JP3855544B2 - データ識別装置及びその装置を用いたデータ識別方法 - Google Patents
データ識別装置及びその装置を用いたデータ識別方法Info
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、識別タグ照合部が非接触で識別タグと交信し、その識別タグのセキュリティデータを比較照合するデータ識別装置、及びその装置を用いたデータ識別方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のデータ識別装置として、図6に示す構成のものが存在する。このものは、不揮発性のメモリを設けそのメモリにセキュリティデータ及び識別データがそれぞれ書込まれるセキュリティデータ格納エリア及び識別データ格納エリアを配設した識別タグAと、識別タグAに非接触で交信してセキュリティデータを読み取り自己のものと比較照合する識別タグ照合部Bとを備えている。そして、識別タグ照合部Bは識別タグAと互いに電磁波でもって非接触でデータ通信する。
【0003】
さらに詳しくは、いわゆる非接触IDシステムはデータを記憶する不揮発性のメモリを内部に設けた識別タグAと、その識別タグAにデータを書込み/読み出す機能を有するリーダライタ部とを設け、識別タグA及びリーダライタ部間で、電磁誘導により相互にデータ通信を行う。そして、工場設備などの産業用用途、及び物流管理等に利用され、近年ビルや建物の入出退管理、セキュリティシステム、及びキャッシュレスシステム等に利用されている。そして、このようにセキュリティを必要とする分野で非接触IDシステムを利用する場合、システムを設計構築したシステムメーカー、ビル建物等の管理会社、又はその所有法人の管理部門等のセキュリティシステムの保全者が、識別タグAのデータの登録、変更、及び管理等を行っている。
【0004】
ここで、セキュリティシステムとして使用される非接触IDシステムであるデータ識別装置では、特にセキュリティの確保が重要な問題であって、装置の製造者が識別タグAの出荷時に工場で、セキュリティシステムの保全者に対して割り当てられた所定のセキュリティデータを、専用リーダライタ(データ入力用)を使って、識別タグAの不揮発性のメモリに書込み登録していた。
【0005】
すなわち、識別タグAのメモリにセキュリティデータを格納するセキュリティデータ格納エリアを設け、専用リーダライタのみがセキュリティデータ格納エリアにアクセスしてセキュリティデータを登録、変更、及び参照して、装置を使用する最終ユーザ及び保全者は登録、変更、及び参照できない。そして、装置の製造者が各保全者に対して割り当てたセキュリティデータを、セキュリティデータ格納エリアに格納し登録することによって、セキュリティを確保するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のデータ識別装置では、装置の製造者が専用リーダライタを使用しセキュリティデータを識別タグAのメモリに登録してセキュリティを確保できる。
【0007】
しかしながら、識別タグAが複数あるとき、所定のセキュリティデータを識別タグAの全数に登録しなければならず、識別タグAのコストが高くなるとともに、装置の製造者側で識別タグAの出荷毎に保全者名、出荷数量、出荷日、及びセキュリティデータ等の履歴を管理する必要があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなしたもので、その目的とするところは、識別タグのコストダウンを図るとともに装置の製造者が識別タグを容易に管理できるデータ識別装置、及びその装置を用いたデータ識別方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、請求項1記載のデータ識別装置は、不揮発性のメモリを設けそのメモリにセキュリティデータ及び識別データがそれぞれ書込まれるセキュリティデータ格納エリア及び識別データ格納エリアを配設した識別タグと、識別タグに非接触で交信してセキュリティデータを読み取り自己のものと比較照合する識別タグ照合部とを備えたデータ識別装置において、所定の前記セキュリティデータを保持した制御部がそのセキュリティデータを初期化された前記識別タグに書込むとともに読取るよう形成されたリーダライタ部と、予め前記所定のセキュリティデータが書込まれたセキュリティデータ設定タグと、前記リーダライタ部を用いて所望のセキュリティデータを書込み可能なセキュリティデータ付与タグと、をそれぞれ別体に設け、リーダライタ部はセキュリティデータ設定タグと互いに交信して前記セキュリティデータが保持され、識別タグ照合部はセキュリティデータ付与タグと互いに交信して前記所望のセキュリティデータが保持される構成にしてある。
