリル酸系樹脂が蒸着層9と化学結合が行われることにより、真空断熱材1としてのガスバリヤー性が向上し真空断熱材1に侵入するガス量を大幅に低減することができる効果が得られる。
また、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10側に熱溶着層4bを有する場合は、熱溶着層4b側にガスバリヤー層であるポリアクリル酸系樹脂コーティング層10が存在するため、真空断熱材1端面からのガス侵入量を低減できる効果が得られる。また、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10は硬いが柔軟性を有しているため、芯材からの突刺に対して有効な効果が得られる。
また、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10と蒸着層9が、ベースフィルム8の内側(芯材3側)にあるため、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10と蒸着層9の、真空断熱材1の外側からの擦れ等によるピンホールは小さくなり、真空断熱材1の外側からの擦れ等によるガスバリヤー性の低下を小さくできる。
さらに、ベースフィルム8側に保護層6b,7bを設けると、真空断熱材1の外側からの突刺、摩擦等によるピンホールの発生を防止し、真空断熱材1の真空ブレークを防止できる効果が得られる。
また、ベースフィルム8側に熱溶着層4bを有する場合は、真空断熱材1の芯材3からの突刺に対しベースフィルム8がこの突刺を緩衝し、更にその先に蒸着層9、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を有しており、これらが芯材3からの突刺に対し抵抗となると共に、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10は硬いが柔軟性を有しているため、芯材3からの突刺に対して有効な効果が得られる。
さらに、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10側に保護層6b,7bを設けると、芯材3側からの突刺に対しても更に有効であると共に、真空断熱材1の外側からの突刺、摩擦等によるピンホールの発生を防止し、真空断熱材1の真空ブレークを防止できる効果も得られる。
また、熱溶着層4bに、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリルニトリルフィルム、エチレン・ポリビニルアルコール共重合樹脂フィルムのいずれかを使用することにより、ガスバリヤー性、耐熱性の向上を図ることができる。
また、保護層6b,7bに、ナイロン、ポエチレンテレフタレート、ポエチレンナフタレート、ポリプロピレンフィルムのいずれかあるいはその複層フィルムを適用することにより、耐ピンホール性、耐摩擦性の向上を図ることができる。
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における真空断熱材の一例の平面図、図8は、同実施の形態2における真空断熱材の別の例の平面図、図9は、同実施の形態2における真空断熱材の断面図である。
本実施の形態の真空断熱材16は、1枚の外被材17の一辺とその対辺を熱溶着によりシールし、熱溶着部18の隣辺を熱溶着によりシールされている。
外被材17は上記したラミネートフィルム2bと同一であり、その構成は熱溶着層4bに、直鎖型低密度ポリエチレンフィルムまたは高密度ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムのいずれか一つを用い、ガスバリヤー層5bはポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレンナフタレートフィルムまたはナイロンフィルムまたはポリプロピレンフィルムのベースフィルム8に金属、金属酸化物、シリカのいずれか一つの蒸着層9を形成し、その上にポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を形成したもの、第1の保護層6b及び第2の保護層7bにはナイロンフィルムまたはポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレンナフタレートフィルムまたはポリプロピレンフィルムまたはその複層フィルムとしたものである。
本実施の形態の真空断熱材16は、2枚の外被材2a,2bの4辺を熱溶着して作製した実施の形態1の真空断熱材1に比較して、一辺分の熱溶着部18が短くなるため熱溶着層4bを介して侵入するガス量を低減することができる効果が得られる。