【0010】
請求項2記載のデータ識別装置は、請求項1記載のものにおいて、前記識別タグ照合部は前記セキュリティデータ付与タグとの交信が不可能となるセキュリティロックモードを備えてなる構成にしてある。
【0011】
請求項3記載のデータ識別方法は、請求項1又は請求項2記載のデータ識別装置を用いたデータ識別方法において、別体に設けられたリーダライタ部は、所定のセキュリティデータを保持した制御部がそのセキュリティデータを初期化された識別タグにおける不揮発性のメモリに配設されたセキュリティデータ格納エリアに書込み、識別タグ照合部が識別タグと非接触で交信して書込まれたセキュリティデータを読み取り自己のものと比較照合し、一致したとき識別タグの識別データ格納エリアに書込まれた識別データを読取る構成にしてある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施形態を図1乃至図4に基づいて以下に説明する。
【0015】
このデータ識別装置は、セキュリティデータ及び個人を識別する個人コード等の識別データがそれぞれ書込まれた識別タグ1、例えばビル建物又は施設等の扉に設置される識別タグ照合部2、及びセキュリティシステムを管理保全する複数の保全者等によって使用され識別タグ1へのセキュリティデータや識別データの書き換え読み出しが可能となるリーダライタ部3を備えて構成される。また、識別タグ1及び識別タグ照合部2、並びに識別タグ1及びリーダライタ部3間は電磁波でもって非接触でデータ通信する。上述した構成にあって、リーダライタ部3は、セキュリティデータや識別データの読み取り/書き込みといった治具用に用いられ、識別タグ照合部2は、セキュリティデータや識別データの読み取り照合/結果出力といった運用用に用いられる。
【0016】
1は識別タグで、カード状で略四角状に形成され、個人によって携帯されて、複数個で形成さる。なお、識別タグ1の形状はこれに限られるものではなく、用途により、コイン形状、ペンダント形状等の形状であってもよい。
【0017】
各識別タグ1が全体を制御するタグ制御部11、例えば不揮発性のEEPROMからなるメモリ12、データを変調して電磁波に搬送する変調部13、受信したデータを復調する復調部14、及び後述する識別タグ照合部2からの電波を自己の電源に変換して全体に電源を供給する電源部15を有して形成されて、電磁波でもってデータを送受信する。
【0018】
ここで、図2に示すように、不揮発性のメモリ12は、セキュリティデータ格納エリア12a、システムデータを格納するシステムデータ格納エリア(図示せず)、及び識別データ格納エリア12bをそれぞれ備えてなる。そして、装置の製造者によって各保全者に対して割り当てられた所定のセキュリティデータが、セキュリティデータ格納エリア12aに書込まれて格納されるとともに、個人を識別する識別データが識別データ格納エリア12bに書込まれて格納される。
【0019】
識別タグ照合部2は、独立した使用を想定したスタンドアロンタイプと上位ホストと通信を行うシリアルタイプとがある。スタンドアロンタイプにあっては、識別タグ1とデータ照合を行い、一致すれば所定の出力を行うようになっている(リード動作)。また、シリアルタイプにあっては、識別タグ1とデータ照合を行い、照合結果に応じて識別タグ1にデータを書き込むようになっている(リード/ライト動作)。
【0020】
例えば、識別タグ照合部2は、図3に示すように、マイクロコンピュータからなり全体を制御する照合制御部21と、データを送受信する照合送受信部22とを有して構成され、入退出時間等データを記録する必要のあるときは、パーソナルコンピュータ又はFAコンピュータ等の上位ホストに接続される。そして、照合制御部21が自己の所定のセキュリティデータ、又はセキュリティデータと識別データとを保持し、識別タグ1と非接触で交信して識別タグ1のセキュリティデータ及び識別データを読み取り自己のそれぞれと比較照合して、一致すれば一致信号を出力して例えばドアを解錠するのである。
【0021】
3はリーダライタ部で、識別タグ照合部2とは別体に設けられ、マイクロコンピュータからなり全体を制御する制御部31と、データを送受信する送受信部32とを有して構成され、パーソナルコンピュータ又はFAコンピュータ等の上位ホストに接続される。そして、制御部31が全体を制御するシステムプログラムを書込まれる際に同時に、各保全者毎に異なった所定のセキュリティデータを書込まれて保持して、各セキュリティデータ毎にバージョン管理(種類の管理)される。そして、識別タグ1と交信してその識別タグ1のセキュリティデータ格納エリア12a及び識別データ格納エリア12bにアクセスして、セキュリティデータをセキュリティデータ格納エリア12aに、識別データを識別データ格納エリア12bにそれぞれ書込むとともに、識別タグ1のセキュリティデータ及び識別データを読取る。このものについては、詳しく後述する。
【0022】
リーダライタ部3の動作(識別タグ1へのセキュリティデータの書込方法)について説明する。リーダライタ部3は識別タグ1と交信しその識別タグ1が初期化されたものであるとき(例えばデータが全てNULLであるとき)、最初のアクセス時に、制御部31に保持された所定のセキュリティデータをメモリ12のセキュリティデータ格納エリア12aに、識別データを識別データ格納エリア12bにそれぞれ書込んで登録する。すなわち保全者側からは、識別データを識別タグ1に登録時に、セキュリティデータが意識することなく自動的に識別タグ1のセキュリティデータ格納エリア12aに書込まれる。
【0023】
次いで、識別タグ1と交信しセキュリティデータが所定のセキュリティデータであって自己のものと一致したとき、識別タグ1との交信を継続し、識別データ格納エリア12bにアクセス(読み書き)して、識別データの登録、変更、及び参照等の一連の作業、並びに識別タグ照合部2のLED制御及びアクセス対象のメモリアドレス等のデータ書込作業を実行する。一方、所定のセキュリティデータでなく別のセキュリティデータであって自己のものと一致しないとき、別の保全者が管理する識別タグ1であると認識し、識別タグ1との交信を遮断しアクセスを不可能にして、識別データの登録、変更、及び参照等の一連の作業を実行しない。
【0024】
識別タグ1及び識別タグ照合部2の動作(スタンドアロンタイプ)を図4に基づいて説明する。識別タグ1は上記したように、リーダライタ部3によって所定のセキュリティデータ及び識別データを不揮発性のメモリ12に書込まれている。識別タグ照合部2は、識別タグ1がかざされるとその識別タグ1のセキュリティデータを読み取って、セキュリティデータが所定のセキュリティデータであって照合制御部21に保持された自己のものと一致したとき交信を継続し、続いて識別データを読み取り同様に自己の識別データと一致したとき一致信号を出力して解錠する。一方、セキュリティデータが所定のセキュリティデータでなく照合制御部21に保持された自己のものと一致しないとき、交信を中止して以降の動作を実行しない。
【0025】
かかる第1実施形態のデータ識別装置にあっては、上記したように、リーダライタ部3が別体に設けられて、所定のセキュリティデータを保持した制御部31がそのセキュリティデータを初期化された識別タグ1に書込むとともに読み取るから、装置の製造者が工場で特殊な専用リーダライタを用いてセキュリティデータを識別タグ1に書込んだ従来と異なって、製造者ではなく保全者がリーダライタ部3を用いてセキュリティデータを識別タグ1に書込んで、出荷する識別タグ1を初期化済みの1種類として識別タグ1のコストダウンを達成できるとともに、管理を保全者名とセキュリティデータのみとして製造者側における識別タグ1の管理を簡素化することができる。また、リーダライタ部3により書き換え可能なデータに制限を加え、一部のデータを装置の製造者が工場で特殊な専用リーダライタを用いてしか書き換えが出来ないようにすることは容易であり、これにより装置の製造者が識別タグ1を管理する際に必須となる出荷番号等のデータが書き換えられる等を防止することが可能になる。
【0026】
また、第1実施形態のデータ識別装置を用いたデータ識別方法にあっては、上記したように、所定のセキュリティデータを保持して別体に設けられたリーダライタ部3の制御部31がそのセキュリティデータを初期化された識別タグ1のセキュリティデータ格納エリア12aに書込み、識別タグ照合部2が識別タグ1と非接触で交信して書込まれたセキュリティデータを読み取り自己のものと比較照合し、一致したとき識別タグ1の識別データを読取るから、出荷する識別タグ1を初期化済みの1種類として識別タグ1のコストダウンを達成できるとともに、管理を保全者名とセキュリティデータのみとして製造者側における識別タグ1の管理を簡素化することができる。
【0027】