また、真空断熱材16の面部から侵入するガス量は、そのガスバリヤー層5bとしてポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレンナフタレートフィルムまたはナイロンフィルムまたはポリプロピレンフィルムのベースフィルム8に金属、金属酸化物、シリカのいずれかの蒸着層9を有し、その上にポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を有したものであるため、エチレン・ポリビニルアルコールの共重合樹脂層に金属蒸着を行ったガスバリヤー層よりガスバリヤー性は優れているため、真空断熱材16内に侵入するガス量を大幅に低減できる効果が得られる。
また、前記熱溶着部18を端面以外に位置させた構成では、熱溶着部18の熱溶着幅を真空断熱材18の幅の大きさにより小さい構成では真空断熱材16の寸法は広がることがないため、前記熱溶着部18の幅を大きくし、熱溶着層4bからのガス侵入を大幅に低減できる効果も得られる。
また、実施の形態1のように2枚の外被材2a,2bの4辺を熱溶着して作製した真空断熱材1は、ヒートシール部が真空断熱材1の端に存在することになるが、図8に示す本実施の形態のように熱溶着部18を端以外に位置させた構成では、端に熱溶着部18が存在しないため、真空断熱材16全体に対する有効部分の割合を高くすることができるため、前記端を従来のように折り畳む必要が無く真空断熱材16製造時の工程を低減できる効果が得られる。
加えて、ガスバリヤー層5bには金属、金属酸化物、シリカのいずれかの蒸着層9とポリアクリル酸系樹脂コーティング層10の2層を有しているため、真空断熱材16作製時等に生じる熱溶着部18近傍の折り曲げにより蒸着層9の剥離が発生しても、その上に屈曲時に非常に剥離しにくく、ガスバリヤー性を確保できるポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を有しているため、熱溶着部18近傍の折り曲げによるガスバリヤー性の悪化も防止できる効果も得られる。更に、上記したように真空断熱材16の外気側、芯材3側からのピンホール要因に対しても良好である。
芯材3は、無機及び有機の粉末材料、無機及び有機の繊維材料などが利用でき、特に指定するものではないが、例えば、粉末材料としては凝集シリカ粉末、発泡パーライト粉砕粉末、珪藻土粉末、珪酸カルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、クレー及びタルクなどの無機粉末が使用でき、繊維材料としてはグラスウール、セラミックファイバーなどの無機繊維が好ましい。また、金属蒸着の材料は、アルミニウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、銀、或いはそれらの混合物等が使用でき、無機酸化物蒸着の材料は、前述したシリカの他にアルミナ等が使用できる。
以上説明したように本実施の形態の真空断熱材16は、1枚の外被材17の一辺とその対辺を熱溶着によりシールし、その熱溶着部の隣辺を熱溶着によりシールして芯材3を密封したので、実施の形態1のような2枚の外被材2a,2bを向かい合わせて4辺を熱溶着して作製した真空断熱材1に比較して、一辺分熱溶着部18が少なくなるため熱溶着層4bを介して侵入する空気量を低減することができる効果が得られる。
また、図8に示すように熱溶着部18を端面以外に位置させた構成では、熱溶着部18の熱溶着幅を真空断熱材16の幅の大きさに近くない限り真空断熱材16の寸法は広がることがないため、熱溶着幅を大きくし、熱溶着層4bからのガス侵入を大幅に低減できる効果も得られる。
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3における真空断熱材の断面図である。
本実施の形態の真空断熱材19は、溝20を起点に折り曲げられた真空断熱材である。真空断熱材19の外被材21は、2種類のラミネートフィルムより構成されており、そのラミネートフィルムの構成の一方は、上記したラミネートフィルム2a、他方はラミネートフィルム2bと同一であり、ラミネートフィルム2a及び2bを向かい合わせて3辺を熱溶着して構成している。この外被材21を用いて真空断熱材を作製した後、ラミネートフィルム2b側に溝20を作製する。
この溝20を起点に真空断熱材19を折り曲げる(谷折りする)ことにより、真空断熱材19が完成する。ラミネートフィルム2bのガスバリヤー層5bはポリエチレンテレフタレートフィルムまたはポリエチレンナフタレートフィルムまたはナイロンフィルムまたはポリプロピレンフィルムのベースフィルム8に金属、金属酸化物、シリカのいずれかの蒸着層9を有し、その上にポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を有したものであるため、エチレン・ポリビニルアルコールの共重合樹脂層に金属蒸着を行ったものに比較し、ガスバリヤー性が良好であると共に耐屈曲性が非常に優れるため、ベースフィルム8の蒸着層9の剥離が発生しても、その上に屈曲時に剥離しにくいポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を有しているため、真空断熱材19は溝付け、折り曲げによる蒸着層9の剥離等に伴うガスバリヤー性の悪化も防止できる効果が得られる。