なお、第1実施形態では、識別タグ照合部2が識別タグ1と非接触で交信して識別タグ1のセキュリティデータ及び識別データを読取るものとしたが、読取るだけでなく識別データ格納エリア12bにアクセスして識別データを書込むことができるものとしてもよい。(ただし、この場合、セキュリティデータ格納エリア12aにアクセスしてセキュリティデータを書込むことはできない。)この構成にあっては、識別タグ照合部2及びリーダライタ部3は、制御部31を形成するマイクロコンピュータのソフト仕様の違いのみとなって、外観仕様を同じものとすることができる。
【0028】
また、第1実施形態では、識別タグ照合部2をビル建物又は施設等の扉に設置して、識別タグ1のセキュリティデータ及び識別データが識別タグ照合部2のそれぞれと一致したとき扉を解錠するものとしたが(スタンドアロンタイプ)、用途を限定するものではなく、例えば扉を開閉し識別タグ1を携帯した人の入出退及び入出退時刻を上位ホストと通信することで管理するものとして使用するようにしてもよい(シリアルタイプ)。
【0029】
また、第1実施形態では、リーダライタ部3が識別データを識別タグ1に登録時に、セキュリティデータを自動的に識別タグ1のセキュリティデータ格納エリア12aに書込んだが、先ずセキュリティデータを書込み、次いで識別データを書込んでもよく限定されない。
【0030】
本発明の第2実施形態を以下に説明する。なお、第2実施形態では第1実施形態と異なる機能について述べることとし、第1実施形態と実質的に同一機能を有する部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
第2実施形態では、セキュリティデータ設定タグ(図示せず)が別体に設けられて、所定のセキュリティデータが装置の製造者によってセキュリティデータ設定タグのセキュリティデータ格納エリア12aに書込まれる。そして、リーダライタ部3がセキュリティデータ設定タグをかざされることによって、書込まれた所定のセキュリティデータを読み取り制御部31に保持されて登録される。
【0032】
かかる第2実施形態のデータ識別装置にあっては、上記したように、所定のセキュリティデータが書込まれたセキュリティデータ設定タグを別体に設け、リーダライタ部3がセキュリティデータ設定タグと互いに交信してセキュリティデータを制御部31に保持されるから、多数の保全者すなわち多数のセキュリティデータが存在しても、一種類の制御部31(マイクロコンピュータ)でもって対応して、リーダライタ部3のコストダウンを達成することができる。
【0033】
本発明の第3実施形態を以下に説明する。なお、第3実施形態では第1及び第2実施形態と異なる機能について述べることとし、第1及び第2実施形態と実質的に同一機能を有する部材については、同一符号を付して説明を省略する。
【0034】
従来の識別タグ照合部Bにあっては、出荷時に各最終ユーザまたは各保全者毎にセキュリティデータを登録したマイコンを識別タグ照合部Bに組み込むことにより、識別タグ照合部Bのセキュリティを確保するようにしている。しかしながら、このような識別タグ照合部Bにあっては、出荷する度に、最終ユーザや保全者の氏名、出荷数量、出荷日、セキュリティデータの内容等を管理しなければならなかったり、登録するセキュリティデータの種類に応じて複数のメモリ(図示せず)を用意しなければならなかった。したがって従来の識別タグ照合部Bにあっては、その製造コストが高くなったり、所望のセキュリティデータが設定されていない識別タグ照合部Bを取り違えて出荷する恐れがあった。
【0035】
そこで第3実施形態では、識別タグ照合部2の照合制御部21内にセキュリティエリアを設け、そこに予め各最終ユーザや各保全者毎に割り当てられた専用のセキュリティデータを格納するようにする。そして、各最終ユーザや各保全者毎に設定されるセキュリティデータの書き込まれたセキュリティデータ付与タグ4を各最終ユーザや各保全者に対して支給し、各最終ユーザ及び保全者はこれを用いて個々に識別タグ照合部2のメモリ内のセキュリティデータを書き換えるようにするのである。
【0036】
セキュリティデータ付与タグ4は、図5に示すように、識別タグ1と同等の構成をなし、カード状で略四角状に形成される。なお、セキュリティデータ付与タグ4の形状はこれに限られるものではなく、用途により、コイン形状、ペンダント形状等の形状であってもよい。
【0037】