芯材3は、無機及び有機の粉末材料、無機及び有機の繊維材料などが利用でき、特に指定するものではないが、例えば、粉末材料としては凝集シリカ粉末、発泡パーライト粉砕粉末、珪藻土粉末、珪酸カルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、クレー及びタルクなどの無機粉末が使用でき、繊維材料としてはグラスウール、セラミックファイバーなどの無機繊維が好ましい。
また、金属蒸着の材料は、アルミニウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、銀、或いはそれらの混合物等が使用でき、無機酸化物蒸着の材料は、前述したシリカの他にアルミナ等が使用できる。
以上のように本実施の形態の真空断熱材19は、ベースフィルム8に蒸着層9とポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を有する層を備えた外被材2b側に折り曲げ用の溝20を設け、この溝20を内側にして所定角度谷折りしたものであり、溝20を設けて折り曲げを行う真空断熱材19の外被材21のガスバリヤー層は、屈曲等による剥離に強いポリアクリル酸系樹脂コーティング層10と、金属、金属酸化物、シリカのいずれかの蒸着層9とを有するため、真空断熱材19の溝20形成及び熱溶着部近傍の折り曲げ等により蒸着層9が剥離しても、耐屈曲性が良好なポリアクリル酸系樹脂コーティング層10が残存しているため、真空断熱材19の折り曲げによるガスバリヤー性の悪化も防止でき、ガス侵入量の増大を抑えることができる効果が得られる。
(実施の形態4)
図10は冷蔵庫22の本体部分の断面図である。冷蔵庫本体22は、鋼板からなる外箱23と、ABS樹脂からなる内箱24とで構成される空間の片面に真空断熱材25を配設し、真空断熱材25以外の空間を硬質ウレタンフォーム(発泡断熱材)26で発泡充填している。冷蔵庫本体22は、上部に冷蔵室27、下部に冷凍室28が形成され、背面下部の機械室29には、圧縮機30が搭載されている。
真空断熱材25は、実施の形態1または実施の形態2または実施の形態3で示した構成である。この真空断熱材25は、上記した実施の形態1または実施の形態2または実施の形態3で示した効果を有しているため、冷蔵庫22に適用することにより、冷蔵庫22の箱体としての優れた断熱性能を真空断熱材25のガスバリヤー性の向上、熱溶着部15近傍の折り曲げ部からのガス侵入量増大の防止により、長期間に渡り保持することができるため冷蔵庫22の消費電力量の増加を低減することができる効果が得られる。
また、実施の形態3の真空断熱材25を用い、これを図10に示す内箱24の下部に適用することにより、冷蔵庫22への真空断熱材25の適用面積を増やすことができ、これにより冷蔵庫22の断熱性能を更に向上させ、冷蔵庫22の消費電力量を更に削減できる効果が得られる。
また、実施の形態2の真空断熱材25を適用した場合には、その外被材には金属箔が使用されていないため、真空断熱材25のヒートリークが少なくなり、冷蔵庫22の箱体としての断熱性能が更に向上する効果が得られる。
芯材3は、無機及び有機の粉末材料、無機及び有機の繊維材料などが利用でき、特に指定するものではないが、例えば、粉末材料としては凝集シリカ粉末、発泡パーライト粉砕粉末、珪藻土粉末、珪酸カルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、クレー及びタルクなどの無機粉末が使用でき、繊維材料としてはグラスウール、セラミックファイバーなどの無機繊維が好ましい。
また、金属蒸着の材料は、アルミニウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、銀、或いはそれらの混合物等が使用でき、無機酸化物蒸着の材料は、前述したシリカの他にアルミナ等が使用できる。
以上説明したように本実施の形態の冷蔵庫22は、外箱23と、内箱24と、外箱23と内箱24との間で外箱23または内箱24の壁面に実施の形態1から3のうちいずれかの真空断熱材25を配設し、外箱23と内箱24と真空断熱材25とによって形成される空間に発泡断熱材26を充填したものである。
これにより、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10と蒸着層9の組み合わせのガスバリヤー層5bを適用することにより真空断熱材25内に侵入するガス量を大幅に低減する事ができ、更に長期に渡り冷蔵庫22の高い断熱性を維持することができる効果が得られる。
また、実施の形態2の真空断熱材16を配設した場合は、金属箔の熱伝導による冷蔵庫断熱材のヒートリークを抑えることができ、冷蔵庫22の消費電力の低減を図ることができる効果が得られると共に熱溶着部18が一辺少なくなるため真空断熱材16へ侵入するガス量を低減でき、更に冷蔵庫22の高い断熱性能を長期に渡り保持できる効果が得られる。
それに加え、真空断熱材16の端部に存在する熱溶着部18の数を少なくできるので、冷蔵庫22に適用する場合における真空断熱材16(25)の端面処理に関係する時間を大幅に短縮することができる効果が得られる。
(実施の形態5)
図12は、本発明の実施の形態5における電気湯沸かし器(給湯装置)の断面図である。
図12において、電気湯沸かし器31は本体の内部に湯を沸かすとともに貯湯する貯湯容器32を有し、上部を開閉可能な上蓋33で覆っている。
貯湯容器32の底面にはドーナツ状のヒーター34が密接して装着されており、湯温は制御装置35が温度検知器36からの信号を取り込み、ヒーター34を制御して所定の温度を保つ。
また、同じく底面に設けた吸込口37からモーター38により駆動されるポンプ39を経て、お湯の出口である吐出口40までが出湯管41により連通しており、出湯は押しボタン42を押してモーター38を起動することにより行う。
更に、貯湯容器32の側面には真空断熱材43が配設され、貯湯容器32の熱が逃げて湯温が低下することを抑えている。
この真空断熱材43は実施の形態1または実施の形態2または実施の形態3で示した構成である。この真空断熱材43は前記実施の形態1または実施の形態2または実施の形態3で示した効果を有しているため、電気湯沸かし器31の貯湯容器32に適用することにより、貯湯容器32の保温効果を真空断熱材43のガス侵入量増大の防止により長期間に渡り保持することができるため電気湯沸かし器31の消費電力量の増加を低減することができる効果が得られる。
特に、この真空断熱材43のガスバリヤー性は、従来のエチレン・ポリビニルアルコールの共重合樹脂層12を用いたものに比較し、温度が高いほど良好であるため、そのガス侵入量の低減による真空断熱材43としての断熱特性の保持効果は非常に良好であり、本実施の形態の電気湯沸かし器31等においてその効果を発揮することができる効果が得られる。
また、実施の形態2の真空断熱材43を適用した場合には、その外被材は金属箔が使用されておらず、またそのガスバリヤー性は良好であるため、真空断熱材のヒートリークが少なくなり、電気湯沸かし器31の消費電力量の増加を低減することができる効果が得られる。
また、上記したよう様に、真空断熱材43の高温でのガスバリヤー性は非常に良好であるため、真空断熱材43に使用されている外被材の適用温度範囲で湯沸かしヒーター34が配設された位置のできるだけ近くまで設置すれば、貯湯容器32のお湯が冷めにくく消費電力を削減できるとともに、貯湯容器より下部の体積を小さくすることができ、給湯装置を小型化することができる効果が得られる。
芯材3は、無機及び有機の粉末材料、無機及び有機の繊維材料などが利用でき、特に指定するものではないが、例えば、粉末材料としては凝集シリカ粉末、発泡パーライト粉砕粉末、珪藻土粉末、珪酸カルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、クレー及びタルクなどの無機粉末が使用でき、繊維材料としてはグラスウール、セラミックファイバーなどの無機繊維が好ましい。
また、金属蒸着の材料は、アルミニウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、銀、或いはそれらの混合物等が使用でき、無機酸化物蒸着の材料は、前述したシリカの他にアルミナ等が使用できる。
真空断熱材43の外被材の熱溶着層は、無延伸ポリプロピレンフィルムとすることが望ましい。無延伸ポリプロピレンフィルムは、高密度ポリエチレンフィルムや低密度ポリエチレンフィルムよりも融点が高いため、真空断熱材はより高い温度まで使用できる。
以上説明したように本実施の形態の給湯装置(電気湯沸かし器)31の発明は、本体の内部に配置され湯沸かしヒーター34により加熱される貯湯容器32と、本体と貯湯容器32との間で貯湯容器32を包むように配設された実施の形態1から3のいずれかの真空断熱材43とを備えたものである。
これにより、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10と蒸着層9とを組み合わせたガスバリヤー層5bは適用できる温度が高く、また高温でのガスバリヤー性も優れており、真空断熱材43に侵入するガス量を低減でき、長期間に渡り高い断熱性能を維持できるため、給湯装置31の高い保温効果を長期に渡り維持でき、省エネルギー効果が得られる。
また、貯湯容器32側の外被材に、ベースフィルム8に蒸着層9とポリアクリル酸系樹脂コーティング層10を有するガスバリヤー層5bを備えて外被材を使用すると、このポリアクリル酸系樹脂コーティング層10は熱を伝えにくいため、給湯装置31としてのヒートリーク量が小さくなり、給湯装置31のヒーター34により加熱する時間が短くなるため給湯装置31の省エネルギーを図ることができる効果が得られる。