セキュリティデータ付与タグ4と識別タグ照合部2とは非接触でセキュリティデータの交信を行うようになっており、各最終ユーザや各保全者はセキュリティデータ付与タグ4を識別タグ照合部2にかざすことによりセキュリティ設定を行うようになっている。また、セキュリティデータ付与タグ4の中に格納されるセキュリティデータはリーダライタ部3にて書き換えが可能になっており、装置のセキュリティは各最終ユーザや各保全者の自己責任により運用することができるようになっている。
【0038】
なお、セキュリティデータ付与タグ4の中に格納されるセキュリティデータについては、製造者が有する専用リーダライタ(図示せず)でのみ書き換えができるようにしてもよい。これにより、最終ユーザや保全者が持つリーダライタ部3でセキュリティデータの書き換えが行われ、全く別の最終ユーザや保全者のセキュリティデータを自らの識別タグ1や識別タグ照合部2に設定するといった状態を防止することが可能になる。
【0039】
本実施の形態に係る識別タグ照合部2におけるセキュリティ設定方法及び運用方法について説明する。
【0040】
装置の製造者や各最終ユーザ、各保全者により、各最終ユーザや各保全者毎に予め付されるセキュリティデータがセキュリティデータ付与タグ4に登録される。次に、各最終ユーザや各保全者は、識別タグ照合部2の運用開始前に個々に割り当てられたセキュリティデータ付与タグ4を識別タグ照合部2にかざすことにより、自分用若しくは自社用のセキュリティデータが識別タグ照合部2のメモリ内に登録/設定される。
【0041】
各最終ユーザや各保全者がセキュリティデータ付与タグ4にてセキュリティデータを登録した識別タグ照合部2と、それに対応した識別タグ1を使って実際の運用が行われる。すなわち、各最終ユーザや各保全者が運用する際には、特定のセキュリティデータを付与された識別タグ1とそれに対応する識別タグ照合部2の間でしか交信できないため、各最終ユーザや各保全者毎にセキュリティを確保することが可能になる。
【0042】
かかる第2実施形態のデータ識別装置にあっては、識別タグ照合部2へのセキュリティの設定を各最終ユーザや各保全者が個々に行うことになるため、セキュリティデータの設定が誤った識別タグ照合部2が出荷されることを防止することが可能になるとともに、製造者のセキュリティデータ設定作業や設定したセキュリティデータ管理作業の負担を軽減することが可能になり、ひいては製品の製造コストを低減することが可能になる。
【0043】
なお、上述した構成の識別タグ照合部2にあっては、容易にセキュリティデータの変更を行うことが可能になるため、誤ってセキュリティデータが書き換えられてしまうとこれまでの識別タグ1では通信が不可能となり、運用に支障をきたす場合がある。そこで、照合制御部21においてセキュリティデータの書き換えが不可能となるセキュリティロックを行えるようにしてもよい。
【0044】
すなわち、照合制御部21がセキュリティロックモードに移行した状態にあっては、セキュリティデータ付与タグ4がかざされたとしてもデータの交信は行われず、セキュリティデータの書き換えは行われないようになっている。なお、セキュリティデータロックモードへの移行は、上位ホストからコマンド入力により行うようにしてもよいし、登録/抹消タグ(図示せず)を識別タグ照合部2にかざすことにより行うようにしてもよい。登録/抹消タグを用いて行う場合、一度登録/抹消タグをかざすとセキュリティデータの書き換えが可能な通常モードからセキュリティロックモードに移行し、再度登録/抹消タグをかざすとセキュリティロックモードから通常モードに移行するようになっている。
【0045】
上述したデータ識別装置にあっては、セキュリティデータの書き換えが不可能となるセキュリティロックモードと書き換え可能な通常モードとを容易に切り替えることが可能になるため、各最終ユーザや各保全者の運用形態に応じて装置を使用することが可能になるとともに、セキュリティロックモードにあっては不用意に識別タグ照合部2のセキュリティデータが書き換えられてしまうことを防止することが可能になる。
【0046】
【発明の効果】