また、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層10は高温においても良好なガスバリヤー性を有しているため真空断熱材43の長期信頼性に関しても問題はない。
以上のように本発明によれば、真空断熱材の外被材のガスバリアー層に金属箔を使用することなく、真空断熱材内へのガス侵入量を小さく抑えることができ、耐屈曲性が良好で折り曲げても折り曲げ部のガスバリヤー性の劣化がほとんどなく、1枚の外被材で芯材を密封して熱溶着部をする場合でも、一方の伝熱面から他方の伝熱面にガスバリアー層を通って伝わる熱量が、ガスバリアー層に金属箔を使用した場合に比べて少なく、長期に渡り高いその断熱特性を維持することができるので、冷蔵庫や給湯装置などの高い断熱性が必要とされる用途に適用できる。
本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図 本発明の実施の形態1における外被材の構成図 本発明の実施の形態1におけるガスバリヤー層の一例の構成図 本発明の実施の形態1におけるガスバリヤー層の別の例の構成図 本発明の実施の形態1の比較例におけるガスバリヤー層の構成図 本発明の実施の形態1における真空断熱材の一例の平面図 本発明の実施の形態2における真空断熱材の一例の平面図 本発明の実施の形態2における真空断熱材の別の例の平面図 本発明の実施の形態2における真空断熱材の断面図 本発明の実施の形態3における真空断熱材の断面図 本発明の実施の形態4における冷蔵庫の本体部分の断面図 本発明の実施の形態5における電気湯沸かし器の断面図
符号の説明
1 真空断熱材
2 外被材
3 芯材
4a,4b 熱溶着層
5a,5b ガスバリヤー層
6a,6b 第一の保護層
7a,7b 第二の保護層
8 ベースフィルム
9 蒸着層
10 ポリアクリル酸系樹脂コーティング層
12 エチレン・ポリビニルアルコールの共重合樹脂層
15 熱溶着部
16 真空断熱材
17 外被材
18 熱溶着部
19 真空断熱材
20 溝
21 外被材
25 真空断熱材
43 真空断熱材

Claims (9)

  1. 2枚の外被材を向かい合わせて芯材を覆い、内部を減圧し熱溶着により封止する真空断熱材の製造方法であって、前記2枚の外被材の少なくとも一方の外被材のガスバリヤー層を、融点150℃以上のベースフィルムに、金属、金属酸化物、無機酸化物のいずれかを蒸着して蒸着層を形成し、前記蒸着層の上にポリアクリル酸系樹脂の塗布及び100℃以上の温度での乾燥によるコーティングを施すことにより形成する真空断熱材の製造方法。
  2. 1枚の外被材の一辺とその対辺を熱溶着によりシールし、前記熱溶着部の隣辺を熱溶着によりシールして芯材を減圧密封する真空断熱材の製造方法であって、前記外被材のガスバリヤー層を、融点150℃以上のベースフィルムに、金属、金属酸化物、無機酸化物のいずれかを蒸着して蒸着層を形成し、前記蒸着層の上にポリアクリル酸系樹脂の塗布及び100℃以上の温度での乾燥によるコーティングを施すことにより形成する真空断熱材の製造方法。
  3. ベースフィルムに蒸着層とポリアクリル酸系樹脂コーティング層を有する外被材の熱溶着層を、前記ポリアクリル酸系樹脂コーティング層側に設ける請求項または記載の真空断熱材の製造方法。
  4. ベースフィルムに保護層を設ける請求項記載の真空断熱材の製造方法。
  5. ベースフィルムに蒸着層とポリアクリル酸系樹脂コーティング層を有する外被材の熱溶着層を、前記ベースフィルム側に設け、ポリアクリル酸系樹脂コーティング層側に保護層を設ける請求項または記載の真空断熱材の製造方法。
  6. 熱溶着層が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリルニトリルフィルム、エチレン・ポリビニルアルコール共重合樹脂フィルムのいずれかであることを特徴とする請求項からのいずれか一項記載の真空断熱材の製造方法。
  7. 熱溶着層が、無延伸ポリプロピレンフィルムであることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の真空断熱材の製造方法。
  8. 保護層が、ナイロン、ポエチレンテレフタレート、ポエチレンナフタレート、ポリプロピレンフィルムのいずれかあるいはその複層フィルムからなることを特徴とする請求項または記載の真空断熱材の製造方法。
  9. ベースフィルムに蒸着層とポリアクリル酸系樹脂コーティング層を有する層を備えた外被材側に折り曲げ用の溝を設け、前記溝を内側にして所定角度谷折りすることを特徴とする請求項からのいずれか一項に記載の真空断熱材の製造方法。
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