請求項1記載のデータ識別装置は、リーダライタ部が別体に設けられて、所定のセキュリティデータを保持した制御部がそのセキュリティデータを初期化された識別タグに書込むとともに読取るから、装置の製造者が工場で特殊な専用リーダライタを用いてセキュリティデータを識別タグに書込んだ従来と異なって、製造者ではなく保全者がリーダライタ部を用いてセキュリティデータを識別タグに書込んで、出荷する識別タグを初期化済みの1種類として識別タグのコストダウンを達成できるとともに、管理を保全者名とセキュリティデータのみとして製造者側における識別タグの管理を簡素化することができる。又、予め所定のセキュリティデータが書込まれたセキュリティデータ設定タグを別体に設け、リーダライタ部がセキュリティデータ設定タグと互いに交信してセキュリティデータを制御部に保持されるから、多数の保全者すなわち多数のセキュリティデータが存在しても一種類の制御部でもって対応して、リーダライタ部のコストダウンを達成することができる。さらに、所望のセキュリティデータを書込可能なセキュリティデータ付与タグを別体に設け、識別タグ照合部がセキュリティデータ付与タグと互いに交信してセキュリティデータを制御部に保持するから、個々の保全者すなわち多数のセキュリティデータを一種類の制御部でもって対応して、識別タグ照合部のコストダウンを達成することができる。
【0047】
請求項2記載のデータ識別装置は、請求項1記載のものの効果に加えて、識別タグ照合部はセキュリティデータ付与タグとの交信が不可能となるセキュリティロックモードを備えてなるようにしたので、個々の保全者の運用形態に応じて、セキュリティデータの不用意な書き換えを防止することができる。
【0048】
請求項3記載のデータ識別方法は、請求項1又は請求項2記載のデータ識別装置を用いたデータ識別方法であれば、所定のセキュリティデータを保持して別体に設けられたリーダライタ部の制御部がそのセキュリティデータを初期化された識別タグのセキュリティデータ格納エリアに書込み、識別タグ照合部が識別タグと非接触で交信して書込まれたセキュリティデータを読み取り自己のものと比較照合し、一致したとき識別タグの識別データを読取るから、出荷する識別タグを初期化済みの1種類として識別タグのコストダウンを達成できるとともに、管理を保全者名とセキュリティデータのみとして製造者側における識別タグの管理を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示すリーダライタ部及び識別タグの構成図である。
【図2】同上の識別タグのメモリのアドレスマップ図である。
【図3】同上の識別タグ照合部及び識別タグの構成図である。
【図4】同上の識別タグ照合部及び識別タグの交信状態を表す外観図である。
【図5】本発明の第3実施形態を示す識別タグ照合部及びセキュリティデータ付与タグの構成図である。
【図6】従来例を示す識別タグ照合部及び識別タグの交信状態を表す外観図である。
【符号の説明】
1 識別タグ
12 メモリ
12a セキュリティデータ格納エリア
12b 識別データ格納エリア
2 識別タグ照合部
3 リーダライタ部
31 制御部
4 セキュリティデータ付与タグ
Claims (3)
- 不揮発性のメモリを設けそのメモリにセキュリティデータ及び識別データがそれぞれ書込まれるセキュリティデータ格納エリア及び識別データ格納エリアを配設した識別タグと、識別タグに非接触で交信してセキュリティデータを読み取り自己のものと比較照合する識別タグ照合部とを備えたデータ識別装置において、所定の前記セキュリティデータを保持した制御部がそのセキュリティデータを初期化された前記識別タグに書込むとともに読取るよう形成されたリーダライタ部と、予め前記所定のセキュリティデータが書込まれたセキュリティデータ設定タグと、前記リーダライタ部を用いて所望のセキュリティデータを書込み可能なセキュリティデータ付与タグと、をそれぞれ別体に設け、リーダライタ部はセキュリティデータ設定タグと互いに交信して前記セキュリティデータが保持され、識別タグ照合部はセキュリティデータ付与タグと互いに交信して前記所望のセキュリティデータが保持されることを特徴とするデータ識別装置。
- 前記識別タグ照合部は前記セキュリティデータ付与タグとの交信が不可能となるセキュリティロックモードを備えてなるようにしたことを特徴とする請求項1記載のデータ識別装置。
- 請求項1又は請求項2記載のデータ識別装置を用いたデータ識別方法であって、別体に設けられたリーダライタ部は、所定のセキュリティデータを保持した制御部がそのセキュリティデータを初期化された識別タグにおける不揮発性のメモリに配設されたセキュリティデータ格納エリアに書込み、
識別タグ照合部が識別タグと非接触で交信して書込まれたセキュリティデータを読み取り自己のものと比較照合し、一致したとき識別タグの識別データ格納エリアに書込まれた識別データを読取ることを特徴とするデータ識別方法。
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1999
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